JP2011256145A - Th3マーチ関連疾患の治療及び予防用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】Th3マーチ関連疾患の治療及び予防、特に未病先防を可能とする医薬及び各種検査等の方法を提供する。
【解決手段】本発明は、亜鉛、カルシウム及びリン、さらには南瓜子及び南蛮毛を含み、ジンクフィンガーの活性化能を有する、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、亜鉛、カルシウム及びリン、さらには南瓜子及び南蛮毛を含み、ジンクフィンガーの活性化能を有する、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、Th3マーチ関連疾患の、治療及び予防用医薬組成物、治療、予防及び診断方法、治療及び予防分類の検査方法、治療及び予防用薬剤の使用意思決定方法、治療及び予防分類の検査用キット、治療及び/又は予防用薬剤の使用意思決定用キット、並びに診断用キット等に関する。
近年、アレルギー疾患等の免疫疾患の治療においては、患者の遺伝的背景の多様なヒトにおいては、同じような症状ではあっても、患者毎にその原因及び治療方法が異なる可能性があるため、患者個々人の免疫機能を知ることが重要であると言われている。しかしながら、専ら動物実験などの結果から示唆するにとどまっており、十分に治療に応用可能な具体的手法については、明らかにされていなかった。
アレルギー疾患の特徴として、アレルギーの中心症状が年齢によって変化するアレルギーの連鎖現象、すなわちアレルギーマーチがあることが知られている(非特許文献1)。例えば、アトピー素因のある人が、乳幼児期にアトピー性皮膚炎になり、その後幼児期には気管支喘息になり、さらに成人になるとアレルギー性鼻炎を発症するというものである。このような疾患マーチによる症状の継続及び新規症状の発症は、社会的にも大きな問題となっており、早急な対策が望まれている。
Peter I Frank et al., "Long term prognosis in preschool children with wheeze: longitudinal postal questionnaire study 1993-2004", BMJ, vol. 336, p. 1423-1426, 2008
本発明者は、哺乳類における新規Th3マーチ(Th3 march)を規準化した。このTn3マーチは亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を経由する。Th3マーチは細胞表面のBMP(骨形成タンパク質)とTGF-β1(新たにTGF-β1/Th3マーチと定義)によって、細胞に伝達されるカルシウムとリン、さらにIFNとIL-13(Znf)により制禦されている(図2参照)。特に、臨床的に年令によって病変のみられる順序を新規に定義した。Th3マーチは若令から順に、Th1生体反応依存性(骨疾患)、Th2生体反応依存性アトピー(結合組織の異常としての皮膚疾患)、及びTh3生体反応(重篤治癒阻害因子)とマーチするが、これらTh3マーチ関連疾患の具体的な治療及び予防方法並びに各種検査、決定及び評価方法はない。
このような状況下において、Th3マーチ関連疾患の治療及び予防、特に未病先防(マーチングにより次段階に発症すると思われる疾患を未然に予防すること、ひいては早期治療に介入すること)を可能とする医薬及び各種検査等の方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記状況を考慮してなされたものであり、本発明者は、Th3マーチの到達部位をジンクフィンガー(Znf)(DNA修復能)とし、その伝達経路に作用する新規薬剤を作出した。また、この評価をTh9細胞とZnf活性化により亢進するIL-13で行う新規サイトカインパネルを開発した。Th3マーチを当該サイトカインパネルで評価し、その評価結果を指標として上述の新規薬剤を投与等する、Th3マーチ関連疾患の治療、予防、診断及び各種検査等の方法、並びにこれら方法に用いるキットを見出した。
すなわち、本発明は、以下に示す、Th3マーチ関連疾患の、治療及び予防用医薬組成物、治療、予防及び診断方法、治療及び予防分類の検査方法、治療及び予防用薬剤の使用意思決定方法、治療及び予防分類の検査用キット、治療及び/又は予防用薬剤の使用意思決定用キット、並びに診断用キット等を提供するものである。
(1)亜鉛、カルシウム及びリンを含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物。
上記(1)の医薬組成物は、例えば、さらに南瓜子及び南蛮毛を含むものであってもよい。
上記(1)の医薬組成物は、例えば、ジンクフィンガー(具体的にはそのDNA修復能)を活性化させるものが挙げられる。
(1)亜鉛、カルシウム及びリンを含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物。
上記(1)の医薬組成物は、例えば、さらに南瓜子及び南蛮毛を含むものであってもよい。
上記(1)の医薬組成物は、例えば、ジンクフィンガー(具体的にはそのDNA修復能)を活性化させるものが挙げられる。
上記(1)の医薬組成物において、Th3マーチ関連疾患としては、例えば、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
(2)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物の投与を開始、継続、中断又は終了する、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法。
(3)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類を検査する方法。
(4)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思を決定する方法。
(5)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の診断方法。
