JP5206087B2 - スピーカシステム - Google Patents
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Description
そこで、このような問題を解決するものとして静電型スピーカを複数配列したスピーカシステムが考案されている(特許文献1参照)。このスピーカシステムによれば、個々の静電型スピーカ(スピーカユニット)はダイナミック型のスピーカユニットと比較して薄く、また、奥行きのあるエンクロージャを必要としないため、ダイナミック型のスピーカユニットを使用するスピーカシステムより薄型にすることができる。また、ダイナミック型のスピーカユニットのように強い磁界を周辺に生じないため、電子機器に悪影響を与える虞もない。
また、本発明においては、前記電極対は、導電性を有する布であってもよい。
また、本発明においては、前記振動膜と前記電極対の電極との間に、絶縁性、弾性および音響透過性を有する部材を有していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るスピーカシステム1の外観を模式的に示した図、図2は、スピーカシステム1の断面図、図3は、スピーカシステム1の分解斜視図である。図に示したように、このスピーカシステム1は、振動体10、電極20U−1〜20U―3、電極20L−1〜20L−3、スペーサ30U,30Lを有している。
なお、本実施形態においては、スペーサ30U,30Lの構成は同じであるため、両者を区別する必要が特に無い場合は「L」および「U」の記載を省略する。また、本実施形態においては、電極20U−1〜20U−3および電極20L−1〜20L−3の構成は同じであるため、各電極を区別する必要が特に無い場合は電極20と記載する。また、図中の振動体、電極等の各構成要素の寸法は、構成要素の形状を容易に理解できるように実際の寸法とは異ならせてある。また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは図面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは図面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
まず、スピーカシステム1を構成する各部について説明する。振動体10は、例えば、PET(polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)またはPP(polypropylene、ポリプロピレン)などの透明フィルムの表面に、導電性を有する金属の導電膜を形成したものである。振動体10の厚さは、数μm〜数十μm程度の厚さで薄い膜状となっているため、外力を受けると自在に変形する。
次にスピーカシステム1の構造について説明する。
スピーカシステム1においては、電極20L−1〜20L−3は、互いに接触しないように間隔を開けてスペーサ30Lの下面に固定され、電極20U−1〜20U−3は、互いに接触しないように間隔を開けてスペーサ30Uの上面に固定されている。そして、スペーサ30Lの上面に振動体10が固着され、振動体10の上にスペーサ30Uの下面が固着されている。
また、電極20U−1〜20U−3は、各長辺が互いに平行になるようにしてスペーサ30Uに固定されている。
また、電極20L−1は、振動体10を挟んで電極20U−1と対向し、長辺が電極20U−1の長辺と平行になるようにしてスペーサ30Lに固定され、電極20L−2は、振動体10を挟んで電極20U−2と対向し、長辺が電極20U−2の長辺と平行になるようにしてスペーサ30Lに固定され、電極20L−3は、振動体10を挟んで電極20U−3と対向し、長辺が電極20U−3の長辺と平行になるようにしてスペーサ30Lに固定されている。
次に、スピーカシステム1の電気的構成について説明する。図4は、スピーカシステム1の電気的構成を示した図である。図4に示したように、スピーカシステム1は変圧器50−1〜50−3、外部から音響信号が入力される入力部60−1〜60−3、振動体10に対して直流バイアスを与えるバイアス電源70とを備えている。
また、変圧器50−1の出力側の一端は電極20U−1に接続され、他端は電極20U−1に対向している電極20L−1に接続されている。そして、変圧器50−1の入力側は入力部60−1に接続されており、入力部60−1に音響信号が入力されると音響信号に応じた電圧が電極20U−1と電極20L−1に印加される。
また、変圧器50−2の出力側の一端は電極20U−2に接続され、他端は電極20U−2に対向している電極20L−2に接続されている。そして、変圧器50−2の入力側は入力部60−2に接続されており、入力部60−2に音響信号が入力されると音響信号に応じた電圧が電極20U−2と電極20L−2に印加される。
