JP2011252613A - 冷蔵庫 - Google Patents

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淑子 近藤
Kumiko Suzuki
久美子 鈴木
Keiichi Takase
恵一 高瀬
Takahiro Ueno
孝浩 上野
Kimiyasu Honda
公康 本田
Toshiyuki Moriuchi
利幸 森内
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Abstract

【課題】機能付加装置から放出された機能性物質を、簡易的な方法で、貯蔵室内部に拡散させ、さらには放出量を調整することも可能である調整部材を備え、より効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】機能付加装置であるオゾン発生装置200、光源220に対して、それらを覆うように配置した調整部材を備えることによって、機能付加装置から発生した、例えばオゾンガスなどを貯蔵室に直ちに放出するのではなく、一旦調整部材内部の空間内に溜め込んだ後に放出することによって、放出量や、放出範囲を容易に調節することが可能となり、より効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、貯蔵室の内部に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、さらに機能付加装置の内部側に機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えた冷蔵庫に関するものである。
近年、家庭用冷蔵庫は、食品を保存する為の冷やす箱ではなく、保存過程において、より美味しく、安全に、健康的になるように、一連の冷却システムだけでなく、貯蔵室内の臭いを除去することによって保存している食品への臭い移りを防ぎ、美味しく保存するなど様々な機能を有する機能付加装置を備える傾向が進んでいる。
例えば、収納している保存物の栄養価を向上させる、貯蔵室内の浮遊菌やウィルスの増殖抑制や死滅させることによって安全性を向上させる、保存中の食品の酵素活性を高め機能性成分を増加させるなどの例が挙げられる。具体的には、発光ダイオード(以下LED)や光触媒デバイス、オゾン発生デバイス、超音波発生デバイスなど様々な機能性付加装置を備えた冷蔵庫が商品化されている。
従来、オゾン発生装置を備えた冷蔵庫がある(特許文献1参照)。
図10は特許文献1に記載された従来のオゾン発生装置を備えた冷蔵庫の装置を示したものである。
図10に示すように、冷蔵庫本体1に備えられた貯蔵室である冷蔵室3、野菜用冷蔵室4、切替室5、冷凍室6、またそれぞれの貯蔵室に備えられた扉であるヒンジ開閉式の冷蔵庫扉7、引き出し式の野菜室扉8、切替室扉9、冷凍室扉10である。また、切替室5には冷気流入路には脱臭・抗菌装置(抗菌手段、オゾン発生装置に相当)18が設けられ、冷気流出路にはオゾン処理装置19が設けられている。
また、切替室5は設定する温度帯を選択することにより、冷凍、パーシャル、チルド、野菜、高温野菜、ソフト冷凍、冷蔵、ワインのモードから使用者が適した設定温度に設定できるようになっている。
以上のように構成された冷蔵庫において、以下その動作について説明する。
バナナ、ナス、キュウリなどの冷やしすぎると変色、軟化、水膨れなどを起こす低温感受性果物を収納する際は、切替室5のモードを「高温野菜」に選択して切替室5にモード変更する。「高温野菜」にモード変更された切替室5は10〜15℃の温度に冷却すると同時に、冷気流入路に設置された脱臭・抗菌装置18を駆動しオゾンを発生させ、切替室に流入する冷気を抗菌処理を行うと同時に、冷気流出路に設置されたオゾン処理装置19を駆動させ、オゾンを分解処理し、人体に有害であるオゾンを無害化する。また、この際、発生したオゾンは冷気に含まれた状態で切替室5内に供給されるので、切替室5内はオゾンが充満するので、切替室5の空気あるいは野菜の表面のカビなどの雑菌が繁殖することを防止できる。このため、比較的高い冷蔵温度で保存されている低温感受性果物の鮮度を維持することができる。一方で、切替室5内のオゾン濃度が0.005ppm以下となるように脱臭・抗菌装置18のオゾン発生量が設定されており、切替室5の扉9を開放した使用者に影響がないとともにオゾン臭を感じたりすることがないようになっている。
特許第3920064号公報
しかしながら、上記従来の構成では、冷気流入路に設けられた脱臭・抗菌装置18から発生した低濃度のオゾンにより、切替室の脱臭や10〜15℃の設定温度で保存された野菜の表面のカビなどの雑菌の繁殖を防止することが出来るが、オゾン処理装置19は冷気流出路に設置されており、発生したオゾンは冷気の流れにのみ依存して移動するため、貯蔵室内全体に拡散させることは困難であり、貯蔵室内の食品全体に対して拡散性が良く、効果が行き渡らないという課題があった。またオゾン発生量の調整についても、それに対する新たな制御装置や検知手段を備えることが必要となり、構成が複雑となるという課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、例えばオゾン発生器のような機能付加装置から放出された機能性物質を、簡単な方法で、貯蔵室内部に拡散させることや、放出量を調整することが可能となる調整部材を備え、より目的に応じて効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能な冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室の内部に収納された保存物に対して保存状態を向上させるように作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えたものである。
これによって本発明では、機能付加装置が行う作用を、直接貯蔵室の内部に調整部材を備えることで、調整を行いやすく、貯蔵室内部に拡散させることや、放出量を調整することが可能となるものであり、機能付加装置の行う作用の目的に応じて効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能な冷蔵庫を提供することができる。
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能なので、より収納物の鮮度を良く保存することができる高品質の冷蔵庫を提供することが可能となる。
請求項1に記載の発明は、貯蔵室の内部に収納された保存物に対して保存状態を向上させるように作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えたことにより、機能付加装置が行う作用を、直接貯蔵室の内部に調整部材を備えることで、調整を行いやすく、貯蔵室内部に拡散させることや、放出量を調整することが可能となるものであり、機能付加装置の行う作用の目的に応じて効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能な冷蔵庫を提供することができ貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能なので、より収納物の鮮度を良く保存することができる高品質の冷蔵庫を提供することが可能となる。すなわち、機能付加装置から発生した機能性物質、例えばオゾンのようなガスが貯蔵室の内部に作用する際に貯蔵室側で簡単に調整を行うことができるので、効率良く拡散し、また適切な範囲に放出することを可能とし、貯蔵室の内部に収納された保存物に対して、より効果的に作用する。
