JP2011249697A - 光デバイスウエーハの加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光デバイスの輝度を低下させない光デバイスウエーハの加工方法を提供することである。
【解決手段】 基板の表面に半導体層が積層され、該半導体層に複数の光デバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、光デバイスウエーハの裏面又は表面にハロゲン化鉱物を塗布するハロゲン化鉱物塗布工程と、サファイア基板に対してアブレーション加工を施すレーザビームを光デバイスウエーハの裏面又は表面から分割予定ラインに対応する領域に照射して、分割の起点となる分割起点溝を形成する分割起点溝形成工程と、光デバイスウエーハに外力を付与して、該分割起点溝に沿って光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する分割工程と、を具備したことを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、レーザビームを照射して光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法に関する。
サファイア基板、SiC基板等の表面に窒化ガリウム(GaN)等の半導体層(エピタキシャル層)を形成し、該半導体層にLED等の複数の光デバイスが格子状に形成されたストリート(分割予定ライン)によって区画されて形成された光デバイスウエーハは、モース硬度が比較的高く切削ブレードによる分割が困難であることから、レーザビームの照射によって個々の光デバイスに分割され、分割された光デバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
レーザビームを用いて光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する方法として、以下に説明する第1及び第2の加工方法が知られている。第1の加工方法は、基板に対して吸収性を有する波長(例えば355nm)のレーザビームを分割予定ラインに対応する領域に照射してアブレーション加工により分割の起点となる分割起点溝を形成し、その後外力を付与して光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する方法である(例えば、特開平10−305420号公報参照)。
第2の加工方法は、基板に対して透過性を有する波長(例えば1064nm)のレーザビームの集光点を分割予定ラインに対応する基板の内部に位置づけて、レーザビームを分割予定ラインに沿って照射して変質層を形成し、その後外力を付与して光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する方法である(例えば、特許第3408805号公報参照)。何れの加工方法でも、光デバイスウエーハを確実に個々の光デバイスに分割することができる。
特開平10−305420号公報 特許第3408805号公報
しかし、アブレーション加工方法においては、レーザビームの照射によって生成された溶融物が溝の側面及びウエーハの表面に付着して、分割された光デバイスの輝度を低下させるという問題がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザビームを照射して光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割しても光デバイスの輝度を低下させることのない光デバイスウエーハの加工方法を提供することである。
本発明によると、基板の表面に半導体層が積層され、該半導体層に複数の光デバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、光デバイスウエーハの裏面又は表面にハロゲン化鉱物を塗布するハロゲン化鉱物塗布工程と、サファイア基板に対してアブレーション加工を施すレーザビームを光デバイスウエーハの裏面又は表面から分割予定ラインに対応する領域に照射して、分割の起点となる分割起点溝を形成する分割起点溝形成工程と、光デバイスウエーハに外力を付与して、該分割起点溝に沿って光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する分割工程と、を具備したことを特徴とする光デバイスウエーハの加工方法が提供される。
