JP2011259555A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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貴章 出垣
Sakaki Okamura
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Abstract

【課題】車両用の昇圧コンバータに流れる電流を所定範囲内に制限すると共に、所定条件における制御遅れを防止することのできる電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】電動機の制御装置10は、全体制御を司るコントロールユニット11と、操作者からの運転操作を受け付ける操作部34と、電池12の電池電圧を昇圧する昇圧コンバータ回路20と、交流電圧によって回転する電動機14のため、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路13と、電動機14と、を有している。また、コントロールユニット11は、デューティ比決定手段31と、デューティ比算出手段32と、スイッチング素子制御手段33と、を有している。デューティ比算出手段32は、出力キャパシタから電池へ電流を流すことのできる上アームのデューティ比制御値を、電池の直流電圧に応じてデューティ比決定手段31に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池から直流電圧の供給を受け、スイッチング素子によって誘導性素子に誘導起電力を発生させて電池の直流電圧に誘電起電力を加えた電圧で出力キャパシタを充電し、出力キャパシタの端子間電圧を電動機に供給することにより電動機を制御する電動機の制御装置に関する。
近年、環境に配慮した自動車としてエンジンと電動機とを駆動源とするハイブリッド自動車、燃料電池によって発電した電力を電動機に供給する燃料電池自動車、及び電動機のみを駆動源とする電気自動車が知られるようになった。このような車両は電池と電池の直流電圧を交流電圧に変換して電動機を制御するインバータとを備えている。ハイブリッド自動車、燃料電池自動車及び電気自動車等は電動機で車両を駆動することから、電動機駆動車両と呼ぶことができ、電動機駆動車両の加減速制御はアクセルやブレーキ等の操作に応じた制御となっている。
一般的に、電動機の小型化や高性能化を図るためには低電圧による駆動よりも高電圧で駆動する方式が望ましい。そこで、電動機駆動車両には、走行性能の向上を目的として電池の直流電圧を昇圧コンバータによって昇圧し、昇圧した直流電圧をインバータに供給して電動機を制御する方式を採用する電動機駆動車両もある。このような電動機駆動車両では、電動機に供給される直流電圧そのものを昇圧コンバータにて制御すると共に、直流電圧をインバータにて交流電圧に変換して電動機を制御することができる。
しかしながら、高電圧化には、電気系統の漏電対策及び、回路内を流れる電流の増加に対する対策という2つの対策が重要となる。まず、電気系統の漏電対策に関して、特許文献1には、昇圧コンバータを有する電気系統において適切な漏電対策が可能な駆動装置に関する技術が開示されている。特許文献1の負荷駆動装置は、電池から供給された直流電流を昇圧して負荷側に供給する昇圧動作及び、昇圧された直流電圧を電池の直流電圧に降圧して電池側に供給する降圧動作を行う電圧変換器と、負荷の漏洩を検出する漏電検出装置と、電圧変換器の昇圧動作中に漏洩検出装置が負荷の漏電を検出した場合に昇圧動作を中止するように電圧変換器を制御する制御装置と、を備え、電圧変換器は、直列に接続された上アーム及び下アームを含み、制御装置は、漏電検出装置が負荷の漏電を検出すると、上アームが保護される電流値となるようなデューティ比で降圧し、下アームをオフ制御する。このような構成により、電気系統における漏電を検知すると共に、昇圧動作を中止することが可能となる。
また、第2の高電圧化に伴う許容電流対策を説明する前に昇圧コンバータの制御について概説する。例えば、昇圧コンバータの制御では、運転操作に基づいて目標昇圧電圧を決定し、昇圧電圧が目標昇圧電圧近づくよう、リアクトルに流れる電流のスイッチタイミングを調整する。これにより、運転操作に従った電動機の加減速制御を行うことができる。
