JP2011230613A - 前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置 - Google Patents

前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現する前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置を提供する。
【解決手段】後輪32を含む駆動系の振動が検出された場合には、電子制御カップリング26の伝達トルクを低減する制御を行うと共に、その伝達トルクが後輪32の路面伝達トルクの推定値TROよりも大きくなるように電子制御カップリング26の作動を制御するものであることから、必要十分なトルクが副駆動輪である後輪32側に伝達されることで主駆動輪である前輪22にスリップが発生するのを好適に抑制することができる。すなわち、駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現する前後輪駆動車両8の駆動力配分制御装置を提供することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置に関し、特に、駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現するための改良に関する。
例えば、4輪駆動状態と2輪駆動状態とを選択したり、或いはその4輪駆動状態において前輪と後輪との間の動力配分率を制御したりするためにプロペラシャフトに直列に配設される電磁式クラッチ装置のように、駆動力源により発生させられた駆動力の主駆動輪及び副駆動輪への配分を制御できる駆動力配分装置を備えた前後輪駆動車両が知られている。また、斯かる駆動力配分装置の制御に関して、好適な駆動力配分を行って走行性能を向上させるための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された4輪駆動車の駆動力配分制御装置がそれである。この技術によれば、駆動系の振動が検出された場合には、従駆動輪(副駆動輪)に配分する駆動力を低減する制御を行うことで、従駆動輪のスリップを抑制して好適な走行性能を実現できるとされている。
特開2004−268738号公報 特開昭62−59125号公報 特開2006−175917号公報 特開2005−96565号公報
しかし、前記従来の技術において、副駆動輪に配分する駆動力を低減させ過ぎた場合、駆動力源により発生させられた駆動力が比較的多く主駆動輪に伝達されることとなり、その主駆動輪にスリップが発生して走行性能が低下するという新たな弊害を生じさせるおそれがあった。このため、駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現する前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置の開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現する前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、駆動力源により発生させられた駆動力の主駆動輪及び副駆動輪への配分を制御する駆動力配分装置を備えた前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置であって、前記副駆動輪を含む駆動系の振動が検出された場合には、前記駆動力配分装置の伝達トルクを低減する制御を行うと共に、その伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値よりも大きくなるように前記駆動力配分装置の作動を制御することを特徴とするものである。
このようにすれば、前記副駆動輪を含む駆動系の振動が検出された場合には、前記駆動力配分装置の伝達トルクを低減する制御を行うと共に、その伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値よりも大きくなるように前記駆動力配分装置の作動を制御するものであることから、必要十分なトルクが副駆動輪側に伝達されることで主駆動輪にスリップが発生するのを好適に抑制することができる。すなわち、駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現する前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置を提供することができる。
ここで、好適には、前記伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値に所定の加算値を加算した値となるように前記駆動力配分装置の作動を制御するものである。このようにすれば、必要十分なトルクが副駆動輪側に伝達されることで主駆動輪にスリップが発生するのを好適に抑制することができる。
また、好適には、前記加算値は、前記副駆動輪の車軸慣性にその副駆動輪の加速度を乗算した値である。このようにすれば、実用的な態様で副駆動輪側に伝達される必要十分なトルクを決定することができる。
また、好適には、前記路面伝達トルクの推定値は、予め定められた関係から走行路面の摩擦係数及び前記副駆動輪の車軸にかかる荷重に基づいて推定されるものである。このようにすれば、実用的な態様で前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値を求めることができる。