請求項2に記載の発明は、機能付加装置は光源であり、調整部材が前記光源から照射された光が貯蔵室内へ照射される光量を調整する、もしくは前記光源から照射された光が貯蔵室内へ照射される照射範囲を調整するものであることにより、機能付加装置から発生した機能性物質を一旦効果的に蓄積した後に貯蔵室内部に効率よく拡散される。また、機能
付加装置が高電圧を伴う、あるいは、紫外強度が強いなど、人体に対して危険が伴う可能性のある場合には、調整部材が保護作用を発揮し、作業者に対してより安全な仕様となる。
請求項3に記載の発明は、機能付加装置はオゾン発生装置であり、調整部材によって前記オゾン発生装置から発生したオゾンが貯蔵室内へ放出するオゾン量を調整する、もしくは前記オゾン発生装置から発生したオゾンが貯蔵室内へ放出する際のオゾン放出範囲を調整するものであることにより、貯蔵室内部のオゾン濃度を最適にすること、さらにはオゾンを貯蔵室内部の隅々まで拡散させることが可能となり、より効果的に機能付加をすることが可能となる。
請求項4に記載の発明は、機能付加装置は光源であり、調整部材が前記光源から照射された光が貯蔵室内へ照射される光量を調整する、もしくは前記光源から照射された光が貯蔵室内へ照射される照射範囲を調整するものであることによって、貯蔵室内部に収納された食品に対して最適な強度の光を与えること、さらに照射範囲を調節することが可能となり、より効果的に機能付加をすることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、機能付加装置はミスト発生装置であり、調整部材が前記ミスト発生装置から噴霧されるミスト量を調整する、もしくは前記ミスト発生装置から噴霧されるミストの噴霧範囲を調整するものであることにより、貯蔵室内部のミスト量を最適にすること、さらにはミストを貯蔵室内部の隅々まで拡散させることが可能となり、より効果的に機能付加をすることが可能となる。
請求項6に記載の発明は、調整部材を前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に複数備えることにより、機能付加装置より発生した機能性物質が、複数の調整部材によって一旦効果的に蓄積された後に、貯蔵室内部に拡散されることによって、貯蔵室内部の保存物に対してより効果的に作用することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、貯蔵室の内部が複数の収納区画に区画されており、調整部材は、前記複数の収納区画の中で最も容量の大きい区画の上部に位置することにより、貯蔵室内部の保存物が多く存在する部位に対して効果的に機能性物質を拡散させることが可能となる。
請求項8に記載の発明は、複数の断熱区画を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に備えられた冷蔵温度帯に庫内温度が保たれた冷蔵温度帯貯蔵室と、冷凍温度帯に庫内温度が保たれた冷凍温度帯貯蔵室とを有し、前記冷蔵温度帯貯蔵室の冷却を行うための冷蔵用蒸発器と、前記冷凍温度帯貯蔵室の冷却を行うための冷凍用蒸発器とを有し、前記冷蔵用蒸発器によって冷却された冷気が流れる風路中のいずれかに貯蔵室の内部に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えることによって、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵室に対してその作用効果が最も高くなるようにしたことを特徴としている。これにより、これにより、冷蔵温度帯の貯蔵室の抗菌やおよび食品の抗菌による保存性向上および食品に付着した農薬等の有害物質を低減し、より食品の安全性を高めることが可能である。
また、最も下方に位置する貯蔵室のオゾン濃度が最も高くなることで、食品の出し入れによってオゾンが冷蔵庫外へ流出した場合でも、高い濃度のオゾンを速やかに下方へ流出させることができ、より安全性の高い冷蔵庫を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明は、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵室内
にオゾン発生装置を備えた冷蔵庫である。
これにより、最も下方に位置する貯蔵室内に直接オゾン発生装置を備えることで、確実に冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵室のオゾン濃度が最も高くなるようにすることができる。
請求項9に記載の発明は、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵室内に貯蔵室の内部に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えたことを特徴としている。これにより、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵区画内に直接オゾン発生装置を備えることで、確実に冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵区画のオゾン濃度が最も高くなるようにすることができる。
請求項10に記載の発明は、冷蔵温度帯貯蔵室の内部において、最も下方に位置する貯蔵区画内に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えたことを特徴としている。これにより、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵区画内に直接オゾン発生装置を備えることで、確実に冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵区画のオゾン濃度が最も高くなるようにすることができる。
請求項11に記載の発明は、冷蔵温度帯貯蔵室の中で冷蔵冷却風路の最も下流側に位置する貯蔵区画内に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えたことを特徴としている。これにより、冷蔵冷却風路の最も下流側に位置する貯蔵区画が各貯蔵区画の雑菌等が含まれた冷気が流入するために、雑菌の繁殖しやすい環境であるにもかかわらず、オゾンで集中的に抗菌を図ることができ、より確実に冷蔵温度帯の貯蔵室の抗菌やおよび食品の抗菌による保存性向上および食品に付着した農薬等の有害物質を低減し、より食品の安全性を高めることが可能である。
