<実施形態について:>
<A.情報処理システム100Aの構成ついて:>
図1は、実施形態に係る情報処理システム100Aが対象物3の三次元形状を測定する場合を例として、情報処理システム100Aの構成例の外観を示す図であり、図1に示されるように、情報処理システム100Aは、情報処理装置200A、三次元測定機2を主に備えて構成されている。
情報処理システム100Aは、三次元測定機2が複数の方向から対物3の略同一部分を撮像した撮像結果を情報処理装置200Aで処理することによって、該部分の実際の三次元形状を表現した第1実座標データ31a(図2)および第2実座標データ31b(図2)を生成する。
三次元測定機2は、投光部21から対象物3に検出光を投光し、対象物3からの該検出光の反射光を受光部25で撮像した撮像結果に基づいて、対象物3の三次元形状を非接触で測定する装置である。
該測定の結果、三次元測定機2は、複数の三次元座標の集合(本願において「三次元座標データ」とも称する)を対象物3の三次元形状に応じて生成する。
対象物3の表面3aで検出光が1回だけ反射した反射光が、受光部25に入射した場合には、三次元測定機2は、該入射光を光電変換した信号に基づいて、通常、対象物3の実際の三次元形状を表現した三次元座標(本願において「実座標」とも称する)を生成することができる。
一方、表面3aなどを経て検出光が複数回の反射(本願において「多重反射」とも称する)をした後、受光部25に入射した場合などでは、三次元測定機2は、通常、実座標を生成できず、実座標以外の三次元座標(本願において「非実座標」とも称する)を生成する。
また、情報処理システム100Aにおいて、三次元測定機2は、対象物3に対して種々の位置および姿勢から対象物3の三次元形状を測定する。なお、三次元測定機2の内部構成および信号処理等については、後述する。
図1の例では、三次元測定機2は、三次元測定機2の位置および姿勢を定める配置1aにおいて、不図示の検出光が投光された対象物3の表面3aのうち撮影画角34aに内包された対象部分を撮像し、撮像結果から第1原座標データ29aを生成している。
第1原座標データ29aは、該対象部分の各点に対応した三次元座標データであり、配置1aにおける三次元測定機2を基準とした所定の三次元座標系で表現されている。
また、第1原座標データ29aは、該各点のそれぞれに対して1以上の三次元座標が対応した三次元座標データでもあり、これらの三次元座標は、実座標であるか、非実座標であるかのどちらかである。
また、図1の例では、三次元測定機2は、配置1bにおいて、不図示の検出光が投光された対象物3の表面3aのうち撮影画角34bに内包された対象部分を撮像し、撮像結果から第2原座標データ29bを生成している。
第2原座標データ29bは、該対象部分の各点に対応した三次元座標データであり、配置1bにおける三次元測定機2を基準とした所定の三次元座標系で表現されている。
また、第2原座標データ29bは、該各点のそれぞれに対して1以上の三次元座標が対応した三次元座標データでもあり、これらの三次元座標は、実座標であるか、非実座標であるかのどちらかである。
ここで、表面3aのうち撮影画角34aおよび34bにそれぞれ内包された部分は、略同じ部分である。従って、第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bは、表面3a上の略同一部分を、異なる方向からそれぞれ測定して得られた三次元座標データである。
なお、表面3aのうち撮影画角34aに内包された部分と、表面3aのうち撮影画角34bに内包された部分とは、例えば、相互に一部分のみが重なっていたとしても、該重なり部分について本発明が適用できるので、本発明の有用性を損なうものではない。
三次元測定機2によって生成された第1原座標データ29aと第2原座標データ29bとは、情報処理装置200Aに供給される。
情報処理装置200Aは、第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bに基づいて、第1実座標データ31a(図2)および第2実座標データ31b(図2)を生成する。
第1実座標データ31aは、第1原座標データ29aのうちの各実座標の集合であり、第1実座標データ31aは、第2原座標データ29bのうちの各実座標の集合である。
◎三次元測定機2の構成について:
図2は、実施形態に係る情報処理システム100Aの機能構成の1例を示すブロック図である。また、図3は三次元測定機2の基本的な内部構成を示す模式図である。
図2および図3に示されるように、三次元測定機2は、制御部15、投光部21、受光部25、および三次元化部14を主に備えて構成される。
制御部15は、CPUで所定のプログラムを実行することなどによって実現されており、情報処理装置200Aからの制御信号に基づいて投光部21、受光部25、および三次元化部14の動作を制御する。
投光部21は、レーザ光を発生するレーザ光源22と、該レーザ光をスリットレーザ光4に変換し、検出光として投光窓に導く投光光学系23と、回転軸を中心として矢印R1(図3)で示される方向に面回転するガルバノミラー24とを主に備えて構成される。
スリットレーザ光4は、ガルバノミラー24の回転により走査される走査方向(図3の矢印Y1により示される方向)に所定の幅を有するとともに、該走査方向に略直交する方向に所定の放射角度θで拡がる平面状の光である。
受光部25は、反射光10が入射される受光光学系26と、受光光学系26の光路上に配置される撮像素子27とを主に備えて構成される。
受光光学系26は、合焦位置の前後に所定の測定奥行を持っており、該測定奥行きに存在する対象物3Aから反射されるスリットレーザ光4の反射光の像3iを撮像素子27に結像する。
撮像素子27は、例えば、SXGA(1280×1024画素)サイズの有効画素数を持つCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOSイメージセンサなどによって構成される撮像素子である。
撮像素子27は、撮像素子27に設けられた各撮像素子にそれぞれ入射する反射光10の強度にそれぞれ応じた画像信号を、三次元化部14(図2)へと供給する。なお、三次元化部14は、例えば、CPUで所定のプログラムを実行することなどによって実現される。
三次元形状の測定動作においては、先ず、投光部21からは、対象物3Aに向けて所定のガルバノ回転角でガルバノミラー24を回転させつつ、順次スリットレーザ光4(4a、4b、および4c)が投光される。
かかる投光は、対象物3Aの全域を走査するように行われる。このときの反射光10は、受光光学系26を介して撮像素子27によって撮像される。
撮像素子27で撮像される画像28は、対象物3Aの立体形状に応じたスリット像5(5a、5b、および5c)を含むものとなり、三次元化部14に供給される。
三次元化部14は、先ず、画像28に基づいてスリットレーザ光4a、4b、および4cの投光角と、撮像素子27の受光エリアにおけるスリット像5a、5b、および5cの位置とを検出する。
