JP2011242234A - 化学処理用カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】効率的な化学処理が可能な化学処理用カートリッジを提供する。
【解決手段】化学処理用カートリッジ1は、板状のベース部材1Aと、ベース部材1Aよりも薄く容易に弾性変形可能な板状のシート部材1Bとを互いに接着して構成される。化学処理用カートリッジ1の内部には、ウェル11〜13および流路21〜24が形成され、流路21、ウェル11、流路22、ウェル12、流路23、ウェル13および流路24が順次、接続されている。ウェル12の内部には、ベース部材1Aおよびシート部材1Bがドット状のパターンで接着された接着部31〜34が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】化学処理用カートリッジ1は、板状のベース部材1Aと、ベース部材1Aよりも薄く容易に弾性変形可能な板状のシート部材1Bとを互いに接着して構成される。化学処理用カートリッジ1の内部には、ウェル11〜13および流路21〜24が形成され、流路21、ウェル11、流路22、ウェル12、流路23、ウェル13および流路24が順次、接続されている。ウェル12の内部には、ベース部材1Aおよびシート部材1Bがドット状のパターンで接着された接着部31〜34が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、外部から与えられた力による変形により内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジおよび化学処理用カートリッジの製造方法に関する。
外部から力を加えることにより内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジが知られている。この化学処理用カートリッジには、所望の化学処理の手順に即した形状、配置でウェルや流路が形成されており、カートリッジに押し付けたローラを移動させることなどにより内容物を移動させることで、容易に上記手順に従った化学処理を実行できるものである。
このような化学処理用カートリッジは、平板状のベースと、弾性体からなるシートとを接着することにより作製することができ、作製時に非接着領域の形状を制御することによりウェルや流路が所定の形状、配置で形成される。
上記の化学処理用カートリッジを用いてDNAやRNAなどの核酸物質を抽出、検出することも考えられる。この場合には、カートリッジ内に検体から核酸物質を検出し、マイクロアレイ等を用いてDNAなどを検出するという一連の処理手順に即した形状および配置でウェルおよび流路を形成する。DNAなどの抽出、精製には、カートリッジ内に注入された磁性粒子を用いることが考えられる。
しかし、従来のカートリッジでは、磁性粒子が次のウェルに漏出し、反応が不安定となるとともに、DNAの抽出、増幅、精製等の工程でDNAの損失、消失が発生し、全体としての収率が低下するという問題がある。
本発明の目的は、効率的な化学処理が可能な化学処理用カートリッジを提供することにある。
本発明の化学処理用カートリッジは、外部から与えられた力による変形により内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジにおいて、互いに接着された2枚の板状部材を備え、前記内容物が移動される内部空間は、前記2枚の板状部材の非接着領域により形成され、前記非接着領域の内部には、前記2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられることを特徴とする。
この化学処理用カートリッジによれば、非接着領域の内部に、2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられていので、送液時に微小粒子のトラップや液体の攪拌を行うことができ、効率的な化学処理が可能となる。
この化学処理用カートリッジによれば、非接着領域の内部に、2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられていので、送液時に微小粒子のトラップや液体の攪拌を行うことができ、効率的な化学処理が可能となる。
互いに隣り合った前記ドット状の接着部間の間隔は、300μm未満であってもよい。
前記ドット状の接着部は、粒子の通過を阻止するトラップとして機能してもよい。
