JP2011249034A - 突起構造体、及び、突起構造体を製造する方法 - Google Patents

突起構造体、及び、突起構造体を製造する方法 Download PDF

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和寛 池田
Akihiko Ueda
暁彦 植田
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良樹 西林
Takahiro Imai
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Abstract

【課題】 電子放出性能を向上可能な突起構造体、及び、この突起構造体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 突起構造体1は、一辺が1000μmの立方体に収容可能である。また、突起構造体1は、基材2と、基材2の先端部21の端面22に設けられており端面22からの高さが10μm以上である突起3と、を備える。さらに、この突起構造体1においては、基材2の端面22の外周23から突起3の基端31までの距離Dが5μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、突起構造体、及び、突起構造体を製造する方法に関する。
従来、電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、及び電子線描画装置等には、ZrO/W又はLaB6等を利用した電子放出素子が用いられている。このような電子放出素子は、一般に1500℃以上の高温の状態において利用される(例えば、非特許文献1参照)。一方、このような電子放出素子を冷陰極やショットキー陰極等として利用する場合には、電子放出部への電界集中の観点から、この電子放出素子を、100μm以上の長さの突起構造を有するものとすることが好ましい。他方、電子放出素子は、仕事関数の低減の観点から、ダイヤモンドを含んで構成されることが好ましい。しかしながら、ダイヤモンドは、共有結合性が強く、金属と比べて粘性や展性が小さい。このため、例えばダイヤモンド片を引き伸ばして100μm以上の長さの突起構造を形成することは困難である。さらには、機械研磨によってダイヤモンド片の幅を狭くして、上記のような突起構造を形成することも、強度の点から非常に困難である。そこで、ダイヤモンドを含む100μm以上の長さの基材を用意し、用意した基材をエッチングすることによって、基材の先端部分の10μmのみを先鋭化し、基材の先端部に突起を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、長さが100μm以上の突起構造を有し、ダイヤモンドを含んで構成される電子放出素子が得られる。
特開2008−210775号公報 特開2007−095478号公報 特開2005−044634号公報
J.Vac.Sci.Techno.B 3(1),Jan/Feb(1985)220
ダイヤモンドは、仕事関数が低く、電子を放出し易い。また、ダイヤモンドは、半導体であるので、導体に比べて内部に電界が浸透し易い。このため、ダイヤモンドは、金属等の導体に比べて電界の影響を受け易い。したがって、上記のようにダイヤモンドを含んで構成される電子放出素子においては、余計な電界集中点が生じて、電子放出性能が低下する場合がある。そこで、本発明は、電子放出性能を向上可能な突起構造体、及びこの突起構造体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、基材と基材の端面に設けられた突起とを備える突起構造体において、基材の端面の外周から突起の基端までの距離が5μmよりも大きくなると、当該突起構造体へ電界をかけた時に、基材の端面の外周へ電界が集中し、その結果、電子放出部である突起の先端における電界強度が低下して、電子放出性能が低下してしまうことを見出した。
そこで、本発明の突起構造体は、一辺が1000μmの立方体に収容可能な突起構造体であって、基材と、基材の先端部の端面に設けられており端面からの高さが10μm以上である突起と、を備え、基材の端面の外周から突起の基端までの距離が5μm以下である、ことを特徴とする。このように、本発明の突起構造体は、基材の端面の外周から突起の基端までの距離が5μm以下であるので、当該突起構造体への電界をかけた時に、基材の外周へ電界が集中することが避けられる。その結果、突起の先端における電界強度の低下が防止され、電子放出性能が向上される。
本発明の突起構造体では、基材及び突起は、ダイヤモンド結晶を含む、ことができる。この場合、基材及び突起が比較的仕事関数の低いダイヤモンド結晶を含むので、電子放出性能が向上される。