一方、昇圧コンバータの制御によって昇圧電圧が目標昇圧電圧に近づくと、出力キャパシタの充放電電流が減少することで、出力キャパシタの充放電に基づいて昇圧コンバータに流れる電流は減少する。他方、電動機が駆動する車輪に対する負荷が変化した場合には電動機に流れる電圧が変化する。このような場合でも昇圧電圧が目標昇圧電圧に近づくように昇圧コンバータを制御する。
特に、車輪のスリップ率による急激な負荷変動によって電動機に流れる電流が急激に変化した場合、昇圧コンバータには大きな電流が流れる。そのため、昇圧コンバータには負荷変動に基づく電流増加分を見込んで許容電流値の大きい部品を用いる必要があり、昇圧コンバータの製造コストが高くなるという問題がある。
そこで、特許文献2には、電池からスイッチング素子や高電圧電気系統へ流れる電流の値が所定の範囲内となるように、出力キャパシタの電圧に基づいて上アームのデューティ比を求め、スリップ率によるモータ変動に基づく昇圧コンバータに流れる電流を所定範囲内に制限することのできる技術が開示されている。
特開2005−12858号公報 特開2009−142054号公報
上述した特許文献1のように高電圧対策としての漏電検知機能を設け、特許文献2に示されているように昇圧コンバータを流れる電流を制限することで昇圧コンバータの製造コストを抑えることが可能となる。しかしながら、上アームに指令するデューティ比指令値を小さくしていくと、出力キャパシタの端子電圧が目標出力電圧を超える場合、かつ、電池の直流電圧が通常より低下した場合、出力キャパシタの端子電圧の制御が追いつかず、制御遅れが発生することがある。
そこで、本発明に係る電動機の制御装置は、車両用の昇圧コンバータに流れる電流を所定範囲内に制限すると共に、所定条件における制御遅れを防止することのできる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
以上のような目的を達成するために、本発明に係る電動機の制御装置は、電池から直流電圧の供給を受け、スイッチング素子によって誘導性素子に誘導起電力を発生させて電池の直流電圧に誘電起電力を加えた電圧で出力キャパシタを充電し、出力キャパシタの端子間電圧を電動機に供給することにより電動機を制御する電動機の制御装置において、電池の直流電圧と出力キャパシタの端子間電圧とを測定する電圧測定手段と、スイッチング素子を有する上アーム及び下アームと、出力キャパシタの端子間電圧を目標電圧に調整するため、各アームのスイッチング素子のデューティ比を決定するデューティ比決定手段と、デューティ比決定手段によって決定されたデューティ比で各アームのスイッチング素子を制御するスイッチ素子制御手段と、を含み、目標電圧より高くなった出力キャパシタの端子間電圧を降下させるため、変動する電池の直流電圧毎に予め決められた上アームのデューティ比制御値であって出力キャパシタから電池へ電流を流すことのできる上アームのON時間を含むデューティ比制御値を、電池の直流電圧に応じてデューティ比決定手段に設定することを特徴とする。なお、上アームのON時間は、出力キャパシタから電池へ電流を流すことにより、目標電圧より高くなった出力キャパシタの端子電圧を降下させるために必要な時間である。
また、本発明に係る電動機の制御装置において、上アーム及び下アームのデューティ比制御値には、各アームにおけるスイッチング素子の同時ONを防止するデッドタイムが設定されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電動機の制御装置において、電池から上アーム及び下アームに至る経路を流れるスイッチング電流を測定する電流測定手段を有し、目標電圧より高くなった出力キャパシタの端子電圧を降下させる場合において、電流測定手段で測定したスイッチング電流が予め決められた時間内に負の値とならないときは、電池の直流電圧と出力キャパシタの端子電圧とに基づき上アームにおけるスイッチング素子の新たなデューティ比を算出するデューティ比算出手段を有することを特徴とする。
また、本発明に係る電動機の制御装置において、デューティ比算出手段で算出されたデューティ比制御値における上アームのON時間は、上アームにおけるスイッチング素子のデューティ比制御値からデッドタイムを差し引いた実時間が予め決められた最小上アームON時間よりも長い時間であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る電動機の制御装置において、電池の電圧に対する上アームON時間は、変動する電池の直流電圧に従い設定され、電池の直流電圧が最低直流電圧を下回るときは上アームON時間が最小上アームON時間となる特性を有することを特徴とする。
