以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステム5の構成を示している。本システム5は、オフィスなどに設けられたLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に複数の画像形成装置10と、複数の端末装置30と、サーバ装置50とが接続されて構成される。
端末装置30は、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)などで構成され、画像形成装置10にジョブを送信する機能を備えている。画像形成装置10は、端末装置30から受信したジョブを処理する機能を備えている。サーバ装置50は、画像形成装置10の電源状態を管理する電源状態管理装置(管理サーバ)としての機能を備えている。詳細には、サーバ装置50は、起動状態の端末装置30の位置情報および台数と各画像形成装置10の位置情報とを取得し、これらに基づいて、複数の画像形成装置10の中から電源オン状態にする画像形成装置10を選定し、その画像形成装置10を電源オン状態にすると共にそれ以外の画像形成装置10を電源オフ状態にする電源制御を行う機能を備えている。
図2は、画像形成装置10の概略構成を示している。画像形成装置10は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり端末装置30へ送信したりするスキャン機能、端末装置30から受信した印刷データに基づく画像や当該画像形成装置10に保存されている画像データに基づく画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、ファクシミリ機能などを備えた、所謂、複合機(MFP)と称される装置である。画像形成装置10は、端末装置30からジョブを受信して実行する機能を備えた装置であればよく、たとえば、プリント機能のみを有するプリンタ装置でもよいし、端末装置30から受信した画像データを外部へファクシミリ送信する機能を備えたファクシミリ装置などでもかまわない。
画像形成装置10は、当該画像形成装置10の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置16と、表示部17と、操作部18と、ネットワーク通信部19と、ファクシミリ通信部20と、スキャナ部21と、画像処理部22と、プリンタ部23と、位置情報取得部24とを接続して構成される。さらに、当該画像形成装置10の電源制御(電源オンオフ制御)と各部への給電制御を行う電源制御部25を備えている。
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに従って画像形成装置10の動作を制御する。ROM13には、CPU11によって実行される各種プログラムや各種の固定データが記憶されている。RAM14は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。不揮発メモリ15は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリである。不揮発メモリ15には、装置固有の情報(名称、IP(Internet Protocol)アドレスなど)や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置16は、各種の保存データを格納するほか、入力された各種の画像データなども保存する。
表示部17は、液晶ディスプレイなどで構成され、初期画面、操作画面、設定画面などの各種の画面を表示する。操作部18は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが画像形成装置10に対して行う各種の操作を受け付ける。
スキャナ部21は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部21は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
画像処理部22は、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施す。
プリンタ部23は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部23は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
位置情報取得部24は、当該画像形成装置10の設置位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では、GPS(Global Positioning System(全地球測位システム))を用いて位置情報を取得する。
なお、画像形成装置10に位置情報取得部24を設けず、GPS機能を有する別の装置(GPS位置検出装置)で画像形成装置10の位置情報を検出し、画像形成装置10に入力して記憶するようにしてもよい。画像形成装置10は、設置後にその設置場所から移動されることが殆どないので、GPS位置検出装置で位置情報を検出し、画像形成装置10に入力して記憶する構成としても差し支えない。たとえば、GPS機能を有する携帯端末などを用いて、画像形成装置10の設置されている位置情報を検出し、その検出した位置情報を画像形成装置10の不揮発メモリ15などに記憶しておくようにしてもよい。
ファクシミリ通信部20は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて通信し画像データを送受信する。ネットワーク通信部19は、端末装置30、サーバ装置50、他の画像形成装置10などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する。
ネットワーク通信部19は、画像形成装置10が電源オフ状態(ソフトオフ状態)に遷移してCPU11などが動作しなくても、単独で動作してデータを受信して解析し、必要な応答をデータの送信元へ返信する機能を備えている。ここでは、ネットワーク通信部19は、位置情報と、当該画像形成装置10の現在の電源状態を示す情報などを記憶する情報保持部26を備え、サーバ装置50から位置情報や電源状態の取得要求を受けた場合に、情報保持部26からそれらの情報を読み出して返信するようになっている。
電源制御部25は、商用電源からの電力を適宜の電圧に変換して画像形成装置10の各部へ電力を供給する。また、CPU11からの指示に従って、電力を供給するか供給停止するかを電力供給先別に制御する機能を備えている。
画像形成装置10は、電源状態として(図6参照)、稼動状態(S0)、省電力状態(S3)、ソフトオフ状態(S5)を備えており、これらの電源状態に遷移可能となっている。
ソフトオフ状態は、ソフトウェアで電源を切った状態である。ここでは、ネットワーク通信部19のみに電力が供給され、CPU11を含む他の部分への電力供給が停止されており、電力消費量が最低限に抑えられている状態である。ソフトオフ状態では、ネットワーク通信部19はデータの受信、解析、送信が可能であり、ネットワーク2上のサーバ装置50からの位置情報や電源状態の取得要求に対し応答を行うことができる。
稼動状態は、画像形成装置10のすべての部分に電力が供給されており、電力消費量を抑制してはいないがすべての機能を使用できる状態である。
省電力状態は、ネットワーク通信部19、CPU11、ROM13、RAM14を含む所定の部分に電力が供給され、他の部分への電力供給が停止されており、稼動状態に比べて電力消費量が抑えられている状態である。たとえば、ネットワーク通信部19によるネットワーク通信機能と(端末装置30からのジョブの受信を検知する機能を含む)、操作部18に対する操作や外部装置からのファクシミリの受信を検知する機能を残して、他の機能(コピー、スキャン、プリンタ、画像処理、表示などの機能)に係る部分への電力供給が停止された状態である。
画像形成装置10は、稼動状態において、スキャナ部21やプリンタ部23を使用するジョブの実行や操作部18に対する操作のない待機状態が一定時間以上継続すると省電力状態に自動で遷移する。省電力状態において、端末装置30からのジョブの受信、操作部18に対する操作、外部装置からのファクシミリの受信などを検知すると、稼動状態に自動で遷移するようになっている。稼動状態と省電力状態ではCPU11に電力が供給されており、これらの状態間での自動遷移は、CPU11が電源制御部25に指示を出し、電源制御部25に各部への電源供給を切り替えさせることで行う。
なお、ここでは稼動状態を電源オン状態とし、ソフトオフ状態を電源オフ状態として説明する。また省電力状態は、本実施形態では電源オン状態に含まれるものとしている。