また、好適には、前記伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値よりも大きく且つ予め定められた駆動系の疲労限界トルク以下となるように前記駆動力配分装置の作動を制御するものである。このようにすれば、前記伝達トルクを疲労限界トルク以下に抑えることで、装置の耐久性を保証しつつ必要十分なトルクを副駆動輪側へ伝達することができる。
本発明が好適に適用される前置エンジン前輪駆動を基本とする前後輪駆動車両に備えられた駆動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 本発明が好適に適用される電子制御カップリングの構成例を説明する概略断面図である。 図2の電子制御カップリングに備えられた電磁ソレノイドに供給される制御電流と伝達トルクとの関係を示すヒステリシス曲線である。 図1の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 従来の技術における副駆動輪を含む駆動系のねじり振動の発生メカニズムについて説明する図である。 図1の駆動系にねじり振動が検出された場合において電子制御装置により実行される本実施例の制御を例示するタイムチャートである。 図1の電子制御装置による本実施例の制御の効果である副駆動輪を含む駆動系のねじり振動の低減について説明する図である。 図1の電子制御装置による本実施例の伝達トルク低減制御の要部について説明するフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両8(以下、単に車両8という)に備えられた駆動力伝達装置10の構成を説明する骨子図である。この図1に示すように、斯かる駆動力伝達装置10において、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルク(駆動力)は、トルクコンバータ14、変速機16、前輪用差動装置18、及び左右1対の前輪車軸20を介して左右1対の前輪22へ伝達される一方、駆動力伝達軸であるプロペラシャフト24、前後輪駆動力配分装置である電子制御カップリング26(以下、単にカップリング26という)、後輪用差動装置28、及び左右1対の後輪車軸30を介して左右1対の後輪32へ伝達される。また、上記駆動力伝達装置10には、上記カップリング26を制御するための電子制御装置34が設けられている。すなわち、図1に示す駆動力伝達装置10は、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルクを走行状態に応じて主駆動輪としての前輪22及び副駆動輪(従駆動輪)としての後輪32に配分する電子制御トルクスプリット式四輪駆動車両の駆動系の一例である。
上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ14は、例えば、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車と、上記変速機16の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチを介して変速機ケースに固定されたステータ翼車とを、備えており、上記ポンプ翼車とタービン翼車との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。また、上記変速機16は、例えば、複数の摩擦係合要素を備え、それら摩擦係合要素の係合又は解放の組み合わせに応じて複数の変速比を選択的に成立させて、入力軸から入力された駆動力を変速して出力させる自動変速機である。
前記電子制御装置34は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、例えば、前記カップリング26に備えられた電磁ソレノイド62に供給される電流の指令値を制御することによるそのカップリング26の伝達トルク制御等、すなわち前記駆動力伝達装置10による前後輪駆動に関する各種制御を実行する。斯かる制御を実行するために、前記動力伝達装置10には、前記左右1対の前輪22及び後輪32それぞれの実際の回転速度(回転角速度)ωを検出する車輪速センサ36、図示しないステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサ38、図示しないアクセルペダルの踏込量に対応するアクセル開度を検出するアクセル開度センサ40、前記前後輪駆動車両8の実際の横方向G(加速度)を検出するヨーセンサ42、及びその前後輪駆動車両8の実際の前後方向G(加速度)を検出する前後Gセンサ44等の各種センサが設けられており、それぞれのセンサから前後左右4つの車輪22、32それぞれの回転角速度ωを表す信号、ステアリング操舵角を表す信号、アクセル開度ACCを表す信号、車両の横Gを表す信号、及び車両の前後Gを表す信号等が前記電子制御装置34へ供給されるようになっている。
