JP2011249532A - 圧電素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反りの小さな、薄い板状の圧電素子を製造することができる圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】薄板状圧電体6と一対の電極とを有する電極配設薄板状焼成圧電体3の端部5のうち少なくとも一部が枠体2に固定されてなる枠体付き電極配設薄板状圧電体3を、第1平面部を有する第1保持部材31の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材33の第2平面部とで挟んだ状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、キュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で枠体付き電極配設薄板状圧電体3を加熱する工程を有する、薄板状圧電体6と一対の電極とを有する圧電素子の製造方法。
【選択図】図1A
【解決手段】薄板状圧電体6と一対の電極とを有する電極配設薄板状焼成圧電体3の端部5のうち少なくとも一部が枠体2に固定されてなる枠体付き電極配設薄板状圧電体3を、第1平面部を有する第1保持部材31の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材33の第2平面部とで挟んだ状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、キュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で枠体付き電極配設薄板状圧電体3を加熱する工程を有する、薄板状圧電体6と一対の電極とを有する圧電素子の製造方法。
【選択図】図1A
Description
本発明は、圧電素子の製造方法に関し、詳しくは、反りの小さな、薄い板状の圧電素子の製造方法に関する。
近年、電子機器に搭載される圧電素子は、電子機器が小型化、薄型化、省電力化するのに伴い、薄型化、小型化が要求されている。
しかし、薄い圧電素子を製造しようとした場合、焼成後の圧電体に反りが発生するという問題があった。これに対し、圧電体の反りを小さくする方法が開示されている(例えば、特許文献1〜2を参照)。
しかしながら、従来の圧電素子には、以下のような問題があった。
特許文献1に開示された圧電素子の製造方法では、ダミー層に厚膜電極層を成膜し、圧電体のグリーンシートを積層、焼成した後、厚膜電極層を除去することで、焼成体の反りを防止しつつ、ハンドリング性を向上させようとするものである。しかし、厚膜電極は、高温の圧電焼成に耐えられる耐熱性の金属材料を使い、さらにダミー層を除去(捨てる)する必要があるため、非常にコストがかかるものである。
特許文献2に開示された圧電素子の製造方法では、積層セラミック圧電体素子の表面を研磨加工することにより、当該素子の反りをなくし平面度を高めようとしているが、加工時の応力により分極後に反りが発生することがある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、反りの小さな、薄い板状の圧電素子を、安価に製造することができる圧電素子の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によって以下の圧電素子の製造方法が提供される。
[1] 薄板状圧電体と一対の電極とを有する電極配設薄板状焼成圧電体の少なくとも一の端部が枠体に固定されてなる枠体付き電極配設薄板状圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで挟んだ状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、前記キュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する工程を有する、前記薄板状圧電体と前記一対の電極とを有する圧電素子の製造方法。
[2] 前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱した後、前記枠体を分離する、[1]に記載の圧電素子の製造方法。
[3] 前記電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで加圧しながら挟んだ状態で、前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する、[1]又は[2]に記載の圧電素子の製造方法。
[4] 前記電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで加圧しながら挟むときの圧力が、100〜1000Paである[1]〜[3]のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
[5] 前記第1保持部材又は前記第2保持部材の外周の少なくとも一部を取り囲むように、位置ズレ防止部材を配置して、前記枠体と前記位置ずれ防止部材とにより形成された開口部内に前記電極配設薄板状焼成圧電体が配設された状態で、前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する、[1]〜[4]のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
[6] 大気雰囲気であり、且つPbOが存在しない雰囲気中で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する[1]〜[5]のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
[7] 前記電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで挟んだ状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、前記薄板状圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱した後に、0.2〜100℃/分の冷却速度で冷却を行い、その後、前記枠体から前記電極配設薄板状焼成圧電体を切り離して圧電素子を得る[1]〜[6]のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
