JP2011236275A - 冷間圧延油及び冷間圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加水分解や重合などによる劣化を十分に防止できる冷間圧延油を提供すること。
【解決手段】ネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステルを全量に対して40重量%以上で含有し、該脂肪酸エステルを構成する全脂肪酸成分のうちポリエン系不飽和脂肪酸の含有量が10重量%以下であることを特徴とする冷間圧延油。
【選択図】なし
【解決手段】ネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステルを全量に対して40重量%以上で含有し、該脂肪酸エステルを構成する全脂肪酸成分のうちポリエン系不飽和脂肪酸の含有量が10重量%以下であることを特徴とする冷間圧延油。
【選択図】なし
Description
本発明は冷間圧延油、特に鋼板用冷間圧延油、および該冷間圧延油を用いた冷間圧延方法に関する。
鋼板の循環式冷間圧延では、発生する鉄粉や圧延油などがミルハウジングに付着・堆積するため、ミルハウジングが非常に汚れ易い。従って、ミルハウジングを清浄に保つには汚れの付着・堆積を防止すること、たとえ汚れが堆積したとしても、洗浄により除去できることが重要項目として考えられている。その防止方法として、圧延油の低粘度化、低流動点化あるいはカチオン分散型界面活性剤の使用が挙げられる。圧延油の低粘度化、低流動点化は、圧延油がミルハウジングに付着した場合に直ちに流されることにより、汚れの堆積を防止している。カチオン分散型界面活性剤の使用は、圧延油粒子や、鉄粉などを水中に分散させることにより、ミルハウジングへの汚れの付着を防止している。
しかしながら、上記した方法では、ミルハウジングへの汚れの付着・堆積を十分に防止することはできなかった。また汚れがミルハウジングに付着・堆積すると、洗浄によっても除去困難であった。
ここで、実機ミルハウジングに堆積する汚れを考えると、上記の鉄粉・圧延油の以外に、圧延油の劣化物、操作油などの異種油等がミルハウジングに付着・堆積することが考えられる。実機においてミルハウジングを清浄に保つには、このような元来圧延油に含まれない成分をも付着・堆積させないこと、あるいは少なくとも温水洗浄のような簡易な洗浄で除去できることが必要になる。圧延油及び鉄粉が付着しても、温水洗浄可能な程度に粘度は低いため、これらの除去は容易である。しかしながら、圧延油劣化物として生成する金属石ケンやポリマーは粘稠な物質であるため、簡単な洗浄では容易に除去することができない。更に、これらの金属石ケンやポリマーと鉄粉が混合すると、非常に強固で粘稠な物質になるため、より洗浄を難しくし、ミルハウジングの汚れが進行する。この粘稠な汚れが進行すると、その内部に水分が浸透しなくなるため、もはや温水洗浄のみならず、アルカリ洗浄剤の使用でも容易に除去することができなくなる。
本発明は、加水分解や重合などによる劣化を十分に防止できる冷間圧延油および冷間圧延方法を提供することを目的とする。
本発明は、ネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステルを全量に対して40重量%以上で含有し、該脂肪酸エステルを構成する全脂肪酸成分のうちポリエン系不飽和脂肪酸の含有量が10重量%以下であることを特徴とする冷間圧延油に関する。
本発明はまた、上記冷間圧延油を用いることを特徴とする冷間圧延方法に関する。
本発明によれば、加水分解や重合などによる冷間圧延油の劣化を十分に防止できる。そのため、長期使用時にもミルハウジングへの粘稠な汚れの付着・堆積が少なく、温水洗浄で容易に除去ができる。それらの結果、ミルハウジングを清浄に保つことができる。
(冷間圧延油)
本発明の冷間圧延油は冷間圧延に使用される一種の潤滑油であり、鋼板の表裏面に供給されて、当該面と一対のロールとの間でそれらの摩擦を低減する。このとき、本発明の冷間圧延油は加水分解や重合などによる冷間圧延油の劣化を十分に防止されるので、長期使用時においてミルハウジングへの汚れの付着・堆積を防止しながらも、冷間圧延油本来の機能を発揮する。例えば、鋼板の表裏面の光沢を確保しながらも、鋼板を薄く圧延でき、結果として、光沢、厚み精度および平坦度に優れた鋼板を提供できる。
本発明の冷間圧延油は冷間圧延に使用される一種の潤滑油であり、鋼板の表裏面に供給されて、当該面と一対のロールとの間でそれらの摩擦を低減する。このとき、本発明の冷間圧延油は加水分解や重合などによる冷間圧延油の劣化を十分に防止されるので、長期使用時においてミルハウジングへの汚れの付着・堆積を防止しながらも、冷間圧延油本来の機能を発揮する。例えば、鋼板の表裏面の光沢を確保しながらも、鋼板を薄く圧延でき、結果として、光沢、厚み精度および平坦度に優れた鋼板を提供できる。
