JP2011257144A - 触覚センシング方法 - Google Patents

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【課題】人の指荷重のかかり具合から対象物との接触状態の評価を官能的な評価も含めて行うことが可能な触覚センシング方法を提供する。
【解決手段】指の爪甲N2の上に装着され、指腹F1に向けて超音波を発信する超音波探触子1を備え、対象物に対して指腹F1を接触させたときに、指腹F1からの反射波を受信するステップと、受信された反射波の周波数及び/又は位相から指荷重の大きさを推定するステップと、を有する。さらに受信された指腹からの反射波の振幅値の変動から対象物の表面性状を推定するステップと、対象物に対して指腹を接触させたときに、爪床からの反射波を受信するステップと、受信された爪床からの反射波の振幅値から指荷重の大きさを推定するステップと、を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、超音波探触子を用いて人間の触覚情報を計測可能な触覚センシング方法に関するものである。
人の触覚を代用する種々の触覚センサの開発が盛んに行われている。例えば、感圧導電ゴムの利用、電極間の容量変化の検知、巧妙な音響共鳴触覚素子、そして、透明なゴム製半球でのレーザー光の反射を利用するもの等多くのセンサが挙げられる。例えば、下記特許文献1は、光学式触覚センサであり、透明弾性体で構成された入力デバイスとカメラ部から構成され、弾性体に加えられた3次元の力ベクトルの分布を実時間で計測するものである。これにより、人間の触覚情報とほぼ同様な情報を計測しようとするものである。
特開2009−288033号公報
しかしながら、従来の触覚センサは、指その物や表皮・感覚受容器を模倣したセンサであり、実際の指を用いて、対象物との接触を評価するものではない。
仮に、人の指そのものを利用したセンサ技術ができたとすると、個人の実際の触動作過程における、その場での官能的な評価との一対一の対応も可能であり、例えば、化粧用のクリームを肌に延ばす際の指荷重のかかり具合と使用感の関係を従来にない正確さで評価できる。また、製品表面の触り心地の官能評価結果とセンサで計測される触動作時の接触状態の対比から、触り心地の良い表面の創出に寄与できる可能性も高い。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、人の指腹部への荷重のかかり具合から対象物との接触状態を,そのときの官能的な評価との直接的な対応も含めて行うことが可能な触覚センシング方法を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る触覚センシング装置は、
指の爪甲の上に装着され、指腹に向けて超音波を発信する超音波探触子を備え、
対象物に対して指腹を接触させたときに、指腹からの反射波を受信するステップと、
受信された指腹からの反射波の周波数及び/又は位相から指荷重の大きさを推定するステップと、を有することを特徴とするものである。
かかる構成を有する触覚センシング装置の作用・効果を説明する。本発明においては、センサとして超音波探触子を用い、この超音波探触子を人の指の爪甲の上に装着する。爪甲の上に装着する場合、直接爪甲に装着してもよいし、中間的な部材を介して装着してもよい。超音波探触子は、超音波を指腹に向けて発信するように装着される。発信された超音波は、対象物等で反射されると、再び超音波探触子に戻ってくる。この戻ってきた反射波の波形等を計測する。
まず、最初に原理を説明する。図1は、超音波探触子1を爪Nの上に装着した状態を示す。爪Nの表面側が爪甲N1であり、裏側が爪床N2と呼ばれる。超音波探触子1は、爪甲N1の上に装着される。なお、図1では、直接爪甲N1の上に装着している。
指Fの裏側が指腹F1である。ここで、対象物の表面Aを指腹F1で押えたとすると、指腹F1が撓まされ、このたわみ量をδとする。このとき、指腹F1に作用している指荷重をWとする。
図2は、指Fを正面から見た図である。対象物を指荷重Wで押えたとき、δのたわみが生じる。ここで、超音波探触子1から発信された超音波は、m1のように垂直下方向に向かうものと、m2のように横方向に向かうものがある。m1の場合、たわみδにより、超音波が発信されてから再び超音波探触子1に戻ってくるまでの距離(以下、路程という)が無荷重のときに比べて短くなる。一方、指Fの側部F2については、逆に路程が長くなる。このように、無荷重のときと指荷重Wが作用しているときとでは、路程が変化する。また、指荷重Wの大きさによっても路程が変化する。さらに、指腹からの超音波の透過はほとんどない(音響インピーダンスの関係から)と考えられるので、上記路程の長さが観測される反射波に直接的な影響を与えるものと考えられる。
