JP2011228553A - 半導体発光素子アレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】応答速度の低下及び大型化を防止しつつ、各発光部において均一な変調特性を得ることができる半導体発光素子アレイを提供すること。
【解決手段】本発明に係るVCSELアレイ1では、配線8A〜8Rの幅の変更による電気抵抗の均一化とプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成における浮遊容量の均一化とを同時に行うことによりCR時定数を略同一にできるため、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて均一な変調特性を得ることができる。また、CR時定数の増大を抑制することができるため、応答速度の低下を防止することができる。更には、配線8A〜8Rの幅の変更や発光層4におけるプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成は、VCSELアレイ1に対する外的な部品の付加を要さないため、大型化をも防止することができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るVCSELアレイ1では、配線8A〜8Rの幅の変更による電気抵抗の均一化とプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成における浮遊容量の均一化とを同時に行うことによりCR時定数を略同一にできるため、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて均一な変調特性を得ることができる。また、CR時定数の増大を抑制することができるため、応答速度の低下を防止することができる。更には、配線8A〜8Rの幅の変更や発光層4におけるプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成は、VCSELアレイ1に対する外的な部品の付加を要さないため、大型化をも防止することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば複数の垂直共振器型面発光レーザが2次元的に配列されてなる半導体発光素子アレイに関する。
複数の発光部が基板上に2次元的に配列されてなる半導体発光素子アレイは、例えば光通信システムの光源として用いられており、近年その需要は高まりつつある。このような半導体発光素子アレイの発光部としては、基板に対して垂直方向にレーザ光を出射可能な垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が多く用いられている。
従来、上記のような半導体発光素子アレイにおいては、発光部と各発光部に対応する電極パッドとを接続する配線の長さに差があることに起因して、配線の電気抵抗や、配線によって生じる浮遊容量(寄生容量)が配線間で異なってしまう場合があった。このような場合、発光部の応答速度に差が生じ、その結果、変調特性に差が生じていた。更には、発光部の変調特性の差によって、各発光部において発生する光パルスの遅延時間や波形の形状等にばらつきが生じていた。
そこで、上記のような発光部の変調特性の差を抑制するための技術が、種々提案されている。例えば、特許文献1には、複数のVCSELが2次元的に配列されてなるVCSELアレイにおいて、各配線の長さ及び幅を略同一とすることにより、配線によって生じる浮遊容量を揃える技術が開示されている。また、特許文献2には、同じくVCSELアレイにおいて、各配線に可変容量素子を接続することにより、配線によって生じる浮遊容量の差を低減する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1に示されたVCSELアレイでは、物理的に長くならざるを得ない配線に合わせて各配線の長さ及び幅を略同一としているため、浮遊容量の増加によりCR時定数が増大し、応答速度が低下するという問題がある。また、特許文献2に示されたVCSELアレイでは、各配線に可変容量素子を接続しているため、チップサイズが大きくなるという問題がある。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、応答速度の低下及び大型化を防止しつつ、各発光部において均一な変調特性を得ることができる半導体発光素子アレイを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体発光素子アレイは、基板と、基板の一方の面に形成され、複数の発光部を含む発光層と、基板の他方の面に形成された第1の電極と、発光部のそれぞれに対応するように発光層の一方の面に形成された複数の第2の電極と、発光層のうち発光部を除く部分の一方の面に形成され、第2の電極のそれぞれと配線を介して接続された複数の電極パッドと、を備え、配線は、長さが長いほど広い幅を有しており、発光層において電極パッドに対向する部分には、対向する電極パッドに接続された配線の長さが長いほど、基板の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有する高抵抗化領域が形成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子アレイでは、複数の発光部のそれぞれに対応する第2の電極には、配線を介して電極パッドが接続されている。