JP2011226594A - 制振ダンパー - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の減衰ブロックの間に中間板を挟んだ形状によって振動吸収時に減衰ブロックが捻れ変形を生じ、剪断変形のみ生じる構造よりも減衰性能に優れた制振ダンパーを提供する。
【解決手段】一対の剛性板12Aおよび12Bと、剛性板12Aと12Bとの間に設けられ、それぞれと接着された減衰ブロック14Aおよび14Bと、減衰ブロック14A、14Bの間に挟持される中間板40と、から制振ダンパー10が構成されている。減衰ブロック14A、14Bと剛性板12A、12Bとの接着面16A、16Bの図心Ca、Cbは幅方向に距離δだけオフセットした構造とされているため、振動減衰の際には減衰ブロック14A、14Bは矢印24のように捻れ変形をも伴い、これにより剪断変形のみの場合に比較して捻れ変形の分だけ振動の減衰量が大きくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は制振ダンパーに関し、詳しくは、建築物等固定構造物の振動を低減するための制振効果を備えた制振ダンパーに関する。
従来から、建築、土木分野において地震や風により振動して変位が集中する建築物等の固定構造物の建築構造物間には、これらの振動を低減するために何らかのエネルギー吸収装置すなわち制振ダンパーが使用されている。制振ダンパーとしては、摩擦によるエネルギー吸収を利用した摩擦ダンパーや粘弾性材料を用いた粘弾性ダンパー等が挙げられる。
また制振用ダンパーには、交通振動などの小さな変形域で大きな減衰力を発揮する機能と、大地震などの大きな変形に対して剪断歪みが大きくなり、変位追従能力を発揮する機能との両方を兼ね備えていることが要求されている。
しかしゴム等の弾性部材の剪断変形を用いて振動を吸収(減衰)させる場合、素材の物性において減衰量を増加させようとすれば線型性(ひずみ依存性)が低下する、温度依存性が増加し温度変化に対して性能が不安定になる等の問題があり、素材自体の物性で減衰性能を向上させるには限界があった。
粘弾性を有する材料と、弾性を有する材料とを組み合わせた制振材料を使用する制振用ダンパーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし当該構成は2種類の材料(粘弾性材料と弾性材料)が積層されるため、その材料同士の接着が困難である上、積層されるので厚みが増し、物理的に安定していないなどの問題があった。
特開平7−197969号公報
発明者らは剛性板の間に減衰性を有する複数の材料(減衰ブロック)を挟み、これで更に中間板を挟んだ構造の制振ダンパーにおいて、剛性板の振動方向より見て例えば2つの減衰ブロックと2枚の剛性板との接着面の図心が引っ張り幅方向にオフセットした構造とすれば、単純に2つの減衰ブロックで中間板を挟んだ構造に比較して振動減衰量が増加するという知見を得た。
すなわち、2つの減衰ブロックと2枚の剛性板との接着面の図心が引っ張り幅方向にオフセットした(減衰ブロックと剛性板との接着面が平面視でオフセットした)構造であれば、振動吸収の際にはふたつの減衰ブロックに図6に示す矢印24のようにねじりトルクが発生し、捻れ変形が生じる。
このため、例えば平面視で接着面が重なったふたつの減衰ブロックであれば振動吸収の際に剪断変形による剪断力のみ生じるのに対して、ふたつの減衰ブロックと2枚の剛性板との接着面が平面視でオフセットする構造であれば、矢印24のようなねじりトルクが発生し、剪断変形による剪断力と併せて振動減衰量を全体としてより大きなものとすることができることがわかった。
本発明は上記事実を考慮して、複数の減衰ブロックの間に中間板を挟んだ形状によって振動吸収時に減衰ブロックが捻れ変形を生じ、剪断変形のみ生じる構造よりも減衰性能に優れた制振ダンパーを提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、第1の剛性板と、前記第1の剛性板と間隔を空けて対向し、厚さ方向より見て一部重なって配置された第2の剛性板と、前記第2の剛性板に対向する前記第1の剛性板の一の面に接着された減衰ブロックと、前記第1の剛性板に対向する前記第2の剛性板の一の面に接着された減衰ブロックと、前記複数の減衰ブロックの間に接着された中間板と、を備え、前記第1の剛性板と前記第2の剛性板とは、各々が前記一の面に沿って互いに振動吸収方向に移動可能に支持され、前記第1の剛性板と前記第2の剛性板の厚さ方向より見て、前記第1の剛性板の一の面と前記減衰ブロックとの接着面の図心と、前記第2の剛性板の一の面と前記減衰ブロックとの接着面の図心とが、前記振動吸収方向より見て前記振動吸収方向と直交する方向にオフセットしていることを特徴とする。
上記の発明では、1個の減衰ブロックと第1の剛性板との接着面の図心と、この減衰ブロックとの間に中間板が接着された減衰ブロックと第2の剛性板との接着面の図心とが、振動吸収方向と直交する方向(幅方向)にオフセットして配置されているため、振動を吸収する際にはそれぞれの減衰ブロックが剪断変形のみならず、捻れ変形をも起こすので、剛性板との接着面が平面視で重なるように配置された減衰ブロックを用いた構造よりも減衰量の大きな制振ダンパーとすることができ、また減衰ブロックの素材を変更せず配置の変更で性能向上が可能であるためコストを抑えることができる。
請求項2に記載の発明は、前記減衰ブロックは前記振動吸収方向から見た断面が矩形となる形状をしていることを特徴とする。