鋼板とは、冷間圧延の分野で使用される公知の鋼板が使用可能であり、例えば、いわゆる炭素鋼(普通鋼)、合金鋼(特殊鋼)、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモルブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼等が挙げられる。
本発明の冷間圧延油はネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステル(以下、NP型エステルということがある)を含有するものである。
NP型エステルを構成するアルコール成分は、ネオペンチル型ポリオール(NP型ポリオール)であり、2以上、好ましくは3〜4のヒドロキシアルキル基と結合した第4炭素原子を含有する脂肪族ポリオール(A)、および当該脂肪族ポリオール(A)を2分子間にて水酸基同士で脱水反応させてなるエーテル体(B)からなる群から選択される脂肪族アルコールである。
脂肪族ポリオール(A)が有する第4炭素原子の数は通常、1分子あたり1個である。当該第4炭素原子に結合するヒドロキシアルキル基の炭素数は通常、1〜2であり、好ましくは1である。当該ヒドロキシアルキル基として、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられる。当該第4炭素原子に結合するヒドロキシアルキル基以外の基は通常、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のアルキル基等が挙げられ、具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。第4炭素原子に結合した2以上のヒドロキシアルキル基は同一であっても、または異なっていてもよいが、通常は同一である。第4炭素原子にヒドロキシアルキル基以外の基が2個で結合されている場合、当該基は同一であっても、または異なっていてもよいが、通常は同一である。
脂肪族ポリオール(A)の分子量は通常、80〜200、好ましくは100〜150である。
脂肪族ポリオール(A)の具体例として、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
エーテル体(B)は、上記した脂肪族ポリオール(A)を2分子間にて水酸基同士で脱水反応させてなる化合物である。
エーテル体(B)を構成する2分子の脂肪族ポリオール(A)(脱水反応前)はいずれも、通常、第4炭素原子に結合するヒドロキシアルキル基の数が3〜4であることが好ましい。
エーテル体(B)を構成する2分子の脂肪族ポリオール(A)は互いに、同一の構造を有していてもよいし、または上記範囲内で異なる構造を有していてもよいが、好ましくは同一の構造を有する。
エーテル体(B)を構成する2分子の脂肪族ポリオール(A)(脱水反応前)はいずれも、通常、第4炭素原子に結合するヒドロキシアルキル基の数が3〜4であることが好ましい。
エーテル体(B)を構成する2分子の脂肪族ポリオール(A)は互いに、同一の構造を有していてもよいし、または上記範囲内で異なる構造を有していてもよいが、好ましくは同一の構造を有する。
エーテル体(B)の分子量は通常、200〜300、好ましくは230〜280である。
エーテル体(B)の具体例として、例えば、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールが挙げられる。
NP型ポリオールは、冷間圧延油の劣化防止の観点から、水酸基を1分子あたり3〜6で有するポリオールが好ましい。同観点から、より好ましいNP型ポリオールが1分子あたりに有する水酸基の数は、脂肪族ポリオール(A)の場合で3〜4であり、エーテル体(B)の場合で4〜6である。好ましいNP型ポリオールの具体例として、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールが挙げられる。特に好ましいNP型ポリオールはトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールである。
NP型エステルを構成する脂肪酸成分は、少なくとも飽和脂肪酸および/またはモノエン系不飽和脂肪酸を含み、さらにポリエン系不飽和脂肪酸を含んで良いが、冷間圧延油の劣化防止の観点から、該NP型エステルを構成する全脂肪酸成分のうちポリエン系不飽和脂肪酸の含有量は少ないほど好ましく、通常は該NP型エステルの全脂肪酸成分に対して10重量%以下であり、好ましくは8重量%以下である。ポリエン系不飽和脂肪酸の含有量が多すぎると、重合によるポリマー生成が著しく、ミルハウジングの汚れが顕著になり、そのような汚れは洗浄によっても容易には除去できない。さらに、圧延鋼板の脱脂性が低下する。ポリエン系不飽和脂肪酸含有量の下限は特に特に制限されず、工業的に使用される精製度で十分であり、通常は3重量%である。
飽和脂肪酸は、二重結合を含有しない直鎖状脂肪族モノカルボン酸である。飽和脂肪酸は通常、炭素数が8〜22であり、好ましくは12〜18である。飽和脂肪酸の具体例として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