本発明の突起構造体では、基材の先端部は先鋭化されており、基材の先端部の側面は、先端部の内側に凸となるように湾曲している、ことができる。この場合、突起の先端に電界が集中する。
本発明の突起構造体では、基材の先端部は先鋭化されており、基材の中心軸に沿った基材の先端部の断面形状は、台形状である、ことができる。この場合、突起の基端部から先端部へ向かう方向に対して平行に電界をかけることができるので、突起の先端から放出される電子の直進性が高まる。
本発明の突起構造体では、基材の先端部の長さは100μm以上であり、突起の高さは100μm未満である、ことができる。このように、加工が比較的容易な基材の先端部の長さを100μm以上と長くし、加工が比較的困難な突起の高さを100μm未満と低くすることによって、全体の長さを保ちつつ比較的容易に当該突起構造体を製造することができる。
本発明の突起構造体では、基材及び突起は、Ia型ダイヤモンド結晶、Ib型ダイヤモンド結晶、IIa型ダイヤモンド結晶及びIIb型ダイヤモンド結晶の何れかからなる、ことができる。基材及び突起が、これらの何れのダイヤモンド結晶からなる場合でも、例えば金属等からなる場合に比べて、仕事関数が低減される。
本発明の突起構造体では、ダイヤモンド結晶は、Li、P、S及びNのうちの少なくとも一つのドーパントを、1×1013cm−3以上1×1022cm−3以下の濃度で含有する、ことができる。この場合、ダイヤモンド結晶の活性化エネルギーが比較的低くなるので、実効的な仕事関数が低減される。
本発明の突起構造体を製造する方法は、上記の突起構造体を製造する方法であって、基材及び突起のための母材を用意する工程と、母材を研磨して、母材の先端部を先鋭化する工程と、母材の先端部の端面の一部のエリア上に、突起を規定するためのマスクを形成する工程と、少なくともCFとOとを含むエッチングガスでマスクを用いて母材をエッチングする工程と、を備え、母材をエッチングする工程は、エッチングガスをCF過多にして母材をエッチングすることにより、母材の先端部に突起部を設ける工程と、突起部を設けた後に、エッチングガスをO過多にして母材をさらにエッチングすることにより、突起部を伸長させて突起と基材とを形成する工程と、を含む。このように、本発明の突起構造体を製造する方法においては、母材をエッチングする工程が、CF過多のエッチングガスで母材をエッチングする工程と、この工程の後にO過多のエッチングガスで母材をエッチングする工程と、を含むことにより、上記の突起構造体を製造できる。
本発明によれば、電子放出性能を向上可能な突起構造体、及び、この突起構造体を製造する方法を提供することができる。
本実施形態に係る突起構造体を示す側面図である。 図1に示された突起の変形例を示す図である。 図1に示された基材の変形例を示す図である。 本実施形態に係る突起構造体を製造する方法の主要な工程を示す図である。 本実施形態に係る突起構造体を製造する方法の主要な工程を示す図である。 実施例に係る突起構造体の撮影画像を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る突起構造体、及び、この突起構造体を製造する方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下に示す各数値は所定の誤差を含む。
図1は、本実施形態に係る突起構造体を示す側面図である。図1に示される突起構造体1は、例えば電子顕微鏡、電子線描画装置等の電子放出素子として利用することができる。また、突起構造体1は、種々の分野で導電性ナノ針として利用することができる。さらには、突起構造体1は、導電性工具として利用することができる。
突起構造体1は、一辺が1000μmの立方体に収容可能である。突起構造体1は、基材2と突起3とを備える。基材2は、長手方向に沿った中心軸Aに対する回転対称性が高い形状を有する。基材2の先端部21は、先鋭化されており、中心軸Aに沿った断面形状が台形状である。中心軸Aに直交する方向からみた先端部21の稜線25は、先端部21の両端にかけて湾曲しておらず、先端部21の両端にわたって略直線状となっている。このため、中心軸Aに対して略平行に電界をかけることができるので、突起3の先端32から放出される電子の直進性を高めることができる。
突起3は、基材2の先端部21の端面22に設けられている。したがって、基材2の先端部21を、基材2の本体部20上に設けられた一種の突起とみなせば、突起構造体1は、基材2の先端部21と突起3とにより、中心軸Aの方向に2段に配列された突起を備えるということもできる。突起3は、突起3の中心軸Bに対する回転対称性が高い形状であり、例えば円錐形状又は角錐形状を有する。なお、本実施形態においては、基材2の中心軸Aと突起3の中心軸Bとは、略一致している。