(2)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物の投与を開始、継続、中断又は終了する、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法。
(3)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類を検査する方法。
(4)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思を決定する方法。
(5)被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の診断方法。
上記(2)〜(5)の方法において、サイトカイン及びケモカインとしては、例えば、TGF-β1、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IFN-γ及びRANTESからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。また、上記(2)〜(5)の方法は、これらサイトカイン及びケモカインのほか、さらに血中の亜鉛濃度も測定する方法であってもよい。
上記(2)〜(5)の方法において、Th3マーチ関連疾患としては、例えば、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記(2)〜(5)の方法において、被験動物としては、ヒト又は非ヒト動物が挙げられ、非ヒト動物としてはイヌが挙げられる。
(6)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類の検査用キット。
(7)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思決定用キット。
(8)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の診断用キット。
(9)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体、並びに請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用キット。
(6)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類の検査用キット。
(7)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思決定用キット。
(8)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の診断用キット。
(9)サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体、並びに請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用キット。
上記(6)〜(9)のキットにおいて、サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体は、例えば、ビーズアレイに担持されたものが挙げられる。
上記(6)〜(9)のキットにおいて、Th3マーチ関連疾患としては、例えば、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記(6)〜(9)のキットにおいて、サイトカイン及びケモカインとしては、例えば、TGF-β1、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IFN-γ及びRANTESからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記(6)〜(9)のキットにおいて、Th3マーチ関連疾患としては、例えば、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記(6)〜(9)のキットにおいて、サイトカイン及びケモカインとしては、例えば、TGF-β1、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IFN-γ及びRANTESからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明によれば、Th3マーチ関連疾患の治療及び予防、特に未病先防、具体的にはマーチングにより次段階に発症すると思われる疾患を未然予防する又は早期に治療することを可能とする、医薬組成物を提供することができる。また、Th3マーチ関連疾患の未病先防を実現するための、当該疾患の治療、予防及び診断方法、治療及び予防分類の検査方法、治療及び予防用薬剤の使用意思決定方法、並びにこれら方法に用い得るキットを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。なお、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.本発明の概要
免疫疾患の治療においては、Th1/Th2/Th3細胞のバランスにより表現される免疫バランスの是正が、特に重要である。これまでに特定の疾患で、特定のサイトカインやケモカインが上昇することは報告されていたが、いくつかのサイトカイン及びケモカインのパネルで、疾患の特性を判断し、治療薬の投与等を決定する手法はなかった。
免疫疾患の治療においては、Th1/Th2/Th3細胞のバランスにより表現される免疫バランスの是正が、特に重要である。これまでに特定の疾患で、特定のサイトカインやケモカインが上昇することは報告されていたが、いくつかのサイトカイン及びケモカインのパネルで、疾患の特性を判断し、治療薬の投与等を決定する手法はなかった。