好ましくは、ハロゲン化鉱物は、氷晶石(NaAlF)又は蛍石(CaF)から構成される。
本発明によると、分割起点溝形成工程の前に、光デバイスウエーハの裏面又は表面にハロゲン化鉱物を塗布するハロゲン化鉱物塗布工程を設けたので、レーザビームの照射によってハロゲン化鉱物は原子レベルで分解してフッ素原子がサファイアを構成するAlと反応する。
その結果、サファイアより融点が低いAlFが生成され、このAlFでサファイア基板をエッチングする効果が生じるため、溶融物の発生が抑制され光デバイスの輝度の向上を図ることができる。また、AlFのエッチング効果により分割起点溝が効率良く形成される。
分割起点溝形成工程を実施するのに適したレーザ加工装置の概略斜視図である。 レーザビーム照射ユニットのブロック図である。 光デバイスウエーハの表面側斜視図である。 図4(A)はハロゲン化鉱物の塗布工程を示す説明図、図4(B)は裏面にハロゲン化鉱物が塗布された光デバイスウエーハの裏面側斜視図である。 分割起点溝形成工程を説明する斜視図である。 光デバイスウエーハ洗浄工程を示す斜視図である。 粘着テープを介して環状フレームに支持された光デバイスウエーハの斜視図である。 分割工程を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明のウエーハ加工方法において分割起点溝形成工程を実施するのに適したレーザ加工装置2の概略構成図が示されている。
レーザ加工装置2は、静止基台4上にX軸方向に移動可能に搭載された第1スライドブロック6を含んでいる。第1スライドブロック6は、ボールねじ8及びパルスモータ10から構成される加工送り手段12により一対のガイドレール14に沿って加工送り方向、すなわちX軸方向に移動される。
第1スライドブロック6上には第2スライドブロック16がY軸方向に移動可能に搭載されている。すなわち、第2スライドブロック16はボールねじ18及びパルスモータ20から構成される割り出し送り手段22により一対のガイドレール24に沿って割り出し方向、すなわちY軸方向に移動される。
第2スライドブロック16上には円筒支持部材26を介してチャックテーブル28が搭載されており、チャックテーブル28は加工送り手段12及び割り出し送り手段22によりX軸方向及びY軸方向に移動可能である。チャックテーブル28には、チャックテーブル28に吸引保持されたウエーハを支持する環状フレームをクランプするクランプ30が設けられている。
静止基台4にはコラム32が立設されており、このコラム32にはレーザビーム照射ユニット34を収容するケーシング35が取り付けられている。レーザビーム照射ユニット34は、図2に示すように、YAGレーザ又はYVO4レーザを発振するレーザ発振器62と、繰り返し周波数設定手段64と、パルス幅調整手段66と、パワー調整手段68とを含んでいる。
レーザビーム照射ユニット34のパワー調整手段68により所定パワーに調整されたパルスレーザビームは、ケーシング35の先端に取り付けられた集光器36のミラー70で反射され、更に集光用対物レンズ72によって集光されてチャックテーブル28に保持されている光デバイスウエーハ11に照射される。
ケーシング35の先端部には、集光器36とX軸方向に整列してレーザ加工すべき加工領域を検出する撮像手段38が配設されている。撮像手段38は、可視光によって光デバイスウエーハ11の加工領域を撮像する通常のCCD等の撮像素子を含んでいる。
撮像手段38は更に、光デバイスウエーハ11に赤外線を照射する赤外線照射手段と、赤外線照射手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、この光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する赤外線CCD等の赤外線撮像素子から構成される赤外線撮像手段を含んでおり、撮像した画像信号はコントローラ(制御手段)40に送信される。
コントローラ40はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)42と、制御プログラム等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)44と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)46と、カウンタ48と、入力インターフェイス50と、出力インターフェイス52とを備えている。