本発明の化学処理用カートリッジの製造方法は、互いに接着された2枚の板状部材を備えるとともに、前記内容物が移動される内部空間は前記2枚の板状部材の非接着領域により形成され、前記非接着領域の内部には、前記2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられ、外部から与えられた力による変形により内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジの製造方法であって、前記2枚の板状部材は、前記板状部材に対するプラズマ処理を施すステップと、前記プラズマ処理後に、前記2枚の板状部材を張り合わせるステップと、を備え、前記非接着領域の内部に形成される前記ドット状の接着部は、前記プラズマ処理を施すステップにおいて前記2枚の板状部材の接着パターンに対応したマスクを使用して形成されることを特徴とする。
この化学処理用カートリッジの製造方法によれば、非接着領域の内部に形成されるドット状の接着部は、プラズマ処理を施すステップにおいて2枚の板状部材の接着パターンに対応したマスクを使用して形成されるので、ドット状の接着部が細かなパターンを有する場合でも、容易にカートリッジを作製できる。
この化学処理用カートリッジの製造方法によれば、非接着領域の内部に形成されるドット状の接着部は、プラズマ処理を施すステップにおいて2枚の板状部材の接着パターンに対応したマスクを使用して形成されるので、ドット状の接着部が細かなパターンを有する場合でも、容易にカートリッジを作製できる。
本発明の化学処理用カートリッジによれば、非接着領域の内部に、2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられていので、送液時に微小粒子のトラップや液体の攪拌を行うことができ、効率的な化学処理が可能となる。
本発明の化学処理用カートリッジの製造方法によれば、非接着領域の内部に形成されるドット状の接着部は、プラズマ処理を施すステップにおいて2枚の板状部材の接着パターンに対応したマスクを使用して形成されるので、ドット状の接着部が細かなパターンを有する場合でも、容易にカートリッジを作製できる。
以下、本発明による化学処理用カートリッジの実施形態について説明する。
図1(a)は、実施例1の化学処理用カートリッジの構成を示す斜視図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のIb−Ib線断面図である。
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施例の化学処理用カートリッジ1は、板状のベース部材1Aと、ベース部材1Aよりも薄く容易に弾性変形可能な板状のシート部材1Bとを互いに接着して構成される。ベース部材1Aおよびシート部材1Bは、例えば、シリコンゴム等により作製される。
図1(a)に示すように、化学処理用カートリッジ1の内部には、ウェル11〜13および流路21〜24が形成され、流路21、ウェル11、流路22、ウェル12、流路23、ウェル13および流路24が順次、接続されている。なお、図1(a)では、化学処理用カートリッジ1に形成された一部のウェルおよび流路のみを示している。
これらのウェル11〜13および流路21〜24は、ベース部材1Aおよびシート部材1Bの非接着領域として形成される。通常時には、ベース部材1Aおよびシート部材1Bは互いに密着した状態にあるが、内部の圧力が高まると、主としてシート部材1Bが弾性変形し、ベース部材1Aおよびシート部材1Bの間に空隙が生じる。内部の圧力がなくなれば、再び、ベース部材1Aおよびシート部材1Bが互いに密着する。
図1(a)および図1(b)に示すように、ウェル12の内部には、ベース部材1Aおよびシート部材1Bがドット状のパターンで接着された接着部31〜34が設けられている。
図1(a)および図1(b)に示すように、ウェル12の内部には、ベース部材1Aおよびシート部材1Bがドット状のパターンで接着された接着部31〜34が設けられている。
図1(c)は、ウェル12の内部に内容物が存在している状態を示している。図1(c)に示すように、内容物の圧力によりウェル12の領域では、シート部材1Bがベース部材1Aから離れた状態となる。しかし、ウェル12の周囲でベース部材1Aおよびシート部材1Bが互いに接着されている接着部35、およびドット状の接着部31〜34では、シート部材1Bがベース部材1Aから離れることができず、図1(c)に示すように、接着部31〜34、および接着部35の間に狭い間隙が形成される。
例えば、DNAの抽出に用いる磁気粒子はこの間隙を通過できず、移動が阻止される。例えば、カートリッジ1にローラなどを押し付けるとともに、図1(a)において右方向にローラを移動させることにより、ウェル11からウェル13に向けて内容物を移動させると、磁気ビーズがウェル12においてトラップされ、ウェル13の方向に漏出することが阻止される。
図2は、本実施例の化学処理用カートリッジ1の製造方法を示す図である。