[8] 少なくとも一の開口部が形成された平板状の枠体と、それぞれの前記開口部内に配置されるとともに一の端部及び前記一の端部に対して反対側に位置する他の端部が、前記枠体に固定された、薄板状圧電体の両面に膜状の電極が配設されてなる電極配設薄板状焼成圧電体と、を備える枠体付き電極配設薄板状圧電体を作製し、前記電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面に、第3平面部を有する第3保持部材の前記第3平面部を接触させた状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、前記薄板状圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱し、前記枠体から前記電極配設薄板状焼成圧電体を切り離して圧電素子を得る圧電素子の製造方法。
このように、本発明の圧電素子の製造方法によれば、枠体付き電極配設薄板状圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで挟んだ状態で、「薄板状圧電体のキュリー温度以上、キュリー温度より600℃高い温度以下」の温度範囲で加熱する工程を有するため、「第1保持部材の第1平面部と、第2保持部材の第2平面部とで挟むとともに、薄板状圧電体のキュリー温度以上の所定の温度範囲で加熱する」ことにより、効果的に電極配設薄板状焼成圧電体の反りを低減することができ、その結果、反りの小さな圧電素子を得ることができる。
次に本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明の圧電素子の製造方法(第1の製造方法)の一実施形態は、まず、図1A、図1Bに示すような、少なくとも一の開口部4が形成された平板状の枠体2と、開口部4内に配置されるとともに少なくとも一の端部5が枠体2に固定された、厚さ1〜30μmで枠体2より薄い、薄板状圧電体6の両面に膜状の電極が配設されてなる電極配設薄板状焼成圧電体3と、を備える枠体付き電極配設薄板状圧電体1を作製する。図1A、図1Bにおいては、電極配設薄板状焼成圧電体3に配設された電極は省略されている。
枠体付き電極配設薄板状圧電体1の作製方法は以下の通りである。
まず、圧電材料を用いて、図2に示されるような、厚さ1〜35μmの薄板状焼成圧電体用グリーンシート11を作製する。具体的には、例えば、圧電材料の粉末であるセラミックス粉末にバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を添加混合してスラリーを作製し、これを脱泡処理後、リバースロールコーター法、ドクターブレード法等の方法によって、所望の厚さのグリーンシートを作製し、その後、金型を用いた打ち抜き、レーザー加工等の方法により、所望の大きさに加工して薄板状焼成圧電体用グリーンシート11を得る。
圧電材料は、圧電効果若しくは電歪効果等の電界誘起歪みを起こす材料であればよい。例えば、半導体セラミック、強誘電体セラミック、及び反強誘電体セラミックを用いることが可能であり、用途に応じて適宜選択することができる。また、分極処理が必要な材料であってもよいし、分極処理が不要な材料であってもよい。好ましい圧電材料としては、具体的には、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、マグネシウムタングステン酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸ビスマスネオジウム(BNT)、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス、銅タングステンバリウム、鉄酸ビスマス、又は、これらのうちの2種以上からなる複合酸化物を挙げることが出来る。また、これらの材料には、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ、銅等の酸化物が固溶されていてもよい。これらのなかでも、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、及びニッケルニオブ酸鉛の複合酸化物は、高い材料特性を発現出来るので好ましい。更に、上記材料等に、ビスマス酸リチウム、ゲルマン酸鉛等を添加した材料、例えば、ビスマス酸リチウム乃至ゲルマン酸鉛を添加した材料は、圧電体の低温焼成を実現しつつ高い材料特性を発現出来るので、更に好ましい。
薄板状焼成圧電体用グリーンシート11の厚さは、1〜35μmが好ましいが、作製しようとする圧電素子の厚さに合わせて、適宜厚さを決定することが好ましい。また、薄板状焼成圧電体用グリーンシート11の大きさは、特に限定されないが、図2に示すように、長方形の薄板状である場合、10mm×10mm〜1000mm×1000mmの大きさであることが好ましい。
次に、図3に示されるような、厚さが10〜300μmの焼成用補強部12を、薄板状焼成圧電体用グリーンシート11上に形成する。例えば、まず、上記薄板状焼成圧電体用グリーンシート11の作製の場合と同様にして、圧電材料の粉末であるセラミックス粉末にバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を添加混合してスラリーを作製する。そして、得られたスラリーを、脱泡処理後、スクリーン印刷法により薄板状焼成圧電体用グリーンシート11上に塗布し、焼成用補強部12を形成する。
焼成用補強部12の開口部16は、印刷で補強をしていない部分であり、本実施形態の
圧電素子の製造方法においては、3つの長方形(直方体)の焼成用補強部の開口部16が形成されている。焼成用補強部の開口部16の大きさは、特に限定されないが、例えば、図3に示すように、四角形の開口形状である場合、0.1mm×0.1mm〜10mm×10mmの大きさであることが好ましい。また、焼成用補強部の開口部16が複数形成される場合、焼成用補強部の開口部16間の距離は、特に限定されないが、0.1〜10mmが好ましい。また、焼成用補強部の開口部16の個数は、特に限定されないが、1〜100個/cm2が好ましい。
圧電素子の製造方法においては、3つの長方形(直方体)の焼成用補強部の開口部16が形成されている。焼成用補強部の開口部16の大きさは、特に限定されないが、例えば、図3に示すように、四角形の開口形状である場合、0.1mm×0.1mm〜10mm×10mmの大きさであることが好ましい。また、焼成用補強部の開口部16が複数形成される場合、焼成用補強部の開口部16間の距離は、特に限定されないが、0.1〜10mmが好ましい。また、焼成用補強部の開口部16の個数は、特に限定されないが、1〜100個/cm2が好ましい。
焼成用補強部12の材料(圧電材料)についても、薄板状焼成圧電体用グリーンシート11の作製に用いる上記圧電材料として挙げられた材料を用いることが出来る。熱膨張の程度を同じにすべく、薄板状焼成圧電体用グリーンシート11と同じ材料を用いることが好ましい。また、焼成用補強部12は、焼成用補強部を形成するためのグリーンシートを、薄板状焼成圧電体用グリーンシート11に貼り付けて形成してもよい。