基材2及び突起3は、Ia型ダイヤモンド結晶、Ib型ダイヤモンド結晶、IIa型ダイヤモンド結晶及びIIb型ダイヤモンド結晶の何れかからなることができる。基材2及び突起3が、これらの何れのダイヤモンド結晶からなる場合でも、例えば金属等をからなる場合に比べて、仕事関数が低減される。特に、基材2及び突起3がIb型ダイヤモンド結晶からなる場合には、Ib型ダイヤモンド結晶が他のダイヤモンド結晶に比べて安価なことから、突起構造体1を比較的安価に製造できる。また、IIa型ダイヤモンド結晶は抵抗値の温度依存性が比較的小さいので、基材2及び突起3がIIa型ダイヤモンド結晶からなる場合には、安定して電子を放出できる。また、基材2及び突起3がIa型ダイヤモンド結晶からなる場合も、基材2及び突起3がIIa型ダイヤモンド結晶からなる場合と同様に、安定して電子を放出できる。また、IIb型ダイヤモンド結晶は抵抗値の絶対値が比較的小さいので、基材2及び突起3がIIb型ダイヤモンド結晶からなる場合には、比較的大きな電流を放出できる。
なお、基材2及び突起3は、例えばLi、P、S及びNのうちの少なくとも一つのドーパントを、1×1013cm−3以上1×1022cm−3以下の濃度で含有するダイヤモンド結晶を含むものとすることもできる。この場合、ダイヤモンド結晶の活性化エネルギーが比較的低くなる(Liであれば0.1eV程度、Pであれば0.6eV程度、Sであれば0.3eV以上0.4eV以下、Nであれば1.7eV程度)ので、実効的な仕事関数が低減される。
基材2の先端部21の長さh21は、100μm以上である。ここで、長さh21とは、中心軸Aに沿った方向についての先端部21の基端から先端までの距離である。基材2の端面22からの突起3の高さh3は、10μm以上である。特に、加工が比較的容易な基材2の先端部21の長さh21を100μm以上と長くし、加工が比較的困難な突起3の高さh3を30μm以上100μm未満と低くすることによって、基材2の先端部21と突起3とからなる突起全体の高さ(h21+h3)を電子放出に好適な高さに保ちつつ、比較的容易に当該突起構造体を製造することができる。一方、突起3の高さh3を10μm以上400μm以下とし、先端径を10μm以上100μm以下とすれば、突起構造体1を電子放出素子として利用する場合に十分な電界を突起3の先端32へ集中できる。
突起3の高さh3及び基材2の先端部21の長さh21は、h3+h21>100μmとなるように設定できる。この場合、突起3の先端32へ電界を集中できる。また、突起3の高さh3は、基材2の先端部21の長さh21の半分以上(h3≧0.5・h21)とすることができる。この場合にも、突起3の先端32へ電界を集中できる。さらに、中心軸Aに直交する方向からみた基材2の先端部21の稜線25と中心軸Aとのなす角θは、45度±20度とすることができる。この場合にも、突起3の先端32へ電界を集中できる。特に、突起3の先端32における電界強度は、稜線25と中心軸Aとのなす角θが45度で最大となる。また、稜線25と中心軸Aとのなす角θが45度±20度であれば、基材2の先端部21を機械研磨によって作製可能である。
基材2の端面22の外周23から突起3の基端31までの距離Dは、5μm以下である。すなわち、端面22が、外周23を含む環状の第1のエリア22aと、第1のエリア22aの内側に位置しており突起3が配置されている第2のエリア22bと、からなり、この第1のエリア22aの幅が5μm以下である。基材2の端面22の外周23から突起3の基端31までの距離Dが5μmよりも大きくなると、突起構造体1へ電界をかけた時に、基材2の端面22の外周23近傍へ電界が集中して、ここから電子が放出され易くなる。特に、突起3の高さh3が10μm以下である場合には、このような電子放出が著しい。
ここで、突起3の形状は、円錐形状又は角錐形状に限らない。例えば、突起3は、図2(a)に示されるように、円柱形状又は角柱形状とすることができる。また、突起3は、図2(b)に示されるように、基材2の端面22上に配置されており円柱形状又は角柱形状を有する本体部35と、本体部35上に配置されており円錐形状又は角錐形状を有する先鋭部36と、からなるものとすることができる。
