JP2011239748A - 獣類忌避柵 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工作業が容易で、草木類を経由した漏電に起因する獣類忌避機能の低下を回避することができる獣類忌避柵を提供する。
【解決手段】獣類忌避柵20は、土質材、セメント系固化剤、団粒化剤及び水の混練物を地盤16上に打設し固化させて形成された防草層17と、防草層17に所定間隔ごとに立設された複数の支柱21と、複数の支柱21の配列に沿って架線状に配線された電線22,23と、を備え、電線22,23と地面(防草層17の表面17a)との間に電圧を印可する電源装置25が設けられている。電線22,23は、各支柱21に取り付けられた複数の絶縁具24を介して支柱21に係止され、電源装置25の片方の電極25aと電線22,23とが給電線26で接続され、防草層17に打ち込まれたアース棒27と他方の電極25bとがアース線28で接続されている。
【選択図】図1
【解決手段】獣類忌避柵20は、土質材、セメント系固化剤、団粒化剤及び水の混練物を地盤16上に打設し固化させて形成された防草層17と、防草層17に所定間隔ごとに立設された複数の支柱21と、複数の支柱21の配列に沿って架線状に配線された電線22,23と、を備え、電線22,23と地面(防草層17の表面17a)との間に電圧を印可する電源装置25が設けられている。電線22,23は、各支柱21に取り付けられた複数の絶縁具24を介して支柱21に係止され、電源装置25の片方の電極25aと電線22,23とが給電線26で接続され、防草層17に打ち込まれたアース棒27と他方の電極25bとがアース線28で接続されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、山間地に生息する猪、鹿あるいは熊などの野生の獣類が農地へ侵入したり、牧場の家畜が柵外へ逃げたりするのを防止するために使用される獣類忌避柵に関する。
山間地に生息する野生の獣類が農地へ侵入するのを防止する手段としては、一般に電気柵が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1などに記載されている従来の電気柵は、所定間隔ごとに地面に立設された複数の支柱と、これらの支柱に対して架線状に配線された電線と、電線と地面との間に電圧を印加する電源装置と、を備えたものが代表的である。このような電気柵によって区画された農地へ侵入しようとした獣類が電線に触れると、獣類の身体に衝撃電流が流れるので、獣類は電気ショックを受けて農地への侵入を諦める。
しかしながら、従来の電気柵が設けられた農地などにおいて、架線状に配線された電線の下方の地面から生長した草木類の一部が電線に接触すると、草木類を通じて電線から地面に漏電が生じるので、獣類が電線に触れたときに流れる衝撃電流が弱まり、獣類忌避機能が低下するという問題がある。
そこで、このような問題を解決するため、電気柵を構成する電線の下方の地面に敷設して草木類の生長を抑制することのできる電気柵用防草シートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2記載の電気柵用防草シートを、電気柵を構成する電線の下方の地面に敷設すれば、草木類の生長が抑制されるので、草木類を経由した漏電に起因する獣類忌避機能の低下を防止することができるが、複数の支柱の配列に沿って配線された電線の配線経路と同様の平面視形状を描くように電気柵用防草シートを敷設しなければならないので、施工作業が面倒である。特に、電線の配線経路に変曲点が多い場合、施工作業に多大な手間を要する。
また、前記電気柵用防草シートは、施工後の風雨などによって周縁部分が捲れたり、獣類によって食いちぎられたりして、防草領域が狭まることがある。また、施工後、長期間にわたって太陽光線を浴びたり、気温変化を受けたりすることによってシートの材質や強度が劣化し、防草作用そのものが低下することもある。
本発明が解決しようとする課題は、施工作業が容易で、草木類を経由した漏電に起因する獣類忌避機能の低下を回避することができる獣類忌避柵を提供することにある。
本発明の獣類忌避柵は、土質材、セメント系固化剤、団粒化剤及び水の混練物を地盤上に打設し固化させて形成された防草層と、前記防草層に所定間隔ごとに立設された複数の支柱と、複数の前記支柱の配列に沿って架線状に配線された電線と、を備えたことを特徴とする。
このような構成とすれば、セメント系固化剤の作用によって固化した防草層はアスファルト舗装程度に硬いので、その表面に草木類の種子が飛来しても活着し難く、地盤中に存在する草木類種子の発芽も地盤上に形成された硬質の防草層によって遮られるので、電線下方における草木類の生長が排除される結果、草木類を経由した漏電に起因する獣類忌避機能の低下を回避することができる。
また、前記混練物を打設した直後で固化前の防草層中においては、団粒化剤に含まれるイオンの作用により土質材とセメント系固化剤の粒子とが立体的な団粒構造を形成し、この団粒構造中に連続した空隙が発生するため、固化後の防草層は透水性と保水性とをバランス良く兼備し、通気性も良好となる。従って、防草層の下方の地盤中の生物や細菌類に悪影響を及ぼすことがなく、周囲の自然環境との調和を図ることができる。
さらに、土質材、セメント系固化剤、団粒化剤及び水を混ぜ合わせた混練物を地盤上に打設して形成した防草層に複数の支柱を所定間隔ごとに立設し、これらの支柱の配列に沿って電線を架線状に配線するだけで、獣類忌避柵を形成することができるので、施工作業が容易である。また、固化後の防草層から有害物質が溶出することがなく、合成樹脂製のシートやマットなども使用しないので、周囲の土壌や獣類への悪影響もない。