請求項12に記載の発明は、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も温度の高い貯蔵室もしくは貯蔵区画に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えたことを特徴としている。これにより、温度の高いゆえに、雑菌の繁殖しやすい環境であるにもかかわらず、オゾンで集中的に抗菌を図ることができ、より確実に冷蔵温度帯の貯蔵室の抗菌やおよび食品の抗菌による保存性向上および食品に付着した農薬等の有害物質を低減し、より食品の安全性を高めることが可能である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、食品貯蔵庫を示す正面図である。同図に示すように、食品貯蔵庫100は、3つの扉111a,111b,111cとを備える冷蔵庫であり、断熱箱体170により形成される貯蔵室は、三つに区画されている。
食品貯蔵庫100は、区画された貯蔵室として、上部より冷蔵室110と、野菜室120と、冷凍室130とを備えている。同図において、矩形の破線がそれぞれの貯蔵室の開口を表しており、貯蔵の対象である食品は、棚状に区画された断熱箱体170内に前方より搬入され、また、搬出されるものとなっている。
また、食品貯蔵庫100は、断熱箱体170を密閉可能、かつ、開閉可能な扉111を
備えている。具体的には、食品貯蔵庫100は、冷蔵室110を開閉可能な扉111a、および野菜室120を開閉可能な扉111bと、冷凍室130を開閉可能な扉111cとを備えており、扉111a,111b,111cは、ヒンジにより開閉可能に断熱箱体170に取り付けられている。
断熱箱体170は、外方と内方とを断熱する機能を備えており、同図楕円内に示すように、ABSなどの樹脂で真空成型された内箱171と、プリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱172と、内箱171と外箱172との間に配置される断熱材173で構成されている。また、扉111も同様に内板と外板と断熱材173とで構成されている。
図2は、実施の形態の食品貯蔵庫100の縦断面図である。
同図に示すように、食品貯蔵庫100は、機能付加装置としてオゾン発生装置200と、光源220、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材210とを備えている。また、食品貯蔵庫100は、収納容器121と、蓋122とを野菜室120の内方に備えている。
機能付加装置であるオゾン発生装置200は、貯蔵室内に配置される収納容器121に供給するオゾンを発生させることができる装置である。オゾン発生装置200は、冷蔵室110と野菜室120とを仕切る断熱壁115の下面側に野菜室120の内方に向けて埋設されている。従って、オゾン発生装置200は、後述の収納容器121の開口部127の上方に配置され、収納容器121の開口部127から離間した位置で、かつ、開口部127を臨む位置に配置されている。
このようにオゾン発生装置を断熱壁115に埋設することで、野菜室120の温度変化によってもオゾン発生装置200の温度が変化しにくくなり、オゾン発生効率を安定して維持することが可能となる。
ここで、オゾン発生装置200は、オゾンを発生させる装置であれば特に限定されるものではない。具体的には、空気中の酸素分子(O)に紫外線光を照射してオゾン(O)を発生させる装置や、空気中に配置された電極を高電圧とし、放電等によって空気中の酸素分子をオゾンに変換する装置、水など酸素を含む物質を電気分解して空気中にオゾンを供給する装置などが例示できる。
図3は、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材210付近を含む冷蔵庫の断面図である。
機能付加装置の作用を調整する為の調整部材は、機能付加装置であるオゾン発生装置200の貯蔵室の内部側に配置され、オゾン発生装置200と貯蔵室とを仕切る薄板からなるカバー部材210であり、図3に示すように、下面部前方に放出孔211が多数設けられた逆四角錐台形状のカバー部材210である。この場合には調整部材であるカバー部材210は多数の放出孔211を備えることで、機能付加装置であるオゾン発生装置200から発生したオゾンが貯蔵室である野菜室120内へ放出するオゾン量を調整することができる。すなわち、この放出孔211の大きさや数で野菜室120内へ流入するオゾンの量が決まる。また、この放出穴211が備えられる箇所によってオゾン発生装置200から発生した野菜室120内へ放出する際のオゾン放出範囲を調整することができる。
このように、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材210は、断熱壁115に埋設されるオゾン発生装置200を覆うようにして断熱壁115の下面部すなわちオゾン発生装置200よりも野菜室120の内部側に取り付けられることで、オ
ゾン発生装置200と野菜室120の収納空間とを仕切っている。
また、カバー部材210は、下面部後方に吸入孔212が多数設けられていることで、オゾン発生装置200の野菜室120内へのオゾンの放出量および放出範囲を調整している。
具体的には、調整部材カバー部材210の下面部は、中央部付近には放出孔211が存在しない貯留部210aが形成され、この貯留部210aの左右側に放出孔211が位置するように配置されている。従って、オゾン発生装置200から発生したオゾンは、放出孔211が存在しない調整部材であるカバー部材210の中央付近に位置する貯留部210a付近に一旦蓄積されるが、徐々に空気よりも比重の重いオゾンがカバー部材210の下面部全体に拡散してやがて貯留部210aの左右に配置された放出孔211から下方に向かって放出されるものとなる。さらに放出孔211は複数存在することから、食品貯蔵庫100の全体に拡散することが可能となる。
一方、貯蔵室の前後方向において中央よりも後方側に配置される吸入孔212は、主として機能付加装置の作用を調整する為のカバー部材210の外からの冷気を吸い込む通気口として機能する。本実施の形態の場合、当該吸入口212は、後述の冷気吐出口213の近傍である貯蔵室の後方側に位置するため、比較的乾燥した状態の冷気を吸い込むことになる。従って、調整部材であるカバー部材210の上部側すなわちカバー部材210内方の湿度を低く維持することができ、オゾン発生装置200におけるオゾンの発生効率をは湿度が低い程効率が良くなるために、オゾン発生効率を高い状態で維持することが可能となる。これらの乾燥した冷気の導入に加えて、さらに本実施の形態では、野菜からの蒸散で高湿度となる収納空間である収納容器121とオゾン発生装置200との間を仕切るように調整部材であるカバー部材210を備えることで、カバー部材210よりも上部すなわちオゾン発生装置200周辺をさらに低湿度に維持することが可能となり、オゾン発生効率を高い状態で維持することができる。