また、基材2は、上述のものに限らない。例えば、基材2は、図3(a)に示されるように、先端部21が先鋭化されており、中心軸Aに沿った先端部21の断面形状が台形状をなし、且つ、基材2の端面22の外周23から突起3の基端31までの距離Dが実質的に0であるものとすることができる。この場合、突起3の先端32へ電界を集中できる。また、基材2は、図3(b)に示されるように、先端部21が先鋭化されており、先端部21の側面24が先端部21の内側に凸となるように湾曲したものとすることができる。この場合にも、突起3の先端32へ電界を集中できる。なお、この場合においても、基材2の端面22の外周23から突起3の基端31までの距離Dを実質的に0とすることにより、突起3の先端32へさらに電界を集中できる。ここで、基材2の先端部21の側面24における湾曲の曲率半径は、例えば、突起3の高さh3の100倍以下とすることができる。
以上説明したように、突起構造体1によれば、基材2の端面22の外周23から突起3の基端31までの距離が5μm以下であるので、突起構造体1へ電界をかけた時に、基材2の外周23へ電界が集中することが避けられる。その結果、突起3の先端32における電界強度の低下が防止され、電子放出性能が向上される。
なお、突起3の高さh3を100μm未満であるとしたが、これは、突起構造体1を電子放出素子として利用することを前提としたからであり、例えば、突起構造体1を医療、工学等の分野において電子放出素子以外のものとして利用する場合には、突起3の高さh3はこれに限られない。突起構造体1を電子放出素子以外のものとして利用する場合には、例えば、以下のようなものとすることができる。すなわち、突起構造体は、基材の端面に設けられており該端面からの高さが1μm以上1000μm以下である突起を1つ以上備え、この突起の側面は湾曲しており、側面は曲率の変曲点を1つ以上有し、この突起における変曲点よりも先端側の部分の長さが20μm以上であり、この突起における変曲点よりも基端側の部分の長さが100μm以上であり、1段以上の段を持って突起を形成する工程と、その突起と基材との接続点における段差部分が0.1μm以上10μm以下となるようにエッチングする工程と、によって得られる対称性の良いものとすることができる。
次に、図4及び図5を参照して、突起構造体1を製造する方法について説明する。まず、図4(a)に示されるように、母材10を用意する。母材10の大きさは、従来の電子放出素子との互換性を考慮すると、50μm×50μm×100μm以上、1mm×1mm×5mm以下であることが好ましい。母材10の大きさが、50μm×50μm×100μm以上、1mm×1mm×5mm以下から外れると、母材10から得られる突起構造体1を、電子顕微鏡や電子ビーム露光機等の電子線機器へ取り付けることが困難となる。母材10は、柱状のダイヤモンド結晶からなる。ダイヤモンド結晶は、Ia型、Ib型、IIa型及びIIb型の何れかの型のものとすることができる。また、ダイヤモンド結晶は、導電性及び絶縁性のどちらでもよいが、導電性のものとする場合には、ドナー又はアクセプタ不純物を1×1017cm−3以上含むことができる。ドナー不純物はPとすることができ、アクセプタ不純物はBとすることができる。一方、ダイヤモンド結晶を絶縁性のものとする場合には、電子放出点の近傍に電極を取り付けることが好ましい。また、母材10の先端面9は、ダイヤモンド結晶におけるどの結晶面であってもよいが、特に、(001)面、(011)面、(111)面及び(211)面とすることができる。
なお、リンドープダイヤモンドのダイヤモンド単結晶を厚さ数mmのオーダーで他材料上に合成する場合、ダイヤモンドの硬度が高いことや、ダイヤモンドの熱膨張係数と他材料の熱膨張係数とが異なることに起因する格子定数のズレによって、膜中のひずみが大きくなり、エピタキシャル成長膜が割れ易くなる。このため、母材10としては、Ib型、IIa型及びIIb型のダイヤモンド単結晶を用いることが好ましい。Ib型、IIa型及びIIb型のダイヤモンド単結晶は、それぞれN型半導体、絶縁体、P型半導体とその特徴が異なるが、違いは不純物濃度のみであり、結晶系は互いに同一である。このため、これらのダイヤモンド単結晶は、全てN型ドープダイヤモンドで被覆することができる。また、良質なエピタキシャル成長膜を作製するためには、これらのダイヤモンド単結晶が不可欠であり、また、どの種類のダイヤモンド単結晶も、金属に比べて仕事関数が小さい。
続いて、母材10を研磨して、図4(b)に示されるように、先端部11が先鋭化された母材10aを形成する。このとき、母材10aの先端部11の端面12は、滑らかな平面とされている。以降の工程では、この母材10aの先端部11をもとにして、長さが100μmを超える突起を形成する。続いて、図4(c)に示されるように、母材10aの端面12の中心を含むエリア13上に、突起3を規定するマスク14を形成する。マスク14は、後に母材10aをエッチングする際に、マスク14の後退を利用して所望の形状に母材10aの先端部11を先鋭化可能な材料からなることができる。例えば、マスク14は、金属からなる金属マスクとすることができる。金属の例としては、Cu、Al、Cr、Ni、Ti及びW等を挙げることができる。また、マスク14の厚さTは、例えば4μm以上であることができる。このようなマスク14は、例えばFIB(収束イオンビーム)装置を用いて形成できる。なお、マスク14の厚さTが4μm未満である場合には、突起3の高さh3を50μm以上とすることは困難である。