画像形成装置10は、サーバ装置50から電源状態遷移要求(電源オン要求/電源オフ要求)を受信した場合に、電源状態の遷移を行う。詳細には、電源オン要求を受信した場合は、電源オフ状態(ソフトオフ状態)から電源オン状態(稼動状態)への遷移を行い、電源オフ要求を受信した場合は、電源オン状態から電源オフ状態への遷移を行う。
電源オフ状態では、ネットワーク通信部19はサーバ装置50から電源オン要求を受信すると、電源制御部25やCPU11に電源オン信号(電源オン状態遷移信号)を出力する。電源制御部25はこの信号を受けると、CPU11、ROM13、RAM14などに電力を供給する。CPU11は、電源制御部25から電力供給を受けて動作し、電源制御部25に指示を出して、電源制御部25に各部への電源供給を行わせ、画像形成装置10を電源オフ状態から電源オン状態へ遷移させる。
電源オン状態では、ネットワーク通信部19はサーバ装置50から電源オフ要求を受信すると、CPU11に電源オフ信号(電源オフ状態遷移信号)を出力する。CPU11はこの信号を受けると電源制御部25に指示を出して、電源制御部25に各部への電源供給を停止させ、画像形成装置10を電源オン状態から電源オフ状態へ遷移させる。
図3は、端末装置30の概略構成を示している。端末装置30は、画像形成装置10に対して、スキャンジョブやプリントジョブなどのジョブを送信して実行を依頼する機能を備えている。端末装置30は、OSプログラムや画像形成装置10のドライバプログラム、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。
端末装置30は、CPU31にバス32を介して、ROM33と、RAM34と、不揮発メモリ35と、ハードディスク装置36と、表示部37と、操作部38と、ネットワーク通信部39と、位置情報取得部40などを接続して構成される。
CPU31は、ROM33に格納されているプログラムに従って端末装置30の動作を制御したり、ハードディスク装置36に格納されているプログラムに従って各種の処理を実行したりする。ROM33には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM34は、ハードディスク装置36から読み出したプログラムが記憶される。またRAM34は、CPU31がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
不揮発メモリ35は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリであり、当該端末装置30のシステム情報(装置ID(IDentification)、IPアドレスなど)やユーザ情報、各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置36は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや画像形成装置10のドライバプログラム、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。
表示部37は、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成される。操作部38は、キーボードやマウスなどの操作入力装置で構成される。
位置情報取得部40は、当該端末装置30の設置位置を示す位置情報を取得する。ここではGPSを用いて位置情報を取得する。
なお、端末装置30がデスクトップ型PCで構成される場合には、設置後にその設置場所から移動される可能性が低いので、画像形成装置10と同様に、端末装置30に位置情報取得部40を設けず、GPS機能を有する別の装置(GPS位置検出装置)で端末装置30の位置情報を検出し、端末装置30に入力して不揮発メモリ35などに記憶するようにしてもよい。
ネットワーク通信部39は、画像形成装置10、サーバ装置50、他の端末装置30などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する。端末装置30の電源オン時(起動時)は、サーバ装置50に電源オン通知と位置情報を送信し、端末装置30の電源オフ時(停止時)は、サーバ装置50に電源オフ通知を送信する。電源オン通知と電源オフ通知では、装置IDとIPアドレスなども送信する。
また、端末装置30における起動状態とは、(1)端末装置30の電源がオンの状態、(2)画像形成装置10にジョブを送信する機能を果たすドライバプログラムが起動された状態、(3)そのドライバプログラムを使用するアプリケーションプログラムが起動した状態、などであり、いずれの状態を起動状態と定義するかは適宜に選択設定すればよい。なお、電源オンの状態に省電力状態を含めるようにしてもよいし、省電力状態を含めずに通常状態のみとしてもよい。
起動状態の端末装置30とは、上記の電源がオンにされて起動している状態の端末装置30としてもよいし、その状態のうちの通常状態の端末装置30としてもよいし、その通常状態のうちのドライバプログラムが起動している状態の端末装置30としてもよい。通常状態の端末装置30とする場合は、端末装置30は通常状態に遷移したときにその通知(通常状態遷移通知)をサーバ装置50に送信することで、自装置が通常状態であることをサーバ装置50に通知することができる。ドライバプログラムが起動している状態の端末装置30とする場合は、端末装置30はドライバプログラムを起動したときにその通知(ドライバプログラム起動通知)をサーバ装置50に送信することで、自装置がドライバプログラムを起動したことをサーバ装置50に通知することができる。
ここでは、電源がオンにされて起動している状態の端末装置30を、起動状態の端末装置30として説明する。
図4は、サーバ装置50の概略構成を示している。サーバ装置50は、画像形成装置10に対して、電源オン状態へ遷移させたり、電源オフ状態へ遷移させたりする電源制御を行う機能を備えている。サーバ装置50は、OSプログラムや画像形成装置10の電源状態を制御するための電源管理プログラムなどがインストールされた汎用のコンピュータなどで構成される。
サーバ装置50は、CPU51にバス52を介して、ROM53と、RAM54と、不揮発メモリ55と、ハードディスク装置56と、表示部57と、操作部58と、ネットワーク通信部59となどを接続して構成される。
CPU51は、ROM53やハードディスク装置56に格納されているプログラムに従ってサーバ装置50の動作を制御したり、画像形成装置10に対する電源制御を実行したりする。ROM53には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM54は、ハードディスク装置56から読み出したプログラムが記憶される。またRAM54は、CPU51がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
不揮発メモリ55は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリであり、当該サーバ装置50のシステム情報(名称、IPアドレスなど)や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置56は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラムや電源管理プログラム、画像形成装置10の電源制御に使用する各種の情報が格納されるデータベースなどが保存される。
表示部57は、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成される。操作部58は、キーボードやマウスなどの操作入力装置で構成される。ネットワーク通信部59は、画像形成装置10、端末装置30、他の外部装置などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する。
図5は、サーバ装置50による管理エリアR内に存在する画像形成装置10と端末装置30の配置の一例を示している。図中では、画像形成装置を「MFP」と表記し、端末装置を「PC」と表記している。以下、管理エリアRを示した同様の配置図においては、画像形成装置と端末装置とは同様の表記を行う。
管理エリアRは、サーバ装置50が電源状態の管理を行う画像形成装置10が設置されており、その画像形成装置10にジョブを送信する端末装置30が存在しているエリアである。たとえば、オフィスにおいては、画像形成装置10が設置され端末装置30が存在している居室や事務室などの部屋である。管理エリアは複数の部屋を含むエリアでもかまわない。ここでは、管理エリアRを1つの部屋として説明する。
