JP2011244087A - 基地局及び基地局での送信信号の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アレイアンテナの送信の指向性の制御と、増幅部から出力される送信信号の歪みを補正する処理とを行う際の処理負荷を低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】ウェイト・補正値算出部4は、アレイアンテナ1の送信の指向性を制御するための送信ウェイトSWを算出する。歪み補正値算出部は、増幅部307から出力された送信信号に基づいて、増幅部307で増幅された信号の歪みを補正するための歪み補正値DCを算出する。調整値算出部302は、送信ウェイトSWと歪み補正値DCとから、増幅部307に入力される送信信号に対する調整値αを算出する。送信信号調整部303は、調整値αに基づいて送信複素信号SS2を調整することによって、アレイアンテナの送信の指向性の制御と増幅部307から出力される送信信号の歪みを補正する処理とを同時に行う。
【選択図】図2
【解決手段】ウェイト・補正値算出部4は、アレイアンテナ1の送信の指向性を制御するための送信ウェイトSWを算出する。歪み補正値算出部は、増幅部307から出力された送信信号に基づいて、増幅部307で増幅された信号の歪みを補正するための歪み補正値DCを算出する。調整値算出部302は、送信ウェイトSWと歪み補正値DCとから、増幅部307に入力される送信信号に対する調整値αを算出する。送信信号調整部303は、調整値αに基づいて送信複素信号SS2を調整することによって、アレイアンテナの送信の指向性の制御と増幅部307から出力される送信信号の歪みを補正する処理とを同時に行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、通信端末と信号の送受信を行う基地局での送信信号の調整技術に関する。
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、アダプティブアレイアンテナ方式で通信を行う通信装置が開示されている。特許文献1の通信装置では、所望の送信指向性を得るために送信信号の振幅及び位相を調整している。また特許文献1の技術では、増幅部で増幅された送信信号の歪みを補正する処理が行われている。
なお非特許文献1には、PHS(Personal Handyphone System)についての規格が記載されている。
「第二世代コードレス電話システム 標準規格」、RCR STD-28 5.3版、平成20年9月25日、社団法人電波産業会
上述の特許文献1の技術では、送信指向性の制御と、増幅部で増幅された送信信号の歪みを補正する処理とが別々に行われているため、処理が複雑であるという問題がある。
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、アレイアンテナの送信の指向性の制御と、増幅部から出力される送信信号の歪みを補正する処理とを行う際の処理負荷を低減することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る基地局は、複数のアンテナからなるアレイアンテナを用いて、通信端末と信号の送受信を行なう基地局であって、前記通信端末に送信する送信信号を増幅する増幅部と、前記増幅部から出力された信号に基づいて、前記増幅部で増幅された信号の歪みを補正するための歪み補正値を算出する歪み補正値算出部と、前記複数のアンテナが受信した前記通信端末からの信号に基づいて、前記アレイアンテナの送信の指向性を制御するための送信ウェイトを算出する送信ウェイト算出部と、前記送信ウェイト算出部により算出された送信ウェイトと、前記歪み補正値算出部により算出された歪み補正値とから、前記増幅部に入力される送信信号に対する調整値を算出する調整値算出部と、前記調整値に基づいて、前記増幅部に入力される送信信号を調整することによって、前記アレイアンテナの送信の指向性の制御と前記増幅部から出力される信号の歪み補正とを同時に行う調整部とを備える。
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記歪み補正値算出部により算出された歪み補正値を記憶する記憶部が設けられ、前記調整値算出部は、前記送信ウェイトが更新された場合に前記記憶部に記憶された歪み補正値を読み出し、読み出した歪み補正値と、更新された送信ウェイトとから、前記増幅部に入力される送信信号に対する調整値を算出する。
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記アレイアンテナで受信される複数の受信信号に対して、前記アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを設定する受信ウェイト処理部と、前記受信ウェイトが設定された前記複数の受信信号を合成して合成受信信号を生成する受信信号合成部と、参照信号と前記合成受信信号との差が最小となる前記受信ウェイトを最適受信ウェイトとして求める最適受信ウェイト算出部と、前記増幅部の前段に設けられ、前記増幅部に入力される送信信号をデジタル形式からアナログ形式に変換するD/A変換器と、前記増幅部の出力信号であるフィードバック送信信号をアナログ形式からデジタル形式に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器が前記フィードバック送信信号をサンプリングする際に発生する、前記D/A変換器に入力される送信信号に対する、前記A/D変換器から出力される前記フィードバック送信信号の誤差を補正するサンプリング誤差補正部とがさらに設けられ、前記歪み補正値算出部は、前記D/A変換器に入力される送信信号と、前記サンプリング誤差補正部において前記誤差が補正された前記フィードバック送信信号とに基づいて、前記歪み補正値を算出し、前記サンプリング誤差補正部は、前記A/D変換器から出力される前記フィードバック送信信号の複数のサンプル値に対して、前記誤差を補正するための補正ウェイトを設定する補正ウェイト処理部と、前記補正ウェイトが設定された前記複数のサンプル値を合成して合成サンプル値を生成するフィードバック信号合成部と、前記D/A変換器に入力される送信信号のサンプル値と前記合成サンプル値との差が最小となる前記補正ウェイトを最適補正ウェイトとして求める最適補正ウェイト算出部とを有し、前記サンプリング誤差補正部は、前記最適補正ウェイトが設定された前記複数のサンプル値が合成されて得られる前記合成サンプリング値を、前記誤差が補正された前記フィードバック送信信号のサンプル値とし、前記最適受信ウェイト算出部と前記最適遅延補正ウェイト算出部とは、第1入力信号に対する第2入力信号の誤差を示す誤差信号を求める誤差信号取得部を共有しており、前記最適受信ウェイト算出部は、前記誤差信号取得部に対して、前記第1入力信号として参照信号が入力され、かつ前記第2入力信号として前記合成受信信号が入力された際の前記誤差信号に基づいて前記最適受信ウェイトを求め、前記最適補正ウェイト算出部は、前記誤差信号取得部に対して、前記第1入力信号として前記D/A変換器に入力される送信信号のサンプル値が入力され、前記第2入力信号として前記合成サンプル値が入力された際の前記誤差信号に基づいて前記最適補正ウェイトを求める。
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記基地局では、少なくとも1つの送信スロットを含む送信期間と少なくとも1つの受信スロットを含む受信期間とが交互に現れ、前記調整部は、ある送信スロットにおいて前記歪み補正値算出部が前記歪み補正値を新たに求めると、当該ある送信スロットにおいては新たに求められた前記歪み補正値に基づく前記調整値は使用せずに、当該ある送信スロットよりも後の送信スロットにおいて、新たに求められた前記歪み補正値に基づく前記調整値に基づいて、前記増幅部に入力される送信信号を調整する。
また、本発明に係る基地局での送信信号の調整方法は、複数のアンテナからなるアレイアンテナを用いて、通信端末と信号の送受信を行なう基地局での送信信号の調整方法であって、(a)前記基地局が有する、前記通信端末に送信する送信信号を増幅する増幅部から出力された信号に基づいて、前記増幅部で増幅された信号の歪みを補正するための歪み補正値を算出する工程と、(b)前記複数のアンテナが受信した前記通信端末からの信号に基づいて、前記アレイアンテナの送信の指向性を制御するための送信ウェイトを算出する工程と、(c)前記送信ウェイト算出部により算出された送信ウェイトと、前記歪み補正値算出部により算出された歪み補正値とから、前記増幅部に入力される送信信号に対する調整値を算出する工程と、(d)前記調整値に基づいて、前記増幅部に入力される送信信号を調整することによって、前記アレイアンテナの送信の指向性の制御と前記増幅部から出力される信号の歪み補正とを同時に行う工程とを備える。
本発明によれば、アレイアンテナの送信の指向性の制御と、増幅部から出力される送信信号の歪みを補正する処理とを行う際の処理負荷が低減される。
