JP2011237367A - 放射性物質除去フィルターユニット - Google Patents

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一郎 宮崎
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Abstract

【課題】
活性炭素繊維を用いた焼却型トレイ型ユニットにおいて、従来と同等程度の性能を維持し、焼却廃棄する量を低減する。
【解決手段】
フィルターユニットが繰り返し使用可能なジャケット部と、ひだ折りされたフィルターを外枠で固定した簡易フィルターとから構成され、ジャケット部と簡易フィルターは取り外しが可能であることによって簡易フィルターのみを焼却廃棄できるようにする。これにより、従来の焼却型トレイ型フィルターに比べて廃棄量を1/2以下に低減することが可能である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、医療施設や原子力施設などで発生したガス状の放射性物質を捕集除去する放射性物質除去フィルターユニットに関するものである。
従来、医療施設や原子力施設などにおいては、放射性ヨウ素などのガス状の放射性物質が排出されるため、空調施設の気体処理経路中に空気浄化装置を設置し、発生した放射性気体分の濃度を法律に規制された基準値以下に低下させた後、施設外に排出している。
近年は、原子力技術の利用の高まりから、大学の研究施設や医療施設あるいは原子力発電所などにおいて排出される放射性気体量も増加する傾向にあり、また、環境面への配慮からも、大気中に排出される放射性気体の濃度の規制が一段と厳しく設定されてきている。
このため、設置されている空気浄化装置の見直しが図られてきているが、放射性気体濃度の規制の厳格化が図られると、既設の空気浄化装置を取り替えたり改変したりしなければならないという事態が生じる。現在一般的に用いられているフィルターユニットは「トレイ型」と呼ばれる、側面の一方向の流入口から気体が流入し、流入された気体がチャコール層を介して垂直方向に流れる構造をとっている。図1にトレイ型フィルターユニットを使用した装置を掲げる。図1の装置では、施設内の放射性同位元素を含んだ気体はプレフィルター1、HEPAフィルター2を通じて上下に各々約5cm厚に調製された粒状活性炭固定床の側面の所定の開口面積を有する流入口3より流入し、固定床4を通じて放射性同位元素を吸着して上下に排気される。トレイ型ユニットは上下2層からなる活性炭固定床4を有し、これが装置のレール5に置かれて固定される。上下の固定床の間は約3cmの空間を有しており、側面の流入口から流入したガスはこの空間を通じて上下の活性炭固定床に通じる。
こうしたトレイ型フィルターユニットとしては、例えば鋼板またはSUS板からなる箱形フレーム内にガスケットを介して上下に各2枚の平行なパンチング板を設け、そのパンチング板の間に粒状活性炭を充填したものが知られている(特許文献1参照)。このようなトレイ型ユニットに用いられる粒状活性炭は、使用後においては集荷した後、次の要領で解体し、焼却処理がなされている。即ち、側面に設けられた取出口の蓋のビスを外して取り外し、トレイ型ユニットを専用の装置で傾けながら内部の活性炭を回収容器内に回収する。また新しい活性炭はこれと逆の操作で投入される。回収された活性炭は焼却炉へ定量投入して炉内で旋回しながら焼却すると共に、フレーム等は圧縮処理装置で圧縮してドラム缶に封入している。前記従来のトレイ型フィルターユニットは、充填時の重量が50kg以上あるため取り扱いにくく、また活性炭を回収容器内に移し変える際に粉塵が発生して作業環境が悪くなり、更にはフレームが鋼板またはSUS板からなるために焼却できず、解体作業が面倒であるばかりでなく、解体後に圧縮しても減容率が小さく、貯蔵するドラム缶の数量が多くなり、廃棄物貯蔵施設が手狭になるという不都合を有していた。
そのため、シート化されたチャコールフィルターを内蔵し、該シート状チャコールフィルターへの通過による放射性気体成分の捕集除去を行うことが提案されている(特許文献2参照)。また、ここではチャコールフィルターは織布状、不織布状の活性炭素繊維が用いられている。しかしながら、ここで用いられている活性炭素繊維を用いたフィルターユニットは前述のトレイ型に対応するものでないため、これをそのまま用いることができない。そこで本発明者らは、ひだ折りされたフィルターの山を流入側に向けて配置し、フィルターユニットの枠体の出口側に流出する壁面に貫通孔を設置したフィルターユニットを提案した(特許文献3参照)。また、本発明者らは、さらに高い捕集効率や寿命を得るためにフィルターユニット中に多層のフィルターを積層して充填するという要望に答えるため、一方の側面の流入口から流入した気体が、ひだ折りされたフィルターを介して流入口の流れと垂直の方向へ流出することを特徴とする放射性物質除去フィルターユニットを提案した(特許文献4参照)。
