JP2011241425A - 被削性及び制振性に優れた鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳造時のノズル詰まりを抑制でき、生産性に優れ、被削性及び制振性に優れた鋼材を提供する。
【解決手段】質量%又は質量ppmで、C:0.4〜1.2%、Si:0.5%超3.0%以下、Mn:0.05〜0.5%、Al:0.2〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.007〜0.2%、Ca:5〜100ppm、N:0.0015〜0.030%、O:0.003%以下を含有し、且つ、CaとAlの含有量が次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}を満たす範囲とされ、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼組織がフェライト組織及び黒鉛を含み、且つ、黒鉛化率が80%超である。
【選択図】なし

Description

本発明は、被削性及び制振性に優れた鋼材に関するものであり、特に、自動車や産業用機械等の部品に用いられる、被削性及び制振性に優れた鋼材に関する。
近年、自動車や産業用機械等の部品、例えば、自動車の足回り部品や歯車等のような切削加工部品に用いられる鋼材に対し、より一層の被削性及び制振性の向上が求められている。
ここで、上述のような切削部品に用いられる鋼材としては、Pb(鉛)を添加することで被削性を向上させた鋼が快削鋼として利用されている。しかしながら、Pbは有害物質であることから、近年、極力使用しないことが求められている。Pbを添加しない快削鋼としては、Sを添加した硫黄快削鋼が利用されているが、硫黄快削鋼中に存在するMnSは鋼の靭性を劣化させるという欠点がある。ここで、黒鉛鋼は、Pbを添加する必要がないため、人体への健康被害はないこと、また、硫黄快削鋼のように鋼材の靭性を劣化させることがない等の点で優れている。さらに、鋼中の黒鉛により、鉛快削鋼や硫黄快削鋼では全く得られることの無い制振性を有するという特徴があるため、黒鉛鋼については、従来から多くの研究がなされてきた。
ここで、特許文献1には、主な元素として、C:0.1 〜1.2%、Si:0.5〜3.0%、Mn:0.1〜1.5%の範囲で含有し、鋼中の黒鉛粒を平均粒径0.1〜10μm、最大径20μm以下に制御することで制振性(特許文献1中においては、騒音を軽減する性能と記載)の優れた黒鉛鋼からなる鋼部品が開示されている。
また、特許文献2には、主な元素として、C:0.1 〜2.0%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%の範囲で含有し、さらにS:0.1〜0.7%、Mg:0.0001〜0.009%を含有することで、短時間の熱処理で軟質化する黒鉛快削鋼が開示されている。
また、特許文献3には、主な元素として、C:0.8%超〜2.0%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%の範囲で含有し、さらにS:0.05〜0.5%、Zr:0.0005〜0.005%を含有することで、優れた被削性、即ち、工具寿命と切削面粗さを両立できるという効果が得られる黒鉛快削鋼が開示されている。
一方、Pbを添加しないことから人体への健康被害がなく、さらに、Sを多量に添加しないため鋼の靭性が劣化しない快削鋼としては、Alを0.1%超0.3%以下で添加した鋼が、特許文献4に開示されている。ここで、一般に、特許文献1〜3等に記載のような黒鉛快削鋼は、炭素を含有した鋼を熱処理することによってしか得られないため、製造に時間を要するというデメリットもあるが、特許文献4に記載の鋼は、被削性を得るための熱処理を必要としないというメリットがある。
特開2009−228049号公報 特開2003−34841号公報 特開2003−239038号公報 特開2008−13788号公報
しかしながら、本発明者等が鋭意検討した結果、従来開発されてきた技術には、以下のような問題があることが明らかとなった。
まず、特許文献1に記載の技術は、制振性の優れた黒鉛快削鋼であることには相違ないものの、自動車業界をはじめとする産業界からのニーズに対し、被削性、とりわけ工具寿命と切削後の鋼材表面粗さが要求を満たしておらず、一層の向上が必要である。
また、特許文献2に記載の技術は、長時間熱処理しないと被削性が得られないという黒鉛鋼の欠点については改善されている。しかしながら、特許文献2に記載の鋼は、鋼を短時間で軟質化(黒鉛化)させるために、SとMgの添加を必要とする。実際に、特許文献2の実施例には、S量が0.2%超で添加された発明例が多数開示されている。この点について、本発明者等が鋭意研究した結果、このような多量のSの添加は、鋼の靭性が低下し、産業機械や自動車の部品への適用が限定されてしまうという問題が生じる。