モノエン系不飽和脂肪酸は、1分子内に二重結合を1個含有する直鎖状脂肪族モノカルボン酸である。モノエン系不飽和脂肪酸は通常、炭素数が8〜22であり、好ましくは12〜18である。モノエン系飽和脂肪酸の具体例として、例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸等が挙げられる。
NP型エステルを構成する脂肪酸成分のうち飽和脂肪酸およびモノエン系不飽和脂肪酸の含有量は特に制限されないが、通常はNP型エステルの全脂肪酸成分に対して80〜100重量%であり、好ましくは90〜100重量%である。このうち、飽和脂肪酸とモノエン系不飽和脂肪酸との含有量比率(重量比)は、冷間圧延油の粘度及び流動点の観点から0/100〜80/20が好ましく、20/80〜50/50がより好ましい。
NP型エステルを構成する脂肪酸成分のうち飽和脂肪酸の含有量は通常、NP型エステルの全脂肪酸成分に対して0〜100重量%であり、好ましくは0〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
NP型エステルを構成する脂肪酸成分のうちモノエン系不飽和脂肪酸の含有量は通常、NP型エステルの全脂肪酸成分に対して0〜100重量%であり、好ましくは20〜80重量%である。
NP型エステルを構成する脂肪酸成分のうちモノエン系不飽和脂肪酸の含有量は通常、NP型エステルの全脂肪酸成分に対して0〜100重量%であり、好ましくは20〜80重量%である。
ポリエン系不飽和脂肪酸は、1分子内に二重結合を2個以上含有する直鎖状脂肪族モノカルボン酸である。ポリエン系不飽和脂肪酸は通常、炭素数が8〜22のものであり、具体例として、例えば、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸が挙げられる。ポリエン系不飽和脂肪酸は、工業的に使用されるモノエン系不飽和脂肪酸に不純物として含まれるものである。ポリエン系不飽和脂肪酸は、この不純物として含まれるものを除き、NP型エステルを構成する脂肪酸として使用しないことが好ましい。
NP型エステルは、冷間圧延油の劣化防止の観点から、NP型ポリオール成分が有する略全ての水酸基が脂肪酸によってエステル化されていることが好ましい。NP型エステルの水酸基価は25mgKOH/g以下、特に20〜5mgKOH/gが好ましい。
水酸基価はJIS K0070に従い中和滴定法で測定された値を用いている。
NP型エステルには、潤滑性の観点から、遊離脂肪酸が含有されても問題ない。NP型エステルの酸価は10mgKOH/g以下、特に1〜7mgKOH/gが好ましい。
酸価はJIS K0070に従い中和滴定法で測定された値を用いている。
NP型エステルは、当該NP型エステルが有する2以上の脂肪酸エステル部分の全てが同一である単一エステルであってもよいし、または2以上の脂肪酸エステル部分の少なくとも一部が異なる混合エステルであってもよい。
NP型エステルは、所定のNP型ポリオールと、当該NP型ポリオールが有する水酸基と等量の所定の脂肪酸とを窒素雰囲気下、200〜300℃で6〜10時間エステル化反応させることによって得ることができる。
NP型エステルの含有量は、冷間圧延油全量に対して40重量%以上、特に40〜98重量%であり、好ましくは60〜98重量%である。当該含有量が少なすぎると、加水分解が進行し易く金属石ケンが生成し、ミルハウジングの汚れが顕著になり、そのような汚れは洗浄によっても容易には除去できない。NP型エステルの含有量は多いほど、冷間圧延油が耐加水分解性に特に優れ、最も良好なミルハウジングの清浄性維持が可能となる。なお、後述するように冷間圧延油をエマルション形態で使用する場合において、上記NP型エステルの含有量の算出には水の量は算入しないものとする。
冷間圧延油は、NP型エステルにおけるNP型ポリオール成分の種類、脂肪酸成分の種類または脂肪酸成分の混合比率が異なる2種類以上のNP型エステルを組み合わせて含有してよい。その場合、当該NP型エステルの合計量が上記範囲内であればよい。
冷間圧延油は通常、40℃における動粘度が80mm2/s以下、特に30〜80mm2/s、好ましくは40〜60mm2/sであり、且つ流動点がミル雰囲気の最低気温度以下、特に10℃以下、好ましくは0℃以下である。ミル雰囲気の最低温度とは、冷間圧延工程においてロールが収容されたミルハウジング内での最低気温であり、特に冬場の作業環境でのミルハウジング内での気温である。流動点が高すぎたり、あるいは粘度が高すぎたりすると、圧延油自体の流動性が低く、加水分解、重合等の劣化を受けずともミルハウジング内に付着した油分が堆積し易く、汚れに繋がる。なお、後述するように冷間圧延油をエマルション形態で使用する場合において、上記冷間圧延油の物性値は、水中への分散によってエマルションを形成する前の冷間圧延油の物性値を示すものとする。