56は案内レール14に沿って配設されたリニアスケール54と、第1スライドブロック6に配設された図示しない読み取りヘッドとから構成される加工送り量検出手段であり、加工送り量検出手段56の検出信号はコントローラ40の入力エンターフェイス50に入力される。
60はガイドレール24に沿って配設されたリニアスケール58と第2スライドブロック16に配設された図示しない読み取りヘッドとから構成される割り出し送り量検出手段であり、割り出し送り量検出手段60の検出信号はコントローラ40の入力インターフェイス50に入力される。
撮像手段38で撮像した画像信号もコントローラ40の入力インターフェイス50に入力される。一方、コントローラ40の出力インターフェイス52からはパルスモータ10、パルスモータ20、レーザビーム照射ユニット34等に制御信号が出力される。
図3を参照すると、本発明の加工方法の加工対象となる光デバイスウエーハ11の表面側斜視図が示されている。光デバイスウエーハ11は、サファイア基板13上に窒化ガリウム(GaN)等のエピタキシャル層(半導体層)15が積層されて構成されている。光デバイスウエーハ11は、エピタキシャル層15が積層された表面11aと、サファイア基板13が露出した裏面11bとを有している。
サファイア基板13は例えば100μmの厚みを有しており、エピタキシャル層15は例えば5μmの厚みを有している。エピタキシャル層15にLED等の複数の光デバイス19が格子状に形成された分割予定ライン(ストリート)によって区画されて形成されている。
本発明の加工方法では、まずハロゲン化鉱物塗布工程を実施する。ハロゲン化鉱物としては、氷晶石(NaAlF)又は蛍石(CaF)が使用可能である。本実施形態では、
氷晶石をエンドミルで粒径1μm以下のパウダーに粉砕し、ポリビニルアルコール(PVA)中に氷晶石パウダーを入れてよく混錬し、光デバイスウエーハ11の裏面11bに2〜3μmの厚みで塗布した。
塗布方法としては、スピンコート法が採用可能である。即ち、パウダー状の氷晶石を含有するPVAを光デバイスウエーハ11の裏面11b上にスピンコートするには、図示しないチャックテーブルで光デバイスウエーハ11の表面側を吸引保持し、図4(A)に示すように、光デバイスウエーハ11を矢印A方向に例えば300rpm程度で回転しながら、パウダー状氷晶石を含有したPVA21を光デバイスウエーハ11の裏面11b上に滴下する。
図示しないチャックテーブルを少なくとも5秒以上回転させると、滴下されたパウダー状氷晶石を含んだPVAが光デバイスウエーハ11の裏面11b上に均一にスピンコーティングされる。ポリビニルアルコール(PVA)を蒸発させると、図4(B)に示すように、パウダー状氷晶石23が光デバイスウエーハ11の裏面11b上に2〜3μmの厚みで塗布される。
ハロゲン化鉱物塗布工程を実施した後、レーザビームを使用した分割起点溝形成工程を実施する。この分割起点溝形成工程では、レーザ加工装置2のチャックテーブル28で光デバイスウエーハ11の表面側を吸引保持し、図5に示すようにパウダー状氷晶石23が塗布された光デバイスウエーハ11の裏面を露出させる。
そして、撮像手段38の赤外線撮像素子で光デバイスウエーハ11をその裏面側から撮像し、分割予定ライン17に対応する領域を検出するアライメントを実施する。このアライメントには、よく知られたパターンマッチングの手法を利用する。
この分割起点溝形成工程では、図5に示すように、集光器36から光デバイスウエーハ11に対して吸収性を有する波長のレーザビームを光デバイスウエーハ11の裏面側から、即ちパウダー状氷晶石23が塗布された側から照射して、分割予定ライン17に沿ってアブレーション加工により分割起点となる浅い分割起点溝74を形成する。
この分割起点溝形成工程では、順次割り出し送りしながら光デバイスウエーハ11の第1の方向に伸長する全ての分割予定ライン17に沿ってアブレーション加工により分割起点溝74を形成する。
次いで、チャックテーブル28を90度回転して、第1の方向に直交する第2の方向に伸長する全ての分割予定ライン17に沿ってアブレーション加工により同様な分割起点溝74を形成する。
全ての分割予定ライン17に沿って分割起点となる分割起点溝74が形成された状態の光デバイスウエーハ11の斜視図が図6に示されている。
この分割起点溝形成工程の加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :LD励起Qスイッチ Nd:YAG