また、特許文献3に記載の技術は、工具寿命が向上し、切削後の鋼材表面粗さが改善されているものの、これは、Sの添加によるところが大きく、実際に、特許文献3の実施例には、S量が0.2%超で添加された発明例が多数開示されている。このため、上述した特許文献2の場合と同様、多量のSの添加によって鋼の靭性が低下し、産業機械や自動車の部品への適用が限定されてしまうという問題が生じる。
また、特許文献4に記載の技術は、Pbを添加しないために人体への健康被害が無く、また、Sを多量に添加しないため、靭性等の機械的特性が劣化しない優れた快削鋼と言えるものの、被削性の性能、例えば、詳細を後述する工具寿命で比較した場合、黒鉛鋼よりも劣位となる。さらに、特許文献4に記載の快削鋼は、制振性に関しては通常の鋼材と何ら変わらないという欠点がある。従って、本発明が課題とする、優れた被削性と制振性のうちの片方の特性しか満足できないという問題がある。
また、特許文献4に記載の鋼のように、被削性の向上や黒鉛化促進を目的としてAlを添加した場合、Al系酸化物が生成されることで、鋳造時に、鋳造装置に備えられるノズルに詰まりが生じることが懸念されるという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、制振性を有する黒鉛快削鋼の被削性をさらに向上させるとともに、長時間の熱処理、即ち、黒鉛化の長時間焼鈍を行うことなく、また、鋳造時のノズル詰まり等を生じることなく生産性に優れ、被削性及び制振性に優れた鋼材を提供することを目的とする。
本発明者等は、短時間の熱処理で、且つ、鋳造時のノズル詰まり等を生じることなく被削性及び制振性の優れた鋼材を製造するため、鋭意研究を行った。この結果、特に、黒鉛鋼にAlを多めに添加することで被削性をさらに向上させた場合に、Caを添加してAl系酸化物の低融点化を行うことで、鋳造装置のノズル詰まりが抑制できることを見出した。また、Ca系酸化物は黒鉛の核になるので、黒鉛化促進の効果がより一層顕著になることを見出した。さらに、黒鉛化焼鈍後の鋼の組織におけるフェライト組織と、黒鉛の組織における黒鉛組織の割合を適正にすることで、優れた被削性と制振性が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 質量%で、C:0.4〜1.2%、Si:0.5%超3.0%以下、Mn:0.05〜0.5%、Al:0.2〜1.0%、P:0.02%以下、S:0.007〜0.2%、Ca:5〜100ppm、N:0.0015〜0.030%、O:0.003%以下を含有し、且つ、CaとAlの含有量が次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}を満たす範囲とされ、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、鋼組織がフェライト組織及び黒鉛を含み、且つ、黒鉛化率が80%超であることを特徴とする、被削性及び制振性に優れた鋼材。
[2] さらに、質量%で、Cr:0.3%以下、Mo:0.2%以下、W:0.2%以下の内の1種あるいは2種以上を含有することを特徴とする、上記[1]に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
[3] さらに、質量%で、V:0.1%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、の内の1種あるいは2種以上を含有することを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
[4] さらに、質量%で、Ni:0.1〜3.0%を含有することを特徴とする、上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
[5] さらに、質量%で、B:0.0003〜0.01%を含有することを特徴とする、上記[1]〜[4]の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
[6] さらに、質量%で、Mg:0.0001〜0.01%を含有することを特徴とする、上記[1]〜[5]の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
[7] さらに、質量ppmで、Zr:5〜80ppm以下を含有することを特徴とする、上記[1]〜[6]の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
本発明の被削性及び制振性に優れた鋼材によれば、上記構成の如く、母材の成分組成を適正範囲としたうえで、鋼組織中における黒鉛の割合を適正に制御することにより、鋳造時のノズル詰まり等の発生等が無く生産性に優れるとともに、優れた被削性を備え、さらに、制振性をも兼ね備えた鋼材が実現できる。