本例の管理エリアRには、3台の画像形成装置10(画像形成装置A、B、C)が設置されており、多数(図5の例では18台)の端末装置30が存在している。各画像形成装置10は、一定距離離間して一列に配置されている。各端末装置30は、画像形成装置10の列と略平行に二列に並べられ、互いに近接して配置されている。
サーバ装置50(図5では図示省略)は、管理エリアR内に存在している各端末装置30の電源オンオフを監視し、起動状態の端末装置30から使い勝手の良い場所にあり、起動状態の端末装置30の台数に見合った台数の画像形成装置10を電源オン状態にすると共に、それ以外の画像形成装置10を電源オフ状態にする電源制御を行う。この電源制御は、電源をオンにするよう決定した、電源オフ状態の画像形成装置10に対する電源オン制御と、電源をオフにするよう決定した、電源オン状態の画像形成装置10に対する電源オフ制御とを含む。電源をオンにする画像形成装置10は、前述したように、起動状態の端末装置30の位置情報および台数と各画像形成装置10の位置情報とに基づいて決定(選定)する。電源をオンにするよう決定した画像形成装置10以外の画像形成装置10に対しては、電源をオフにするよう決定する。
図6は、サーバ装置50が画像形成装置10の装置情報を保持するために備えているデータベース60を示している。このデータベース60は、サーバ装置50のハードディスク装置56もしくは不揮発メモリ55に保存されている。
データベース60には、画像形成装置10の名称と、位置情報と、電源状態とが関連付けられて登録される。本図では、図5に示した3台の画像形成装置A、B、Cがデータベース60に登録されている例を示している。位置情報は、緯度と経度で構成される。電源状態は、前述した稼動状態(S0)、省電力状態(S3)、ソフトオフ状態(S5)である。
データベース60は、新たな画像形成装置10の装置情報を登録するときと、登録されている画像形成装置10の装置情報を削除するときと、登録されている画像形成装置10の電源状態が変化したときとに更新される。
画像形成装置10の名称と位置情報については、サーバ装置50が画像形成装置10から能動的に取得して登録するようにしてもよく、画像形成装置10から受動的に取得して登録するようにしてもよい。
画像形成装置10の名称と位置情報を能動的に取得する場合には、たとえば、サーバ装置50はネットワーク2に接続されている管理エリアR内の画像形成装置10の検出を定期的に行い、検出した画像形成装置10から名称と位置情報を取得してデータベース60に登録したり、検出しなくなった画像形成装置10の名称と位置情報(装置情報)をデータベース60から削除したりして、データベース60を更新する。
詳細には、たとえば、サーバ装置50はネットワーク2に接続されている管理エリアR内の画像形成装置10の検出を定期的に行い、新たに検出した画像形成装置10に位置情報通知要求を送信する。位置情報通知要求を受信した画像形成装置10は、自装置の名称と位置情報(緯度および経度)をサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、画像形成装置10から受信した名称と位置情報を関連付けてデータベース60に登録する。
また、画像形成装置10が管理エリアR外へ移動される場合には、画像形成装置10はネットワーク2から接続解除される。サーバ装置50は、データベース60に登録されている画像形成装置10のうち、ネットワーク2上で検出しなくなったこの画像形成装置10の名称と位置情報(装置情報)をデータベース60から削除する。
また、データベース60に登録された画像形成装置10が管理エリアR内の別の場所に移動されて設置される場合には、画像形成装置10は一旦ネットワーク2から接続解除され、別の位置への設置後に再びネットワーク2に接続されると共に、位置情報取得部24によってその新たな設置位置を示す位置情報を取得する。サーバ装置50は、データベース60に登録されている画像形成装置10のうち、一旦ネットワーク2から接続解除されてネットワーク2上で検出しなくなったこの画像形成装置10の装置情報をデータベース60から削除する。その後、別の位置に設置されたこの画像形成装置10をネットワーク2上で検出すると、この画像形成装置10から名称と位置情報(新たな設置位置を示す位置情報)を受信し、それらを関連付けてデータベース60に登録する。
画像形成装置10の名称と位置情報を受動的に取得する場合には、たとえば、サーバ装置50はネットワーク2に接続されている管理エリアR内の画像形成装置10から名称と位置情報の送信を受けてデータベース60に登録したり、その画像形成装置10がネットワーク2から接続解除されるときにその通知(ネットワーク接続解除通知)を受けてその画像形成装置10の名称と位置情報(装置情報)をデータベース60から削除したりして、データベース60を更新する。
詳細には、たとえば、画像形成装置10は管理エリアR内に設置されてネットワーク2に接続されると共に、位置情報取得部24によってその設置位置を示す位置情報を取得すると、自装置の名称と位置情報をサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、画像形成装置10から名称と位置情報を受信すると、それらを関連付けてデータベース60に登録する。
また、画像形成装置10が管理エリアR外へ移動される場合には、画像形成装置10はネットワーク2から接続解除されるときにネットワーク接続解除通知と自装置の名称をサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、ネットワーク接続解除通知と共に画像形成装置10の名称を受信すると、その画像形成装置10の名称と位置情報(装置情報)をデータベース60から削除する。
また、データベース60に登録された画像形成装置10が管理エリアR内の別の場所に移動されて設置される場合には、その画像形成装置10がネットワーク2から接続解除されるときに上記のネットワーク接続解除通知をサーバ装置50に送信することで、データベース60からその画像形成装置10の名称と位置情報(装置情報)が一旦削除される。その画像形成装置10が管理エリアR内の別の場所に移動されてネットワーク2に接続され、自装置の名称と新たな設置位置を示す位置情報をサーバ装置50に送信することで、データベース60にその画像形成装置10の名称と位置情報が登録される。
また、サーバ装置50が画像形成装置10からネットワーク接続解除通知を受けてその画像形成装置10の装置情報をデータベース60から削除するのではなく、サーバ装置50がネットワーク2に接続されている管理エリアR内の画像形成装置10の検出を定期的に行い、ネットワーク2上で検出しなくなった画像形成装置10の装置情報をデータベース60から削除するようにしてもよい。
画像形成装置10の電源状態についても、サーバ装置50が画像形成装置10から能動的に取得して登録するようにしてもよく、画像形成装置10から受動的に取得して登録するようにしてもよい。
画像形成装置10の電源状態を能動的に取得して登録する場合には、たとえば、サーバ装置50はネットワーク2に接続されている管理エリアR内の画像形成装置10の検出を定期的に行い、検出した画像形成装置10に電源状態通知要求を送信する。電源状態通知要求を受信した画像形成装置10は、自装置の名称と電源状態を示す情報とをサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、画像形成装置10から受信した名称と一致するデータベース60内の名称に関連付けて、その画像形成装置10から受信した電源状態を登録する。
画像形成装置10の電源状態を受動的に取得して登録する場合には、画像形成装置10は電源状態の遷移を行ったときに、自装置の名称とその遷移後の電源状態を示す情報とをサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、画像形成装置10から受信した名称と一致するデータベース60内の名称に関連付けて、その画像形成装置10から受信した電源状態を登録する。
図7は、サーバ装置50が起動状態の端末装置30の装置情報を保持するために備えているデータベース70を示している。このデータベース70は、サーバ装置50のハードディスク装置56もしくは不揮発メモリ55に保存されている。
データベース70には、起動状態の端末装置30の装置IDと、位置情報と、その端末装置30から1番目に近い画像形成装置10の名称と、2番目に近い画像形成装置10の名称と、3番目に近い画像形成装置10の名称とが関連付けられて登録される。本図では、3台の端末装置A、B、Cがデータベース70に登録されている場合を例示している。1〜3番目に近い画像形成装置10は、図6に示したデータベース60に登録されている画像形成装置A、B、Cである。