次に、三次元化部14は、検出した情報を、投光部21と受光部25間の基線長、および受光光学系26の焦点距離などの既知の三次元化パラメータを用いて三角測量の原理で変換することによって、対象物3Aの三次元形状を三次元測定機2を基準とした所定の三次元座標系で表現した三次元座標データを取得する。
本実施形態に係る情報処理システム100Aにおいては、図1に示されるように三次元測定機2は配置1aおよび1bにおいて第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bをそれぞれ取得し、情報処理装置200Aの取得部16(図2)へと供給する。
また、対象物として、図3では説明を容易にするために円柱体の対象物3Aを例示しているが、実際には、通常、例えば、光沢を有する素材が図1の対象物3に示されたような多重反射を生じやすい形状に成形されたプレス品、金型などが対象物として採用される。
三次元測定機としては、三次元測定機2のようにスリット光を検出光として用いる光切断法を採用するものの他に、例えば、パターン光を検出光として用いたパターン投影法その他の各種検出光を用いた他の測定方法を用いたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、検出光を生成する光源としては、レーザ光源22の他、ハロゲンランプやディスチャージランプなどの各種光源が採用され得る。
また、スリット光としては、ビーム光を一次元走査することによって生ずる見かけ上のスリット光を採用してもよく、また、スリット光に代えてビーム光を採用し、ビーム光が投光される対象物状の各点ごとに三次元測定を行ってもよい。
なお、上述したように、情報処理システム100Aにおいては、第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bは、三次元測定機2に設けられた三次元化部14によって取得されているが、例えば、情報処理装置200Aに設けられた三次元化部14によって取得されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、図1の情報処理システム100Aでは、1台の三次元測定機2が、それぞれ異なる配置1aおよび1bに設置されて対象物3を測定しているが、対象物3への検出光の投光と対象物3の撮像とを行う空間的な位置および姿勢の関係を投光撮像条件として、該投光撮像条件が可変に設定可能な投光撮像系によって、相互に異なる投光撮像条件で第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bがそれぞれ取得できれば、本発明の有用性を損なうものではない。
具体的には、例えば、2台の三次元測定機を配置1aおよび1bにそれぞれ設置して対象物3を測定することにより第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bを取得する構成が採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、予め、対象物3の周囲に多くの投光系および受光系を配置しておき、これらの投光系および受光系の中から、1の投光系および1の受光系からなる投光撮像系と、他の1の投光系および他の1の受光系からなる投光撮像系とをそれぞれ選択して用いたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、1つの投光部を挟んで位置する2つの受光部を有する三次元測定機、または1つの受光部を挟んで位置する2つの投光部を有する三次元測定機などのように、三次元測定機の配置を変更することなく、相互に異なる投光撮像条件を実現可能な構成を備えた三次元測定機が採用されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
◎三次元測定機2の信号処理について:
次に、三次元測定機2が生成する三次元座標データについて説明する。三次元測定機2は、三次元測定方法として、「時間重心法」および「空間重心法」とそれぞれ称される各手法を採用することができる。
○時間重心法について:
図4は、時間重心法による三次元測定における対象物3上の1の点6F2に対応した複数の原三次元座標18aおよび18bの1例を説明する図であり、図5は、図4の複数の原三次元座標18aおよび18bに対応した画像信号40aの1例を説明する図である。
図4に示されるように、スリットレーザ光4dおよび4eは、投光部21から表面3a上の点6F1および6F2にそれぞれ投光され、矢印Y1の方向に走査されている。
なお、図4その他の本願の各図面においては、説明を簡単にするための座標軸が必要に応じて適宜付されている。
スリットレーザ光4dは、時刻t1(図5)に投光部21から投光されて、先ず、点6F1上で反射光10bとして反射され、さらに点6F2上で反射光10cとして反射される。
反射光10cは、受光光学系26によって撮像素子27の所定の受光素子32aを通る線分上に結像されている。
また、スリットレーザ光4eは、時刻t2(図5)に投光部21から投光されて、点6F2上で反射光10aとして反射され、受光光学系26によって受光素子32aを通る線分上に結像されている。
なお、スリットレーザ光4dおよび4eと、反射光10a〜10cとは、Y軸方向に広がった薄板状の形状を有しているが、図4においては説明を簡単にするため、点6F1、6F2、および受光素子32aを通りXZ平面に平行な所定の平面によって対象物3とともに切断されて表示されている。
また、反射光10aおよび10cは、同一の光路を通り重なっているが、図4においては、理解を容易にするために相互にずらして表示している。
このように、受光素子32aには、表面3aで1回だけ反射した反射光10aと、表面3aで多重反射した反射光10cとが入射している。
この場合、スリットレーザ光の走査に応じた受光素子32aが出力する信号の時間的な変動は、受光素子32aにおける時間的な受光分布変動に対応しており、例えば、図5に例示される画像信号40aとなる。
図5では、画像信号40aは、各時刻tと、各時刻tにおいて受光素子32aがそれぞれ出力する信号の各信号値とがそれぞれ対応づけられて表示されている。図5に示されるように、画像信号40aは、反射光10cが受光素子32aに入射する時刻t1と、反射光10aが受光素子32aに入射する時刻t2とにおいて所定の閾値よりも大きなピーク値をそれぞれ示している。
三次元化部14(図2)は、例えば、画像信号40aのピーク部分に対して重心演算などを行うことによって、時間軸t1およびt2を特定することができる。
特定された時刻t1およびt2と、スリットレーザ光の走査の角速度などによって、スリットレーザ光4dおよび4eの三次元測定機2を基準とした所定の三次元座標系(「測定機座標系」とも称する)における平面方程式が特定される。また、仮想スリットレーザ光17a(図4)は、スリットレーザ光4dが延長された仮想のスリットレーザ光である。