この配線は、長さが長いほど広い幅を有しているため、物理的に長くならざるを得ない配線への長さ及び幅の整合を要せずに、配線の長さに差がある場合でも配線の電気抵抗の差を低減することができる。しかも、発光層において電極パッドに対向する部分には、高抵抗化領域が形成されている。この高抵抗化領域は、対向する電極パッドに接続された配線の長さが長いほど、基板の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有しているため、可変容量素子等の外的な部品の付加を要せずに、配線の面積に差がある場合でも配線によって生じる浮遊容量の差を低減することができる。よって、この半導体発光素子アレイによれば、応答速度の低下及び大型化を防止しつつ、各発光部において均一な変調特性を得ることができる。
更に、高抵抗化領域は、基板の厚さ方向から見た場合に電極パッドの外縁部に沿って形成されていることが好ましい。この構成によれば、電極パッドにおける外縁部の内側部分が発光層に対向することになるので、高抵抗化領域の形成による電極パッドのボンディング強度の低下を防止することができる。
また、高抵抗化領域は、発光層に絶縁性樹脂が埋設されることにより形成されていることや、発光層にプロトン注入が施されることにより形成されていることが好ましい。これらの構成によれば、発光層において電極パッドに対向する部分において、対向する電極パッドに接続された配線の長さが長いほど基板の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有する高抵抗化領域を、確実且つ容易に形成することができる。
本発明によれば、応答速度の低下及び大型化を防止しつつ、各発光部において均一な変調特性を得ることができる。
以下、本発明に係る半導体発光素子アレイの実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、上下の方向は、発光部を上にして基板を水平に見た場合を基準とする。すなわち、「上面」は、特許請求の範囲に記載の「一方の面」に相当し、「下面」は、特許請求の範囲に記載の「他方の面」に相当する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1及び図2に示されるように、VCSELアレイ(半導体発光素子アレイ)1は、複数のVCSEL素子(発光部)2A〜2R(2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H,2J,2K,2L,2M,2N,2P,2Q,2R)を備えている。VCSEL素子2A〜2Rは、基板3上の発光層4において2次元的に配列されている。より具体的には、VCSEL素子2A〜2Rは、4×4列の略正方形状に配列されている。各VCSEL素子2A〜2Rは、基板3に対して垂直方向上側にレーザ光を出射可能となっている。
図1及び図2に示されるように、VCSELアレイ(半導体発光素子アレイ)1は、複数のVCSEL素子(発光部)2A〜2R(2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H,2J,2K,2L,2M,2N,2P,2Q,2R)を備えている。VCSEL素子2A〜2Rは、基板3上の発光層4において2次元的に配列されている。より具体的には、VCSEL素子2A〜2Rは、4×4列の略正方形状に配列されている。各VCSEL素子2A〜2Rは、基板3に対して垂直方向上側にレーザ光を出射可能となっている。
このVCSELアレイ1は、基板3と、基板3の上面に形成された発光層4と、基板3の下面に形成されたカソード電極(第1の電極)5と、発光層4の上面に形成された複数のアノード電極(第2の電極)6A〜6Rと、各アノード電極6A〜6Rと配線8A〜8Rを介して接続された複数の電極パッド7A〜7Rとを備えている。
基板3は、例えばn型を有するGaAs基板である。この基板3は、正方形板状に形成されている。発光層4は、複数の半導体層等から構成されており、基板3よりも一回り小さな正方形層状に形成されている。VCSEL素子2A〜2Rは、この発光層4に含まれている。