従来、この免疫バランスの測定には、細胞内サイトカインをフローサイトメーターにて測定する方法が一般的であった。しかしながら、この方法は生きたリンパ球が必要であり、検査できる範囲はかなり限定されていた。そこで本発明者は、このような免疫バランスを血中のIL-1β, IL-4, IL-5, IL-6, IL-9, IL-10, IL-13, IFN-γ, RANTES, TGF-β1のサイトカイン及びケモカインを測定することにより、Th1/Th2/Th3細胞のバランスの測定を可能とした。これまで、血液中に存在する微量のサイトカイン及びケモカインは、ELISA 法により測定されてきたが、手技上測定感度や多項目のサイトカインの測定には相当量の血液が必要である等の理由により、前述のように多項目のサイトカイン及びケモカインを測定するのは非常に困難であった。本発明者は、近年開発されたビーズアレイを用い、血中のIL-1β, IL-4, IL-5, IL-6, IL-9, IL-10, IL-13, IFN-γ, RANTES, TGF-β1のサイトカイン及びケモカインを測定することにより、各患者の免疫のバランスを知り、適切な治療介入が可能となることを見出した。
すなわち、臨床上の疾患治療を、高度臨床検査技術と後述する治療薬(医薬組成物)等で解決可能とした。例えば、アトピー患者では、アレルギーマーチと称されるように、乳児期にアトピー性皮膚炎、次いで幼児期に気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎が出現するといったアレルギーの連鎖現象で、年齢とともにその症状は変化し進行する。そして、気管支喘息などへと重症化することが知られている。最近では、未病先防という言葉に代表されるように、できるだけ早い段階での適切な治療介入により、重症化が阻止できることが分かっている。
なお、上記高度臨床検査技術等は、アレルギーのみならず、癌や自己免疫疾患など、免疫の関与が推察される疾患の治療にも適用可能である。また、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息、癌といったような特定の疾患においては、前述のパネルの中から特定の疾患用の項目(サイトカイン等)を限定したキットでも、治療分類検査に利用可能である。
本発明においては、多項目のサイトカイン等のパネルを用い、キーとなるサイトカインの測定により免疫バランスを明らかにすることを可能とし、さらにはその免疫バランス是正のための治療及び予防薬や治療及び予防方法等も開発した。その結果、各個人の免疫バランスに即した治療方法及び治療手順等を決定することができた。
その結果、Th3マーチ関連疾患の治療等において、未病先防のための検査方法や治療薬等が完成された。Th3マーチとしては、限定はされないが、例えば、図1に示すような疾患の流れ(つながり)がある。本発明に基づく、このような臨床的判断システムは、免疫バランスの異常に関係すると推察される疾患の治療に大きく貢献するものと考えられる。
2.医薬組成物
本発明のTh3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物は、亜鉛、カルシウム及びリンを必須成分として含むものであるが、さらに南瓜子及び南蛮毛を含むものであることが好ましい。当該南瓜子(西洋南瓜子)及び南蛮毛は、加熱されたものであることが好ましい。
本発明のTh3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物は、亜鉛、カルシウム及びリンを必須成分として含むものであるが、さらに南瓜子及び南蛮毛を含むものであることが好ましい。当該南瓜子(西洋南瓜子)及び南蛮毛は、加熱されたものであることが好ましい。
本発明の医薬組成物において、有効成分としての亜鉛(亜鉛剤)は、亜鉛単体及び各種亜鉛化合物(例えば、亜鉛メチオネート等)や、これらを含む酵母(亜鉛酵母)等の形態で提供されることが好ましい。
本発明の医薬組成物において、有効成分としての亜鉛、カルシウム及びリンの配合比(重量比)は、限定はされないが、例えば、2.5〜3.5:1.5〜2.5:0.5〜1.5(=亜鉛:カルシウム:リン)であることが好ましく、特に好ましくは、同配合比が3:2:1である。また、南瓜子及び南蛮毛は、上記カルシウムと同等の配合比であることが好ましい。
本発明の医薬組成物は、有効成分である亜鉛が、カルシウムとリンの働きで細胞内に取り込まれることにより、細胞内のジンクフィンガー(亜鉛フィンガー)を活性化させる、具体的には、ジンクフィンガーによるDNA修復機能を活性化させるものである(図2)。図2に示すように、当該活性化は、IL-13の亢進により確認することができる。本発明の医薬組成物は、ジンクフィンガーを活性化させることにより、例えば、亜鉛トランスポーター(Znt)の遺伝子欠損が原因となって発症する後述のエラースダンロス症候群について、結果的に当該遺伝子欠損を修復することによって治療等することができる。
本発明の医薬組成物の治療及び予防対象となるTh3マーチ関連疾患としては、限定はされないが、具体的には、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、また癌(骨肉腫等)や自己免疫疾患(慢性関節リウマチ等)など、免疫の関与が推察される疾患も挙げられる。
また、本発明の医薬組成物の投与対象となる動物(被験動物)としては、上記各種Th3マーチ関連疾患が発症し得る哺乳動物であればよく、限定はされず、ヒト及び各種非ヒト哺乳動物が挙げられる。非ヒト哺乳動物としては、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びハムスター等が挙げられ、中でも、イヌ、ネコ及びウマ等が好ましく、イヌが特に好ましい。
本発明の医薬組成物は、前述した亜鉛等の有効成分のほかに、さらに薬学的に許容される担体を含む形態で提供されてもよい。「薬学的に許容され得る担体」とは、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。そのような担体の1種以上を用いることにより、カプセル剤、注射剤、液剤、懸濁剤、軟膏、乳剤あるいはシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。これらの医薬組成物は、経口あるいは非経口的に投与することができる。経口投与の態様としては、例えば口腔投与、口腔内投与、舌下投与、歯肉塗布、粘膜投与、噴霧投与などが挙げられる。非経口投与のための投与形態としては、常法により処方される注射剤(皮下投与及び静注投与用の注射剤)や、経皮投与(塗布)、経鼻等による粘膜投与及び噴霧投与などが含まれる。注射剤の場合には、生理食塩水又は市販の注射用蒸留水等の薬学的に許容される担体中に溶解または懸濁することにより製造することができる。なお、本発明の医薬組成物の投与においては、限定はされないが、経口投与(具体的には上述の通り)が好ましい。
