以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態に係る面発光型半導体レーザ素子構造および製造方法を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
まず、図1を参照して、本発明の好ましい第1の実施の形態の半導体レーザ素子100を説明する。本実施の形態に係る面発光型半導体レーザ素子のレーザ発振波長は、1100nm帯である。
図1に示すように、この面発光型半導体レーザ素子100は、基板101と、基板101上に形成された下部半導体多層膜反射鏡である下部DBRミラー102と、バッファ層103と、n型コンタクト層104と、多重量子井戸構造を有する活性層105と、外周に位置する電流狭窄部107aと電流狭窄部107aの中心に位置する円形の電流注入部107bとを有する電流狭窄層107と、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層112と、p型コンタクト層121とが順次積層した構造を有する。そして、活性層105からp型コンタクト層121までが円柱状のメサポスト130を構成している。p型コンタクト層121上にはp側円環電極131が形成され、メサポスト130の外側のn型コンタクト層104上にはn側電極134が形成されている。
基板101は、アンドープのGaAsからなる。下部DBRミラー102は、GaAs/Al0.9Ga0.1As層の34ペアからなる。バッファ層103は、アンドープGaAsからなる。n型コンタクト層104は、n+型GaAsからなる。活性層105は、層数が3のGaInAs井戸層と層数が4のGaAs障壁層が交互に積層した構造を有しており、最下層のGaAs障壁層はn型クラッド層としても機能する。n型GaAs層は例えばノンドープであり、n+型GaAs層のドーパント濃度は例えば1×1019cm−3程度である。
電流狭窄層107については、電流狭窄部107aはAl酸化物を含み、電流注入部107bは、直径が5〜7μmであり、AlAsからなる。電流狭窄部107aによって、p側円環電極131とn側電極134との間に流れる電流の経路を制限して、電流注入部107bに電流の流れを集中させており、電流狭窄層107は、電流経路制限層として機能している。
p型スペーサ層111、112は炭素をドーピングしたp型のGaAsからなり、p型コンタクト層121、p型高濃度半導体層122は炭素をドープしたp+型のGaAsからなる。p型スペーサ層111、112のアクセプタ濃度(ドーピング濃度という)は、1×1016cm−3〜5×1018cm−3の範囲の、例えば、1×1018cm−3である。ドーピング濃度が1×1016cm−3より低いと低濃度層の縦方向の注入抵抗により注入効率が下がってしまうので好ましくなく、5×1018cm−3より高いと光損失に影響が生じ、高濃度層のそれに対し半分以上の割合で増えてくるので好ましくない。p型コンタクト層121、p型高濃度半導体層122のドーピング濃度については後述する。
p型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122は、p側円環電極131から導入された電流を、電流狭窄層107の中央の電流注入部107bに横方向に導く電流経路層として機能する。
なお、本実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100では設けていないが、電流狭窄層107を挟むように下部傾斜組成層及び上部傾斜組成層を設けることが好ましい。この場合、下部傾斜組成層および上部傾斜組成層は、例えば、AlxGa1-xAsからなり、厚さ方向において電流狭窄層107に近づくにつれてそのAl組成が徐々に増加するように構成される。
p型コンタクト層121上に、Ti/Pt(下層がTiでその上にPtが形成された構造)からなり、中心に開口132を有するとともに、メサポスト130の外周と一致する外周を有するp側円環電極131が形成されている。p側円環電極131の外径は、たとえば30μmであり、開口部113aの内径は、たとえば11〜14μmである。p側円環電極131はp型コンタクト層121と直接接して設けられている。
p側円環電極131の開口部132内には、誘電体材料からなる円板状の誘電体層141が形成されている。誘電体層141の上面142からバッファ層103の底面までの部分が共振器110を構成している。
本実施の形態では、p型コンタクト層121の厚さの中央が、半導体レーザ素子100のレーザ発振時の定在波の光強度の節であって共振器の上端から数えて1番目の節に位置している。p型高濃度半導体層122も、半導体レーザ素子100のレーザ発振時の定在波の光強度の節に位置しており、共振器の上面142から数えてn(nは整数)番目の節に位置しており、例えば、2番目の節に位置している。p型コンタクト層121やp型高濃度半導体層122を半導体レーザ素子100のレーザ発振時の定在波の光強度の節の位置に設けるのは、p型コンタクト層121やp型高濃度半導体層122による光損失を少なくするためである。
p側円環電極131および誘電体層141上に誘電体からなる上部多層膜反射鏡である上部DBRミラー140が形成されている。上部DBRミラー140は、たとえばSiNx/SiO2の10〜12ペアからなる。また、表面保護のためにSiO2143とその上のSiNx144からなるパッシベーション膜145が全面に形成されている。このパッシベーション膜145のSiO2143とSiNx144は、DBRミラー140の最下層のSiO2とSiNxを兼ねている。従って、SiNx/SiO2からなる上部DBRミラー140は、その最下層は、パッシベーション膜145のSiO2であり、その上に、パッシベーション膜145のSiNxがあり、その上にSiO2とSiNxが交互に積層され、最上層がSiNxである構造となっている。なお、パッシベーション膜145は、たとえばα−Si/SiO2またはα−Si/Al2O3のペアを、その材料の屈折率に応じて99%程度の適切な反射率が得られるようなペア数にしたものでもよい。