図1は本発明の実施の形態に係る基地局100の構成を示す図である。本実施の形態に係る基地局100は、例えば、上述の非特許文献1に規格が記載されているPHSに準拠した基地局であって、TDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Duplexing)方式で複数の通信端末と双方向通信を行う。また、基地局100は、送受信アンテナとしてアレイアンテナを有し、アダプティブアレイアンテナ方式を用いてアレイアンテナの指向性を希望波に向けることが可能である。
図1に示されるように、本実施の形態に係る基地局100は、複数のアンテナで構成されたアレイアンテナ2と、複数の送受信処理部3a〜3dと、ウェイト・補正値算出部4と、送受信処理部3a〜3d及びウェイト・補正値算出部4を制御する制御部5と、分岐部6と、受信信号合成部7とを備えている。本実施の形態では、アレイアンテナ2は例えば4つのアンテナ1a〜1dで構成されている。アンテナ1a〜1dは送受信処理部3a〜3dにそれぞれ接続されている。以後、アンテナ1a〜1dを特に区別する必要がないときには、それぞれを「アンテナ1」と呼ぶことがある。
送受信処理部3a〜3dのそれぞれは、自装置に接続されたアンテナ1で受信される搬送帯域の受信信号に対して各種処理を行って、当該受信信号をIQ平面上での受信複素信号RSに変換して出力する。また送受信処理部3a〜3dのそれぞれは、取得した受信複素信号RSに対して、アダプティブアレイアンテナ方式の受信ウェイトを設定し、受信ウェイトが設定された受信複素信号RSを調整受信複素信号ARSとして出力する。さらに送受信処理部3a〜3dのそれぞれは、分岐部6から入力される後述の送信複素信号SS2に対して各種処理を行って、送信複素信号SS2を搬送波帯域の送信信号に変換する。そして、送受信処理部3a〜3dのそれぞれは、生成した搬送帯域の送信信号を自装置に接続されたアンテナ1に入力する。これにより、アンテナ1からは無線信号が送信される。
以後、送受信処理部3a〜3dを特に区別する必要がないときには、それぞれを「送受信処理部3」と呼ぶことがある。また、4つの送受信処理部3a〜3dからそれぞれ出力される4つの受信複素信号RSを、受信複素信号RSa〜RSdとそれぞれ呼ぶことがある。そして、4つの送受信処理部3a〜3dからそれぞれ出力される4つの調整受信複素信号ARSを、調整受信複素信号ARSa〜ARSdとそれぞれ呼ぶことがある。
受信信号合成部7は、送受信処理部3a〜3dから出力される調整受信複素信号ARSa〜ARSdを合成(加算)し、それによって得られる合成受信複素信号CRSをウェイト・補正値算出部4及び制御部5に出力する。
制御部5は、送信用のビットデータを生成する。そして、制御部5は、基地局100が送信に使用する変調方式に基づいて、生成したビットデータを、IQ平面上の送信複素信号SS1に変換し、当該送信複素信号SS1を出力する。また制御部5は、通信端末が送信に使用する変調方式に基づいて、受信信号合成部7から出力される合成受信複素信号CRSをビットデータに変換する。これにより、制御部5では、通信端末から受信した受信信号に含まれる各種情報が取得される。
分岐部6は、制御部5から出力される送信複素信号SS1を4つに分岐し、それによって得られた4つの送信複素信号SS2を出力する。この4つの送信複素信号SS2は、4つの送受信処理部3a〜3dにそれぞれ入力される。以後、4つの送受信処理部3a〜3dにそれぞれ入力される4つの送信複素信号SS2を、送信複素信号SS2a〜SS2dとそれぞれ呼ぶことがある。
ウェイト・補正値算出部4は、受信信号合成部7が出力する合成受信複素信号CRSと、送受信処理部3a〜3dが出力する受信複素信号RSa〜RSdとに基づいて、アダプティブアレイ方式での受信ウェイトRW及び送信ウェイトSWをアンテナ1ごとに求める。そして、ウェイト・補正値算出部4は、取得した受信ウェイトRW及び送信ウェイトSWを、それらを適用するアンテナ1に接続された送受信処理部3に出力する。このように、ウェイト・補正値算出部4は、複数のアンテナ1a〜1dが受信した通信端末からの信号に基づいて、アレイアンテナ2の受信の指向性を制御するための受信ウェイトとアレイアンテナ2の送信の指向性を制御するための送信ウェイトを算出する。以後、アンテナ1a〜1dに適用される受信ウェイトRWを、受信ウェイトRWa〜RWdとそれぞれ呼ぶことがある。また、アンテナ1a〜1dに適用される送信ウェイトSWを送信ウェイトSWa〜SWdとそれぞれ呼ぶことがある。
また、ウェイト・補正値算出部4は、各送受信処理部3について、当該送受信処理部3から出力される後述の調整送信複素信号ASSと、当該送受信処理部3から出力される後述のFB(フィードバック)送信複素信号FSSとに基づいて、当該送受信処理部3が有する後述の送信用の増幅部307から出力される送信信号の歪みを補正するための歪み補正値DCを求める。そして、ウェイト・補正値算出部4は、取得した4つの歪み補正値DCのそれぞれを、対応する送受信処理部3に出力する。
以後、送受信処理部3a〜3dにそれぞれ対応する4つの歪み補正値DCを、歪み補正値DCa〜DCdとそれぞれ呼ぶことがある。また、送受信処理部3a〜3dからそれぞれ出力される4つの調整送信複素信号ASSを、調整送信複素信号ASSa〜ASSdとそれぞれ呼ぶことがある。また、送受信処理部3a〜3dからそれぞれ出力される4つのFB送信複素信号FSSを、FB送信複素信号FSSa〜FSSdとそれぞれ呼ぶことがある。
図2は各送受信処理部3の構成を示すブロック図である。4つの送受信処理部3は互いに同じ構成となっている。図2に示されるように、送受信処理部3は、遅延部300と、振幅算出部301と、調整値算出部302と、送信信号調整部303と、変調部304と、D/A変換器305と、ミキサ306と、増幅部307と、分岐カプラ308とを備えている。さらに送受信処理部3は、局部発振器309と、送受信選択部310と、増幅部311と、フィードバック選択部312と、ミキサ313と、A/D変換器314と、復調部315と、受信ウェイト処理部316と、信号選択部317とを備えている。送受信処理部3では、ミキサ306、増幅部307、分岐カプラ308、局部発振器309、送受信選択部310、増幅部311、フィードバック選択部312、ミキサ313及び当該送受信処理部3に接続されたアンテナ1とで、当該アンテナ1を用いて通信端末と双方向通信を行う通信部30が構成されている。そして、4つの送受信処理部3の通信部30によって、アレイアンテナ2を用いて通信端末と双方向通信を行う通信部が構成されている。
遅延部300は、送受信処理部3に入力される送信複素信号SS2を遅延して出力する。送信信号調整部303は、調整値算出部302から出力される後述の調整値αに基づいて、遅延部300で遅延された送信複素信号SS2を調整する。送信信号調整部303は、送信複素信号SS2の振幅及び位相を調整する。この調整後の送信複素信号SS2を「調整送信複素信号ASS」と呼ぶ。調整送信複素信号ASSは、変調部304に入力されるとともに、ウェイト・補正値算出部4に入力される。
変調部304は、入力される調整送信複素信号ASSに対して変調処理を行って、当該調整送信複素信号ASSを基底帯域の送信信号に変換して出力する。
D/A変換器305は、変調部304から出力されるデジタル形式の送信信号を、アナログ形式に変換して出力する。ミキサ306は、D/A変換器305から出力される送信信号と、局部発振器309の出力信号とを乗算し、それによって得られた信号をフィルタリングする。これにより、D/A変換器305から出力される送信信号はアップコンバートされて、搬送帯域の送信信号が得られる。増幅部307は、ミキサ306から出力される搬送帯域の送信信号を増幅して出力する。以後、増幅部307の入力信号及び出力信号を「入力送信信号SSI」及び「出力送信信号SSO」とそれぞれ呼ぶことがある。
分岐カプラ308は、増幅部307で増幅された送信信号を2つに分岐して、一方の送信信号を送受信選択部310に出力し、他方の送信信号をフィードバック選択部312に出力する。
振幅算出部301は、送受信処理部3に入力される送信複素信号SS2の振幅AMを算出する。具体的には、振幅算出部301は、複素数で表された送信複素信号SS2のI成分を2乗した値と、当該送信複素信号SS2のQ成分を2乗した値とを足し合わせて、それによって得られた値の1/2乗を当該送信複素信号SS2の振幅AMとする。そして、振幅算出部301は、取得した振幅AMを調整値算出部302に出力する。
調整値算出部302は、記憶部320を有しており、この記憶部320には、ウェイト・補正値算出部4から送受信処理部3に入力される送信ウェイトSWが記憶される。また、記憶部320には、ともにルックアップテーブルである歪み補正値テーブル320a及び調整値テーブル320bが記憶されている。歪み補正値テーブル320aには、ウェイト・補正値算出部4から送受信処理部3に入力される歪み補正値DCが登録されている。調整値テーブル320bには、記憶部320が記憶する送信ウェイトSWに係る情報と、歪み補正値テーブル320a内の歪み補正値DCに係る情報との両方を含む調整値αが登録されている。言い換えれば、調整値テーブル320bには、記憶部320が記憶する送信ウェイトSWと、歪み補正値テーブル320a内の歪み補正値DCとに基づく調整値αが登録されている。歪み補正値DC及び調整値αのそれぞれは複素数で表されている。
図3は歪み補正値テーブル320aの一例を示す図である。図3に示されるように、歪み補正値テーブル320aでは、送信複素信号SS2の振幅AMと歪み補正値DCとが一対一で対応付けられている。