本発明の冷間圧延油には、上記したNP型ポリオール脂肪酸エステル以外の他のアルコール脂肪酸エステルが含有されてよい。
そのような他のアルコール脂肪酸エステルとして、例えば、モノアルコール脂肪酸エステル、NP型ポリオール以外のポリオールの脂肪酸エステル(C)が使用できる。
そのような他のアルコール脂肪酸エステルとして、例えば、モノアルコール脂肪酸エステル、NP型ポリオール以外のポリオールの脂肪酸エステル(C)が使用できる。
モノアルコール脂肪酸エステルを構成するモノアルコール成分として、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパーノール、2-プロパーノール、1-ブタノール、2-エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の脂肪族モノアルコールが挙げられる。
モノアルコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸成分として、例えば、前記した飽和脂肪酸、モノエン系不飽和脂肪酸と同様の化合物等が挙げられる。
ポリオール脂肪酸エステル(C)を構成するポリオール成分として、NP型ポリオール以外のポリオールが使用可能であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ポリオールが挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルとして、例えば、牛脂、パーム油が使用可能である。
ポリオール脂肪酸エステル(C)を構成する脂肪酸成分として、例えば、前記した飽和脂肪酸、モノエン系不飽和脂肪酸と同様の化合物等が挙げられる。
他のアルコール脂肪酸エステルの含有量は、冷間圧延油全量に対して40重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。他のアルコール脂肪酸エステルが2種類以上で組み合わせて含有される場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明の冷間圧延油には、上記したNP型ポリオール脂肪酸エステルが所定量で含有される限り、添加剤がさらに含有されてよい。添加剤として、例えば、乳化剤、極圧添加剤、酸化防止剤、防錆剤等が挙げられる。特に乳化剤が含有されることは、エマルション形成の観点から好ましい。
乳化剤としては、非イオン系、カチオン系およびアニオン系の界面活性剤が使用できる。非イオン系界面活性剤が好ましく使用される。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、エーテル系非イオン界面活性剤、エステル系非イオン界面活性剤が挙げられる。エーテル系非イオン界面活性剤が好ましく使用される。
エーテル系非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーが挙げられる。
エステル系非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコールラウリン酸エステル、ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ポリエチレングリコールステアリ酸エステル等が挙げられる。
乳化剤の数平均分子量は通常、200〜4000であり、好ましくは400〜2000である。
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された値を用いている。
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された値を用いている。
乳化剤の含有量は、冷間圧延油全量に対して0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
極圧添加剤としては、リン酸エステル、ジ亜リン酸エステル、ポリリン酸エステル及びこれらの部分エステル、硫化油脂、硫化オレフィン、硫化脂肪酸等が使用できる。
リン酸エステルの具体例として、例えば、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等が挙げられる。
リン酸エステルの具体例として、例えば、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等が挙げられる。
極圧添加剤の含有量は、冷間圧延油全量に対して0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%である。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、硫黄系酸化防止剤が使用できる。フェノール系酸化防止剤の具体例として、例えば、BHT等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、冷間圧延油全量に対して0.05〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%である。