本発明に係る電動機の制御装置を使用することにより車両用の昇圧コンバータに流れる電流を所定範囲内に制限すると共に、所定条件における制御遅れが防止できるという効果がある。
本発明の実施形態に係る電動機の制御装置の構成を示す構成図である。 図1に示した昇圧コンバータ回路の回路図である。 本実施形態における制御波形を説明する説明図である。 本実施形態における制御波形を説明する説明図である。 本実施形態における電池電圧と上アームON時間との関係を示す特性図である。 本実施形態における上アームON時間を設定する処理の流れを示すフローチャート図である。 図1のデューティ比決定手段に図6の処理を加えたフローチャート図である。 図6に示す処理にマップ修正処理を加えたフローチャート図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
図1は本実施形態に係る電動機の制御装置10を示し、図1を用いて電動機駆動車両の構成及び走行制御について概説する。電動機駆動車両は、全体制御を司るコントロールユニット11と、操作者からの運転操作を受け付ける操作部34と、電池12の電池電圧を昇圧する昇圧コンバータ回路20と、交流電圧によって回転する電動機14のため、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路13と、電動機14と、を有している。また、コントロールユニット11は、デューティ比決定手段31と、デューティ比算出手段32と、スイッチング素子制御手段33と、を有している。デューティ比算出手段32は、出力キャパシタから電池へ電流を流すことのできる上アームのデューティ比制御値を、電池の直流電圧に応じてデューティ比決定手段31に設定する。
インバータ回路13は、昇圧コンバータ回路20の出力電圧が小さいときには小さい交流電圧を出力し、昇圧コンバータ回路20の出力電圧が大きいときには大きい交流電圧を出力する。このようなことから、コントロールユニット11が昇圧コンバータ回路20の出力電圧を調整することで、インバータ回路13の出力交流電圧を調整することが可能となる。
また、昇圧コンバータ回路20とインバータ回路13は、電動機14の回生ブレーキとして使用することもできる。電動機14がインバータ回路13の出力交流電圧に応じた速度で回転しているときは、昇圧コンバータ回路20から所定の電力が電動機14に供給されることで一定の速度で回転する。この状態において、コントロールユニット11が昇圧コンバータ回路20の出力電圧を上げるとインバータ回路13の出力交流電圧が大きくなり、電池12から昇圧コンバータ回路20及びインバータ回路13を介して電動機14に電力が供給され、電動機14に駆動トルクが働くことで電動機駆動車両が加速する。逆に、コントロールユニット11が昇圧コンバータ回路20の出力電圧を下げると、インバータ回路13の出力交流電圧が小さくなり、電動機14からインバータ回路13及び昇圧コンバータ回路20を介して電池12に電力が回収されると共に、電動機14に制動トルクが働くことで電動機駆動車両が減速する。もちろん、操作者は電動機駆動車両に別途設けられたブレーキ機構によって減速することもできる。
操作部34は、アクセルペダル、ブレーキペダル等を含み、操作者の運転操作に応じた指令をコントロールユニット11が受け取る。コントロールユニット11は、その指令に基づいて昇圧コンバータ回路20の目標出力電圧を決定し、昇圧コンバータ回路20の出力電圧と目標出力電圧との差異が小さくなるよう昇圧コンバータ回路20を制御する。
電動機駆動車両では、操作者の運転操作に応じてコントロールユニット11が昇圧コンバータ回路20の目標電圧を決定し、目標電圧に応じた昇圧コンバータ回路20の制御を行う。しかし、単に、負荷変動により電動機14に流れる電流が変動した時に出力電圧を目標出力に追従させると、昇圧コンバータ回路20に大きな電流が流れることになり、昇圧コンバータ回路20に許容電流以上の電流が流れるおそれがある。そこで、コントロールユニット11は、昇圧コンバータ回路20に流れる電流が所定範囲内となるように昇圧コンバータ回路20を細かく制御する。次に、昇圧コンバータ回路20の構成及び基本的な制御について詳説する。
