JP2011258330A - ツイストペアケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】対にされた絶縁コアの信号導体を流れる電流間のカップリングを強め、伝送特性が良好なツイストペアケーブルを提供する。
【解決手段】複数本の素線導体12aを撚り合わせた撚線12を絶縁体13で被覆した絶縁コア11を対にして撚り合わせたツイストペアケーブル10a.10bで、撚線12の撚り方向と対にした絶縁コア11の撚り方向を反対にすると共に、撚線12の撚りピッチPaを絶縁コア11の撚りピッチPbの1/4以下としたことを特徴とする。なお、当該ツイストペアケーブル10a.10bは、高周波信号の差動伝送に用いるのに好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】複数本の素線導体12aを撚り合わせた撚線12を絶縁体13で被覆した絶縁コア11を対にして撚り合わせたツイストペアケーブル10a.10bで、撚線12の撚り方向と対にした絶縁コア11の撚り方向を反対にすると共に、撚線12の撚りピッチPaを絶縁コア11の撚りピッチPbの1/4以下としたことを特徴とする。なお、当該ツイストペアケーブル10a.10bは、高周波信号の差動伝送に用いるのに好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、2本の絶縁コアを対にして、高周波信号を差動伝送方式で伝送するのに用いられるツイストペアケーブルに関する。
差動伝送方式は、伝送信号の位相を180度反転させて、対にされた2心の信号導体に同時に入力して送信し、受信側で差分合成する方法で、受信側で信号出力を2倍にすることができる。また、送信から受信に至る伝送経路途中で受けたノイズ信号は、2心の信号導体に等しく加えられるので、受信側で差動信号として出力したときにキャンセルされ、ノイズが除去されるという機能を有している。このような差動伝送方式で信号を伝送するのに、通常、2本の絶縁コア(信号導体を絶縁体で被覆した電線)を対にした通信ケーブルを用いている(例えば、特許文献1参照)。
また、2本の絶縁コアを撚った形態のツイストペアケーブルは、誘導ノイズの影響を受けにくい通信ケーブルとして知られている。この通信ケーブルは、絶縁コアの位置が交互に入れ替わっているので、信号電流で発生する磁束の発生する向きも交互に入れ替わり隣り同士で互いに打ち消し合って、外部にノイズを出しにくい。また、外部からの磁束による発生する電流も、交互に入れ替わって互いに打ち消し合うので、外部からの影響も受けにくい(例えば、特許文献2参照)。
ツイストペアケーブルを形成する絶縁コアは、その信号導体(中央導体ともいう)は、単心線または複数本の素線導体を撚り合せた撚線が用いられる。撚線は、同じ断面積の単心線と比べて導体径が太くなり、減衰量も劣るため伝送距離が短くなるが、柔軟性や耐屈曲性に優れていることから、稼動部や屈曲部を有する伝送路の形成に多用されている。
一方、通信ケーブルの信号導体に流れる電流は、高周波になるにつれて表皮効果によって信号導体の表面側に流れるようになる。単心線の場合は、図3(A)に示すように導体1の外周面1a側の全体を流れ、絶縁コアの中心を通る1つの電流路と見ることができる。したがって、ケーブルの長手方向でケーブル中心に対する電流の空間的な離間距離は一定で、対になっているもう一方の絶縁コアとは一定のカップリング度で結合されていると見ることができる。しかし、撚線2の場合は、図3(B)に示すように外周に配置された素線2aの外側部分2bのみに流れ、複数の電流路に分かれるようになる。
このため、信号導体に撚線を用いたツイストペアケーブルでは、絶縁コアの中心に対して複数の電流路が円弧上に位置し、複数の電流路はケーブルの長手方向でケーブル中心に対して、それぞれが近づいたり離れたりすることになる。したがって、信号導体の撚り合わせ方向に対して、絶縁コアの撚り合わせ方向を同じにする場合と、異ならせる場合とでは、ケーブル中心に対する電流の流れる空間的な位置は同じではない。この結果、互いに撚り合わされて対にされる絶縁コア間のカップリングの度合いが異なり、組み合わせによっては絶縁コア間のカップリング度が弱まり、伝送特性を低下させる恐れがある。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、対にされた絶縁コアの信号導体を流れる電流間のカップリングを強め、伝送特性が良好なツイストペアケーブルの提供を目的とする。