上記の発明では、減衰ブロックの断面が矩形となる形状をしているため、減衰ブロックの形状が単純かつ対称となり、部品のコスト低減、工程の単純化に加えて製造時の取付けミスを防止し、製造時の歩留まりの優れた制振ダンパーとすることができる。
本発明によれば、複数の減衰ブロックの間に中間板を挟んだ形状によって振動吸収時に減衰ブロックが捻れ変形を生じ、剪断変形のみ生じる構造よりも減衰性能に優れた制振ダンパーとすることができる。
本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーの構造を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーの構造を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーの構造を示す正面図である。 本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーの構造を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーに用いられる減衰ブロックの変形を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーに用いられる減衰ブロックの変形を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係る制振ダンパーに用いられる減衰ブロックと従来の減衰ブロックとの減衰性能を比較する概念図である。 本発明の第2実施形態に係る制振ダンパーの構造を示す側面図である。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。ここで、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。なお、以下の実施形態で得られた制振ダンパーは、柱や梁部材その他の建築構造物間に利用され、特に橋梁などの振動吸収部材として好適なものである。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態では、鋼材などで形成され高い剛性をもつ一対の剛性板12Aおよび12Bと、剛性板12Aと12Bとの間に設けられ、それぞれと接着された減衰ブロック14Aおよび14Bと、減衰ブロック14A、14Bの間に挟持される中間板40と、から制振ダンパー10が構成されている。
図1は平面図、図2は側面図、図3は制振ダンパー10の動作(伸縮)方向から見た矢視図、図4は斜視図である。
剛性板12A、12Bは例えば鋼板のように十分な剛性を備えた板材であり、図1〜4に示すように一部平面視で重なりつつ所定の間隔を空けて面同士を対向させている。減衰ブロック14Aおよび14Bは図2、3に示すように矩形の断面をもつ、ゴム等の減衰性を有する材料からなるブロックであり、面15Aおよび15Bで剛性板12A、12Bと接着され、接着面16A、16Bを形成している。
また減衰ブロック14Aおよび14Bは剛性板12A、12Bと接着された面15Aおよび15Bと対向する面、すなわち面15Cおよび15Dで中間板40と接着され、中間板40を挟持している。中間板40は剛性部材であってもよく、あるいは弾性を備えていてもよい。中間板40は剛性板12A、12Bの間で減衰ブロック14A、14Bの弾性により、接着面16A、16Bに沿った方向に移動可能に支持されている。
これにより減衰ブロック14A、14Bと剛性板12A、12Bとの接着面16A、16Bの図心Ca、Cbは図1および図3のように幅方向に距離δだけオフセットした構造とされ、図1、2、4に示す矢印20Aおよび20Bのように外力(引張力)が印加された際には減衰ブロック14A、14Bが変形することでこれを吸収する。
すなわち剛性板12A、12Bに引張力(矢印20A、20B)が印加された際には減衰ブロック14A、14Bは振動方向(引っ張り方向)に剪断変形するが、接着面16A、16Bの図心Ca、Cbが振動幅方向にオフセットしているため、同時に減衰ブロック14A、14Bは矢印24のように捻れ変形をも伴っており、これにより剪断変形のみの場合に比較して捻れ変形の分だけ振動の減衰量が大きくなる。
さらに、減衰ブロック14A、14Bとして使用される部材は例えば矩形断面のゴムブロックなどでよく、特殊な断面形状である必要はない。このため部品コストが低く、また方向性がないため組立の際にミスが少なく、工程時間を短縮し歩止まりのよい制振ダンパーとすることができる。
次に本実施形態の作用について説明する。
図1〜5に示すように剛性板12A、12Bに矢印20A、20Bのように引張力が印加されると、接着面16A、16Bにより減衰ブロック14Aと14Bは図5のように剪断変形し、剪断力が発生する。この矢印20A、20Bおよびこれと逆方向の外力の繰り返しが振動であり、減衰ブロック14は剪断変形で生じる剪断力により上記の振動を減衰させる。
このとき、図1および図3に示すように接着面16A、16Bの図心Ca、Cbは距離δだけオフセット(偏芯)している。さらに中間板40は減衰ブロック14A、14Bの面15C、15Dで接着され挟持されているが、剛性板12A、12Bのいずれとも剛結合されていおらず、弾性を備えた減衰ブロック14A、14Bに接着されているため、剛性板12A、12Bに矢印20A、20Bのように引張力が印加されると、図6に示すように図心Ca、Cbの偏芯により中間板40は回転し、減衰ブロック14A、14Bの面15Aと面15Bとの間には矢印24で示すようなねじりトルクが発生し、減衰ブロック14A、14Bには捻れ変形が生じる。