続く工程では、CFとOとを含むエッチングガスによる反応性イオンエッチングで、マスク14を用いて母材10a(母材10b)をエッチングする。この工程は、エッチングガスをCF過多としてエッチングを行う第1エッチング工程と、第1エッチング工程の後にエッチングガスをO過多としてさらにエッチングを行う第2エッチング工程とを含む。ここで、CF過多とは、エッチングガスにおけるCFの濃度が50パーセント以上であることをいい、例えばCFの濃度とOの濃度との比が4:1程度である状態とすることができる。また、O過多とは、エッチングガスにおけるOの濃度が50パーセント以上であることをいい、例えばCFの濃度とOの濃度との比が1:2程度である状態とすることができる。
第1エッチング工程では、母材10aのマスク14直下の部分がマスク14により保護されているので、母材10aのその他の部分から徐々にエッチングされる。その結果、図5(a)に示されるように、山形の突起部15と新たな母材10bが形成される。突起部15は、母材10bの先端部11bに形成されている。この第1エッチング工程は、突起部15の高さが、突起3の高さの1/3程度に到達するか、或いは、突起部15の先端径が突起3の先端径の3倍程度に到達するまで行われる。第2エッチング工程では、母材10bがさらにエッチングされて、突起部15が伸長される。さらに、突起部15の基端の幅W15が広くなると共に、母材10bの先端部11bの幅W11が減少する。その結果、基材2と突起3とが形成される。基材2の先端部21と突起3とは、合計で100μm以上の高さ(h21+h3)の突起となっている。その後、マスク14を除去することで、図5(b)に示されるように突起構造体1が製造される。なお、この後に、突起3の形状を、例えばFIB装置により所望の形状に整形してもよい。
この方法によれば、母材をエッチングする工程が、CF過多のエッチングガスで母材10aをエッチングする第1エッチング工程と、この第1エッチング工程の後にO過多のエッチングガスで母材1bをエッチングする第2エッチング工程と、を含むことにより、突起構造体1を製造することができる。なお、母材10を研磨して先端部11が先鋭化された母材10aを形成する工程においては、先端部11の半径を10μm以上50μm以下とすることができる。また、第1エッチング工程においては、突起部15を、底辺幅10μm以上50μm以下、且つ、高さ10μm以上とすることができる。母材をエッチングする工程が第1エッチング工程のみであると、突起部15の根元がエッチングにより切削され、30μm以上高くならずに折れてしまう。また、母材をエッチングする工程が第2エッチング工程のみであっても、突起部15の根元がエッチングにより切削されてしまう。この方法においては、初期形状を形成することが重要である。
ここで、この方法によれば、基材2の先端部21における突起3との接続部分近傍において、選択的にエッチングが進行し、その結果、先端部21の側面24が先端部21の内側に凸となるように湾曲する場合がある。特に、突起3の高さh3が、先端部21の幅W21よりも高い場合には、先端部21の側面24が先端部21の内側に凸となるように湾曲する。一方、突起3の高さh3が、先端部21の幅W21よりも低い場合には、この湾曲はほとんどみられない。先端部21の側面24が湾曲していない場合、即ち、中心軸Aに直交する方向からみた先端部21の稜線25が先端部21の両端にかけて略直線状となっている場合には、先端部21の側面が先端部21の内側に凸となるように湾曲している場合に比べて、突起3の先端32における電界強度は低下するが、上述したように、突起3の先端32から放出される電子の直進性を高めることができるというメリットがある。
(実施例)