上記のことから、超音波探触子により受信される反射波の波形は、概念的に図3のようになることが推定される。(a1)〜(a3)は無荷重のときの反射波であり、(b1)〜(b3)は指荷重が作用しているときの反射波である。(a1)(b1)はm1方向の反射波であり、路程が変化することにより、δtに相当する分、反射波の位相がずれる。(a2)(b2)はm2方向の反射波であり、同じく路程が変化することにより、δtに相当する分、反射波の位相がずれる。ただし、両方向の無負荷時の路程は等しいと仮定しており,負荷時にはm1の路程が短くなるのに対して、m2の路程は長くなる。従って、位相がずれる方向は逆になる。
(a3)(b3)は、夫々(a1)(b1)と(a2)(b2)を合成した反射波であり、これが実際に超音波探触子1により受信される反射波となる。(a3)の場合は、合成することで、振幅が強調された反射波となる。(b3)の場合は、(a3)と比べて位相が変化しているとともに、周波数(周期)や振幅値も変化する。図3は、m1方向とm2方向のみについて、単純化した模式図であるが、実際は、指腹F1の種々の箇所からの反射波の干渉が生じる。この干渉度合いは、指腹F1の変形量に応じて変化する。このように、位相のずれや周波数の変化から指荷重を推定できることを見出したものである。詳細は後述の実験データにより説明する。
装置の構成としては、対象物に対して指腹を接触させたときに、指腹からの反射波を受信する反射波受信手段と、受信された反射波の周波数及び/又は位相から指荷重の大きさを推定する指荷重計測手段とを備えていることが特徴である。指荷重の推定は、最初に較正曲線を求めておき、この較正曲線に基づいて、計測値から指荷重を推定することができる。その結果、人の指荷重のかかり具合から対象物との接触状態の評価を官能的な評価も含めて行うことが可能な触覚センシング方法を提供することができる。
なお、反射波受信手段や指荷重計測手段は、コンピュータソフトウェアの機能により実現することができるが、一部または全部をハードウェアの機能により実現してもよい。
本発明において、受信された指腹からの反射波の振幅値の変動から対象物の表面性状を推定するステップを有することが好ましい。
本願発明者は、同じ指荷重であったとしても、表面性状が異なると、計測される反射波の振幅値の変動に差が現れることを見出した。図4は、表面性状の違いによる受信された反射波の違いを示す図である。w1は表面粗さが大きい場合に、指腹で表面上をこすった時に得られた波形である。w2は表面粗さが小さい場合に、指腹で表面上をこすった時に得られた波形である。2つの波形を比較すると、位相や周波数はほとんど同じだが振幅hとhには大きな差が現れている。このように、振幅値の変動から表面性状を計測できることも判明した。実際に得られた実験データについては、後述する。なお、この表面性状計測ステップもコンピュータソフトウェアの機能により実現することができるが、一部または全部をハードウェアの機能により実現してもよい。
本発明において、対象物に対して指腹を接触させたときに、爪床からの反射波を受信するステップと、
受信された爪床からの反射波の振幅値から指荷重の大きさを推定するステップと、を有することが好ましい。
指腹に向けて超音波を発信した場合、指腹からの反射波も計測されるが、最初に計測されるのは爪床からの反射波である。前述のように、指腹からの反射波は、そこでの皮膚(指腹)の変形の仕方に大きく依存し、指腹が対象物の凸部で局所的に押圧されて、その周辺の指腹が大きく変形すると、反射に寄与する路程が変わる。従って、同じ指荷重であっても,対象物の表面粗さが著しく粗い場合,指腹からの反射波の振幅は、接触状態により異なる。
一方、爪床からの反射波は、指腹と対象物との接触状態に影響されない。従って、この反射波を計測することで、指荷重のみを精度よく計測できると考えられる。ちなみに、指荷重が大きくなると、爪床と皮膚との境界部分の密着度が増し、境界部分からの超音波の透過量が増えるので、反射波の大きさは荷重の大きさに逆比例して小さくなる。