本発明の医薬組成物中、有効成分としての亜鉛、カルシウム及びリン(南瓜子及び南蛮毛を用いる場合はこれらも含む)の合計含有量(含有割合)については、Th3マーチ関連疾患の治療効果が発揮される程度であれば、特に限定はされないが、例えば、10〜100重量%が好ましく、より好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは50〜100重量%である。
本発明の医薬組成物の生体内への投与量は、限定はされず、Th3マーチ関連疾患の病状、患者の年齢、性別、体重及び病態、治療効果、投与方法、処理時間などにより異なっていてもよく、治療分類検査キットでモニター等しながら又は症候の推移を評価しながら、適宜設定することができる。
本発明の医薬組成物の生体内への投与量については、具体的には、治療として最終的に血清中に亜鉛(Zn)濃度が55μg/mL以上、好ましくは60μg/mL以上、より好ましくは95μg/mL以上、さらに好ましくは、内在型Th3生体反応が0.88%以上の正常値に達し、同時に血清亜鉛濃度が60μg/mL以上となるように、適宜投与計画等(1回あたりの投与量、1日平均あたりの投与回数等)を立てて生体内に投与すればよく、限定はされない。特に、イヌにおいては、血清中に亜鉛(Zn)濃度が85μg/mL以上であることが好ましい。なお、血清中の亜鉛濃度は、正常値の上限を超え中毒症状を回避しながら生体に投与することが望ましい。
特に、治療対象となる哺乳動物がヒトである場合は、本発明の医薬組成物の投与量は、亜鉛についてみたときに、1回の投与において、亜鉛(Zn)換算で1mg/kg体重〜10g/kg体重であることが好ましく、より好ましくは2mg/kg体重〜2g/kg体重、さらに好ましくは2 mg/kg体重〜10mg/kg体重である。また、対象となる哺乳動物がイヌ及びネコ等である場合は、本発明の医薬組成物の投与量は、亜鉛についてみたときに、1回の投与において、亜鉛(Zn)換算で1mg/kg体重〜10g/kg体重であることが好ましく、より好ましくは2mg/kg体重〜2g/kg体重、さらに好ましくは2mg/kg体重〜10mg/kg体重である。
なお、本発明は、Th3マーチ関連疾患を治療する医薬(薬剤)を製造するための亜鉛(Zn)、カルシウム及びリン(南瓜子及び南蛮毛を用いる場合はこれらも含む)(下記において、亜鉛等という)の使用を提供するものでもある。また、本発明は、Th3マーチ関連疾患の治療用の亜鉛等を提供するものでもある。さらに、本発明は、亜鉛等を用いること(すなわち亜鉛等を患者に投与すること)を特徴とするTh3マーチ関連疾患の治療方法を提供するものであり、また、Th3マーチ関連疾患を治療するための亜鉛等の使用を提供するものでもある。
3.治療及び予防方法等
本発明の医薬組成物は、前述の通り、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法に用いることができる。具体的には、被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、本発明の医薬組成物の投与を開始、継続、中断又は終了することを特徴とする、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法が提供される。
本発明の医薬組成物は、前述の通り、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法に用いることができる。具体的には、被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、本発明の医薬組成物の投与を開始、継続、中断又は終了することを特徴とする、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法が提供される。
ここで、血中濃度を測定するサイトカイン及びケモカインとしては、限定はされないが、TGF-β1、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IFN-γ及びRANTESからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。本発明においては、さらに血中の亜鉛濃度も測定することが好ましい。
本発明の治療及び/又は予防方法において、対象となるTh3マーチ関連疾患、投与する被験動物については、前記2.項における説明が同様に適用できる。
本発明の治療及び/又は予防方法では、被験動物における血中の各種サイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し(「サイトカインパネル検査」ということがある)、その測定結果(すなわち、どのサイトカイン等がどの程度発現亢進又は抑制されているか)に基づいて、当該被験動物の現状の疾患の有無及びその病状(病態)を判定するとともに、Th3マーチとして次に発症すると想定される疾患の種類についても判定する。この判定結果に基づいて、Th1/Th2/Th3細胞のバランスをどのようにとるのがよいかを検討し、前述した本発明の医薬組成物の投与に関して開始、継続、中断又は終了のいずれかを選択する。ここで、投与の開始及び継続には、投与期間や投与量を一定にする又は増減させることも含む。すなわち、本発明の医薬組成物は、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用のものであるが、一般的な薬剤のように投与の開始や継続という使用態様のみではなく、サイトカインパネル検査の結果に応じて投与の中断や終了という態様も選択され得るものである。現状の疾患の治療等とともに将来予想される疾患の予防(未病先防)も併せて行うような場合は、Th1/Th2/Th3細胞のバランスを適度に保持させるため、通常であれば投与を継続するところを敢えて中断又は終了することも必要な場合があるが、結果として、DNA修復能(IL-13で評価)による早期介入(早期治療への介入)が期待でき、Th3マーチ関連疾患の治療等に要する時間や使用する薬剤量等を低減することができる。