図2は、前記カップリング26の構成例を説明する概略断面図である。この図2に示すように、前記カップリング26は、前記プロペラシャフト24と同軸に且つ一体的に形成されたカバー部材である第1ハウジング60と、電磁ソレノイド62を含みその第1ハウジング60の内周側に固設された第2ハウジング64と、上記第1ハウジング60と同軸にその軸心まわりに相対回転可能に配設された中心軸乃至後輪側回転軸としての出力シャフト66と、その出力シャフト66と同軸にその軸心まわりに相対回転可能に配設された制御カム68と、上記第1ハウジング60と制御カム68との相対回転を阻止したりスリップさせたりするための制御クラッチ70と、上記第2ハウジング64との間にその制御クラッチ70を構成するクラッチプレートを挟圧するために上記出力シャフト66と同軸にその軸心方向に相対移動可能に配設された環状鉄片であるアーマチュア72と、上記第1ハウジング60と出力シャフト66との相対回転を阻止したりスリップさせたりするためのメインクラッチ74と、上記第1ハウジング60との間にそのメインクラッチ74を構成するクラッチプレートを挟圧するために上記出力シャフト66と同軸にその軸心まわりの相対回転不能且つ軸心方向の相対移動可能に配設されたメインカム76とを、備えて構成されている。また、上記制御カム68及びメインカム76の相対向する側にはそれぞれのカム面に対応する複数の凹部が形成されており、その制御カム68とメインカム76の間には各凹部に嵌め入れられるように複数のボール78が配設されている。
以上のように構成されたカップリング26において、上記電磁ソレノイド62が非励磁状態である場合には、上記制御クラッチ70及びメインクラッチ74の何れも非係合状態とされるため、前記プロペラシャフト24の駆動力は上記出力シャフト66に伝達されないが、上記電磁ソレノイド62が励磁状態である場合には、その電磁ソレノイド62の周囲に磁束が生じることにより、上記アーマチュア72が第2ハウジング64側へ引き付けられて上記制御クラッチ70が上記電磁ソレノイド62への制御電流に応じて係合或いはスリップさせられる。その制御クラッチ70が係合させられた後、上記制御カム68とメインカム76との間に回転速度差が生じると、上記ボール78が制御カム68における凹部の斜面に押されてメインカム76側へ押し付けられ、延いてはそのメインカム76が前記プロペラシャフト24側へ押し付けられて上記メインクラッチ74が係合させられ、前記プロペラシャフト24の駆動力が上記出力シャフト66に伝達される。
前記カップリング26により伝達される伝達トルクは、前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流に対応して例えば図3に示すようなヒステリシス曲線で現される変化を示す。すなわち、前記電磁ソレノイド62に供給される電流が比較的小さい場合には、前記アーマチュア72が第2ハウジング64側へ引き付けられる力が比較的弱く、前記制御クラッチ70の係合力が比較的小さいことから、前記制御カム68とメインカム76との間の回転速度差が小さくなり、延いては前記メインカム76がプロペラシャフト24側へ押し付けられる力が比較的弱くなって伝達トルクは比較的小さくなるが、前記電磁ソレノイド62に供給される電流が比較的大きい場合には、前記アーマチュア72が第2ハウジング64側へ引き付けられる力が比較的強く、前記制御クラッチ70の係合力が比較的大きいことから、前記制御カム68とメインカム76との間の回転速度差が大きくなり、延いては前記メインカム76がプロペラシャフト24側へ押し付けられる力が比較的強くなって伝達トルクは比較的大きくなる。そして、前記電磁ソレノイド62に供給される電流が所定値以上になると直結四輪駆動車両に近い状態で前後輪に駆動力が伝達される。以上の構成により、前記変速機16から出力された全駆動力に対する前記後輪32に伝達される駆動力の比率が零乃至0.5の範囲内で無段階に制御される。
図4は、前記電子制御装置34に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示す振動検出手段80は、副駆動輪である前記1対の後輪32を含む駆動系の振動を検出する。例えば、前記車輪速センサ36により検出される前記1対の後輪32の少なくとも一方の車輪速に相当する回転角速度ωの時間変化率すなわち加速度dω/dtを算出し、その加速度dω/dtが予め定められた閾値以上である場合に、前記1対の後輪32を含む駆動系にねじり振動(ねじり振動トルク)が発生しているものと判定する。ここで、上記振動検出手段80は、好適には、前記1対の後輪32それぞれの回転角速度ωの平均値を算出し、その平均値の時間変化率dω/dtが上記閾値以上となった場合に振動を検出するものであるが、前記1対の後輪32のうち少なくとも一方の加速度dω/dtが上記閾値以上となった場合に振動を検出するものであってもよいし、両方の後輪32の加速度dω/dtが上記閾値以上となった場合に振動を検出するものであってもよい。また、前記1対の後輪車軸30それぞれに対応してトルクセンサを備えた構成においては、そのトルクセンサの検出結果に基づいて前記1対の後輪車軸30におけるねじり振動トルクの検出を行うものであってもよい。