n型コンタクト層104は、メサポスト130の下部から半径方向外側に延びており、その表面にたとえばAuGeNi/Au(下側がAuGeNi、上側Au)からなる半円環状のn側電極134が形成されている。n側電極134は、たとえば外径が80μm、内径が40μmである。
n側電極117に対して、パッシベーション膜145に形成された開口部147を介して接触するように、Auからなるn側引き出し電極136が形成されている。一方、p側円環電極131に対しても、パッシベーション膜145に形成された開口部146を介して接触するように、Auからなるp側引き出し電極135が形成されている。そして、n側電極134およびp側円環電極131は、それぞれn側引き出し電極136およびp側引き出し電極135によって、外部に設けた電流供給回路(図示せず)に電気的に接続している。
面発光型半導体レーザ素子100は、外部に設けた電流供給回路(図示せず)からそれぞれn側引き出し電極136およびp側引き出し電極135を介してn側電極134およびp側円環電極131間に電圧を印加し、電流を注入すると、電流は主に低抵抗のp型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122を流れ、さらに電流経路が電流狭窄層107によって電流注入部107b内に狭窄されて、高い電流密度で活性層105に供給される。その結果、活性層105はキャリア注入されて自然放出光を発光する。自然放出光のうち、レーザ発振波長である波長λの光は、下部DBRミラー102と上部DBRミラー140との間で定在波を形成し、活性層105によって増幅される。そして、注入電流がしきい値以上になると、定在波を形成する光がレーザ発振し、p側円環電極131の開口部132から1100nm帯のレーザ光が出力する。
次に、面発光型半導体レーザ素子100の製造方法について説明する。
はじめに、エピタキシャル成長法によって、基板101上に下部DBRミラー102、バッファ層103、n型コンタクト層104、活性層105、AlAsからなる被酸化層、p型スペーサ層111、p型高濃度半導体層122、p型スペーサ層112、p型コンタクト層121を順次積層し、さらにプラズマCVD(化学気相成長:Chemical Vapor Deposition)法およびフォトリソグラフィ技術によって、後に述べるp型円環電極131とコンタクト層との段差を緩和させるために、SiNxからなる円板状の誘電体層141をp型コンタクト層121上に選択的に形成する。
次に、リフトオフ法を用いて、誘電体層141の周囲のp型コンタクト層121上に、Ti/Pt層からなるp側円環電極131を選択的に形成する。
次に、p側円環電極131を金属マスクとして、酸エッチング液等を用いてn型コンタクト層104に到る深さまで半導体層をエッチングして円柱状のメサポスト130をp側円環電極131に対して自己整合的に形成し、さらに別のマスクを形成し、バッファ層103に到る深さまでn型コンタクト層104をエッチングする。
次に、水蒸気雰囲気中において熱酸化処理を行って、AlAsからなる被酸化層(電流狭窄層107に相当する層)をメサポスト130の外周側から選択酸化する。このとき、AlAsからなる被酸化層の外周部において酸化反応が起こり、Al酸化物を含む電流狭窄部107aが形成される。上記化学反応はAlAsからなる被酸化層の外周側から均一に進行するので、中心にはAlAsからなる電流注入部107bが形成される。ここでは、熱処理時間等を調整して、電流注入部107bの直径が5〜7μmになるようにする。このように電流注入部107bを形成するので、メサポスト130の中心と、電流注入部107bの中心と、さらにp側円環電極113の開口部113aの中心とを高精度に一致させることができる。その結果、面発光型半導体レーザ素子100を発振時の横モード数が安定している再現性の良いマルチモード発振モードレーザとすることができる。
次に、メサポスト130の外周側のn型コンタクト層104の表面に、半円環状のn側電極134を形成する。
次に、プラズマCVD法を用いて全面にSiO2膜143およびSiNx膜144からなるパッシベーション膜145を形成した後、n側電極134およびp側円環電極131上においてパッシベーション膜145に開口部147、146をそれぞれ形成し、これらの開口部147、146を介してn側電極134に接触するn側引き出し電極136と、p側円環電極131に接触するp側引き出し電極135をそれぞれ形成する。
つぎに、プラズマCVD法を用いて上部DBRミラー1406を形成した後に、基板101の裏面を研磨し、基板101の厚さをたとえば150μmに調整する。その後、素子分離を行い、図1に示す面発光型半導体レーザ素子100が完成する。
(第2の実施の形態)
次に、図2を参照して、本発明の好ましい第2の実施の形態の半導体レーザ素子100を説明する。