薄板状焼成圧電体用グリーンシート11上に焼成用補強部12を形成した後、原料として使用した圧電材料に基づき、800〜1600℃の範囲の適切な温度で焼成し、図4に示されるような、薄板状焼成圧電体14と補強部15とが一体化されてなる補強板付き薄板状焼成圧電体13を得る。薄板状焼成圧電体14は、補強部15と接合されている(接触している)部分と、補強部15の開口部17と重なり、補強部15とは接触していない部分とに区分することができる。ここで、薄板状焼成圧電体14の中で、補強部15と接合されている(接触している)部分を接合部18と称し、補強部15の開口部17と重なり、補強部15とは接触していない部分を露出部19と称する。薄板状焼成圧電体14の厚さは、1〜30μmが好ましく、1〜20μmが更に好ましい。1μmより薄いと得られる圧電素子の強度が低下するため好ましくない。30μmより厚いと所望の圧電定数を得難くなるため好ましくない。
次に、図5に示すように、補強板付き薄板状焼成圧電体13にスルーホール(電極形成用貫通孔)21を形成することが好ましい。スルーホール21の形成方法としては、特に限定されないが、レーザーによる形成方法、金型による打ち抜き形成方法等を挙げることができる。また、補強板付き薄板状焼成圧電体13を作製する際に、金型で打ち抜き成形をしておいてもよい。スルーホール21の形状(薄板状焼成圧電体14の厚さ方向に直交する断面の形状)は、特に限定されず、円形、楕円形、多角形等、いずれの形状であってもよい。スルーホール21の大きさは、特に限定されないが、例えば、円形の場合、直径0.05〜1mmが好ましい。
次に、図6に示すように、例えばレジストパターニングを行い、ペースト(導電性材料(例えば金))をスピンコート法で塗布して、補強板付き薄板状焼成圧電体13の所定面、及びスルーホール21内に、導電性材料(例えば金)からなる膜状の電極22,23を形成する。電極22,23の形成は、スパッタ処理で行なうことも出来る。パターニングはレーザー加工によって行なってもよい。
電極の材料としては、導電性の金属が採用される。例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、又は鉛等の金属単体又はこれら2種類以上からなる合金、例えば、銀−白金、白金−パラジウム、銀−パラジウム等を1種単独で又は2種類以上を組み合わせたものを用いることが好ましい。また、これらの材料と、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化セリウム、ガラス、又は圧電材料等との混合物、サーメットであってもよい。これらの材料の選定にあたっては、圧電材料の種類に応じて選択することが好ましい。
次に、図7に示すように、電極が形成された補強板付き薄板状焼成圧電体13の、電極が配設された露出部19における「後に圧電素子となる部分24」を残して、後に圧電素子とならない部分を切り落とす。「後に圧電素子となる部分24」の輪郭に沿って露出部を切断してもよい。このとき、「後に圧電素子となる部分24」の少なくとも一の端部が補強部に固定された状態になるようにする。このように、「後に圧電素子となる部分24」の少なくとも一の端部が補強部に固定された状態で、露出部19の一部を切り落す又は切断することにより、図1A、図1B及び図7に示される、「開口部4内に配置されるとともに少なくとも一の端部5が枠体2に固定された、電極配設薄板状焼成圧電体3」が形成されることになる。切断は、レーザー、エッチング、ブラスト、ダイサー、機械加工(例えば砥石による切断)で行うことが出来る。エッチングやブラストの場合は、マスクが必要になるため、事前にマスクをレジスト等で形成しておく。ここで、「後に圧電素子となる部分」とは、電極が配設された露出部19の中の、最終的に枠体から切り離されて圧電素子になる部分である。厳密には圧電素子と枠体とを接合する部分も含まれる。本実施形態の圧電素子の製造方法においては、「後に圧電素子となる部分24」は、図1Aに示される長方形の電極配設薄板状焼成圧電体3のことである。また、図1A、図1Bに示される枠体2は、図7に示される補強部15と接合部18とを合わせた部分である。これにより、図1A、図1B及び図7に示すような、少なくとも一の開口部4が形成された平板状の枠体2と、開口部4内に配置されるとともに少なくとも一の端部5が枠体2に固定された、厚さ1〜30μmで枠体2より薄い、薄板状圧電体6の両面に膜状の電極22,23が配設されてなる電極配設薄板状焼成圧電体3と、を備える枠体付き電極配設薄板状圧電体1が得られる。
本実施形態の圧電素子の製造方法においては、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を作製した後に、電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材31と、第2保持部材33とで挟んだ状態で所定の温度で加熱するが、電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材31と第2保持部材33とで挟むときの荷重は軽いものである。そのため、電極配設薄板状焼成圧電体3を上から押える第2保持部材33は、かなり軽い必要があるが、軽い場合には、少しの衝撃で動くことがある。これに対し、電極配設薄板状焼成圧電体3が枠体2に固定されているため、枠体2を、第2保持部材33の移動を阻止するように形成することにより(例えば、電極配設薄板状焼成圧電体3の周囲を囲むことにより)、枠体2により、第2保持部材33を動かないように固定することができる。また、電極配設薄板状焼成圧電体3が枠体2に固定されていると、電極配設薄板状焼成圧電体3を枠体2と共に取り扱うことができるため、より大きなものを取り扱うことになり、電極配設薄板状焼成圧電体3だけを取り扱うよりも、扱い易いものである。
電極配設薄板状焼成圧電体3の大きさは、例えば、形状が四角形である場合、0.1mm×0.1mm〜10mm×10mmであることが好ましい。0.1mm×0.1mmより小さいと、所望の変位量が得られないことがある。10mm×10mmより大きいと、焼成時に割れることがある。
本実施形態の圧電素子の製造方法においては、図1Aに示されるように、後に圧電素子となる部分24すなわち電極配設薄板状焼成圧電体3の一の端部が枠体2に固定されているが、電極配設薄板状焼成圧電体3の少なくとも一の端部が枠体2に固定されている。「電極配設薄板状焼成圧電体3の端部」とは、板状の電極配設薄板状焼成圧電体3の外周の一部であり、例えば、電極配設薄板状焼成圧電体3の外周形状(面積が最も大きい面の外周形状)が四角形である場合、当該四角形の4つの辺に相当する部分がそれぞれ端部となり、4つの端部を有することになる。例えば、電極配設薄板状焼成圧電体3の一の端部が枠体2に固定されるとともに、一の端部に対して反対側に位置する他の端部も枠体2に固定され、合計2箇所が枠体2に固定されていてもよい。