また、オゾン発生装置200として高電圧を印加させることでオゾンを発生させるものとした場合、貯蔵室内の温度分布において、貯蔵室外から冷気が流入するために低温度となる冷気吐出口213近傍にオゾン発生装置200を備えることで、オゾン発生装置200の近傍が低温となることにより、低温である程オゾンの発生効率を高めることが可能となるため、高い効率でオゾンを発生させることが可能となる。従って、オゾン発生に必要な電力消費を抑えた上で必要なオゾン量を発生することができ、省エネルギーに寄与した上でオゾンの鮮度保持効果を発揮することが可能となる。
さらに、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材210は、オゾン発生装置200のオゾン発生効率と、吸入孔212によりカバー部材210内方に流入する酸素量と、放出孔211から流出するオゾン量との関係で野菜室120のオゾン濃度を調整することが可能である。つまり、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材は、設計段階で調整部材に設けられる放出孔211の総開口面積が決定されることにより、野菜室120の容量を考慮してオゾン濃度をある程度調整することができる。具体的には、放出孔211が多い(総開口面積が広い)と、オゾンの流出量が多くなり、野菜室120のオゾン濃度は高くなる。また、オゾンの流出量に比例して酸素の流入量が増加するため、オゾン発生装置200の能力の限界まで、放出孔211の数と野菜室120のオゾン濃度は比例する。逆に放出孔211が少ない(総開口面積が狭い)と、オゾンの流出量が少なくなり、野菜室120のオゾン濃度は低くなる。
また、調整部材であるカバー部材210の放出孔211の取り付け角度や位置を工夫したり、またカバー部材210を可動式にすることによって、さらに機能性物質の放出量や
放出角度を調整することが可能となり、より効果的に保存物の機能性を向上させることが可能となる。
なお、上記機能付加装置の作用を調整する為の調整部材は、自然対流によりオゾンを流出し酸素を流入していたが、ファンを使って強制的にオゾンを流出させ酸素を取り入れるようにしてもかまわない。また、収納容器121内のオゾン濃度を計測できるようにオゾン濃度計を配置し、当該オゾン濃度計からの情報に基づきオゾン発生装置200のオゾン発生量を調整(例えば前記ファンのON、OFF)することで、収納容器121内のオゾン濃度を所定の範囲内に保つものとしてもよい。
食品の貯蔵室である野菜室120や収納容器121内のオゾン濃度は0.05ppm以下で維持することが望ましい。これよりオゾン濃度が高いと、収納容器121を引き出す際や、収納容器121容器から野菜などの食品を取り出す際に、これらの作業を行う使用者の人体に対し何らかの影響を与えるおそれがあるからである。さらに、望ましくは0.03ppm以下で維持することが望ましい。これよりオゾン濃度が高い場合は、オゾンの独特な臭気により前記作業を行う使用者が不快な思いをする可能性があるからである。
本実施の形態においては、さらに機能付加装置として、光源220を備えているので、次にこの機能付加装置としての光を照射する光源220とこの光源220の光を調整する調整部材について説明を行う。
光源220は、貯蔵室である野菜室120に貯蔵される食品に対し、その食品の持つ例えばビタミンCなどの機能性成分を増加させるような生体防御反応を促進させる作用を有するものである。本実施の形態の場合、光源220にはLEDが採用されている。LEDは発熱量が小さく、貯蔵空間内の温度上昇を防ぐことが可能であり、食品の保存性を安定させることができることや、ランニングコストが安く、その上耐久性に優れておりコンパクト設計が可能なことから、汎用性が高く、冷蔵庫の仕様として望ましい。
また、光源220は、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材210の上方に配置されており、カバー部材210で囲まれるように配置されている。これによって、野菜室120内の収納空間と光源220との間が仕切られることで、高湿度の野菜室120の湿気によって光源220が結露することにより所定の波長の光が吸収され機能性成分の増加効率が悪くなることを防止することもできる。
このように光源220からの光を調整する調整部材としてカバー部材210の中でも照射調整部210bを備えている。この照射調整部210は、機能付加装置である光源220が放出する光のなかで、必要な波長の光を十分に透過できる材質で構成されることが望ましい。例えば、エポキシ、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの光透過性の樹脂である透明樹脂のうち、一つの材料を用いるものである。もしくは前記光透過性の樹脂を複数組み合わせた複合材料をベース材として形成されるものは、拡散性を持つため適している。
機能付加装置である光源220が放出する波長は、貯蔵室に貯蔵される食品に対して生体防御反応を促進させ、ビタミンCやポリフェノールなど機能性成分の増加を促進しうる所定の波長領域を含むように設定されている。
具体的には光源220の波長範囲は380nm〜800nmの波長が好ましく、例えば、比較的人体に対して安全な範囲の波長である280nm〜400nmの紫外線領域の波長を含むことによって、保存物がきのこ類であった場合には、ビタミンDの前駆物質であるエルゴステロールを多く含むため、それらにこれらの波長が照射されることで分子が励
起され、ビタミンDへと変換されるため、ビタミンD含有量を高めながら保存することが可能であり、栄養価が向上する。これらの効果は、魚の場合、特に、鯖や鰯などの青魚などでも同様である。また、アントシアニンを含む葡萄やりんごやいちごなどの果物類や野菜類において、ポリフェノールを増加させながら保存することが可能となる。従って、食品の機能性を高めながら保存することが可能となり、冷蔵庫の機能的価値が向上する。
また、野菜や果物に付着している残留農薬は紫外線を含む波長の光源を照射することによって、光分解反応を生じ、毒性が低減する効果があることから、より安全に保存することが可能である。
また、特に400nm〜500nm付近にピーク波長を持つ青色を用いると、紫外線波長と比較して冷蔵庫によく用いられる合成樹脂などの劣化を防ぐことができ、さらには長期保存食品に対する脂質酸化などの品質劣化を抑えた上で、青色波長特有の作用として菌や黴の繁殖を抑制する効果を有するため、冷蔵庫の庫内および保存物や青果物の表面を清潔に保持することを可能とする。また、青色が有する清涼感によって使用者にクリーンなイメージを与えるといった官能的な効果もある。
さらに、500nm〜600nmの波長の緑色を用いると、紫外線波長と比較して冷蔵庫によく用いられる合成樹脂などの劣化を防ぐことができる上に、緑色波長特有の作用として青果物の内部まで光が浸透するので、青果物の内部に働きかけて内部側からの生体防御反応を促進することができ、よりビタミン等の栄養素を増加させることが可能となる。
よって、青色波長と緑色波長を組み合わせた光を光源220から発光すると、青果物の表面を青色波長の光で菌の繁殖を抑制し、さらに青果物の中まで浸透する緑色波長で青果物の内部の生体防御反応を促進することができ、より青果物の保存性を向上させることが可能である。