第1の実施の形態では、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、電流狭窄層107からp側円環電極131に向かって、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層112と、p型コンタクト層121とを順次積層して設け、p側円環電極131をp型コンタクト層121と直接接して設けているが、本実施の形態では、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、電流狭窄層107からp側円環電極131に向かって、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層113と、p型高濃度半導体層123と、p型スペーサ層114とを順次積層して設けており、p側円環電極131をp型スペーサ層114と直接接して設けている点が第1の実施の形態と異なるが、他の点は同様である。p型高濃度半導体層122、123は、p側円環電極131から導入された電流を、電流狭窄層107の中央の電流注入部107bに横方向に導く電流経路層として機能する点においても、本実施の形態は第1の実施の形態と同様である。製造方法も同様である。
p型スペーサ層111、113、114は炭素をドーピングしたp型のGaAsからなり、p型高濃度半導体層122、123は炭素をドープしたp+型のGaAsからなる。p型スペーサ層111、113、114のアクセプタ濃度(ドーピング濃度)は、1×1016cm−3〜5×1018cm−3の範囲の、例えば、1×1018cm−3である。ドーピング濃度が1×1016cm−3より低いと低濃度層の縦方向の注入抵抗により注入効率が下がってしまうので好ましくなく、5×1018cm−3より高いと光損失に影響が、高濃度層のそれに対し半分以上の割合で増えてくるので好ましくない。p型高濃度半導体層122、123のドーピング濃度については後述する。
(第3の実施の形態)
次に、図3を参照して、本発明の好ましい第3の実施の形態の半導体レーザ素子100を説明する。
第1の実施の形態では、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、電流狭窄層107からp側円環電極131に向かって、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層112と、p型コンタクト層121とを順次積層して設けたが、本実施の形態では、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、電流狭窄層107からp側円環電極131に向かって、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層115と、p型高濃度半導体層124と、p型スペーサ層116と、p型コンタクト層121とを順次積層して設けている点が第1の実施の形態と異なるが、他の点は同様である。p型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122、124は、p側円環電極131から導入された電流を、電流狭窄層107の中央の電流注入部107bに横方向に導く電流経路層として機能する点においても、本実施の形態は第1の実施の形態と同様である。製造方法も同様である。
p型スペーサ層111、115、116は炭素をドーピングしたp型のGaAsからなり、p型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122、124は炭素をドープしたp+型のGaAsからなる。p型スペーサ層111、115、116のアクセプタ濃度(ドーピング濃度)は、1×1016cm−3〜5×1018cm−3の範囲の、例えば、1×1018cm−3である。ドーピング濃度が1×1016cm−3より低いと低濃度層の縦方向の注入抵抗により注入効率が下がってしまうので好ましくなく、5×1018cm−3より高いと光損失に影響が、高濃度層のそれに対し半分以上の割合で増えてくるので好ましくない。p型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122、123のドーピング濃度については後述する。
(第4の実施の形態)
次に、図4を参照して、本発明の好ましい第3の実施の形態の半導体レーザ素子100を説明する。
第1の実施の形態では、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、電流狭窄層107からp側円環電極131に向かって、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層112と、p型コンタクト層121とを順次積層して設け、p側円環電極131をp型コンタクト層121と直接接して設けているが、本実施の形態では、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、電流狭窄層107からp側円環電極131に向かって、p型スペーサ層111と、p型高濃度半導体層122と、p型スペーサ層115と、p型高濃度半導体層124と、p型スペーサ層117と、p型高濃度半導体層125と、p型スペーサ層118とを順次積層して設け、p側円環電極131をp型スペーサ層118と直接接して設けている点が第1の実施の形態と異なるが、他の点は同様である。p型高濃度半導体層122、124、125は、p側円環電極131から導入された電流を、電流狭窄層107の中央の電流注入部107bに横方向に導く電流経路層として機能する点においても、本実施の形態は第1の実施の形態と同様である。製造方法も同様である。