次に、図8に示すように、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、第1平面部32を有する第1保持部材31の当該第1平面部32と、第2平面部34を有する第2保持部材33の当該第2平面部34とで挟んだ状態で、「薄板状圧電体のキュリー温度以上、薄板状圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下」の温度範囲で枠体付き電極配設薄板状圧電体1を加熱する。この工程により、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを修正する。枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、第1保持部材31の第1平面部32と、第2保持部材33の第2平面部34とで挟む際には、枠体付き電極配設薄板状圧電体1の電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材31の第1平面部32と、第2保持部材33の第2平面部34とで挟む。
このように、「第1保持部材31の第1平面部32と、第2保持部材33の第2平面部34とで挟むとともに、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上の所定の温度範囲で加熱する」ことにより、効果的に電極配設薄板状焼成圧電体の反りを低減することができ、その結果、反りの小さな圧電素子を得ることができる。薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上の温度で加熱することにより、応力が残ることなく電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを小さくすることができ(反りを修正することができ)、反りの小さな圧電素子を得ることができる。また、電極配設薄板状焼成圧電体3より厚さが厚い枠体2を挟むことなく、電極配設薄板状焼成圧電体3のみを個別に挟むため、確実に電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを小さくすることができる。図8に示される第1保持部材の第1平面部32は、枠体付き電極配設薄板状圧電体1より大きく、枠体付き電極配設薄板状圧電体1全体を上に載せた状態で、第1平面部32を電極配設薄板状焼成圧電体3の一方の面に接触させている。このとき、電極配設薄板状圧電体1の一方の面と枠体2の一方の面とが同一平面上に位置し、電極配設薄板状圧電体1の一方の面と枠体2の一方の面とにより枠体付き電極配設薄板状圧電体1全体の一方の面を形成している。そして、電極配設薄板状圧電体1の一方の面と枠体2の一方の面とにより構成された枠体付き電極配設薄板状圧電体1の一方の面が、第1保持部材の第1平面部32と接触している。また、電極配設薄板状圧電体1と枠体2とは厚さが異なるため、枠体付き電極配設薄板状圧電体1の他方の面側は、電極配設薄板状圧電体1と枠体2との境界部分に段差が形成されている。また、図8に示される第2保持部材33は、第2平面部34が電極配設薄板状焼成圧電体3と略同じ面積で、第2平面部34が電極配設薄板状焼成圧電体3のみに接触しており、枠体2には接触していない。
電極配設薄板状焼成圧電体3における、第1平面部32と第2平面部34とにより挟まれる部分の面積は、電極配設薄板状焼成圧電体3全体の面積の30〜95%であることが好ましく、50〜85%であることが更に好ましい。30%より狭いと、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを修正し難くなることがある。95%より広いと、第1保持部材31又は第2保持部材33が枠体2に接触し易くなり、反りの修正を妨げることがある。
電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材の第1平面部と第2保持部材の前記第2平面部とで挟んで加熱するとき(電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを修正するとき)には、第1保持部材の第1平面部と、第2保持部材の第2平面部とで加圧しながら挟んで加熱することが好ましい。加圧することにより、より効果的に電極配設薄板状焼成圧電体3の反りが小さくなるように修正することができる。また、電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材の第1平面部と第2保持部材の第2平面部とで加圧しながら挟むときの圧力は、100〜1000Paであることが好ましい。100Paより小さいと、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを修正し難くなることがある。1000Paより大きいと、電極配設薄板状焼成圧電体3を変形等させることがある。
電極配設薄板状焼成圧電体3の反りを修正する際には、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、薄板状焼成圧電体のキュリー温度より60
0℃高い温度以下の温度範囲で加熱する。そして、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、薄板状焼成圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で加熱することが好ましい。薄板状焼成圧電体のキュリー温度より低い温度で加熱すると、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りの修正が難くなり、また仮に反りを修正できたとしても、反り修正後に応力が残存し、再度反りが発生することがあるため好ましくない。薄板状焼成圧電体のキュリー温度より600℃高い温度より、高い温度で加熱すると電極が劣化するため好ましくない。キュリー温度は、500℃まで加熱した後、LCRメーターで誘電率を測定しながら冷却する方法で測定した温度である。