位置情報は、緯度と経度で構成される。1〜3番目に近い画像形成装置10は、端末装置30の位置情報と、データベース60に登録されている各画像形成装置10の位置情報とを用いて、端末装置30と各画像形成装置10の距離を計算し、その距離に基づいて判断するようにしている。すなわち、端末装置30からの距離が1番短い画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10と判断し、端末装置30からの距離が次に短い画像形成装置10を2番目に近い画像形成装置10と判断し、端末装置30からの距離がさらにその次に短い画像形成装置10を3番目に近い画像形成装置10と判断するようにしている。
なお、1番目に近い画像形成装置は「第1近接画像形成装置」、2番目に近い画像形成装置は「第2近接画像形成装置」、3番目に近い画像形成装置は「第3近接画像形成装置」とも呼ぶ。
データベース70は、新たに起動状態となった端末装置30の装置情報を登録するときと、登録されている起動状態の端末装置30が停止状態となってその端末装置30の装置情報を削除するときとに更新される。
端末装置30は、電源がオンにされると、電源オン通知と、装置IDおよび位置情報とをサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、端末装置30から電源オン通知と共に装置IDおよび位置情報を受信すると、その装置IDと位置情報とを関連付けてデータベース70に登録する。また、その端末装置30から1〜3番目に近い画像形成装置10を判断し、その画像形成装置10の名称を端末装置30の装置IDに関連付けてデータベース70に登録する。
また端末装置30は、電源がオフにされると、電源オフ通知と装置IDとをサーバ装置50に送信する。サーバ装置50は、端末装置30から電源オフ通知と共に装置IDを受信すると、その装置IDに対応する端末装置30の装置情報をデータベース70から削除する。
図8は、図7に示したデータベース70に対し、新たに電源オンにされて起動状態となった端末装置Dの情報が追加登録されてデータベース70が更新された場合の例を示している。図9は、図8に示したデータベース70に対し、新たに電源オフにされて停止状態となった端末装置Cの情報が削除されてデータベース70が更新された場合の例を示している。
次に、画像形成装置10の動作について説明する。
図10は、サーバ装置50が端末装置30から電源オン通知を受信したときの動作を示す流れ図である。
CPU51は、端末装置30から電源オン通知と、装置IDおよび位置情報を受信すると(ステップS101)、その端末装置30に係る装置情報をデータベース70に登録する(ステップS102)。詳細には、端末装置30から受信した装置IDと位置情報とを関連付けてデータベース70に登録する。また、その端末装置30の位置情報と、データベース60に登録されている画像形成装置10の位置情報とに基づいて、その端末装置30から1番目に近い画像形成装置10、2番目に近い画像形成装置10、3番目に近い画像形成装置10を判断し、データベース70に登録する。
既に起動状態である他の端末装置30が存在しない場合は(ステップS103;No)、現在起動状態である1台の端末装置30から1番目に近い画像形成装置10を、データベース60を参照して特定し、その画像形成装置10を電源オン状態に決定する(ステップS104)。そして、その画像形成装置10に電源状態遷移要求を送信する(ステップS106/End)。ステップS104による決定方法の詳細については後述する。
この場合は、1台の端末装置30が起動状態(電源オン)になる前は、起動状態の端末装置30が無く、すべての画像形成装置10が電源オフ状態となっている。この状況で1台の端末装置30が起動状態になると、サーバ装置50はその端末装置30から1番目に近い画像形成装置10に電源オン要求を送信し、その画像形成装置10はサーバ装置50からの電源オン要求を受けて電源をオンにし、電源オフ状態から電源オン状態へ遷移する。
また、既に起動状態である他の端末装置30が存在する場合は(ステップS103;Yes)、データベース60、70に登録されている情報に基づいて、電源制御(電源オンオフ制御)を行う画像形成装置10を決定し(ステップS105)、その画像形成装置10に電源状態遷移要求を送信する(ステップS106/End)。ステップS105による決定方法とステップS106による送信内容の詳細については後述する。
図11は、サーバ装置50が端末装置30から電源オフ通知を受信したときの動作を示す流れ図である。
CPU51は、端末装置30から電源オフ通知と装置IDを受信すると(ステップS201)、その装置IDに対応する端末装置30の装置情報をデータベース70から削除する(ステップS202)。
現在、他に起動状態の端末装置30が存在しない場合は(ステップS203;No)、現在電源オン状態である画像形成装置10を、データベース70を参照して特定し、その画像形成装置10を電源オフ状態に決定する(ステップS204)。そして、その画像形成装置10に電源状態遷移要求を送信する(ステップS206/End)。
この場合は、1台の端末装置30が停止状態(電源オフ)になる前は、起動状態の端末装置30がその1台のみであり、その1台の端末装置30から1番目に近い画像形成装置10のみが電源オン状態となっている。この状況で最後の1台の端末装置30が停止状態になると、サーバ装置50はその端末装置30から1番目に近い画像形成装置10に電源オフ要求を送信し、その画像形成装置10はサーバ装置50からの電源オフ要求を受けて電源をオフにし、電源オン状態から電源オフ状態へ遷移する。すなわち、管理エリアR内のすべての画像形成装置10が電源オフ状態となる。
また、現在、他に起動状態の端末装置30が存在する場合は(ステップS203;Yes)、データベース60、70に登録されている情報に基づいて、電源制御(電源オンオフ制御)を行う画像形成装置10を決定し(ステップS205)、その画像形成装置10に電源状態遷移要求を送信する(ステップS206/End)。ステップS205による決定方法とステップS206による送信内容の詳細については後述する。
続いて、電源制御を行う画像形成装置10の決定方法について説明する。本実施形態では、下記の6通りの方法で電源オン状態にする画像形成装置10を決定し、それ以外の画像形成装置10を電源オフ状態に決定するようにしている。
決定方法1・・・起動状態の端末装置が1台の場合には、その端末装置から1番目に近い画像形成装置を電源オン状態にするよう決定する。(図10のステップS104)
決定方法2・・・すべての起動状態の端末装置が同一の画像形成装置を1番目に近い画像形成装置とし、その起動状態の端末装置が所定台数未満の場合には、その画像形成装置を電源オン状態にするよう決定する。
決定方法3・・・すべての起動状態の端末装置が同一の画像形成装置を1番目に近い画像形成装置とし、その起動状態の端末装置が所定台数以上の場合には、その画像形成装置と、それらの端末装置から2番目に近い画像形成装置を電源オン状態にするよう決定する。
決定方法4・・・すべての起動状態の端末装置が同一の画像形成装置を1番目に近い画像形成装置としておらず、それらの起動状態の端末装置の中間に画像形成装置がある場合には、その中間の画像形成装置を電源オン状態にするよう決定する。
決定方法5・・・すべての起動状態の端末装置が同一の画像形成装置を1番目に近い画像形成装置としておらず、それらの起動状態の端末装置の中間に画像形成装置がない場合には、既に電源オン状態の画像形成装置を継続使用する。
決定方法6・・・起動状態の端末装置から1番目に近くなくかつ所定距離以上離れた画像形成装置は、その端末装置に係る電源オン状態にする画像形成装置の対象から除外する。
決定方法1〜6の具体例について、図12〜図20を用いて説明する。なお、図12〜図20では、管理エリアR内における起動状態(電源オン)の端末装置30(PC)を白抜きで示し、停止状態(電源オフ)の端末装置30をハッチングで示している。電源オン状態にする画像形成装置10(MFP)を白抜きで示し、電源オフ状態にする画像形成装置10をハッチングで示している。また、起動状態の端末装置30の位置情報と、1〜3番目に近い画像形成装置10が登録されたデータベース70も併せて示している。
(決定方法1)
図12は、管理エリアR内における起動状態の端末装置30が1台の場合に電源オン状態にする画像形成装置10の例を示している。起動状態の端末装置30が1台の場合は、その端末装置30から1番目に近い画像形成装置10を電源オン状態にする。
たとえば、図12に示す端末装置Aが起動状態である場合は、端末装置Aから1番目に近い画像形成装置Aを電源オン状態にする。
(決定方法2)