従って、自動車や産業用機械等の部品に用いる鋼材に本発明を適用することで、部品から発生する騒音の低減の他、生産性の向上や切削工具の長寿命化等のメリットが得られるので、その社会的貢献は計り知れない。
本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材の一例を説明する模式図であり、実施例において、プランジ切削法によって被削性を評価する際の切削方法を示す概略図である。 本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材の一例を説明する模式図であり、実施例において、鋳造装置のノズルに対する付着厚みに及ぼすCa/Alの影響を示すグラフである。 本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材の一例を説明する模式図であり、実施例において、被削性を評価する際のドリル寿命VL1000に及ぼすCa/Alの影響を示すグラフである。 本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材の一例を説明する模式図であり、実施例において、プランジ切削法によって被削性を評価する際の切削面粗さに及ぼすCa/Alの影響を示すグラフである。
以下、本発明の被削性及び制振性に優れた鋼材の実施形態について説明する。なお、この実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
『鋼成分(母材の成分組成)』
まず、本発明を実施するにあたって規定した必須元素の成分範囲の限定理由について説明する。なお、以下の説明において、各元素の添加量は全て「質量%」で表す。
「C:炭素」0.4〜1.2%
Cは、固溶硬化能の強い元素であり、また析出硬化能も強いため、鋼に強度をもたらす最も基本的な元素である。また、鋼の焼入れ処理及び焼戻し処理を行った場合には、マルテンサイト組織の強度を高める元素である。また、Cは、鋼組織中において黒鉛として析出し、被削性及び制振性を向上させるために必須の元素である。
しかしながら、Cの含有量が0.4%未満だと、鋼材の強度が低下するとともに、黒鉛の析出量が不十分となり、被削性及び制振性の向上効果が得られなくなる。また、Cの含有量が1.2%を超えると、熱間圧延時の加工性が低下するため、その含有量を0.4〜1.2%の範囲とした。
「Si:ケイ素」0.5%超3.0%以下
Siは、母材中のCとの結合力が小さく、鋼組織における黒鉛化処理を促進する有力な元素の一つであるとともに、強度を向上させる効果がある。本発明においては、短時間の焼鈍処理によって鋼組織中に十分な黒鉛を析出させるためには、Siの含有量を適正範囲に制御することが必要であることから、その下限値は0.5%である。但し、Siの含有量が増大すると、フェライト相が固溶硬化し、切削工具の寿命が短くなるため、その上限値を3.0%とした。
「Al:アルミニウム」0.2〜1.0%
Alは、Oと結合して酸化物を形成する脱酸元素として添加され、また、黒鉛化を促進する作用があり、また、固溶Alを十分に確保することで、被削性を向上させることができる。さらに、AlはNと結合して窒化物(AlN)を形成し、このAlNの作用により、結晶粒を細粒化させ、鋼の靭性を向上させる効果がある。
しかしながら、Alの含有量が0.2%未満では上述のような黒鉛化処理を促進する効果が得られない。また、Alの含有量が0.2%未満では、黒鉛鋼の場合の被削性を向上させる効果も小さい。一方、Alが1.0%を超えると、熱間圧延時に鋼材割れが発生する。また、焼入れ処理を行う場合には、十分な量のマルテンサイト組織が得られず、強度が低下することから、Alの含有量を0.2〜1.0%の範囲とした。
「Mn:マンガン」Mn:0.05%超0.5%以下
Mnは、と結合してMnSを形成し、Sに因る熱間脆性を防止する効果がある。しかしながら、Mnは、0.05%以下の添加量では、上述のような熱間脆性を防止する効果が得られない。従って、Mnの下限値を0.05%とする。一方、Mn量が大きくなると、黒鉛化を著しく阻害するので、Mnの上限値は0.5%とした。
「P:リン」P:0.02%以下
Pは、鋼材中で粒界偏析や中心偏析を起こし、靭性劣化の原因となるので含有量が少ないことが望ましいが、被削性の観点からは、切削面の粗さを改善するため、表面粗さを必要とする鋼材の場合には少量を添加する。しかしながら、Pの含有量が0.02%を超えると、上記問題が顕著となるので、その上限を0.02%以下に規定した。
「S:硫黄」S:0.007〜0.2%