カソード電極5は、基板3と電気的に接続されたn側電極である。このカソード電極5は、基板3と同じ外形形状を有しており、基板3の下面全面に設けられている。各アノード電極6A〜6Rは、各VCSEL素子2A〜2Rに対応するように設けられている。各アノード電極6A〜6Rは、対応するVCSEL素子2A〜2Rと電気的に接続された円環状のp側電極である。これらのアノード電極6A〜6Rは、コンタクト電極としての機能を有している。
各電極パッド7A〜7Rは、配線8A〜8Rによって、対応するアノード電極6A〜6Rと電気的に接続されている。電極パッド7A〜7Rは、発光層4のうちVCSEL素子2A〜2Rを除く部分の上面に形成されている。より具体的には、電極パッド7A〜7Rは、VCSEL素子2A〜2Rが配列された部分を囲む正方形環状の環状部分9において、4個ずつが正方形の各辺上に並ぶように配列されている。各電極パッド7A〜7Rは、基板3の厚さ方向から見た場合の形状が略正方形状とされ、略同じ大きさとされている。電極パッド7A〜7R及び配線8A〜8Rは、後述する発光層4の絶縁膜15及び平坦化ポリイミド部16上に形成されている。電極パッド7A〜7Rには、例えば、VCSEL素子2A〜2Rを駆動するための駆動ドライバ(図示せず)が接続される。
発光層4は、n−DBR(Distributed Bragg Reflector)層11と、活性層12と、p−DBR層13と、酸化狭窄層14とを有している。
基板3上に形成されたn−DBR層11は、n型を有するミラー層である。このn−DBR層11は、組成が異なる化合物半導体層を交互に積層して構成された半導体ミラー層である。n−DBR層11は、例えばAl組成比が異なるAlGaAs層が交互に積層された半導体多層構造とされている。
活性層12は、n−DBR層11上に形成され、カソード電極5とアノード電極6A〜6Rとの間において電圧が印加されて電流が供給されることにより所定の発光スペクトルで発光する部分である。この活性層12としては、例えばAlGaInP/GaInPの半導体積層構造で構成された多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)活性層が用いられる。
p−DBR層13は、活性層12上に形成され、p型を有するミラー層である。このp−DBR層13は、n−DBR層11と同様に、例えばAl組成比が異なるAlGaAs層が交互に積層された半導体多層構造とされている。そして、活性層12を挟んで設けられたp−DBR層13とn−DBR層11とによって、各VCSEL素子2A〜2Rにおける垂直共振器が構成されている。
p−DBR層13の下部で且つ活性層12上には、活性層12に対する電流を狭窄するための酸化狭窄層14が形成されている。この酸化狭窄層14は、各アノード電極6A〜6Rに対向する部分において複数形成されており、それぞれの酸化狭窄層14は環状とされている。酸化狭窄層14は、例えばAlGaAs等のAlを含む化合物半導体が酸化されることにより形成される。
なお、図示しないが、活性層12とn−DBR層11との間には、n型のクラッド層やノンドープ層が設けられている。また、活性層12とp−DBR層13との間には、p型のクラッド層が設けられている。これらの各層は、VCSEL素子2A〜2Rの構造において、必要に応じて設けられる。
また、発光層4のうち、環状部分9の内側の部分においては、VCSEL素子2A〜2Rを囲むようにして、p−DBR層13、活性層12、及びn−DBR層11の上層部がメサエッチによって取り除かれている。メサエッチによって取り除かれた部分であるVCSELメサ部と、取り除かれずに残存したp−DBR層13(アノード電極6A〜6Rが設けられる部分を除く)との表面には、絶縁膜15が形成されている。更に、VCSELメサ部がポリイミドによって埋め戻されることにより、平坦化ポリイミド部16が形成されている。
こうして絶縁膜15及び平坦化ポリイミド部16によって互いに絶縁されることにより、発光層4においてVCSEL素子2A〜2Rが形成されている。更に、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて、p−DBR層13の上面には前述した円環状のアノード電極6A〜6Rが電気的に接続される。また、p−DBR層13の上面で且つ各アノード電極6A〜6Rの中央穴部には、p型のGaAsからなるコンタクト層17が形成される。このコンタクト層17は、レーザ光が出射する部分であり、各VCSEL素子2A〜2RにおけるVCSEL発光窓として機能する。
ここで、VCSELアレイ1にあっては、アノード電極6A〜6Rと電極パッド7A〜7Rとの相対的な位置関係により、各配線8A〜8Rの長さが異なっている。具体的には、配線8F,8G,8K,8Lは長さが最も長くなっており、続いて長さが長い順に、配線8E,8H,8J,8M、配線8A,8D,8N,8Rとなっている。配線8B,8C,8P,8Qは、長さが最も短くなっている。
