JP2011232117A - 台車試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行中、予め定められた減速区間において高い再現性により試験台車の制動減速度特性の制御を行うことができる台車試験装置を提供すること。
【解決手段】台車走行路面3に敷設されたメインレール2に沿ってタイヤ走行するプリクラッシュ試験台車4を用いた台車試験装置において、プリクラッシュ試験台車4に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムCを設け、制動減速システムCは、メインレール2を挟み込む第1ブレーキキャリパー30,30により油圧制動力を得る前側レールブレーキ12Fと後側レールブレーキ12Rを有する。
【選択図】図10
【解決手段】台車走行路面3に敷設されたメインレール2に沿ってタイヤ走行するプリクラッシュ試験台車4を用いた台車試験装置において、プリクラッシュ試験台車4に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムCを設け、制動減速システムCは、メインレール2を挟み込む第1ブレーキキャリパー30,30により油圧制動力を得る前側レールブレーキ12Fと後側レールブレーキ12Rを有する。
【選択図】図10
Description
本発明は、台車走行路面に敷設されたガイドレールに沿ってタイヤ走行する試験台車を用いた台車試験装置に関する。
従来、車両衝突試験用台車のブレーキ装置としては、台車の車輪に摩擦制動部材を備えた油圧ブレーキを設けたものが知られている(特許文献1を参照)。
この従来装置は、台車が緩衝装置のブロックに衝突して減速することにより錘を固定したレバーが倒れてハンドバルブを切り替える。このバルブ切り替え動作により、レシーバタンク内の圧縮空気の圧力がエアオイルブースターの加圧作動部に作用し、加圧油により油圧ブレーキが作動して台車を停止させるようにしている。
しかしながら、従来の車両衝突試験用台車のブレーキ装置は、衝突後の台車が緩衝装置の弾性反発力により様々な位置に後退してしまうことを防止し、衝突後、自動的かつすみやかに所定の位置に油圧ブレーキにより停止させるものである。そして、この油圧ブレーキは、車輪を制動するタイヤブレーキによるものであるため、例えば、タイヤ摩耗によりタイヤ−路面間の摩擦係数が変動した場合、同じ油圧を作用させても制動減速度が変化し、停止位置が変わってしまう。つまり、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御しようとしても再現性を確保した制御ができない、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、走行中、予め定められた減速区間において高い再現性により試験台車の制動減速度特性の制御を行うことができる台車試験装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、台車走行路面に敷設されたガイドレールに沿ってタイヤ走行する試験台車を用いた台車試験装置において、
前記試験台車に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムを設け、
前記制動減速システムは、前記ガイドレールを挟み込むブレーキキャリパーにより油圧制動力を得るレールブレーキを有する。
前記試験台車に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムを設け、
前記制動減速システムは、前記ガイドレールを挟み込むブレーキキャリパーにより油圧制動力を得るレールブレーキを有する。
よって、減速区間を持つ台車試験を行うとき、台車走行路面に敷設されたガイドレールに沿ってタイヤ走行する試験台車が、予め定められた減速区間に入ると、制動減速システムのレールブレーキが作動し、ガイドレールを挟み込むブレーキキャリパーにより油圧制動力が得られ、減速区間の制動減速度特性が制御される。
すなわち、レールブレーキは、タイヤと走行路面との間で発生する制動力により制動減速度を得るタイヤブレーキとは異なり、試験台車とガイドレールとの間で発生する制動力により制動減速度を得る。例えば、台車試験を多数回経験したり、台車試験の試験環境を変えたりすると、タイヤ摩耗や路面状態の変化が発生し、これを原因としてタイヤ−路面間の摩擦係数が変動する。そして、タイヤブレーキの場合、タイヤ−路面間の摩擦係数変動が、制動減速度を変動させる影響要素となる。これに対し、レールブレーキの場合、タイヤ−路面間の摩擦係数変動が、制動減速度を変動させる影響要素とはならず、レールブレーキとガイドレールとの間の摩擦係数を管理しておけば、同じ油圧を付与することにより同じ制動減速度を繰り返し再現できる。
このように、本発明の台車試験装置によれば、走行中、予め定められた減速区間において高い再現性により試験台車の制動減速度特性の制御を行うことができる。
すなわち、レールブレーキは、タイヤと走行路面との間で発生する制動力により制動減速度を得るタイヤブレーキとは異なり、試験台車とガイドレールとの間で発生する制動力により制動減速度を得る。例えば、台車試験を多数回経験したり、台車試験の試験環境を変えたりすると、タイヤ摩耗や路面状態の変化が発生し、これを原因としてタイヤ−路面間の摩擦係数が変動する。そして、タイヤブレーキの場合、タイヤ−路面間の摩擦係数変動が、制動減速度を変動させる影響要素となる。これに対し、レールブレーキの場合、タイヤ−路面間の摩擦係数変動が、制動減速度を変動させる影響要素とはならず、レールブレーキとガイドレールとの間の摩擦係数を管理しておけば、同じ油圧を付与することにより同じ制動減速度を繰り返し再現できる。
このように、本発明の台車試験装置によれば、走行中、予め定められた減速区間において高い再現性により試験台車の制動減速度特性の制御を行うことができる。
以下、本発明の台車試験装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1〜図3は、実施例1のプリクラッシュ試験台車を用いたプリクラッシュ試験装置(台車試験装置の一例)を示す全体概略図である。以下、図1〜図3に基づき全体構成を説明する。
図1〜図3は、実施例1のプリクラッシュ試験台車を用いたプリクラッシュ試験装置(台車試験装置の一例)を示す全体概略図である。以下、図1〜図3に基づき全体構成を説明する。
実施例1のプリクラッシュ試験装置は、図1〜3に示すように、試験台車として、衝突バリア1に向かうメインレール2(ガイドレール)に沿って台車走行路面3をタイヤ走行するプリクラッシュ試験台車4を用いる。前記メインレール2は、台車走行路面3に敷設され、プリクラッシュ試験台車4の車幅方向中心点の集合である台車中心軸Lの真下位置に沿って配置され、プリクラッシュ試験台車4の移動方向を案内するガイドレール機能を有する。
前記プリクラッシュ試験台車4は、台車フレーム4aと、台車フレーム4aの上面に固定された台車ステージ4bを基本構造とし、繰り返しのプリクラッシュ試験に対応できるように耐衝撃構造としている。この台車ステージ4b上には、台車前後方向に2脚の模擬シート5,5と、2脚の模擬シート5,5にシートベルト6,6を装着して着座した2体の試験ダミー7,7と、2体の試験ダミー7,7による試験データを計測する試験データ計測機器8と、を搭載している。
前記台車ステージ4bには、フリーレイアウトが可能なように等間隔穴(3インチピッチホール)が開けられている。そして、前記台車ステージ4b上には、前記模擬シート5,5の横位置にシートベルト6,6をベルト張力設定可能に取り付けるシートベルト取り付け装置9,9が立設され、前記模擬シート5,5の前位置に脚部荷重の計測を行うトーボード模擬装置10,10が固定されている。
実施例1のプリクラッシュ試験装置は、プリクラッシュ試験方法を実現するための主要な構成要素として、台車挙動安定システムA(図4〜図6参照)と、牽引ワイヤシステムB(図1,図3参照)と、制動減速システムC(図7〜図10参照)と、衝突減速システムD(図11,図12参照)と、を備えている。
前記台車挙動安定システムAは、精度良くプリクラッシュ試験を再現すると共に、条件を変えての繰り返しプリクラッシュ試験を安定して再現するため、プリクラッシュ試験台車4の直進安定性と台車水平度保持機能を確保するシステムである。
前記牽引ワイヤシステムBは、衝突バリア1に向かうメインレール2に沿ってプリクラッシュ試験台車4を牽引ワイヤ11により牽引することによりプリクラッシュ試験台車4を走行状態とし、牽引ワイヤ11からプリクラッシュ試験台車4を切り離すことによりフリーラン状態とするシステムである。