図2(a)はプラズマ処理に際して使用するマスクを示す図である。図2(a)に示すように、マスク4はカートリッジ1におけるベース部材1Aおよびシート部材1B間の非接着部の形状に対応している。マスク4はウェル11〜13および流路21〜24の輪郭に対応する輪郭形状を有し、ウェル12に相当する領域にはドット状の非接着部31〜34に対応する孔41〜44が形成されている。
図2(b)はベース部材1Aに対するプラズマ処理の工程を示している。図2(b)に示すように、プラズマ処理の工程では、マスク4をベース部材1Aの接着面に密着させ、この接着面にプラズマ処理(例えば60秒間の処理)を施す。これにより、図2(b)において、接着部31〜34に対応する領域31a〜34aおよび接着部35に対応する領域35aが選択的にプラズマ処理される。同様に、シート部材1Bの接着面にもマスク(マスク4とは裏返しのパターン)を介してプラズマ処理を施す。
次に、図2(c)に示すように、プラズマ処理を経たベース部材1Aおよびシート部材1Bの接着面どうしを接着することで、カートリッジ1が作製される。
このように、マスクを使用したプラズマ処理により接着領域を規定するため、接着部が細かなドット状パターンであっても、容易にカートリッジを作製することができる。
以上のように、本実施例の化学処理用カートリッジによれば、ドット状の接着部を設けることによりウェル内に狭い間隙を形成し、微小な粒体等をトラップすることができる。
図3は、実施例2の化学処理用カートリッジにおけるドット状の接着部の配置状態を示す図である。
図3に示すように、本実施例の化学処理用カートリッジでは、ドット状の接着部31A〜34Aをウェルの内部ではなく、ウェル14およびウェル15の間を接続する流路25の内部に設けている。この場合には、ウェル14からウェル15へ送液を行った際に、微小粒子を接着部31A〜34Aの領域でトラップすることが可能となる。
流路25の流路幅(W)を1mm、接着部31A〜34Aの直径(d)を300μmとし、接着部31A〜34A間の間隔(p)を変化させたところ以下の結果を得た。ここでは、磁性粒子(20μg/10μl)を含む液をウェル14からウェル15に向けて送液し、ウェル15に到達する磁性粒子の割合に基づいて評価した。
(1)p=150μmの場合、ウェル15への磁性粒子の漏出はなかった。
(2)p=200μmの場合、ウェル15への磁性粒子の漏出はなかった。
(3)p=300μmの場合、ウェル15への少量の磁性粒子の漏出が認められた。
(4)接着部31A〜34Aがない場合、ほぼ全量の磁性粒子がウェル15へ移動した。
(1)p=150μmの場合、ウェル15への磁性粒子の漏出はなかった。
(2)p=200μmの場合、ウェル15への磁性粒子の漏出はなかった。
(3)p=300μmの場合、ウェル15への少量の磁性粒子の漏出が認められた。
(4)接着部31A〜34Aがない場合、ほぼ全量の磁性粒子がウェル15へ移動した。
このように、ドット状の接着部を設けることにより、磁性粒子を効率的にトラップすることができる。とくに、ドット状の接着部間の間隔を300μm未満とすることで、微小粒子等を効果的にトラップできる。
図4は、実施例3の化学処理用カートリッジにおけるドット状の接着部の配置状態を示す図である。
実施例2では、ドット状の接着部を等間隔で配置しているが、間隔が均一でなくてもよい。
図4の例では、ウェル14およびウェル15間の流路25の内部にドット状の接着部51〜54が、順次、幅W1、幅W2、幅W3および幅W4の間隔をあけて配置され、幅W1<幅W2<幅W3<幅W4とされている。
このように、ドットの配置状態は任意に選択可能である。
図5は、実施例4の化学処理用カートリッジにおけるドット状の接着部の配置状態を示す図である。
図5の例では、ウェル16とウェル17とが流路26を介して接続されており、ウェル17内部における流路26の接続部分近傍に、複数のドット状の接着部が形成された領域30が設けられている。
この場合には、ウェル16から流路26を介して液送された液体が領域30において激しく攪拌されるため、ウェル17における液体の混合、攪拌を効率的に行うことができる。
上記各実施例では、ドット状の接着部の形状を円形状としているが、ドット形状や配置状態は上記実施例に限定されない。
図6は、様々なドット形状等を示しており、図6(a)は領域30Aに矩形状の接着部を形成した例を、図6(b)は領域30Bに周囲に突起を有する形状の接着部を形成した例を、図6(c)は領域30Cに2列に並んだ円形状の接着部を形成した例を、図6(d)は領域30Dに楕円状の接着部を形成した例を、図6(e)は領域30Eに凹部を有する形状の接着部を形成した例を、図6(f)は領域30Fに波型に屈曲した形状の接着部を形成した例を、それぞれ示している。
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、外部から与えられた力による変形により内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジおよび化学処理用カートリッジの製造方法に対し、広く適用することができる。