本発明の指荷重を計測する原理を説明する図 本発明の指荷重を計測する原理を説明する図 超音波探触子により受信される反射波の変化を示す図 わずかな表面性状の違いによる受信された反射波の違いを示す図 本発明の指荷重を計測するシステムを説明する図 超音波探触子から指腹に向けて超音波を発信し、実際に受信された信号波形を示す図 図5において付け爪を用いた構成例を示す図 超音波探触子から指腹に向けて超音波を発信し、実際に受信された信号波形を示す図 エコー高さ(反射波の大きさに対応する信号)と指荷重に対するノイズの関係を示すグラフ 指荷重をかけたり下げたりを繰り返して計測されたエコー高さの波形と指荷重の大きさを示すグラフ(爪床からの反射波) 指荷重をかけたり下げたりを繰り返して計測されたエコー高さの波形と指荷重の大きさを示すグラフ(指腹からの反射波) 指荷重の大きさにより反射波の干渉度合いが変化することを示す実験データ 指荷重の大きさにより反射波の干渉度合いが変化することを示す実験データ 図12の実験データを相関関係で示すグラフ 鋳造で製造した表面粗さの極めて粗い標準試験面(400−s)を指腹で擦った場合の一定荷重領域でのエコー高さの変化を示す実験データ 鋳造で製造した表面粗さの小さな(比較的平滑な)標準試験面(16−s)を指腹で擦った場合の一定荷重領域でのエコー高さの変化を示す実験データ 負荷・除荷でのエコー高さの変化を示すグラフ 負荷・除荷でのエコー高さの変化を示すグラフ(指荷重W=0付近) 超音波探触子を保持するホルダの一例を示す図
本発明に係る触覚センシング方法の好適な実施形態につき図面を用いて説明する。指荷重を計測するときの原理は、図1〜図4ですでに説明したとおりである。図5は、触覚センシング装置の構成を示す模式図である。
<触覚センシング装置の構成>
図5に示すように、爪甲N1に超音波探触子1が装着されている。超音波探触子1からの信号は、コンピュータを中核として構成される計測装置2により計測される。駆動部20は、超音波探触子1の振動子を駆動する機能を有する。超音波探触子1は、所定周波数の超音波を発信し、反射されてきた反射波を受信する機能を併せ持つ。
反射波受信手段21は、超音波を発信した後、指腹や爪床からの反射波信号を受信する。指荷重計測手段22は、受信された指腹からの反射波の周波数及び/又は位相から指荷重を推定する。また、受信された爪床からの反射波の振幅値から指荷重の大きさを推定する。表面性状計測手段23は、受信された指腹からの反射波振幅値の変動から対象物の表面性状を推定する。モニター3は、受信された反射波の波形信号を画像として表示させる機能などを有する。
図6は、超音波探触子1から指腹に向けて超音波を発信し、実際に受信された信号波形を示す図である。この場合の反射波、爪床N2と指の皮膚との境界部での反射波と、指腹F1からの反射波が計測される。爪床N2と指との境界部では、その音響インピーダンスの違いに応じて、一部の超音波は透過して指腹F1へと向かい、残りの一部が爪床N2からの反射波として計測される。爪床N2を透過した超音波は指腹F1へと向かい、その指腹F1で反射した反射波が時間的に遅れて計測される。図6に示すように、爪床N2と指腹F1とは路程が異なるため、時間的にずれて別々に分離した状態で計測することができる。
ただし、爪Nの厚さは1mm以下の薄さであり、実際に計測される爪床N2からの反射波と超音波探触子1からの送信波(振動子の自由振動波形)が干渉するので、これらを明確に分離して爪床N2からのみの反射波を計測することが困難なことが多い。
そこで、図7に示すように、爪Nと音響的な性質(音響インピーダンス)が似ている材質の付け爪4(例えば、アクリル製で厚さ2mm程度)を遅延材として用いる。このような付け爪4を爪Nの上に密着し、その上に超音波探触子1を音響カプラントを介して装着する。音響インピーダンスが似ているため、付け爪4と爪Nとの境界からの反射波はほとんどなく、図8に示すように、爪床N2からの反射波を明確に分離し計測することができる。
爪甲N1は、指先にかかる力の一部を支える働きをしており、仮に爪甲N1がなければ、指先で物をつかんだり支え難くなる。すなわち、指腹F1に作用する力(指荷重)の一部は、爪甲N1で支えられることになり、指腹F1への荷重の増加にしたがって、爪床N2と指の皮膚との密着度が増加すると考えられ、超音波が透過しやすくなると考えられる。その結果、指荷重が大きくなるほど、爪床N2からの反射波の振幅値は小さくなる。
<実験例>
次に種々の実験例について説明する。図9は、エコー高さ(反射波の大きさに対応する信号)と指荷重に対するノイズの関係を示すグラフである。人差し指の爪に超音波探触子1を取り付けた状態で、空中で指を上下させた(±10mm、5Hz程度)場合のエコー高さの変動を示す。すなわち、指荷重Wが0の状態である。エコー高さの変動は、指を静止したときのノイズとほぼ同じであり、問題のないレベルである。
<爪床からの反射波計測>