Sは、Mnの他、Mg等の合金元素と反応して硫化物として存在する。これらの硫化物は、黒鉛の核生成サイトとして機能するとともに、潤滑性を向上させて切削面粗さを改善するので、優れた被削性が得られる。但し、Sの含有量が0.007%未満では十分な量の硫化物が確保できず、上記効果が得られ難くなる。また、Sの含有量が多過ぎると、鋼の靱性が劣化するだけでなく、冷間及び熱間延性を劣化させることから、冷間加工時に割れが発生したり、熱間での圧延や鍛造時に割れが発生するため、その上限を0.2%とした。
「Ca:カルシウム」5ppm〜100ppm
Caは、酸化物や硫化物の生成により、黒鉛の核生成サイトとなる効果を有する。また、Caは、Ca−Alの複合酸化物を形成することでAl系酸化物の低融点化を行い、Al系酸化物による鋳造装置のノズル詰まりを抑制するため、添加することが必要である。しかしながら、Caの過剰添加は、コストの増加を招く他、CaS生成量増加により、逆にノズル詰まりの原因となる。このため、本発明では、Caの添加量の下限を5ppm、上限を100ppmとし、さらに、CaとAlの含有量の関係が、0.0005≦Ca/Al≦0.01を満足する範囲とした。また、Caの添加量は、より好ましくは50ppm以下であり、最も好ましくは30ppm以下である。
「N:窒素」0.0015〜0.030%
Nは、AlやTiと結合してAlNやTiN等の窒化物を形成し、結晶粒の細粒化に有効であり、鋼の靱性を向上させる効果がある。Nの含有量が0.0015%未満では上記効果が得られ難く、また、0.030%を超えて添加しても、その効果が飽和するばかりでなく、Alと反応して固溶Al量を下げることで、黒鉛化を著しく阻害する。従って、Nの含有量は、0.0015〜0.030%の範囲とした。
「O:酸素」0.003%以下
Oは、他の元素と結合して酸化物を形成し、加工性を低下させるおそれがあることから、含有量を抑える必要がある。Oの含有量が0.003%を超えると、上記傾向が顕著となることから、Oの含有量の上限をこの数値に規定した。
本発明においては、上記必須元素に加え、さらに、以下に説明するような元素を選択的に添加することができる。具体的には、質量%又は質量ppmで、Cr:0.3%以下、Mo:0.2%以下、W:0.2%以下の内の1種あるいは2種以上をさらに含有する成分組成とすることができる。また、V:0.1%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、の内の1種あるいは2種以上をさらに含有する成分組成とすることができる。また、Ni:0.1〜3.0%を選択元素としてさらに含有することができる。また、B:0.0003〜0.01%を選択元素としてさらに含有することができる。また、Mg:0.0001〜0.01%を選択元素としてさらに含有することができる。また、Zr:5〜80ppm以下を選択元素としてさらに含有することができる。
以下、本発明における選択成分元素の添加範囲の限定理由につい説明する。
「Ni:ニッケル」0.1〜3.0%、
Niは、セメンタイトを不安定化させ、黒鉛化処理を促進するとともに、焼入性を高め、強度を確保するのに効果的な元素である。Niの含有量が0.1%未満では、上記効果が不十分であり、また、3%を超えてNiを添加しても、その効果は飽和するとともに、経済的に極めて不利となる。従って、Niの含有量は、0.1〜3.0%の範囲に規定した。
「B:ボロン」0.0003〜0.01%
Bは、焼入れ性を向上させて鋼材を高強度化する効果がある。また、Bは、Nと結合することで黒鉛の核生成サイトであるBNを生成し、黒鉛化処理を促進するとともに、析出する黒鉛を微細化する。このような効果を得るためには、Bを0.0003%以上で添加する必要がある。但し、Bが0.01%を超えて過剰に添加されると、黒鉛組織が微細化し過ぎるため、鋼材の被削性が低下するおそれがあり、また、粒界にB化合物が析出することで靱性を低下させる。従って、Bの含有量は0.0003〜0.01%の範囲であることが好ましい。
「Mg:マグネシウム」0.0001〜0.01%
Mgは、Oと結合して、酸化物であるMgOやMgAlを形成し、これらは単独あるいは硫化物との複合介在物を生成する。このようなMg系介在物は、ピンニング粒子としての効果や、黒鉛もしくはBNの核生成サイトとなり、黒鉛の均一分散に効果に作用する。Mgの含有量が0.0001%未満では効果が少なく、また、0.01%以上で含有させると製鋼コストが増加する。
また、本発明に係る鋼材は、鋼を切削して部品形状とした後、高周波焼入れして部品とする場合がある。Mgの添加は黒鉛粒の微細化に効果があり、例え黒鉛化率が同じ場合であっても、微細分散している方が高周波焼入れ等の性能に優れる。即ち、高周波焼入れのように、短時間加熱による硬化処理において均一な表面硬化層を形成させるためには、黒鉛が鋼中に短時間で固溶、拡散しなければならない。そのため、短い拡散距離で、表面一帯に均一にCを拡散できるように黒鉛を微細分散させることが非常に有効であり、この点でMgは非常に有効な元素である。しかしながら、上記同様、Mgの含有量が少な過ぎると黒鉛の微細化効果が得られず、また、含有量が多過ぎると黒鉛が微細化し過ぎるため、鋼材の被削性が低下するおそれがあることから、その含有量を0.0001〜0.01%の範囲に規定した。