また、光源の照射方法に関しては、連続照射でも上記効果が得られるが、光源を点滅照射することによって、より刺激が強くなるために、青色においては菌の繁殖を抑制する効果が増加し、また青色光によって青果物表面の生体防御反応を促進することができる。同様に緑色においては内部からの生体防御をより促進することが可能となるので、効果的な照射方法である。
なお、本実施の形態では、光源220としてLEDを用いたが、特にこれに限定されるわけではなく、連続的なスペクトルの光を放出する光源220でもかまわない。また、異なる波長の光を放出する複数のLEDを複合的に備えるものを光源220として採用すると、より複層的な効果を得ることが可能である。
なお、本実施の形態では、貯蔵室の内部の収納容器121を複数備えることによって複数の収納区画に区画されている。図5に示すように野菜室120内の収納容器121の中でも最も大きい収納区画である下容器121aと、下容器121aの上部に備えられる上容器121bが備えられており、これらの複数の収納容器121によって収納区画に区画されている。貯蔵室の内部が複数の収納区画に区画されており、機能付加装置としてのオゾン発生装置200および調整部材であるカバー部材210は、複数の収納区画の中で最も容量の大きい区画の上部に位置させている。すなわち、野菜室中央よりやや前面に近い付近である。これによって、一般的にフルーツケースとして用いられる上容器121bに遮られることなく、オゾンがまずは下容器121aに広範囲に拡散し、より効果的に保存物の機能性を高めることを可能とする。
また、光源220の取り付け位置については、本実施の形態では野菜室120のより後
方側でフルーツケースとして用いられる上容器121bの上方側に位置するように配置している。この場合には、上容器121bは光透過性の材料からなるものとしている。このように光透過性の材料であれば、容器によって拡散性が阻害される影響が少なく、例えば上記オゾンのような気体で冷気と共に対流することで拡散するものであれば容器に物理的に衝突して拡散が阻害されるが、光の場合は、多少屈折等が生じるものの冷気とともに対流するタイプの機能付加装置で作用するものと比較すると影響が小さく、上容器121bを介して下容器121aに照射することで、野菜室120の貯蔵空間全体に光が拡散することが可能となるため、必ずしも最も大きい収納区画である下容器121aの直上部に配置しなくてもよい。
さらに、食品貯蔵庫100は、図示しない冷却手段140を備えている。本実施の形態の場合、冷却手段140は、2つの冷却器を備える冷却サイクルで構成されている。具体的には、冷蔵室110の奥面部の裏側に第一の冷却器112を備えている。冷蔵室110の奥面部は冷却器112からの熱伝導によって冷却される。冷蔵室110内の空気は、この冷却された奥面部により冷却される。
また、第二の冷却器112は、冷凍室130の奥面の裏側に備えられている。冷凍室130内は、第二の冷却器112を強制的に通過されて冷やされた冷気によって冷却されるようになっており、食品などを冷却した冷気は再び第二の冷却器112に戻るものとなっている。
図4に示すように、第二の冷却器112から放出される冷気は、冷気吐出口213を介し野菜室120にも供給される。野菜室120は、ダンパーの開閉制御により供給される冷気の量が制御され、冷蔵室110の温度帯と冷凍室130の温度帯との間の温度帯に維持される。具体的には4℃以下0℃以上の範囲内の温度に維持されるように制御される。
また、第二の冷却器112から放出される冷気は、冷気吐出出口213を介し、野菜室120に供給される際に、オゾン発生器など機能付加装置の作用によって、効果的に機能を付加されている。すなわち、オゾンによって雑菌が死滅し、クリーンになった冷気のみが野菜室120に拡散し、野菜室120内の浮遊菌を死滅させることも可能となる。さらに、野菜室120を拡散した冷気は、吸入口214を介し、冷凍室130外側の第二の冷却器112によって再び冷却されるようになっている。従って、野菜室120内および冷凍室130内には常にオゾンが循環されるようになっており、非常に清潔な空間であることから、食品を安全に保存することが可能となる。
図5は、食品容器および蓋を示している。
収納容器121は、下容器121aと上容器121bとからなり、貯蔵室である野菜室120内に配置され引き出し可能で上方に開口部を有する箱体である。
蓋122は、収納容器121の開口部を閉塞する板状の部材であり、通過孔124と、調整孔125とを備え、第二の調整部材としての役割を担っている。すなわち第一の調整部材であるカバー部材210に加えて、さらに第一の調整部材よりも貯蔵室である野菜室120の内部側に第二の調整部材として蓋122が備えられている。
すなわち、一旦オゾン発生器などの機能付加装置の作用によって、調整部材を介して拡散されたオゾンはさらに蓋122上部に蓄積し充填した後に、通過孔124、調節孔125より食品容器内にさらに均一化されて拡散される。また、蓋122は、光源220が放出する光の内、必要な波長の光を十分に透過できる材質で構成されているため、光による食品に対する効果は十分維持できる。さらに、蓋122は、収納容器121内の湿度を調
節する機能を備えるものであり、具体的には、収納容器121内に貯蔵される野菜から蒸散される湿気をある程度収納容器121内に維持しながら、収納容器121内で前記湿気が結露しない程度に湿度を調節する。
このように、本実施の形態では、機能付加装置であるオゾン発生装置200、光源220に対して、それらを覆うように配置した調整部材を複数備えることによって、機能付加装置から発生した、例えばオゾンガスなどを貯蔵室に直ちに放出するのではなく、複数の調整部材を介した後に放出されることによって、より精度よく放出量の調整や、放出範囲を調節することが可能となり、より効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能となる。
なお、本実施の形態では野菜室120には収納容器121を備えているが、本願発明はこれに限定されるわけではなく、収納容器121やその蓋がない野菜室120に直接食品を保存するものでもかまわない。
また、機能付加装置をオゾン発生装置、LEDとしたが、超音波発生器でも、ミストを噴霧するミスト発生デバイスなど、様々な機能付加を可能とするデバイスでも良い。
また、貯蔵室170を固定的な断熱壁115により区画したが、特に断熱壁で区画する必要がない場合には、断熱材に限定しない仕切壁で区画しても良い。
(実施の形態2)
図6は実施の形態2の冷蔵庫の扉を外した状態の斜視図であり、図7は同実施の形態の冷蔵庫の冷蔵室の縦断面図である。
図6、図7に示すように、本実施の形態の冷蔵庫は、冷凍室内箱301と、冷蔵室内箱302によって内部を冷凍室303と冷蔵室304に分割され、背面下部に圧縮機(図示せず)と凝縮器305を収納する機械室306を備えた冷蔵庫本体307及び、ヒンジ開閉式の冷凍室扉(図示せず)及び冷蔵室扉108から構成されており、内部に圧縮機、凝縮器305、切替弁(図示せず)、第1の減圧手段(図示せず)、第2の減圧手段(図示せず)冷凍用蒸発器(図示せず)、冷蔵用蒸発器309とからなり、内部に炭化水素ガスなどの冷媒を封入した冷凍システムを備えている。