図13は、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とし、その起動状態の端末装置30が所定台数未満の場合に電源オン状態にする画像形成装置10の例を示している。
所定台数は、任意の台数である。サーバ装置50に予め登録されている初期設定値としてもよく、管理者などがサーバ装置50に対して予め任意の台数(所定台数)を設定し登録するようにしてもよい。また、画像形成装置10の処理能力に基づいて所定台数を決めるようにしてもよい。たとえば、1台の画像形成装置10の処理能力がN台の端末装置30から受けるジョブの処理量とつり合う場合には(1台の画像形成装置10の処理能力≒N台の端末装置30から受けるジョブの処理量)、そのN台を所定台数にするようにしてもよい。ここでは、所定台数を4台とした場合で説明する。
すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とし、その起動状態の端末装置30が4台未満(2台または3台)の場合は、それらの端末装置30から1番目に近い1台の画像形成装置10を電源オン状態にする。
たとえば、図13に示す端末装置A、端末装置B、端末装置Cが起動状態である場合は、それらの端末装置A〜Cから1番目に近いのは画像形成装置Aであり、画像形成装置Aを電源オン状態にする。
(決定方法3)
図14は、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とし、その起動状態の端末装置30が所定台数以上の場合に電源オン状態にする画像形成装置10の例を示している。
すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とし、その起動状態の端末装置30が4台以上の場合は、それらの端末装置30から1番目に近い画像形成装置10に加えて、2番目に近い画像形成装置10も電源オン状態にする。
たとえば、図14に示す端末装置A、端末装置B、端末装置C、端末装置Dが起動状態である場合は、それらの端末装置A〜Dから1番目に近いのは画像形成装置Aで、2番目に近いのは画像形成装置Bであり、画像形成装置Aと画像形成装置Bを電源オン状態にする。
なお、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とし、その起動状態の端末装置30が所定台数以上の場合は、その起動状態の端末装置30の台数に応じて、電源オン状態にする画像形成装置10の台数を決定するようにしてもよい。たとえば、起動状態の端末装置30については所定台数(たとえば4台)よりも大きい第2の所定台数(たとえば7台など)を設定し、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とし、その起動状態の端末装置30が第2の所定台数以上の場合は、それらの端末装置30から1番目に近い画像形成装置10と2番目に近い画像形成装置10に加えて、3番目に近い画像形成装置10も電源オン状態にするようにしてもよい。
また、それらの端末装置30から2番目に近いもしくは3番目に近い画像形成装置10が複数台ある場合は、それらの端末装置30のうちの最も多くの端末装置30から2番目に近い、もしくは、それらの端末装置30のうちの最も多くの端末装置30から3番目に近い画像形成装置10を電源オン状態にするようにしてもよい。
(決定方法4)
図15は、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10としておらず、それらの起動状態の端末装置30の中間に画像形成装置10が存在する場合に電源オン状態にする画像形成装置10の例を示している。
この場合は、上記の中間の画像形成装置10を電源オン状態にする。ここでの「中間」とは、各端末装置30の中間位置や中間位置付近、各端末装置30の間(あいだ)や間を含んだ周辺範囲を意味する。すなわち、各端末装置30の中間位置や中間位置付近に画像形成装置10があればその画像形成装置10を電源オン状態にする。各端末装置30の中間位置や中間位置付近に画像形成装置10がなくても、各端末装置30の間やその周辺範囲に画像形成装置10があればその画像形成装置10を電源オン状態にする。
たとえば、図15に示す端末装置Aと端末装置Eが起動状態である場合は、端末装置Aから1番目に近いのは画像形成装置Aであり、端末装置Eから1番目に近いのは画像形成装置Cであり、それらの端末装置A、Eから1番目に近い画像形成装置は異なることになる。このような場合は、端末装置Aと端末装置Eの中間に存在する画像形成装置Bを電源オン状態にする。図15においては、画像形成装置Bは端末装置Aと端末装置Eの中間位置付近に存在しており、端末装置Aから画像形成装置Bまでの距離と、端末装置Eから画像形成装置Bまでの距離はほぼ同じとなっている。
また、中間の画像形成装置10は、起動状態の端末装置30と画像形成装置10の位置情報に基づき、各種の方法を用いて選択することができる。ここでは、起動状態の端末装置30の重心位置を用いる方法と、起動状態の端末装置30と画像形成装置10との距離を用いる方法について例示する。
(1)重心位置・・・起動状態である複数の端末装置30の位置情報からそれらの端末装置30の重心位置を求め、その重心位置に基づいて中間の画像形成装置10を選択する。
(1−1)重心位置から最も近い画像形成装置10を中間の画像形成装置10に選択する(重心位置から近い順に選択)。
(1−2)重心位置から最も近い画像形成装置10が端末装置30から所定距離以上となった場合は、その画像形成装置10は中間の対象から除外して、残りの画像形成装置10の中から再選択する(端末装置30から所定距離以上の画像形成装置10は除外して、残りの画像形成装置10の中で重心位置から最も近い画像形成装置10を選択(残りの画像形成装置10の中で重心位置から近い順に選択))。
(1−3)重心位置から所定距離以上となった端末装置30(特異点の端末装置30)を除いて、残りの端末装置30の位置情報から重心位置を再び求め、その重心位置から最も近い画像形成装置10を中間の画像形成装置10に選択する(重心位置から近い順に選択)。
(2)距離・・・起動状態である複数の端末装置30の位置情報と各画像形成装置10の位置情報から、各端末装置30と各画像形成装置10との距離を求め、その距離に基づいて中間の画像形成装置10を選択する。
(2−1)各端末装置30と当該画像形成装置10との距離の差が最も小さい画像形成装置10を中間の画像形成装置10に選択する(距離の差が小さい順に選択)。
(2−2)各端末装置30と当該画像形成装置10と合計距離が小さいものから調べて、各端末装置30と当該画像形成装置10との距離の差が許容値以下の画像形成装置10を中間の画像形成装置10に選択する(合計距離が小さい順でかつ距離の差が許容値以下の条件を満足するものから順に選択)。許容値は、絶対値としてもよく、各端末装置30と当該画像形成装置10との平均距離に対する割合としてもよい。
図16は、(2−1)による、各端末装置30と当該画像形成装置10との距離の差が最も小さい画像形成装置10を中間の画像形成装置10に選択する場合の具体例を示している。本例では、2台の端末装置A、Eが起動状態であり、これらの端末装置A、Eと画像形成装置A、B、Cとの位置情報から距離が計算されデータベース70に登録された場合を示している。図示のように、端末装置Aと画像形成装置A、B、Cとの距離は、2m、6m、9mとなっており、端末装置Eと画像形成装置A、B、Cとの距離は、9m、6m、2mとなっている。この場合は、端末装置A、Eとの距離の差が最も小さい画像形成装置Bを、中間の画像形成装置10に選択する。
図17は、起動状態の端末装置30の中間に存在する画像形成装置10を電源オン状態に決定する決定方法4についての応用例を示している。
図17では、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置としておらず、それらの端末装置30の中間に画像形成装置10があり、さらに、それらの端末装置30の中に、同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とする端末装置が所定台数以上(4台以上)ある場合に、電源オン状態にする画像形成装置10の例を示している。ここでは、図14と図15が組み合わせられたケースで説明する。
図17に示すように、起動状態であるのは端末装置A〜Eの5台であり、そのうちの4台の端末装置A〜Dから1番目に近いのは画像形成装置Aであり、残り1台の端末装置Eから1番目に近いのは画像形成装置Cである。また、端末装置A〜Dから2番目に近い画像形成装置と、端末装置Eから2番目に近い画像形成装置とは、共に画像形成装置Bであり、画像形成装置Bは端末装置A〜Dと端末装置Eとの中間に存在している。すなわち、すべての起動状態の端末装置A〜Eの中間に画像形成装置Bが存在しており、この場合は、中間の画像形成装置Bを電源オン状態にする。さらに、画像形成装置Aを1番目に近いとする所定台数(4台)の端末装置A〜Dが存在するため、画像形成装置Aも電源オン状態にする。