p型スペーサ層111、115、117、118は炭素をドーピングしたp型のGaAsからなり、p型高濃度半導体層122、124、125は炭素をドープしたp+型のGaAsからなる。p型スペーサ層111、115、117、118のアクセプタ濃度(ドーピング濃度)は、1×1016cm−3〜5×1018cm−3の範囲の、例えば、1×1018cm−3である。ドーピング濃度が1×1016cm−3より低いと低濃度層の縦方向の注入抵抗により注入効率が下がってしまうので好ましくなく、5×1018cm−3より高いと光損失に影響が、高濃度層のそれに対し半分以上の割合で増えてくるので好ましくない。p型高濃度半導体層122、124、125のドーピング濃度については後述する。
次に、p型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122、123、124、125の膜厚およびドーピング濃度について説明する。
まず、図5を参照して、第1の実施の形態のp型コンタクト層121およびp型高濃度半導体層122のドーピング濃度および膜厚の関係、並びに第2の実施の形態のp型高濃度半導体層122、123のドーピング濃度および膜厚の関係について説明する。
図5は、電流狭窄層107とp側円環電極131との間に、高濃度半導体層が2層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121とp型高濃度半導体層122、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123とp型高濃度半導体層122)ある場合に、各層の膜厚およびドーピング濃度と、面発光半導体レーザ素子100の閾値(Ith)、スロープ効率(SE)および微分抵抗(Rd)との関係を実験により求めたものである。閾値(Ith)は面発光半導体レーザ素子100レーザがレーザ光を発生する閾値電流をいい、単位はmAである。スロープ効率(SE)は、面発光半導体レーザ素子100のp側円環電極131とn側電極134との間の電流を横軸にし、レーザ光の強度を縦軸にしたときの電流光強度直線の傾きをいい、単位はW/Aである。微分抵抗(Rd)は、面発光半導体レーザ素子100のp側円環電極131とn側電極134との間の電流を横軸にし、電圧を縦軸にしたときの電流電圧直線の傾きをいい、単位はΩである。ドーピング濃度で、例えば、5.0E19とあるのは、5.0×1019cm−3をいい、他の濃度も同様である。
実験の結果、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)とp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)の膜厚を共に30nmとし、ドーピング濃度を共に1.7×1020cm−3とした場合(例4)には、p側円環電極131側の高濃度半導体層が、第1の実施の形態のようにp側円環電極131と直接接触するp型コンタクト層121である場合も、第2の実施の形態のようにp側円環電極131と離間したp型高濃度半導体層123である場合も、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の方がp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)よりも、約2:1の割合で、電流密度が高いことが判明した。また、高濃度半導体層が3層以上ある場合には、活性層105側(電流狭窄層107側)に一番近い高濃度半導体層の電流密度が他の高濃度半導体層よりも高いことが判明した。
以上の実験の結果に基づいて、活性層105側の高濃度半導体層とp側円環電極131側の高濃度半導体層の膜厚を共に30nmとし、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)のドーピング濃度を1.7×1020cm−3としたまま、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)のドーピング濃度を5.0×1019cm−3とした場合(例1)と、活性層105側の高濃度半導体層とp側円環電極131側の高濃度半導体層の膜厚を共に30nmとし、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)のドーピング濃度を1.0×1020cm−3とし、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)のドーピング濃度を5.0×1019cm−3とした場合(例2)について、実験を行った。
その結果、例1の場合は、例4と比較して、閾値が0.52mAから0.35mAに減少し、スロープ効率が0.39W/Aから0.5W/Aと30%近く改善する一方で、微分抵抗の上昇は非常に小さく50Ωから55Ωと上昇しただけであった。また、例2の場合は、例4と比較して、閾値が0.52mAから0.27mAへとさらに減少し、スロープ効率が0.39W/Aから0.57W/A46%改善する一方で、微分抵抗は50Ωから65Ωに上昇しただけであった。
次に、活性層105側の高濃度半導体層とp側円環電極131側の高濃度半導体層のドーピング濃度を1.7×1020cm−3としたまま、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の膜厚を27nmとし、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)の膜厚を24nmとした場合(例3)について、シミュレーションを行った。その結果、例4と比較して、閾値が0.52mAから0.36mAに減少し、スロープ効率が0.39W/Aから0.48W/Aと30%以上改善する一方で、微分抵抗の上昇は非常に小さく50Ωから55Ωと上昇しただけであった。