冷蔵室304内部には、第1の仕切り棚310、第2の仕切り棚311、第3の仕切り棚312及び第1の収納ケース313、第2の収納ケース314、第3の収納ケース315を備えており、冷蔵室304内部を7つの区画に分割している。
さらに、冷蔵室304内部背面には、冷蔵室304内に冷気を循環させるための冷却風路316及びファン317を備えており、冷却風路316は冷気を吹き出す第1の吹き出し口318、第2の吹き出し口319、第3の吹き出し口320及び第4の吹き出し口321と、戻り空気を吸い込む第1の吸い込み口322、第2の吸い込み口323及び第3の吸い込み口324を備えている。
また、第3の収納ケース315上部には、収納ケース315の開口部325をほぼ閉塞させるように仕切り板326を備えており、仕切り板326には機能付加装置としてオゾン発生装置327と、光源328、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材329とを備えている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
冷蔵庫運転中、圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器305で冷却、凝縮し、液冷媒となる。凝縮器305で凝縮した冷媒は、切替弁により第1の減圧手段または第2の減圧手段へと流れ、減圧され低圧低温の気液二層冷媒となる。
ここで、第1の減圧手段へと流れた冷媒は、冷凍用蒸発器を流れ、冷凍室303内で蒸発することにより蒸発気化熱により冷凍室303内を冷却し、圧縮機に再び吸い込まれる。
また、切替弁によって第2の減圧手段へと流れた冷媒は、冷蔵用蒸発器309から冷凍用蒸発器へと流れ、冷蔵室304及び冷凍室303内で蒸発することにより、蒸発気化熱により冷蔵室304及び冷凍室303内を冷却し、圧縮機に再び吸い込まれる。
ここで、冷蔵用蒸発器309内の液冷媒の蒸発気化熱により得られた冷気は、ファン317により、冷却風路316内を流れ、第1の吹き出し口318、第2の吹き出し口319、第3の吹き出し口320及び第4の吹き出し口321から吹き出されることによりそれぞれの区画を冷却する。
また、第2の収納ケース314及び第3の収納ケース315内は、それ以外の区画を冷却した戻り空気がケース内外を流れることにより冷却される。
そして、第1の吸い込み口322、第2の吸い込み口323及び第3の吸い込み口324から吸い込まれた比較的高温の戻り空気は、冷蔵用蒸発器309内の液冷媒を温度差により蒸発させるとともに熱を奪われ低温となり、再びファン317により庫内へと導かれ、各区画を冷却する。
機能付加装置であるオゾン発生装置327は、貯蔵室内に配置される収納ケース315に供給するオゾンを発生させることができる装置である。オゾン発生装置327で発生したオゾンは空気より分子量が重いため、食品容器315の下面に溜まりやすい傾向があり、より食品容器315内に充満しやすい構成となっている。
ここで、オゾン発生装置327は、オゾンを発生させる装置であれば特に限定されるものではない。具体的には、空気中の酸素分子(O)に紫外線光を照射してオゾン(O)を発生させる装置や、空気中に配置された電極を高電圧とし、放電等によって空気中の酸素分子をオゾンに変換する装置、水など酸素を含む物質を電気分解して空気中にオゾンを供給する装置などが例示できる。
図8は、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材329付近を含む収納ケース315の断面図であり、図9は、調整部材であるカバー部材209の断面図である。
機能付加装置の作用を調整する為の調整部材は、機能付加装置であるオゾン発生装置327の貯蔵室の内部側に配置され、オゾン発生装置327と貯蔵室とを仕切る薄板からなるカバー部材329であり、図9に示すように、下面部前方に放出孔331が多数設けられた逆四角錐台形状のカバー部材329である。この場合には調整部材であるカバー部材329は多数の放出孔331を備えることで、機能付加装置であるオゾン発生装置327から発生したオゾンが貯蔵室である収納ケース315内へ放出するオゾン量を調整することができる。すなわち、この放出孔331の大きさや数で収納ケース315へ流入するオゾンの量が決まる。また、この放出孔331が備えられる箇所によってオゾン発生装置327から発生した収納ケース315内へ放出する際のオゾン放出範囲を調整することができる。このように、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材329は、仕切り板326に埋没される機能付加装置としてのオゾン発生装置327と、光源3
28の貯蔵室315内部側に配置され、それらを覆うようにして取り付けられることによって、オゾン発生装置327と収納ケース315との収納空間とを仕切っている。
また、カバー部材329は、下面部後方に吸入孔332が多数設けられていることで、オゾン発生装置327の収納ケース315内へのオゾンの放出量および放出範囲を調整している。
具体的には、調整部材カバー部材329の下面部は、中央部付近には放出孔331が存在しない貯留部329aが形成され、この貯留部329aの左右側に放出孔331が位置するように配置されている。従って、オゾン発生装置327から発生したオゾンは、放出孔331が存在しない調整部材であるカバー部材329の中央付近に位置する貯留部329a付近に一旦蓄積されるが、徐々に空気よりも比重の重いオゾンがカバー部材329の下面部全体に拡散して、やがて貯留部329aの左右に配置された放出孔331から下方に向かって放出されるものとなる。さらに放出孔331は複数存在することから、食品貯蔵庫100の全体に拡散することが可能となる。
一方、貯蔵室の前後方向において中央よりも後方側に配置される吸入孔332は、主として機能付加装置の作用を調整する為のカバー部材329の外からの冷気を吸い込む通気口として機能する。本実施の形態2の場合、当該吸入口332は、後述の冷気吐出口321の近傍である貯蔵室の後方側に位置するため、比較的乾燥した状態の冷気を吸い込むことになる。従って、調整部材であるカバー部材329の上部側すなわちカバー部材329内方の湿度を低く維持することができ、オゾン発生装置327におけるオゾンの発生効率は湿度が低い程効率が良くなるために、オゾン発生効率を高い状態で維持することが可能となる。これらの乾燥した冷気の導入に加えて、さらに本実施の形態2では、野菜からの蒸散で高湿度となる収納空間である収納ケース315とオゾン発生装置200との間を仕切るように調整部材であるカバー部材329を備えることで、カバー部材329よりも上部すなわちオゾン発生装置327周辺をさらに低湿度に維持することが可能となり、オゾン発生効率を高い状態で維持することができる。