「Cr:クロム」0.3%以下
「Mo:モリブデン」0.2%以下
「W:タングステン」0.2%以下
Crは、鋼材の焼入れ性を確保し、強度向上に寄与する元素である。一方、Crの含有量が多過ぎると、黒鉛化処理を著しく阻害するおそれがあるため、その上限を0.3%に規定した。
また、Moは、Crと同様、鋼材の焼入れ性を確保し、強度向上に寄与する元素である。一方、Moの含有量が多過ぎると、フェライト組織の硬さが上昇し、冷間加工性が損なわれるとともに黒鉛化処理を阻害することから、その上限を0.2%に規定した。
また、Wは、Cr及びMoと同様、鋼材の焼入れ性を確保し、強度向上に寄与する元素である一方、過剰に添加すると、変態終了時間が長くなって生産性が低下するとともに、黒鉛化処理を阻害することから、その上限値を0.2%に規定した。
「V:バナジウム」0.1%以下
「Nb:ニオブ」0.05%以下
「Ti:チタン」0.05%以下
V、Nb、Tiは、C又はNと結合して炭化物や窒化物を形成し、ピンニング粒子として機能することでオーステナイト粒の成長を抑制し、破壊靭性値を向上させる効果を有し、さらに、黒鉛の核生成サイトとして作用する。しかしながら、V、Nb、Tiの含有量が多過ぎると、連続焼鈍等を行う場合に、フェライトの再結晶を大幅に遅延させることから、焼鈍後に未再結晶フェライトが残りやすく、大幅な延性低下をもたらすとともに、被削性及び靱性も低下するため、その上限を、V:0.1%以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下に規定した。
「Zr:ジルコニウム」5〜80ppm以下
Zrは、黒鉛の核生成サイトであるZr酸化物や、MnS等の硫化物を微細分散化させる作用がある。これらの酸化物や硫化物は、黒鉛の析出サイトとして有効に機能し、黒鉛の微細分散化及び短時間黒鉛化に有効である。但し、ただし、Zrの添加量が5ppm未満では上記効果が認められず、また、80ppmを超えて添加すると、粗大で硬質な(Zr、X)Sや(Xは、Mn等の硫化物を生成する合金元素を意味する)、Zr(CN)を形成し、Zrによる酸化物の微細化効果が減少するだけでなく、破壊特性を劣化させる。従って、被削性の観点からも、Zrの含有量を5〜80ppm以下の範囲に規定する。
『鋼組織』
本発明に係る鋼材は、上述のように、鋼組織がフェライト組織及び黒鉛を含み、且つ、黒鉛化率が80%超として構成されている。
一般に、炭素を含有する鋼材を黒鉛化処理する場合には、熱処理を施すことで鋼組織中のセメンタイト組織を黒鉛化する。また、このような黒鉛化処理を促進する元素として、AlやSi等を母材に添加することで、セメンタイト組織が効果的に黒鉛化し、また、処理時間が短くなるので、焼鈍等の熱処理時間を短縮でき、生産性が向上する。このような、黒鉛化処理された鋼材は、切削加工して各種部品を製造する際の被削性に優れたものとなる。また、このような鋼材を用いた部品は、優れた制振性を示すものとなる。
また、上述の如く、母材にAlを添加した場合には、鋼材を加工する際の被削性がより向上するので、製品品質や、鋼部品を製造する際の生産性がさらに向上するという効果が得られる。
上述のような、被削性及び制振性向上の効果を得るためには、鋼組織中において黒鉛の占める割合、即ち、黒鉛化率が80%超であることが必要である。鋼組織における黒鉛の割合が、例えば、面積率で80%を超えた状態であれば、上記した被削性及び制振性向上の効果が安定して得られる。鋼組織中における黒鉛化率が80%以下だと、上記効果が安定して得られない。
上述のように、本発明においては、特に、母材の成分組成におけるAl及びCaの含有量を厳密に制御することにより、鋼組織を適正に制御することが可能となる。即ち、鋼組織を、フェライト組織及び黒鉛を含み、且つ、黒鉛化率が80%超となるように制御することで、鋼材の被削性及び制振性を向上させることが可能となる。
また、上述したように、本発明においては、Caの含有量を上記範囲とした上で、さらに、CaとAlの含有量を次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}を満たす範囲に規定している。これにより、Al添加による被削性向上及び黒鉛化促進の効果を確保しながら、Ca添加による黒鉛化処理の促進及びAl系酸化物の低融点化の効果が顕著に得られるので、鋳造時のノズル詰まり等が抑制され、生産性に優れるとともに、被削性及び制振性に優れた鋼材が得られる。
ここで、本発明において説明する被削性とは、鋼材を切削加工するときの削られやすさを示し、例えば、切削抵抗や工具の寿命、切削仕上げ面の程度等の他、切削屑の形状と処理の難易さ等の特性によって表される。