本発明によるツイストペアケーブルは、複数本の素線導体を撚り合わせた撚線を絶縁体で被覆した絶縁コアを対にして撚り合わせたツイストペアケーブルで、撚線の撚り方向と対にした絶縁コアの撚り方向を反対にすると共に、撚線の撚りピッチを絶縁コアの撚りピッチの1/4以下としたことを特徴とする。なお、当該ツイストペアケーブルは、高周波信号の差動伝送に用いるのに好ましい。
本発明によれば、絶縁コア内の撚線(信号導体)の撚り方向と反対の方向に絶縁コア同士を撚り合わせるので、高周波により各素線導体に生じる電流路が、ケーブル中心に対して空間的に近づいたり遠のいたりする周期を短くすることができ、対にされた絶縁コアの信号導体を流れる電流間のカップリングを良好にし、伝送特性の低下を抑えることができる。
図により本発明の概略を説明する。信号導体(撚線)に高周波の信号電流が流れる場合、図3(B)で説明したように、信号電流はその表皮効果により、外周に配置された素線導体の外側部分のみに流れる。この結果、信号電流は複数の電流路に分かれて、撚線中心の周りを長手方向に螺旋状に流れる。そして、撚線を絶縁体で覆って絶縁コアとし、一対の絶縁コアを並列に並べて対ケーブルとしたときは、信号電流はケーブルの長手方向でケーブル中心に対して、空間的に近づいたり離れたりする。さらに、対にされた絶縁コアを撚り合わせると、信号導体を流れる電流間のカップリングの度合い(結合度)が異なってくる。
図2は、その状況をシミュレーションしたもので、一対の絶縁コアを撚り合わせたツイストペアケーブルの信号導体の一点について、ケーブル中心からの距離が長手方向で変化する様子を示す。ここで、一対の絶縁コアを信号導体の撚り方向と同方向で撚り合わせたものを点線(a)で示し、一対の絶縁コアを信号導体の撚り方向とは反対で撚り合わせたものを実線(b)で示してある。なお、信号導体の撚りピッチと絶縁コアの撚りピッチは、それぞれ(a)と(b)とで同じである。
図2のシミュレーションによれば、同方向撚り(a)に対して、反対方向撚り(b)の方が、電流路がケーブル中心に接近する周期が短いことが分かる。ケーブルの長手方向でケーブル中心から撚線の電流路の空間的な離間距離は、平均で見るとケーブルが同方向撚りであるか反対方向撚りであるかの差はあまりない。しかしながら、図2の例ではケーブル長手方向で、同方向撚りでは電流路がケーブル中心に接近する回数が点線(a)の2回の接近に対して、反対方向撚りでは反対方向撚りの実線(b)では6回の接近となる。
すなわち、ケーブルの長手方向距離を同じとすると、絶縁コアの撚り合わせ方向と反対方向に絶縁コアを撚り合わせた方が、絶縁コアの撚り合わせ方向と同方向に絶縁コアを撚り合わせた場合より、電流路がケーブル中心に接近する頻度が多い。電流路がケーブル中心に接近すると各信号導体を伝搬する信号のカップリングの度合いが強まる。したがって、互いに撚り合わせられる絶縁コアのカップリングの度合いは、点線(a)より実線(b)の方が強いと言える。つまり、撚線の撚方向と絶縁コアの撚方向を反対にすると、信号のカップリングの度合いが強められる。
図1は、本発明によるツイストペアケーブルの一例を示し、図1(A)は一対の絶縁コアを撚り合わせたケーブル、図2(B)は図2(A)のケーブルにシールドを施したケーブルを示す図である。図中、10a,10bはツイストペアケーブル、11は絶縁コア、12は信号導体(撚線)、12aは素線導体、13は絶縁体、14はシールドを示す。