これらの活性炭素繊維を用いたトレイ型フィルターユニットは、ユニットそのものが燃焼可能な部材で構成されている。特にトレイ型ユニットは外枠や天板などに合板を使用している。合板の1台のユニット中に占める重量は、寸法や固定用のフランジの有無によって変動するが、概ね4kgであり、この合板が1年の交換周期で燃焼廃棄される。燃焼廃棄は法令で定められた機関で行われるが、フィルターは一旦粉砕機で砕いた後に一定重量の割合で焼却炉に投入される。廃棄量が少なければ、燃焼にかかる負担が軽減され、なおかつ燃焼時に排出される二酸化炭素量が軽減される。こうした背景から、フィルターユニットの材料の使用量の軽減を図ることが強く求められている。
特公昭62−44239号公報 特開2003−66191号公報 特開2006−112817号公報 特開2007−57285号公報
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、燃焼する廃棄材料の量を低減することができるトレイ型の放射性物質除去フィルターユニットを提供することにある。
本発明は、かかる目的を達成するため得られたものであり、以下の(1)〜(4)の構成を有するものである。
(1)側面の一方向の流入口から気体が流入し、流入された気体がひだ折りされたフィルターを介して垂直方向に相対する上下面の少なくとも一方の流出口から流出するように構成されるトレイ型の放射線物質除去フィルターユニットにおいて、フィルターユニットが繰り返し使用可能なジャケット部と、ひだ折りされたフィルターを外枠で固定した簡易フィルターとから構成され、簡易フィルターがジャケットから取り外し可能でかつ燃焼可能であることを特徴とする放射性物質除去フィルターユニット。
(2)ひだ折りされたフィルターが活性炭素繊維を主成分としたシートで構成され、かつセパレーターでひだとひだとの間隔が固定されていること、及び簡易フィルターがひだ折りされたフィルターの端面に接着剤を塗布して四方から外枠で固定されて構成されていることを特徴とする(1)に記載の放射性物質除去フィルターユニット。
(3)簡易フィルターに取り外し用の持ち手が設置されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の放射性物質除去フィルターユニット。
(4)簡易フィルターを構成する外枠にシール材が設置されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の放射性物質除去フィルターユニット。
本発明のフィルターユニットは、トレイ型フィルターユニットのジャケットを繰り返し使用可能な材料で構成し、燃焼廃棄する部位をフィルターとそれを囲む四方の合板から構成される簡易フィルターのみとしているので、燃焼廃棄量を極力少なくしながら、従来のトレイ型活性炭素繊維フィルターと同等の圧力損失、捕集効率や寿命を得ることができる。
従来のトレイ型フィルターユニットを使用した装置を示す。 本発明のトレイ型フィルターユニットの外観斜視図を示す。 本発明のトレイ型フィルターユニットの外観斜視図(ジャケット+簡易フィルター)を示す。 本発明のトレイ型フィルターユニットにおける簡易フィルターとジャケットとの取り付け部分を示す。 本発明のトレイ型フィルターユニットを取り付けたフィルターBOXの断面図の一部を示す。
以下、本発明の放射性物質除去フィルターユニット全体を詳細に説明する。
図2は、流入口側より本発明のフィルターユニットのフィルター開口面を見た図を示す。図2に示すように、フィルターユニットは、ひだ折りされたフィルター6とセパレーター7、ジャケットを構成する枠体8a、天板8b、フィルターをユニット内部で保持する板9から構成されている。流入口の反対側は、枠材になっていて、広い面積を有する枠材のどちらか一方が開口され、取り付けられたフィルターが露出しており、残りの面は天板である。図3は、図2のひだ折りされたフィルター6とセパレーター7を燃焼可能な簡易フィルター枠10で四方を固定された簡易フィルターがジャケットに組み込まれる様子を示す。簡易フィルターは、外枠とパッキンなどのシール材11、12を介して隙間なく組み込まれる。パッキンは、簡易フィルター枠の外側11および図4に示す枠体と外枠8a,8bおよび簡易フィルター固定部分9に作られた受け部分13に面する部分に貼付され、簡易フィルターの自重とパッキンの弾性により外枠と密着される。図5は、本発明のフィルターユニットが取り付けられたトレイ型フィルターユニット装置の断面図の一部を示す。図5に示すように、フィルターユニットは、フィルター枠と簡易フィルターを内部で保持する板9が見える側を流入口側にするようにレール状のジャケット10に取り付けられている。気体は、流入口3から、フィルターと枠材の間に保持されている空隙部(a)と、天板(8b)内壁とフィルターとの間に構成されている空隙部(d)を通って、ひだ折りされかつセパレーターにより一定の間隔を有した簡易フィルターを通過して流入口の流入方向に対して垂直の方向に排出される。