なお、サイトカインパネル検査における各サイトカイン等の血中濃度について、健常人値に比較して高値と判断される値の目安を以下に例示する。
TGF-β1: 5 ng/ml以上
IL-1β: 1 pg/ml以上
IL-4: 2 pg/ml以上
IL-5: 2 pg/ml以上
IL-6: 10 pg/ml以上
IL-9: 30 pg/ml以上
IL-10: 1pg/ml以上
IL-13: 2 pg/ml以上
IFN-γ: 100 pg/ml以上
RANTES: 2000 pg/ml以上
TGF-β1: 5 ng/ml以上
IL-1β: 1 pg/ml以上
IL-4: 2 pg/ml以上
IL-5: 2 pg/ml以上
IL-6: 10 pg/ml以上
IL-9: 30 pg/ml以上
IL-10: 1pg/ml以上
IL-13: 2 pg/ml以上
IFN-γ: 100 pg/ml以上
RANTES: 2000 pg/ml以上
本発明においては、上述のように被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し(さらに血中亜鉛濃度も測定することが好ましい。)、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類を検査する方法、並びにTh3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思を決定する方法も提供される。ここで、治療及び予防分類検査とは、サイトカインパネル検査の結果から、現状どのようなTh3マーチ関連疾患を発症しているか、又は将来どのようなTh3マーチ関連疾患を発症し得ると予想されるかなど、Th3マーチ関連疾患の種類の判定及び予想を行う検査である。また、治療及び/又は予防薬の使用意思決定とは、サイトカインパネル検査の結果から、Th1/Th2/Th3細胞のバランスを適度に保持するために、本発明の医薬組成物を使用する(投与する)必要性や、使用する場合はどの程度の投与量がよいかなどを決定することをいう。
本発明においては、上述のように被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し(さらに血中亜鉛濃度も測定することが好ましい。)、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患を診断する(検出する)方法も提供される。具体的には、サイトカインパネル検査の結果から、現状どのようなTh3マーチ関連疾患を発症しているか、又は将来どのようなTh3マーチ関連疾患を発症し得ると予想されるか、さらには現状発症している疾患については病状及び病態について、判定をすることができる。
4.キット
本発明においては、サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類の検査用キット、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思決定用キット、並びにTh3マーチ関連疾患の診断用キットが提供される。これら各種キットは、それぞれ、前記3.項で説明した各種方法におけるサイトカインパネル検査の実施に用いることができる。
本発明においては、サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類の検査用キット、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思決定用キット、並びにTh3マーチ関連疾患の診断用キットが提供される。これら各種キットは、それぞれ、前記3.項で説明した各種方法におけるサイトカインパネル検査の実施に用いることができる。
また本発明においては、サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体、並びに前述した本発明の医薬組成物を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用キットも提供される。当該治療及び/又は予防用キットの使用態様としては、当該抗体を用いるサイトカインパネル検査による各種サイトカイン等の血中濃度の測定結果を指標とし、本発明の医薬組成物の被験動物への投与形態を決定して投与等することが好ましい。当該キットをこのように使用する場合、当該キットはTh3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬として取り扱うこともできる(詳細は前述したTh3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法における説明が適宜適用できる。)。
本発明のキットにおいて、対象となるTh3マーチ関連疾患、サイトカイン及びケモカインについては、前記2.項及び3.項における説明が同様に適用できる。
本発明のキットにおいては、各種サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体は、例えば、ビーズアレイ等に担持されたものであることが好ましい。ビーズアレイを用いた場合、採取した血液サンプルから一度に多数のサイトカイン等の濃度を簡易に検出できるように、キットをコンパクトな構成とすることができる。また、ビーズアレイを用いる以外に、ELISA、ウエスタンブロット法、イムノクロマト法(金コロイド法)を用いる、又はビーズアレイと併用することもできる。
本発明のキットにおいては、各種サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体は、例えば、ビーズアレイ等に担持されたものであることが好ましい。ビーズアレイを用いた場合、採取した血液サンプルから一度に多数のサイトカイン等の濃度を簡易に検出できるように、キットをコンパクトな構成とすることができる。また、ビーズアレイを用いる以外に、ELISA、ウエスタンブロット法、イムノクロマト法(金コロイド法)を用いる、又はビーズアレイと併用することもできる。