受光素子32aを通るカメラ視線45aは、反射光10aおよび10cと同一光路のカメラ視線であり、受光光学系26の主点等の光学中心を経て、点6F2を通り、点6F3において仮想スリットレーザ光17aと交差する。
また、カメラ視線45aの測定機座標系における直線方程式は、受光素子32aの撮像素子27上での画素座標と、受光光学系26の光学中心の位置情報とから特定することができる。
三次元化部14は、特定されたスリットレーザ光4eの平面方程式と、カメラ視線45aの直線方程式とに基づいて、スリットレーザ光4eと、カメラ視線45aとの交点である表面3a上の点6F2の三次元座標を原三次元座標18aとして取得する。なお、原三次元座標18aは、測定機座標系で表現されている。
また、三次元化部14は、同様にして、仮想スリットレーザ光17aとカメラ視線45aとの交点である対象物3の内部の点6F3についての原三次元座標18bを取得する。
なお、画像信号40aにおいて、所定の閾値を超える信号値のピーク値が例えば1つしか求められなかった場合には、1つの原三次元座標のみが取得される。また、図4および図5を用いて説明した上述の手法は、「時間重心法」とも称される。
○空間重心法について:
図6は、空間重心法による三次元測定における対象物3上の1の点6G1に対応した複数の原三次元座標18cおよび18dの1例を説明する図であり、図7は、図6の複数の原三次元座標18cおよび18dに対応した画像信号40bの1例を説明する図である。
図6に示されるように、スリットレーザ光4fは、投光部21から表面3a上の点6G1に所定の投射角度で投光されている。また、スリットレーザ光4gは、スリットレーザ光4fと同一のスリットレーザ光を説明の便宜上、別名として表示したものである。
スリットレーザ光4fは、投光部21から投光されて、点6G1を通るY軸方向の線分上で反射光10dとして反射され、受光光学系26によって受光素子32cを通るY軸方向の線分上に結像されている。
また、スリットレーザ光4gは、投光部21から投光されて、先ず、点6G1を通るY軸方向の線分上で反射光10eとして反射され、さらに表面3a上の点6G2を通るY軸方向の線分上で反射光10fとして反射される。
反射光10fは、受光光学系26によって撮像素子27の受光素子32bを通るY軸方向の線分上に結像されている。
なお、スリットレーザ光4f(4g)と、反射光10d〜10fとは、Y軸方向に広がった薄板状の形状を有しているが、図4での表示と同様に、点6G1、点6G2、および受光素子32bおよび32cを通りXZ平面に平行な所定の平面によって対象物3とともに切断されて表示されている。
このように、受光素子32cには、表面3aで1回だけ反射した反射光10dが入射し、受光素子32bには、表面3aで多重反射した反射光10fが入射している。
この場合、受光素子32bおよび32cを結ぶ撮像素子27上の線分41上の複数の受光素子にわたる出力信号は、線分41上の空間的な受光分布状態に対応しており、例えば、図7に例示される画像信号40bとなる。
図7においては、画像信号40bは、線分41上の複数の各受光素子の画素座標に、各受光素子が出力する信号の各信号値がそれぞれ対応づけられて示されている。
画像信号40bは、受光素子32bの画素座標33bと、受光素子32cの画素座標33cとにおいてそれぞれ所定の閾値よりも大きなピーク値を示している。
三次元化部14(図2)は、例えば、画像信号40bのピーク部分に対して重心演算などを行うことによって、画素座標33bおよび33cを特定することができる。
スリットレーザ光4f(4g)は、所定の投射角度で投光されており、スリットレーザ光4f(4g)の測定機座標系における平面方程式は該投射角度によって特定される。
また、仮想スリットレーザ光17b(図6)は、スリットレーザ光4gが延長された仮想のスリットレーザ光である。
受光素子32bを通るカメラ視線45bは、反射光10fと同一光路のカメラ視線であり、受光光学系26の主点等の光学中心を経て、表面3a上の点6G2を通り、対象物3の内部の点6G3において仮想スリットレーザ光17bと交差する。
また、受光素子32cを通るカメラ視線45cは、反射光10dと同一光路のカメラ視線であり、受光光学系26の主点等の光学中心を経て、表面3a上の点6G1においてスリットレーザ光4fと交差する。
また、カメラ視線45bおよび45cの測定機座標系における直線方程式は、画素座標33bおよび33cと、受光光学系26の光学中心の位置情報とから特定することができる。
三次元化部14は、特定されたスリットレーザ光4fの平面方程式と、カメラ視線45cの直線方程式とに基づいて、スリットレーザ光4fと、カメラ視線45cとの交点である表面3a上の点6G1の三次元座標を原三次元座標18cとして取得する。なお、原三次元座標18cは、測定機座標系で表現されている。
また、三次元化部14は、同様にして、仮想スリットレーザ光17bとカメラ視線45bとの交点である対象物3の内部の点6G3についての原三次元座標18dを取得する。
なお、画像信号40bにおいて、所定の閾値を超える信号値のピーク値が例えば1つしか求められなかった場合には、1つの原三次元座標のみが取得される。また、図6および図7を用いて説明した上述の手法は、「時間重心法」とも称される。
また、図8は、空間重心法による三次元測定における画像信号40cの信号ノイズの1例を説明する図である。
図8に示されるように、画像信号40cは、スリットレーザ光が表面3aで1回反射して入射した受光素子の画素座標33eにおいて所定の閾値以上のピーク値を示すとともに、所定の画素に対応した画素座標33dにおいて所定の閾値以上のピーク値を示す。
画素座標33dに対する画像信号40cのピークは、撮像素子27またはその後段の信号処理過程などにおける各種ノイズによって生じたものである。
このように空間重心法における所定の閾値を超えるノイズを含んだ画像信号40cに対しては、画像信号40bと同様に、対象物3の表面3a上の1の点に対して、通常、複数の原三次元座標が取得される。
また、時間重心法における画像信号においても、ノイズによる信号のピーク値が所定の閾値を超える場合などには、対象物3の表面3a上の1の点に対して、通常、複数の原三次元座標が取得される。
なお、図4〜図8に示される例では、対象物3の表面3a上の所定部分における1の点に対応する候補座標は2つであるが、40aなどの画像信号においてピークの信号レベルが所定閾値を超える部分が3以上あることに起因して、1の点に対応する候補座標が3以上であったとしても本発明の有用性を損なうものではない。
従って、既述したように、対象物3の表面3a上の所定部分における1の点に対応する候補座標は1つのみである場合もあることから、対象物3の表面3a上の所定部分における1の点には、1以上の候補座標が対応することとなる。また、該所定部分における1の点に対応する複数の候補座標は、通常、1つの実座標と、他の非実座標とによって構成される。
なお、三次元測定機2は、配置1aで撮像した対象物3の表面3aの所定部分の各点の撮像結果に対して、上述した時間重心法または空間重心法を適用することによって、原三次元座標の集合である第1原座標データ29aを取得する。