そして、これらの配線8A〜8Rは、各配線の電気抵抗を略同一とするために、長さが長いほど広い幅を有している。すなわち、配線8F,8G,8K,8Lは幅が最も広くされており、長さが短くなるにつれて、幅が狭く(細く)されている。配線の長さが最も短い配線8B,8C,8P,8Qは、幅が最も狭く(細く)されている。
また、発光層4において電極パッド7A〜7Rのうち一部の電極パッド7A,7D〜7N,7Rに対向する部分には、電極パッド7A,7D〜7N,7Rにおける浮遊容量を小さくするための高抵抗化領域であるプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rがそれぞれ形成されている。これらのプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、発光層4にプロトン注入が施されることにより形成されている。ここで、高抵抗化領域とは、発光層4よりも比抵抗が高く、誘電率が小さい領域である。
また、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、基板3の厚さ方向から見た場合に、電極パッド7A,7D〜7N,7Rの外縁部に沿って正方形環状に形成されている。言い換えれば、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、基板3の厚さ方向から見た場合に、電極パッド7A,7D〜7N,7Rの外縁部を含むような位置及び形状に形成されている。
また、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、上下方向(基板3の厚さ方向)に沿って延びる柱状とされており、p−DBR層13から活性層12にかけて延在している。各プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの上下方向の長さ(高さ)は、略同一とされている。
更には、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、対応する電極パッド7A,7D〜7N,7Rに接続された配線8A,8D〜8N,8Rの長さが長いほど、基板3の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有するように形成されている。この基板3の厚さ方向から見た場合の面積とは、言い換えれば、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rにおける基板3に平行な断面の面積である。以下の説明においては、単にプロトン注入領域の「断面積」という。
具体的には、プロトン注入領域18F,18G,18K,18Lは断面積が最も大きくされており、プロトン注入領域18E,18H,18J,18Mは、プロトン注入領域18F,18G,18K,18Lよりも断面積が小さくされている。プロトン注入領域18A,18D,18N,18Rは、断面積が最も小さくされている。また、接続される配線の長さが最も短い電極パッド7B,7C,7P,7Qにおいては、対向する発光層4の部分にはプロトン注入領域は形成されていない。言い換えれば、電極パッド7B,7C,7P,7Qにおいては、プロトン注入領域の断面積はゼロとされている。
このように、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、複数の電極パッド7A〜7Rのうち、接続される配線の長さが最も短い電極パッド7B,7C,7P,7Qを除く電極パッド7A,7D〜7N,7Rに対して形成される。そして、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rが形成されることにより、各VCSEL素子2A〜2Rに接続される電極パッド7A〜7R、配線8A〜8R、及びアノード電極6A〜6Rを含めた各経路(各チャンネル)における浮遊容量が、略同一とされている。すなわち、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、配線8A〜8Rの長さや幅(太さ)の違いによる、各経路における浮遊容量の差異を補正する機能を有している。
続いて、上記の構成を有するVCSELアレイ1の製造工程について、図3〜図5を参照して説明する。図3〜図5は、図1のII−II線に沿っての断面図に相当するため、VCSEL素子2A〜2D及び電極パッド7E,7Hに対応する構成のみが示されているが、以下の説明においてはVCSELアレイ1の構成全体について説明する。
まず、図3に示されるように、各VCSEL素子2A〜2Rに対応するコンタクト電極(図3ではコンタクト電極6a〜6d)が形成される(コンタクト電極形成工程)。これらのコンタクト電極は、アノード電極6A〜6Rの一部を構成するものである。なお、コンタクト電極が形成されるまでの工程は、従来の技術と同様である。