本発明のキットは、各種サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体以外に他の構成要素を含むこともできる。他の構成要素としては、例えば1次抗体検出用試薬、発色基質、各種バッファー、血漿採取用の各種器機及び容器、抗原抗体反応に使用し得る各種容器、使用マニュアル等が挙げられる。具体的には、本発明のキットが、ビーズアレイ、ELISA、ウエスタンブロット法を利用するキットである場合は、他の構成要素としては、さらに1次抗体検出用試薬、発色基質等を挙げることができる。また、イムノクロマト法(金コロイド法)を利用するキットである場合は、金コロイド標識抗体や各種固相化抗体に加え、ニトロセルロースメンブレンやサンプルパッドやコンジュゲートパッド等を備えたテストスティック等を挙げることができる。
本発明のキットは、構成要素として少なくとも前述した各種サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を備えているものであればよい。従って、Th3マーチ関連疾患の診断等に用いる構成要素の全てを、当該抗体と共に備えているものであってもよいし、そうでなくてもよく、限定はされない。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<Th3マーチを利用した早期介入/未病先防>
定義と概説:
Th3マーチは本発明者により初めて明らかにされた。亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を経由するTh3マーチは細胞表面のBMP(骨形成タンパク質)とTGF-β1(新たにTGF-β1/Th3マーチと定義)によって、細胞に伝達されるカルシウムとリン、さらにIFNとIL-13(Znf)により制禦されている。特に、臨床的には年令によって病変のみられる順序が比較的に明瞭であった。Th3マーチは若令から順に、Th1生体反応依存性(骨疾患)、Th2生体反応依存性アトピー(結合組織の異常としての皮膚疾患)、及びTh3生体反応(重篤治癒阻害因子)とマーチした。その後のマーチは骨系あるいは結合組織系で年令と共にマーチする。このときに、臨床的に発病し、イヌ又はヒト若令性関節リウマチ(Th1骨組織系病)、イヌもヒトも3才でアトピー性皮膚炎(Th2結合組織系病)を現し、Th3系疾患に移行する。Th3生体反応性病はTh1生体反応とTh2生体反応が混在したものである。年令の進んだ時に見られるTh3生体反応性病は亜鉛ならびにZntの異常や欠損症(エラースダンロス症候群(EDS)など)を介することから、Th1又はTh2生体反応性病を重篤化しながら精神障害(双極性障害I型やII型、ヒトの精神遅発障害など)を併発し、例えば最重症アトピー(実施例参照)を誘導する。また、臨床的に骨系では骨ベーチェットから骨肉腫が誘導されることが指摘されている。Th1からTh2にシフトした骨吸収系疾患の例を図3に示した。
Th3マーチは本発明者により初めて明らかにされた。亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を経由するTh3マーチは細胞表面のBMP(骨形成タンパク質)とTGF-β1(新たにTGF-β1/Th3マーチと定義)によって、細胞に伝達されるカルシウムとリン、さらにIFNとIL-13(Znf)により制禦されている。特に、臨床的には年令によって病変のみられる順序が比較的に明瞭であった。Th3マーチは若令から順に、Th1生体反応依存性(骨疾患)、Th2生体反応依存性アトピー(結合組織の異常としての皮膚疾患)、及びTh3生体反応(重篤治癒阻害因子)とマーチした。その後のマーチは骨系あるいは結合組織系で年令と共にマーチする。このときに、臨床的に発病し、イヌ又はヒト若令性関節リウマチ(Th1骨組織系病)、イヌもヒトも3才でアトピー性皮膚炎(Th2結合組織系病)を現し、Th3系疾患に移行する。Th3生体反応性病はTh1生体反応とTh2生体反応が混在したものである。年令の進んだ時に見られるTh3生体反応性病は亜鉛ならびにZntの異常や欠損症(エラースダンロス症候群(EDS)など)を介することから、Th1又はTh2生体反応性病を重篤化しながら精神障害(双極性障害I型やII型、ヒトの精神遅発障害など)を併発し、例えば最重症アトピー(実施例参照)を誘導する。また、臨床的に骨系では骨ベーチェットから骨肉腫が誘導されることが指摘されている。Th1からTh2にシフトした骨吸収系疾患の例を図3に示した。
図3は、イヌの関節リウマチでの特徴的骨吸収を調べた結果である。亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を経由するTh3マーチは細胞表面のBMP及びTGF-β1を経路としてマーチする。イヌの遺伝子組換え型インターフェロン-γ(IFN-γ)治療経過と共に骨吸収が優位であったが(IFN-γ投与群)、その一方で骨吸収を調べたところ相互排他的にBAPは増強する臨床的発見をした。その後、治癒がみられると(図4)骨吸収と骨増生は均衡していた。しかしながら、その後Th3生体反応が増強し、臨床的にはアトピー性皮膚炎を誘導した。
図4では、単純X線所見は、Th1生体反応性疾患である骨吸収像(治療前)とリウマチ炎症による関節炎を示した。また、図4右図の治療後では、骨吸収と骨増生とが均衡したときの関節の改善像を示した。Th1関節炎を治療したところ(IFN-γ 4MUを関節内に直接投与)、関節周囲の浸潤と関節の炎症による透過性亢進像は著しく改善された。図4右図の治療後の所見では肘関節における滑車切痕は可視化され、著しい良化改善傾向が観察された(評価:治療前は散歩を嫌っていたが、散歩(5分程度)が可能となった。なお、同種正常犬における標準的散歩時間は30分以内である。)。
<アトピーにおけるサイトカインパネル検査の策定>
1.小児アトピー性皮膚炎のサイトカインパネル治療分類検査の項目
小児アトピー性皮膚炎のTh3マーチにおける評価と治療(早期介入・未病先防)の一元化によるサイトカインパネル検査に必要な検査の項目を下記表2に記載した。