また、変圧器50−3の出力側の一端は電極20U−3に接続され、他端は電極20U−3に対向している電極20L−3に接続されている。そして、変圧器50−3の入力側は入力部60−3に接続されており、入力部60−3に音響信号が入力されると入力された音響信号に応じた電圧が電極20U−3と電極20L−3に印加される。
次に、スピーカシステム1の動作について説明する。
変圧器から印加される電圧によって対向する電極20U−1と電極20L−1との間、対向する電極20U−2と電極20L−2との間および対向する電極20U−3と電極20L−3との間に電位差が生じると、振動体10をZ方向側またはZ方向と反対の方向(−Z方向)側へ引き寄せる静電力が振動体10に働く。
一方、入力部60−1に音響信号が入力され、電極20U−1にマイナスの電圧が印加され、電極20L−1にプラスの電圧が印加されると、第1部分は、プラスの電圧が印加されている電極20L−1と反発する一方、マイナスの電圧が印加されている電極20U−1に吸引されて電極20U−1側へ変位する。
また、入力部60−3に音響信号が入力されると、音響信号に応じて電極20U−3と電極20L−3の間に電位差が生じ、振動体10において電極20U−3と電極20L−3との間にある部分(以下、第3部分という)は、第1部分と同様にこの電位差に応じてZ方向または−Z方向へ変位する。
また、本実施形態においては、1枚の振動体10で複数のスピーカユニットが配列されたスピーカシステムを得られるため、特許文献1のスピーカシステムと比較してスピーカユニットを筐体に取り付ける手間がなく、組み立てが容易である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
なお、振動体10に張力を掛けつつ振動体10をスペーサ30に固定するには、スペーサ30の一辺に振動体10を接着した後、振動体10に掛かる張力が上記数式から求めた張力となるように重りまたはバネで振動体10を引っ張り、張力が掛けられている振動体10をスペーサ30に接着する方法がある。また、振動体10をスペーサ30に固定する際には、紫外線硬化接着剤を使用し、紫外線を照射して接着剤を硬化させて振動体10をスペーサ30に接着するようにしてもよい。また、振動体10に張力を掛ける方法としては、スペーサ30より大きい矩形の枠に振動体10を貼付けておき、接着剤が塗布されたスペーサ30を、振動体10に掛かる張力が上記数式から求めた張力となるようにこの振動体10に押しつけて振動体10をスペーサ30に接着するようにしてもよい。
また、特開昭59−105800号公報の第1図に開示されているように凸部分に張られた振動体の周囲を押し下げて振動体10に張力を与えるようにしてもよい。
また、伝搬速度vを空気中の音速未満とするには、張力を予め定めた場合、上記の式から伝搬速度vが空気中の音速より小さくなる面密度を求め、求めた面密度となるように振動体を形成してもよい。
図6は、本発明の変形例に係る固定極25の斜視図である。
固定極25は、基板26と、導電層27−1〜27−3で構成されている。基板26は、絶縁性を有する素材(例えば、ガラスやフェノール樹脂)で形成されており、その形状は矩形で板状となっている。また、導電層27−1〜27−3は、導電性を有する金属の層である。各導電層は形状が長方形となっており、基板26の表面に間隔を開けて平行に設けられて電極として機能する。
なお、各固定極25は導電層側を振動体10側に向けてスペーサ30に固定し、スペーサ30Uに固定された固定極25の導電層27−1と、スペーサ30Lに固定された固定極25の導電層27−1とが対向し、スペーサ30Uに固定された固定極25の導電層27−2と、スペーサ30Lに固定された固定極25の導電層27−2とが対向し、スペーサ30Uに固定された固定極25の導電層27−3と、スペーサ30Lに固定された固定極25の導電層27−3とが対向するようにして固定される。また、導電層27−1は、変圧器50−1に接続され、導電層27−2は、変圧器50−2に接続され、導電層27−3は、変圧器50−3に接続される。
Claims (4)
- 導電性を有する振動膜と、
導電性を有し前記振動膜を挟んで対向する複数の電極対とを有し、
前記振動膜における振動の波の伝搬速度が空気中の音速未満となるように前記振動膜に張力が掛けられ、
前記電極対は、隣接する電極対と離間していること
を特徴とするスピーカシステム。 - 前記電極対は、前記振動膜を挟んで対向する平板の前記振動膜側表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカシステム。
- 前記電極対は、導電性を有する布であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカシステム。
- 前記振動膜と前記電極対の電極との間に、絶縁性、弾性および音響透過性を有する部材を有することを特徴とする請求項3に記載のスピーカシステム。
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