JP2011244479A - 静電型スピーカ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電型スピーカ(1)は、一の好ましい態様において、静電力によって変位可能な振動膜(10)と、前記振動膜に対向して設けられ導電性不織布で構成される電極(20L、20R)と、前記振動膜と前記電極との間に設けられる緩衝部材(30L、30R)と、前記平面電極を前記振動膜の振動方向に支持する支持部(40L、40R)を有する。
【選択図】図2
Description
図1は、本発明の一実施例に係る静電型スピーカ1の大略構造の斜視図である。同図に示すように、静電型スピーカ1には、振動膜10と、これに対向する2つの平行平面電極(以下、単に電極という)20Lおよび20Rと、振動膜10および電極20L、20Rの間にそれぞれ設けられたクッション材30L、30Rとから大略構成される。同図では、電極20L、20Rの電極面がX方向およびY方向に固定されており、振動膜10がこの電極面に垂直なZ方向に振動することができる配置の例を示している。なお、以下、電極20Lと20Rの構造を同じであるので、両者を区別する必要が特に無い場合は「L」および「R」を省略することとする。「L」および「R」の省略については、他の構成要素についても同様である。
図3は、金属で構成された一対の平行平面電極(孔が開いていないもの)で測定した静電容量を1(100%)とした場合に、片方の電極を同面積の上記例示した値の構造の不織布を用いた不織布を用いた電極(以下、不織布電極という)で置き換えて測定した静電容量の値と、幾つかの孔径および開孔率を有するPMで置き換えて測定した静電容量の値を、電極間隔とともに示したものである。図中、Aは不織布電極で置き換えた場合のデータを示し、E〜Iは、孔径、開口率がそれぞれ{2mm、20%}、{2mm、40%}、{3mm、40%}、{6mm、40%}、{8mm、40%}のPMで置き換えた場合のデータを示す。同図から判るように、PMを用いた場合、電極間距離を小さくしていくと静電容量は著しく減少する。これは、上述したように、電極間距離が小さくなると孔の影響が大きくなるからである。これに対し本実施例に係る不織布電極を用いた場合、電極間距離を小さくしても静電容量の落ち込みがみられず、ほぼ一定の値(約100%)をとっており、金属で構成された平面電極の場合と実質的に同等の静電容量性能を有するといえる。
図4は、一般的なスピーカと、そこから所定の距離離れた場所に当該スピーカから放音された音の周波数特性を解析する測定器を設置し、スピーカと測定器との間にPMを置いて測定を行った場合と、本実施例に係る不織布電極を置いて測定を行った場合に測定器で得られた周波数特性のずれ具合(音響波の歪み具合)を比較したものである。図中、PM(1)〜(3)はそれぞれ孔径を8mm、2mm、2.5mmのPMを置いた場合のデータであり、NWは不織布電極を置いた場合のデータである。スピーカと測定器との間に何も遮蔽物が無ければ、スピーカで放音された音と測定器の周波数特性は実質的に一致するので、得られるデータは周波数によらずゼロとなる。すなわち、ゼロからのずれが小さいほど音響透過性能が優れているといえる。遮蔽物としてPMを用いた場合、音波がPMを透過する際の影響で周波数帯によって測定器に到達までに音響波が歪められていることが判る。一方、遮蔽物として不織布電極を用いた場合、多少の歪みは測定されているが、PMの場合に比べれば、音圧レベルにおいて総じて1/3〜1/4程度となっている。このように、本実施例に係る不織布で構成された電極20は、一般的なPMに比べて音響透過性能の点で優れているといえる。
図5は、本発明の他の実施例に係る静電型スピーカ2の断面図である。静電型スピーカ2が静電型スピーカ1と異なる点は、電極20Rおよび20Lに替えて電極40Rおよび40Lを用いる点である。
図6は、電極40の構造の詳細を示したものである。同図に示すように、電極40は金属等の導電性材料で形成された格子である。例えば、JIS規格G3555、3556等の織金網であって、メッシュ♯20〜#500のものを用いることができる。ここで、メッシュとは一辺における25.4mm間の目数をいう。
図7は、一対の平行平面金属電極(孔が開いていないもの)で測定した静電容量を1(100%)とした場合に、片方の電極を同面積の上記例示した値の構造の金網を用いた不織布を用いた電極(金網電極という)で置き換えて測定した静電容量の値(有効静電容量という)と、幾つかの孔径および開口率を有するPMで置き換えて測定した静電容量の値を、電極間隔とともに示したものである。図中、B〜Dはそれぞれ金網電極で置き換えた場合のデータを示し、E〜Iについては、図3で示したPMのデータと同じである。同図から判るように、本実施例に係る金属電極を用いた場合、電極間距離を小さくしても静電容量の落ち込みはPMを用いた場合に比べて僅かである。例えば、電極間隔を1mmにしても95%以上の有効静電容量を得ることができる。
例えばメッシュ♯40、線径0.16mmの平織の金網を用いた場合、音響透過性能に影響する空間率(PMにおける開孔率に相当)は、約40%となる。すなわち、本実施例に係る電極40を用いれば、PMと同等の音響透過性能を実現しつつ、同程度の開孔率を有するPMより高いも静電容量性能が得られる。
なお、電極40に用いる金網としては、例えばオーディオ用スピーカとして用いる場合に音響透過性能を実質的に悪化させないような空間率(例えば20〜50%)であれば、織り方、線径、目合い、材質については任意のものを用いることができる。
図8は、本発明に係る静電型スピーカ3の断面図を示したものである。同図に示すように、静電型スピーカ3は、静電型スピーカ1の電極20L、20Rの外側にそれぞれ支持部材50L、50Rを設けて構成される。支持部材50は、例えば金属素材で構成され、好ましくは螺旋状のスプリングに三角形の形状をしたワイヤーを巻きつけてなる、曲げた形状を保持して屈曲耐久性にも優れたいわゆるフレキシブルチューブが用いられる。また、支持部材50は筐体に固定されてもよいし、電極20に固定されても良いが、電極20に固定する場合は固定部に所定の絶縁処理が施される。
図9は、支持部材50の構造を説明するための図である。同図に示すように、支持部材50は、音響透過性能を実質的に損なわないよう格子形状をしている。この形状は、例えば上記フレキシブルチューブを編みこむことによって得ることができる。
電極20を構成する不織布が一定の柔軟性を有するもの(例えばシート状のもの)である場合、印加電圧や電極20の設置条件によってはなどの条件によっては、自身の弾性のために電極20が撓む場合がある。電極20が内側に力がかかっても、クッション材30があるために撓みをある程度抑制することができるが、外側に力がかかった場合、電極20は撓みが発生する。しかし、本実施例によれば、電極20の外側に支持部材50を用いることで、その撓みを防止することができる。
Claims (4)
- 静電力によって変位可能な振動膜と、
前記振動膜に対向して設けられ網状構造を有する電極と、
前記振動膜と前記電極との間に設けられる緩衝部材と
を有する静電型スピーカ。 - 前記平面電極を前記振動膜の振動方向に支持する支持部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の静電型スピーカ。 - 前記支持部は、前記電極との接触面が曲面である
ことを特徴とする請求項2に記載の静電型スピーカ。 - 前記電極は、前記振動膜の両側に各々設けられる平面電極であって、
前記電極を金属で構成したときと略同等の静電容量となる
ことを特徴とする請求項1に記載の静電型スピーカ。
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- 2011-08-01 JP JP2011168326A patent/JP5201247B2/ja active Active
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