同様に、三次元測定機2は、配置1bで撮像した表面3aの所定部分の各点の撮像結果に対して、上述した時間重心法または空間重心法を適用することによって、原三次元座標の集合である第2原座標データ29bを取得する。
従って、第1原座標データ29aは、該所定部分の複数の点のそれぞれについて、1以上の原三次元座標によって表現されており、および第2原座標データ29bも、該所定部分の複数の点のそれぞれについて、1以上の原三次元座標によって表現されている。
◎情報処理装置200Aの構成について:
次に、情報処理装置200Aの構成について説明する。
図2に示されるように、情報処理装置200Aは、取得部16、判別部12、記憶部13、各種外部装置との不図示の入出力インタフェース、および該インタフェースを介して三次元測定機2の動作を制御する不図示の制御部などを主に備えて構成されている。
○記憶部13について:
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびハードディスク装置などによって構成される。
記憶部13は、取得部16および判別部12などが実行するプログラムおよび制御情報などを記憶するとともに、取得部16および判別部12などのワークメモリとしても機能する。
また、記憶部13には、三次元測定機2が配置される配置1aおよび1b間の既知の幾何学的な関係に基づいて、第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bを所定の共通した三次元座標系にそれぞれ座標変換するための座標変換情報36が記憶されている。
また、記憶部13には、実座標と非実座標とを判別するための判別プログラム37も記憶されており、判別プログラム37は、判別部12が採用する判別手法に応じて適宜切り替えられる。
○取得部16について:
取得部16は、配置1aおよび1bのそれぞれにおける三次元測定機2からそれぞれ供給される第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bを、第1座標データ30aおよび第2座標データ30bに変換して判別部12へと供給する。
取得部16は、座標変換部11(図2)を主に備えて構成されており、該変換は、座標変換部11が、記憶部13に記憶された座標変換情報36を用いて、第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bのそれぞれの全部または一部の座標を座標変換することによって行われる。
従って、第1座標データ30aと、第2座標データ30bとは、配置1aにおける三次元測定機2、すなわち第1の投光撮像条件の三次元測定機2と、配置1bにおける三次元測定機2、すなわち第2の投光撮像条件との既知の幾何学的な関係に基づいて、所定の三次元座標系で表現されている。
また、第1座標データ30aは、第1原座標データ29aにおけるそれぞれの原三次元座標が座標変換されているので、第1座標データ30aは、対象物3の表面3aの所定部分における複数の点のそれぞれについて、1以上の三次元座標(「第1候補座標」とも称する)によって表現されている。
同様に、第2座標データ30bは、対象物3の表面3aの所定部分における複数の点のそれぞれについて、1以上の三次元座標(「第2候補座標」とも称する)によって表現されている。
○判別部12について:
判別部12は、記憶部13に記憶された判別プログラム37を実行することによって第1座標データ30aと第2座標データ30bとの各座標が、対象物3の表面3aにおける所定部分の実際の三次元形状を表現した実座標であるか、該実座標以外の非実座標であるかを判別する。
判別プログラム37は、第1座標データ30aと、第2座標データ30bとの空間配置関係の一致度に基づいて、判別部12が該判別処理を行うためのプログラムである。
なお、本願において「空間配置関係」とは、空間的な位置関係および空間的な姿勢関係のうち少なくとも一方の関係を意味する。
なお、図2に示される取得部16および判別部12などは、例えば、記憶部13に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することによって実現されるが、これらの機能部が、例えば、専用のハードウェア回路によって実現されたとしても本発明の有用性を損なうものではない。
<B.情報処理システム100Aの動作ついて:>
以下に、情報処理システム100Aに係る動作フローを用いて、適宜説明のための図面を参照しつつ、情報処理システム100Aの動作について詳しく説明する。
ここでは、先ず、対象物3の表面3aにおける所定部分の1の点に対応した複数の第1候補座標ごと、または個々の第1候補座標6aごとに実座標と非実座標との判別を行うことによって、第1実座標データ31aを生成する生成処理A(図15のステップS14A)の動作フローについて説明する。
図15は、実施形態に係る情報処理システム100Aの動作フローの1例を示す図である。また、図16は、図15の第1実座標データ31aの生成処理A(ステップS14A)の動作フローの1例を示す図である。
また、図17は、図16の処理1(ステップS22)の動作フローの1例を示す図であり、図18は、図17の処理2(ステップS32)の動作フローの1例を示す図である。また、図19は、図17の処理3(ステップS33)の動作フローの1例を示す図である。
情報処理システム100Aの動作においては、先ず、図15に示されるように、三次元測定機2は、配置1a(図1)において対象物3の表面3aにおける所定部分の三次元形状を測定し、第1原座標データ29a(図1、図2)を取得する(ステップS11)。
また、三次元測定機2は、配置1b(図1)に配置され、対象物3の表面3aにおける所定部分の三次元形状を測定し、第2原座標データ29b(図1、図2)を取得する(ステップS12)。
取得された第1原座標データ29aおよび第1原座標データ29aは、情報処理装置200Aの取得部16へと供給される。
取得部16の座標変換部11は、記憶部13に記憶された座標変換情報36を用いて第1原座標データ29aと第2原座標データ29bとを所定の三次元座標系で表現された第1座標データ30aと第2座標データ30bとにそれぞれ座標変換する(ステップS13)。
図9および図10は、ステップS13で生成された第1座標データ30aおよび第2座標データ30bのそれぞれの1例を示す模式図であり、図面に示された各種構成等のサイズ、形状等は、模式的なものである。
なお、第1座標データ30aおよび第2座標データ30bは、後述する図11に示されるように相互に重複して存在するが、図9と図10とでは、説明を容易にするために、第1座標データ30aと第2座標データ30bとを異なる図面に分けて表示している。
図9に示されるように配置1aに配置された三次元測定機2は、対象物3の表面3aのうち受光部25の撮影画角34aに内包される所定領域について三次元測定を行っており、得られた第1原座標データ29a(図1、図2)は、座標変換部11によって、第1座標データ30a(図2)へと座標変換されている。