すなわち図5に示すように減衰ブロック14Aには矢印20A、減衰ブロック14Bには矢印20Bのような外力が印加され、かつ減衰ブロック14A、14Bの間で両者を結合する中間板40は減衰ブロック14A、14Bで懸架されているため、減衰ブロック14A、14Bに捻れ変形が発生し、例えば直方体形状の減衰ブロックを1個だけ用いた場合のように捻れ変形を起こさず純粋に剪断変形のみを生じる場合に比較して、捻れ変形の分だけ減衰量が増加するので、振動を減衰する制振ダンパーとしての性能向上が可能となる。
例えば図7に示すように、引張力が印加されるX方向(振動方向)の変位量と荷重との関係を従来のように直方体形状の減衰ブロックを1個使用した従来例(破線)と本願発明(実線)とで比較すれば、同じX方向の変位量でも減衰する荷重を大きくすることができ、制振ダンパーとしての性能も両者の面積差の分だけ向上させることができる。
このとき、引張力が印加されるX方向(振動方向)から見て接着面16A、16Bの図心Ca、Cbがオフセット(偏芯)している必要があるため、剛性板12A、12Bの移動方向は図心Ca、Cbを結ぶ線分と平行となることはない。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態に係る制振ダンパー11では、第1実施形態に比べ、剛性板12A、12Bの間には略矩形断面の減衰ブロック141、142、143が2枚の中間板42、44を挟んで配置されている。すなわち、厚さ方向に見て剛性板12Aには面151Aで減衰ブロック141が接着され、この減衰ブロック141に中間板42が背着され、中間板42には面152Aで減衰ブロック142が接着され、減衰ブロック142には中間板44が、中間板44には減衰ブロック143の順に接着され、減衰ブロック143には面153Aで剛性板12Bに接着される形状とされている。
すなわち、剛性板12Aと中間板42の間には減衰ブロック141が設けられ、さらに中間板42中間板44との間には減衰ブロック142が設けられている。加えて中間板44には減衰ブロック143が接着され、この減衰ブロック143を介して剛性板12Bが接着される構成とされる。
このとき図8(B)に示すように、面151Aの図心Ca、面152Aの図心Cb、面153Aの図心Ccはそれぞれ引っ張り幅方向にδ1、δ2だけ偏芯している。これにより剛性板12Aと12Bの間には3個の減衰ブロック141、142、143が中間板42、44を挟んで接続されることになり、さらに捻れ変形を生じさせることが可能となるので、減衰する荷重を大きくすることができ、制振ダンパーとしての性能も向上させることができる。
このとき、例えば減衰ブロック141、142、143の断面形状や素材が全て同一である必要はない。あるいはδ1、δ2は必ずしも等しい必要はなく、あるいは一方が略ゼロでもよい。必要とされる制振性能やコスト、大きさ等の諸条件によって上記の組み合わせを適宜使い分けることができる。また、減衰ブロックおよび中間板を更に追加してもよく、あるいは剛性板の枚数を更に増やし、厚さ方向両端の剛性板と中間の剛性板との間で振動を減衰させる構成としてもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。例えば、減衰ブロックを矩形断面とせず台形断面とするなど、接着面の図心がオフセット(偏芯)している条件を満たせば減衰ブロックに捻れ変形が発生するので、種々の断面形状とすることができる。
10 制振ダンパー
12A 剛性板
12B 剛性板
14A 減衰ブロック
14B 減衰ブロック
15A 面
15B 面
15C 面
16A 接着面
16B 接着面
20A 矢印
20B 矢印
24 矢印
40 中間板
δ 距離

Claims (2)

  1. 第1の剛性板と、
    前記第1の剛性板と間隔を空けて対向し、厚さ方向より見て一部重なって配置された第2の剛性板と、
    前記第2の剛性板に対向する前記第1の剛性板の一の面に接着された減衰ブロックと、
    前記第1の剛性板に対向する前記第2の剛性板の一の面に接着された減衰ブロックと、
    前記複数の減衰ブロックの間に接着された中間板と、を備え、
    前記第1の剛性板と前記第2の剛性板とは、各々が前記一の面に沿って互いに振動吸収方向に移動可能に支持され、
    前記第1の剛性板と前記第2の剛性板の厚さ方向より見て、前記第1の剛性板の一の面と前記減衰ブロックとの接着面の図心と、前記第2の剛性板の一の面と前記減衰ブロックとの接着面の図心とが、前記振動吸収方向より見て前記振動吸収方向と直交する方向にオフセットしていることを特徴とする制振ダンパー。
  2. 前記減衰ブロックは前記振動吸収方向から見た断面が矩形となる形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の制振ダンパー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113513101A (zh) * 2021-07-22 2021-10-19 同济大学 一种调谐吸振装置

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