次に、本発明の突起構造体の一実施例の製造方法について説明する。まず、柱状のIIa型ダイヤモンド結晶からなる母材10を用意した。続いて、この母材10の先端面9を研磨して、これを滑らかな平面とした。続いて、母材10をさらに研磨して、先端面9の一部を残しつつ先端部11を先鋭化し、母材10aを形成した。このとき、母材10aの先端部11の側面と母材10aの中心軸とのなす角が略45度となるようにした。続いて、母材10aの端面12の中心を含むエリア13上に、FIB装置を用いてマスク14を形成した。続いて、CF過多のICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチングにより、マスク14を用いて母材10aをエッチングした。その結果、母材10bと高さ30μmの突起部15とが得られた。その後、O過多のICPエッチングにより、マスク14を用いて母材10bをエッチングした。その結果、突起部15が伸長され、基材2と高さ100μmの突起3とが得られた。このとき、基材2の先端部21の長さは350μmであった。つまり、基材2の先端部21と突起3とからなる高さ450μmの突起を備える突起構造体1が得られた。このようにして得られた突起構造体1のSEM写真を図6に示す。この突起構造体1を用いた電子放出素子の電子放出性能は、エミッション電流1μA時に角電流密度100μA/srであった。一方、突起構造体1を用いない従来の電子放出素子の電子放出性能は、エミッション電流100μA時に角電流密度100μA/srであった。この結果から、突起構造体1によれば、電子放出性能が向上されることが明らかとなった。
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置及び詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。また、本発明は、本実施形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲及びその精神の範囲から来る全ての修正及び変更に権利を請求する。
1…突起構造体、2…基材、3…突起、10,10a,10b…母材、14…マスク、15…突起部、21…先端部、22…端面、23…外周、24…側面、31…基端、32…先端、A…中心軸。

Claims (8)

  1. 一辺が1000μmの立方体に収容可能な突起構造体であって、
    基材と、前記基材の先端部の端面に設けられており前記端面からの高さが10μm以上である突起と、を備え、
    前記基材の前記端面の外周から前記突起の基端までの距離が5μm以下である、ことを特徴とする突起構造体。
  2. 前記基材及び前記突起は、ダイヤモンド結晶を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の突起構造体。
  3. 前記基材の前記先端部は先鋭化されており、
    前記基材の前記先端部の側面は、前記先端部の内側に凸となるように湾曲している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の突起構造体。
  4. 前記基材の前記先端部は先鋭化されており、
    前記基材の中心軸に沿った前記基材の前記先端部の断面形状は、台形状である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の突起構造体。
  5. 前記基材の前記先端部の長さは100μm以上であり、
    前記突起の前記高さは100μm未満である、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の突起構造体。
  6. 前記基材及び前記突起は、Ia型ダイヤモンド結晶、Ib型ダイヤモンド結晶、IIa型ダイヤモンド結晶及びIIb型ダイヤモンド結晶の何れかからなる、ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の突起構造体。
  7. 前記ダイヤモンド結晶は、Li、P、S及びNのうちの少なくとも一つのドーパントを、1×1013cm−3以上1×1022cm−3以下の濃度で含有する、ことを特徴とする請求項2に記載の突起構造体。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の突起構造体を製造する方法であって、
    前記基材及び前記突起のための母材を用意する工程と、
    前記母材を研磨して、前記母材の先端部を先鋭化する工程と、
    前記母材の前記先端部の端面の一部のエリア上に、前記突起を規定するためのマスクを形成する工程と、
    少なくともCFとOとを含むエッチングガスで前記マスクを用いて前記母材をエッチングする工程と、を備え、
    前記母材をエッチングする工程は、
    前記エッチングガスをCF過多にして前記母材をエッチングすることにより、前記母材の先端部に突起部を設ける工程と、
    前記突起部を設けた後に、前記エッチングガスをO過多にして前記母材をさらにエッチングすることにより、前記突起部を伸長させて前記突起と前記基材とを形成する工程と、を含むことを特徴とする方法。
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