また、オゾン発生装置327に高電圧を印加させることでオゾンを発生させるものとした場合、貯蔵室内の温度分布において、貯蔵室外から冷気が流入するために低温度となる冷気吐出口321近傍にオゾン発生装置327を備えることで、オゾン発生装置327の近傍が低温となることにより、低温である程オゾンの発生効率を高めることが可能となるため、高い効率でオゾンを発生させることが可能となる。従って、オゾン発生に必要な電力消費を抑えた上で必要なオゾン量を発生することができ、省エネルギーに寄与した上でオゾンの鮮度保持効果を発揮することが可能となる。
さらに、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材329は、オゾン発生装置327のオゾン発生効率と、吸入孔332によりカバー部材329内方に流入する酸素量と、放出孔331から流出するオゾン量との関係で収納ケース315内のオゾン濃度を調整することが可能である。つまり、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材は、設計段階で調整部材に設けられる放出孔331の総開口面積が決定されることにより、収納ケース315の容量を考慮してオゾン濃度をある程度調整することができる。具体的には、放出孔331が多い(総開口面積が広い)と、オゾンの流出量が多くなり、収納ケース315のオゾン濃度は高くなる。また、オゾンの流出量に比例して酸素の流入量が増加するため、オゾン発生装置327の能力の限界まで、放出孔331の数と収納ケース315のオゾン濃度は比例する。逆に放出孔331が少ない(総開口面積が狭い)と、オゾンの流出量が少なくなり、収納ケース315のオゾン濃度は低くなる。
また、調整部材であるカバー部材329の放出孔331の取り付け角度や位置を工夫し
たり、またカバー部材329を可動式にすることによって、さらに機能性物質の放出量や放出角度を調整することが可能となり、より効果的に保存物の機能性を向上させることが可能となる。
なお、上記機能付加装置の作用を調整する為の調整部材は、自然対流によりオゾンを流出し酸素を流入していたが、ファンを使って強制的にオゾンを流出させ酸素を取り入れるようにしてもかまわない。また、収納ケース315内のオゾン濃度を計測できるようにオゾン濃度計を配置し、当該オゾン濃度計からの情報に基づきオゾン発生装置327のオゾン発生量を調整(例えば前記ファンのON、OFF)することで、収納ケース315内のオゾン濃度を所定の範囲内に保つものとしてもよい。
収納ケース315内のオゾン濃度は0.05ppm以下で維持することが望ましい。これよりオゾン濃度が高いと、野菜などの食品を取り出す際に、これらの作業を行う使用者の人体に対し何らかの影響を与えるおそれがあるからである。さらに、望ましくは0.03ppm以下で維持することが望ましい。これよりオゾン濃度が高い場合は、オゾンの独特な臭気により前記作業を行う使用者が不快な思いをする可能性があるからである。ただし、オゾン濃度はここでは限定しない。
本実施の形態2においては、さらに機能付加装置として、光源328を備えているので、次にこの機能付加装置としての光を照射する光源328とこの光源328の光を調整する調整部材について説明を行う。
光源328は、貯蔵室である収納ケース315に貯蔵される食品に対し、その食品の持つ例えばビタミンCなどの機能性成分を増加させるような生体防御反応を促進させる作用を有するものである。本実施の形態2の場合、光源328にはLEDが採用されている。LEDは発熱量が小さく、貯蔵空間内の温度上昇を防ぐことが可能であり、食品の保存性を安定させることができることや、ランニングコストが安く、その上耐久性に優れておりコンパクト設計が可能なことから、汎用性が高く、冷蔵庫の仕様として望ましい。
また、光源328は、機能付加装置の作用を調整する為の調整部材であるカバー部材329の上方に配置されており、カバー部材329で囲まれるように配置されている。これによって、収納ケース315内の収納空間と光源328との間が仕切られることで、高湿度の収納ケース315内の湿気によって光源328が結露することにより所定の波長の光が吸収され機能性成分の増加効率が悪くなることを防止することもできる。
このように光源328からの光を調整する調整部材としてカバー部材329の中でも照射調整部329bを備えている。この照射調整部329bは、機能付加装置である光源328が放出する光のなかで、必要な波長の光を十分に透過できる材質で構成されることが望ましい。例えば、エポキシ、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの光透過性の樹脂である透明樹脂のうち、一つの材料を用いるものである。もしくは前記光透過性の樹脂を複数組み合わせた複合材料をベース材として形成されるものは、拡散性を持つため適している。
機能付加装置である光源328が放出する波長は、貯蔵室に貯蔵される食品に対して生体防御反応を促進させ、ビタミンCやポリフェノールなど機能性成分の増加を促進しうる所定の波長領域を含むように設定されている。
具体的には光源328の波長範囲は380nm〜800nmの波長が好ましく、例えば、比較的人体に対して安全な範囲の波長である280nm〜400nmの紫外線領域の波長を含むことによって、保存物がきのこ類であった場合には、ビタミンDの前駆物質であ
るエルゴステロールを多く含むため、それらにこれらの波長が照射されることで分子が励起され、ビタミンDへと変換されるため、ビタミンD含有量を高めながら保存することが可能であり、栄養価が向上する。これらの効果は、魚の場合、特に、鯖や鰯などの青魚などでも同様である。また、アントシアニンを含む葡萄やりんごやいちごなどの果物類や野菜類において、ポリフェノールを増加させながら保存することが可能となる。従って、食品の機能性を高めながら保存することが可能となり、冷蔵庫の機能的価値が向上する。
また、野菜や果物に付着している残留農薬は紫外線を含む波長の光源を照射することによって、光分解反応を生じ、毒性が低減する効果があることから、より安全に保存することが可能である。
また、特に400nm〜500nm付近にピーク波長を持つ青色を用いると、紫外線波長と比較して冷蔵庫によく用いられる合成樹脂などの劣化を防ぐことができ、さらには長期保存食品に対する脂質酸化などの品質劣化を抑えた上で、青色波長特有の作用として菌や黴の繁殖を抑制する効果を有するため、冷蔵庫の庫内および保存物や青果物の表面を清潔に保持することを可能とする。また、青色が有する清涼感によって使用者にクリーンなイメージを与えるといった官能的な効果もある。
さらに、500nm〜600nmの波長の緑色を用いると、紫外線波長と比較して冷蔵庫によく用いられる合成樹脂などの劣化を防ぐことができる上に、緑色波長特有の作用として青果物の内部まで光が浸透するので、青果物の内部に働きかけて内部側からの生体防御反応を促進することができ、よりビタミン等の栄養素を増加させることが可能となる。
よって、青色波長と緑色波長を組み合わせた光を光源328から発光すると、青果物の表面を青色波長の光で菌の繁殖を抑制し、さらに青果物の中まで浸透する緑色波長で青果物の内部の生体防御反応を促進することができ、より青果物の保存性を向上させることが可能である。