図9の例では、第1座標データ30aは、図中上部の各点についての第1候補座標6a〜6eと、図中下部の各点についての第1候補座標7a〜7eによって構成されている。また、第1候補座標6a〜6eは、第1候補座標7a〜7eにそれぞれ対応しており、該対応毎に表面3a上の1の点に対応して、2つの第1候補座標を構成している。
同様に、図10に示された三次元測定機2は、配置1bに配置されており、対象物3の表面3aのうち受光部25の撮影画角34bに内包される所定領域について三次元測定を行っている。該測定によって得られた第2原座標データ29b(図1、図2)は、座標変換部11によって、第2座標データ30b(図2)へと座標変換されている。
図10の例では、第2座標データ30bは、図中上部の各点についての第2候補座標8a〜8eと、図中下部の各点についての第2候補座標9a〜9eによって構成されている。また、第2候補座標8a〜8eは、第2候補座標9a〜9eにそれぞれ対応しており、該対応毎に表面3a上の1の点に対応して、2つの第2候補座標を構成している。
図9および図10において、第1候補座標6a〜6eと、第2候補座標8a〜8eとは、実座標であり、第1候補座標7a〜7eと、第2候補座標9a〜9eとは、非実座標である。
ここで、例えば、三次元測定機2が対象物3に対して複数の異なる投光撮像条件から対象物3の測定を行う場合には、1の投光撮像条件での撮像における複数の非実座標の分布と、他の投光撮像条件での撮像から得られた複数の非実座標の分布とは、通常、異なったものとなる。
一方、配置1aについての実座標である第1候補座標6a〜6eの分布と、配置1bについての実座標である第2候補座標8a〜8eの分布とは、配置1aと1bとの差異に関わらず、略一致した分布となる。
従って、第1座標データ30aと、第2座標データ30bとの空間配置関係の一致度(類似性、整合性)に基づいて、第1座標データ30aの各第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかを判別することができる。同様に、第2座標データ30bの各第2候補座標が実座標であるか、非実座標であるかを判別することもできる。
また、図9においては、第1候補座標6a〜6eがグループ42aに、第1候補座標7a〜7eがグループ42bに、第1候補座標6a〜6cがグループ42cに、第1候補座標6d〜6eがグループ42dに、それぞれ各座標群の空間的分布状態に基づいてグループ分けされている。これらのグループ分けは、後述するグループ単位での実座標と、非実座標との判別のために行われている。
なお、第1座標データ30aと第2座標データ30bとは、第1原座標データ29aおよび第2原座標データ29bの全データを座標変換して生成されるだけでなく、一部のデータのみを座標変換することによって生成されたとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
図15の動作フローに戻って、第1座標データ30aと第2座標データ30bとが取得されると、判別部12によって第1実座標データ31aの生成処理Aが開始され(ステップS14A)、処理は、図16のステップS21に移される。
なお、図15に示されるステップS14Aは、例えば、図9に示される第1候補座標6aのように各第1候補座標単独での実座標であるか非実座標であるかの判別処理、または、第1候補座標6aおよび7aのように、対象物上の1の点に対応した複数の第1候補座標ごとでの該判別処理による第1実座標データ31aの生成処理に係る処理フローである。
また、図15に示されるステップS14Bは、例えば、図9に示されたグループ42a〜42dなどの各グループ単位での実座標であるか非実座標であるかの判別処理による第1実座標データ31aの生成処理に係る処理フローである。
ステップS14Aと、ステップS14Bとは、それぞれ異なる判別プログラム37を判別部12が実行することによって行われ、何れの処理ステップが実行されるかは、例えば、不図示の操作部から情報処理システム100Aの操作者が行う設定などによって決定される。
図16のステップS21において、判別部12は、第1座標データ30aのうち対象物3の所定部分の1の点に対応した1以上の第1候補座標を選択する。
なお、該選択は、例えば、第1原座標データ29aが時間重心法によって生成される場合には、撮像素子27の各受光素子と、各受光素子についての画像信号40a(図4)上の各ピークの時刻についての原三次元座標のそれぞれとを対応づけて記憶部13に記憶しておくことなどによって容易に行うことができる。
また、第1原座標データ29aが空間重心法によって生成される場合には、該選択は、スリット光の投射角度と、線分41(図6)に相当する各線分との組み合わせ毎に、該組み合わせと、画像信号40b上の各ピーク値を与える画素座標についての原三次元座標のそれぞれとを対応づけて記憶部13に記憶しておくことなどによって容易に行うことができる。
○処理1について:
次に、判別部12は、選択した1以上の第1候補座標の各座標が、実座標であるか、非実座標であるかを判別する処理1を開始する(ステップS22)。処理1が開始されると、処理は、図17のステップS31に移され、判別部12は、選択した第1候補座標の個数が1つであるか否かを判定する。
ステップS31での判定の結果、第1候補座標の個数が1つであれば、判別部12は、選択した1つの第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかの判別する処理2を開始し(ステップS32)、処理は、図18のステップS41に移される。
また、ステップS31での判定の結果、第1候補座標の個数が複数であれば、判別部12は、選択した複数の第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかの判別する処理3を開始し(ステップS33)、処理は、図19のステップS51に移される。
ここで、図11および図12は、対象物の1の点に対応した複数の第1候補座標についての判別手法(すなわち、処理3)の1例をそれぞれ説明する模式図である。また、図11および図12は、処理2の説明においても参照される。
○処理2について:
先ず、処理2について図18の動作フローを、図11を適宜参照しつつ説明する。
処理が図18のステップS41に移されると、判別部12は、選択した1つの第1候補座標から所定の距離範囲内に第2候補座標が存在する否かを判定する。
図11は、図9に示された複数の第1候補座標6a〜6eおよび7a〜7eと、図10に示された第2候補座標8a〜8eおよび9a〜9eとが、1つの図に示されている。
なお、図11において、視認性を高めるために、第1候補座標6a〜6eは表面3aの+Z側に位置し、第2候補座標8a〜8eは表面3aの−Z側に位置するように表示されているが、実際には、それぞれ表面3a上に位置している。
