JP2011254030A - アルミニウム多孔体を集電体として用いた電極、及びこれを用いたキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウムを主成分とする多孔体を集電体として用い、該アルミニウム多孔体からなる集電体に活性炭を主成分とする電極材料が充填されていることを特徴とするキャパシタ用電極。前記アルミニウム多孔体のアルミニウム含有量は95wt%以上であることが好ましい。また、前記アルミニウム多孔体の金属目付け量は150g/m2以上600g/m2以下であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
(2)前記アルミニウム多孔体のアルミニウム含有量が、95wt%以上であることを特徴とする上記(1)に記載のキャパシタ用電極。
(3)前記アルミニウム多孔体の金属目付け量が150g/m2以上、600g/m2以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のキャパシタ用電極。
(4)前記アルミニウム多孔体の平均孔径が、200μm以上、800μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のキャパシタ用電極。
(5)前記アルミニウム多孔体の厚さが0.2mm以上、3mm以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のキャパシタ用電極。
(6)アルミニウムを主成分とする多孔体を集電体として用い、該アルミニウム多孔体からなる集電体に活性炭を主成分とする電極材料を充填することを特徴とするキャパシタ用電極の製造方法。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。
(8)正極に上記(1)〜(5)のいずれかに記載のキャパシタ用電極を使用し、
負極に上記(1)〜(5)のいずれかに記載のキャパシタ用電極、又はニッケル多孔体を集電体とするキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。
また、アルミニウム多孔体の金属目付け量が少なすぎると、電気抵抗が高くなったり基材の強度が不足したりする。一方、金属目付量が多すぎるとめっきに要するコストが増えるため好ましくない。このため、前記アルミニウム多孔体の金属目付け量は150g/m2以上600g/m2以下であることが好ましい。
また、アルミニウム多孔体の厚さが薄すぎると、活性炭の充填量が減って容量が小さくなる。一方、厚すぎるとめっきのばらつきが大きくなったり電極作製工程で変形が大きくなって破損し、集電性が悪化して出力が下がるため好ましくない。このため、前記アルミニウム多孔体の厚さは0.2mm以上3mm以下であることが好ましい。
以下に、各構成とその製造方法についてより詳しく説明する。
−アルミニウム多孔体−
まず連通気孔を有する発泡樹脂を準備する。発泡樹脂の素材はアルミニウムの融点以下の温度で分解可能なものであれば任意の樹脂を選択できる。ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン等が発泡樹脂の素材として例示できる。なお発泡樹脂と表記したが、連通気孔を有するものであれば任意の形状の樹脂を選択できる。例えば繊維状の樹脂を絡めて不織布のような形状を有するものも発泡樹脂に代えて使用可能である。発泡樹脂の気孔率は80%以上98%以下、気孔径は200μm以上800μm以下とするのが好ましい。発泡ウレタンは気孔率が高く、また気孔の連通性、孔径の均一性があるとともに熱分解性にも優れているため発泡樹脂として好ましく使用できる。なお、下記工程を経て作製されるアルミニウム多孔体の気孔率(多孔度)は、発泡樹脂の気孔率とほぼ同じになる。
キャパシタの陰極用集電体として用いることができるニッケル多孔体について述べる。
ニッケル多孔体としては、例えば、発泡状ニッケルや、ニッケル繊維不織布など、連通気孔を有する構造体を好ましく用いることができる。多孔体の空間に活物質を充填して使用するため、気孔率(多孔度)は高いほうがよく、80%以上98%以下であることが好ましい。