簡易フィルターの枠部分には、ジャケット部と取り外しが容易になるように持ち手14が設置されている。持ち手14は、簡易フィルターの枠と強固に接着されることが必要である。この部分を持って、ジャケットから簡易フィルターを引っ張るようにして分離するためである。
本発明のフィルターは、活性炭素繊維を主材料とするシート状のものであることが望ましい。ここで使用される活性炭素繊維は公知の方法で製造されたものでよい。フィルターの目付や厚みは、通気量や寿命などが適宜勘案されるため特に限定されるものではなく、随時設計される。また、フィルターの有機ヨウ素の除去特性を向上させるために活性炭素繊維に1種類以上の公知の薬品を添着してもよい。得られた活性炭素繊維シートは、加工しやすいように不織布などと一緒にニードルパンチなどで挟み込まれ、フィルターとなる。フィルターは、あらかじめ設定された山高tになる様にひだ折りされ、さらに山形に折られたセパレーターをひだ折りされたフィルターの間に挟んでひだとひだの間が一定間隔になるようにする。セパレーターの山高さや幅については、折り込むフィルターの面積に依存するため、特に限定されない。こうして得られたフィルターとセパレーターの構造物は、別途用意された外枠に接着剤を貼付し、構造物の端面を四方より接着、固定化し、簡易フィルターとする。簡易フィルターの枠に使用される材料は、一般的に構造的な強度に優れ、かつ燃焼可能な材料であれば特に限定されないが、燃焼性を確保するために厚み6〜15mmの合板が最も好適に用いられる。また、簡易フィルターの枠とフィルター構造物を接着させる接着剤は特に限定されるものはないが、燃焼可能な材料であることが必須であり、例えばポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアミド系の樹脂が好適に用いられる。
得られた簡易フィルターは、外枠との密着度を向上させるためにパッキンを図3に記載の位置に貼付することが好ましい。パッキンは、密着性の点である程度の弾力性を有する材料であることが必要であり、例えば発泡ゴムを使用する際はゴム硬度10〜30程度の独立気泡形態のものが好適に使用される。発泡ゴム以外ではシリコンゴム、ネオプレンゴム、フッ素系ゴムが用いられるが、燃焼可能である材料であれば特に限定されるものではない。さらに簡易フィルターの交換時のハンドリングを向上させるため、図3に示した持ち手を簡易フィルターの外枠に設置することが好ましい。具体的には、外枠のどこか1箇所以上に持ち手を貼付し、簡易フィルターが繰り返し使用可能なジャケットから取りはずせる程度の強度が必要である。この場合、パッキンとしては、高分子のフィルムや樹脂含浸された不織布といった燃焼可能で帯状のものが簡易フィルター外枠とトレイ型の外枠との密着性を得る上で好適に用いられる。
トレイ型フィルターのジャケットを構成する外枠8a、天板8b、フィルター固定板9は、繰り返し使用が可能なように強度があり、耐久性の高い材料で構成されていることが必要である。例えば、鋼板、ステンレス板、メッキ鋼板といった金属系や、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂から成形されたプラスチック板、また強化プラスチック製板の他、防虫防水加工を施した木材板も使用できる。こうした板を接合して外枠を構成する。ジャケットの内壁には簡易フィルターを設置できる幅5〜15mmのフィルター受け部分13があり、その部分に簡易フィルターが置かれるように設置する。フィルター受け部分もまた、耐久性の高い材料が用いられる。
次に実施例、比較例を用いて本発明の効果を具体的に説明する。
実施例
(簡易フィルターの作成)