このように、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)のドーピング濃度を、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)のドーピング濃度よりも大きくするか、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の膜厚を、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)の膜厚よりも大きくすると、閾値が減少し、スロープ効率が改善する一方で、微分抵抗の上昇も上昇するがその値は非常に小さい。
また、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の導電率と膜厚の積を、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)の導電率と膜厚の積よりも大きくすると、閾値が減少し、スロープ効率が改善する一方で、微分抵抗の上昇も上昇するがその値は非常に小さかった。
上述したように、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の方がp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)よりも電流密度が高いので、電流密度の高い活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層の導電率と膜厚の積をp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)の導電率と膜厚の積よりも高くすることにより、電流密度が低いp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)では微分抵抗は上昇するものの、電流密度が高い活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)では、微分抵抗の上昇が抑えられ、あるいは微分抵抗が減少するので、全体として、微分抵抗の上昇は抑えられる。一方、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)では、不純物による光の吸収が少なくなるので、閾値が減少し、スロープ効率が改善する。
この不純物による光の吸収の影響は、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)と、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)とで同じであるが、電流密度は、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の方がp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)よりも高いので、導電率と膜厚の積を、電流密度の高い方を電流密度の低い方よりも高くすることにより、全体としては、微分抵抗の上昇を抑えつつ、閾値を減少させ、スロープ効率を改善することができる。
また、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の導電率と膜厚の積をp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)の導電率と膜厚の積よりも20%以上高くすることが好ましいことがわかった。10%の閾値電流の低減効果が見込まれるからである。また、50%以上高くすることがよい好ましいことがわかった。20%の閾値電流の低減効果が見込まれるからである。これらの効果は、例えば10Gbpsのデータレートでの送信を試みた場合、駆動電流を20%ないし40%低減させることができる。
なお、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)およびp側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態ではp型コンタクト層121、第2の実施の形態ではp型高濃度半導体層123)のドーピング濃度は、電極材料との接触抵抗の関係で1×1019cm−3以上、光損失の関係で2×1020cm−3以下であることが好ましい。
なお、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の厚さは20nm〜40nmの範囲にあることが好ましい。20nmより薄いと、ドーピング濃度を極端に上げる必要があるが、その場合導電率の改善よりも光損失の上昇の方が大きな影響を与えるからである。40nmを超えると光損失が大きくなりすぎるからである。p側円環電極131側の高濃度半導体層(第1の実施の形態のp型コンタクト層121)の厚さは15nm〜40nmの範囲にあることが好ましい。15nmより薄いと素子作製工程での熱履歴等による電極・半導体の混晶化で設計膜厚以上に拡散し、接触が取れなくなる可能性があるからである。40nmを超えると光損失が大きくなりすぎるからである。p側円環電極131側の高濃度半導体層(第2の実施の形態のp型高濃度半導体層123)の厚さは20nm〜40nmの範囲にあることが好ましい。20nmより薄いと、ドーピング濃度を極端に上げる必要があるが、その場合導電率の改善よりも光損失の上昇の方が大きな影響を与えること、あるいは、電極層131とp型高濃度半導体層123の間に介在する114層の膜厚の製造誤差により、20nmより薄いと電極131との良好な接続ができないことがあるからである。40nmを超えると光損失が大きくなりすぎるからである。