ここで、送信用の増幅部307では、入力送信信号SSIの振幅が所定値AM1以上となると、出力送信信号SSOの振幅及び位相が本来の値からずれるようになり、出力送信信号SSOに歪みが生じるようになる。そして、入力送信信号SSIの振幅が所定値AM1以上においては、増幅部307の出力送信信号SSOの歪みの度合いは、入力送信信号SSIの振幅の大きさによって変化する。具体的には、入力送信信号SSIの振幅が大きくなるについて、出力送信信号SSOの歪みは大きくなり、出力送信信号SSOの振幅及び位相のずれは大きくなる。
また、送信複素信号SS2の振幅AM及び位相は、増幅部307の入力送信信号SSIの振幅及び位相をそれぞれ表している。したがって、送信複素信号SS2の振幅AM及び位相を調整することによって、入力送信信号SSIの振幅及び位相を調整することができる。歪み補正値テーブル320aでは、送信複素信号SS2の振幅AMと、当該振幅AMと同じ振幅を有する入力送信信号SSIが増幅部307に入力された際の出力送信信号SSOの歪みを補正するための歪み補正値DCとが対応付けられて登録されている。したがって、送信複素信号SS2の振幅AM及び位相を、当該送信複素信号SS2の振幅AMに対応付けられている歪み補正値DCに基づいて調整することによって、増幅部307からの出力送信信号SSOの歪みを抑制することができる。具体的には、送信複素信号SS2に対して、その振幅AMに対応付けられた歪み補正値DCを複素乗算することによって、増幅部307からの出力送信信号SSOの歪みを抑制することができる。このようなデジタル処理での歪み補正処理は、DPD(Digital Pre-Distortion)と呼ばれている。
なお図3では、送信複素信号SS2の振幅AMの値はAM1〜AM3の順で大きくなっている。また、AM1未満の振幅AMに対応付けられている歪み補正値DC0は、“1+j0”、つまりDC0=1である。したがって、送信複素信号SS2に歪み補正値DC0を乗算した場合には、送信複素信号SS2の振幅AM及び位相は変化しない。
図4は、調整値テーブル320bの一例を示す図である。図4に示されるように、調整値テーブル320bでは、送信複素信号SS2の振幅AMと調整値αとが一対一で対応付けられて登録されている。送信複素信号SS2の振幅AMに対応付けられた調整値αは、歪み補正値テーブル320aにおいて当該振幅AMと対応付けられている歪み補正値DCと、ウェイト・補正値算出部4から送受信処理部3に入力された送信ウェイトSWとを複素乗算したものである。つまり、送信複素信号SS2の振幅AMに対応付けられた調整値αには、歪み補正値テーブル320aにおいて当該振幅AMと対応付けられている歪み補正値DCに係る情報と、送受信処理部3に入力された送信ウェイトSWに係る情報とが含まれている。したがって、送信複素信号SS2の振幅AM及び位相を、当該振幅AMに対応付けられた調整値αに基づいて調整することによって、アレイアンテナ2の指向性の制御と出力送信信号SSOの歪みを補正する処理とを同時に行うことができる。
調整値算出部302は、振幅算出部301から送信複素信号SS2の振幅AMを受け取ると、調整値テーブル320bを参照して、当該振幅AMに対応する調整値αを取得して送信信号調整部303に出力する。送信信号調整部303は、調整値算出部302から調整値αを受け取ると、当該調整値αと、遅延部300から入力される送信複素信号SS2とを複素乗算することによって、当該送信複素信号SS2の振幅及び位相を調整する。ここで、遅延部300での送信複素信号SS2に対する遅延量は、振幅算出部301に当該送信複素信号SS2が入力されてから、当該送信複素信号SS2の振幅AMに対応する調整値αが調整値算出部302から出力されるまでの時間と一致するように設定されている。したがって、送信信号調整部303では、入力される送信複素信号SS2の振幅AM及び位相が、当該振幅AMに対応付けられた調整値αに基づいて調整される。よって、アレイアンテナ2の指向性の制御と出力送信信号SSOの歪みを補正する処理とが同時に行われる。
また、調整値算出部302は、新たな送信ウェイトSWが送受信処理部3に入力されると、記憶部320が記憶している送信ウェイトSWを当該新たな送信ウェイトSWで書き換える。これにより、記憶部320内の送信ウェイトSWが更新される。そして、調整値算出部302は、歪み補正値テーブル320aに登録されている各歪み補正値DCを記憶部320から読み出し、読み出した各歪み補正値DCに対して、入力された新たな送信ウェイトSWを複素乗算して新たな調整値αを生成する。その後、調整値算出部302は、調整値テーブル320bに登録されている各調整値αを、新たに取得した調整値αで書き換える。これにより、新たな送信ウェイトSWが求められるたびに、つまり送信ウェイトSWが更新されるたびに、調整値テーブル320bが更新される。
また、調整値算出部302は、ウェイト・補正値算出部4において送信複素信号SS2の各振幅AMに対応する歪み補正値DCが新たに取得され、当該歪み補正値DCが送受信処理部3に入力されると、歪み補正値テーブル320aに登録されている各歪み補正値DCを、新たな歪み補正値DCで書き換える。これにより、歪み補正値テーブル320aが更新される。そして、調整値算出部302は、現在記憶部320が記憶している送信ウェイトSWを、更新後の歪み補正値テーブル320aに登録されている各歪み補正値DCに複素乗算して新たな調整値αを取得する。その後、調整値算出部302は、調整値テーブル320bに登録されている各調整値αを、新たに取得した調整値αで書き換える。これにより、送信複素信号SS2の各振幅AMに対応した歪み補正値DCが新たに求められるたびに、つまり各振幅AMに対応した歪み補正値DCが更新されるたびに、調整値テーブル320bが更新される。
図2に戻って、送受信選択部310は、分岐カプラ308から出力される送信信号をアンテナ1から送信するのか、アンテナ1で受信された受信信号を増幅部311に入力するのかを選択する。送受信選択部310での選択動作は、制御部5によって制御される。
増幅部311は、入力される受信信号を増幅して出力する。フィードバック選択部312は、分岐カプラ308から出力される送信信号を出力するのか、増幅部311から出力される受信信号を出力するのかを選択する。フィードバック選択部312での選択動作は、制御部5によって制御される。
ミキサ313は、フィードバック選択部312の出力信号と、局部発振器309の出力信号とを乗算し、それによって得られた信号をフィルタリングする。これにより、フィードバック選択部312の出力信号がダウンコンバートされてミキサ313から出力される。
A/D変換器314は、ミキサ313から出力されるアナログ形式の信号をデジタル形式に変換して出力する。フィードバック選択部312が、分岐カプラ308からの送信信号を出力する場合には、A/D変換器314には、通信部30からフィードバックされた増幅部307の出力信号がダウンコンバートされて入力されるようになる。
復調部315は、A/D変換器314の出力信号に対して復調処理を行う。復調部315では、フィードバック選択部312が分岐カプラ308からの出力信号を出力する際には、つまり通信部30からフィードバックされた増幅部307の出力信号が復調部315に入力される際には、通信部30からフィードバックされてきた調整送信複素信号ASSが取得されて出力される。一方で、フィードバック選択部312が増幅部311からの受信信号を出力する際には、当該受信信号がI/Q平面上の受信複素信号RSに変換されて出力される。この受信複素信号RSは、受信ウェイト処理部316及びウェイト・補正値算出部4に入力される。
受信ウェイト処理部316は、復調部315から出力される信号に対して、ウェイト・補正値算出部4から送受信処理部3に入力される受信ウェイトRWを複素乗算し、それによって得られた信号を出力する。
信号選択部317は、復調部315が通信部30からフィードバックされてきた調整送信複素信号ASSを出力する際には、当該調整送信複素信号ASSをFB送信複素信号FSSとしてウェイト・補正値算出部4に出力する。一方で、信号選択部317は、復調部315が受信複素信号RSを出力する際には、受信ウェイト処理部316の出力信号、つまり受信ウェイトRWが複素乗算された当該受信複素信号RSを調整受信複素信号ARSとして受信信号合成部7に出力する。受信信号合成部7では、送受信処理部3a〜3dから出力される4つの調整受信複素信号ARSが合成されて、合成受信複素信号CRSが生成される。
次にウェイト・補正値算出部4の構成について詳細に説明する。図5はウェイト・補正値算出部4の構成を示す図である。図5に示されるように、ウェイト・補正値算出部4は、送信信号選択部40と、遅延部41と、第1入力選択部42と、第2入力選択部43とを備えている。さらにウェイト・補正値算出部4は、FB信号選択部44と、最適受信ウェイト算出部45と、サンプリング誤差補正部46と、送信ウェイト取得部47と、歪み補正値算出部48と、出力選択部49とを備えている。ウェイト・補正値算出部4には、受信ウェイトRWを求めるための参照信号REFと、送信ウェイトSWを求めるためのキャリブレーション情報CBとが記憶されている。参照信号REFは、基地局100で受信される既知信号についての理想的な状態を示している。