次に、図4に示されるように、プロトンが注入される領域以外の表面(上面に形成された絶縁膜15、平坦化ポリイミド部16、コンタクト電極、及びVCSEL発光窓17)が、ホトレジスト19によってコートされる(ホトレジスト形成工程)。ここで、プロトンが注入される領域は、後に形成される各電極パッド7A,7D〜7N,7Rの外縁部に対応する複数の環状の領域(図4では開口部21E,21H)である。以下、この開口部を「プロトン注入用開口部」という。この工程で形成されるホトレジスト19は、プロトン注入(イオン注入)領域を規定する機能を有する。
次に、図5に示されるように、ホトレジスト19に形成されたプロトン注入用開口部より、p−DBR層13及び活性層12に対してプロトン注入を施す(高抵抗化領域形成工程)。このプロトン注入により、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rが形成される(図5ではプロトン注入領域18E,18H)。そして、ホトレジスト19を除去した後、アノード電極6A〜6R、電極パッド7A〜7R、及び配線8A〜8Rを形成し(パッド電極・配線電極形成工程)、図2に示した状態となる。
続いて、VCSELアレイ1における配線8A〜8R及びプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの作用・効果について、図1及び図2を再び参照しながら説明する。
まず、VCSEL素子2A〜2Rに接続された駆動ドライバ(図示せず)等により、電極パッド7A〜7Rに対して所定のパルス電流が供給される。パルス電流が供給されると、各VCSEL素子2A〜2Rに電流が流れ、活性層12が発光する。活性層12が発光すると、p−DBR層13とn−DBR層11とによって構成された垂直共振器によって光が発振し、レーザ光としてVCSEL発光窓17を介してVCSELアレイ1の上面から外部へと出射される。
ここで、VCSELアレイ1では、前述したように、各配線8A〜8Rの電気抵抗(R)が略同一とされると共に、各VCSEL素子2A〜2Rに接続される各経路における浮遊容量(C)が略同一とされている。よって、電極パッド7A〜7Rに対して所定のパルス電流が供給される際、各経路におけるCR時定数が略等しくされ、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて出射されるレーザ光のパルス遅延時間やパルス波形形状が揃い、良質で均一な光パルスが得られる。
以上説明した本実施形態のVCSELアレイ1によれば、各VCSEL素子2A〜2Rに対応するアノード電極6A〜6Rには、配線8A〜8Rを介して電極パッド7A〜7Rが接続され、この配線8A〜8Rは、長さが長いほど広い幅を有しているため、長さが長いほど断面積が大きくなる。よって、各配線8A〜8Rの長さに差がある場合でも、物理的に長くならざるを得ない配線への長さ及び幅の整合を要せずに、各配線8A〜8Rの電気抵抗の差を低減でき、各配線8A〜8Rの電気抵抗を略同一にできる。
また、発光層4において電極パッド7A,7D〜7N,7Rに対向する部分には、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rが形成され、このプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、対向する電極パッド7A,7D〜7N,7Rに接続された配線8A,8D〜8N,8Rの長さが長いほど大きい断面積を有しているため、配線8A,8D〜8N,8Rの長さが長いほどプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの容積は大きくされる。プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの容積が大きいほど誘電率が小さくなり、対向する電極パッド7A,7D〜7N,7Rにおける浮遊容量を小さくできるため、各配線8A〜8Rの長さや幅の差により各配線8A〜8Rにおける浮遊容量に差がある場合でも、可変容量素子等の外的な部品の付加を要せずに、配線8A〜8Rによって生じる浮遊容量の差を低減でき、電極パッド7A〜7R、配線8A〜8R、及びアノード電極6A〜6Rを含めた各経路における浮遊容量を略同一にできる。
このように、各配線8A〜8Rの電気抵抗及び各経路の浮遊容量を略同一とすることによりCR時定数を略同一にでき、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて均一な変調特性を得ることができる。また、配線8A〜8Rの幅の変更による電気抵抗の均一化とプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成における浮遊容量の均一化とを同時に行うことにより、単に容量が大きい配線に合わせて容量を揃える場合に比べてCR時定数の増大を抑制することができ、応答速度の低下を防止することができる。更には、このような配線8A〜8Rの幅の変更や発光層4におけるプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成は、VCSELアレイ1に対する外的な部品の付加を要さず、大型化をも防止することができる。したがって、VCSELアレイ1によれば、応答速度の低下及び大型化を防止しつつ、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて均一な変調特性を得ることができる。