前記制動減速システムCは、フリーラン状態のプリクラッシュ試験台車4に対し、主に前側レールブレーキ12Fおよび後側レールブレーキ12Rを用いて制動力を加えることにより、プリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御可能なシステムである。
前記衝突減速システムDは、衝突バリア1の衝突面に設けられた複数本の衝撃緩衝用パイプ13と、プリクラッシュ試験台車4の衝突面に設けられた複数のターニングデバイス14と、を有し、プリクラッシュ試験台車4が衝突減速を開始してから停止するまでの衝突区間の衝突減速度特性を制御可能なシステムである。
なお、図1〜3において、15はエアレスタイヤ、16はカメラ用アウトリガー、17は牽引用アウトリガーである。以下、図1〜図3に図4〜図12を加え、各システムA,B,C,Dの構成を、詳しく説明する。
前記台車挙動安定システムAは、図4に示すように、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aの4隅位置にリジッド支持したタイヤ軸18と、タイヤ軸18に回転可能に支持した4輪のエアレスタイヤ15と、台車中心軸Lの前後位置の台車フレーム4aに配置した前側走行補助ガイドローラー19Fおよび後側走行補助ガイドローラー19Rと、を備えたピッチング抑制方式のシステムである。
前記4輪のエアレスタイヤ15は、弾性支持によるサスペンションを介在させることなく、台車フレーム4aにリジッド支持した中実の耐荷重タイヤである。
前記前側走行補助ガイドローラー19Fおよび後側走行補助ガイドローラー19Rは、プリクラッシュ試験時、メインレール2に対して押し付け嵌合状態を保ったままでレール面を転動可能に設定したガイドローラーである。
前記前側走行補助ガイドローラー19Fおよび後側走行補助ガイドローラー19Rのうち、前側走行補助ガイドローラー19Fの構成を、図5および図6に基づき説明する。なお、後側走行補助ガイドローラー19Rは、前側走行補助ガイドローラー19Fと同様の構成であるため説明を省略する。
前記前側走行補助ガイドローラー19Fは、図5に示すように、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aに固定されたローラーブラケット20と、ローラーブラケット20に対しピン21を介して支持されたローラー支持アーム22と、を有する。そして、図6に示すように、ローラー支持アーム22の両側位置に、メインレール2に対して押し付け嵌合状態を保ったままでレール面を転動可能に設定した段付き形状による前側走行補助ガイドローラー19F,19Fがベアリング支持により回転可能に設けられる。
前側走行補助ガイドローラー19Fは、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aに固定されたシリンダーブラケット23と、シリンダーブラケット23に回動可能に支持され、ロッド端部がローラー支持アーム22にリンク29を介して連結された第1エアシリンダー24と、を備えたローラー昇降機構を有する。
このローラー昇降機構は、第1エアシリンダー24のロッド伸縮により、前側走行補助ガイドローラー19Fをメインレール2より上方の台車収納位置(図5の破線位置)と、前側走行補助ガイドローラー19Fをメインレール2に対して押し付け嵌合状態とする押圧位置(図5の実線位置)と、の間で昇降動作を行う機構である。
前側走行補助ガイドローラー19Fは、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aに固定されたシリンダーブラケット23と、シリンダーブラケット23に回動可能に支持され、ロッド端部がローラー支持アーム22にリンク29を介して連結された第1エアシリンダー24と、を備えたローラー昇降機構を有する。
このローラー昇降機構は、第1エアシリンダー24のロッド伸縮により、前側走行補助ガイドローラー19Fをメインレール2より上方の台車収納位置(図5の破線位置)と、前側走行補助ガイドローラー19Fをメインレール2に対して押し付け嵌合状態とする押圧位置(図5の実線位置)と、の間で昇降動作を行う機構である。
前記牽引ワイヤシステムBは、図1に示すように、プリクラッシュ試験台車4に固定され、台車側面からサブレール25に向かって突出する牽引用アウトリガー17と、サブレール25に内挿配置され、動力システムである牽引モータ26により移動する牽引ワイヤ11と、サブレール25に内挿配置され、牽引用アウトリガー17と牽引ワイヤ11を連結する牽引ドリー27と、を備えたアウトリガー偏心牽引方式のシステムである。
前記サブレール25は、図1に示すように、メインレール2に沿って平行な偏心位置の台車走行路面3に敷設されている。また、牽引ワイヤシステムBによる走行状態からフリーラン状態への切り替えは、サブレール25の指定位置に設定したドリーストッパ28に牽引ドリー27が接触することにより、牽引用アウトリガー17と牽引ドリー27の連結を切り離すことで行う。
前記制動減速システムCは、台車中心軸Lの前後位置に配置され、図8に示すように、メインレール2を挟み込む第1ブレーキキャリパー30,30(ブレーキキャリパー)により油圧制動力を得る前側レールブレーキ12Fおよび後側レールブレーキ12Rを有する。また、4輪のエアレスタイヤ15の各位置に設けられ、各タイヤ軸18に固定したブレーキディスク32を挟み込む第2ブレーキキャリパー33(ブレーキキャリパー)により油圧制動力を得るタイヤブレーキ34を有する。すなわち、制動減速システムCは、前側レールブレーキ12Fおよび後側レールブレーキ12Rによるレールブレーキと、各輪のタイヤブレーキ34と、を備えたデュアルブレーキ方式のシステムである。
前記前側レールブレーキ12Fおよび後側レールブレーキ12Rのうち、前側レールブレーキ12Fの構成を、図7に基づき説明する。なお、後側レールブレーキ12Rは、前側レールブレーキ12Fと同様の構成であるため説明を省略する。
前記前側レールブレーキ12Fは、図7に示すように、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aに固定されたブレーキブラケット35と、ブレーキブラケット35に対しピン36を介して支持されたブレーキ支持枠アーム37と、ブレーキ支持枠アーム37に固定されたブレーキ支持枠38と、有する。そして、図8に示すように、ブレーキ支持枠38に、メインレール2を挟み込む第1ブレーキキャリパー30,30が設けられる。
前側レールブレーキ12Fは、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aに固定されたシリンダーブラケット39と、シリンダーブラケット39に回動可能に支持され、ロッド端部がブレーキ支持枠アーム37にリンク40を介して連結された第2エアシリンダー41と、を備えたブレーキ昇降機構を有する。このブレーキ昇降機構は、第2エアシリンダー41のロッド伸縮により、前側レールブレーキ12Fをメインレール2より上方の台車収納位置(図7の破線位置)と、前側レールブレーキ12Fの第1ブレーキキャリパー30,30によりメインレール2を挟み込む油圧制動位置(図7の実線位置)と、の間で昇降動作を行う機構である。
前側レールブレーキ12Fは、プリクラッシュ試験台車4の台車フレーム4aに固定されたシリンダーブラケット39と、シリンダーブラケット39に回動可能に支持され、ロッド端部がブレーキ支持枠アーム37にリンク40を介して連結された第2エアシリンダー41と、を備えたブレーキ昇降機構を有する。このブレーキ昇降機構は、第2エアシリンダー41のロッド伸縮により、前側レールブレーキ12Fをメインレール2より上方の台車収納位置(図7の破線位置)と、前側レールブレーキ12Fの第1ブレーキキャリパー30,30によりメインレール2を挟み込む油圧制動位置(図7の実線位置)と、の間で昇降動作を行う機構である。
前記制動減速システムCによる制動減速度特性の制御は、図10に示すように、両レールブレーキ12F,12Rと各タイヤブレーキ34に対し、2系統の独立したブレーキ制御油圧を作り出すブレーキキャリパー用油圧制御ライン60により行う。また、両走行補助ガイドローラー19F,19Rと両レールブレーキ12F,12Rの昇降制御は、空圧シンリンダー用窒素ガス制御ライン70により行う。以下、図10に基づき集中制御ユニットの説明をする。なお、図10において、点線は制御信号ライン、細線は窒素ガスライン、太線は油圧ラインである。
前記ブレーキキャリパー用油圧制御ライン60は、図10に示すように、動作遅延時間を設定するデジタルカウンタ61R,61Tと、窒素ガスの開放・閉鎖を制御するソレノイドバルブ62R,62Tと、窒素ガス開放圧力を設定するデジタルレギュレータ63R,63Tと、空圧→油圧倍力装置としてのブースター64R,64Tと、一次圧を貯蔵するブレーキ用窒素ガスボンベ65と、を備えている。