送信信号選択部40は、送受信処理部3a〜3dから出力される調整送信複素信号ASSa〜ASSdのいずれか一つの調整送信複素信号ASSを選択して出力する。遅延部41は、送信信号選択部40から出力される調整送信複素信号ASSを遅延して出力する。第1入力選択部42は、遅延部41から出力される調整送信複素信号ASSと参照信号REFのどちらか一方を選択して出力する。第2入力選択部43は、受信信号合成部7から出力される合成受信複素信号CRSと、サンプリング誤差補正部46から出力される後述の合成FB(フィードバック)送信複素信号CFSSのどちらか一方を選択して出力する。第2入力選択部43は、第1入力選択部42が調整送信複素信号ASSを出力する際には合成FB送信複素信号CFSSを出力し、第1入力選択部42が参照信号REFを出力する際には合成受信複素信号CRSを出力する。
FB信号選択部44は、送受信処理部3a〜3dから出力されるFB送信複素信号FSSa〜FSSdのいずれか一つのFB送信複素信号FSSを選択して出力する。FB信号選択部44では、送信信号選択部40が選択する調整送信複素信号ASSを出力する送受信処理部3から出力されるFB送信複素信号FSSが選択される。つまり、送信信号選択部40及びFB信号選択部44からは、同一の送受信処理部3から出力される調整送信複素信号ASS及びFB送信複素信号FSSがそれぞれ出力される。
最適受信ウェイト算出部45は、誤差信号取得部470及び受信ウェイト更新部450を備えている。最適受信ウェイト算出部45は、第1入力選択部42から出力される参照信号REFと、第2入力選択部43から出力される合成受信複素信号CRSとの差が最小となる4つの受信ウェイトRWa〜RWdを求める。この4つの受信ウェイトRWa〜RWdを、最適受信ウェイトRWa〜RWdとそれぞれ呼ぶことがある。最適受信ウェイト算出部45は、例えばMMSE(最小二乗誤差法)を用いて最適受信ウェイトRWa〜RWdを求める。
サンプリング誤差補正部46は、最適補正ウェイト算出部460及びウェイト合成部462を備えている。サンプリング誤差補正部46は、A/D変換器314が、通信部30からフィードバックされる増幅部307の出力信号をサンプリングする際に発生する、調整送信複素信号ASSに対するFB送信複素信号FSSの誤差を補正する。上述のように、FB送信複素信号FSSは、通信部30からフィードバックされた調整送信複素信号ASSであることから、理想的には、FB送信複素信号FSSは、送信信号調整部303から出力される調整送信複素信号ASSに一致する。しかしながら、A/D変換器314でのサンプリングタイミングには多少のずれがあることから、調整送信複素信号ASSのサンプル値(デジタル値)と、当該サンプル値に対応するFB送信複素信号FSSのサンプル値とが、互いに異なることがある。そこで、サンプリング誤差補正部46では、A/D変換器314がその入力信号をサンプリングする際に発生する、調整送信複素信号ASSに対するFB送信複素信号FSSの誤差を補正する。以後、この誤差を「サンプリング誤差」と呼ぶことがある。
最適補正ウェイト算出部460は、最適受信ウェイト算出部45が有する誤差信号取得部470と、補正ウェイト更新部461とで構成されている。つまり、最適補正ウェイト算出部460と最適受信ウェイト算出部45は、誤差信号取得部470を共有している。
誤差信号取得部470は、第1入力信号IN1に対する第2入力信号IN2の誤差を示す誤差信号ESを求めて出力する。第1入力信号IN1は、第1入力選択部42の出力信号であって、第2入力信号IN2は第2入力選択部43の出力信号である。
ここで、本実施の形態では、上述のように、第2入力選択部43は、第1入力選択部42が調整送信複素信号ASSを出力する際には合成FB送信複素信号CFSSを出力し、第1入力選択部42が参照信号REFを出力する際には合成受信複素信号CRSを出力する。したがって、誤差信号取得部470では、第1入力信号IN1として調整送信複素信号ASSが入力され、第2入力信号IN2として合成FB送信複素信号CFSSが入力される場合には、各サンプル値について、調整送信複素信号ASSに対する合成FB送信複素信号CFSSの誤差を示す誤差信号ESが求められる。以後、当該誤差信号ESを「第1誤差信号ES」と呼ぶことがある。また誤差信号取得部470では、第1入力信号IN1として参照信号REFが入力され、第2入力信号IN2として合成受信複素信号CRSが入力される場合には、参照信号REFに対する合成受信複素信号CRSの誤差を示す誤差信号ESが求められる。以後、当該誤差新号ESを「第2誤差信号ES」と呼ぶことがある。第1誤差信号ESはサンプリング誤差補正部46で使用され、第2誤差信号ESは最適受信ウェイト算出部45で使用される。
最適受信ウェイト算出部45では、受信ウェイト更新部450が、送受信処理部3a〜3dから出力される受信複素信号RSa〜RSdと第2誤差信号ESとを使用して、例えばLMS(Least Mean Square)アルゴリズムやRLS(Recursive Least-Squares)アルゴリズムに基づいて受信ウェイトRWa〜RWdを更新する。そして、受信ウェイト更新部450は、第2誤差信号ESが最小となる受信ウェイトRWa〜RWd、つまり最適受信ウェイトRWa〜RWdを求める。このようにして求められた最適受信ウェイトRWa〜RWdは、送受信処理部3a〜3dの受信ウェイト処理部316において複数の受信複素信号RSに設定される。そして、受信信号合成部7において、最適受信ウェイトRWa〜RWdが設定された複数の受信複素信号RSが合成されることによって、干渉波成分が除去された受信複素信号である合成受信複素信号CRSを得ることができる。したがって、制御部5は、この合成受信複素信号CRSからビットデータを正確に取得することができる。
図6はサンプリング誤差補正部46のウェイト合成部462の構成を示す図である。図6に示されるように、ウェイト合成部462は、直列接続された(J−1)個(Jは2以上の整数)の遅延部480−1〜480−(J−1)と、J個の複素乗算部481−1〜481−Jを有する補正ウェイト処理部482と、フィードバック信号合成部483とを備えている。
(J−1)個の遅延部480−1〜480−(J−1)のうちの初段の遅延部480−1には、FB信号選択部44が出力するFB送信複素信号FSSの各サンプル値(各デジタル値)が順に入力される。そして、(J−1)個の遅延部480−1〜480−(J−1)のそれぞれは、送受信処理部3がFB送信複素信号FSSのサンプル値を出力する間隔だけ入力信号を遅延して出力する。したがって、初段の遅延部480−1に入力されるFB送信複素信号FSSのサンプル値をFSS−iとし、それよりもj個(jは1以上の整数)前のFB送信複素信号FSSのサンプル値をFSS−(i−j)とすると、(J−1)個の遅延部480−1〜480−(J−1)からは、(J−1)個のサンプル値FSS−(i−1)〜FSS−(i−(J−1))がそれぞれ出力される。
補正ウェイト処理部482のJ個の複素乗算部481−1〜481−Jには、J個のサンプル値FSS−i〜FSS−(i−(J−1))がそれぞれ入力される。また、J個の複素乗算部481−1〜481−Jには、サンプリング誤差を補正するためのJ個の補正ウェイトCW−1〜CW−Jがそれぞ入力される。そして、J個の複素乗算部481−1〜481−Jのそれぞれは、2つの入力を複素乗算して出力する。これにより、補正ウェイト処理部482では、J個の補正ウェイトCW−1〜CW−Jが、時系列に並ぶJ個のサンプル値FSS−i〜FSS−(i−(J−1))にそれぞれ設定される。
フィードバック信号合成部483は、J個の複素乗算部481−1〜481−Jの出力信号を合成(加算)し、それによって得られた合成信号を、合成FB(フィードバック)送信複素信号CFSSとして出力する。これより、フィードバック信号合成部483では、補正ウェイトCW−1〜CW−Jがそれぞれ設定されたJ個のサンプル値FSS−i〜FSS−(i−(J−1))が合成された合成サンプル値が、FB送信複素信号FSSのサンプル値FSS−iに対応する、合成FB送信複素信号CFSSのサンプル値CFSS−iとして得られる。ウェイト合成部462では、FB信号選択部44からFB送信複素信号FSSのサンプル値が入力されるたびに、それに対応する合成FB送信複素信号CFSSのサンプル値が求められて出力される。
最適補正ウェイト算出部460では、補正ウェイト更新部461が、FB信号選択部44から出力されるFB送信複素信号FSSと第1誤差信号ESとを使用して、例えばLMS(Least Mean Square)アルゴリズムやRLS(Recursive Least-Squares)アルゴリズムに基づいて、ウェイト合成部462で使用される補正ウェイトCW−1〜CW−Jを更新する。そして、補正ウェイト更新部461は、第1誤差信号ESが最小となる補正ウェイトCW−1〜CW−Jを求める。つまり、補正ウェイト更新部461は、調整送信複素信号ASSのサンプル値に対する合成FB送信複素信号CFSSのサンプル値の誤差が最小となる補正ウェイトCW−1〜CW−Jを求める。以後、第1誤差信号ESが最小となる補正ウェイトCW−1〜CW−Jを、最適補正ウェイトCW−1〜CW−Jとそれぞれ呼ぶことがある。