また、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、基板3の厚さ方向から見た場合に電極パッド7A,7D〜7N,7Rの外縁部に沿って形成されているため、電極パッド7A,7D〜7N,7Rにおける外縁部の内側部分が発光層4に対向することになるので、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rの形成による電極パッド7A,7D〜7N,7Rのボンディング強度の低下を防止することができる。一方、電極パッド7A,7D〜7N,7Rの外縁部に対向する部分においては、対向する電極パッド7A,7D〜7N,7Rにおける浮遊容量をプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rによって小さくできるため、浮遊容量の均一化を図ることができる。
また、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rは、プロトン注入が施されることにより形成されているため、発光層4において電極パッド7A,7D〜7N,7Rに対向する部分において、対向する電極パッド7A,7D〜7N,7Rに接続された配線8A,8D〜8N,8Rの長さが長いほど基板3の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有するプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rを、確実且つ容易に形成することができる。
更にまた、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rが電極パッド7A,7D〜7N,7Rの外縁部に対向する部分に形成されるため、発光層4が形成された空間を有効利用しつつ浮遊容量の均一化を図ることができる。例えば、配線8A,8D〜8N,8Rに対向する発光層4の部分にプロトンを注入しようとする場合、配線8A,8D〜8N,8Rは電極パッド7A,7D〜7N,7Rに比して細く小さいため形成工程が困難なものとなるばかりか、配線8A,8D〜8N,8Rの大部分は半導体層12,13ではなく平坦化ポリイミド部16上に形成されている(図1参照)ため、適切な容積・形状のプロトン注入領域を形成することが困難になってしまう。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るVCSELアレイ1Aの図2に対応する断面図である。このVCSELアレイ1Aは、上記した第1の実施形態のVCSELアレイ1とは、ポリイミド埋め込み領域(図6ではポリイミド埋め込み領域28E,28H)を高抵抗化領域として備えた点で異なっている。このポリイミド埋め込み領域は、絶縁性樹脂であるポリイミドが発光層4に埋設されることにより形成されている。VCSELアレイ1Aのその他の構成は、VCSELアレイ1と同様である。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るVCSELアレイ1Aの図2に対応する断面図である。このVCSELアレイ1Aは、上記した第1の実施形態のVCSELアレイ1とは、ポリイミド埋め込み領域(図6ではポリイミド埋め込み領域28E,28H)を高抵抗化領域として備えた点で異なっている。このポリイミド埋め込み領域は、絶縁性樹脂であるポリイミドが発光層4に埋設されることにより形成されている。VCSELアレイ1Aのその他の構成は、VCSELアレイ1と同様である。
このポリイミド埋め込み領域は、VCSELアレイ1のプロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rと同様、発光層4において電極パッド7A,7D〜7N,7Rに対向する部分に形成されている。また、ポリイミド埋め込み領域の形状は、n−DBR層11の上層部から発光層4の上面に至るまで形成されているという点を除いては、プロトン注入領域18A,18D〜18N,18Rと同様である。すなわち、ポリイミド埋め込み領域は、対向する電極パッド7A,7D〜7N,7Rに接続された配線8A,8D〜8N,8Rの長さが長いほど、基板3の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有するように形成されている。