(決定方法5)
管理エリアR内の複数の端末装置30は、通常は各ユーザによって別々のタイミングに電源がオンまたはオフにされる。そのため、起動状態または停止状態となる端末装置30の台数は、1台ずつ増減する。たとえば、管理エリアR内のすべての端末装置30が電源オフとなっている状況から、最初の1台の端末装置30が電源オンにされて起動状態になると、決定方法1により、その起動状態となった1台の端末装置から1番目に近い画像形成装置10が電源オン状態にされる。それ以降に他の端末装置30が電源オンにされるときには、既に電源オン状態の画像形成装置10が少なくとも1台は存在していることになる。
ここで、起動状態の端末装置30が複数台存在し、すべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10としておらず、それらの起動状態の端末装置30の中間に画像形成装置10が存在しない場合には、既に電源オン状態となっている画像形成装置10を継続使用する。図18は、この決定方法5を起動状態の端末装置30が2台の例で示している。
たとえば、図18に示す管理エリアR内のすべての端末装置30が電源オフとなっている状況から、端末装置Aが電源オンにされて起動状態になると、決定方法1により、端末装置Aから1番目に近い画像形成装置Aが電源オン状態にされる。続いて、端末装置Fが電源オンにされて起動状態になると、端末装置Fから1番目に近いのは画像形成装置Bとなり、起動状態の2台の端末装置A、Fは同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とせず、端末装置A、Fの中間に画像形成装置10が存在しない状況となる。この場合は、既に電源オン状態となっている画像形成装置Aをその電源オン状態にて継続使用する。
(決定方法6)
図19と図20は、起動状態の端末装置30から1番目に近くなくかつ所定距離以上離れた画像形成装置10は、その端末装置30に係る電源オン状態にする画像形成装置10の対象から除外する場合の例を示している。所定距離は、管理者などがサーバ装置50に対して予め任意の距離(所定距離)を設定し登録しておく。たとえば、サーバ装置50は所定距離が15mに設定された場合には、図19や図20のデータベース70に示すように、設定されたその15mを設定値として登録する。
図19の例では、2台の端末装置Aと端末装置Eが起動状態となっており、端末装置Aから1番目に近いのは画像形成装置Aであり、端末装置Eから1番目に近いのは画像形成装置Cであり、それらの端末装置Aと端末装置Eの中間に画像形成装置Bが存在している。ただし、中間の画像形成装置Bが端末装置Aと端末装置Eから所定距離以上離れている場合は、それらの端末装置A、Eに係る電源オン状態にする画像形成装置10の対象から除外する。
本例では、端末装置Aから画像形成装置Bまでの距離と、端末装置Eから画像形成装置Bまでの距離とが共に20mであり、所定距離の設定値である15m以上であることから、中間の画像形成装置Bは端末装置A、Eに係る電源オン状態にする画像形成装置10の対象から除外する。
この場合は、端末装置A、Eの中間に存在する画像形成装置Bを除外したことで、端末装置Aから1番目に近い画像形成装置Aと、端末装置Eから1番目に近い画像形成装置Cとをそれぞれ電源オン状態にする。
図20の例では、管理エリアR内のすべての端末装置30が電源オフとなっている状況から、端末装置Aが電源オンにされて起動状態になると、決定方法1により、端末装置Aから1番目に近い画像形成装置Aが電源オン状態にされる。続いて、端末装置Eが電源オンにされて起動状態になると、端末装置Eから1番目に近いのは画像形成装置Cとなり、起動状態の2台の端末装置A、Eは同一の画像形成装置10を1番目に近い画像形成装置10とせず、端末装置A、Eの中間に画像形成装置10が存在しない状況となる。本例では、画像形成装置Bは端末装置Aと端末装置Eの中間以外の位置(端末装置Aと端末装置Eの間から外れた位置)に存在している。
この場合は、上述した決定方法5により、既に電源オン状態となっている画像形成装置Aをその電源オン状態にて継続使用する。ただし、端末装置Eから画像形成装置Aまでの距離は30mであり、所定距離の設定値である15m以上であることから、画像形成装置Aは端末装置Eに係る電源オン状態にする画像形成装置10の対象から除外する。
この場合は、端末装置Eに対しては画像形成装置Aを除外したことで、端末装置Eから1番目に近い画像形成装置Cも電源オン状態にする。
また、起動状態の端末装置30が増加した場合に限らず減少した場合も、すなわち、起動状態の端末装置30の位置と台数の状況が変化した場合は、変化後の起動状態の端末装置30の位置情報および台数と、各画像形成装置10の位置情報とに基づいて、複数の画像形成装置10の中から電源オン状態にする画像形成装置10を決定し直す。
たとえば、図14においては、起動状態の4台の端末装置A〜Dのうち1台〜3台が電源オフにされて停止状態となった場合は、画像形成装置Bを電源オフ状態にし、画像形成装置Aのみを電源オン状態にする。図15においては、起動状態の2台の端末装置A、Eのうち端末装置Eが電源オフにされて停止状態となった場合は、画像形成装置Bを電源オフ状態にし、画像形成装置Aを電源オン状態にする(図12の状態)。図17においては、起動状態の5台の端末装置A〜Eの中で、端末装置A〜Dのうち2台または3台が電源オフにされて停止状態となった場合は、画像形成装置Aを電源オフ状態にし、画像形成装置Bのみを電源オン状態にする。
図21は、図10のステップS105による決定方法およびステップS106による送信内容と、図11のステップS205による決定方法およびステップS206による送信内容との詳細を示した流れ図である。図21に示した詳細な決定方法は、上述した決定方法1〜6のうちの決定方法2〜6によるものである。
サーバ装置50のCPU51は、データベース70に登録されている情報を取得する(ステップS501)。詳細には、データベース70に登録されているすべての端末装置30(起動状態のすべての端末装置30)の台数、位置情報、第1〜第3近接画像形成装置(1番目〜第3に近い画像形成装置10)の情報などを取得する(ステップS501)。第1近接画像形成装置が1種類(共通の1台)である場合は(ステップS502;No)、CPU51はデータベース70から取得した端末装置30(起動状態のすべての端末装置30)の台数を確認する。
端末装置30の台数が所定台数未満である場合は(ステップS503;No)、第1近接画像形成装置を電源オン状態に決定し(ステップS505)、ステップS515へ移行する。この流れは決定方法2(図13参照)に該当する。
端末装置30の台数が所定台数以上である場合は(ステップS503;Yes)、第2近接画像形成装置を電源オン状態に決定し(ステップS504)、第1近接画像形成装置を電源オン状態に決定し(ステップS505)、ステップS515へ移行する。この流れは決定方法3(図14参照)に該当する。
なお、前述したように、起動状態の端末装置30が所定台数(たとえば4台)よりも大きい第2の所定台数(たとえば7台など)以上の場合は、更に第3近接画像形成装置も電源オン状態にするようにしてもよい。また前述したように、第2近接画像形成装置もしくは第3近接画像形成装置が複数種類(複数台)ある場合は、最多数の第2近接画像形成装置、もしくは、最多数の第3近接画像形成装置を電源オン状態に決定するようにしてもよい。
一方、第1近接画像形成装置が2種類(2台)である場合は(ステップS502;Yes)、CPU51はデータベース60に登録されている画像形成装置10の位置情報を取得し、起動状態のすべての端末装置30の位置情報と画像形成装置10の位置情報とに基づいて、起動状態のすべての端末装置30の中間に画像形成装置10が存在するか否かを確認する(ステップS506)。中間の画像形成装置10が存在する場合は(ステップS506;Yes)、中間の画像形成装置10と各端末装置30との距離を確認する(ステップS507)。
中間の画像形成装置10との距離が設定値以上となる端末装置30が存在しない場合は(ステップS507;No)、中間の画像形成装置10を電源オン状態に決定し(ステップS508)、ステップS513へ移行する。この流れは決定方法4(図15参照)に該当する。
中間の画像形成装置10との距離が設定値以上となる端末装置30が存在する場合は(ステップS507;Yes)、その端末装置30(中間の画像形成装置10との距離が設定値以上となる端末装置30)に係る第1近接画像形成装置を電源オン状態に決定し(ステップS512)、ステップS513へ移行する。この流れは決定方法6(図19参照)に該当する。