サンプリング誤差補正部46は、最適補正ウェイトCW−1〜CW−Jが設定されたサンプル値FSS−i〜FSS−(i−(J−1))が合成されて得られる、合成FB送信複素信号CFSSのサンプル値CFSS−iを、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSのサンプル値FSS−iとして歪み補正値算出部48に出力する。このようにして、歪み補正値算出部48には、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSが入力される。
なお、遅延部41での遅延量は、調整送信複素信号ASSが送信信号調整部303から出力されてから、当該調整送信複素信号SS2が通信部30からフィードバックされて信号選択部317からFB送信複素信号FSSとして出力されるまでに必要な時間に設定される。したがって、調整送信複素信号ASSに対するFB送信複素信号FSSの遅延は遅延部41において補正される。
歪み補正値算出部48は、第1入力選択部42が出力する調整送信複素信号ASSと、サンプリング誤差補正部46が出力する、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSとを比較することにより、当該調整送信複素信号ASS及び当該FB送信複素信号FSSに対応する送受信処理部3の増幅部307から出力される出力送信信号SSOの歪みを補正するための歪み補正値DCを新たに求める。歪み補正値DCが適切な値であれば、調整送信複素信号ASSと、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSとは同一となるが、増幅部307の特性の温度変化や経年変化によって現在の歪み補正値DCが適切な値でない場合には、送信複素信号SS2の振幅AMが大きいと、調整送信複素信号ASSと、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSとの間に相違が生じる。歪み補正値算出部48は、この相違に基づいて新たな歪み補正値DCを求める。歪み補正値算出部48には、振幅算出部301で求められる送信複素信号SS2の振幅AMも入力されており、歪み補正値算出部48は送信複素信号SS2の各振幅AMについて歪み補正値DCを求める。
このように、本実施の形態に係る基地局100では、歪み補正値DCを自動的に求めることができることから、増幅部307の出力送信信号SSOの歪みを適応的に補正することができる。
出力選択部49は、歪み補正値算出部48で求められた歪み補正値DCの出力先として、送受信処理部3a〜3dのうちのいずれか一つの送受信処理部3を選択し、選択した送受信処理部3に当該歪み補正値DCを出力する。具体的には、出力選択部49は、送信信号選択部40が選択している調整送信複素信号ASSを出力する送受信処理部3、言い換えれば、FB信号選択部44が選択しているFB送信複素信号FSSを出力する送受信処理部3を歪み補正値DCの出力先として選択する。
送信ウェイト取得部47は、最適受信ウェイト算出部45で取得された最適受信ウェイトRWa〜RWdをキャリブレーション情報CBに基づいて補正することによって、送信ウェイトRWa〜RWdを求める。キャリブレーション情報CBは、送受信処理部3での送信系回路と受信系回路の特性の相違に基づいて生成される情報である。最適受信ウェイトRWをそのまま送信ウェイトSWとして使用することも可能であるが、送受信処理部3では送信系回路と受信系回路の特性に相違(例えば、増幅部307,312の特性の相違)があるため、キャリブレーション情報CBを使用して、その相違を吸収するように最適受信ウェイトRWを補正することによって、最適な送信ウェイトSWを得ることができる。送信ウェイト取得部47は、求めた送信ウェイトSWa〜SWdを送受信処理部3a〜3dにそれぞれ出力する。
送信信号選択部40、第1入力選択部42、第2入力選択部43、FB信号選択部44及び出力選択部49のそれぞれでの選択動作は制御部5で制御される。ウェイト・補正値算出部4が備える各構成要素については、ハードウェアだけで構成しても良いし、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)がプログラムを実行することによって実現される機能ブロックで構成しても良い。したがって、誤差信号取得部470がハードウェアだけで実現される場合には、そのハードウェアが最適受信ウェイト算出部45と最適補正ウェイト算出部460とで共有されることになる。また、誤差信号取得部470がDSP等がプログラムを実行することによって機能ブロックとして実現される場合には、当該プログラムが最適受信ウェイト算出部45と最適補正ウェイト算出部460とで共有されることになる。
以上のような構成を有する基地局100では、第1送信スロット〜第4送信スロットの4つの送信スロットで構成された送信期間と、第1受信スロット〜第4受信スロットの4つの受信スロットで構成された受信期間とが交互に現れるTDMA/TDD方式で多重通信が行われる。1つの送信期間と1つの受信期間とで1つのフレームが構成されている。1つのフレームのフレーム長は5ms、1つの送信期間及び1つの受信期間のそれぞれの長さは2.5ms、1つのスロットの長さは625μsである。
本実施の形態に係る基地局100では、同一の通信端末との通信には、送信期間及び受信期間において同じ位置にあるスロットが使用される。例えば、ある通信端末との通信には、第2送信スロット及び第2受信スロットが使用され、別の通信端末との通信には、第3送信スロット及び第3受信スロットが使用される。
ウェイト・補正値算出部4では、制御部5による制御によって、受信スロットごとに、最適受信ウェイトRW及び送信ウェイトSWが求められる。そして、ウェイト・補正値算出部4で求められた送信ウェイトSWは、送信期間において、それが求められた受信スロットと同じ位置にある送信スロットで使用される。
このように、基地局100では、第1送信スロット〜第4送信スロットのそれぞれにおいて固有の送信ウェイトSWが使用されることから、上述の調整値テーブル320bは、第1送信スロット〜第4送信スロットのそれぞれに対応して用意される。つまり、第1送信スロットでの送信複素信号SS2に複素乗算される調整値αが登録された調整値テーブル320bと、第2送信スロットでの送信複素信号SS2に複素乗算される調整値αが登録された調整値テーブル320bと、第3送信スロットでの送信複素信号SS2に複素乗算される調整値αが登録された調整値テーブル320bと、第4送信スロットでの送信複素信号SS2に複素乗算される調整値αが登録された調整値テーブル320bとが調整値算出部302の記憶部320に記憶される。そして、調整値算出部302は、4つの調整値テーブル320aのうち、現在の送信スロットに応じた調整値テーブル320aを使用して送信複素信号SS2を調整する。
一方で、送信期間に求められる歪み補正値DCについては、増幅部307の特性は温度に応じて変化したり経年変化するものの、短い期間内ではほとんど変化しないことから、送信スロットごとには求める必要はない。本実施の形態に係る基地局100では、増幅部307の特性が温度に応じて変化することを考慮して、基地局100の温度の変化量が一定量よりも大きくなった場合に、歪み補正値DCが新たに求められて、歪み補正値テーブル320a及び4つの調整値テーブル320bが更新される。さらに、本実施の形態に係る基地局100では、増幅部307の特性が経年変化することを考慮して、所定時間ごとに歪み補正値DCが新たに求められて、歪み補正値テーブル320a及び4つの調整値テーブル320bが更新される。なお、基地局100の温度については、基地局100に温度センサを設けることによって求めることができる。
<基地局の送受信動作>
本実施の形態に係る基地局100では、通信端末からの信号を受信する受信モードと、歪み補正値DCを求めることなしに通信端末に対して信号を送信する第1送信モードと、歪み補正値DCを求めながら通信端末に対して信号を送信する第2送信モードとの3つの動作モードが存在する。以下に各動作モードでの基地局100の動作について説明する。
本実施の形態に係る基地局100では、通信端末からの信号を受信する受信モードと、歪み補正値DCを求めることなしに通信端末に対して信号を送信する第1送信モードと、歪み補正値DCを求めながら通信端末に対して信号を送信する第2送信モードとの3つの動作モードが存在する。以下に各動作モードでの基地局100の動作について説明する。
図7は受信モードでの基地局100の動作を示すフローチャートである。基地局100では、受信期間になると、ステップs1において、制御部5が、各送受信処理部3の送受信選択部310、フィードバック選択部312及び信号選択部317と、ウェイト・補正値算出部4の第1入力選択部42及び第2入力選択部43とのそれぞれの設定を受信モード用の設定にする。これにより、各送受信処理部3では、送受信選択部310がアンテナ1で受信された受信信号を増幅部311に出力し、フィードバック選択部312が増幅部311から出力される受信信号をミキサ313に出力し、信号選択部317が受信ウェイト処理部316の出力信号を出力するようになる。その結果、各送受信処理部3からは調整受信複素信号ARSが出力され、受信信号合成部7からは、これらの調整受信複素信号ARSが合成された合成受信複素信号CRSが出力される。また、第1入力選択部42が参照信号REFを出力し、第2入力選択部43が合成受信複素信号CRSを出力するようになる。その結果、最適受信ウェイト算出部45には参照信号REFと合成受信複素信号CRSとが入力される。