図2は図1の昇圧コンバータ回路20の回路図である。昇圧コンバータ回路20は、グランドライン側と電源ライン側に接続された電池12と、電池12の電源ライン側に接続されたリアクトル15と、電池電圧を測定する電池電圧計23と、リアクトル15を流れる電流を測定する電流計22と、大電流を流すことのできるIGBT等である上アームトランジスタ16及び下アームトランジスタ17と、順方向電圧が与えられると導通する上アームダイオード18及び下アームダイオード19と、上アームトランジスタ16のコレクタ端子Cとグランドライン側とに接続されている大容量コンデンサである出力キャパシタ21と、出力キャパシタ21の端子間電圧を測定する出力電圧計24と、を有している。
また、上アームトランジスタ16のエミッタ端子Eと下アームトランジスタ17のコレクタ端子Cとリアクトル15とは接続され、下アームトランジスタ17のエミッタ端子とグランドライン側が接続されている。また、上アームトランジスタ16及び下アームトランジスタ17のコレクタ端子Cとエミッタ端子E間には、上アームダイオード18及び下アームダイオード19が接続されている。なお、上アームトランジスタ16及び下アームトランジスタ17のベース端子Bは、コントロールユニットに接続されており、これらはコントロールユニットにより制御される。次に、コントロールユニットによる昇圧コンバータ回路20の制御方法を示す。
図3は所定の電圧まで昇圧を行っている時の昇圧コンバータ回路20の制御波形を示し、横軸に時間、縦軸に上から順にデューティ比指令値、上アーム、下アーム、電池の直流電圧、インダクタを流れる電流値ILを示している。以下、図3と図2の昇圧コンバータ回路図と共に動作を説明する。
図2の上アームトランジスタ16及び下アームトランジスタ17は、コントロールユニットがベース端子Bとエミッタ端子Eとの電圧を変化させることで、ON又はOFFに制御することができ、ON時にはコレクタ端子Cからエミッタ端子Eへと電流が流れる。図3に示すようにコントロールユニットは、下アームトランジスタ17(下アーム)と上アームトランジスタ16(上アーム)とが同時にONにならないように制御するため、下アームと上アームのON時において、それぞれデッドタイムを設けている。
ここで、目標出力電圧より出力電圧の方が低い場合、図2の上アームトランジスタ16をOFFにして下アームトランジスタ17をONにすると、電池12からリアクトル15を介して下アームトランジスタ17のコレクタ端子Cに電流が流入するため、電流ILが上昇する。その後、下アームトランジスタ17をOFF、上アームトランジスタ16をONにすると、リアクトル15に流れる電流ILが遮断され、リアクトル15には下アームトランジスタ17側を正極とする誘導起電力が発生する。この時、電池電圧にリアクトル15の誘導起電力が加えられた電圧が、出力キャパシタ21の端子間電圧(出力電圧)よりも大きい場合、上アームダイオード18は順方向電圧が与えられることにより導通し、遮断された電流ILが上昇する。これによって出力キャパシタ21は電池電圧にリアクトル15の誘電起電力が加えられた電圧によって充電され、出力電圧が上昇する。
一方、目標出力電圧より出力電圧の方が高くなった(昇圧し過ぎた)場合、かつ、電池電圧にリアクトル15の誘導起電力が加えられた電圧が、出力キャパシタ21の端子間電圧未満である時に下アームトランジスタ17をOFF、上アームトランジスタ16をONにすると、電池電圧にリアクトル15の誘導起電力が加えられた電圧が出力キャパシタ21から上アームトランジスタ16を介してリアクトル15に加わり、放電電流である電流IL’が流れる。これによって、今度は電池12が充電されることになり、上アームトランジスタ16を所定時間ONにすることで、出力キャパシタの端子間電圧(出力電圧)が下がり、出力電圧が低下する。出力電圧低下中において、電池電圧にリアクトル15の誘導起電力が加えられた電圧と、出力キャパシタ21の端子間電圧(出力電圧)と等しくなった時には、上アームダイオード18及び上アームトランジスタ16には電流が流れず、電流ILが0となる瞬間がある。また、出力キャパシタ21を放電状態とし、出力電圧を低下させているときには、上アームトランジスタ16から電池に向かう電流IL’がリアクトル15に流れることになり、図3に示すように、上アームがONしているときに電流ILが0を横切って負の値を取ることができ、昇圧し過ぎた電圧を降下させるための制御が実行される。