0℃高い温度以下の温度範囲で加熱する。そして、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、薄板状焼成圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で加熱することが好ましい。薄板状焼成圧電体のキュリー温度より低い温度で加熱すると、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りの修正が難くなり、また仮に反りを修正できたとしても、反り修正後に応力が残存し、再度反りが発生することがあるため好ましくない。薄板状焼成圧電体のキュリー温度より600℃高い温度より、高い温度で加熱すると電極が劣化するため好ましくない。キュリー温度は、500℃まで加熱した後、LCRメーターで誘電率を測定しながら冷却する方法で測定した温度である。
また、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、薄板状焼成圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で加熱したときの、当該温度での保持時間は、1分〜1時間が好ましく、5分〜20分が更に好ましい。1分より短いと、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りが修正され難くなることがある。1時間より長いと、不必要に時間を要することになるため、生産効率が低下することがある。
また、電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材と第2保持部材とで挟んで、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、キュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を加熱した後に、キュリー点以下の温度域を0.2〜100℃/分の冷却速度で冷却を行うことが好ましい。冷却速度は、0.5〜5℃/分であることが更に好ましい。0.2℃/分より遅いと、電極配設薄板状焼成圧電体3の反りが修正されないことがある。100℃/分より速いと、熱衝撃により電極配設薄板状焼成圧電体3が割れることがある。
また、電極配設薄板状焼成圧電体3を、第1保持部材と第2保持部材とで挟んで、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、キュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を加熱するときには、「大気雰囲気であり、且つPbOが存在しない雰囲気」中で枠体付き電極配設薄板状圧電体1を加熱することが好ましい。PbOが存在しない大気雰囲気とすることにより、枠体付き電極配設薄板状圧電体1の圧電粒界に微量偏析しているPbOを蒸発させ、粒界の再配列を促進させることができるため、反りを、より小さくすることが可能になる。
第1保持部材及び第2保持部材の材質としては、ジルコニア、アルミナ、マグネシア、共材等のセラミックスが好ましく、これらの中でも、ジルコニアが好ましい。ジルコニアは、組織が緻密であるため、第1平面部及び第2平面部の平面性を高くすることができる。第1保持部材の第1平面部及び第2保持部材の第2平面部の表面粗さは、10μm/mm以下が好ましい。10μm/mmを超える場合は、反りが強制できなかったり、割れが生じやすくなるためである。第1保持部材及び第2保持部材の材料の緻密性は、緻密質であっても、多孔質であっても特に限定されない。
本実施形態の圧電素子の製造方法においては、電極配設薄板状焼成圧電体3の修正前の反り量は、100μm/mm以下であることが好ましい。100μm/mmより反り量が大きいと、反りを修正し難くなることがある。ここで、「1μm/mmの反り量」というときは、薄板形状の表面における1mmの長さに対して、1μmだけ表面に直交する方向に反っている(曲がっている)ことを意味する。「反り量」は、表面形状測定機を用いて測定した値であり、当該反り量は、例えば、ZYGO社製の「表面形状測定機」を用いて測定することができる。
本実施形態の圧電素子の製造方法によって、反りを修正した後の電極配設薄板状焼成圧電体3の「反り量」を、0.5〜10μm/mmとすることができる。電極配設薄板状焼成圧電体3の「反り量」は、小さいほど好ましいが、0.5μm/mm程度が下限値であ
る。
る。
本実施形態の圧電素子の製造方法においては、第2保持部材の外周の少なくとも一部を取り囲むように、位置ズレ防止部材を配置して、枠体と位置ずれ防止部材とにより形成された開口部内に電極配設薄板状焼成圧電体が配設された状態で、枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱することが好ましい。
本実施形態の圧電素子の製造方法は、次に、枠体から電極配設薄板状圧電体3を切り離して圧電素子を得る。切断は、レーザー、エッチング、ブラスト、ダイサー、機械加工(例えば砥石による切断)で行うことが出来る。エッチングやブラストの場合は、マスクが必要になるため、事前にマスクをレジスト等で形成しておく。得られる圧電素子は、薄板状圧電体と一対の電極とを有する圧電素子であり、薄板状圧電体の両面に電極が配設された形状の圧電素子である。
本実施形態の圧電素子の製造方法においては、得られた圧電素子の形状は特に限定されず、長方形、台形、三角形、五角形等の多角形、それらを組み合わせた多角形等のいずれの形状であってもよい。
本実施形態の圧電素子の製造方法においては、枠体から電極配設薄板状圧電体を切り離す前に、電極配設薄板状圧電体の表面をポリイミドでコーティングすることが好ましい。ポリイミドでコーティングする方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
次に、本発明の圧電素子の製造方法(第2の製造方法)について説明する。
本発明の圧電素子の製造方法(第2の製造方法)の一実施形態は、図9に示すように、少なくとも一の開口部44が形成された平板状の枠体42と、それぞれの開口部4内に配置されるとともに一の端部45及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部46が、枠体42に固定された、厚さ1〜30μmで枠体42より薄い、薄板状圧電体の両面に膜状の電極が配設されてなる電極配設薄板状焼成圧電体43と、を備える枠体付き電極配設薄板状圧電体41を作製し、電極配設薄板状焼成圧電体43の一方の面51に、第3平面部36を有する第3保持部材35の当該第3平面部36を接触させた状態で、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上、薄板状焼成圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で枠体付き電極配設薄板状圧電体41を加熱し、枠体42から電極配設薄板状圧電体43を切り離して圧電素子を得るものである。