路面伝達トルク推定手段82は、副駆動輪である前記1対の後輪32から走行路面に伝達される路面伝達トルクを推定する。すなわち、予め定められた関係例えば次に示す(1)式から、前記車両8の走行路面の路面摩擦係数μ、前記後輪車軸30の荷重MRr(kg)、重力加速度g(m/s2)、及び前記後輪32のタイヤ径r(m)に基づいて前記1対の後輪32の路面伝達トルクの推定値TRO(N・m)を算出する。ここで、前記車両8の走行路面の路面摩擦係数μとしては、予め設定された値が好適に用いられるが、例えばスノーモードの設定時には積雪路面用の値が用いられる等、走行路面状態に応じた摩擦係数が適宜適用される。また、前記後輪車軸30の荷重MRrは、例えば予め定められた関係から、設定値である車両重量乃至初期荷重配分、及び前記前後Gセンサ44により検出される前記車両8の前後方向Gに基づいて算出される。また、前記車両8に荷重センサが備えられた構成においては、その荷重センサの検出結果に基づいて前記後輪車軸30の荷重MRrを算出するものであってもよい。このようにして推定される推定値TROは、駆動系に振動が発生していないと仮定した場合における前記後輪32の路面伝達トルクに相当し、後述する図6に示すように振動が発生した実際の路面伝達トルクの中央値に対応する。
RO=μ・MRr・g・r (1)
伝達トルク低減制御手段84は、前記振動検出手段80により前記1対の後輪32を含む駆動系の振動が検出された場合には、前記カップリング26の伝達トルクすなわちカップリングトルクTを低減する制御を行う。すなわち、副駆動輪である前記1対の後輪32側へ伝達されるトルクを低減させることによりスティックスリップを抑制する制御を行う。また、この制御に際して、低減後のカップリングトルクTが前記路面伝達トルク推定手段82により推定される前記1対の後輪32の路面伝達トルク(推定値)TROよりも大きくなるように前記カップリング26の作動を制御する。以下、この伝達トルク低減制御手段84による制御について、図5〜図7等を用いて説明する。
図5は、従来の技術における前記1対の後輪32を含む駆動系のねじり振動の発生メカニズムについて説明する図である。本実施例の車両8のように、駆動力源により発生させられた駆動力の主駆動輪及び副駆動輪への配分を制御する駆動力配分装置を備えた駆動系においては、駆動力配分装置すなわちカップリング26を介して伝達される伝達トルク(後輪側へ伝達されるトルク)が比較的大きくなり、その伝達トルクが前記後輪32に対して走行路面が受け持てる駆動反力に対して大きくなった場合、前記後輪32と走行路面との間でスティックスリップ現象が発生し、それに起因して図5に破線矢印で示すようなねじり振動トルクが発生する。また、このねじり振動トルクに起因して後輪側でのデフ打音が発生する等の不具合が生じる。
そこで、従来の技術においては、前記カップリング26における伝達トルクを低減し、後輪側へ伝達されるトルクを低減させることでねじり振動を低減する制御を行っていた。すなわち、前記カップリング26における伝達トルクが前記後輪32に対して走行路面が受け持てる駆動反力以上であると判定される場合には、前記カップリング26における伝達トルクを低減し、前記後輪32のスリップ率をスリップ領域に留め且つ前記カップリング26をトルクリミッタとして作動させる制御を行うことで、駆動系に発生するねじり振動の振幅を低減していた。しかし、斯かる従来の制御において、前記カップリング26により前記後輪32側に配分するトルクを低減させ過ぎた場合、前記エンジン12により発生させられた駆動力が過度に主駆動輪である前記前輪22に伝達されることで、その前輪22にスティックスリップが発生して走行性能が低下するという新たな弊害を生じさせるおそれがあった。
図5を用いて上述した従来の技術の問題を解決するために、本実施例の伝達トルク低減制御手段84は、前記振動検出手段80により駆動系の振動が検出された場合には、前記カップリング26の伝達トルクTを低減する制御を行うと共に、その伝達トルクTが前記路面伝達トルク推定手段82により推定される前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROよりも大きくなるように前記カップリング26の作動を制御する。好適には、前記カップリング26の伝達トルクTが、前記路面伝達トルク推定手段82により推定される路面伝達トルクの推定値TRO+αとなるように前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流(伝達トルク指令値)を制御する。ここで、路面伝達トルクの推定値TROに加算される加算値αは、好適には、前記後輪車軸30の下流慣性I(kg2・m2)と前記後輪32(後輪車軸30)の加速度dω/dt(m/s2)との積(=I・dω/dt)であり、前記後輪32のねじり振動トルク(慣性分)に相当する。すなわち、前記伝達トルク低減制御手段84は、好適には、前記カップリング26の伝達トルク低減制御に際して、その伝達トルクTが次の(2)式で示すような値となるように前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流を制御する。
T=μ・MRr・g・r+I・dω/dt (2)
また、前記伝達トルク低減制御手段84は、好適には、前記カップリング26の伝達トルクTが、前記路面伝達トルク推定手段82により推定される前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROよりも大きく且つ予め定められた駆動系の疲労限界トルク以下となるように前記カップリング26の作動を制御する。すなわち、前記加算値αは、好適には、予め実験的に求められた駆動系の疲労限界トルクに基づいて、前記伝達トルクTがその疲労限界トルクを超えないように定められるものである。例えば、前記(2)式により算出される伝達トルクTが上記駆動系の疲労限界トルクを上回る場合には、前記前記伝達トルク低減制御手段84は、前記カップリング26の伝達トルクTがその疲労限界トルクとなるように(すなわち上限値としての疲労限界トルクを目標値とするように)前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流を制御する。