1.小児アトピー性皮膚炎のサイトカインパネル治療分類検査の項目
小児アトピー性皮膚炎のTh3マーチにおける評価と治療(早期介入・未病先防)の一元化によるサイトカインパネル検査に必要な検査の項目を下記表2に記載した。
2.重症アトピー性皮膚炎のサイトカインパネル治療分類検査の項目
重症アトピー性皮膚炎の亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を利用したTh3マーチにおける評価と治療(早期介入・未病先防)の一元化によるサイトカインパネル検査に必要な検査の項目を下記表3に記載した。
重症アトピー性皮膚炎の亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を利用したTh3マーチにおける評価と治療(早期介入・未病先防)の一元化によるサイトカインパネル検査に必要な検査の項目を下記表3に記載した。
3、最重症アトピー性皮膚炎のサイトカインパネル治療分類検査の項目
哺乳類における最重症アトピー性皮膚炎の亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を利用した最も典型的な病態が形成され、臨床的には亜鉛又はZntに依存した精神障害を呈する。この関係はTh3マーチに織り込んでおかない限り、本発明の医薬組成物(「亜鉛の指Znf」と称することがある)による治癒は望めない。そこで、Th3マーチにおける評価と治療(早期介入・未病先防)の一元化によるサイトカインパネル検査に必要な検査の項目を検討して下記表4に記載した。なお、本発明の医薬組成物(「亜鉛の指Znf」)の詳細を表5に示した(以下、本願実施例において同様)。
哺乳類における最重症アトピー性皮膚炎の亜鉛細胞サイトカインシグナル伝達を利用した最も典型的な病態が形成され、臨床的には亜鉛又はZntに依存した精神障害を呈する。この関係はTh3マーチに織り込んでおかない限り、本発明の医薬組成物(「亜鉛の指Znf」と称することがある)による治癒は望めない。そこで、Th3マーチにおける評価と治療(早期介入・未病先防)の一元化によるサイトカインパネル検査に必要な検査の項目を検討して下記表4に記載した。なお、本発明の医薬組成物(「亜鉛の指Znf」)の詳細を表5に示した(以下、本願実施例において同様)。
<亜鉛シグナルTh3アトピー性皮膚炎のサイトカインパネル検査と治癒評価>
(血清中亜鉛濃度/精神遅発障害等、Th9アレルギーアトピー細胞/IL-9、BAP/BMP/TGF-β1を含んで診断や投薬を実施するキット。また、Znf活性化/IL-13を加えた治療評価:他の実施例を参照)
(血清中亜鉛濃度/精神遅発障害等、Th9アレルギーアトピー細胞/IL-9、BAP/BMP/TGF-β1を含んで診断や投薬を実施するキット。また、Znf活性化/IL-13を加えた治療評価:他の実施例を参照)
検体は9名分の軽度アトピー性皮膚炎の凍結血漿であった。
結果:サイトカインパネル治療分類検査の項目と、Th3マーチを利用した新規亜鉛の指Znfによる診断治療キット使用のための項目を表6に示した。
該当した項目を表中の塗り潰し(赤)で示した。このために最小広告に入れるべきサイトカインパネルの項目は、IL-1b、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-17、IL-13とIL-9(治療評価)、FGF、G-CSF、G-CSF、IP-10などであった。本実施例ではこの他の項目を含めて測定したものである。例えば、RANTES、VEGE(以上花粉症関連項目)や27種サイトカインパネルである場合を含むものである。
結果:サイトカインパネル治療分類検査の項目と、Th3マーチを利用した新規亜鉛の指Znfによる診断治療キット使用のための項目を表6に示した。
該当した項目を表中の塗り潰し(赤)で示した。このために最小広告に入れるべきサイトカインパネルの項目は、IL-1b、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-17、IL-13とIL-9(治療評価)、FGF、G-CSF、G-CSF、IP-10などであった。本実施例ではこの他の項目を含めて測定したものである。例えば、RANTES、VEGE(以上花粉症関連項目)や27種サイトカインパネルである場合を含むものである。
<Th3マーチ花粉症のTh3マーチある、いは花粉症のサイトカインパネル検査と治癒評価>
(哺乳類のTh9アレルギーアトピー細胞/IL-9、BAP/BMP/TGF-β1を含んで診断や投薬を実施するキット。また、Znf活性化/IL-13を加えた治療評価:他の実施例を参照)
(哺乳類のTh9アレルギーアトピー細胞/IL-9、BAP/BMP/TGF-β1を含んで診断や投薬を実施するキット。また、Znf活性化/IL-13を加えた治療評価:他の実施例を参照)
検体は58名分の花粉症の凍結血漿であった。
結果:(新定義のために実施した)サイトカインパネル治療分類検査の項目と、Th3マーチを利用した新規亜鉛の指Znfによる診断治療キッド使用のための項目を表に示した。
該当した項目を表中の塗り潰し(赤)で示した。このために最小広告に入れるべきサイトカインパネルの項目は、IL-1b、IL-1ra、IL2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17、Eotaxin、FGF、G-CSF、G-CSF、INF-γ、IP-10、MIP-1b、TNF-αなどであった(上記標準サイトカインパネルとは異なる)。また、早期介入療法ではTh1生体反応、インターフェロン-γ、IL-13とIL-9などは治療評価としてサイトカインパネルに含めて診断治療を一括して実施する。本実施例ではこの他の項目を含めて測定したものである。
結果:(新定義のために実施した)サイトカインパネル治療分類検査の項目と、Th3マーチを利用した新規亜鉛の指Znfによる診断治療キッド使用のための項目を表に示した。