本実施形態の圧電素子の製造方法は、「枠体付き電極配設薄板状圧電体において、電極配設薄板状焼成圧電体の少なくとも一の端部が枠体に固定されること、及び、電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで挟んだ状態で枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する」ことを、「枠体付き電極配設薄板状圧電体において、電極配設薄板状焼成圧電体の一の端部及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部が、枠体に固定されることとし、更に、電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面に、第3平面部を有する第3保持部材の第3平面部を接触させた状態で、枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する」こととした以外は、上記第1の製造方法と同じである。
このように、電極配設薄板状焼成圧電体の両端部を枠体に固定し、電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面のみを第3保持部材の第3平面部と接触させた状態で、薄板状焼成圧電体のキュリー温度以上の温度で加熱することによっても、電極配設薄板状焼成圧電体の反りを小さくすることができる。
本実施形態の圧電素子の製造方法は、枠体付き電極配設薄板状圧電体において、電極配設薄板状焼成圧電体の一の端部及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部が枠体に固定されるようにする。これは、上記、本発明の圧電素子の製造方法(第1の製造方法)の一実施形態において、露出部19(図4参照)の一部を切り落す又は切断することにより、図1A、図1B及び図7に示される、「開口部4内に配置されるとともに少なくとも一の端部5が枠体2に固定された、電極配設薄板状焼成圧電体3」を作製するときに、電極配設薄板状焼成圧電体の、一の端部及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部が、枠体に固定されるように電極配設薄板状焼成圧電体を作製すればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
圧電材料として、0.27Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−0.40PbTiO3−0.33PbZrO3を使用した。圧電材料は、F2mmのZrO2ビーズで湿式粉砕したものを用いた。圧電材料の比表面積は7m2/gであり、キュリー温度は250℃であった。比表面積の測定は、BET法で行った。キュリー温度は、500℃から冷却した際の誘電率の最大値をLCRメーターで測定して求めた。
圧電材料として、0.27Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−0.40PbTiO3−0.33PbZrO3を使用した。圧電材料は、F2mmのZrO2ビーズで湿式粉砕したものを用いた。圧電材料の比表面積は7m2/gであり、キュリー温度は250℃であった。比表面積の測定は、BET法で行った。キュリー温度は、500℃から冷却した際の誘電率の最大値をLCRメーターで測定して求めた。
圧電材料を、キシレンとブタノールの混合溶媒中に分散させ、分散剤、バインダーを適量添加して、グリーンシート形成用原料を得た。そして、ドクターブレード法で、グリーンシート形成用原料を成形し、厚さ12μmのグリーンシート(薄板状焼成圧電体用グリーンシート)を得た。グリーンシートは、150mm×150mmの長方形に形成した。
次に、上記グリーンシート形成用原料を、脱泡処理後、スクリーン印刷法で薄板状焼成圧電体用グリーンシート上に塗布し、焼成用補強部を形成した。焼成用補強部の厚さは、80μmであった。また、焼成用補強部は、外周形状が150mm×150mmの長方形であり、中央部に8mm×5mmの長方形の開口部を一つ有する形状であった。
次に、焼成用補強部が形成された薄板状焼成圧電体用グリーンシートを、1050℃で3時間の条件で、MgOの鞘内で密閉焼成して、補強板付き薄板状焼成圧電体を得た。
次に、レーザーにより補強板付き薄板状焼成圧電体の薄板状焼成圧電体(露出部)にスルーホールを形成した。そして、導電性材料として金を含有させたペーストをスピンコート法で塗布して、補強板付き薄板状焼成圧電体(薄板状焼成圧電体)の両面、及びスルーホール内に、金からなる膜状の電極を形成した。
次に、「後に圧電素子となる部分(電極配設薄板状焼成圧電体)」を、一の端部を枠体に固定した状態で残して、露出部をレーザー加工により切り落して、枠体付き電極配設薄板状圧電体を得た。電極配設薄板状焼成圧電体の大きさは、5mm×5mm×15μmであった。ここで、電極配設薄板状焼成圧電体の「反り量」は、60μm/mmであった。「反り量」は、下記「反り量の測定方法」により測定した値である。
次に、図8に示すように、第1平面部32を鉛直方向の上向きに向けて第1保持部材31を配置し、その上に、枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、電極配設薄板状焼成圧電体3が第1平面部32に接するようにして配置し、更に、電極配設薄板状焼成圧電体3の上に、第2平面部34を鉛直方向の下向きに向けて第2保持部材33を配置した。そして、第1保持部材31と第2保持部材33とにより、電極配設薄板状焼成圧電体3に100Paの「荷重」をかけながら、反り修正温度800℃、保持時間15分の条件で加熱して、
反り修正を行った。加熱後の冷却速度は、20℃/分とした。加熱は大気中で行った。第1保持部材及び第2保持部材の材質は、ジルコニアとした。また、第1保持部材及び第2保持部材の形状は、直方体とし、第1平面部32の面積を400mm2とし、第2平面部の面積を9mm2とした。ここで、図8に示すように、電極配設薄板状焼成圧電体3の一の端部5が枠体2に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、電極配設薄板状焼成圧電体3を第1保持部材31と第2保持部材33とで挟んだ状態で加熱する、反りの修正方法(反り修正法)を「修正法1」とする。
反り修正を行った。加熱後の冷却速度は、20℃/分とした。加熱は大気中で行った。第1保持部材及び第2保持部材の材質は、ジルコニアとした。また、第1保持部材及び第2保持部材の形状は、直方体とし、第1平面部32の面積を400mm2とし、第2平面部の面積を9mm2とした。ここで、図8に示すように、電極配設薄板状焼成圧電体3の一の端部5が枠体2に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体1を、電極配設薄板状焼成圧電体3を第1保持部材31と第2保持部材33とで挟んだ状態で加熱する、反りの修正方法(反り修正法)を「修正法1」とする。