前記空圧シンリンダー用窒素ガス制御ライン70は、図10に示すように、窒素ガスの開放・閉鎖を制御するソレノイドバルブ72G,72Bと、窒素ガス減圧器としてのレギュレータ73G,73Bと、動作速度調整器としてのスピードコントローラ74G,74Bと、一次圧を貯蔵する昇降用窒素ガスボンベ75と、を備えている。
前記デジタルカウンタ61R,61Tは、動作遅延時間がそれぞれ独立に設定されていて、集中制御盤80からの動作信号により同時にカウンタ動作を開始する。なお、集中制御盤80は、台車走行路面3に設定された基準位置検出用キッカー42に、プリクラッシュ試験台車4に設けられた基準位置キッカー43が接触する際に信号を入力し、動作信号をデジタルカウンタ61R,61Tに出力する。
前記ブースター64R,64Tは、デジタルレギュレータ63R,63Tにより独立に調整された窒素ガス開放圧力(空圧)を油圧に倍力変換する。そして、ブースター64Rからの油圧は、油圧ラインを経過して両レールブレーキ12F,12Rの第1ブレーキキャリパー30,30に対して付与される。ブースター64Tからの油圧は、油圧ラインを経過して各タイヤブレーキ34の第2ブレーキキャリパー33に対して付与される。
前記ソレノイドバルブ72G,72Bは、集中制御盤80からの開放動作信号により窒素ガスを開放し、集中制御盤80からの閉鎖動作信号により窒素ガスを閉鎖する。集中制御盤80からの開放動作信号と閉鎖動作信号は、両走行補助ガイドローラー19F,19Rと両レールブレーキ12F,12Rに対し、それぞれ独立に設けられたスイッチ操作により出力される。
前記スピードコントローラ74G,74Bは、レギュレータ73G,73Bにより減圧された窒素ガスの流量調整により昇降動作速度を調整する。そして、スピードコントローラ74Gからの窒素ガスは、窒素ガスラインを経過して両走行補助ガイドローラー19F,19Rの第1エアシリンダー24,24に付与される。スピードコントローラ74Bからの窒素ガスは、窒素ガスラインを経過して両レールブレーキ12F,12Rの第2エアシリンダー41に付与される。
前記衝突減速システムDは、図11に示すように、衝突バリア1の衝突壁面に着脱可能に設けられ、衝突時に180°の折り返し変形が進行する複数本の衝撃緩衝用パイプ13と、プリクラッシュ試験台車4の最前面位置に突出して設けられ、衝突時に衝撃緩衝用パイプ13の開口端と符合して180°の折り返し変形の進行を促す円錐形状による複数のターニングデバイス14と、を備えた衝撃緩衝方式のシステムである。
前記衝撃緩衝用パイプ13は、衝突バリア1に固定されたパイプホルダ50に着脱可能に設けられた金属管であり、実施例1では、4本のアルミ管を着脱可能としている。そして、この衝突減速システムDによる衝突減速度特性の制御は、複数本の衝撃緩衝用パイプ13の本数,材質,肉厚および硬度のうち、少なくとも1つの要素を選定するシステム設定により行うようにしている。
前記プリクラッシュ試験台車4には、図12に示すように、ダミーセンサ、各種センサ計測用データロガー、シートベルト9,9の作動設定の制御が可能な2系統制御手段、等が試験データ計測機器8として搭載されている。そして、この試験データ計測機器8以外に、前側走行補助ガイドローラー19Fの位置に台車走行速度を検出するフォトセンサ構造による台車走行速度センサ51が搭載されている。また、台車ステージ4bの後部位置に、低減速G領域を検出する制動減速度センサ52と、高減速G領域を検出する衝突減速度センサ53が、搭載されている。
前記プリクラッシュ試験台車4の後部位置には、図12に示すように、2つの機器搭載ボックス54,55が設けられ、この機器搭載ボックス54,55に、図10に示す集中制御ユニットが搭載されている。さらに、カメラ用アウトリガー16には、図12に示すように、減速時および衝突時の試験ダミー7,7の挙動撮影が可能な高速度ビデオカメラ/照明56,57が2セット搭載されている。
次に、作用を説明する。
まず、「台車試験について」の説明を行う。続いて、実施例1のプリクラッシュ試験台車装置による作用を、「プリクラッシュ試験方法とプリクラッシュ試験作用」、「ピッチング抑制方式による台車挙動安定化作用」、「アウトリガー偏心牽引方式による台車走行制御作用」、「デュアルブレーキ方式による制動減速度制御作用」、「衝撃緩衝方式による衝突減速度制御作用」に分けて説明する。
まず、「台車試験について」の説明を行う。続いて、実施例1のプリクラッシュ試験台車装置による作用を、「プリクラッシュ試験方法とプリクラッシュ試験作用」、「ピッチング抑制方式による台車挙動安定化作用」、「アウトリガー偏心牽引方式による台車走行制御作用」、「デュアルブレーキ方式による制動減速度制御作用」、「衝撃緩衝方式による衝突減速度制御作用」に分けて説明する。
[台車試験について]
衝突時の乗員被害を軽減する自動車の衝突安全装置としては、衝突時に乗員の周囲に折り畳み内蔵したバックを一瞬にして膨張させるエアバック、衝突時に乗員が装着しているシートベルトのたるみを無くすシートベルト・プリテンショナー、衝突時にベルトテンション以上の荷重が乗員に入力しないようにするフォースリミッタ、等が知られている。
衝突時の乗員被害を軽減する自動車の衝突安全装置としては、衝突時に乗員の周囲に折り畳み内蔵したバックを一瞬にして膨張させるエアバック、衝突時に乗員が装着しているシートベルトのたるみを無くすシートベルト・プリテンショナー、衝突時にベルトテンション以上の荷重が乗員に入力しないようにするフォースリミッタ、等が知られている。
これらの衝突安全装置は、衝突が発生することを前提とし、衝突時の高い衝撃力等から乗員をできる限り守ろうとする衝突安全技術である。すなわち、衝突直前の段階については、衝突直前であるとの乗員判断に基づいて行う急ブレーキ操作や急ハンドル操作等による衝突回避行動に委ねられている。
しかし、衝突直前に行う乗員の衝突回避行動は、素早い衝突認識と判断に基づく咄嗟の行動であるため、個人差や年齢差等によりバラツキがある。そこで、高い自動車安全性が求められる現在、衝突直前の段階における自動車システムでの自動的な対応措置により、衝突時の乗員被害を予め軽減するようにした予防安全技術の導入が進んでいる。
この予防安全技術としては、例えば、自車と障害物の位置関係情報および自車の制動状況等から衝突を予測した段階において作動する被害軽減ブレーキ、衝突直前にシートベルト張力を発生させるMSB(Motorized-Seat-Belt)機能を持つプリクラッシュ・シートベルト、等が挙げられる。
従来、これらの予防安全技術に関する装置開発については、製造メーカ単位で独自の性能評価を実施しながら開発が進められている実情があり、衝突時における乗員被害への具体的な技術効果の評価を出すのは困難であった。
また、衝突安全技術に対して衝突時の乗員被害に与える影響を評価する衝突試験方法や衝突試験装置は知られている(例えば、特開2003−329538号公報参照)。しかし、予防安全技術の主目的である乗員の被害低減効果に対する寄与等について、正確に評価できるプリクラッシュ試験方法やプリクラッシュ試験装置は確立されていない。また、衝突試験用ダミーを用いた性能試験については、加速式スレッド等の試験設備(例えば、特開2006−258477号公報参照)を用いた代用試験により性能評価を行う手法が、一般的に行われているに過ぎないものであった。
しかしながら、従来の衝突試験方法や衝突試験装置、あるいは、プリクラッシュ試験の代用試験にあっては、衝突直前における制動減速度、および、衝突時における衝突減速度を併せて再現することができなかった。このため、衝突安全技術の評価と予防安全技術の評価をそれぞれ個別に行うことはできても、例えば、「予防安全」と「衝突安全」という2種類の自動車安全技術が乗員被害低減効果に及ぼす影響関係、あるいは、2種類の自動車安全技術に乗員による回避行動を加えたときの乗員被害低減効果に及ぼす影響関係、等を統合的に評価することができない。
[プリクラッシュ試験方法とプリクラッシュ試験作用]
上記のように、衝突直前における制動減速度、および、衝突時における衝突減速度を併せて再現し、衝突安全技術と予防安全技術の総合評価を行うことが重要である。以下、これを反映する実施例1のプリクラッシュ試験方法を説明する。
上記のように、衝突直前における制動減速度、および、衝突時における衝突減速度を併せて再現し、衝突安全技術と予防安全技術の総合評価を行うことが重要である。以下、これを反映する実施例1のプリクラッシュ試験方法を説明する。
実施例1のプリクラッシュ試験方法は、衝突バリア1に向かうメインレール2に沿って台車走行路面3を移動可能なプリクラッシュ試験台車4を用い、プリクラッシュ試験台車4に、2脚の模擬シート5,5と、模擬シート5,5にシートベルト6,6を装着した状態で着座した試験ダミー7,7と、試験データ計測機器8と、を搭載して行う。プリクラッシュ試験方法を構成する手順は、「台車走行手順」と「台車減速手順」と「台車衝突手順」に分けられ、これらは一連の流れにより行われる。以下、図13〜図17に基づき、各手順を説明する。