また、中間の画像形成装置10が存在しない場合は(ステップS506;No)、現在電源オン状態の画像形成装置10と各端末装置30との距離を確認する(ステップS509)。
電源オン状態の画像形成装置10との距離が設定値以上となる端末装置30が存在しない場合は(ステップS509;No)、現在電源オン状態の画像形成装置10を電源オン状態にて継続使用するよう決定し(ステップS510)、ステップS513へ移行する。この流れは決定方法5(図18参照)に該当する。電源オン状態の画像形成装置10との距離が設定値以上となる端末装置30が存在する場合は(ステップS509;Yes)、現在電源オン状態の画像形成装置10を電源オン状態にて継続使用するよう決定し(ステップS511)、その端末装置30(現在電源オン状態の画像形成装置10との距離が設定値以上となる端末装置30)に係る第1近接画像形成装置を電源オン状態に決定し(ステップS512)、ステップS513へ移行する。この流れは決定方法6(図20参照)に該当する。
ステップS513では、CPU51はデータベース70から取得した第1近接画像形成装置のうちの最多数の第1近接画像形成装置(起動状態の最多台数の端末装置30による第1近接画像形成装置)に係る端末装置30の台数が所定台数以上であるか否かを確認する(ステップS513)。
最多数の第1近接画像形成装置に係る端末装置30の台数が所定台数未満である場合は(ステップS513;No)、ステップS515へ移行する。最多数の第1近接画像形成装置に係る端末装置30の台数が所定台数以上である場合は(ステップS513;Yes)、電源オン状態に決定されずに残っている画像形成装置10の中から適宜な画像形成装置10を電源オン状態に決定し(ステップS514)、ステップS515へ移行する。
ステップS514では、たとえば、上記の最多数の第1近接画像形成装置がステップS510、S511、S512のいずれかにおいて電源オン状態に決定されていない場合は、その最多数の第1近接画像形成装置を電源オン状態に決定するようにしてもよい。さらに、最多数の第1近接画像形成装置に係る端末装置30の台数が所定台数よりも大きい第2の所定台数以上であり、最多数の第1近接画像形成装置に係る端末装置30による第2近接画像形成装置(複数種類の場合は最多数の第2近接画像形成装置)が、既に電源オン状態に決定している中間の画像形成装置10もしくは継続使用する現在電源オン状態の画像形成装置10と重複しない場合は、その第2近接画像形成装置も電源オン状態に決定するようにしてもよい。
また、上記の最多数の第1近接画像形成装置がステップS510、S511、S512のいずれかにおいて既に電源オン状態に決定されている場合は、最多数の第1近接画像形成装置に係る端末装置30による第2近接画像形成装置を電源オン状態に決定するようにしてもよい。また、その第2近接画像形成装置が複数種類存在する場合は、その複数種類のうちの最多数の第2近接画像形成装置を電源オン状態に決定するようにしてもよい。
続いてCPU51は、データベース60に登録されている複数の画像形成装置10のうち、電源オン状態に決定した画像形成装置10以外の画像形成装置10を電源オフ状態に決定する(ステップS515)。そして、データベース60に登録されている各画像形成装置10の電源状態を確認し、電源オン状態に決定した現在電源オフ状態の画像形成装置10に対して電源オン要求を送信し、電源オフ状態に決定した現在電源オン状態の画像形成装置10に対して電源オフ要求を送信する(ステップS516/End)。
なお、ステップS516では、電源遷移要求の送信対象となる画像形成装置10を識別し、その画像形成装置10に電源遷移要求を送信するようにしているが、すべての画像形成装置10に電源遷移要求を送信し、既にその電源状態である画像形成装置10は、電源遷移要求を無視するように構成してもよい。
サーバ装置50から電源オン要求を受信した電源オフ状態の画像形成装置10は、電源オン状態に遷移する動作を行う。サーバ装置50から電源オフ要求を受信した電源オン状態の画像形成装置10は、電源オフ状態に遷移する動作を行う。この電源オフ状態への遷移では、処理中のジョブや待機中のジョブがある場合には、そのジョブを終了してから電源オフ状態に遷移するようにしてもよい。
また、使用可能な画像形成装置10を起動状態の端末装置30に通知するようにしてもよい。たとえば、電源オフ状態の画像形成装置10を電源オン状態にする、または、電源オン状態の画像形成装置10を電源オフ状態にする際に、その電源のオンオフを切り替える画像形成装置10の情報を起動状態の端末装置30に通知するようにしてもよい。
また、サーバ装置50(管理サーバ)がプリントサーバを兼ねている構成においては、サーバ装置50が端末装置30からプリントジョブを受信し、使用可能な画像形成装置10の中で当該端末装置30から1番近い画像形成装置10を出力先に指定してその画像形成装置10からプリントを出力させ、その画像形成装置10の情報を当該端末装置30に通知するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係るサーバ装置50は、複数の画像形成装置10の中から電源オン状態にする画像形成装置10を、起動状態の端末装置30の位置情報および台数と、各画像形成装置10の位置情報とに基づいて選定(決定)し、その選定した画像形成装置10を電源オン状態にする電源制御を行う。また、電源オン状態にする画像形成装置10に選定していない画像形成装置10を電源オフ状態にする電源制御を行う。これにより、起動状態の端末装置30から使い勝手の良い場所にあり、起動状態の端末装置30の台数に見合った台数(適正台数)の画像形成装置10を電源オン状態にすることができる。したがって、起動状態の端末装置30のユーザが画像形成装置10を使用する際の利便性を確保しつつ、画像形成装置10の消費電力抑制と使用効率向上を図ることができる。
特に、管理エリアR内のすべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を最近接の画像形成装置10としていない場合は、起動状態の端末装置30に対してそれらの中間の画像形成装置10を電源オン状態にすることにより、管理エリアR内のすべての起動状態の端末装置30から距離的に公平性の高い画像形成装置10を電源オン状態にすることができる。
また、同一の画像形成装置10を最近接とする起動状態の端末装置30が所定台数以上存在する場合は、その画像形成装置10を電源オン状態にすることにより、起動状態である所定台数以上の端末装置30の各々が最近接としており、その多く(所定人数以上)のユーザにとって最も近くにある使い勝手の良い画像形成装置10を電源オン状態にすることができる。また、たとえば上記の所定台数未満(少数台数)でその画像形成装置10を電源オン状態にすると、その所定台数未満の端末装置30から受けるジョブの処理量に対して画像形成装置10の処理能力が過剰となり、画像形成装置10の電力浪費や使用効率の低下を招くおそれがあるが、ここでは所定台数以上の場合にその画像形成装置10を電源オン状態にすることにより、その画像形成装置10の処理能力が起動状態の端末装置30の台数(所定台数以上)に対して過剰とならず、画像形成装置10の電力浪費や使用効率の低下も抑えられる。
また、管理エリアR内のすべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を最近接の画像形成装置10とする場合は、その画像形成装置10を電源オン状態にすることにより、すべての起動状態の端末装置30のユーザにとって最も近くにある使い勝手の良い共通の1台の画像形成装置10を電源オン状態にすることができる。
また、起動状態の端末装置30から最近接でなくかつ所定距離以上離れた画像形成装置10は、その端末装置30に係る電源オン状態にする画像形成装置10の選定対象から除外することにより、その端末装置30から使い勝手の良くない場所にある画像形成装置10が電源オン状態になることを回避できる。
また、起動状態の端末装置30の位置と台数の状況が変化した場合に、変化後の起動状態の端末装置30の位置情報および台数と、各画像形成装置10の位置情報とに基づいて、複数の画像形成装置10の中から電源オン状態にする画像形成装置を選定し直すことにより、その変化に即時に対応することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、サーバ装置50による管理エリアR内の画像形成装置10と端末装置30の配置が第1の実施形態(図5など)とは異な場合の画像形成装置10の電源制御について説明する。