図7及び図8は、ポリイミド埋め込み領域の製造工程の説明図である。まず、図7に示されるように、各VCSEL素子2A〜2Rに対応するコンタクト電極(図7ではコンタクト電極6a〜6d)が形成される(コンタクト電極形成工程)。また、この工程では、p−DBR層13、活性層12、及びn−DBR層11の上層部がメサエッチによって取り除かれてVCSELアレイ1と同様のVCSELメサ部23が形成されると共に、ポリイミド埋め込み領域に対応する位置において複数の浮遊容量補正用メサ部(図7では浮遊容量補正用メサ部24E,24H)が形成され、その表面には絶縁膜15が形成される。各浮遊容量補正用メサ部は、上下方向の長さ(深さ)がVCSELメサ部23と同一となるように形成されている。
次に、図8に示されるように、VCSELメサ部23及び浮遊容量補正用メサ部をポリイミドで埋め込み、平坦化を行う(平坦化ポリイミド部及びポリイミド埋め込み領域形成工程)。このポリイミドの埋め込み(埋設)により、平坦化ポリイミド部16及びポリイミド埋め込み領域(図6ではポリイミド埋め込み領域28E,28H)が形成される。そして、アノード電極6A〜6R、電極パッド7A〜7R、及び配線8A〜8Rを形成し(パッド電極・配線電極形成工程)、図7に示した状態となる。
このようなVCSELアレイ1Aにおいても、VCSELアレイ1と同様の作用・効果を得ることができる。すなわち、VCSELアレイ1Aによれば、応答速度の低下及び大型化を防止しつつ、各VCSEL素子2A〜2Rにおいて均一な変調特性を得ることができる。また、VCSELアレイ1Aでは、ポリイミド埋め込み領域は、絶縁性樹脂であるポリイミドが埋設されることにより形成されているため、確実且つ容易にポリイミド埋め込み領域を形成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、VCSEL素子2A〜2Rが略正方形状に規則的に配列されている場合について説明したが、例えば千鳥状に配列されていてもよく、不規則的に配列されていてもよい。また、上記実施形態では、電極パッド7A〜7Rが正方形の各辺上に並ぶように配列されている場合について説明したが、電極パッドの配列についても、VCSEL素子の配列と同様、限定されるものではない。
また、上記実施形態では、高抵抗化領域(プロトン注入領域、ポリイミド埋め込み領域)は、基板3の厚さ方向から見た場合の面積によって容積を調整したが、面積だけではなく上下方向の長さ(高さ若しくは深さ)を変えることにより容積を調整してもよい。また、高抵抗化領域は、基板3の厚さ方向から見た場合の形状が環状である場合に限られず、正方形や長方形状等の多角形状であってもよく、U字状や円形状であってもよい。また、一つの電極パッドに対して形成される高抵抗化領域は一体である場合に限られず、複数の高抵抗化領域が形成されていてもよい。
更にまた、高抵抗化領域は、プロトン注入やポリイミドの埋め込みに限られず、半導体よりも誘電率が低い他の物質により形成されてもよい。
1…VCSELアレイ(半導体発光素子アレイ)、2A〜2R…VCSEL素子(発光部)、3…基板、4…発光層、5…カソード電極(第1の電極)、6A〜6R…アノード電極(第2の電極)、7A〜7R…電極パッド、18A,18D〜18N,18R…プロトン注入領域(高抵抗化領域)、28E,28H…ポリイミド埋め込み領域(高抵抗化領域)。
Claims (4)
- 基板と、
前記基板の一方の面に形成され、複数の発光部を含む発光層と、
前記基板の他方の面に形成された第1の電極と、
前記発光部のそれぞれに対応するように前記発光層の一方の面に形成された複数の第2の電極と、
前記発光層のうち前記発光部を除く部分の一方の面に形成され、前記第2の電極のそれぞれと配線を介して接続された複数の電極パッドと、を備え、
前記配線は、長さが長いほど広い幅を有しており、
前記発光層において前記電極パッドに対向する部分には、対向する前記電極パッドに接続された前記配線の長さが長いほど、前記基板の厚さ方向から見た場合に大きい面積を有する高抵抗化領域が形成されていることを特徴とする半導体発光素子アレイ。 - 前記高抵抗化領域は、前記基板の厚さ方向から見た場合に前記電極パッドの外縁部に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子アレイ。
- 前記高抵抗化領域は、前記発光層に絶縁性樹脂が埋設されることにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子アレイ。
- 前記高抵抗化領域は、前記発光層にプロトン注入が施されることにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子アレイ。
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