防錆剤としては、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール等誘導体が使用できる。
トリアゾール誘導体の具体例として、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等が挙げられる。
トリアゾール誘導体の具体例として、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等が挙げられる。
防錆剤の含有量は、冷間圧延油全量に対して0.05〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%である。
(冷間圧延方法)
本発明の冷間圧延方法は上記した冷間圧延油を用いることを特徴とする。例えば、図1に示すように、熱間圧延された鋼板2を、冷間圧延するに際し、鋼板2の表裏面と一対のロール3a、3bとの間に、本発明の冷間圧延油1を供給する。これによって、鋼板の表面光沢は確保されて冷間圧延油としての機能は発揮されながらも、ミルハウジング4への汚れの付着・堆積を十分に防止できる。また冷間圧延油1がミルハウジング4へ付着・堆積したとしても、温水洗浄により容易に除去できる。
本発明の冷間圧延方法は上記した冷間圧延油を用いることを特徴とする。例えば、図1に示すように、熱間圧延された鋼板2を、冷間圧延するに際し、鋼板2の表裏面と一対のロール3a、3bとの間に、本発明の冷間圧延油1を供給する。これによって、鋼板の表面光沢は確保されて冷間圧延油としての機能は発揮されながらも、ミルハウジング4への汚れの付着・堆積を十分に防止できる。また冷間圧延油1がミルハウジング4へ付着・堆積したとしても、温水洗浄により容易に除去できる。
冷間圧延油1の鋼板2への供給方法は、鋼板2の表裏面とロール3a、3bとの間に、冷間圧延油が介在できる限り特に制限されず、例えば、シャワー法、スプレー法等が挙げられる。
冷間圧延油1は、循環させて繰り返し使用されてもよいし、または供給された後、廃棄されてもよい。本発明において、冷間圧延油は循環式で使用されることが好ましい。本発明の冷間圧延油は循環式で繰り返し使用されても、劣化が十分に防止され、長期にわたって、ミルハウジングへの汚れの堆積を有効に防止できるためである。冷間圧延油を循環式で使用する場合、冷間圧延油は、例えば、図1に示すように、ロール3a、3bの下方に設けられた回収トレー5で回収し、回収された冷間圧延油をさらに鋼板とロールとの間に供給するようにすればよい。
冷間圧延油1の供給量は特に制限されず、例えば、鋼板の片面1m2あたり1〜50Lが適当である。冷間圧延油が後述のようにエマルション形態で使用される場合、当該エマルションの供給量が上記範囲内であればよい。
冷間圧延油1は通常、O/Wエマルションの形態で使用される。すなわち、上記した本発明の冷間圧延油を水中に分散してO/Wエマルションを調製し、これを鋼板2の表裏面と一対のロール3a、3bとの間に供給する。
O/Wエマルション中の冷間圧延油の含有量は、本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、水100重量部に対して0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
本発明によれば、たとえミルハウジングに汚れが付着・堆積しても温水洗浄により容易に除去できる。
温水洗浄は、25℃以上、好ましくは30〜50℃の温水を用いた洗浄である。本発明において汚れの除去は、汚れに当該温水を流すだけで達成できるが、迅速な除去の観点から、汚れに当該温水を高圧スプレーすることによって達成することが好ましい。
温水洗浄は、25℃以上、好ましくは30〜50℃の温水を用いた洗浄である。本発明において汚れの除去は、汚れに当該温水を流すだけで達成できるが、迅速な除去の観点から、汚れに当該温水を高圧スプレーすることによって達成することが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定的に解釈されるべきではない。
以下に示す原材料を用いた。
(TMPエステル1)
トリメチロールプロパン(TMP)14.4重量%、オレイン酸54.0重量%、ステアリン酸25.6重量%、リノール酸6.0重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、TMPエステル1を得た。TMPエステル1の酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
(TMPエステル1)