図10は、実際に指荷重を作用した場合であり、対象物として、平滑面を有する触感計天板を用いた。この触感計天板では、実際の指荷重(N:ニュートン)を測定することができる。グラフは、指荷重をかけたり下げたりを繰り返して計測されたエコー高さの波形と指荷重の大きさを示す。エコー高さは爪床N2からの反射波にかかるものであり、その単位は%である。横軸は時間t(sec)である。このグラフからもわかるように、指荷重Wとエコー高さhとは逆位相の関係にある(前述のように指荷重が大きいほど反射波の大きさは小さくなるため)が、再現性は良好である。
<指腹からの反射波計測>
図11は、図10と同じく平滑面を有する対象物を用いて、指荷重をかけたり下げたりを繰り返して計測されたエコー高さの波形と指荷重の大きさを示す。エコー高さは指腹F1からの反射波にかかるものである。指腹F1からの反射波については、エコー高さhと指荷重Wとは、同位相であり再現性も良好である。
<信号波形の荷重変動に伴う変化>
図1〜図3の計測原理のところで説明したが、指荷重の変化に伴い、計測される反射波波形の位相のずれや周波数の変化が生じる。これは、指腹F1の変形に伴い指腹F1の各部分から超音波探触子1までの距離(路程)が変わるためであり、その結果として、反射波の干渉度合いが変化するためである。これを実験的に確認したデータを図12に示す。なお、対象物は図10、図11で説明したのと同じである。
図12A,12Bにおいて、(a)は指荷重0g、(b)は50g、(c)は100g、(d)は150gの場合の信号波形である。この波形の中の特定のポイントP1,P2に着目し、そのポイントP1,P2が荷重の増加と共にどのように変化するかを確認した。図12A,12Bに示すように、荷重の増加に連動して、ポイントP1,P2は少しずつ左方向へ移動していることが確認できる。これは、指荷重の大きさに伴い、信号波形の位相がずれていることを表している。また、信号波形の周波数を見ると、指荷重が大きくなるほど、周波数が高くなっていることがわかる。従って、信号波形の位相ずれと周波数は、指荷重の大きさと相関関係があることが実験データから判明した。
図13は、上記の実験から明らかになった相関関係をグラフで示したものである。すなわち、路程距離の変化率と指荷重W(N)の関係と、周期の変化率と指荷重W(N)の関係をグラフ化したものである。なお周期の変化率は、W=0(N)での周期で標準化したものである。■は、特定の半波(図12のP1)のW=0(N)との路程差(位相差)を、2Nと0Nの路程差で標準化したものである。◆は特定の半波(図12のP2)のW=0(N)との路程差を、2Nと0Nの路程差で標準化したものである。このグラフからも、指荷重Wの大きさは、周期(周波数)や位相ずれと相関関係があることがわかる。
<表面性状(表面粗さ)の影響>
図14は、鋳造で製造した表面粗さが極端に粗い標準試験面(400−s)を指腹で擦った場合の一定荷重領域でのエコー高さの変化を示す実験データである。指腹で擦っているが指荷重はほとんど変化させていない。粗さの大きさは最大400μmであり、粗さ突起の平均ピッチも大きい。指荷重Wは、約30g程度で擦っており変化はほとんどないが、エコー高さhの大きさは大きく変化しており、表面性状がそのままエコー高さの変化に現れていると考えられる。
図15は、鋳造で製造した表面粗さの小さな(比較的平滑な)標準試験面(16−s)を指腹で擦った場合の一定荷重領域でのエコー高さの変化を示す実験データである。表面粗さの程度は、図14の場合の1/20程度である。指荷重Wの変化はほとんどなく、エコー高さhの変化も少ないが,荷重とエコー高さの変動の相関はそれほど高くなく、表面性状の違いを反映した結果となっている。このように、比較的平滑な面を有する対象物の場合は、表面性状の違いによるエコー高さの変動が少ないため、エコー高さの大きさと指荷重の大きさとの相関が強まるものと推定できる。
図16は、図15と同じ対象物(16−s)を擦った場合の、負荷・除荷過程でのエコー高さの変化を示すグラフである。すなわち、指荷重W=0の状態から徐々に指荷重を大きくし、その後、一定の大きさの指荷重Wで擦った後、W=0まで除荷したときのエコー高さhの変化を示す。この図16から分かるように、負荷時と除荷時も含めて、エコー高さhは指荷重Wの大きさにほぼ比例しているということができる。従って、平滑な面を擦る場合のエコー高さの平均的な変動は、指荷重の変化に対応すると考えることができる。
以上のように、極端に粗い鋳造面の標準試験片を擦った場合、長い周期の大きなエコー高さの変動が計測されたが、平滑な面の場合、わずかの変動にとどまった。触感計で計測した指荷重の変動はわずかであったことから、極端に粗い鋳造面の場合のエコー高さの変動は、指腹の局所的な変形に強く依存するものと推定できる。この時の指荷重とエコー高さの平均的な変化の相関は低い.この相関は平滑な面になるほど強くなるので(爪床からの超音波の透過のみに依存するようになるので)、この相関の強さから対象物の表面性状の一部を評価できると考えられる。