図4には目標出力電圧より出力電圧の方が高い場合の制御波形を示している。上述したように、昇圧コンバータを流れる電流を制限するためには、上アームトランジスタのON時間を短くすることが望ましい。そこで、図4の制御波形に示すようにON時間を除々に短くしていくと、出力キャパシタの端子電圧が目標出力電圧を超える場合、かつ、電池の電圧が通常より低下した場合、上アームトランジスタがONしているにもかかわらずON時間が十分ではないため、出力キャパシタの端子電圧(出力電圧)を降下させる制御が追いつかず、制御遅れが発生することがある。
この状態は、上アームトランジスタのON時間(以下、上アームON時間という。)が短すぎるため、出力キャパシタから電池12に電流IL’を十分な電流を流すことができず、電流ILは負の値になることなく正の値となり、出力電圧が上昇を続ける状態である。このような状況を防止するには、出力キャパシタから電池に電流を返すための必要最小限の上アームON時間を確保する必要があるが、この必要最小限の上アームON時間は電池電圧によって影響を受ける。
図5は本実施形態における電池電圧と上アームON時間との関係を示している。従来方式では昇圧コンバータ内に流れる電流制限に注視するあまり電池の通常電圧を考慮すること無く、通常のON時間の時間を設定していたため、所定の状況下では制御遅れが発生する場合があった。そこで、本実施形態では、図5に示すように昇圧コンバータを流れる電流を制限するための通常のON時間範囲内に、変動する電池電圧を考慮した最小上アームON時間を設定した。この最小上アームON時間を設定することにより、出力キャパシタから電池へ電流を流すことができ、かつ、出力キャパシタ電圧(出力電圧)を降下可能なON時間を確保することにした。また、電池の電圧が所定の電圧以下となった場合には、最小上アームON時間を下限値に固定することで電池の電圧低下時での最小上アームON時間を確保することにした。このような制御により、目標出力電圧より出力電圧の方が高い場合における制御遅れを解消することが可能となる。一方、このような制御では、制御遅れが減少するが、目標出力電圧より出力電圧が大きくなるに従い、昇圧し過ぎた電圧の差分が大きくなり単位時間当たりの電圧降下速度が増加することから、電流値の増加を伴うことになる。そこで、本実施形態では、従来に比べて、デューティ比をきめ細かく制御することにより電流値の増加を低減することとした。次に、本実施形態における処理の流れを概説する。
図6は上アームON時間を設定する処理の流れを示している。処理をスタートすると、ステップS10において、電池電圧VBを計測してメモリに格納する。ステップS12において、電池電圧VBに対する最小上アームON時間のマップ(図5の特性図)から電池電圧VBにおける最小上アームON時間を求める。ステップS14において、別ルーチンで計算され決定されたデューティ比指令値をメモリから読み出す。ステップS16において、メモリから読み出したデューティ比指令値におけるアームON時間が何μsになるのかを計算する。ステップS18において、計算した上アームON時間が最小上アームON時間よりも小さいかどうかを判断し、もし、最小上アームON時間よりも長い場合にはそのまま処理を進める。また、最小上アームON時間より短い場合には、ステップS20において、デューティ比指令値に最小上アームON時間にデッドタイムを加えたものを代入してデューティ比指令値を補正する(デューティ比算出手段)。これにより、メモリに格納されているデューティ比指令値を出力した時に、最小上アーム時間が確保できることになる。なお、デューティ比指令値は、上述したデューティ比制御値に含まれる指令値であり、デューティ比制御値は一例を示したものである。以上が、処理の概要である。しかしながら、昇圧コンバータの制御では、出力目標電圧や出力電圧が逐次変化することから、実際の処理に近い形式の処理の流れを図7に示す。
図7はデューティ比決定手段に図6のデューティ比算出手段を加えたものであり、昇圧コンバータに流れる電流を所定範囲内に制限した電流制限デューティ比制御の処理について詳説する。図7の処理は、制御開始時からn・Δ経過した第nステップで行われる処理であり、電流制限デューティ比制御では、新たな上アームデューティ比を求める前に電流ILを測定し、電流ILが所定の電流閾値を超えているときは、電流ILを所定範囲内に制限すると共に、所定条件における制御遅れを防止するために、新たな上アームデューティ比を求めるものである。