波長 :355nm(YAGレーザの第3高調波)
パルスエネルギー :35μJ
集光スポット径 :10μm
パルス幅 :180ns
繰り返し周波数 :180kHz
加工送り速度 :60mm/秒
溝深さ :20μm
この分割起点溝形成工程では、レーザビームの照射によってパウダー状氷晶石23が原子レベルで分解してフッ素原子がサファイア基板13を構成するアルミニウム(Al)と反応する。
その結果、サファイアより融点が低いAlFが生成され、このAlFがサファイア基板13をエッチングする効果が生じるため、レーザビームの照射により発生する溶融物の発生が抑制され、その結果光デバイスウエーハ11から分割される光デバイス19の輝度の向上を図ることが出来る。
分割起点溝形成工程実施後、ウエーハ洗浄工程を実施する。このウエーハ洗浄工程では、図6に示すように、洗浄水噴射装置76から純水からなる洗浄水78を噴射して、光デバイスウエーハ11の裏面及び表面を洗浄する。
洗浄工程実施後、分割起点溝74が形成された光デバイスウエーハ11を個々の光デバイス19に分割する分割工程を実施する。この分割工程の前工程として、図7に示すように、光デバイスウエーハ11を外周部が環状フレームFに貼着された粘着テープTに貼着する。
次いで、図8に示すように、円筒80の載置面上に環状フレームFを載置して、クランプ82で環状フレームFをクランプする。そして、バー形状の分割治具84を円筒80内に配設する。
分割治具84は上段保持面86aと下段保持面86bとを有しており、下段保持面86bに開口する真空吸引路88が形成されている。分割治具84の詳細構造は、特許第4361506号公報に開示されている。
分割治具84による分割工程を実施するには、分割治具84の真空吸引路88を矢印90で示すように真空吸引しながら、分割治具84の上段保持面86a及び下段保持面86bを下側から粘着テープTに接触させて、分割治具84を矢印A方向に移動する。即ち、分割治具84を分割しようとする分割予定ライン17と直交する方向に移動する。
これにより、分割起点溝74が分割治具84の上段保持面86aの内側エッジの真上に移動すると、分割起点溝74を有する分割予定ライン17の部分に曲げ応力が集中して発生し、この曲げ応力で光デバイスウエーハ11が分割予定ライン17に沿って割断される。
第1の方向に伸長する全ての分割予定ライン17に沿っての分割が終了すると、分割治具84を90度回転して、或いは円筒80を90度回転して、第1の方向に伸長する分割予定ライン17に直交する第2の方向に伸長する分割予定ライン17を同様に分割する。これにより、光デバイスウエーハ11が個々の光デバイス19に分割される。
尚、上述した実施形態では、分割起点溝形成工程を光デバイスウエーハ11の裏面側から実施しているが、この分割起点溝形成工程を光デバイスウエーハ11の表面側から実施して、光デバイスウエーハ11の表面近傍に分割予定ライン17に沿った分割起点溝を形成するようにしてもよい。この場合には、パウダー状氷晶石23は光デバイスウエーハ11の表面側に塗布する。
2 レーザ加工装置
11 光デバイスウエーハ
13 サファイア基板
15 エピタキシャル層
17 分割予定ライン
19 光デバイス
23 パウダー状氷晶石
28 チャックテーブル
34 レーザビーム照射ユニット
36 集光器
74 分割起点溝

Claims (2)

  1. 基板の表面に半導体層が積層され、該半導体層に複数の光デバイスが分割予定ラインによって区画されて形成された光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する光デバイスウエーハの加工方法であって、
    光デバイスウエーハの裏面又は表面にハロゲン化鉱物を塗布するハロゲン化鉱物塗布工程と、
    サファイア基板に対してアブレーション加工を施すレーザビームを光デバイスウエーハの裏面又は表面から分割予定ラインに対応する領域に照射して、分割の起点となる分割起点溝を形成する分割起点溝形成工程と、
    光デバイスウエーハに外力を付与して、該分割起点溝に沿って光デバイスウエーハを個々の光デバイスに分割する分割工程と、
    を具備したことを特徴とする光デバイスウエーハの加工方法。
  2. ハロゲン化鉱物は、氷晶石(NaAlF)又は蛍石(CaF)である請求項1記載の光デバイスウエーハの加工方法。
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