ここで、前記団粒化剤が、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含むものであることが望ましい。このような団粒化剤を使用すれば、防草層中に強固な団粒構造が形成されるので、透水性と保水性とをバランス良く兼備し、通気性も良好であって、強度と耐久性に優れた防草層を形成することができる。
一方、前記防草層の表面と前記支柱の外周面との隙間を閉塞する防草部材を前記支柱に装着することもできる。このような構成とすれば、防草層内に位置する支柱の外周面と当該防草層との隙間を経由して草木類が生長してくるのを防止することができるため、草木類を経由した漏電防止に有効である。
本発明により、施工作業が容易で、草木類を経由した漏電に起因する獣類忌避機能の低下を回避することができる獣類忌避柵を提供することができる。
図1に示すように、獣類忌避柵20は、後述する土質材10、セメント系固化剤11、団粒化剤14及び水の混練物15を地盤16上に打設し固化させて形成された防草層17と、防草層17に所定間隔ごとに立設された複数の支柱21と、複数の支柱21の配列に沿って架線状に配線された電線22,23と、を備え、電線22,23と地面(防草層17の表面17a)との間に電圧を印可する電源装置25が設けられている。
電線22,23は、各支柱21に取り付けられた複数の絶縁具24を介して支柱21に係止され、電源装置25の片方の電極25aと電線22,23とが給電線26で接続され、防草層17に打ち込まれたアース棒27と他方の電極25bとがアース線28で接続されている。アース棒27は防草層17を貫通して、その先端27aが地盤16中に至る深さまで打ち込まれている。
また、防草層17内に位置する支柱21の外周面と当該防草層17との隙間を経由して草木類が生長してくるのを防止するため、防草層17の表面17aと支柱21の外周面との隙間を閉塞する略円板形状の防草部材29が各支柱21に装着されている。防草部材29の中心には、支柱21が挿通される貫通孔29aが開設され、この貫通孔29aから外周縁に向かって下り勾配をなす円錐面29bが形成されている。防草部材29の素材は限定しないが、天然ゴム、合成ゴムあるいはその他の合成樹脂など耐食性、耐候性に優れた素材で形成することが望ましい。
ここで、図2,図3に基づいて、獣類忌避柵20の施工手順について説明する。図2に示すように、土質材10及びセメント系固化剤11をミキサ12に投入して、十分に撹拌、混合する。ミキサ12はモータ13などを動力源とする撹拌混合機能を有するものを用いることができる。土質材10としては、真砂土、シラス、焼却灰あるいは当該獣類忌避柵20の施工予定現場から採取した土砂などを使用することができる。なお、土質材10の代わりに、若しくは土質材10と併せて、瓦の廃材、ガラスの廃材あるいは溶融スラグの粉砕物を使用することもできる。
土質材10とセメント系固化剤11とが均一に混合されたら、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む団粒化剤14及び水を添加し、さらに撹拌、混練することによって混練物15を形成する。なお、撹拌混合手段は限定しないので、前述したミキサ12の代わりにバックホウを用いて混合することもできる。
本実施形態において、混練物15を構成する各成分の混合比率は次の通りであるが、これに限定するものではない。
土質材10:1000kg〜1500kg
セメント系固化剤11:100kg〜200kg
団粒化剤14:1リットル〜10リットル
水:適量(混練物15の流動性や固さなどを確認しながら添加量を調整する。)
土質材10:1000kg〜1500kg
セメント系固化剤11:100kg〜200kg
団粒化剤14:1リットル〜10リットル
水:適量(混練物15の流動性や固さなどを確認しながら添加量を調整する。)
次に、図2に示す混練工程で得られた混練物15を、図3(a)に示すように、獣類忌避柵20の施工予定現場である地盤16上に打設して防草層17を形成する。この後、防草層17が固化する前に、図3(b)に示すように、防草層17の表面17aから地盤16に向かって複数の支柱21を所定間隔ごとに打ち込んでいく。この場合、複数の支柱21は防草層17を貫通して、その先端21aが地盤16中に至る深さまで打ち込むことが望ましい。また、アース棒27(図1参照)も防草層17が固化する前に打ち込むことが望ましい。なお、複数の支柱21の立設間隔は図1に示す形態に限定しないので、獣類忌避柵20の設置現場の地形状況や忌避すべき獣類の種類などに応じて任意に設定することができる。
図3(b)に示すように、支柱21は予め防草部材29を装着した状態で防草層17に打ち込まれるが、図1に示すように、防草部材29の貫通孔29aと外周縁との間に、開閉可能な切り込み29cを開設しておけば、防草層17に立設した後の支柱21に防草部材29を装着することも可能である。なお、草木類の生長防止を徹底するため、施工後、支柱21の外周面と貫通孔29aと隙間及び切り込み29cを接着剤や充填剤などで閉塞することもできる。
支柱21の打ち込みが完了した後、15時間程度養生することにより、防草層17が十分に固化したら、図3(c)に示すように、複数の支柱21の配列に沿って電線22,23を配線していく。電線22,23の配線が完了したら、図1に示すように、電源装置25の一方の電極25aと電線22,23とを給電線26で接続し、他方の電極25bとアース棒27とをアース線28で接続すると、獣類忌避柵20が完成する。
図2に示すセメント系固化剤11の作用によって固化した防草層17はアスファルト舗装程度に硬いので、その表面17aに草木類の種子が飛来しても活着し難く、地盤16中に存在する草木類種子の発芽も地盤16上に形成された硬質の防草層17によって遮られるので、電線22,23下方における草木類の生長が排除される結果、草木類を経由した漏電に起因する獣類忌避機能の低下を回避することができる。