また、本発明で説明する制振性とは、振動エネルギーを熱エネルギーに代えることによって、振動の大きさを減衰させる特性を表すものであり、従来から主流であった、剛性変更や振動絶縁による防振性とは異なる指標である。このような制振性を高めることで、振動を可能な限り抑制し、本発明に係る鋼材を用いて製造された各種部品が使用される環境を良好に維持することが可能となる。
なお、本発明の鋼材の鋼組織は、例えば、鋼材を切断、研磨後、その研磨面を光学顕微鏡等によって観察することにより、その組織の面積率やサイズ等を調べることが可能である。
『製造方法』
以下に、上記した本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材を製造する方法の一例について説明する。本実施形態では、上記した構成の鋼材を製造するにあたり、以下の手順及び条件で製造することが可能であるが、本発明の鋼材を製造する方法は、以下に説明する方法に限定されるものではなく、本発明の構成を実現できる方法であれば、如何なる方法を採用することも可能である。
上記した構成の被削性及び制振性に優れた鋼材を製造するにあたっては、まず、上述した成分組成を有する鋼塊を鋳造する。ここで、熱間圧延に供する鋼塊の製造方法は、特に限定されるものではなく、連続鋳造等で製造したものを適宜用いることができる。また、本発明の製造方法は、鋳造後、直ちに熱間圧延を行う連続鋳造−直接圧延(CC−DR)プロセスにも適合できる。
次いで、圧延の完了した鋼材を、オンライン水冷及び空冷法によって冷却する。この際、オンライン水冷では、マルテンサイト及びベイナイトもしくはその混合組織を主体とした組織が、空冷ではフェライト・パーライトもしくはパーライトを主体とした組織が析出する。
次いで、例えば、上記成分組成を有する鋼材を、500〜740℃の温度に再加熱して保持することで黒鉛化焼鈍を施すことにより、鋼組織中のCを黒鉛化する。この際、熱処理条件(黒鉛化焼鈍条件)を適宜調整することにより、鋼組織を、フェライト組織及び黒鉛を含む組織としながら、黒鉛化率を80%超に制御する。この際、黒鉛化率を80%超とするためには、上記の再加熱温度を500〜740℃の範囲とすることが必要である。この再加熱温度が500℃未満か、又は、740℃を超えると、黒鉛化処理の効率が低下して処理時間が長くなり、生産性が低下する。また、再加熱を行う際の保持時間としては、5〜10hの範囲とすることが好ましい。再加熱の際の保持時間が5h未満だと、組織中に十分な量の黒鉛を析出できないおそれがあり、また、10hを超える保持時間だと、生産性が低下する。
以上説明したような本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材によれば、上記構成の如く、母材の成分組成を適正範囲としたうえで、鋼組織中における黒鉛の割合を適正に制御することにより、鋳造時のノズル詰まり等の発生を抑制でき、生産性に優れるとともに、優れた被削性を備え、さらに、制振性をも兼ね備えた鋼材が実現できる。従って、自動車や産業用機械等の部品に用いる鋼材に本発明を適用することで、部品から発生する騒音の低減の他、生産性の向上や切削工具の長寿命化等のメリットが得られるので、その社会的貢献は計り知れない。
以下、本発明に係る被削性及び制振性に優れた鋼材の実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例に限定されるものではなく、前、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例]
実施例では、まず、製鋼工程において溶鋼の脱酸・脱硫と化学成分を制御することにより、下記表1に示す成分組成の鋼塊を得た。その後、得られた鋼塊に熱間圧延を施すことにより、φ50mmの鋼材を作成した。
実施例では、圧延後の冷却方法としては、オンライン水冷及び空冷の2種類にて行っており、下記表1に併せて示した。ここで、オンライン水冷では、マルテンサイト及びベイナイトもしくはその混合組織を主体とした組織が、空冷ではフェライト・パーライトもしくはパーライトを主体とした組織が焼鈍前組織となる。
Figure 2011241425
Figure 2011241425
次に、熱間圧延及び圧延後の冷却を終えた鋼材を680℃の温度に再加熱して、表2に示す時間(黒鉛化焼鈍時間)で保持して焼鈍を施し、鋼組織の黒鉛化処理を行うことにより、本発明例及び比較例の試験片を製造した。
次に、上記手順及び条件で製造した試験片について、以下のような評価試験を行った。