トリメチロールプロパン(TMP)14.4重量%、オレイン酸54.0重量%、ステアリン酸25.6重量%、リノール酸6.0重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、TMPエステル1を得た。TMPエステル1の酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
(TMPエステル2)
トリメチロールプロパン(TMP)13.8重量%、菜種分解脂肪酸86.2重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、TMPエステル2を得た。TMPエステル2の酸価は5mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/gであった。
トリメチロールプロパン(TMP)13.8重量%、菜種分解脂肪酸86.2重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、TMPエステル2を得た。TMPエステル2の酸価は5mgKOH/g、水酸基価は18mgKOH/gであった。
(PEエステル)
ペンタエリスリトール(PE)11.7重量%、オレイン酸55.7重量%、ステアリン酸26.4重量%、リノール酸6.2重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、PEエステルを得た。PEエステルの酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
ペンタエリスリトール(PE)11.7重量%、オレイン酸55.7重量%、ステアリン酸26.4重量%、リノール酸6.2重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、PEエステルを得た。PEエステルの酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
(NPGエステル)
ネオペンチルグリコール(NPG)16.2重量%、オレイン酸52.9重量%、ステアリン酸25.1重量%、リノール酸5.8重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、NPGエステルを得た。NPGエステルの酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
ネオペンチルグリコール(NPG)16.2重量%、オレイン酸52.9重量%、ステアリン酸25.1重量%、リノール酸5.8重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、NPGエステルを得た。NPGエステルの酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
(TMEエステル)
トリメチロールエタン(TME)13.0重量%、オレイン酸54.9重量%、ステアリン酸26.0重量%、リノール酸6.1重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、TMEエステルを得た。TMEエステルの酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
トリメチロールエタン(TME)13.0重量%、オレイン酸54.9重量%、ステアリン酸26.0重量%、リノール酸6.1重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、TMEエステルを得た。TMEエステルの酸価は5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/gであった。
(DTMPエステル)
ジトリメチロールプロパン(DTMP)20.7重量%、オレイン酸50.0重量%、ラウリン酸23.7重量%、リノール酸5.6重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、DTMPエステルを得た。DTMPエステルの酸価は4mgKOH/g、水酸基価は13mgKOH/gであった。
ジトリメチロールプロパン(DTMP)20.7重量%、オレイン酸50.0重量%、ラウリン酸23.7重量%、リノール酸5.6重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、DTMPエステルを得た。DTMPエステルの酸価は4mgKOH/g、水酸基価は13mgKOH/gであった。
(DPEエステル)
ジペンタエリスリトール(DPE)20.5重量%、デカン酸79.5重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、DPEエステルを得た。DPEエステルの酸価は3mgKOH/g、水酸基価は20mgKOH/gであった。
ジペンタエリスリトール(DPE)20.5重量%、デカン酸79.5重量%を窒素気流下に260℃で8時間反応させ、DPEエステルを得た。DPEエステルの酸価は3mgKOH/g、水酸基価は20mgKOH/gであった。