また、第3の実施の形態、第4の実施の形態のように、電流狭窄層107とp側円環電極131側との間に、高濃度半導体層が3層ある場合には、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第3の実施の形態、第4の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の導電率と膜厚の積を、p側円環電極131側の2層の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型高濃度半導体層124およびp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層124、125)の導電率と膜厚の積よりも大きくする、例えば、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第3の実施の形態、第4の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)のドーピング濃度を、p側円環電極131側の2層の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型高濃度半導体層124およびp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層124、125)のドーピング濃度よりも大きくするか、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第3の実施の形態、第4の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の膜厚を、p側円環電極131側の2層の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型高濃度半導体層124およびp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層124、125)の膜厚よりも大きくすることにより、閾値が減少し、スロープ効率が改善する一方で、微分抵抗の上昇も上昇するがその値は非常に小さかった。
また、p側円環電極131側の2層の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型高濃度半導体層124およびp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層124、125)のうち、第3の実施の形態においては、より活性層105に近い(電流狭窄層107に近い)p型高濃度半導体層124の導電率と膜厚の積を、p型コンタクト層121の導電率と膜厚の積よりも大きくすることが好ましく、第4の実施の形態においては、より活性層105に近い(電流狭窄層107に近い)p型高濃度半導体層124の導電率と膜厚の積を、p型高濃度半導体層125の導電率と膜厚の積よりも大きくすることが好ましい。横方向の電流密度に関して、活性層側の方が高いからである。
なお、p側円環電極131側の2層の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型高濃度半導体層124およびp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層124、125)のうち、第3の実施の形態においては、より活性層105に近い(電流狭窄層107に近い)p型高濃度半導体層124の導電率と膜厚の積を、p型コンタクト層121の導電率と膜厚の積とほぼ同じにし、第4の実施の形態においては、より活性層105に近い(電流狭窄層107に近い)p型高濃度半導体層124の導電率と膜厚の積を、p型高濃度半導体層125の導電率と膜厚の積とほぼ同じにしてもよい。最も活性層に近い部分の電流密度が高いからである。
また、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第3の実施の形態、第4の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の導電率と膜厚の積をp側円環電極131側の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層125)の導電率と膜厚の積よりも20%以上高くすることが好ましいことがわかった。10%の閾値電流の低減効果が見込まれるからである。また、50%以上高くすることがよい好ましいことがわかった。20%の閾値電流の低減効果が見込まれるからである。これらの効果は、例えば10Gbpsのデータレートでの送信を試みた場合、駆動電流を20%ないし40%低減させることができる。
なお、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第1の実施の形態、第2の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)およびp側円環電極131側の高濃度半導体層(第3の実施の形態ではp型高濃度半導体層124およびp型コンタクト層121、第4の実施の形態ではp型高濃度半導体層124、125)のドーピング濃度は、接触抵抗と光損失の観点から、1×1019cm−3以上2×1020cm−3以下であることが好ましい。