図11において、球43aは、第1候補座標6aを中心とする所定の半径を有する球であり、球43aには、第2候補座標8aが内包されている。また、球43bは、第1候補座標7aを中心とする所定の半径を有する球であり、球43bには、何れの第2候補座標も内包されていない。
従って、選択された1つの第1候補座標と、各第2候補座標との空間的距離(単に、「距離」とも称する)に基づいて、該第1候補座標と各第2候補座標とについての空間配置関係の一致度を求めることによって、判別部12は、該第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかを判別することができる。
すなわち、判別部12は、選択した第1候補座標から所定の距離範囲に第2候補座標が存在すれば、選択した第1候補座標が実座標であると判別する(ステップS42)。
また、判別部12は、選択した第1候補座標から所定の距離範囲に第2候補座標が存在しなければ、選択した第1候補座標が非実座標であると判別する(ステップS43)。
また、例えば、第1候補座標を中心とする所定の半径の球に内包された第2候補座標の個数の多少、または密度の大小などに基づいて第1候補座標と各第2候補座標とについての空間配置関係の一致度を評価することにより該判別を行う判別手法を採用したとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、該判別手法として、判別部12は、例えば、図12を参照して後述する手法などを採用することができる。ここで、図12における各第1候補座標と、各第2候補座標とは、図11に示された候補座標と同一である。従って、第2候補座標8bは、第1候補座標6bの近傍の座標であり、また、第2候補座標9dは、第1候補座標7bの近傍の座標である。
図12においては、法線44aは、第1候補座標6bとその近傍の複数の第1候補座標とによって定められる平面の法線であり、第1候補座標6bとその近傍の複数の第1候補座標との空間的な分布の傾きを表現する。
また、法線44b〜44dは、第2候補座標8b、第1候補座標7b、および第2候補座標9dに対して法線44aと同様にそれぞれ定められる法線である。
図12に示されるように、法線44aおよび44bの向きは、ほぼ同じであり、法線44cおよび44dの向きは、大きく異なっている。従って、これらの法線間の向き差異を所定の閾値を用いて評価することによって第1座標データの注目データと、前記第2座標データの対応データとの空間配置関係の一致度を判定することができる。
判別部12は、先ず、判別対象の1つの第1候補座標における第1座標データ30aが表現する三次元形状の面の向きと、各第2候補座標とにおける第2座標データ30bが表現する三次元形状の面の向きとを求める。
次に、判別部12は、求めた各法線に基づいて、該第1候補座標と各第2候補座標とについての空間配置関係の一致度を求めることによって、該第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかを判別することができる。
このように、図12を参照して上述した判別手法においては、注目した第1候補座標と、該第1候補座標に対して近傍にある第2候補座標とについての所定の法線方向に基づいて、すなわち、空間的な位置関係と空間的な姿勢関係との両方を評価している。
ここで、実座標についての該所定の法線方向と、非実座標についての該所定の法線方向とは、通常、異なったものとなるので、第1候補座標と第2候補座標とについての法線方向のみ、すなわち、空間的な姿勢関係のみに基づいて空間配置関係の一致度を判定したとしても、通常、実座標と非実座標とを適切に判別できるので、本発明の有用性を損なうものではない。
選択した1の第1候補座標についての判別(処理2)が終了すると、処理は、図17の動作フローに戻されて処理1が終了され、処理は、さらに図16のステップS23へと戻される。
○処理3について:
次に、処理3について図19の動作フローを説明する。
処理が図19のステップS51に移されると、判別部12は、選択した複数の第1候補座標のうち1つの候補座標を選択する。
次に、判別部12は、図18のステップS41と同様にして、選択した1つの第1候補座標から所定の距離範囲内に、第2候補座標が存在するか否かを判定する(ステップS52)。
ステップS52での判定の結果、選択した1つの第1候補座標から所定の距離範囲内に第2候補座標が存在していれば、判別部12は、選択した第1候補座標が実座標であると仮判別して該第2候補座標の個数を計数し(ステップS53)、処理をステップS54に移す。
ステップS52での判定の結果、選択した1つの第1候補座標から所定の距離範囲内に第2候補座標が存在していなければ、判別部12は、直ちに処理をステップS54に移す。
ステップS54においては、判別部12は、複数の第1候補座標の全てについて、ステップS52での判定が終了しているかどうかを判定し(ステップS54)、終了していれば処理をステップS56へと移し、終了していなければ、処理をステップS55に移す。
ステップS55においては、判別部12は、複数の第1候補座標のうち他の1の候補座標を選択し、ステップS52〜S54の処理を、繰り返す。
処理がステップS56に移されると、判別部12は、実座標であると仮判別された第1候補座標のうち、計数された第2候補座標の個数が最も多いものを実座標であると判別し、他の第1候補座標を非実座標であると判別する。
ここで、処理3について、図11を用いて具体的に説明する。
図11においてカメラ視線45dは、撮像素子27の所定の受光素子についてのカメラ視線であり、第1候補座標6aと第1候補座標7aとは、対象物3の所定部分の1の点に対応する複数の第1候補座標である。
既述したように図11の第1候補座標6aを中心とした所定半径をもつ球43a内には、第2候補座標8aが内包され、第1候補座標7aを中心とした該所定半径をもつ球43b内には、何れの第2候補座標も内包されていない。
従って、第1候補座標6aと第1候補座標7aとを図16のステップS21において選択された1以上の第1候補座標として、処理3を適用すると、ステップS56の開始時では、第1候補座標6aは、実座標であると仮判別され、第1候補座標7aは、非実座標であると仮判別されている。
そして、第1候補座標6aから所定の距離範囲にある第2候補座標としては、第2候補座標8aが1個の第2候補座標として計数されている。
従って、ステップS56において、判別部12は、所定部分の1の点に対応した複数の第1候補座標のうち、実座標であると仮判別された第1候補座標6aを実座標であると判別し、第1候補座標6a以外の第1候補座標7aを非実座標であると排他的に判別する。
また、同様に、図12に示された第1、第2候補座標における近傍候補座標の三次元形状の面の向きを用いる手法も、処理3に適用され得る。
図12においてカメラ視線45eは、撮像素子27の所定の受光素子についてのカメラ視線であり、第1候補座標6bと第1候補座標7bとは、対象物3の所定部分の1の点に対応する複数の第1候補座標である。また、第2候補座標8bおよび9dは、第1候補座標6bおよび7bの近傍の第2候補座標である。
