JP5030168B2 - 静電型スピーカ - Google Patents
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また、音圧を上げるために、特許文献3のように、振動膜と固定電極との組合せを積層することも可能である。しかし、引用文献3では固定電極に穴を開けた剛性板を用いるため、ある程度の厚みが必要とされる。この結果、積層により全体としての厚みが層に比例して増加することになる。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、音圧を上げることが可能な静電型スピーカを提供することを目的とする。
(1)請求項1記載の発明は、導電層を有する振動膜と、前記振動膜と複数の点あるいは複数の線で接触する導電線で構成された固定電極と、を備え、前記振動膜の表面と前記固定電極の表面の少なくとも一方の接触位置が絶縁処理されており、前記振動膜の導電層と前記固定電極との間にバイアス電圧と交流信号とが印加される、ことを特徴とする静電型スピーカである。
(1)請求項1記載の静電型スピーカの発明では、振動膜と固定電極とは、表面が絶縁された状態で、複数の点あるいは線で互いに接触しているため、互いの距離dが最短となり、振動膜−固定電極間に空隙を設けた従来の静電型スピーカに比較して、振動膜に作用する力が大きくなる。
〈第一実施形態〉
図1は本発明の第一実施形態の静電型スピーカ100の構成を模式的に示す説明図である。また、図2は本発明の第一実施形態の静電型スピーカ100(図1参照)で使用される固定電極と振動膜との様子を模式的に示す斜視図である。
そして、振動膜110の導電層と固定電極120a,120bとの間に、バイアス電源130によってバイアス電圧を印加し、互いに逆相の信号源150a,150bにより音声信号などの交流信号を印加している。
なお、固定電極120a,120bの金属線の表面が絶縁処理されている場合には、振動膜110は表面に導電層を有していればよい。
ここで、静電型スピーカの振動膜110に作用する力は、一般的に固定電極120a,120bと振動膜110との間の距離をdとした場合、dの二乗に反比例する。すなわち、この第一実施形態では、固定電極120a,120bは、振動膜110と複数の点あるいは複数の線で接触しており、dは絶縁の被膜の厚みにより決定されるため、従来に比較すると極めてdを小さくすることができる。すなわち、振動膜110と固定電極120a,120bとは、表面が絶縁された状態で、複数の点あるいは線で互いに接触しているため、互いの距離dが最短となり、振動膜−固定電極間に空隙を設けた従来の静電型スピーカに比較して、振動膜に作用する力が大きくなる。
また、静電型スピーカの振動膜110に作用する力Fは、上述したようにdの二乗に反比例するほか、バイアス電源130によるバイアス電圧Vに比例する。したがって、dを従来よりも極めて小さくすることができることによって振動膜に作用する力Fが大きくなるため、従来よりもバイアス電圧Vを下げても、十分な力Fを得ることが可能である。
また、金属線あるいは金属棒による固定電極であるため、従来のパンチングメタルなどの金属板に比較して、柔軟性を実現することができ、平面以外の曲面などで構成することも容易になる。あるいは、平面として構成した静電型スピーカを、曲げることで曲面とすることも可能である。
以上の固定電極120a,120bは、凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された金属線が略直交するように編み込まれていたが、30°や120°などの略直交する角度以外の二方向の角度であってもよい。
以上の固定電極120a,120bは、凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された二方向の金属線が略直交するように編み込まれていたが、凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された三方向以上の金属線や、これら凹凸や波形の繰り返し形状の金属線に略直線の金属棒などを組み合わせて三方向以上の組合せとした固定電極を用いてもよい。
以上の固定電極120a,120bは、凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された金属線が略直交するように編み込まれて格子を構成していた。これに対し、この凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された金属線が一方向に複数本並べて構成された、連子構造(一方向に複数本の線あるいは棒が並んだ構造)であってもよい。
以上の具体例では、振動膜110を挟むように、固定電極120a,120bを配置していたが、いずれか一方の固定電極のみであってもよい。すなわち、振動膜11と、一方のみの固定電極120でも静電型スピーカを実現することが可能である。この場合、振動膜110には、バイアス電圧だけでなく、交流信号も印加される。そのため、振動膜110は、信号源150から交流信号を流すのに十分な低い抵抗値であればよい。
図3は本発明の第二実施形態の静電型スピーカ100の構成を模式的に示す説明図である。また、図4は本発明の第二実施形態の静電型スピーカ100(図3参照)で使用される固定電極と振動膜との様子を模式的に示す斜視図である。
そして、振動膜110の導電層と固定電極120c,120dとの間に、バイアス電源130によってバイアス電圧を印加し、互いに逆相の信号源150a,150bにより音声信号などの交流信号を印加している。