本発明によるツイストペアケーブル10aは、図1(A)に一例として示すように、複数本の素線導体12aを右方向に撚り合わせて信号導体12とし、その外側を絶縁体13で被覆してなる一対の絶縁コア11を、左方向に撚り合わせて構成される。また、図1(B)に示すツイストペアケーブル10bは、上記ケーブルの外周にシールド14を設けて、シールドケーブルとしたもので、ツイストペアケーブルとしては、図1(A)と同じ機能を有するものである。これらのツイストペアケーブル10a,10bは、単体の通信ケーブルとして使用することができるが、複数本を集合させて多心の通信ケーブルとして使用することもできる。
ツイストペアケーブル10a,10bは、素線導体12aの撚り合わせ方向が、例えば、右方向である場合は、一対の絶縁コア11の撚り合わせ方向は、素線導体12aの撚り合わせ方向と反対方向の左方向に撚り合わされる。なお、素線導体12aの撚り合わせ方向が、左方向である場合は、絶縁コア11の撚り合わせ方向は、反対方向の右方向に撚り合わされる。
信号導体12は、銅または銅合金の電気良導体、あるいはこれら電気良導体に錫メッキあるいは銀メッキ等を施した複数本の素線導体12aを撚り合わせて形成される。信号導体12は、例えば、素線導体12aの径が0.025mmのものを7本撚って、撚線外径を0.075mm(AWG#42相当)したものや、素線導体12aの径が0.127mmのものを7本撚って、撚線外径を0.38mm(AWG#28相当)としたものが用いられる。さらに、太いものでは、0.205×7本撚って、撚線外径を0.615mm(AWG♯24相当)が、用いられる。
絶縁体13は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレートなどのポリオレフィン系樹脂や、あるいは、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)などのフッ素樹脂が用いられる。なお、絶縁体13の外径(絶縁コア外径)は、信号導体12の2〜4倍程度とされる。
信号導体12を形成する素線導体12aの撚りピッチPaは、素線導体12aの太さにより異なるが、例えば、7本の素線導体を用いて撚線を形成するとして、素線導体径が0.025mmでは3mm〜6mmの撚りピッチ、素線導体径が0.127mmでは4mm〜7mmの撚りピッチ、素線導体径が0.205mmでは5mm〜9mmの撚りピッチとする。なお、撚りピッチPaを3mm以下とすることは非効率であり、また、10mm以上ではバラケ易くなる。
上記の信号導体12を絶縁体13で被覆した一対の絶縁コア11は、素線導体12aの撚り合わせ方向と反対の左方向に撚り合わせる。絶縁コア11の撚りピッチPbは、素線導体12aの撚りピッチPaの4倍以上(素線導体12aの撚りピッチPaは、絶縁コア11の撚りピッチPbの1/4以下)とするのが好ましい。例えば、素線導体12aの撚りピッチPaが8mm〜10mmである場合は、絶縁コア11の撚りピッチPbは40mm程度とされる。なお、絶縁コア11の撚りピッチPbがあまり大きいと、ケーブルがバラケ易くなるので、50mm以下とするのが望ましい。
上述したツイストペアケーブルは、高周波の差動伝送信号に対して、信号導体中を流れる互いの電流のカップリング度を良好に維持し、伝送信号が劣化するのを効果的に抑制することができる。
10a,10b…ツイストペアケーブル、11…絶縁コア、12…信号導体(撚線)、12a…素線導体、13…絶縁体、14…シールド。
Claims (2)
- 複数本の素線導体を撚り合わせた撚線を絶縁体で被覆した絶縁コアを、対にして撚り合わせたツイストペアケーブルであって、
前記撚線の撚り方向と前記対にした絶縁コアの撚り方向を反対にすると共に、前記撚線の撚りピッチを前記絶縁コアの撚りピッチの1/4以下としたことを特徴とするツイストペアケーブル。 - 高周波信号の差動伝送に用いることを特徴とする請求項1に記載のツイストペアケーブル。
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- 2010-06-07 JP JP2010129772A patent/JP2011258330A/ja active Pending
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