また、図3(a)に示す混練物15を打設した直後で固化前の防草層17中においては、団粒化剤14(図2参照)に含まれるイオンの作用により土質材10とセメント系固化剤11の粒子とが立体的な団粒構造を形成し、この団粒構造中に連続した空隙が発生するため、固化後の防草層17は透水性と保水性とをバランス良く兼備し、通気性も良好となる。従って、防草層17の下方の地盤16中の生物や細菌類に悪影響を及ぼすことがなく、周囲の自然環境との調和を図ることができる。また、防草層17の保水性によりアース棒27から防草層17へのアース効果を良好に維持することができる。
さらに、土質材10、セメント系固化剤11、団粒化剤14及び水を混ぜ合わせた混練物15を地盤16上に打設して形成した防草層17に複数の支柱21を所定間隔ごとに立設し、これらの支柱21の配列に沿って電線22,23を架線状に配線するだけで、獣類忌避柵20を形成することができるので、施工作業は容易である。また、固化後の防草層17から有害物質が溶出することがなく、合成樹脂製のシートやマットなども使用しないので、周囲の土壌や獣類への悪影響もない。
一方、団粒化剤14として、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含むものを使用したことにより、前述したように、防草層17中に強固な団粒構造が形成されるので、透水性と保水性とをバランス良く兼備し、通気性が良好であり、強度と耐久性に優れた防草層17を形成することができる。
本発明の獣類忌避柵は、山間地に生息する猪、鹿あるいは熊などの野生の獣類が農地へ侵入したり、牧場の家畜が柵外へ逃げたりするのを防止する手段として広く利用することができる。
10 土質材
11 セメント系固化剤
12 ミキサ
13 モータ
14 団粒化剤
15 混練物
16 地盤
17 防草層
17a 表面
20 獣類忌避柵
21 支柱
21a,27a 先端部
22,23 電線
24 絶縁具
25 電源装置
25a,25b 電極
26 給電線
27 アース棒
28 アース線
29 防草具
29a 貫通孔
29b 円錐面
29c 切り込み
11 セメント系固化剤
12 ミキサ
13 モータ
14 団粒化剤
15 混練物
16 地盤
17 防草層
17a 表面
20 獣類忌避柵
21 支柱
21a,27a 先端部
22,23 電線
24 絶縁具
25 電源装置
25a,25b 電極
26 給電線
27 アース棒
28 アース線
29 防草具
29a 貫通孔
29b 円錐面
29c 切り込み
Claims (3)
- 土質材、セメント系固化剤、団粒化剤及び水の混練物を地盤上に打設し固化させて形成された防草層と、前記防草層に所定間隔ごとに立設された複数の支柱と、複数の前記支柱の配列に沿って架線状に配線された電線と、を備えたことを特徴とする獣類忌避柵。
- 前記団粒化剤が、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含むものであることを特徴とする請求項1記載の獣類忌避柵。
- 前記防草層の表面と前記支柱の外周面との隙間を閉塞する防草部材を前記支柱に装着したことを特徴とする請求項1または2記載の獣類忌避柵。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010116514A JP2011239748A (ja) | 2010-05-20 | 2010-05-20 | 獣類忌避柵 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010116514A JP2011239748A (ja) | 2010-05-20 | 2010-05-20 | 獣類忌避柵 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=45407071
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2010116514A Withdrawn JP2011239748A (ja) | 2010-05-20 | 2010-05-20 | 獣類忌避柵 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011239748A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014073087A (ja) * | 2012-10-03 | 2014-04-24 | Shinshu Univ | 電気牧柵 |
JP2015065326A (ja) * | 2013-09-25 | 2015-04-09 | 株式会社シーマコンサルタント | 太陽光発電設備 |
JP2017205046A (ja) * | 2016-05-18 | 2017-11-24 | デンカ株式会社 | 防草材及びそれの使用方法 |
JP2017205048A (ja) * | 2016-05-18 | 2017-11-24 | デンカ株式会社 | 防草材及びそれの使用方法 |
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CN113057158A (zh) * | 2021-04-21 | 2021-07-02 | 成都大学 | 一种用于围墙底部的防刺猬挖穿结构 |
-
2010
- 2010-05-20 JP JP2010116514A patent/JP2011239748A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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