なお、活性層105側(電流狭窄層107側)の高濃度半導体層(第3の実施の形態、第4の実施の形態共にp型高濃度半導体層122)の厚さは20nm〜40nmの範囲にあることが好ましい。20nmより薄いと、ドーピング濃度を極端に上げる必要があるが、その場合導電率の改善よりも光損失の上昇の方が大きな影響を与えるからである。40nmを超えると光損失が大きくなりすぎるからである。p側円環電極131側の高濃度半導体層(第3の実施の形態のp型コンタクト層121)の厚さは15nm〜40nmの範囲にあることが好ましい。15nmより薄いと素子作製工程での熱履歴等による電極・半導体の混晶化で設計膜厚以上に拡散し、接触が取れなくなる可能性があるからである。40nmを超えると光損失が大きくなりすぎるからである。また、p側円環電極131側の高濃度半導体層(第3の実施の形態のp型高濃度半導体層124、第4の実施の形態のp型高濃度半導体層124、125)の厚さは20nm〜40nmの範囲にあることが好ましい。20nmより薄いと、ドーピング濃度を極端に上げる必要があるが、その場合導電率の改善よりも光損失の上昇の方が大きな影響を与えること、あるいは、電極層131とp型高濃度半導体層125の間に介在する118層の膜厚の製造誤差により、20nmより薄いと電極131との良好な接続ができないことがあるからである。40nmを超えると光損失が大きくなりすぎるからである。
上記実施の形態では、被酸化層はAlAsからなるものであったが、Al1−xGaxAs(0<x<1)からなるものでもよい。
以上の実施の形態では、1100nm帯のレーザの活性層105を構成する井戸層/障壁層の組み合わせとして、GaInAs/GaAsとしたが、上記本発明の好ましい実施の形態は、波長に応じて(基板やその他の層構成はこれらの井戸層と障壁層の組み合わせに応じて適宜選択され)、1300nm帯のレーザの場合は、GaInNAs(Sb)/GaAs、GaInNAs(Sb)/GaNAs(Sb)、980nm帯のレーザの場合はInGaAs/GaAsP、850nm帯のレーザの場合GaAs/AlGaAsなど(井戸層と障壁層の組み合わせについてはこれらに限られない)を選択することができる。量子井戸層及びバリア層は、発振させたい所望の波長に合わせてその量子井戸幅などを任意に設計作成することができる。
なお、本願のVCSELは、1×N分岐などの光源としての光源として用いると都合がよい。
次に、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100を複数用いた面発光レーザアレイの例を図6、7を参照して説明する。一例として、図6に示したように、面発光レーザアレイチップ700がCLCC(Ceramic Leaded chip carrier)と呼ばれる周知のフラットパッケージ710に実装されたものを用いている。図では煩雑さを避けるために、金属キャスター(電極)714と面発光レーザアレイチップ700との接続は省略してある。面発光レーザアレイチップ700は図7に示したように、中央部に設けられた複数の面発光型半導体レーザ素子100からなる素子部702、及び周囲に設けられ、素子部702の複数の発光部と接続(図示せず)された複数の電極パッド706を有している。さらに、各電極パッド706はフラットパッケージ712の金属キャスター714と接続(図示せず)されている。各発光部は、フラットパッケージ712と接続された(図示しない)外部制御回路によって発光制御され、所定の波長のレーザ光を射出する。
次に、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100を光学機器に適用した例について図面を参照して説明する。図8は、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100を発光素子のパッケージに適応したときの構成を示す概略縦断面図である。面発光レーザパッケージ300は、面発光型半導体レーザ素子100、基板304および電極306からなる面発光レーザモジュール、レンズ316、ハウジング310、光ファイバマウント312、光ファイバ314とからなる。電極306は、外部の制御回路(図示せず)に電気的に接続され、面発光レーザパッケージの発光が制御されている。面発光型半導体レーザ素子100から出射したレーザ光はレンズ316で集光され光ファイバ314に結合される。
図9は、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100を光記憶媒体への書き込み/読み出し装置のピックアップに適応したときの構成を示す概略縦断面図である。ピックアップ350は、面発光型半導体レーザ素子100、基板354、電極356、駆動IC358、およびこれらの要素を封止する樹脂360からなる面発光レーザモジュールと、レンズ376、ハーフミラー370、回折格子374、光センサー380、光記憶媒体372とからなる。樹脂360の出射面は凸状に加工されレンズ362を構成している。電極354は、外部の制御回路(図示せず)に電気的に接続され、レーザピックアップの発光が制御されている。面発光型半導体レーザ素子100から出射したレーザ光は、レンズ362で平行光とされ、ハーフミラー370で反射された後、レンズ376によって集光され光記憶媒体372の所定の箇所に集光される。また、光媒体で反射された光は光センサー380に入射される。ここでは、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光型半導体レーザ素子100を複数有する面発光レーザ素子アレイを通信用の発光素子パッケージ、あるいは光ディスク用ピックアップに適用した例を示したがこれに限られず、測量機器、レーザーポインター、光学マウス、あるいは、プリンタ、フォトレジストの走査露光用光源、レーザポンピング用光源や、加工用ファイバレーザの光源等の光学機器として用いることもできる。