次にステップs2において、最適受信ウェイト算出部45は、参照信号REFと、合成受信複素信号CRSとに基づいて、現在の受信スロットでの最適受信ウェイトRWa〜RWdを求める。ステップs2で求められた最適受信ウェイトRWa〜RWdは、送受信処理部3a〜3dの復調部315が出力する受信複素信号RSにそれぞれ設定される。最適受信ウェイトRWa〜RWdが設定された受信複素信号RSは受信信号合成部7で合成され、それによって得られた合成受信複素信号CRSは制御部5でビットデータに変換される。
次にステップs3において、送信ウェイト取得部47は、最適受信ウェイト算出部45で求められた最適受信ウェイトRWa〜RWdをキャリブレーション情報CBで補正して、現在の受信スロットに対応する送信スロットでの送信ウェイトSWa〜SWdを取得する。ステップs3では、例えば、現在の受信スロットが第3受信スロットであれば、第3送信スロットでの送信ウェイトSWa〜SWdが取得される。
次にステップs4において、各送受信処理部3では、調整値算出部302が、ステップs3で新たに取得された、当該送受信処理部3に対応する送信ウェイトSWを記憶する。そして、調整値算出部302は、新たに記憶した送信ウェイトSWと歪み補正値テーブル320aとを用いて、現在の受信スロットに対応する送信スロット用の調整値テーブル320bを更新する。
基地局100では、以上の処理が、受信期間の第1受信スロット〜第4受信スロットのそれぞれにおいて行われる。
図8は第1送信モードでの基地局100の動作を示すフローチャートである。基地局100では、送信期間になると、ステップs11において、制御部5が、各送受信処理部3の送受信選択部310の設定を第1送信モード用の設定にする。これにより、各送受信処理部3では、送受信選択部310が、分岐カプラ308が出力する送信信号をアンテナ1に出力できるようになる。
ここで、第1送信モードの基地局100では、ウェイト・補正値算出部4は動作しない。つまり、ウェイト・補正値算出部4では、最適受信ウェイトRW、送信ウェイトSW及び歪み補正値DCは求められない。したがって、各送受信処理部3のフィードバック選択部312及び信号選択部317はどのような状態であっても良い。
次にステップs12において、制御部5が送信複素信号SS1を生成すると、ステップs13において、各送受信処理部3では、調整値算出部302が、振幅算出部301から出力される送信複素信号SS2の振幅AMに対応する調整値αを、現在の送信スロット用の調整値テーブル320bから取得して送信信号調整部303に出力する。
次にステップs14において、各送受信処理部3では、送信信号調整部303が、遅延部300から出力される送信複素信号SS2と、入力された調整値αとを複素乗算して、当該送信複素信号SS2の振幅AM及び位相を調整する。これにより、アレイアンテナ2の指向性の制御と出力送信信号SSOの歪みを補正する処理とが同時に行われる。その後、ステップs15において、アレイアンテナ2の各アンテナ1から送信信号が送信される。
基地局100では、以上の処理が送信期間の第1送信スロット〜第4送信スロットのそれぞれで行われる。
図9は第2送信モードでの基地局100の動作を示すフローチャートである。基地局100では、基地局100の温度の変化量が一定量よりも大きくなったり、前回の歪み補正値テーブル320aの更新から所定時間が経過すると、送信期間において、制御部5が、各送受信処理部3の送受信選択部310、フィードバック選択部312及び信号選択部317と、ウェイト・補正値算出部4の第1入力選択部42及び第2入力選択部43との設定を第2送信モード用の設定にする。これにより、各送受信処理部3では、送受信選択部310が、分岐カプラ308が出力する送信信号をアンテナ1に出力できるようになる。また、各送受信処理部3では、フィードバック選択部312が分岐カプラ308で分岐される送信信号を出力できるようになり、信号選択部317が、FB送信複素信号FSSを出力できるようになる。そして、第1入力選択部42が遅延部41から出力される調整送信複素信号ASSを出力できるようになり、第2入力選択部43が合成FB送信複素信号CFSSを出力できるようになる。
次にステップs22において、制御部5は、歪み補正値DCを求める対象の送受信処理部3(以後、「対象送受信処理部3」と呼ぶ)を決定する。そして、制御部5は、送信信号選択部40を制御して、当該送信信号選択部40が、対象送受信処理部3から出力される調整送信複素信号ASSを出力するようにする。また、制御部5は、FB信号選択部44を制御して、当該FB信号選択部44が、対象送受信処理部3から出力されるFB送信複素信号FSSを出力するようにする。そして、制御部5は、出力選択部49を制御して、それに入力される歪み補正値DCが対象送受信処理部3に出力されるようにする。
次にステップs23において、制御部5が送信複素信号SS1を生成すると、ステップs24〜s26の通信端末への信号の送信処理と、ステップs27〜s30の調整値テーブル320bを更新する処理とが並列的に行われる。
ステップs24では、上述のステップs13と同様に、各送受信処理部3では、調整値算出部302が、振幅算出部301から出力される送信複素信号SS2の振幅AMに対応する調整値αを、現在の送信スロット用の調整値テーブル320bから取得して送信信号調整部303に出力する。
次にステップs25において、各送受信処理部3では、送信信号調整部303が、遅延部300から出力される送信複素信号SS2と、入力された調整値αとを複素乗算して、当該送信複素信号SS2の振幅AM及び位相を調整する。これにより、アレイアンテナ2の指向性の制御と出力送信信号SSOの歪みを補正する処理とが同時に行われる。その後、ステップs26において、アレイアンテナ2の各アンテナ1から送信信号が送信される。
ステップs27では、サンプリング誤差補正部46が、第1入力選択部42から入力される調整送信複素信号ASSと、FB信号選択部44から入力されるFB送信複素信号FSSとに基づいて、当該FB送信複素信号FSSのサンプリング誤差を補正する。そして、サンプリング誤差補正部46は、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSを歪み補正値算出部48に出力する。これにより、歪み補正値算出部48には、調整送信複素信号ASSのサンプル値と、当該サンプル値に対応する、サンプリング誤差が補正されたFB送信複素信号FSSのサンプル値とが同時に入力される。
次にステップs28において、歪み補正値算出部48は、入力される調整送信複素信号ASSとFB送信複素信号FSSとを比較して、対象送受信処理部3で使用される歪み補正値DCを新たに求めて出力選択部49に出力する。出力選択部49は入力された歪み補正値DCを対象送受信処理部3に出力する。歪み補正値算出部48では、送信複素信号SS2の各振幅AMに応じて歪み補正値DCが新たに求められる。
次にステップs29において、対象送受信処理部3では、調整値算出部302が、対象送受信処理部3に入力された新たな歪み補正値DCを用いて、歪み補正値テーブル320aを更新する。そしてステップs30において、調整値算出部302は、更新後の歪み補正値テーブル320aと、当該調整値算出部302が記憶している、現在の送信スロットで使用する送信ウェイトSWとを用いて、現在の送信スロット用の調整値テーブル320bを更新する。以後、対象送受信処理部3では、送信複素信号SS2の振幅及び位相の調整に、更新後の調整値テーブル320bが使用される。
基地局100では、以上の処理が送信期間の第1送信スロット〜第4送信スロットのそれぞれで行われる。送信期間において、送信スロットが変わると、ステップs22で選択される対象送受信処理部3は変更される。これにより、1つの送信期間において、送受信処理部3a〜3dのすべての歪み補正値テーブル320a及び調整値テーブル320bが更新される。なお、送受信処理部3a〜3dの歪み補正値テーブル320a及び調整値テーブル320bの更新タイミングはこれに限られず、1つのフレームにおいて、1つの送受信処理部3の歪み補正値テーブル320a及び調整値テーブル320bを更新しても良い。この場合には、送受信処理部3a〜3dの歪み補正値テーブル320a及び調整値テーブル320bの更新は、互いに異なるフレームで行われることになる。
本実施の形態に係る基地局100の各送受信処理部3では、ある送信スロットにおいて、新たに求められた歪み補正値DCによって調整値テーブル320bが更新されると、更新後の調整値テーブル320bがすぐに使用されて送信複素信号SS2の振幅及び位相の調整が行われる。そのため、新たな歪み補正値DCが求められる送信スロットにおいては、前半は更新前の調整値テーブル320bが使用され、後半は更新後の調整値テーブル320bが使用されることになる。つまり、歪み補正値DCが更新される送信スロットにおいては、前半の送信信号は更新前の歪み補正値DCに基づいて補正され、後半の送信信号は更新後の歪み補正値DCに基づいて補正される。以下にこの点について詳細に説明する。
