JP2011225914A - 表面処理剤、表面処理方法及び機械部品 - Google Patents

表面処理剤、表面処理方法及び機械部品 Download PDF

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Abstract

【課題】入手困難なアミド化合物に代わる入手容易で、アミド化合物と同等或いはそれ以上の防錆性や潤滑性に優れた薄膜を保持する表面処理剤、かかる表面処理剤を用いる表面処理方法、さらに前記表面処理方法を用いて形成された防錆性や潤滑性に優れたゲル状薄膜を表面に有する機械部品を提供する。
【解決手段】沸点が300℃以下の揮発性液体を30〜95質量%含有し、グリセリン脂肪酸部分エステルを1〜50質量%含有し、好ましくは、さらにこれに防錆剤を1〜50質量%、ポリメタクリレートを1〜50質量%、有機モリブデン化合物をモリブデンとして0.1〜10質量%及びアルキルジチオリン酸亜鉛を亜鉛として0.01〜0.5質量%から選択されたいずれか少なくとも一つを含有させる表面処理剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、防錆性や潤滑性に優れる薄膜を素材や部品の表面に作製できる表面処理剤、該表面処理剤を用いた表面処理方法、及びゲル状薄膜を表面に形成した機械部品に関する。
近年、各種産業は生産性のさらなる効率化、コストダウンが求められている。金属の加工素材は、さびの発生を防止するために様々な防錆方法がとられている。例えば、防錆剤の塗布や、防錆紙による包装などが挙げられる。しかし、生産効率、作業環境、コストに加えて、脱脂処理や、使用済み防錆紙の処理などの環境対策で課題があった。
また、精密機械、産業機械、輸送機械などの摺動部は、摩擦・摩耗を繰り返す環境となっているため、摺動部には各種の潤滑油剤や自己潤滑性を有する摺動部材の使用、あるいは表面処理が施されている。しかし、システム上、潤滑油剤の漏洩汚染を避けなければならない場合、コスト上の問題で摺動部材の潤滑性を改善できない場合があった。
本発明者らは、このような表面処理方法として、沸点が300℃以下の揮発性液体を30〜95質量%、潤滑油基油および/または防錆剤を1〜50質量%、およびアミド基を有する化合物を0.1〜50質量%含有する表面処理剤を提案し(特許文献1、2)、アミド化合物がゲル状薄膜を形成するために効果のあるものとして知られていた。しかしながら、このアミド化合物は入手が困難であり、アミド化合物に代わる化合物が求められていた。
WO2009−022629号公報 特開2009−7504号公報
本発明は、入手困難なアミド化合物に代わる入手容易で、アミド化合物と同等或いはそれ以上の防錆性や潤滑性に優れた薄膜を保持する表面処理剤、かかる表面処理剤を用いる表面処理方法、さらに前記表面処理方法を用いて形成された防錆性や潤滑性に優れたゲル状薄膜を表面に有する機械部品を提供することを課題とする。
本発明は、次のとおりの表面処理剤、該表面処理剤を用いた表面処理方法、及び該表面処理剤及び表面処理方法を用いて形成された薄膜を表面に有する機械部品である。
(1)沸点が300℃以下の揮発性液体を30〜95質量%含有し、グリセリン脂肪酸部分エステルを1〜50質量%含有する表面処理剤。
(2)防錆剤を1〜50質量%、ポリメタクリレートを1〜50質量%、有機モリブデン化合物をモリブデン(Mo)として0.1〜10質量%及びアルキルジチオリン酸亜鉛を亜鉛(Zn)として0.01〜0.5質量%から選択されたいずれか少なくとも一つを含有させる上記(1)に記載の表面処理剤。
(3)揮発性液体が、沸点60〜300℃の炭化水素、エステル、アルコール、又はエーテルのいずれか少なくとも一つである上記(1)又は(2)に記載の表面処理剤。
(4)揮発性液体が、炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表面処理剤。
(5)グリセリン脂肪酸部分エステルが、グリセリンと炭素数6〜30の脂肪酸とのエステルである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の表面処理剤。
(6)防錆剤が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩、エステル、アルコール又はアミンのいずれか少なくとも一つである上記(2)〜(5)のいずれかに記載の表面処理剤。