前記台車走行手順は、図13に示すように、プリクラッシュ試験台車4を、メインレール2に沿って牽引ワイヤ11により牽引する牽引ワイヤシステムBにより、プリクラッシュ試験台車4の台車走行速度を、停止状態から台車減速を開始する目標台車走行速度域になるまで加速させる。つまり、この台車走行手順では、図16の(1.走行)に示すように、ワイヤ牽引によりプリクラッシュ試験台車4を加速走行させる。
この台車走行手順での目標台車走行速度域としては、例えば、助走区間での台車加速によりプリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始する時点までに到達する台車走行速度が、例えば、数km/h〜67km/hとなるように設定される。
この台車走行手順での目標台車走行速度域としては、例えば、助走区間での台車加速によりプリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始する時点までに到達する台車走行速度が、例えば、数km/h〜67km/hとなるように設定される。
前記台車減速手順は、図14に示すように、台車走行手順に続き、予め指定された位置で牽引ワイヤ11から切り離すことによりプリクラッシュ試験台車4をフリーラン状態とし、フリーラン状態のプリクラッシュ試験台車4に制動力を加える制動減速システムCにより、プリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を、目標制動減速度特性の設定範囲内に収まるように制御する。つまり、この台車減速手順では、図16の(2.減速)に示すように、両レールブレーキ12F,12Rと各タイヤブレーキ34を用いて行われる最大減速G,立ち上がり時間,持続時間の制御作用により、切り離しフリーラン状態のプリクラッシュ試験台車4の減速区間における制動減速度特性(プリクラッシュG)を制御する。
この台車減速手順での目標制動減速度特性(プリクラッシュG)としては、例えば、制動減速を開始するときの減速開始速度(例えば、67km/h)、プリクラッシュ試験台車4の制動減速開始からの立ち上がり時間(例えば、520msec)、制動減速の持続時間(例えば、400msec)、衝突直前の最大制動減速度(例えば、-0.8G)、という条件により規定した特性となるように設定される。
この台車減速手順での目標制動減速度特性(プリクラッシュG)としては、例えば、制動減速を開始するときの減速開始速度(例えば、67km/h)、プリクラッシュ試験台車4の制動減速開始からの立ち上がり時間(例えば、520msec)、制動減速の持続時間(例えば、400msec)、衝突直前の最大制動減速度(例えば、-0.8G)、という条件により規定した特性となるように設定される。
前記台車衝突手順は、図15に示すように、台車減速手順に続き、衝突バリア1とプリクラッシュ試験台車4の衝突面に設けられた衝突減速システムDにより、プリクラッシュ試験台車4が衝突減速を開始してから停止するまでの衝突区間の衝突減速度特性を、目標衝突減速度特性の許容範囲内に収まるように制御する。つまり、この台車衝突手順では、図16の(3.衝突)に示すように、複数本の衝撃緩衝用パイプ13と複数のターニングデバイス14を用いた衝突波形の制御作用により、プリクラッシュ試験台車4の衝突区間における衝突減速度特性(衝突G)が制御される。
この台車衝突手順での目標衝突減速度特性(衝突G)は、衝突減速を開始するときの衝突開始速度(例えば、48km/h)、衝突区間の持続時間(90msec)、衝突区間での平均衝突減速度(-28.0G)、により規定される衝突波形が、例えば、コリドーゾーン(一般的な車両衝突の評価基準)に収まるように規定される。
この台車衝突手順での目標衝突減速度特性(衝突G)は、衝突減速を開始するときの衝突開始速度(例えば、48km/h)、衝突区間の持続時間(90msec)、衝突区間での平均衝突減速度(-28.0G)、により規定される衝突波形が、例えば、コリドーゾーン(一般的な車両衝突の評価基準)に収まるように規定される。
上記プリクラッシュ試験方法におけるプリクラッシュ試験台車4のワイヤ動力牽引・牽引離脱・制動の各作用を、図17に基づき説明する。
・ワイヤ動力牽引作用は、図17(a)に示すように、牽引ワイヤ11と牽引ドリー27およびプリクラッシュ試験台車4は連結された状態で加速牽引される。
・牽引離脱作用は、図17(b)に示すように、メインレール2に設置されたドリーストッパ28をきっかけに、牽引ドリー27が牽引用アウトリガー17から離脱する。プリクラッシュ試験台車4は、ドリーストッパ28の位置に牽引ドリー27を残したままのフリーラン状態に入る。また、牽引ドリー27が牽引用アウトリガー17から離脱するとき、基準位置検出用キッカー42に基準位置キッカー43が接触し、集中制御盤80の動作を開始する。
・制動作用は、図17(c)に示すように、プリクラッシュ試験台車4のみがフリーラン状態(惰性走行状態)となり、離脱位置より任意遅延時間から制動を開始する。
・ワイヤ動力牽引作用は、図17(a)に示すように、牽引ワイヤ11と牽引ドリー27およびプリクラッシュ試験台車4は連結された状態で加速牽引される。
・牽引離脱作用は、図17(b)に示すように、メインレール2に設置されたドリーストッパ28をきっかけに、牽引ドリー27が牽引用アウトリガー17から離脱する。プリクラッシュ試験台車4は、ドリーストッパ28の位置に牽引ドリー27を残したままのフリーラン状態に入る。また、牽引ドリー27が牽引用アウトリガー17から離脱するとき、基準位置検出用キッカー42に基準位置キッカー43が接触し、集中制御盤80の動作を開始する。
・制動作用は、図17(c)に示すように、プリクラッシュ試験台車4のみがフリーラン状態(惰性走行状態)となり、離脱位置より任意遅延時間から制動を開始する。
上記プリクラッシュ試験方法では、衝突直前における制動減速度(台車減速手順)と衝突時における衝突減速度(台車衝突手順)が、1回の試験中に併せて再現される。言い換えると、予防安全と衝突安全という2種類の自動車安全技術を搭載した自動車による衝突時、減速から衝突へ至る状況を精度良く再現した融合試験になる。
ここで、具体例として、
・走行設定 67km/h → 衝突速度 48km/h
・プリクラッシュ加速度:0.8G
・プリクラッシュ区間(=減速区間):920msec
・衝突減速度:AVE.-28.0G、持続時間(=衝突区間):90msec
という条件により行った台車加速度特性の実験結果を図18に示す。
・走行設定 67km/h → 衝突速度 48km/h
・プリクラッシュ加速度:0.8G
・プリクラッシュ区間(=減速区間):920msec
・衝突減速度:AVE.-28.0G、持続時間(=衝突区間):90msec
という条件により行った台車加速度特性の実験結果を図18に示す。
この実験結果によれば、プリクラッシュ試験台車4の減速度が、立ち上がり時間520msecにて、目標とするプリクラッシュ加速度0.8G程度に達し、その後、400msecの持続時間は目標とするプリクラッシュ加速度0.8Gを維持した。つまり、減速区間であるプリクラッシュ区間920msecを、プリクラッシュ加速度0.8Gへの立ち上がり時間520msecと、プリクラッシュ加速度0.8Gの持続時間400msecに費やす手法により、衝突直前に狙いとするプリクラッシュ加速度0.8Gを達成した。
そして、衝突後は、急な勾配にて減速度が衝突減速度-28.0Gの領域まで上昇し、しばらくの間は衝突減速度-28.0Gの領域を維持し、その後、一気に0Gまで低下する衝突波形を示した。衝突区間である衝突持続時間90msecの間の衝突減速度平均値として、狙いとする約-28.0Gが得られた。また、衝突波形も図18の下限波形から上限波形までの間のコリドーゾーン(許容範囲)に収めることができた。
このように、衝突直前におけるプリクラッシュ加速度(例えば、0.8G)と衝突時における衝突減速度平均値(例えば、-28.0G)が、1回のプリクラッシュ試験中に併せて精度良く再現される。このため、例えば、1回のプリクラッシュ試験を行うだけで、予防安全技術と衝突安全技術の相互関連性をあらわす試験データを取得することが可能である。そして、取得した試験データに基づき、予防安全技術と衝突安全技術が乗員被害低減効果に及ぼす影響関係を、統合的に評価することができる。
また、実施例1のプリクラッシュ試験方法に用いるプリクラッシュ試験台車4には、2脚の模擬シート5,5と、2脚の模擬シート5,5にシートベルト6,6を装着して着座した2体の試験ダミー7,7と、2体の試験ダミー7,7による試験データを計測する試験データ計測機器8と、を台車ステージ4b上に搭載した。