処理をスタートすると、ステップS30において、電流計22の測定値(電流IL)を読み込む。次に、ステップS32において、電池12の電池電圧(電圧VB)を読み込み、ステップS34において、電池電圧VBに対する最小上アームON時間のマップから電池電圧VBにおける最小上アームON時間を求める。そして、ステップS36において、電流ILと所定の電流閾値Itとを比較し、もし、電流ILが電流閾値It以下である場合には、ステップS37において出力電圧(VH(n))をV(n)として読み込む。そして、出力電圧VH(n)と目標出力電圧Vtとの差分に基づいて、ステップS38において、出力電圧が目標出力電圧Vtに近づくように上アームデューティ比D(n)を求める。ここで、デューティ比決定部は出力電圧VH(n)が目標出力Vtより小さいときは、第nステップにおける上アームデューティ比D(n)を、第n−1ステップで求められた上アームデューティ比D(n−1)より小さい値とする。一方、出力電圧VH(n)が目標出力電圧Vtより大きいときは、第nステップにおける上アームデューティ比D(n−1)より大きい値とする。このように上アームデューティ比D(n)を求める処理としては、出力電圧VH(n)と目標出力電圧Vtとの差分を入力値として、出力電圧VH(n)を出力値としたフィードバック制御処理である。
一方、電流ILが電流閾値Itを超えるときは、ステップS40において、デューティ比決定手段は、先の第n−1ステップで求められた上アームデューティ比D(n−1)及び第n−1ステップで測定された出力電圧VH(n−1)をメモリから読み込む。ステップS41において、出力電圧VHを出力電圧VH(n)として計測する。そして、ステップS42において、(数1)D(n)=D(n−1)・VH(n−1)/VH(n)に基づいて上アームデューティ比D(n)を求める。ステップS44において、デューティ比決定手段は、トランジスタ制御部に出力する上アームデューティ比D(n)を決定するが、上アームデューティ比D(n)が好ましい制御値であるどうかをステップS46以降で検証する。
ステップS46において、計算した上アームON時間が最小上アームON時間よりも小さいかどうかを判断し、もし、最小上アームON時間よりも長い場合にはステップS50に進み、D(n)を上アームに出力後、ステップS52にてD(n)及びVH(n)をメモリに格納して処理が終わる。また、もし、最小上アームON時間より短い場合には、ステップS48において、デューティ比指令値に最小上アームON時間にデッドタイムを加えたものを代入してデューティ比指令値を補正(デューティ比算出手段)後、ステップS50以下を実行することになる。
次に、本実施形態の他の処理について説明する。図8は図6に示す処理にマップ修正処理を加えたものである。本実施形態では、上アームのトランジスタのON状況を監視するために別途検出手段を設けることなく、昇圧コンバータ内の電流制限を目的としたスイッチング電流に着目して、上アームの動作を検出するものである。例えば、図4に示した状況では、目標出力電圧より出力電圧の方が高い状況下で、電流ILが所定時間負の値を取らない場合には、上アームが作動していないと判断する。このような処理により、トランジスタのON状況を間接的に検出することができる。以下、処理の流れについて詳説する。
図8の処理をスタートすると、ステップS60において、電池電圧VBを計測してメモリに格納する。ステップS62において、スイッチング電流である電流(IL)を計測する。もし、電流ILが負の値を取る場合には、正常に電圧降下の制御が実行されていると判断して次の処理に進む。
しかし、もし、電流ILが負の値を取らない場合には、上アームの最小ON時間が確保できていない可能性があるので、ステップS66において、電池電圧VBに対する最小上アームON時間のマップを修正後、ステップS68に進む。