図10は、時間の経過にともなって送信信号に対する送信ウェイトSW及び歪み補正値DCが変化していく様子を示す図である。以下では、説明を簡単にするために、送信期間及び受信期間のそれぞれが1つのスロットで構成されているものとする。また、ある時点での送信ウェイトSW、歪み補正値DC及び調整値αを“SWn”、“DCm”及び“αk”とそれぞれ表する。そして、送信ウェイトSWnが1回更新されるたびに、添え字のnが一つずつ増えていくものとする。同様に、歪み補正値DCmが1回更新されるたびに、添え字のmが一つずつ増えていくものとし、調整値αkが1回更新されるたびに、添え字のkが一つずつ増えていくものとする。また、仮に調整値αが送信複素信号SS2に乗算されない場合においてアンテナ1から送信される送信信号をf(x)で表す。
図10に示されるように、SWn・DCm・f(x)と表される送信信号が送受信処理部3のアンテナ1から出力される送信スロットSSL1の次の受信スロットRSL1において、既知信号500が受信されると、当該既知信号500に基づいて新たな送信ウェイトSWが求められる。図10の送信ウェイト算出期間510は、合成受信複素信号CRSに含まれる既知信号500がウェイト・補正値算出部4に入力されてから、新たな送信ウェイトSWが算出されるまでの期間を示している。新たな送信ウェイトSWが算出されると、受信スロットRSL1のタイミング520において調整値テーブル320bが更新される。更新後の調整値αk+1はSWn+1・DCmとなる。
受信スロットRSL1の次の送信スロットSSL2では、更新後の調整値αk+1が乗算された送信信号、つまりSWn+1・DCm・f(x)と表される送信信号がアンテナ1から出力される。そして、送信スロットSSL2において、新たな歪み補正値DCが算出されると、送信スロットSSL2のタイミング530において調整値テーブル320bが更新される。更新後の調整値αk+2はSWn+1・DCm+1となる。そして、送信スロットSSL2において、更新後の調整値αk+2が乗算された送信信号、つまりSWn+1・DCm+1・f(x)と表される送信信号がアンテナ1から出力される。なお、図9の歪み補正値算出期間540は、FB送信複素信号FSSがウェイト・補正値算出部4に入力されてから、送信複素信号SS2の各振幅に応じた新たな歪み補正値DCが算出されるまでの期間を示している。
このように歪み補正値DCが更新される送信スロットSSL2では、前半部分においては、更新前の歪み補正値DCmに基づいて送信信号が補正され、後半部分においては更新後の歪み補正値DCm+1に基づいて送信信号が補正される。
その後、送信スロットSSL2の次の受信スロットRSL2において、既知信号500が受信されると、当該既知信号500に基づいて新たな送信ウェイトSWが求められる。新たな送信ウェイトSWが算出されると、受信スロットRSL2のタイミング540で調整値テーブル320bが更新される。更新後の調整値αk+3はSWn+2・DCm+1となる。
受信スロットRSL2の次の送信スロットSSL3では、更新後の調整値αk+3が乗算された送信信号、つまりSWn+2・DCm+1・f(x)と表される送信信号がアンテナ1から出力される。なお図9の例では、送信スロットSSL3では、新たな歪み補正値DCは算出されない。
以上のように、本実施の形態に係る基地局100では、送信ウェイトSWに係る情報と歪み補正値DCに係る情報とを含む調整値αに基づいて、増幅部307に入力される送信信号が調整されている。したがって、アレイアンテナ2の指向性の制御と増幅部307から出力される送信信号の歪みを補正する処理とが同時に行われる。その結果、送信複素信号SS2に対して送信ウェイトSWを乗算した後に歪み補正値DCを乗算する等によって、アレイアンテナ2の指向性の制御と増幅部307から出力される送信信号の歪みを補正する処理とを別々に行う場合と比較して、処理負荷が大きく低減される。
また、本実施の形態では、最適受信ウェイト算出部45と最適補正ウェイト算出部460との間で誤差信号取得部470が共有されているため、基地局100の構成が簡素化される。
<変形例>
上述の例では、図10に示されるように、歪み補正値DCが更新される送信スロットSSL2においては、前半部分の送信信号は更新前の歪み補正値DCmに基づいて補正され、後半の送信信号は更新後の歪み補正値DCm+1に基づいて補正されている。一般的に、増幅部307の特性は急激には変化しないことから、上記のように、更新後の歪み補正値DCを送信信号にすぐに反映させる必要は必ずしもない。
上述の例では、図10に示されるように、歪み補正値DCが更新される送信スロットSSL2においては、前半部分の送信信号は更新前の歪み補正値DCmに基づいて補正され、後半の送信信号は更新後の歪み補正値DCm+1に基づいて補正されている。一般的に、増幅部307の特性は急激には変化しないことから、上記のように、更新後の歪み補正値DCを送信信号にすぐに反映させる必要は必ずしもない。
そこで、本変形例では、新たな歪み補正値DCが求められる送信スロットよりも後の送信スロットにおいて、当該新たな歪み補正値DCを送信信号に反映させる。以下に本変形例について説明する。
図11は、本変形例での上述の図10に対応する図である。図11に示されるように、受信スロットRSL1で求められた送信ウェイトSWn+1を用いて調整値αkが更新されると、次の送信スロットSSL2では、更新後の調整値αk+1が乗算された送信信号、つまりSWn+1・DCm・f(x)と表される送信信号がアンテナ1から出力される。そして、送信スロットSSL2において、新たな歪み補正値DCが算出されると、送信スロットSSL2のタイミング530において歪み補正値テーブル320a及び調整値テーブル320bが更新される。更新後の調整値αk+2はSWn+1・DCm+1となる。
ここで、本変形例では、送信スロットSSL2において、更新後の調整値αk+2(=SWn+1・DCm+1)を使用せずに、更新前の調整値αk+1(=SWn+1・DCm)を使用して送信信号を補正する。つまり、更新前の歪み補正値DCmに係る情報を含む調整値αk+1を使用して送信信号を補正する。したがって、図10に示されるように、送信スロットSSL2の全期間において、アンテナ1からは、SWn+1・DCm・f(x)と表される送信信号が出力される。
このように本変形例では、送信スロットにおいて新たな歪み補正値DCが求められて調整値テーブル320bが更新されたとしても、当該送信スロットでは、更新後の調整値テーブル320bは使用されずに、更新前の調整値テーブル320bだけが使用される。したがって、歪み補正値DCが更新されて、その更新された歪み補正値DCに基づいて調整値テーブル320bが更新された場合には、調整値算出部302は更新前の調整値テーブル320bも記憶部320に記憶しておく。
送信スロットSSL2の次の受信スロットRSL2になり、受信スロットRSL2で既知信号500が受信されると、当該既知信号500に基づいて新たな送信ウェイトSWが求められる。新たな送信ウェイトSWが算出されると、受信スロットRSL2のタイミング540で調整値テーブル320bが更新される。更新後の調整値αk+3はSWn+2・DCm+1となる。
受信スロットRSL2の次の送信スロットSSL3では、更新後の調整値αk+3が乗算された送信信号、つまりSWn+2・DCm+1・f(x)と表される送信信号が送受信処理部3のアンテナ1から出力される。これにより、送信スロットSSL2で新たに求められた歪み補正値DC(=DCm+1)が、その後の送信スロットSSL3において送信信号に反映される。
なお、送信期間が複数の送信スロット、例えば第1送信スロット〜第4送信スロットで構成されている場合には、新たな歪み補正値DCが求められた送信スロットと同じ送信期間での送信スロットであって、新たな歪み補正値DCが求められた送信スロットよりも後の送信スロットにおいて、新たな歪み補正値DCに係る情報を含む調整値αを使用して送信信号を補正しても良い。例えば、第2送信スロットにおいて新たな歪み補正値DCが求められた場合には、第3送信スロットあるいは第4送信スロットにおいて、当該新たな歪み補正値DCに基づいて送信信号を補正しても良い。
また、新たな歪み補正値DCが求められた送信スロットが属するフレームよりも2フレーム以上の後の送信スロットにおいて、新たな歪み補正値DCに基づいて送信信号を補正しても良い。
<その他の変形例>
以上の説明では、歪み補正値DCは、送信信号の振幅及び位相の両方を補正するためのものであったが、増幅部307の出力送信信号SSOの位相がそれほどずれない場合には、歪み補正値DCを、送信信号の振幅のみを補正するためのものとし、歪み補正値DCに基づいて送信信号の振幅のみを補正しても良い。逆に、増幅部307の出力送信信号SSOの振幅がそれほどずれない場合には、歪み補正値DCを、送信信号の位相のみを補正するためのものとし、歪み補正値DCに基づいて送信信号の位相のみを補正しても良い。
以上の説明では、歪み補正値DCは、送信信号の振幅及び位相の両方を補正するためのものであったが、増幅部307の出力送信信号SSOの位相がそれほどずれない場合には、歪み補正値DCを、送信信号の振幅のみを補正するためのものとし、歪み補正値DCに基づいて送信信号の振幅のみを補正しても良い。逆に、増幅部307の出力送信信号SSOの振幅がそれほどずれない場合には、歪み補正値DCを、送信信号の位相のみを補正するためのものとし、歪み補正値DCに基づいて送信信号の位相のみを補正しても良い。