図10は、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100を適用した光送受信モジュールの概略構成図である。図10に示すように、光送受信モジュール400は、保持部材402、光導波路(光ファイバ)412と、保持部材402上で光導波路(光ファイバ)412の位置決め用のスペーサ410、光導波路(光ファイバ)412を介して光信号を送信する面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光型半導体レーザ素子100を複数有する面発光レーザ素子アレイ及び光信号を受信する受光素子404、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイの発光状態を制御する駆動回路406、受光素子404で受信された信号を増幅する増幅回路408とで構成されている。面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイは外部の制御部(図示せず)からの制御信号によって駆動回路406を介して発光制御され、受光素子404で受信された信号が増幅回路408を介して制御部へ送信される。煩雑さを避けるために、駆動回路406と面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイおよび増幅回路408と受光素子404のワイヤボンディングは省略している。
図11〜図13は図10における面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイと、光導波路412との光結合部分の概略構成図であり、基板500、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイ、光導波路412は図11〜図13で共通している。図11では、導波路412の端面が光軸に対してほぼ45度に傾斜するように加工されており、さらにこの傾斜面が反射面504として、反射膜のコーティング等による鏡面加工が施され、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイから出射した光は、導波路412の下面から導波路に入射され、傾斜面504で反射されて光導波路412内を伝播する。図12では、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイ上、光導波路412の端面側方に内部に反射面504の設けられたミラーアセンブリ506が設置されて、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイから出射した光は、ミラーアセンブリ506の下面から入射され、反射面504で反射され、ミラーアセンブリ506から出射された光が光導波路412に結合されて光導波路412内を伝播する。ミラーアセンブリ506の入射面あるいは/および出射面にはマイクロレンズ(アレイ)が設けられてもよい。図13は、コネクタハウジング512内に光ファイバ412が配置され、さらに光ファイバ心線の曲部514の端部が面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイに対向するように配置され、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイから出射した光が光ファイバ412に結合される。
次に、上記本発明の好ましい実施の形態の面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光型半導体レーザ素子100を複数有する面発光レーザ素子アレイを通信システムに適用した例を示す。図14には、面発光型半導体レーザ素子100あるいは面発光レーザ素子アレイを用いた波長多重伝送システムの構成例が示されている。図14の波長多重伝送システムはコンピュータ、ボードあるいはチップ602、通信制御回路(CPU,MPU、光―電気変換回路、電気―光変換回路、波長制御回路)604、面発光型半導体レーザ素子100を複数有する面発光レーザ素子アレイ606、受光素子集積部608、合波器610、分波器612、電気配線616、光ファイバ617、618、通信対象のネットワーク、PC、ボード、チップなど614からなる。図14の波長多重伝送システムでは、発振波長の異なる複数の面発光レーザ素子を配列して面発光レーザアレイ606を構成し、面発光レーザアレイ606の各面発光レーザ素子からの各発振光を合波器を通して1本の光ファイバに結合させるように構成されている。このような構成では、1本のファイバで、高スループットに大容量の信号伝送ができる。このように、本発明の好ましい実施の形態の面発光レーザアレイは、モードが安定しており、且つ、各発振波長が安定しているので、高い信頼性で高密度大容量の波長多重伝送が可能になる。なお、本実施形態では各面発光レーザアレイ606あるいは受光素子集積部608からの出力用光ファイバあるいは入力用光ファイバは合波器610あるいは分波器612を用いて1本の光ファイバに結合されているが、用途に応じては出力用光ファイバあるいは入力用光ファイバをそのまま通信対象のネットワーク、PC、ボード、チップなど614に接続して並列伝送システムとすることもできる。この場合、本発明の好ましい実施の形態の面発光レーザアレイは、モードが安定しており、且つ、各波長が安定しているので、複数の光源をもつ信頼性の高い並列伝送システムの構築が容易になる。
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。