<ヒステリシス現象について>
図17は、図16と同じように、負荷・除荷でのエコー高さの変化を示すグラフであるが、特に指荷重W=0付近での相関を評価できるグラフである。グラフの左側では除荷していくときの相関を、右側では負荷していくときの相関を見ることができる。負荷していくときのエコー高さhは、指荷重Wの増加と共に上昇しており時間的なずれは生じていない。しかし、左側の除荷過程においては、エコー高さhは荷重変化に対して遅れて減少(ヒステリシスが存在)している。これは、指の粘弾性的な挙動に起因するものであり、負荷時に変形した指腹が時間と共に徐々に元に戻るためと考えられる。また、この現象には年齢による差も存在すると推定される。例えば、老人の場合は、さらに遅れが生じるものと推定される。このようなヒステリシスは、触り心地に影響するものということができ、今回の実験ではじめて見出されたものである。
<超音波探触子ホルダの一例>
図19は、超音波探触子1を保持するホルダ10の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図を夫々示す。ホルダ10は、音響インピーダンスが爪と類似する材質で形成する。ホルダ10は、超音波探触子1を載置する載置部10a、爪を両側からはさむ挟持部10bと、指部分に保持される保持部10cを備える。なお、図中10dは、押さえ板、10eは、探触子への負荷調整用のボルトであり,これらにより探触子と爪甲部との一定の接触を確保する。
<発明の効果>
本発明においては、人の指そのものをセンサの一部として機能させており、実際の触動作過程における、その場での官能的な評価との1対1の対応も可能である。例えば、化粧用のクリームを肌に延ばす際の指荷重のかかり具合と使用感の関係を評価できる。また、製品表面の触り心地の官能評価結果とセンサで計測される触動作時の接触状態との対比から、触り心地の良い表面の創出に寄与できる可能性も高くなる。
また、1人1人により異なる触感覚の原因の1つである、人の指の違いをそのまま反映した状態で評価できる点が他の触覚センサとは大きく異なる。つまり、男女、年齢、職業、または個々の指紋の違いは、触感覚に大きく影響する。例えば、指腹の弾性は若年では高い(やわらかく元に戻りやすい)が、高齢者では塑性的になり、なかなか元に戻らない。指腹の硬さも触感に影響すると考えられるが、個々の人の指先の特性を完全に再現できるモデル指の製作は不可能である。従って、本発明のように、人の指そのものを、そのままセンサーとして利用する方法が好ましい。本発明は、爪甲に装着する超音波探触子により、上記目的を達成する。
爪床からの反射波は、指腹と対象物の接触の影響を受けないため、指腹に作用する指荷重の影響のみを把握することができる。指腹からの反射波は、対象物が平滑な面を有する場合、爪床からの反射波と同様に、指荷重の把握が可能になる。また指荷重が同じであったとしても、反射波の振幅値の変動は相手面の性状によって異なる。このことにより、触動作時の触感を評価することができる。
1 超音波探触子
2 計測装置
3 モニター
10 ホルダ
20 駆動部
21 反射波受信手段
22 指荷重計測手段
23 表面性状計測手段
F 指
F1 指腹
N 爪
N1 爪甲
N2 爪床
W 指荷重
δ たわみ

Claims (3)

  1. 指の爪甲の上に装着され、指腹に向けて超音波を発信する超音波探触子を備え、
    対象物に対して指腹を接触させたときに、指腹からの反射波を受信するステップと、
    受信された指腹からの反射波の周波数及び/又は位相から指荷重の大きさを推定するステップと、を有することを特徴とする触覚センシング方法。
  2. 受信された指腹からの反射波の振幅値の変動から対象物の表面性状を推定するステップを備えたことを特徴とする請求項1に記載の触覚センシング方法。
  3. 対象物に対して指腹を接触させたときに、爪床からの反射波を受信するステップと、
    受信された爪床からの反射波の振幅値から指荷重の大きさを推定するステップと、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の触覚センシング方法。
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JP2015117942A (ja) * 2013-12-16 2015-06-25 国立大学法人 名古屋工業大学 爪振動計測装置、爪振動モニタリングシステムおよび爪振動フィードバック提示システム

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