次に、レーザーにより、枠体から電極配設薄板状圧電体を切り離して圧電素子を得た。圧電素子の大きさは、4mm×4mm×15μmであった。
得られた、圧電素子について、下記方法により、「反り量」及び「割れ発生率」を測定した。結果を表1に示す。評価素子数は、20個とした。
(反り量の測定方法)
反り量(μm/mm)は、ZYGO社製の「表面形状測定機」を用いて測定した。評価素子数は20個全数測定し、その平均値を「反り量(μm/mm)」とした。
反り量(μm/mm)は、ZYGO社製の「表面形状測定機」を用いて測定した。評価素子数は20個全数測定し、その平均値を「反り量(μm/mm)」とした。
(割れ発生率の測定方法)
顕微鏡(30倍)で観察することにより割れが生じているか否かを判断した。100μm2の面積以上の欠けが顕微鏡で判断できるため、それ以上の欠けがある場合を「割れ発生」とした。評価素子数は20個全数検査し、割れ発生の比率を算出し、それを「割れ発生率(%)」とした。
顕微鏡(30倍)で観察することにより割れが生じているか否かを判断した。100μm2の面積以上の欠けが顕微鏡で判断できるため、それ以上の欠けがある場合を「割れ発生」とした。評価素子数は20個全数検査し、割れ発生の比率を算出し、それを「割れ発生率(%)」とした。
(実施例2〜20、比較例1〜16)
反り修正法、荷重及び冷却速度を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして圧電素子を作製した。得られた圧電素子について、上記方法により、「反り量」及び「割れ発生率」を測定した。結果を表1に示す。
反り修正法、荷重及び冷却速度を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして圧電素子を作製した。得られた圧電素子について、上記方法により、「反り量」及び「割れ発生率」を測定した。結果を表1に示す。
表1において、反り修正法の欄の「修正法2」は、図10に示すように、電極配設薄板状焼成圧電体63の一の端部65及び当該一の端部65に対して反対側に位置する他の端部66が、枠体62に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体61を、電極配設薄板状焼成圧電体63の部分を第1保持部材31と第2保持部材33とで挟んだ状態で加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法(反り修正法)である。従って、この場合、枠体付き電極配設薄板状圧電体としては、電極配設薄板状焼成圧電体の一の端部及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部が枠体に固定されたものを作製している。
表1において、反り修正法の欄の「修正法3」は、図9に示すように、電極配設薄板状焼成圧電体43の一の端部45及び当該一の端部45に対して反対側に位置する他の端部46が、枠体42に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体41を、電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面に、第3保持部材35の第3平面部36を接触させた状態で加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法(反り修正法)である。従って、この場合、枠体付き電極配設薄板状圧電体としては、電極配設薄板状焼成圧電体の一の端部及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部が枠体に固定されたものを作製している。
表1において、反り修正法の欄の「修正法4」は、図11に示すように、枠体から完全に切り離された電極配設薄板状焼成圧電体73を、第3保持部材35の第3平面部36の上に載せた状態で加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法(反り修正法)である。従って、この場合、補強板付き薄板状焼成圧電体に電極を配設した後に、電極配設薄板状焼成圧電体を、枠体から完全に分離するように切り取り、枠体から完全に切り離された電極配設薄板状焼成圧電体について反りの修正を行っている。
表1において、反り修正法の欄の「修正法5」は、図12に示すように、枠体から完全に切り離された電極配設薄板状焼成圧電体74を、第1保持部材31と第2保持部材33とで挟んだ状態で加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法(反り修正法)である。従って、この場合、補強板付き薄板状焼成圧電体に電極を配設した後に、電極配設薄板状焼成圧電体を、枠体から完全に分離するように切り取り、枠体から完全に切り離された電極配設薄板状焼成圧電体について反りの修正を行っている。
表1において、反り修正法の欄の「修正法6」は、図13に示すように、電極配設薄板状焼成圧電体83の一の端部85が枠体82に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体81を、電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面に、第3保持部材35の第3平面部36を接触させた状態で加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法(反り修正法)である。
表1において、反り修正法の欄の「修正法7」は、図14に示すように、電極配設薄板状焼成圧電体93の一の端部95及び当該一の端部95に対して反対側に位置する他の端部96が、枠体92に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体91を、保持部材を用いずに加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法(反り修正法)である。従って、この場合、枠体付き電極配設薄板状圧電体としては、電極配設薄板状焼成圧電体の一の端部及び当該一の端部に対して反対側に位置する他の端部が枠体に固定されたものを作製している。