発泡状ニッケルは、公知のウレタンシートにニッケルめっきを施した後に、ウレタンを焼却除去し、還元性雰囲気で加熱することによりニッケルを還元して得られる。ウレタンシートにニッケルめっきを施す際には、ウレタンシートを導電処理した後に電解ニッケルめっきをすればよい。導電処理はスパッタリングによりニッケルを被覆しても良いし、無電解ニッケルめっきやカーボン塗布により行ってもよい。
上記のようにして得られた集電体に電極材料を充填することによりキャパシタ用電極とすることができる。
まず、得られた集電体をローラープレスにより最適な厚さに調厚する。キャパシタ用電極とするためには、最終的に電極の厚さが100μm以上1500μm以下であることが好ましいため、以下の操作を行う前に、集電体の厚さを200μm以上3000μm以下としておくことが好ましい。
キャパシタの容量を大きくするために、主成分である活性炭の量は多いほうがよく、乾燥後(溶媒除去後)の組成比で活性炭が90wt%以上あることが好ましい。また、導電助剤やバインダーは必要であるが容量低下の要因であり、バインダーはさらに内部抵抗を増大させる要因にもなるため、できる限り少ないほうが良い。導電助剤は10wt%以下、バインダーは10wt%以下が好ましい。
上記のようにして得られた電極を適当な大きさに打ち抜いて2枚用意し、セパレータを挟んで対向させる。そして、必要なスペーサを用いてセルケースに収納し、電解液を含浸させる。最後に絶縁ガスケットを介してケースに蓋をして封口することにより電気二重層キャパシタを作製することができる。非水系の材料を使用する場合は、キャパシタ内の水分を限りなく少なくするため、キャパシタの作製は水分の少ない環境下で行い、封止は減圧環境下で行う。なお、本発明の集電体、電極を用いていればキャパシタとしては特に限定されず、これ以外の方法により作製されるものでも構わない。
また、負極は特に限定されず従来の負極用電極を使用可能であるが、アルミ箔を集電体に用いた従来の電極では容量が小さいため、前述の発泡状ニッケルのような多孔体に活物質を充填した電極が好ましい。
(集電体の作製)
発泡樹脂として、気孔率97%、気孔径約300μmのポリウレタンフォームを準備し、20mm角に切断した。ポリウレタンフォームの表面にアルミニウムを蒸着し、厚み15μmのアルミニウム層を形成した。アルミニウム層を形成した発泡樹脂を温度500℃のLiCl−KCl共晶溶融塩に浸漬し、−1Vの負電位を30分間印加した。
得られたアルミニウム多孔体は気孔径300μm、厚さ1.4mm、多孔度97%でありこれを集電体aとした。
ローラープレスのスリットを700μmに調節し、得られた集電体aを通し、厚さ0.72mmの集電体を得た。
活性炭粉末(比表面積2500m2/g、平均粒径約5μm)21wt%に、導電助剤としてケッチェンブラック1wt%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン粉末2wt%、溶媒としてN−メチルピロリドン75wt%を添加し、混合機で攪拌することにより、活性炭ペーストを調製した。乾燥してNMPを除去した後の組成比は、活性炭粉末92wt%、ケッチェンブラック3wt%、ポリフッ化ビニリデン粉末5wt%となった。
この活性炭ペーストを上記集電体aに、活性炭の含有量が30mg/cm2となるように充填した。実際の充填量は30mg/cm2であった。次に、乾燥機で200℃、1時間乾燥させて溶媒を除去した後、直径500ミリのローラープレス機(スリット:300μm)で加圧して実施例1の電極Aを得た。加圧後の厚さは470μmであった。
集電体として、アルミニウム箔(市販品、厚さ20μm)を用いた。実施例1で作製した活性炭ペーストをドクターブレード法により両面合計が8mg/cm2となるように塗着したが、接着強度が不十分であるため、活物質が十分にアルミニウム箔に接着できなかった。
そこで、ポリフッ化ビニリデンを乾燥後で20wt%になるように調整した以外は実施例1で作製したのと同様の活性炭ペーストを作製した。このペーストをドクターブレード法により、アルミニウム箔の両面に塗着し、乾燥及び加圧することにより、比較例1の電極Bを作製した。活性炭の塗着量は8mg/cm2、電極の厚みは、162μmであった。
集電体として、発泡状ニッケル(市販品、ニッケル目付400g/m2、多孔度96vol%、気孔径450μm、厚さ1.4mm)を用いた。これに実施例1で作製した活性炭ペーストを実施例1と同様にして充填した後、さらに加圧及び乾燥することにより、比較例2の電極Cを作製した。活性炭の充填量は29mg/cm2、加圧後の電極の厚さは475μmとなった。