また、光源の照射方法に関しては、連続照射でも上記効果が得られるが、光源を点滅照射することによって、より刺激が強くなるために、青色においては菌の繁殖を抑制する効果が増加し、また青色光によって青果物表面の生体防御反応を促進することができる。同様に緑色においては内部からの生体防御をより促進することが可能となるので、効果的な照射方法である。
なお、本実施の形態では、光源328としてLEDを用いたが、特にこれに限定されるわけではなく、連続的なスペクトルの光を放出する光源328でもかまわない。また、異なる波長の光を放出する複数のLEDを複合的に備えるものを光源328として採用すると、より複層的な効果を得ることが可能である。
このように、本実施の形態2では、機能付加装置であるオゾン発生装置327、光源328に対して、それらを覆うように配置した調整部材を複数備えることによって、機能付加装置から発生した、例えばオゾンガスなどを貯蔵室に直ちに放出するのではなく、複数の調整部材を介した後に放出されることによって、より精度よく放出量の調整や、放出範囲を調節することが可能となり、より効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能となる。
また、機能付加装置をオゾン発生装置、LEDとしたが、超音波発生器でも、ミストを噴霧するミスト発生デバイスなど、様々な機能付加を可能とするデバイスでも良い。
以上のように、機能付加装置に対して、それらを覆うように配置した調整部材を備えることによって、機能付加装置から発生した、例えばオゾンガスなどを貯蔵室に直ちに放出するのではなく、一旦調整部材内部の空間内に溜め込んだ後に放出することによって、放出量の調整や、放出範囲を容易に調節することが可能となり、より効果的に貯蔵室内部の保存物の機能性を高めることが可能となる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫の側断面図 本発明の実施の形態1における調整部材の部分断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫野菜室の部分側断面図 本発明の実施の形態1における冷蔵庫野菜室の部分側断面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の正面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫の側断面図 本発明の実施の形態2における冷蔵庫保存ケースの部分側断面図 本発明の実施の形態2における機能調整部材の断面図 従来のオゾン発生装置が備わった冷蔵庫の概略構成図
100 食品貯蔵庫
120 野菜室
121 収納容器
122 蓋
200 オゾン発生装置(機能付加装置)
210 カバー部材(調整部材)
220 光源(機能付加装置)
304 冷蔵室
308 扉
303 冷凍室
304 冷蔵室
327 オゾン発生装置(機能付加装置)
328 光源(機能付加装置)
329 カバー部材(調整部材)

Claims (12)

  1. 貯蔵室の内部に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えた冷蔵庫。
  2. 調整部材は、機能付加装置を覆うように備えられる請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 機能付加装置はオゾン発生装置であり、調整部材によって前記オゾン発生装置から発生したオゾンが貯蔵室内へ放出するオゾン量を調整する、もしくは前記オゾン発生装置から発生したオゾンが貯蔵室内へ放出する際のオゾン放出範囲を調整するものである請求項1または2に記載の冷蔵庫。
  4. 機能付加装置は光源であり、調整部材が前記光源から照射された光が貯蔵室内へ照射される光量を調整する、もしくは前記光源から照射された光が貯蔵室内へ照射される照射範囲を調整するものである請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  5. 機能付加装置はミスト発生装置であり、調整部材が前記ミスト発生装置から噴霧されるミスト量を調整する、もしくは前記ミスト発生装置から噴霧されるミストの噴霧範囲を調整するものである請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  6. 調整部材を前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に複数備える請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  7. 貯蔵室の内部が複数の収納区画に区画されており、調整部材は、前記複数の収納区画の中で最も容量の大きい区画の上部に位置する請求項1から6のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  8. 複数の断熱区画を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に備えられた冷蔵温度帯に庫内温度が保たれた冷蔵温度帯貯蔵室と、冷凍温度帯に庫内温度が保たれた冷凍温度帯貯蔵室とを有し、前記冷蔵温度帯貯蔵室の冷却を行うための冷蔵用蒸発器と、前記冷凍温度帯貯蔵室の冷却を行うための冷凍用蒸発器とを有し、前記冷蔵用蒸発器によって冷却された冷気が流れる風路中のいずれかに貯蔵室の内部に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えることによって、冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵室に対してその作用効果が最も高くなるようにした請求項1に記載の冷蔵庫。
  9. 冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も下方に位置する貯蔵室内に貯蔵室の内部に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えた請求項8に記載の冷蔵庫。
  10. 冷蔵温度帯貯蔵室の内部において、最も下方に位置する貯蔵区画内に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えた請求項8または9に記載の冷蔵庫。
  11. 冷蔵温度帯貯蔵室の中で冷蔵冷却風路の最も下流側に位置する貯蔵区画内に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えた請求項8から10のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  12. 冷蔵温度帯貯蔵室の中で最も温度の高い貯蔵室もしくは貯蔵区画に収納された保存物に対して作用する機能付加装置を備え、前記機能付加装置よりも前記貯蔵室の内部側に前記機能付加装置の作用を調節する為の調整部材を備えた請求項8から11のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
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