表1において、反り修正法の欄の「修正法8」は、図15A、図15Bに示すように、電極配設薄板状焼成圧電体103の一の端部105が枠体102に固定された枠体付き電極配設薄板状圧電体101を、電極配設薄板状焼成圧電体103を第1保持部材31と第2保持部材33とで挟むとともに、第2保持部材33の外周の3つの辺を取り囲むように、支持体104で支持した状態で加熱する、電極配設薄板状焼成圧電体の反りの修正方法である。支持体104は、枠体付き電極配設薄板状圧電体101、第1保持部材及び第2
保持部材33が、荷重によりずれることを防止するものである。
保持部材33が、荷重によりずれることを防止するものである。
表1より、反り修正法が「修正法1」、「修正法2」、「修正法3」又は「修正法8」であり、反り修正温度が圧電材料のキュリー温度(250℃)より高い温度である場合に、反り量及び割れ発生率が良好な結果であることがわかる。また、反り修正を行う際の「荷重」が、100〜1000Paである場合に、反り量及び割れ発生率が特に良好な結果であることがわかる(実施例1〜7)。また、反り修正を行う際の「冷却速度」が、0.2〜100℃/分である場合に、反り量及び割れ発生率が特に良好な結果であることがわかる(実施例17〜20)。
本発明に係る圧電素子は、計測器、光変調器、光スイッチ、マイクロバルブ、搬送装置、画像表示装置(ディスプレイ、プロジェクタ等)、画像描画装置、マイクロポンプ、液滴吐出装置、微小混合装置、微小撹拌装置、微小反応装置、等に適用される各種の圧電アクチュエータ(圧電デバイス)や、流体特性、音圧、微小重量、加速度等の検出に用いられる各種の圧電センサ(圧電デバイス)として、好適に利用される。
1:枠体付き電極配設薄板状圧電体、2:枠体、3:電極配設薄板状焼成圧電体、4:開口部、5:一の端部、6:薄板状圧電体、11,11a:薄板状焼成圧電体用グリーンシート、12:焼成用補強部、13:補強板付き薄板状焼成圧電体、14:薄板状焼成圧電体、15:補強部、16:焼成用補強部の開口部、17:補強部の開口部、18:接合部、19:露出部、21:スルーホール、22,23:電極、24:後に圧電素子となる部分、31:第1保持部材、32:第1平面部、33:第2保持部材、34:第2平面部、35:第3保持部材、36:第3平面部、41:枠体付き電極配設薄板状圧電体、42:枠体、43:電極配設薄板状焼成圧電体、44:開口部、45:一の端部、46:他の端部、51:電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面、61:枠体付き電極配設薄板状圧電体、62:枠体、63:電極配設薄板状焼成圧電体、65:一の端部、66:他の端部、73,74:電極配設薄板状焼成圧電体、81:枠体付き電極配設薄板状圧電体、82:枠体、83:電極配設薄板状焼成圧電体、91:枠体付き電極配設薄板状圧電体、92:枠体、93:電極配設薄板状焼成圧電体、95:一の端部、96:他の端部、101:枠体付き電極配設薄板状圧電体、102:枠体、103:電極配設薄板状焼成圧電体、104:支持体。
Claims (8)
- 薄板状圧電体と一対の電極とを有する電極配設薄板状焼成圧電体の少なくとも一の端部が枠体に固定されてなる枠体付き電極配設薄板状圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで挟んだ状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、前記キュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する工程を有する、前記薄板状圧電体と前記一対の電極とを有する圧電素子の製造方法。
- 前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱した後、前記枠体を分離する、請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
- 前記電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで加圧しながら挟んだ状態で、前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する、請求項1又は2に記載の圧電素子の製造方法。
- 前記電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで加圧しながら挟むときの圧力が、100〜1000Paである請求項1〜3のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
- 前記第1保持部材又は前記第2保持部材の外周の少なくとも一部を取り囲むように、位置ズレ防止部材を配置して、前記枠体と前記位置ずれ防止部材とにより形成された開口部内に前記電極配設薄板状焼成圧電体が配設された状態で、前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する、請求項1〜4のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
- 大気雰囲気であり、且つPbOが存在しない雰囲気中で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱する請求項1〜5のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
- 前記電極配設薄板状焼成圧電体を、第1平面部を有する第1保持部材の前記第1平面部と、第2平面部を有する第2保持部材の前記第2平面部とで挟んだ状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、前記薄板状圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱した後に、0.2〜100℃/分の冷却速度で冷却を行い、その後、前記枠体から前記電極配設薄板状焼成圧電体を切り離して圧電素子を得る請求項1〜6のいずれかに記載の圧電素子の製造方法。
- 少なくとも一の開口部が形成された平板状の枠体と、それぞれの前記開口部内に配置されるとともに一の端部及び前記一の端部に対して反対側に位置する他の端部が、前記枠体に固定された、薄板状圧電体の両面に膜状の電極が配設されてなる電極配設薄板状焼成圧電体と、を備える枠体付き電極配設薄板状圧電体を作製し、
前記電極配設薄板状焼成圧電体の一方の面に、第3平面部を有する第3保持部材の前記第3平面部を接触させた状態で、前記薄板状圧電体のキュリー温度以上、前記薄板状圧電体のキュリー温度より600℃高い温度以下の温度範囲で前記枠体付き電極配設薄板状圧電体を加熱し、
前記枠体から前記電極配設薄板状焼成圧電体を切り離して圧電素子を得る圧電素子の製造方法。
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