(グリセリントリオレエート)
市販のPRIOLUB1436(ユニケマ 社製)を用いた。
市販のPRIOLUB1436(ユニケマ 社製)を用いた。
(牛脂)
市販の精製牛脂(四国油脂 社製)を用いた。
市販の精製牛脂(四国油脂 社製)を用いた。
(菜種油)
市販の菜種白絞油(日精オイリオ 社製)を用いた。
市販の菜種白絞油(日精オイリオ 社製)を用いた。
(脂肪酸エステルの組成の分析方法)
上記脂肪酸エステルをKOHエタノール溶液でアルカリケン化により分解後、脂肪酸を抽出し、定法に従いメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィーにて定量した。脂肪酸の各割合は、クロマトグラムの各成分のピーク面積の総和に対する各成分の面積比である相対面積比較法により求めた。
合成エステルのアルコール組成は仕込み時の割合である。
天然油脂のアルコールはグリセリンである。
上記脂肪酸エステルをKOHエタノール溶液でアルカリケン化により分解後、脂肪酸を抽出し、定法に従いメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィーにて定量した。脂肪酸の各割合は、クロマトグラムの各成分のピーク面積の総和に対する各成分の面積比である相対面積比較法により求めた。
合成エステルのアルコール組成は仕込み時の割合である。
天然油脂のアルコールはグリセリンである。
(鉱物油)
市販のダイアナフレシアU-46(出光興産 社製)を用いた。
(オレイン酸)
市販のルナックO-P(花王 社製)を用いた。
(エーテル系非イオン界面活性剤)
市販のブラウノンN-5095(青木油脂工業 社製)を用いた。
市販のダイアナフレシアU-46(出光興産 社製)を用いた。
(オレイン酸)
市販のルナックO-P(花王 社製)を用いた。
(エーテル系非イオン界面活性剤)
市販のブラウノンN-5095(青木油脂工業 社製)を用いた。
(実施例/比較例)
各種原材料を表2に示す比率で、十分に均一に混合・分散し、圧延油を調製した。
各種原材料を表2に示す比率で、十分に均一に混合・分散し、圧延油を調製した。
(加水分解試験)
ASTM D2619−67に準拠し加水分解試験を行った。加水分解後、試験液に塩化ナトリウムを加え加熱し、塩析された浮上油分を採取した。その後、更に8000rpmで30分間遠心分離を行い水分を除去した油分の酸価(mgKOH/g)を測定し、試験前後で比較を行った。酸価は、JIS K0070に従い中和滴定法で測定した。
○;酸価増加率≦50%(優良);
△;50%<酸価増加率≦100%(実用上問題なし);
×; 100%<酸価増加率(実用上問題あり)。
ASTM D2619−67に準拠し加水分解試験を行った。加水分解後、試験液に塩化ナトリウムを加え加熱し、塩析された浮上油分を採取した。その後、更に8000rpmで30分間遠心分離を行い水分を除去した油分の酸価(mgKOH/g)を測定し、試験前後で比較を行った。酸価は、JIS K0070に従い中和滴定法で測定した。
○;酸価増加率≦50%(優良);
△;50%<酸価増加率≦100%(実用上問題なし);
×; 100%<酸価増加率(実用上問題あり)。
(熱劣化試験)
φ150のシャーレに圧延油を30g入れ、120℃の恒温槽内に240時間静置し、動粘度(mm2/s、40℃)の変化を測定した。粘度はJIS K 2283に従いキャノン-フェンスケ粘度計を用いて測定した。
○;粘度増加率≦10%(優良);
△;10%<粘度増加率≦20%(実用上問題なし);
×;20%<粘度増加率(実用上問題あり)。
φ150のシャーレに圧延油を30g入れ、120℃の恒温槽内に240時間静置し、動粘度(mm2/s、40℃)の変化を測定した。粘度はJIS K 2283に従いキャノン-フェンスケ粘度計を用いて測定した。
○;粘度増加率≦10%(優良);
△;10%<粘度増加率≦20%(実用上問題なし);
×;20%<粘度増加率(実用上問題あり)。
(流動点)
圧延油の流動点はJIS K2269に従い測定した。
圧延油の流動点はJIS K2269に従い測定した。
(冷間圧延試験)
水100重量部に対して圧延油2重量部を十分に均一に混合・分散し、圧延油エマルションを調製した。図1に示す冷間圧延工程で、鋼板(炭素鋼、幅50mm)の冷間圧延を25℃で行うに際し、鋼板の表裏面とロールとの間に、50℃の圧延油エマルションを1.2L/m2の割合でスプレーにより供給した。1m長の鋼板の冷間圧延を完了した後、ミルハウジングの内壁を観察し、当該内壁を40℃の温水で洗浄した。
○;圧延荷重は低く、冷間圧延油としての機能は発揮されながらも、汚れの堆積はほとんど認められなかった;
△;圧延荷重は低く、冷間圧延油としての機能は発揮されながらも、汚れの堆積が認められたが、内壁は温水でブラシ洗浄するだけで清浄に維持できた(実用上問題なし);
×;圧延荷重は低く、冷間圧延油としての機能は発揮されたが、汚れの堆積が認められ、内壁を温水でブラシ洗浄しても、堆積物の固着が認められた(実用上問題あり);