まず、ノズル詰まりの評価については、100kgの大気溶解炉にて表1に示す成分の鋼を溶解し、AG質(Al−C)の耐火物試験片(φ50mm×L100mm)を浸漬して100rpmにて回転させ、30分後の耐火物試験片表面における介在物及びメタルの付着層厚さにて評価した。この付着(介在物及びメタルの付着)層厚さは、耐火物試験片を長さ中央で切断し、樹脂に埋め込み、切断面を研磨し、光学顕微鏡で観察することによって測定した。また、この実験では、炉上部よりArガスを20L/minで吹き込み、雰囲気中の酸素濃度を0.1%以下に制御した。また、溶鋼の温度は1570℃程度で保持した。
また、黒鉛化率については、以下のような方法で測定した。
まず、黒鉛化焼鈍した鋼材を切断して研磨し、総視野0.4mmの範囲内を光学顕微鏡で観察して、平均黒鉛粒径と黒鉛の粒子数を測定した。そして、この測定によって得られた平均黒鉛粒径と黒鉛の粒子数、さらに黒鉛の密度から、鋼材中の黒鉛含有量を計算し、下記(1)式で定義される黒鉛化率を計算した。
黒鉛化率(%)=(鋼材中の黒鉛含有量/鋼材の炭素含有量)×100 ・・・(1)
また、冷間鍛造性の指標である焼鈍後硬さは、上記黒鉛化率を求めるのに用いたものと同じサンプルにおける中心部を荷重10kgの条件で、ビッカース硬さ計によって3点測定した平均値にて評価した。
また、被削性の評価については、黒鉛化焼鈍を施した鋼材から、被削性評価用サンプルを作製し、このサンプルを用いて、ドリル寿命(VL1000)及び切削面粗さ(Rz)で評価した。
ここで、ドリル寿命を示す指標VL1000とは、累積穴深さ1000mmまで穿孔可能な最大のドリル周速のことであり、この値が大きいほど高速で切削加工を行うことが可能であり、被削性に優れることを意味する。本実施例においては、ドリルとしてφ5mmのストレートドリルを用い、送り0.25mm/revにて、水溶性切削油を用いてドリル周速を変化させ、ドリル折損までの累積穴深さを測定し、この数値を基にVL1000を求め、結果を表2に記載した。なお、この際の切削油としては、市販の水溶性のものを用いた。
また、切削面粗さは、図1の模式図に示すようなプランジ切削方法によって被削性評価用サンプルを切削した際の切削表面を、蝕針式粗さ計を用いて測定し、JIS B0601に準拠した十点平均粗さRzで評価した。この際の切削条件は、図1に示すような切削工具1を用い、切削速度80m/min、工具送り0.05mm/revで、2.5secの時間で切削した後、工具を引き抜いて6secの時間で空転させる操作を1サイクルとする条件とした。そして、この条件下において、切削によって鋼材表面に順次創成される溝について、その100サイクル目の溝底における切削面2の切削表面粗さを測定した。この切削面粗さとしては、プランジ切削用高速度工具:SKH57を用いて、切削速度80m/min、送り0.05m/revで、表面粗さRzを評価し、結果を表2に記載した。
また、制振性については、振動の対数減衰率によって評価した。具体的には、まず、機械加工により、幅30mm、長さ300mm、厚さ5mmの板状に加工した試験片の片面中央部に歪ゲージを粘着した。さらに、試験片の長手方向の両端から67mm離れた2箇所を糸で固定し、試験片が水平になり、且つ、歪ゲージが下側になるように、2本の糸で試験片を吊り下げた状態に保持した。次いで、その状態にて、φ10mmの鋼球を、試験片より50mm上方から、ガイドを用いて試験片の中央部に落下させた。そして、落下後の試験片の振動を、試験片下面に粘着した歪ゲージにて検出し、対数減衰率を測定した。
さらに、実施例1においては、各サンプルの黒鉛化性能差を顕著な状態として評価するため、黒鉛化率が80%に到達する際の所要焼鈍時間と、この際の平均黒鉛粒径を測定した。なお、所要焼鈍時間は、温度680℃にて黒鉛化率が80%に達する保持時間と定義した。また、平均黒鉛粒径は総視野0.4mmの光顕組織より求めた。
[評価結果]
表1、2及び図2〜3のグラフに、本実施例における製造条件と評価結果の一覧を示している。ここで、図2は、鋳造時のノズル詰まりを評価したもので、付着層厚さに及ぼすCa/Alの影響を示すグラフであり、図3は、ドリル寿命VL1000に及ぼすCa/Alの影響を示すグラフであり、図4は、プランジ切削法によって被削性を評価する際の切削面粗さに及ぼすCa/Alの影響を示すグラフである。
表1、2に示すように、本発明で規定する成分組成を有し、また、本発明で規定する鋼組織とされた本発明例(試験No.1〜25)は、何れも、鋼組織がフェライト組織及び80%超の黒鉛を含む鋼材であった。
また、図2のグラフに示すように、本発明例においては、耐火物に付着した介在物及びメタルの厚みは1mm以下と優れた特性を示し、鋳造時のノズル詰まり抑制の効果に関して、優れた特性を有することが明らかとなった。
また、図3、4のグラフにも示すように、本発明例は、被削性を示す指標であるドリル寿命(VL1000)が150m/min以上で、切削面粗さ(Rz)が30.0μm以下であった。またさらに、本発明例では、制振性を示す指標である振動の対数減衰率が0.010以上であった。これらの評価結果より、本発明例の鋼板は、優れた被削性を備え、さらに、制振性をも兼ね備えていることが確認できた。