図6は、駆動系にねじり振動が検出された場合における本実施例の制御を例示するタイムチャート(時系列波形図)である。この図6に示す制御では、時点t1において、前記1対の後輪32の加速度dω/dtが予め定められた閾値以上であることが判定され、駆動系にねじり振動(ねじり振動トルク)の発生が検出されて本実施例の伝達トルク低減制御が開始される。すなわち、振動が発生した前記1対の後輪32の実際の路面伝達トルクに関して、その中央値に対応する振動が発生していない場合の路面伝達トルクの推定値TROを算出し、前記カップリング26の伝達トルク(指令トルク)Tが、その推定値TROに前記加算値α(=I・dω/dt)を加算した値となるように制御する。換言すれば、前記カップリング26の指令トルクTを、前記推定値TROに加算値αを加算した値TRO+αを目標値として低減させる。斯かる制御を行うことで、前記カップリング26により必要十分なトルクが後輪側へ伝達させられ、前記後輪32のスリップ率をスリップ領域に留め且つ前記カップリング26をトルクリミッタとして作動させることでねじり振動の振幅を低減させることができる。そして、時点t2において、前記後輪32の加速度dω/dtが予め定められた閾値未満となったことが判定され、駆動系に発生したねじり振動が十分に収束したと判断されて本実施例の制御が終了させられる。
図7は、本実施例の制御による前記1対の後輪32を含む駆動系のねじり振動の低減について説明する図である。前述したような本実施例の制御によれば、前記カップリング26における伝達トルクが前記後輪32に対して走行路面が受け持てる駆動反力以上であると判定される場合には、前記カップリング26における伝達トルクを低減し、前記後輪32のスリップ率をスリップ領域に留め且つ前記カップリング26をトルクリミッタとして作動させる制御を行うことで、駆動系に発生するねじり振動の振幅を低減することができる。ここで、前記カップリング26の伝達トルクTが、前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROに前記加算値αを加算した値となるように制御されることで、必要十分なトルクが後輪側へ伝達され、図7に示すようにねじり振動の振幅が低減されることに加え、前記エンジン12により発生させられた駆動力が過度に主駆動輪である前記前輪22に伝達される等の弊害を生じさせない。このようにして、前記後輪32を含む駆動系の振動が発生した場合において、走行性能を確保しつつその振動を可及的速やかに収束させることができる。
図8は、前記電子制御装置34による本実施例の伝達トルク低減制御の要部について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、前記振動検出手段80の動作に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記1対の後輪32を含む駆動系の振動が検出されたか否かが判断される。例えば、前記車輪速センサ36により検出される前記1対の後輪32の車輪速の平均値に相当する回転角速度ωの時間変化率dω/dtが予め定められた閾値以上であるか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、前記路面伝達トルク推定手段82の動作に対応するS2において、予め定められた関係から走行路面の摩擦係数μ及び前記後輪車軸30にかかる荷重MRr等に基づいて前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROが算出されると共に、前記カップリング26の伝達トルク指令値(指令トルク)Tが斯かる推定値TROと加算値αとの和よりも大きいか否かが判断される。この加算値αは、前記後輪32の車軸慣性Iにその後輪32の加速度dω/dtを乗算した値I・dω/dtである。このS2の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S2の判断が肯定される場合には、前記伝達トルク低減制御手段84の動作に対応するS3において、前記カップリング26の伝達トルク指令値Tが前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROに加算値αを加算した値すなわちTRO+αとなるように前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流が制御された後、本ルーチンが終了させられる。このS3において、前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROに加算値αを加算した値TRO+αが予め定められた駆動系の疲労限界トルクを上回る場合には、前記カップリング26の伝達トルク指令値Tがその疲労限界トルクとなるように前記電磁ソレノイド62に供給される制御電流が制御される。