ステップS68において、電池電圧VBに対する最小上アームON時間のマップ(図5の特性)から電池電圧VBにおける最小上アームON時間を求める。ステップS70において、別ルーチンで計算され決定されたデューティ比指令値をメモリから読み出す。ステップS72において、メモリから読み出したデューティ比指令値におけるアームON時間が何μsになるのかを計算する。ステップS74において、計算した上アームON時間が最小上アームON時間よりも小さいかどうかを判断し、もし、最小上アームON時間よりも長い場合にはそのまま処理を進める。また、最小上アームON時間より短い場合には、ステップS76において、デューティ比指令値に最小上アームON時間にデッドタイムを加えたものを代入してデューティ比指令値を補正する(デューティ比算出手段)。このような処理により上アームの動作検出に基づく、制御処理が実行されることになる。
以上、上述したように、本実施形態に係る電動機の制御装置を使用することにより車両用の昇圧コンバータに流れる電流を所定範囲内に制限すると共に、所定条件における制御遅れが防止できる。なお、本実施形態では説明の都合上、上アームトランジスタ及び下アームトランジスタの温度特性による変化や同時ONを防止するデッドタイムであって、実際の各トランジスタがONするまでの時間のばらつきに対する処理について説明を省略したが、同様な処理により対応できることはいうまでもない。
10 電動機の制御装置、11 コントロールユニット、12 電池、13 インバータ回路、14 電動機、15 リアクトル、16 上アームトランジスタ、17 下アームトランジスタ、18 上アームダイオード、19 下アームダイオード、20 昇圧コンバータ回路、21 出力キャパシタ、22 電流計、23 電池電圧計、24 出力電圧計、31 デューティ比決定手段、32 デューティ比算出手段、33 スイッチング素子制御手段、34 操作部。

Claims (5)

  1. 電池から直流電圧の供給を受け、スイッチング素子によって誘導性素子に誘導起電力を発生させて電池の直流電圧に誘電起電力を加えた電圧で出力キャパシタを充電し、出力キャパシタの端子間電圧を電動機に供給することにより電動機を制御する電動機の制御装置において、
    電池の直流電圧と出力キャパシタの端子間電圧とを測定する電圧測定手段と、
    スイッチング素子を有する上アーム及び下アームと、
    出力キャパシタの端子間電圧を目標電圧に調整するため、各アームのスイッチング素子のデューティ比を決定するデューティ比決定手段と、
    デューティ比決定手段によって決定されたデューティ比で各アームのスイッチング素子を制御するスイッチ素子制御手段と、
    を含み、
    目標電圧より高くなった出力キャパシタの端子間電圧を降下させるため、変動する電池の直流電圧毎に予め決められた上アームのデューティ比制御値であって出力キャパシタから電池へ電流を流すことのできる上アームのON時間を含むデューティ比制御値を、電池の直流電圧に応じてデューティ比決定手段に設定することを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動機の制御装置において、
    上アーム及び下アームのデューティ比制御値には、各アームにおけるスイッチング素子の同時ONを防止するデッドタイムが設定されていることを特徴とする電動機の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電動機の制御装置において、
    さらに、電池から上アーム及び下アームに至る経路を流れるスイッチング電流を測定する電流測定手段を有し、
    目標電圧より高くなった出力キャパシタの端子間電圧を降下させる場合において、電流測定手段で測定したスイッチング電流が予め決められた時間内に負の値とならないときは、電池の直流電圧と出力キャパシタの端子電圧とに基づき上アームにおけるスイッチング素子の新たなデューティ比を算出するデューティ比算出手段を有することを特徴とする電動機の制御装置。
  4. 請求項3に記載の電動機の制御装置において、
    デューティ比算出手段で算出されたデューティ比制御値における上アームのON時間は、上アームにおけるスイッチング素子のデューティ比制御値からデッドタイムを差し引いた実時間が予め決められた最小上アームON時間よりも長い時間であることを特徴とする電動機の制御装置。
  5. 請求項4に記載の電動機の制御装置において、
    電池の電圧に対する上アームON時間は、変動する電池の直流電圧に応じて設定され、電池の直流電圧が最低直流電圧を下回るときは上アームON時間が最小上アームON時間となる特性を有することを特徴とする電動機の制御装置。
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