このため、同一条件下での被害軽減ブレーキとプリクラッシュ・シートベルトの効果の比較およびダミー特性の差異の把握が容易となる。さらに、1回のプリクラッシュ試験にて2サンプルのデータ抽出となるため、試験回数の半減、および、ダミー設定条件の違い等による試験実施パターンのパターンマトリクスの作成が可能となる。
このため、同一条件下での被害軽減ブレーキとプリクラッシュ・シートベルトの効果の比較およびダミー特性の差異の把握が容易となる。さらに、1回のプリクラッシュ試験にて2サンプルのデータ抽出となるため、試験回数の半減、および、ダミー設定条件の違い等による試験実施パターンのパターンマトリクスの作成が可能となる。
さらに、実施例1のプリクラッシュ試験方法に用いるプリクラッシュ試験台車4には、台車走行速度を検出する台車走行速度センサ51と、制動減速度(低G)を検出する制動減速度センサ52と、衝突減速度(高G)を検出する衝突減速度センサ53を搭載した。
このため、プリクラッシュ試験中の牽引走行時および制動時の台車速度を検出することができるし、プリクラッシュ試験中の制動減速度と衝突減速度を精度良く検出することができる。この検出結果を試験データとして評価に反映させることで、評価精度の向上を図ることができる。また、検出信号を試験中の走行速度制御や制動減速度制御、等に反映させてフィードバック制御系を構築することで、狙いとする走行速度や制動減速度への一致性を高めることができる。
このため、プリクラッシュ試験中の牽引走行時および制動時の台車速度を検出することができるし、プリクラッシュ試験中の制動減速度と衝突減速度を精度良く検出することができる。この検出結果を試験データとして評価に反映させることで、評価精度の向上を図ることができる。また、検出信号を試験中の走行速度制御や制動減速度制御、等に反映させてフィードバック制御系を構築することで、狙いとする走行速度や制動減速度への一致性を高めることができる。
[ピッチング抑制方式による台車挙動安定化作用]
実施例1のように、プリクラッシュ試験を一連の流れによる「台車走行手順」と「台車減速手順」と「台車衝突手順」により行う場合、評価精度の高い測定データに基づき統一したダミー挙動解析、等を行う上で、繰り返し復元性の高い試験を行う必要がある。この繰り返し復元性の高い試験を行うためには、プリクラッシュ試験台車4の直進安定性と、プリクラッシュ試験台車4の走行・減速・衝突時における水平度保持機能が要求される。
実施例1のように、プリクラッシュ試験を一連の流れによる「台車走行手順」と「台車減速手順」と「台車衝突手順」により行う場合、評価精度の高い測定データに基づき統一したダミー挙動解析、等を行う上で、繰り返し復元性の高い試験を行う必要がある。この繰り返し復元性の高い試験を行うためには、プリクラッシュ試験台車4の直進安定性と、プリクラッシュ試験台車4の走行・減速・衝突時における水平度保持機能が要求される。
例えば、プリクラッシュ試験台車の4隅に配置される4輪のタイヤを、台車のサスペンションを介して支持されるエア封入タイヤとすると、プリクラッシュ試験において、加速走行のときには、重心が台車後方に移動して台車後方側が沈み込み、台車前方側が浮き上がる。一方、減速のときには、重心が台車前方に移動して台車前方側が沈み込み、台車後方側が浮き上がる。このように、台車に対しタイヤを弾性支持すると、プリクラッシュ試験中にプリクラッシュ試験台車が前後に揺れるピッチング現象が生じる。
これに対し、実施例1では、プリクラッシュ試験台車4の4隅に配置されるタイヤとして、リジッド支持による4輪のエアレスタイヤ15を採用した。このため、加速走行時や減速時において、エアレスタイヤ15と台車走行路面3とが接する4位置でのプリクラッシュ試験台車4の上下動が抑制される。この結果、制動/衝突時において、プリクラッシュ試験台車4の台車ピッチング現象を防止できる。
例えば、台車牽引方式として、メインレールを利用した中央牽引方式を採用し、サブレールを案内ガイドとしてプリクラッシュ試験台車の直進走行性を確保するようにした場合を想定する。この場合、台車の案内ガイド位置が、台車中心軸から偏心した位置となるため、プリクラッシュ試験台車の案内ガイド位置を中心とする台車揺れが許容されることにより、直進安定性が確保されないばかりでなく、プリクラッシュ試験中に台車ピッチング動作が生じる。
これに対し、実施例1では、プリクラッシュ試験中、メインレール2に対して押し付け嵌合状態を保ったままでレール面を転動可能に設定した段つき構造による前側走行補助ガイドローラー19Fと後側走行補助ガイドローラー19Rを、台車の前後位置に設定する構成を採用した。この両走行補助ガイドローラー19F,19Rを採用したことにより、下記に述べるように、直進安定性を確保できるし、制動/衝突ピッチング現象を防止できる。
両走行補助ガイドローラー19F,19Rは、図6に示すように、台車フレーム4aを車幅方向に振れさせないようにメインレール2に嵌合し、しかも、図4に示すように、プリクラッシュ試験台車4の前後位置に一対設定されている。このため、プリクラッシュ試験台車4の前部と後部のそれぞれの車幅方向振れが抑えられることで、台車の加減速走行にかかわらず、直進安定性を確保できる。
両走行補助ガイドローラー19F,19Rは、図5に示すように、第1エアシリンダー24のロッドを伸長させることで、メインレール2のレール面に押し付ける力が与えられる。このため、プリクラッシュ試験台車4は、4つのエアレスタイヤ15と2つの走行補助ガイドローラー19F,19Rの合計6輪により台車重量を分担して支持されることになる。そして、台車の加減速走行により両走行補助ガイドローラー19F,19Rに外乱が入力されても、外乱入力が両走行補助ガイドローラー19F,19Rの押し付け力を超えない限り、両走行補助ガイドローラー19F,19Rはメインレール2のレール面への押し付け状態が保たれる。この結果、プリクラッシュ試験台車4のピッチング動作が抑えられ、制動/衝突ピッチング現象を防止できる。
このように、実施例1では、台車挙動安定化対策として、リジッド支持による4輪のエアレスタイヤ15と、前後一対の両走行補助ガイドローラー19F,19Rと、によるピッチング抑制方式を採用したことで、プリクラッシュ試験台車4に対する要求性能である直進安定性と水平度保持機能を併せて達成することができる。
[アウトリガー偏心牽引方式による台車走行制御作用]
プリクラッシュ試験での台車走行制御の際は、サブレール25に内挿配置され牽引ワイヤ11を用い、メインレール2に沿ってプリクラッシュ試験台車4を牽引することにより走行状態とする。そして、サブレール25の指定位置に設定したドリーストッパ28に牽引ドリー27が接触することにより、牽引用アウトリガー17と牽引ワイヤ11の連結を切り離すことによりフリーラン状態とする。
プリクラッシュ試験での台車走行制御の際は、サブレール25に内挿配置され牽引ワイヤ11を用い、メインレール2に沿ってプリクラッシュ試験台車4を牽引することにより走行状態とする。そして、サブレール25の指定位置に設定したドリーストッパ28に牽引ドリー27が接触することにより、牽引用アウトリガー17と牽引ワイヤ11の連結を切り離すことによりフリーラン状態とする。
例えば、台車牽引方式として、メインレールを利用した中央牽引方式を採用した場合を想定する。この場合、プリクラッシュ試験台車の下面に存在するメインレールのスペースが牽引ワイヤ等により占有され、メインレールのスペースを、台車牽引以外の用途に活用することができない。
これに対し、実施例1では、台車牽引方式として、牽引用アウトリガー17と牽引ワイヤ11と牽引ドリー27を備えたアウトリガー偏心牽引方式を採用した。このため、プリクラッシュ試験台車4の下面に存在するメインレール2のスペースが牽引ワイヤ11等により占有されることなく、プリクラッシュ試験台車4とメインレール2の間に形成されるスペースを、台車牽引以外の用途に有効活用することができる。具体的なスペース有効活用例としては、実施例1で示すように、プリクラッシュ試験台車4の下面であって台車中心軸L上に、台車挙動安定化を図るための両走行補助ガイドローラー19F,19Rを設定し、制動減速度制御のために両レールブレーキ12F,12Rを設定している。
また、牽引ワイヤ11と牽引ドリー27がサブレール25に内挿配置されているため、牽引用アウトリガー17がプリクラッシュ試験台車4の側面から突出するだけで、他の構成要素がサブレール25から露出せず、アウトリガー偏心牽引方式としながら良好な試験環境を確保することができる。
[デュアルブレーキ方式による制動減速度制御作用]
プリクラッシュ試験での制動減速度制御の際は、フリーラン状態のプリクラッシュ試験台車4に対し、主にレールブレーキ12を用いて制動力を加えることにより、プリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御する。