1 化学処理用カートリッジ
1A ベース部材(板状部材)
1B シート部材(板状部材)
30 領域(接着部)
30A〜30F 領域(接着部)
31〜34 接着部
51〜55 接着部
1A ベース部材(板状部材)
1B シート部材(板状部材)
30 領域(接着部)
30A〜30F 領域(接着部)
31〜34 接着部
51〜55 接着部
Claims (4)
- 外部から与えられた力による変形により内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジにおいて、
互いに接着された2枚の板状部材を備え、
前記内容物が移動される内部空間は、前記2枚の板状部材の非接着領域により形成され、
前記非接着領域の内部には、前記2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられることを特徴とする化学処理用カートリッジ。 - 互いに隣り合った前記ドット状の接着部間の間隔は、300μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の化学処理用カートリッジ。
- 前記ドット状の接着部は、粒子の通過を阻止するトラップとして機能することを特徴とする請求項1または2に記載の化学処理用カートリッジ。
- 互いに接着された2枚の板状部材を備えるとともに、前記内容物が移動される内部空間は前記2枚の板状部材の非接着領域により形成され、前記非接着領域の内部には、前記2枚の板状部材が互いに接着されることで形成された複数のドット状の接着部が設けられ、外部から与えられた力による変形により内容物を移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジの製造方法であって、
前記2枚の板状部材は、前記板状部材に対するプラズマ処理を施すステップと、
前記プラズマ処理後に、前記2枚の板状部材を張り合わせるステップと、
を備え、
前記非接着領域の内部に形成される前記ドット状の接着部は、前記プラズマ処理を施すステップにおいて前記2枚の板状部材の接着パターンに対応したマスクを使用して形成されることを特徴とする化学処理用カートリッジの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010114061A JP2011242234A (ja) | 2010-05-18 | 2010-05-18 | 化学処理用カートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010114061A JP2011242234A (ja) | 2010-05-18 | 2010-05-18 | 化学処理用カートリッジ |
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JP2011242234A true JP2011242234A (ja) | 2011-12-01 |
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JP2010114061A Pending JP2011242234A (ja) | 2010-05-18 | 2010-05-18 | 化学処理用カートリッジ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013140846A1 (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-26 | 日本電気株式会社 | 対象物質分析チップ |
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2010
- 2010-05-18 JP JP2010114061A patent/JP2011242234A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013140846A1 (ja) * | 2012-03-21 | 2013-09-26 | 日本電気株式会社 | 対象物質分析チップ |
JPWO2013140846A1 (ja) * | 2012-03-21 | 2015-08-03 | 日本電気株式会社 | 対象物質分析チップ |
US9885077B2 (en) | 2012-03-21 | 2018-02-06 | Nec Corporation | Chip for analysis of target substance |
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