なお、黒鉛化処理の性能については、本発明例の何れにおいても、焼鈍時間が20時間以下と優れた特性を示した。また、それらの中でも、圧延後に水冷を行なったサンプルは、さらに、黒鉛化処理が速く、ほとんどのサンプルが、5時間以内の焼鈍で黒鉛化率が80%に達した。
これに対し、比較例(試験No.26〜40))の鋼材は、本発明で規定する成分組成や鋼組織の何れかが満たされていないため、ノズル詰まり、被削性、制振性、黒鉛化率80%到達試験における所要焼鈍時間(製造性)の内の何れかの特性が劣る結果となった。
また、比較例において、試験No.26、27は、Alが本発明の規定範囲を超えるか、又は、Mnが本発明の規定範囲を下回るために、圧延時に鋼材割れが発生し、製造性に問題があると判断された例である。また、試験No.28は、S量が本発明の規定範囲を超えているため、圧延時に鋼材割れが発生し、製造性に問題があると判断された例である。
ここで、表2及び図2のグラフに示すように、Ca量とAl量のとの関係が次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}で表される範囲外の場合には、耐火物試験片への付着層の厚みが1mm以上となり、鋳造時のノズル詰まりが発生しやすいことが明らかとなった。
また、表2及び図3のグラフに示すように、Ca量とAl量のとの関係が次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}で表される範囲内でも、Al量やC量、Si量、S量が規定範囲外である場合には、発明鋼と比較してVL1000の値が小さかった。
また、表2及び図4のグラフに示すように、プランジ切削時の切削面粗さ(Rz)は、VL1000と同様、Ca量とAl量のとの関係が次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}で表される範囲内でも、Al量やC量、Si量、S量が規定範囲外である場合には、その特性が急激に低下した。
以上説明した実施例の結果より、本発明の鋼材が、鋳造時にノズル詰まりの発生を抑制でき、生産性に優れるとともに、優れた被削性及び制振性を備えていることが明らかである。
1…切削工具、2…切削面

Claims (7)

  1. 質量%又は質量ppmで、
    C :0.4〜1.2%、
    Si:0.5%超3.0%以下、
    Mn:0.05〜0.5%、
    Al:0.2〜1.0%、
    P :0.02%以下、
    S :0.007〜0.2%、
    Ca:5〜100ppm、
    N :0.0015〜0.030%、
    O :0.003%以下
    を含有し、且つ、CaとAlの含有量が次式{0.0005≦Ca/Al≦0.01}を満たす範囲とされ、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    鋼組織がフェライト組織及び黒鉛を含み、且つ、黒鉛化率が80%超であることを特徴とする、被削性及び制振性に優れた鋼材。
  2. さらに、質量%で、
    Cr:0.3%以下、
    Mo:0.2%以下、
    W :0.2%以下
    の内の1種あるいは2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
  3. さらに、質量%で、
    V :0.1%以下、
    Nb:0.05%以下、
    Ti:0.05%以下、
    の内の1種あるいは2種以上を含有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
  4. さらに、質量%で、
    Ni:0.1〜3.0%
    を含有することを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
  5. さらに、質量%で、
    B :0.0003〜0.01%
    を含有することを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
  6. さらに、質量%で、
    Mg:0.0001〜0.01%
    を含有することを特徴とする、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
  7. さらに、質量ppmで、
    Zr:5〜80ppm以下
    を含有することを特徴とする、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の被削性及び制振性に優れた鋼材。
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