実施例1、比較例1、2で得られた電極A〜Cをそれぞれ直径14mmに打ち抜き(2枚)、セルロース繊維製セパレータ(厚さ60μm、密度450mg/cm3、多孔度70%)を挟み、これらの電極を対向させた。この状態で180℃、12時間減圧下で乾燥した。その後、ステンレススチール製スペーサを用いてR2032サイズのコインセルケースに収納し、非水電解液にホウフッ化テトラエチルアンモニウムを1mol/Lとなるように溶解したプロピレンカーボネート溶液を、電極及びセパレータに含浸した。さらに、プロピレン製の絶縁ガスケットを介してケース蓋を締めて封口して、コイン形の試験用電気二重層キャパシタAA、BB、CC(それぞれ電極A〜Cに対応)を作製した。定格電圧は2.5Vとした。
実施例2として、正極に実施例1で作製した電極Aを、負極に比較例2で作製した電極C(ニッケル多孔体)を用いたキャパシタACを、上記キャパシタAA〜CCと同様の方法で作製した。
実施例1、2及び比較例1、2と同様のキャパシタをそれぞれ10個作製し、65℃で2.5Vの電圧を6時間印加してエージングを行った後、25℃にして2.5Vを開始電圧として1mAの電流で放電を行い、初期静電容量及び内部抵抗を調べた。単位面積当たりの静電容量、単位体積あたりの静電容量および内部抵抗の平均値を表1に示す。比較例2のキャパシタCCは、10セル全数でエージングの電圧が2.5Vまで達せず、放電もわずかな時間しかできなかったため、静電容量や内部抵抗を求められなかった。
次に、キャパシタ特性として重要な耐久性を調べた。高電圧で保持されたときの耐久性は、バックアップ用などの用途で重要である。なお、比較例2については以降の試験は実施していない。
65℃で2.5Vの電圧を印加しながら2000時間保持した。その後25℃にして静電容量と内部抵抗を測定し、初期からの静電容量と内部抵抗の変化率を調べた。結果を表2に示す。
別の耐久性評価法として充放電サイクル特性を調べた。サイクル特性はセルの寿命を現す重要な指標である。条件として、雰囲気温度45℃で0.5〜2.5Vの間で1mAの定電流による充放電サイクルを1万回繰り返し、1万サイクル後の放電容量及び内部抵抗を測定し、初期特性と比較して評価を行った。
その結果、静電容量の低下率は実施例1、2でそれぞれ9.6%,9.8%であったのに対して比較例2では12%低下した。内部抵抗は、実施例1と2でそれぞれ9.1%,9.2%の増加であったのに対して比較例2では13.5%増加した。
アルミニウムを含有させることによる耐電解性及び耐酸化性が向上に加え、多孔体を集電体に用いることで活性炭を骨格で保持することができ、繰り返しの充放電による活性炭の剥離などを防ぐことができるためと考えられる。
Claims (8)
- アルミニウムを主成分とする多孔体を集電体として用い、該アルミニウム多孔体からなる集電体に活性炭を主成分とする電極材料が充填されていることを特徴とするキャパシタ用電極。
- 前記アルミニウム多孔体のアルミニウム含有量が、95wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ用電極。
- 前記アルミニウム多孔体の金属目付け量が150g/m2以上、600g/m2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャパシタ用電極。
- 前記アルミニウム多孔体の平均孔径が、200μm以上、800μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のキャパシタ用電極。
- 前記アルミニウム多孔体の厚さが0.2mm以上、3mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のキャパシタ用電極。
- アルミニウムを主成分とする多孔体を集電体として用い、該アルミニウム多孔体からなる集電体に活性炭を主成分とする電極材料を充填することを特徴とするキャパシタ用電極の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。
- 正極に請求項1〜5のいずれかに記載のキャパシタ用電極を使用し、
負極に請求項1〜5のいずれかに記載のキャパシタ用電極、又はニッケル多孔体を集電体とするキャパシタ用電極を使用したことを特徴とするキャパシタ。
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