従って、第1候補座標6bと第2候補座標8bとについての法線44aおよび44b間の向きの異同、および第1候補座標7bと第2候補座標9dとについての法線44cおよび44d間の向きの異同を判定し、該判定結果に基づいて、第1候補座標6bおよび7b間での排他的な実座標の判別を行うことができる。
前述した処理2のように、対象物3の所定部分の複数の第1候補座標のうち、1つの第1候補座標を選択し、選択された第1候補座標ごとに、該第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかを判別したとしても、本発明の有用性を損なうものではない。
既述したように、対象物3の所定部分の1の点に対応する複数の第1候補座標は、通常、1つの実座標と、他の非実座標とによって構成される。
このため、処理3のように、対象物3の所定部分の1の点に対応する複数の第1候補座標を判別対象として、その1つの第1候補座標のみを実座標として判別し、他の第1候補座標をすべて非実座標であると判別すれば、例えば、非実座標が実座標であるなどと誤判別される可能性を処理2よりもさらに低減することができる。
図19に戻って、処理3のステップS56の処理が終了すると、処理は、図17の動作フローに戻されて処理1が終了され、処理は、さらに図16のステップS23へと戻される。
図16のステップS23に処理が戻されると、判別部12は、対象物3の表面3aの所定部分の全ての点についてステップS22の処理1が終了したか否かを判定する。
ステップS23での判定の結果、該所定部分の全ての点について処理が終了していなければ、判別部12は、該所定部分の他の1の点に対応した複数の第1候補座標を選択し(ステップS24)、処理をステップS22に戻して、新たに処理1を行う。
また、ステップS23での該判定の結果、該所定部分の全ての点について処理が終了していれば、該所定部分に係る全ての第1候補座標のうち全ての実座標から構成された第1実座標データ31a(図2)の生成処理Aが終了しているので、判別部12は、処理を図15のステップS15に戻す。
処理が図15のステップS15に戻されると、判別部12は、生成された第1実座標データ31aを記憶部13に記憶して図15の動作フローを終了する。
以上に図15〜図19を用いて、第1実座標データ31aの生成処理Aについて説明したが、情報処理装置200Aは、同様の処理によって第2実座標データ31b(図2)の生成および記憶をも行う。
次に、対象物3の表面3aにおける所定部分に対応した全ての第1候補座標を所定の基準に基づいて複数のグループに分割し、各グループに属する全ての第1候補座標が実座標であるか非実座標であるかを判別することによって、第1実座標データ31aを生成する生成処理B(図15のステップS14B)の動作フローについて説明する。
図15は、実施形態に係る情報処理システム100Aの動作フローの1例を示す図である。また、図20は、図15の第1実座標データ31aの生成処理B(ステップS14B)の動作フローの1例を示す図である。
また、図21は、図20の処理4(ステップS63)の動作フローの1例を示す図であり、図18は、図21の処理5(ステップS72)の動作フローの1例を示す図である。また、図22は、図21の処理6(ステップS75)の動作フローの1例を示す図である。
第1実座標データ31aの生成処理Bに係る図15の動作フローにおいて、ステップS11〜S13の動作フローは、前述した生成処理Aに動作フローと同一であるので、ステップS11〜S13については説明を省略する。
ステップS13において、取得部16の座標変換部11が、第1座標データ30aと、第2座標データ30bとを生成すると、判別部12は、第1実座標データ31aの生成処理Bを開始し(ステップS14B)、処理を図20のステップS61に移す。図20の動作フローにおいて、判別部12は、先ず、第1座標データ30aを複数のグループに分割する(ステップS61)。
グループ分けの対象となる第1座標データ30aは、表面3aの所定部分の複数の点について、各点にそれぞれ1以上の第1候補座標が対応しており、第1座標データ30aは、例えば、図9の説明において既述したグループ42aおよび42bなどのように複数のグループに分割される。
グループ分けの手法としては、例えば、図9におけるZ座標軸の所定の基準Z座標に対する各第1候補座標のZ座標の大小関係に基づいてグループ分けする手法、各第1候補座標の三次元空間における分布の連続性に基づいてグループ分けする手法、または各第1候補座標の図12に示された法線方向の連続性に基づいてグループ分けする手法などが採用されうる。
また、これらグループ分け手法のうちの2以上の手法を併用してグループ分けする手法なども採用され得る。すなわち、判別部12は、第1座標データ30aの空間的分布状態に基づいた各種手法によって、第1座標データ30aを複数のグループに分割する。
該併用する手法によれば、例えば、図9に示された第1候補座標6a〜6eと、第1候補座標7a〜7eとが交差するような場合であっても、第1候補座標6a〜6eと、第1候補座標7a〜7eとを異なるグループとして識別し分割することができる。
ここで、図13は、複数の第1候補座標からなる各グループ単位で実座標であるか非実座標であるかを判別する手法の1例を説明する模式図である。以下では、図13を具体例として適宜参照しつつ、判別処理Bに係る情報処理システム100Aの動作フローを説明する。
ステップS61においてグループ分けが終了すると、判別部12は、分割された複数のグループのうち1のグループを選択する(ステップS62)。図13に示される例では、第1候補座標7a〜7eによって構成されたグループ42bが選択されている。
ステップS62において、1のグループが選択されると、判別部12は、選択したグループを構成する1以上の第1候補座標が、全て実座標であるか、非実座標であるかを判別する処理(処理4)を開始し(ステップS63)、処理を図21のステップS71に移す。
○処理4について:
処理4が開始されると、判別部12は、選択したグループのうち1つの第1候補座標を選択する(ステップS71)。図13の例では、第1候補座標7b(または7d)が選択されている。
次に、判別部12は、選択した第1候補座標が実座標であるか、非実座標であるかを仮判別する処理5を開始し(ステップS72)、処理を図18の動作フローに記載された処理へと移す。
○処理5について:
図18に示された処理5の動作フローは、一部の処理を除いて第1実座標データ31aの生成処理Aにおける図18に示された処理2と同様の処理であるので、処理5の動作フローについては、以下に簡単に説明する。
処理5が開始されると判別部12は、選択した第1候補座標から所定の距離範囲内に第2候補座標が存在するか否かを判定する(ステップS41)。
該判定の結果、選択した第1候補座標から所定の距離範囲内に第2候補座標が存在すれば、判別部12は、選択した第1候補座標が実座標であると仮判別し(ステップS42B)、処理5を終了して処理を図21のステップS73に移す。