このように、本実施例によれば、副駆動輪である前記後輪32を含む駆動系の振動が検出された場合には、駆動力配分装置である前記カップリング26の伝達トルクを低減する制御を行うと共に、その伝達トルクが前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROよりも大きくなるように前記カップリング26の作動を制御するものであることから、必要十分なトルクが前記後輪32側に伝達されることで主駆動輪である前記前輪22にスリップが発生するのを好適に抑制することができる。すなわち、駆動系における振動の発生時に好適な走行性能を実現する前後輪駆動車両8の駆動力配分制御装置を提供することができる。
また、前記伝達トルクが前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROに所定の加算値αを加算した値となるように前記カップリング26の作動を制御するものであるため、必要十分なトルクが前記後輪32側に伝達されることで前記前輪22にスリップが発生するのを好適に抑制することができる。
また、前記加算値αは、前記後輪32の車軸慣性Iにその後輪32の加速度dω/dtを乗算した値であるため、実用的な態様で前記後輪32側に伝達される必要十分なトルクを決定することができる。
また、前記路面伝達トルクの推定値TROは、予め定められた関係から走行路面の摩擦係数μ及び前記後輪車軸30にかかる荷重MRrに基づいて推定されるものであるため、実用的な態様で前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROを求めることができる。
また、前記伝達トルクが前記後輪32の路面伝達トルクの推定値TROよりも大きく且つ予め定められた駆動系の疲労限界トルク以下となるように前記カップリング26の作動を制御するものであるため、前記伝達トルクを疲労限界トルク以下に抑えることで、装置の耐久性を保証しつつ必要十分なトルクを前記後輪32側へ伝達することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例の前後輪駆動車両8に備えられた駆動力配分装置としてのカップリング26は、前記プロペラシャフト24に直列に設けられてそのプロペラシャフト24から後輪用差動装置28の入力軸に配分される駆動力を制御するものであったが、前記プロペラシャフト24に並列に設けられてそのプロペラシャフト24から前輪用差動装置の入力軸に配分される駆動力を制御する形式の前後輪駆動力配分装置を備えた車両に本発明が適用されても当然に構わない。更に、後輪を主駆動輪とし前輪を副駆動輪とする前後輪駆動車両にも本発明は好適に適用されるものであることは言うまでもない。
また、前述の実施例の前後輪駆動車両8に備えられた駆動力配分装置としてのカップリング26は、前記電磁ソレノイド62へ供給される制御電流に応じて係合状態が制御される電磁式クラッチであったが、例えば油圧式クラッチや磁粉式クラッチ等、他の形式の係合装置が駆動力配分装置として備えられた車両にも本発明は好適に適用される。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
8:前後輪駆動車両
12:エンジン(駆動力源)
22:前輪(主駆動輪)
26:電子制御カップリング(駆動力配分装置)
32:後輪(副駆動輪)
34:電子制御装置(駆動力配分制御装置)

Claims (5)

  1. 駆動力源により発生させられた駆動力の主駆動輪及び副駆動輪への配分を制御する駆動力配分装置を備えた前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置であって、
    前記副駆動輪を含む駆動系の振動が検出された場合には、前記駆動力配分装置の伝達トルクを低減する制御を行うと共に、該伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値よりも大きくなるように前記駆動力配分装置の作動を制御するものであることを特徴とする前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置。
  2. 前記伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値に所定の加算値を加算した値となるように前記駆動力配分装置の作動を制御するものである請求項1に記載の前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置。
  3. 前記加算値は、前記副駆動輪の車軸慣性に該副駆動輪の加速度を乗算した値である請求項2に記載の前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置。
  4. 前記路面伝達トルクの推定値は、予め定められた関係から走行路面の摩擦係数及び前記副駆動輪の車軸にかかる荷重に基づいて推定されるものである請求項1から3の何れか1項に記載の前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置。
  5. 前記伝達トルクが前記副駆動輪の路面伝達トルクの推定値よりも大きく且つ予め定められた駆動系の疲労限界トルク以下となるように前記駆動力配分装置の作動を制御するものである請求項1から4の何れか1項に記載の前後輪駆動車両の駆動力配分制御装置。
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