また、上述の説明では、本発明を非特許文献1に記載のPHSの基地局に適用する場合について説明したが、本発明は、他の通信システムの基地局にも適用することができる。
2 アレイアンテナ
4 ウェイト・補正値算出部
30 通信部
45 最適受信ウェイト算出部
46 サンプリング誤差補正部
48 歪み補正値算出部
100 基地局
302 調整値算出部
303 送信信号調整部
305 D/A変換器
307 増幅部
314 A/D変換器
316 受信ウェイト処理部
320 記憶部
320a 歪み補正値テーブル
320b 調整値テーブル
460 最適補正ウェイト算出部
470 誤差信号取得部
482 補正ウェイト処理部
483 フィードバック信号合成部
4 ウェイト・補正値算出部
30 通信部
45 最適受信ウェイト算出部
46 サンプリング誤差補正部
48 歪み補正値算出部
100 基地局
302 調整値算出部
303 送信信号調整部
305 D/A変換器
307 増幅部
314 A/D変換器
316 受信ウェイト処理部
320 記憶部
320a 歪み補正値テーブル
320b 調整値テーブル
460 最適補正ウェイト算出部
470 誤差信号取得部
482 補正ウェイト処理部
483 フィードバック信号合成部
Claims (5)
- 複数のアンテナからなるアレイアンテナを用いて、通信端末と信号の送受信を行なう基地局であって、
前記通信端末に送信する送信信号を増幅する増幅部と、
前記増幅部から出力された信号に基づいて、前記増幅部で増幅された信号の歪みを補正するための歪み補正値を算出する歪み補正値算出部と、
前記複数のアンテナが受信した前記通信端末から信号に基づいて、前記アレイアンテナの送信の指向性を制御するための送信ウェイトを算出する送信ウェイト算出部と、
前記送信ウェイト算出部により算出された送信ウェイトと、前記歪み補正値算出部により算出された歪み補正値とから、前記増幅部に入力される送信信号に対する調整値を算出する調整値算出部と、
前記調整値に基づいて、前記増幅部に入力される送信信号を調整することによって、前記アレイアンテナの送信の指向性の制御と前記増幅部から出力される信号の歪み補正とを同時に行う調整部と
を備える基地局。 - 請求項1の記載の基地局であって、
前記歪み補正値算出部により算出された歪み補正値を記憶する記憶部を備え、
前記調整値算出部は、前記送信ウェイトが更新された場合に前記記憶部に記憶された歪み補正値を読み出し、読み出した歪み補正値と、更新された送信ウェイトとから、前記増幅部に入力される送信信号に対する調整値を算出する、基地局。 - 請求項1に記載の基地局であって、
前記アレイアンテナで受信される複数の受信信号に対して、前記アレイアンテナの受信の指向性を制御するための受信ウェイトを設定する受信ウェイト処理部と、
前記受信ウェイトが設定された前記複数の受信信号を合成して合成受信信号を生成する受信信号合成部と、
参照信号と前記合成受信信号との差が最小となる前記受信ウェイトを最適受信ウェイトとして求める最適受信ウェイト算出部と、
前記増幅部の前段に設けられ、前記増幅部に入力される送信信号をデジタル形式からアナログ形式に変換するD/A変換器と、
前記増幅部の出力信号であるフィードバック送信信号をアナログ形式からデジタル形式に変換するA/D変換器と、
前記A/D変換器が前記フィードバック送信信号をサンプリングする際に発生する、前記D/A変換器に入力される送信信号に対する、前記A/D変換器から出力される前記フィードバック送信信号の誤差を補正するサンプリング誤差補正部と
をさらに備え、
前記歪み補正値算出部は、前記D/A変換器に入力される送信信号と、前記サンプリング誤差補正部において前記誤差が補正された前記フィードバック送信信号とに基づいて、前記歪み補正値を算出し、
前記サンプリング誤差補正部は、
前記A/D変換器から出力される前記フィードバック送信信号の複数のサンプル値に対して、前記誤差を補正するための補正ウェイトを設定する補正ウェイト処理部と、
前記補正ウェイトが設定された前記複数のサンプル値を合成して合成サンプル値を生成するフィードバック信号合成部と、
前記D/A変換器に入力される送信信号のサンプル値と前記合成サンプル値との差が最小となる前記補正ウェイトを最適補正ウェイトとして求める最適補正ウェイト算出部と
を有し、
前記サンプリング誤差補正部は、前記最適補正ウェイトが設定された前記複数のサンプル値が合成されて得られる前記合成サンプリング値を、前記誤差が補正された前記フィードバック送信信号のサンプル値とし、
前記最適受信ウェイト算出部と前記最適遅延補正ウェイト算出部とは、第1入力信号に対する第2入力信号の誤差を示す誤差信号を求める誤差信号取得部を共有しており、
前記最適受信ウェイト算出部は、前記誤差信号取得部に対して、前記第1入力信号として参照信号が入力され、かつ前記第2入力信号として前記合成受信信号が入力された際の前記誤差信号に基づいて前記最適受信ウェイトを求め、
前記最適補正ウェイト算出部は、前記誤差信号取得部に対して、前記第1入力信号として前記D/A変換器に入力される送信信号のサンプル値が入力され、前記第2入力信号として前記合成サンプル値が入力された際の前記誤差信号に基づいて前記最適補正ウェイトを求める、基地局。 - 請求項1に記載の基地局であって、
前記基地局では、少なくとも1つの送信スロットを含む送信期間と少なくとも1つの受信スロットを含む受信期間とが交互に現れ、
前記調整部は、ある送信スロットにおいて前記歪み補正値算出部が前記歪み補正値を新たに求めると、当該ある送信スロットにおいては新たに求められた前記歪み補正値に基づく前記調整値は使用せずに、当該ある送信スロットよりも後の送信スロットにおいて、新たに求められた前記歪み補正値に基づく前記調整値に基づいて、前記増幅部に入力される送信信号を調整する、基地局。 - 複数のアンテナからなるアレイアンテナを用いて、通信端末と信号の送受信を行なう基地局での送信信号の調整方法であって、
(a)前記基地局が有する、前記通信端末に送信する送信信号を増幅する増幅部から出力された信号に基づいて、前記増幅部で増幅された信号の歪みを補正するための歪み補正値を算出する工程と、
(b)前記複数のアンテナが受信した前記通信端末からの信号に基づいて、前記アレイアンテナの送信の指向性を制御するための送信ウェイトを算出する工程と、
(c)前記送信ウェイト算出部により算出された送信ウェイトと、前記歪み補正値算出部により算出された歪み補正値とから、前記増幅部に入力される送信信号に対する調整値を算出する工程と、
(d)前記調整値に基づいて、前記増幅部に入力される送信信号を調整することによって、前記アレイアンテナの送信の指向性の制御と前記増幅部から出力される信号の歪み補正とを同時に行う工程と
を備える、基地局での送信信号の調整方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010112413A JP2011244087A (ja) | 2010-05-14 | 2010-05-14 | 基地局及び基地局での送信信号の調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010112413A JP2011244087A (ja) | 2010-05-14 | 2010-05-14 | 基地局及び基地局での送信信号の調整方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011244087A true JP2011244087A (ja) | 2011-12-01 |
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ID=45410321
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JP2010112413A Pending JP2011244087A (ja) | 2010-05-14 | 2010-05-14 | 基地局及び基地局での送信信号の調整方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1065570A (ja) * | 1996-08-26 | 1998-03-06 | Fujitsu Ltd | 無線装置及び歪み補償方法 |
JP2005318328A (ja) * | 2004-04-28 | 2005-11-10 | Kyocera Corp | 無線通信装置及び送信電力制御方法 |
-
2010
- 2010-05-14 JP JP2010112413A patent/JP2011244087A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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JP2005318328A (ja) * | 2004-04-28 | 2005-11-10 | Kyocera Corp | 無線通信装置及び送信電力制御方法 |
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