該当した項目を表中の塗り潰し(赤)で示した。このために最小広告に入れるべきサイトカインパネルの項目は、IL-1b、IL-1ra、IL2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17、Eotaxin、FGF、G-CSF、G-CSF、INF-γ、IP-10、MIP-1b、TNF-αなどであった(上記標準サイトカインパネルとは異なる)。また、早期介入療法ではTh1生体反応、インターフェロン-γ、IL-13とIL-9などは治療評価としてサイトカインパネルに含めて診断治療を一括して実施する。本実施例ではこの他の項目を含めて測定したものである。
患者の例:花粉症に罹患した40台後半の男性の患者
結果:サイトカインパネルの有用性が確認され、Th3マーチを利用した早期介入薬剤キットの使用が可能となった。また、IL-4の産生もなく、血管障害が強く(VEGF、PANTES)TGF/FGFの異常があり、Th3マーチの抑制期にあることがサイトカインパネルから決定された。呼吸器系の軟骨と結合組織が脆弱化し、潜在的には血管透過性が強調された病態にあり、刺激(花粉)による症状発現(鼻汁など)がよく理解できる治療分検査でることが証明された。
<イヌのTh2-Th3シフトマーチEDSのサイトカインパネル検査と、本発明の医薬組成物による治癒の評価及びDNA修復能>
イヌのZnt遺伝子欠損病であるEDSのサイトカインパネル検査の確認結果を下記表9に示した。
イヌのZnt遺伝子欠損病であるEDSのサイトカインパネル検査の確認結果を下記表9に示した。
結果:典型的なTh3マーチの症例でアレルギーが強いことが観察された。本発明の医薬組成物で加療され、発毛と被毛の改善がみられた。
Znt又はZnfに影響するFDSのイヌの症例で、FGFも低値で臨床診断も含めEDSとサイトカインパネルで評価が可能であった。
<イヌのTh3マーチ関連疾患としてのEDSのサイトカインパネル検査と、本発明の医薬組成物の治癒の評価及びDNA修復能>
結果:やはりアトピーとは鑑別診断された。病態は別途の実施例を参照。
血清亜鉛濃度は低値であったが、臨床症状は改善された。Th9細胞が高く、逆にIP-10が低値な特徴がみられ、症例はTh3マーチにも合致して観察された(別途実施例参照)。
(Th3マーチのうちTh1-Th2マーチは別途実施例で示した。アトピーの治療阻害因子。)
血清亜鉛濃度は低値であったが、臨床症状は改善された。Th9細胞が高く、逆にIP-10が低値な特徴がみられ、症例はTh3マーチにも合致して観察された(別途実施例参照)。
(Th3マーチのうちTh1-Th2マーチは別途実施例で示した。アトピーの治療阻害因子。)
Claims (20)
- 亜鉛、カルシウム及びリンを含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物。
- さらに南瓜子及び南蛮毛を含む、請求項1記載の医薬組成物。
- ジンクフィンガーを活性化させるものである、請求項1又は2記載の医薬組成物。
- Th3マーチ関連疾患が、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物の投与を開始、継続、中断又は終了する、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防方法。
- 被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類を検査する方法。
- 被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思を決定する方法。
- 被験動物における血中のサイトカイン及び/又はケモカインの濃度を測定し、得られた測定結果を指標として、Th3マーチ関連疾患の診断方法。
- サイトカイン及びケモカインが、TGF-β1、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IFN-γ及びRANTESからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
- さらに血中の亜鉛濃度も測定する、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
- Th3マーチ関連疾患が、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 被験動物がヒト又は非ヒト動物である、請求項5〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 非ヒト動物がイヌである、請求項12記載の方法。
- サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防分類の検査用キット。
- サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防薬の使用意思決定用キット。
- サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体を含む、Th3マーチ関連疾患の診断用キット。
- サイトカイン及び/又はケモカインに対する抗体、並びに請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物を含む、Th3マーチ関連疾患の治療及び/又は予防用キット。
- 抗体がビーズアレイに担持されたものである、請求項14〜17のいずれか1項に記載のキット。
- Th3マーチ関連疾患が、アトピー性皮膚炎、エラースダンロス症候群、骨ベーチェット病、陽性肢端炎、外耳炎、胃炎、腸炎、喘息、濃皮症、過敏性肺炎、慢性気管炎、花粉症、アレルギー性鼻炎及びアナフィラキシーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項14〜18のいずれか1項に記載のキット。
- サイトカイン及びケモカインが、TGF-β1、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-13、IFN-γ及びRANTESからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項14〜19のいずれか1項に記載のキット。
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