また、該判定の結果、選択した第1候補座標から所定の距離範囲内に第2候補座標が存在しなければ、判別部12は、選択した第1候補座標が非実座標であると仮判別し(ステップS43B)、処理5を終了して処理を図21のステップS73に移す。
図13に示された例では、球43cおよび43dは第1候補座標7bおよび7dをそれぞれ中心とする所定半径の球であり、球43cには、第2候補座標9dが内包されており、球43dには、第2候補座標は内包されていない。
従って、ステップS71において第1候補座標7bが選択された場合には、第1候補座標7bは実座標であると仮判別され、第1候補座標7dが選択された場合には、第1候補座標7dは、非実座標であると仮判別される。
処理5が終了されて、処理が図21のステップS73に戻されると、判別部12は、選択したグループ内の全ての第1候補座標について、ステップS72の処理が終了したか否かを判定する。
ステップS73での判定の結果、グループ内の全ての第1候補座標についてステップS72の処理が終了していなければ、判別部12は、選択したグループの他の第1候補座標を選択し(ステップS74)、処理をステップS72に戻して処理5を繰り返す。
また、ステップS73での判定の結果、グループ内の全ての第1候補座標についてステップS72の処理が終了していれば、判別部12は、選択したグループの第1候補座標の全てが、実座標であるか、非実座標であるかを一括して判別する処理6を開始し(ステップS75)、処理を図22のステップS81に移す。
図22のステップS81において、判別部12は、選択したグループ内の全ての第1候補座標のうち、図18のステップS43において非実座標であると仮判別された第1候補座標が1以上存在するか否かを判定する。
ステップS81での判定の結果、非実座標であると仮判別された第1候補座標が1以上存在すれば、判別部12は、選択したグループ内の全ての第1候補座標を一括して非実座標であると判別する(ステップS82)。
ステップS81での判定の結果、非実座標であると仮判別された第1候補座標が1つも存在しなければ、判別部12は、選択したグループ内の全ての第1候補座標を一括して実座標であると判別する(ステップS83)。
図13の例に処理6が適用されると、グループ42b内の各第1候補座標のうち第1候補座標7dは、非実座標であると仮判別されるので、グループ42b内の全ての第1候補座標7a〜7eは、一括して非実座標であると判定される。
なお、グループ42b内の各第1候補座標のうち、例えば、第1候補座標7bは、実際は非実座標であるにもかかわらず実座標であると仮判別されるが、処理6を適用してグループ全体として一括した判別処理を行うことによって、このような誤判別を防止することができる。
処理6の適用において、図22の動作フローでは、非実座標と判別された第1候補座標が1以上あればグループ全体として非実座標であると一括判別しているが、情報処理システム100Aが生成する三次元座標データへの要求仕様によっては、例えば、実座標であると判別された第1候補座標が1以上あればグループ全体として実座標であると一括判別したとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、グループ内の各第1候補座標のうち、実座標であると仮判別されたものと、非実座標であると仮判別されたものとの個数をそれぞれ計数し、多数決の手法によって、グループ全体が実座標であるか、または非実座標であるかを判別したとしても本発明の有用性を損なうものではない。
また、図12に示された法線角度の一致度を用いて、個々の第1候補座標についての仮判別(処理5)と、グループ全体として一括判別(処理6)とを行ったとしても本発明の有用性を損なうものではない。
ステップS82またはS83の処理が終了すると、判別部12は、処理6を終了して処理を図21の処理4に戻し、さらに処理4を終了して処理を図20のステップS64へと移す。
図20のステップS64において、判別部12は、第1座標データ30aに設定された全てのグループについてステップS63の処理が終了したか否かを判定する。
ステップS64での判定の結果、全てのグループについてステップS63の処理が終了していなければ、判別部12は、第1座標データ30aに設定された複数のグループのうち他の1のグループを選択し(ステップS65)、処理をステップS63に戻して処理4を再度行う。
ステップS64での判定の結果、全てのグループについてステップS63の処理が終了していれば第1座標データ30aについての第1実座標データ31a(図2)の生成処理Bが終了しているので、判別部12は、生成処理Bを終了し、処理を図15のステップS15に戻す。
図15のステップS15において、判別部12は、生成した第1実座標データ31aを記憶部13に記憶して図15の動作フローを終了する。
以上に、図15、および図20〜図22を用いて、第1実座標データ31aの生成処理Bについて説明してきたが、情報処理装置200Aは、同様の処理によって第2実座標データ31b(図2)の生成および記憶をも行う。
上述したように、情報処理システム100Aによれば、配置1aおよび1bというそれぞれ異なる投光撮像条件で取得された対象物3の所定部分の撮像結果から特定され、該異なる投光撮像条件間の既知の幾何学的な関係に基づいて所定の三次元座標系で表現された第1座標データ30aと、第2座標データ30bとの空間配置関係の一致度に基づいて、第1座標データ30aのうち対象物3の実際の三次元形状を表現した実座標と、該実座標以外の非実座標とが判別される。
従って、三次元形状の生成に用いられる撮像素子27の出力信号にスリットレーザ光4などの検出光の多重反射などに起因したノイズ成分が含まれている場合であっても、三次元形状の測定精度の悪化を抑制することができる。
<変形例について:>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
図14は、実座標と非実座標との判別手法の他の手法の例を説明する模式図である。
図14において、第1候補座標6a〜6e、および第1候補座標7a〜7eは、図9と同様の不図示の配置1bに配置された三次元測定機2が、検出光が投光された対象物3の表面3aの所定部分を撮像した撮像結果に基づいて生成された第1候補座標である。
また、第2候補座標8a〜8eは、配置1bに配置された三次元測定機2が、対象物3の表面3aを撮像した撮像結果に基づいて生成された第2候補座標である。また、図14に示される近似面46は、第2候補座標8a〜8eが表す形状に略フィットするように算出された近似面である。
判別部12は、例えば、近似面46に対して所定の距離範囲内に存在する第1候補座標6a〜6eを実座標であると判定し、該所定の距離範囲内に存在しない第1候補座標7a〜7eを非実座標であると判別することによって、第1実座標データ31aを生成することができる。
また、判別部12は、第1候補座標7a〜7eが、三次元測定機2に対して近似面46よりも遠方にあるため、三次元測定機2からは第1候補座標7a〜7eが測定され得ないことに基づいて、第1候補座標7a〜7eを非実座標であると判定してもよい。