プリクラッシュ試験での制動減速度制御の際は、フリーラン状態のプリクラッシュ試験台車4に対し、主にレールブレーキ12を用いて制動力を加えることにより、プリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御する。
このとき、実施例1では、制動減速システムCとして、プリクラッシュ試験台車4とメインレール2との間で制動力を得る両レールブレーキ12F,12Rと、プリクラッシュ試験台車4と各タイヤ軸18との間で制動力を得る各タイヤブレーキ34と、を備えたデュアルブレーキ方式のシステムを採用した。そして、制動減速度特性の制御は、両レールブレーキ12F,12Rと各タイヤブレーキ34に対し2系統の独立したブレーキ制御油圧により行うようにしている。
例えば、プリクラッシュ試験台車は、繰り返しの試験に対応できるように耐衝撃構造として設計されており、付属の模擬シート等を含めると、総重量は、2ton〜3tonまでになるというように、市販されている一般の乗用車よりも重くなる。したがって、乗用車でのニュートラル走行に相当するフリーラン状態としても、プリクラッシュ試験台車の持つ高い慣性力を上回るだけの制動力を、プリクラッシュ試験台車に与えないと、減速させることができない。
また、乗用車では、4輪にブレーキ油圧を付与するタイヤブレーキにより制動力を得て減速している。しかし、仮にプリクラッシュ試験台車にタイヤブレーキのみを設定し、制動減速度を得ようとすると、4輪のタイヤに付与するブレーキ油圧を相当に高い油圧にする必要がある。この場合、制動減速度を得る台車減速手順において、4輪のタイヤが制動ロック状態に陥り、台車走行路面との摩擦により、4輪のタイヤに偏摩耗を生じ、それ以降のプリクラッシュ試験に対応できなくなる。さらに、タイヤブレーキの場合、タイヤと台車走行路面の間の摩擦係数が変動すると、その影響を受けて同じ油圧を付与しても制動力が変動し、制動減速度特性を繰り返して再現できなくなる。
これに対し、実施例1では、主ブレーキを両レールブレーキ12F,12Rとし、従ブレーキを各タイヤブレーキ34とし、2系統の独立したブレーキ油圧の制御を行うデュアルブレーキ方式のブレーキシステムを採用した。このため、制動減速度を得る台車減速手順において、両レールブレーキ12F,12Rを優先して用いることで、4輪のタイヤが制動ロック状態に陥ることなく、また、エアレスタイヤ15と台車走行路面3との間の摩擦係数変動影響を受けることなく、所望の制動減速度特性を高い再現性にて得ることができる。また、所望の制動減速度を得るのに、主ブレーキである両レールブレーキ12F,12Rによる制動力のみでは不足するときに、従ブレーキである各タイヤブレーキ34を併用することにより、高い慣性力を持つプリクラッシュ試験台車4を、慣性力を超える制動力により減速させることができる。さらに、両レールブレーキ12F,12Rと各タイヤブレーキ34を併用することにより、様々なパターンにより目標制動減速度特性が設定されても、制動力の制御自由度の高さにより、これに対応することができる。
[衝撃緩衝方式による衝突減速度制御作用]
プリクラッシュ試験での衝突減速度制御の際は、衝突バリア1とプリクラッシュ試験台車4の衝突面に設けられた衝突減速システムDにより、プリクラッシュ試験台車4が衝突減速を開始してから停止するまでの衝突区間の衝突減速度特性を制御する。
プリクラッシュ試験での衝突減速度制御の際は、衝突バリア1とプリクラッシュ試験台車4の衝突面に設けられた衝突減速システムDにより、プリクラッシュ試験台車4が衝突減速を開始してから停止するまでの衝突区間の衝突減速度特性を制御する。
このとき、実施例1では、衝突減速システムDとして、衝突バリア1の衝突面に設けられた複数本の衝撃緩衝用パイプ13と、プリクラッシュ試験台車4の衝突面に設けられた複数のターニングデバイス14と、を有する。このうち、複数本の衝撃緩衝用パイプ13は、衝突バリア1の衝突壁面に着脱可能に設けられ、衝突時に180°の折り返し変形が進行する。一方、複数のターニングデバイス14は、プリクラッシュ試験台車4の最前面位置に突出して設けられ、衝突時に衝撃緩衝用パイプ13の開口端と符合して180°の折り返し変形の進行を促す円錐形状を持つ。
このため、衝突時、図15に示すように、ターニングデバイス14が衝撃緩衝用パイプ13に差し込まれると、衝撃緩衝用パイプ13が座屈により変形することなく、パイプ形状を保ったままの180°の折り返し変形となり、その後、180°の折り返し変形量が徐々に増して変形が進行する。つまり、衝撃緩衝用パイプ13の変形パターンが、繰り返し試験を行っても同じ180°の折り返し変形パターンとなることで、衝突Gに応じた衝突波形(衝突減速度特性の波形)を、高い再現性により得ることができる。
さらに、実施例1では、衝撃緩衝用パイプ13は、衝突バリア1に固定されたパイプホルダ50に着脱可能に設けられていて、複数本の衝撃緩衝用パイプ13の本数,材質,肉厚および硬度のうち、少なくとも1つの要素を選定するシステム設定により衝突減速度特性の制御を行うようにしている。
このため、4本の衝撃緩衝用パイプ13を用いた衝突Gより低い衝突Gを試験条件とするときは、例えば、衝撃緩衝用パイプ13(アルミパイプ)の材質,肉厚,硬度は変えないで、設定本数だけを4本から3本へと減らすことにより、低い衝突Gを試験条件に調整することができるというように、衝突Gのコントロールを容易に行うことができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のプリクラッシュ試験台車4を用いたプリクラッシュ試験装置(台車試験装置の一例)にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
実施例1のプリクラッシュ試験台車4を用いたプリクラッシュ試験装置(台車試験装置の一例)にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 台車走行路面3に敷設されたガイドレール(メインレール2)に沿ってタイヤ走行する試験台車(プリクラッシュ試験台車4)を用いた台車試験装置において、
前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムCを設け、
前記制動減速システムCは、前記ガイドレール(メインレール2)を挟み込むブレーキキャリパー(第1ブレーキキャリパー30,30)により油圧制動力を得るレールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)を有する。
このため、走行中、予め定められた減速区間において高い再現性により試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の制動減速度特性の制御を行うことができる。
前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムCを設け、
前記制動減速システムCは、前記ガイドレール(メインレール2)を挟み込むブレーキキャリパー(第1ブレーキキャリパー30,30)により油圧制動力を得るレールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)を有する。
このため、走行中、予め定められた減速区間において高い再現性により試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の制動減速度特性の制御を行うことができる。
(2) 前記ガイドレールは、前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の車幅方向中心点の集合である台車中心軸Lの真下位置に沿って台車走行路面3に敷設されたメインレール2であり、
前記レールブレーキは、前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の台車中心軸Lの前後位置に配置され、台車前側位置と前記メインレール2との間で油圧制動力を得る前側レールブレーキ12Fと、台車後側位置と前記メインレール2との間で油圧制動力を得る後側レールブレーキ12Rと、を備えた。
このため、上記(1)の効果に加え、台車前後位置でバランスのとれた油圧制動力が付与されることにより、制動減速による試験台車(プリクラッシュ試験台車4)のピッチ挙動を抑えることができる。
前記レールブレーキは、前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の台車中心軸Lの前後位置に配置され、台車前側位置と前記メインレール2との間で油圧制動力を得る前側レールブレーキ12Fと、台車後側位置と前記メインレール2との間で油圧制動力を得る後側レールブレーキ12Rと、を備えた。
このため、上記(1)の効果に加え、台車前後位置でバランスのとれた油圧制動力が付与されることにより、制動減速による試験台車(プリクラッシュ試験台車4)のピッチ挙動を抑えることができる。