公知の方法で得られた重量230g/m、厚み2.5mmの1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを14重量%含む活性炭素繊維不織布3枚とその両面に重量35g/mのポリプロピレン繊維からなる不織布をニードルパンチにより積層し、フィルターとした。この積層フィルターの厚みは9mm、重量は800g/mであった。フィルターは山高さ100mm、山数20山でひだ折り加工し、幅591mmにスリットし、ひだとひだの間に山高さ7.2mm、長さ591mm、幅90mmの紙製波型セパレーターを挿入して寸法591mm×591mm、高さ100mmのひだ折り構成物とした。また、厚み9mmの合板を609mm×105mmの板A、591mm×105mmの板Bを各2枚作成し、板Aの両端に重ねる形で板Bを立ててくぎ打ちし、コの字型の枠を作成した。コの字の内側にポリウレタン系樹脂を塗布し、先のひだ折り構成物のフィルタースリット面を接着させ、さらに反対方向からもう一枚の樹脂が塗布された板Aをスリット面に当てて接着し、609mm角の四角形の簡易フィルターを作成した。板Bと接触しているフィルターの間にはポリビニルアルコール系ホットメルト樹脂を流し込み、フィルターと板Bを接着した。簡易フィルターの枠体の断面が露出しているどちらか一方の部分に幅9mm、厚み5mmの独立発泡ネオプレンゴムパッキン(ゴム硬度25)を接着し、パッキン12とした。板Bの各外側に幅50mm、目付40g/mのポリエステルスパンボンド不織布を貼り付け、パッキン12と反対の方向に出るように接着剤で貼り付け、100mm程度はみ出した部分を残してカットし、交換用持ち手14とした。さらに巾20mm厚み3mmの独立発泡ネオプレンゴムパッキン(ゴム硬度10)を枠体外側に貼付して簡易フィルターとした。
(ジャケットの作成と簡易フィルターの組み込み)
厚み1.5mmのSUS304板を切り出し、外寸615mm×700mm、高さ155mmで外枠8aおよび天板8bを作成した。内寸612mm角の簡易フィルター設置スペースが出来るように内部支え9(612mm巾×120mm+85mmL状)を取付け、トレイ外枠部分を完成させた。簡易フィルターが設置できるように、612mm角の開口部分より105mm下がった部分に10mmのLアングルを図5の13になるように各内面に溶接し、繰り返し可能なトレイ外枠を作成した。先に作成した簡易フィルターの持ち手を持ってトレイ外枠の設置部分に注意深く入れ、フィルターユニットを完成した。このフィルターユニットは、廃棄する部分が簡易フィルターだけであるため、ユニット1台当たりの廃棄量は4.3kgであった。
比較例
厚み12mmの外枠8、6mmの天板を用意して実施例1と同様な外寸の外枠を作成した。内側に実施例1のひだ折り構成物を用意して同量の接着剤を用いて接着し、焼却可能型フィルターユニットを作成した。この場合は全量焼却であるため、ユニット1台当たりの廃棄量は9.5kgであった。
1 : プレフィルター
2 : HEPAフィルター
3 : 流入口
4 : 活性炭固定床
5 : レール
6 : フィルター
7 : セパレーター
8a: 枠体
8b: 枠体(天板)
9 : フィルター固定板
10: 簡易フィルター枠
11: 外側シール材
12: 下側シール材
13: 簡易フィルター受け部分
14: 持ち手

Claims (4)

  1. 側面の一方向の流入口から気体が流入し、流入された気体がひだ折りされたフィルターを介して垂直方向に相対する上下面の少なくとも一方の流出口から流出するように構成されるトレイ型の放射線物質除去フィルターユニットにおいて、フィルターユニットが繰り返し使用可能なジャケット部と、ひだ折りされたフィルターを外枠で固定した簡易フィルターとから構成され、簡易フィルターがジャケットから取り外し可能でかつ燃焼可能であることを特徴とする放射性物質除去フィルターユニット。
  2. ひだ折りされたフィルターが活性炭素繊維を主成分としたシートで構成され、かつセパレーターでひだとひだとの間隔が固定されていること、及び簡易フィルターがひだ折りされたフィルターの端面に接着剤を塗布して四方から外枠で固定されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質除去フィルターユニット。
  3. 簡易フィルターに取り外し用の持ち手が設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放射性物質除去フィルターユニット。
  4. 簡易フィルターを構成する外枠にシール材が設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射性物質除去フィルターユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019136635A (ja) * 2018-02-07 2019-08-22 三菱ケミカル・クリンスイ株式会社 構造体及び浄水器
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