また、固定電極120c,120dの金属線の表面が絶縁処理されていない場合には、振動膜110は表面に絶縁層を有し、その内部に導電層を有していればよい。この場合、一方の面の導電層を有する振動膜を、互いの導電層が中心側で向かい合うように重ねることで、表面が絶縁された状態の振動膜110を実現できる。
ここで、静電型スピーカの振動膜110に作用する力は、一般的に固定電極120c,120dと振動膜110との間の距離をdとした場合、dの二乗に反比例する。すなわち、この第二実施形態では、固定電極120c,120dは、振動膜110と複数の点あるいは複数の線で接触しており、dは絶縁の被膜の厚みにより決定されるため、従来に比較すると極めてdを小さくすることができる。すなわち、振動膜110と固定電極120c,120dとは、表面が絶縁された状態で、複数の線で互いに接触しているため、互いの距離dが最短となり、振動膜−固定電極間に空隙を設けた従来の静電型スピーカに比較して、振動膜に作用する力が大きくなる。
また、金属線あるいは金属棒による固定電極であるため、従来のパンチングメタルなどの金属板に比較して、柔軟性を実現することができ、平面以外の曲面などで構成することも容易になる。あるいは、平面として構成した静電型スピーカを、曲げることで曲面とすることも可能である。
以上の固定電極120c,120dは、略直線の金属線あるいは金属棒が略直交するように編み込まれていたが、30°や120°などの略直交する角度以外の二方向の角度であってもよい。
以上の固定電極120c,120dは、略直線の金属線あるいは金属棒が二方向に組み合わされていたが、三方向以上の金属線や金属棒が組み合わされた固定電極を用いてもよい。
以上の固定電極120c,120dは、略直線の金属線あるいは金属棒が二方向に組み合わされて格子構造となっていたが、一方向の複数本の金属線や金属棒が組み合わされた固定電極、すなわち、一方向に複数本並べて構成された連子構造(一方向に複数本の線あるいは棒が並んだ構造)であってもよい。
以上の具体例では、振動膜110を挟むように、固定電極120c,120dを配置していたが、いずれか一方の固定電極のみであってもよい。すなわち、振動膜11と、一方のみの固定電極120でも静電型スピーカを実現することが可能である。この場合、振動膜110には、バイアス電圧だけでなく、交流信号も印加される。そのため、振動膜110は、信号源150から交流信号を流すのに十分な低い抵抗値であればよい。
図5は本発明の第三実施形態の静電型スピーカ100の構成を模式的に示す説明図である。
なお、この場合、各層で振動の位相が揃うように、信号源の位相とバイアス電圧の向きを調整する必要がある。
なお、図5では第一実施形態の静電型スピーカを積層した様子を示しているが、第二実施形態の静電型スピーカを積層することも何ら問題はない。
この第三の実施形態でも、上述した第一実施形態や第二実施形態と同様に、各種の固定電極を用いることができる。
また、固定電極は、略直線の金属線あるいは金属棒が二方向に組み合わされていたが、三方向以上の金属線や金属棒が組み合わされた固定電極を用いてもよい。
なお、以上の静電型スピーカとして説明してきたものは電気音響変換素子であり、空気振動を加えて振動膜110を振動させることで、交流信号を発生する静電型マイクロホンとして使用することも可能である。この場合にも、dが小さいため、従来よりも高効率な静電型マイクロホンを実現することが可能になる。また、従来よりもバイアス電圧を下げることが可能な静電型マイクロホンとすることも可能である。また、静電型マイクロホンと同様にして、静電型センサとすることも可能である。
以上の実施形態では、線あるいは棒が規則的に配置あるいは編まれたものを具体例としていたが、これに限定されるものではない。すなわち、導電性の繊維で構成された不織布などのように、規則的あるいは不規則な繊維などが集まった状態の部材であっても、以上の各実施形態の固定電極として使用することが可能である。この場合も、振動膜と線あるいは点で接触する固定電極を構成することができる。
101 保持部
110 振動膜
120a,120b 固定電極
120c,120d 固定電極
130 バイアス電源
150 信号源
Claims (6)
- 導電層を有する振動膜と、
前記振動膜と複数の点あるいは複数の線で接触する導電線で構成された固定電極と、
を備え、
前記振動膜の表面と前記固定電極の表面の少なくとも一方の接触位置が絶縁処理されており、前記振動膜の導電層と前記固定電極との間にバイアス電圧と交流信号とが印加される、
ことを特徴とする静電型スピーカ。 - 前記固定電極は、凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された導電線が、格子状に編まれた網である、
ことを特徴とする請求項1記載の静電型スピーカ。 - 前記固定電極は、略直線の導電線あるいは導電棒が略直交するように組合せて構成された網である、
ことを特徴とする請求項1記載の静電型スピーカ。 - 前記固定電極は、略直線の導電線あるいは導電棒が一方向に複数並べて構成された連子である、
ことを特徴とする請求項1記載の静電型スピーカ。 - 前記固定電極は、凹凸あるいは波形の繰り返し形状となるように構成された導電線が一方向に複数並べて構成された連子である、
ことを特徴とする請求項1記載の静電型スピーカ。 - 前記固定電極と前記振動膜との組合せによる層を複数積層備え、
前記バイアス電圧と前記交流信号とは、各層毎に反転して印加される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の静電型スピーカ。
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