××;圧延荷重が高く、冷間圧延油としての機能が発揮されなかった;しかも、内壁を温水でブラシ洗浄しても、堆積物の固着が認められた(実用上問題あり)。
水100重量部に対して圧延油2重量部を十分に均一に混合・分散し、圧延油エマルションを調製した。図1に示す冷間圧延工程で、鋼板(炭素鋼、幅50mm)の冷間圧延を25℃で行うに際し、鋼板の表裏面とロールとの間に、50℃の圧延油エマルションを1.2L/m2の割合でスプレーにより供給した。1m長の鋼板の冷間圧延を完了した後、ミルハウジングの内壁を観察し、当該内壁を40℃の温水で洗浄した。
○;圧延荷重は低く、冷間圧延油としての機能は発揮されながらも、汚れの堆積はほとんど認められなかった;
△;圧延荷重は低く、冷間圧延油としての機能は発揮されながらも、汚れの堆積が認められたが、内壁は温水でブラシ洗浄するだけで清浄に維持できた(実用上問題なし);
×;圧延荷重は低く、冷間圧延油としての機能は発揮されたが、汚れの堆積が認められ、内壁を温水でブラシ洗浄しても、堆積物の固着が認められた(実用上問題あり);
××;圧延荷重が高く、冷間圧延油としての機能が発揮されなかった;しかも、内壁を温水でブラシ洗浄しても、堆積物の固着が認められた(実用上問題あり)。
1:冷間圧延油(エマルション)
2:鋼板
3a:3b:ロール
4:ミルハウジング
5:回収トレー
2:鋼板
3a:3b:ロール
4:ミルハウジング
5:回収トレー
Claims (5)
- ネオペンチル型ポリオールの脂肪酸エステルを全量に対して40重量%以上で含有し、該脂肪酸エステルを構成する全脂肪酸成分のうちポリエン系不飽和脂肪酸の含有量が10重量%以下であることを特徴とする冷間圧延油。
- 40℃における動粘度が80mm2/s以下で、且つ流動点が10℃以下である請求項1に記載の冷間圧延油。
- 鋼板の冷間圧延のために循環させて繰り返し使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の冷間圧延油。
- 水100重量部に対して冷間圧延油を0.5〜20重量部で分散させてなるO/Wエマルションの形態で使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷間圧延油。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の冷間圧延油を用いることを特徴とする冷間圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010106655A JP2011236275A (ja) | 2010-05-06 | 2010-05-06 | 冷間圧延油及び冷間圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010106655A JP2011236275A (ja) | 2010-05-06 | 2010-05-06 | 冷間圧延油及び冷間圧延方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011236275A true JP2011236275A (ja) | 2011-11-24 |
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ID=45324613
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JP2010106655A Withdrawn JP2011236275A (ja) | 2010-05-06 | 2010-05-06 | 冷間圧延油及び冷間圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011236275A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023210580A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | Eneos株式会社 | 冷凍機油及び作動流体組成物 |
JP7522351B2 (ja) | 2021-01-18 | 2024-07-25 | 日本製鉄株式会社 | 冷間圧延方法 |
-
2010
- 2010-05-06 JP JP2010106655A patent/JP2011236275A/ja not_active Withdrawn
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WO2023210580A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | Eneos株式会社 | 冷凍機油及び作動流体組成物 |
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