(3) 前記制動減速システムCは、前記メインレール2を挟み込むブレーキキャリパー(第1ブレーキキャリパー30,30)により油圧制動力を得るレールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)に加え、前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の各タイヤ(エアレスタイヤ15)のタイヤ軸8に固定したブレーキディスク32を挟み込むブレーキキャリパー(第2ブレーキキャリパー33)により油圧制動力を得るタイヤブレーキ34を備えた。
このため、上記(2)の効果に加え、高い慣性力を持つ試験台車(プリクラッシュ試験台車4)であっても、慣性力を超える制動力により減速させることができる。さらに、目標制動減速度特性の設定が変更されても、制動力の制御幅の広さにより、これに対応することができる。
このため、上記(2)の効果に加え、高い慣性力を持つ試験台車(プリクラッシュ試験台車4)であっても、慣性力を超える制動力により減速させることができる。さらに、目標制動減速度特性の設定が変更されても、制動力の制御幅の広さにより、これに対応することができる。
(4) 前記制動減速システムCは、前記レールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)への制動油圧を制御するレールブレーキ油圧制御手段(デジタルカウンタ61R、ソレノイドバルブ62R、デジタルレギュレータ63R、ブースター64R)と、前記タイヤブレーキ34への制動油圧を制御するタイヤブレーキ油圧制御手段(デジタルカウンタ61T、ソレノイドバルブ62T、デジタルレギュレータ63T、ブースター64T)と、を設け、
前記レールブレーキ油圧制御手段(61R、62R、63R、64R)と前記タイヤブレーキ油圧制御手段(61T、62T、63T、64T)は、前記レールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)と前記タイヤブレーキ34によるデュアルブレーキに対してそれぞれ独立に制動油圧を制御する(図10)。
このため、上記(3)の効果に加え、レールブレーキ優先制御により、4輪のタイヤ(エアレスタイヤ15)が制動ロック状態に陥ることなく、所望の制動減速度特性を繰り返し再現により安定して得ることができる。さらに、様々なパターンにより目標制動減速度特性が設定されても、制動力の制御自由度の高さにより、これに対応することができる。
前記レールブレーキ油圧制御手段(61R、62R、63R、64R)と前記タイヤブレーキ油圧制御手段(61T、62T、63T、64T)は、前記レールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)と前記タイヤブレーキ34によるデュアルブレーキに対してそれぞれ独立に制動油圧を制御する(図10)。
このため、上記(3)の効果に加え、レールブレーキ優先制御により、4輪のタイヤ(エアレスタイヤ15)が制動ロック状態に陥ることなく、所望の制動減速度特性を繰り返し再現により安定して得ることができる。さらに、様々なパターンにより目標制動減速度特性が設定されても、制動力の制御自由度の高さにより、これに対応することができる。
(5) 前記レールブレーキ(両レールブレーキ12F,12R)は、前記メインレール2より上方の台車収納位置と、前記メインレール2をブレーキキャリパー(第1ブレーキキャリパー30,30)により挟み込む油圧制動位置と、の間で昇降動作を行うブレーキ昇降機構(第2エアシリンダー41等)を有する。
このため、上記(2)〜(4)の効果に加え、1つの試験台車(プリクラッシュ試験台車4)を用意するだけで、制動減速を用いない試験(例えば、衝突試験)と制動減速を用いる試験(例えば、プリクラッシュ試験)で兼用し、有効に使い分けることができる。
このため、上記(2)〜(4)の効果に加え、1つの試験台車(プリクラッシュ試験台車4)を用意するだけで、制動減速を用いない試験(例えば、衝突試験)と制動減速を用いる試験(例えば、プリクラッシュ試験)で兼用し、有効に使い分けることができる。
(6) 前記試験台車(プリクラッシュ試験台車4)に、前記メインレール2に沿って移動するときの台車ピッチ挙動の安定性を確保する台車挙動安定システムAを設け、
前記台車挙動安定システムAは、前記メインレール2に対して押し付け嵌合状態を保ったままでレール面を転動可能に設定した走行補助ガイドローラー(両走行補助ガイドローラー19F,19R)を有する。
このため、上記(2)〜(5)の効果に加え、試験中、試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の高精度な走行直進安定性の保持、および、試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の制動ピッチング現象を防止することができる。
前記台車挙動安定システムAは、前記メインレール2に対して押し付け嵌合状態を保ったままでレール面を転動可能に設定した走行補助ガイドローラー(両走行補助ガイドローラー19F,19R)を有する。
このため、上記(2)〜(5)の効果に加え、試験中、試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の高精度な走行直進安定性の保持、および、試験台車(プリクラッシュ試験台車4)の制動ピッチング現象を防止することができる。
(7) 前記試験台車は、試験ダミー7を搭載し、衝突バリア1に向かう台車走行路面3に敷設した前記メインレール2に沿ってタイヤ走行可能であるプリクラッシュ試験台車4であり、
前記プリクラッシュ試験台車4を牽引ワイヤ11により牽引することにより走行状態とし、牽引ワイヤ11から前記プリクラッシュ試験台車4を切り離すことによりフリーラン状態とする牽引ワイヤシステムBを設け、
前記制動減速システムCは、前記フリーラン状態の前記プリクラッシュ試験台車4に制動力を加えることにより、前記プリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御する。
このため、上記(6)の効果に加え、制動減速度と衝突減速度の再現により、被害軽減ブレーキ等による自動車の予防安全技術が、衝突時の乗員被害に与える影響を総合評価するプリクラッシュ試験を行うことができる。
前記プリクラッシュ試験台車4を牽引ワイヤ11により牽引することにより走行状態とし、牽引ワイヤ11から前記プリクラッシュ試験台車4を切り離すことによりフリーラン状態とする牽引ワイヤシステムBを設け、
前記制動減速システムCは、前記フリーラン状態の前記プリクラッシュ試験台車4に制動力を加えることにより、前記プリクラッシュ試験台車4が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御する。
このため、上記(6)の効果に加え、制動減速度と衝突減速度の再現により、被害軽減ブレーキ等による自動車の予防安全技術が、衝突時の乗員被害に与える影響を総合評価するプリクラッシュ試験を行うことができる。
以上、本発明の台車試験装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、試験台車として、制動減速と衝突減速の再現を意図するプリクラッシュ試験台車4の例を示した。しかし、衝突減速の再現を意図する衝突試験台車であって、この衝突試験台車に制動減速機能を与えるような例としても良い。また、衝突させることなく加速走行状態や減速走行状態を再現する走行試験台車であって、この走行試験台車に減速制動停止機能を与えるような例としても良い。
実施例1では、プリクラッシュ試験台車4がフリーラン状態で制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御する例を示した。しかし、制動減速度特性を制御する減速区間は、全走行区間のうち、予め定められた減速区間であれば前期・中期・後期の何れの区間であっても良い。
実施例1では、制動減速システムCのレールブレーキとして、プリクラッシュ試験台車4の台車中心軸Lの前後位置に配置された前側レールブレーキ12Fと後側レールブレーキ12Rを備えた例を示した。しかし、制動減速システムCのレールブレーキとしては、1つのレールブレーキによる例であっても良いし、また、3以上のレールブレーキによる例であっても良い。さらに、レールブレーキは、試験台車の台車中心軸から離れた位置に配置しても良いし、試験台車の台車中心軸から車幅方向に離れた対称位置に配置しても良い。