図22と図23は、第2の実施形態に係る管理エリアR内での起動状態の端末装置30に対して電源オン状態に決定された画像形成装置10を示している。第2の実施形態に係る管理エリアRには、4台の画像形成装置10(画像形成装置A〜D)と、多数(たとえば25台)の端末装置30が設置されている。各端末装置30は、近接して複数行複数列(たとえば5行5列)に配置されている。各画像形成装置10は、一定距離離間して端末装置30の周囲(たとえば管理エリアRの四隅)に配置されている。
図22では、画像形成装置Aを最近接とする3台の端末装置B〜Dと、画像形成装置Dを最近接とする2台の端末装置V、Wとが起動状態である場合は(端末装置Vからは画像形成装置Bと画像形成装置Dの2台が最近接)、その画像形成装置Aと画像形成装置Dとを電源オン状態にする。その後、画像形成装置Aを最近接とする端末装置Aが電源オンにされて起動状態になった場合には、電源オン状態にする画像形成装置を決定し直す。
本例の場合は、当該画像形成装置10を最近接とする起動状態の端末装置30が所定台数以上存在する画像形成装置10を特定画像形成装置とし、この特定画像形成装置を最近接とする端末装置30のうちの所定台数以上の第2の所定台数を帰属端末装置とし、すべての帰属端末装置を除く起動状態の端末装置30に対して、電源オン状態にする画像形成装置10を決定する。
具体的には、当該画像形成装置10を最近接とする4台の端末装置A〜Dが存在する画像形成装置Aを特定画像形成装置とし、この特定画像形成装置を最近接とする端末装置A〜Dのうちの3台(端末装置の台数が多い場合は3台以上としてもよい)を帰属端末装置とする。たとえば、端末装置A〜Cの3台を帰属端末装置とする。そして、帰属端末装置とした端末装置A〜Cに対しては最近接の画像形成装置Aを電源オン状態に決定し、すべての帰属端末装置(端末装置A〜C)を除く起動状態の端末装置D、V、Wに対して、電源オン状態にする画像形成装置10を決定する。
この場合も、端末装置D、V、Wの中間の画像形成装置10を電源オン状態に決定したり、中間の画像形成装置10が存在しない場合は端末装置D、V、Wのうちの最も多くの端末装置から2番目に近い画像形成装置10を電源オン状態に決定したりするようにしてもよい。ここでは、端末装置Dと端末装置V、Wの中間に存在する画像形成装置Bを電源オン状態にし、それまで電源オン状態であった画像形成装置Dは電源オフ状態にする。
このように、当該画像形成装置10(画像形成装置A)を最近接とする起動状態の端末装置30が所定台数以上存在する画像形成装置10を特定画像形成装置とし、この特定画像形成装置を最近接とする端末装置30のうちの所定台数以上の第2の所定台数(図22では所定台数=3台)を帰属端末装置(たとえば端末装置A〜C)とし、すべての帰属端末装置を除く起動状態の端末装置30(たとえば端末装置D、V、W)に対して、電源オン状態にする画像形成装置10(画像形成装置B)を選定する場合には、すべての帰属端末装置を除く起動状態の端末装置30から使い勝手の良い場所にあり、その端末装置30の台数に対して過不足のない台数の画像形成装置を電源オン状態にすることができる。
図23では、画像形成装置Aを最近接とする3台の端末装置B〜Dと、画像形成装置Dを最近接とする3台の端末装置X〜Zとが起動状態である場合は(端末装置Xからは画像形成装置Cと画像形成装置Dの2台が最近接)、その画像形成装置Aと画像形成装置Dとを電源オン状態にする。その後、画像形成装置Aを最近接とする端末装置Aと、画像形成装置Dを最近接とする端末装置Wとが電源オンにされて起動状態になった場合には、電源オン状態にする画像形成装置10を決定し直す。
ここでは、当該画像形成装置10を最近接とする起動状態の端末装置30が所定台数以上存在する画像形成装置10を特定画像形成装置とし、第1の特定画像形成装置を最近接とする端末装置30のうち所定台数以上の第2の所定台数を除く余剰端末装置と、第2の特定画像形成装置を最近接とする端末装置30のうち所定台数以上の第2の所定台数を除く余剰端末装置とに対して、電源オン状態にする画像形成装置10を決定する。
具体的には、当該画像形成装置10を最近接とする4台の端末装置(端末装置A〜D/端末装置W〜Z)が存在する画像形成装置Aと画像形成装置Dを特定画像形成装置とし、画像形成装置Aを仮に第1の特定画像形成装置とし、画像形成装置Dを仮に第2の特定画像形成装置とする。仮に第1の特定画像形成装置とした画像形成装置Aを最近接とする端末装置A〜Dのうちの3台(端末装置の台数が多い場合は3台以上としてもよい)に対しては最近接の画像形成装置Aを電源オン状態に決定し、その3台を除く余剰分を余剰端末装置(たとえば端末装置D)とする。仮に第2の特定画像形成装置とした画像形成装置Dを最近接とする端末装置W〜Zのうちの3台(端末装置の台数が多い場合は3台以上としてもよい)に対しては最近接の画像形成装置Dを電源オン状態に決定し、その3台を除く余剰分を余剰端末装置(たとえば端末装置X)とする。そして、余剰端末装置(たとえば端末装置D、X)に対して、電源オン状態にする画像形成装置10を決定する。
この場合も、余剰端末装置(たとえば端末装置D、X)の中間の画像形成装置10を電源オン状態に決定したり、中間の画像形成装置10が存在しない場合はすべての余剰端末装置のうちの最も多くの余剰端末装置から2番目に近い画像形成装置10を電源オン状態に決定したりするようにしてもよい。ここでは、端末装置Dと端末装置Xの各々から2番目に近い画像形成装置Cを電源オン状態にする。
このように、当該画像形成装置10(画像形成装置A、D)を最近接とする起動状態の端末装置30が所定台数以上存在する画像形成装置を特定画像形成装置とし、第1の特定画像形成装置(画像形成装置A)を最近接とする端末装置(端末装置A〜D)のうち所定台数以上の第2の所定台数(図23では所定台数=3台)を除く余剰端末装置(たとえば端末装置D)と、第2の特定画像形成装置(画像形成装置D)を最近接とする端末装置(端末装置W〜Z)のうち所定台数以上の第2の所定台数を除く余剰端末装置(たとえば端末装置X)とに対して、電源オン状態にする画像形成装置10を選定する場合には、各余剰端末装置に対して、各余剰端末装置から使い勝手の良い場所にあり、余剰端末装置の台数に対して過不足のない台数の画像形成装置を電源オン状態にすることができる。
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
たとえば、サーバ装置50の管理エリア内における複数の画像形成装置10と複数の端末装置30の配置や台数は、実施形態で示したものに限らない。また、複数の画像形成装置10の中から電源オン状態にする画像形成装置10を選定する方法についても、実施形態で説明したものに限らない。
端末装置30は、据置型のデスクトップ型PCに限らず、可搬型のノート型PCとしてもよい。可搬型の端末装置30では、無線LANによるネットワークを介して画像形成装置10およびサーバ装置50と通信するように構成してもよい。
端末装置30の位置情報や画像形成装置10の位置情報は、サーバ装置50が各装置から取得してデータベースに登録するのではなく、管理者などがサーバ装置50に予め入力してデータベースに登録するようにしてもよい。
複数の画像形成装置10のうち電源オン状態にする画像形成装置10に選定していない画像形成装置10については、実施形態で説明したように電源オフ状態にする電源制御を行うのではなく、省電力状態にする電源制御を行うようにしてもよい。
また、所定エリア内のすべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置10を最近接の画像形成装置10としていない場合に、起動状態の端末装置30に対してそれらの中間の画像形成装置10を電源オン状態にする構成と、所定エリア内のすべての起動状態の端末装置30が同一の画像形成装置を最近接の画像形成装置10とする場合に、その画像形成装置10を電源オン状態にする構成においては、所定エリアを実施形態で説明した、サーバ装置50が管理する管理エリアRとは別に設定してもよい。たとえば、画像形成装置10を中心とするエリアを設定し、そのエリアを上記の所定エリアとしてもよい。
また、図22に例示した、当該画像形成装置を最近接とする起動状態の端末装置が所定台数以上存在する画像形成装置を特定画像形成装置とし、この特定画像形成装置を最近接とする端末装置のうちの所定台数以上の第2の所定台数を帰属端末装置とし、すべての帰属端末装置を除く起動状態の端末装置に対して、電源オン状態にする画像形成装置を選定する構成においては、帰属端末装置以外の端末装置に対して電源オン状態にする画像形成装置を選定する場合に、それらの中間の画像形成装置を電源オン状態にする画像形成装置に選定するようにしてもよい。
また、本発明に係る画像形成装置は、実施形態で説明した複合機に限らず、プリンタ装置やファクシミリ装置なども対象にすることができる。