実施例1では、制動減速システムCとして、両レールブレーキ12F,12Rに各タイヤブレーキ34を加えたデュアルブレーキシステムとする例を示した。しかし、制動減速システムCとして、レールブレーキのみを用いる例としても良い。さらに、制動減速システムCとして、レールブレーキにタイヤブレーキ以外のブレーキを加えたデュアルブレーキシステムとする例としても良い。
実施例1では、両レールブレーキ12F,12Rに、台車収納位置と油圧制動位置との間で昇降動作を行うブレーキ昇降機構を有する例を示した。しかし、レールブレーキが台車に固定されているような例であっても良い。
実施例1では、プリクラッシュ試験台車4に、メインレール2に沿って移動するときの台車ピッチ挙動の安定性を確保する台車挙動安定システムA(両走行補助ガイドローラー19F,19R)を設けた例を示した。しかし、試験台車に台車挙動安定システムを設けない例としても良いし、また、試験台車に走行補助ガイドローラー以外の台車挙動安定システムを設けるような例としても良い。
A 台車挙動安定システム
B 牽引ワイヤシステム
C 制動減速システム
D 衝突減速システム
1 衝突バリア
2 メインレール(ガイドレール)
3 台車走行路面
4 プリクラッシュ試験台車(試験台車)
4a 台車フレーム
4b 台車ステージ
5 模擬シート
6 シートベルト
7 試験ダミー
8 試験データ計測機器
11 牽引ワイヤ
12F 前側レールブレーキ(レールブレーキ)
12R 後側レールブレーキ(レールブレーキ)
13 衝撃緩衝用パイプ
14 ターニングデバイス
15 エアレスタイヤ(タイヤ)
17 牽引用アウトリガー
18 タイヤ軸
19F 前側走行補助ガイドローラー(走行補助ガイドローラー)
19R 後側走行補助ガイドローラー(走行補助ガイドローラー)
25 サブレール
26 牽引モータ
27 牽引ドリー
28 ドリーストッパ
30 第1ブレーキキャリパー(ブレーキキャリパー)
33 第2ブレーキキャリパー(ブレーキキャリパー)
34 タイヤブレーキ
51 台車走行速度センサ
52 制動減速度センサ
53 衝突減速度センサ
L 台車中心軸
B 牽引ワイヤシステム
C 制動減速システム
D 衝突減速システム
1 衝突バリア
2 メインレール(ガイドレール)
3 台車走行路面
4 プリクラッシュ試験台車(試験台車)
4a 台車フレーム
4b 台車ステージ
5 模擬シート
6 シートベルト
7 試験ダミー
8 試験データ計測機器
11 牽引ワイヤ
12F 前側レールブレーキ(レールブレーキ)
12R 後側レールブレーキ(レールブレーキ)
13 衝撃緩衝用パイプ
14 ターニングデバイス
15 エアレスタイヤ(タイヤ)
17 牽引用アウトリガー
18 タイヤ軸
19F 前側走行補助ガイドローラー(走行補助ガイドローラー)
19R 後側走行補助ガイドローラー(走行補助ガイドローラー)
25 サブレール
26 牽引モータ
27 牽引ドリー
28 ドリーストッパ
30 第1ブレーキキャリパー(ブレーキキャリパー)
33 第2ブレーキキャリパー(ブレーキキャリパー)
34 タイヤブレーキ
51 台車走行速度センサ
52 制動減速度センサ
53 衝突減速度センサ
L 台車中心軸
Claims (7)
- 台車走行路面に敷設されたガイドレールに沿ってタイヤ走行する試験台車を用いた台車試験装置において、
前記試験台車に、全走行区間のうち、予め定められた減速区間の制動減速度特性を制御する制動力を加える制動減速システムを設け、
前記制動減速システムは、前記ガイドレールを挟み込むブレーキキャリパーにより油圧制動力を得るレールブレーキを有することを特徴とする台車試験装置。 - 請求項1に記載された台車試験装置において、
前記ガイドレールは、前記試験台車の車幅方向中心点の集合である台車中心軸の真下位置に沿って台車走行路面に敷設されたメインレールであり、
前記レールブレーキは、前記試験台車の台車中心軸の前後位置に配置され、台車前側位置と前記メインレールとの間で油圧制動力を得る前側レールブレーキと、台車後側位置と前記メインレールとの間で油圧制動力を得る後側レールブレーキと、を備えたことを特徴とする台車試験装置。 - 請求項2に記載された台車試験装置において、
前記制動減速システムは、前記メインレールを挟み込むブレーキキャリパーにより油圧制動力を得るレールブレーキに加え、前記試験台車の各タイヤのタイヤ軸に固定したブレーキディスクを挟み込むブレーキキャリパーにより油圧制動力を得るタイヤブレーキを備えたことを特徴とする台車試験装置。 - 請求項3に記載された台車試験装置において、
前記制動減速システムは、前記レールブレーキへの制動油圧を制御するレールブレーキ油圧制御手段と、前記タイヤブレーキへの制動油圧を制御するタイヤブレーキ油圧制御手段と、を設け、
前記レールブレーキ油圧制御手段と前記タイヤブレーキ油圧制御手段は、前記レールブレーキと前記タイヤブレーキによるデュアルブレーキに対してそれぞれ独立に制動油圧を制御することを特徴とする台車試験装置。 - 請求項2から請求項4までの何れか1項に記載された台車試験装置において、
前記レールブレーキは、前記メインレールより上方の台車収納位置と、前記メインレールをブレーキキャリパーにより挟み込む油圧制動位置と、の間で昇降動作を行うブレーキ昇降機構を有することを特徴とする台車試験装置。 - 請求項2から請求項5までの何れか1項に記載された台車試験装置において、
前記試験台車に、前記メインレールに沿って移動するときの台車ピッチ挙動の安定性を確保する台車挙動安定システムを設け、
前記台車挙動安定システムは、前記メインレールに対して押し付け嵌合状態を保ったままでレール面を転動可能に設定した走行補助ガイドローラーを有することを特徴とする台車試験装置。 - 請求項6に記載された台車試験装置において、
前記試験台車は、試験ダミーを搭載し、衝突バリアに向かう台車走行路面に敷設した前記メインレールに沿ってタイヤ走行可能であるプリクラッシュ試験台車であり、
前記プリクラッシュ試験台車を牽引ワイヤにより牽引することにより走行状態とし、牽引ワイヤから前記プリクラッシュ試験台車を切り離すことによりフリーラン状態とする牽引ワイヤシステムを設け、
前記制動減速システムは、前記フリーラン状態の前記プリクラッシュ試験台車に制動力を加えることにより、前記プリクラッシュ試験台車が制動減速を開始してから衝突直前に達するまでの減速区間の制動減速度特性を制御することを特徴とする台車試験装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010101627A JP2011232117A (ja) | 2010-04-27 | 2010-04-27 | 台車試験装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010101627A JP2011232117A (ja) | 2010-04-27 | 2010-04-27 | 台車試験装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011232117A true JP2011232117A (ja) | 2011-11-17 |
Family
ID=45321584
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010101627A Pending JP2011232117A (ja) | 2010-04-27 | 2010-04-27 | 台車試験装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2011232117A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011232116A (ja) * | 2010-04-27 | 2011-11-17 | Japan Automobile Research Inst Inc | プリクラッシュ試験方法とプリクラッシュ試験装置 |
CN110082130A (zh) * | 2019-05-30 | 2019-08-02 | 太仓市恒博金属制品有限公司 | 一种防碰撞试验装置 |
-
2010
- 2010-04-27 JP JP2010101627A patent/JP2011232117A/ja active Pending
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JP2011232116A (ja) * | 2010-04-27 | 2011-11-17 | Japan Automobile Research Inst Inc | プリクラッシュ試験方法とプリクラッシュ試験装置 |
CN110082130A (zh) * | 2019-05-30 | 2019-08-02 | 太仓市恒博金属制品有限公司 | 一种防碰撞试验装置 |
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