(7)ポリメタクリレートが、分子量5000〜100万である上記(2)〜(6)のいずれかに記載の表面処理剤。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表面処理剤を、部材に付着させ、揮発性液体を揮発させて、グリセリン脂肪酸部分エステルを含む薄膜を前記部材の表面に形成することを特徴とする表面処理方法。
(9)グリセリン脂肪酸部分エステルを含有する厚さ0.1〜50μmのゲル状薄膜を表面に有することを特徴とする機械部品。
本発明の表面処理剤は、入手容易なグリセリン脂肪酸部分エステルを用い、浸漬、塗布、吹きかけなどの方法で加工素材や機械部品(以下、単に「機械部品」という)の表面全体を被覆した後、乾燥し揮発性成分を除去すると、素材、機械部品表面に防錆性や潤滑性に優れた不揮発性の薄膜が形成される。このように簡単な操作で確実に不揮発性薄膜を形成し、高い防錆・潤滑効果を有し、加工作業を容易に行なえるようになるから、生産効率を高め、コストダウンや作業環境の改善に効果を奏する。しかも、摺動機械に用いた場合は、潤滑油を用いずとも定期的な塗布を行なうことにより長期にわたり良好な摺動を継続させることができる。特に負荷が高くない摺動機械部品に適用すると、少ない塗布頻度で済むため効果的である。
また、加工されたばかりの金属素材や部品は、その表面は活性な金属がむき出しになっていることが多く、加工油で覆われているとしても、極めてさび易い状態であるから、発錆を防ぐために窒素シール中や防錆紙で包んで搬送されることも多い。一方、本発明の表面処理剤によれば、素材、部品表面は不揮発性薄膜で覆われているため、作業工程中や加工後、部品等の移動に際して錆の発生を防ぐために、窒素シールや防錆紙で包むなどの特別な取り扱いを要せず、余分な廃棄物がでないうえに、被膜が数μmと薄いためケ−スによっては脱脂作業が不要となる。さらに、潤滑性、防錆性に優れた薄膜は揮散されることなく部材表面に保持されるため、特に摺動部品は機械システムに組み込まれて円滑に稼働するという格別の効果を奏す。
〔揮発性液体〕
本発明の表面処理剤に用いる揮発性液体は、沸点が300℃以下、好ましくは120〜250℃のものである。沸点がこの範囲であると、薄膜を形成する際の乾燥において、特別に加温したり、真空下で乾燥する必要がないので、低コストかつ効率的である。揮発性液体の沸点が低すぎる場合には、常温で揮発が過度となり、危険であると同時に作業環境が悪化するため実用的に使用することが難しい。
また、この揮発性液体は、30℃における動粘度が0.5〜3.0mm2/sのものが好ましく、1.0〜2.5mm2/sがより好ましい。動粘度が低すぎる場合には、薄膜の厚さが薄くなり、また取り扱いが難しくなるとともに、作業環境上好ましくなく、逆に、動粘度が高すぎる場合には、揮発性液体の乾燥除去が難しくなって効率が損なわれる。
さらに、揮発性液体は、引火点が70℃以上のものが、第3石油類に分類され取り扱いが容易になることから好ましい。より高い揮発性が求められる場合でも、混合後の表面処理剤の引火点は70℃以上であることが好ましい。
揮発性液体としては、有機化合物、特には、鉱油系及び合成系の炭化水素、エステル、アルコール及びエーテルなどの、いわゆる汎用溶剤が、グリセリン脂肪酸部分エステルや防錆剤などの添加剤を均一溶解するので、好ましい。
鉱油系炭化水素溶剤としては、原油から精製蒸留などの工程で得られる揮発性の高い留分が挙げられ、ベンジン、石油エーテル、灯油、軽油、及び精製パラフィンなどが好適である。特には、炭素数が4〜20の炭化水素、さらに好ましくは炭素数8〜16の炭化水素が、安価であり、揮発性成分の作業環境上の負荷が小さい点で望ましい。直鎖又は分岐の飽和鎖状炭化水素のいずれも使用できるが、特には直鎖の飽和鎖状炭化水素が好ましい。
合成系炭化水素としては、エチレンなどのオレフィンの重合物などが適する液体として用いることができる。化学合成で得られるこれら炭化水素のうち、炭素数が4〜20、さらに好ましくは炭素数8〜16の炭化水素が上記鉱油系の場合と同様に望ましい。また芳香族系溶剤、例えば、トルエン、キシレンなどの汎用溶剤も用いることができる。
アルコールとしては、アルコール系溶剤として知られる汎用溶剤を好適に使用いることができ、炭素数2〜18、特には、6〜12の一価アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノールなどが好ましい。
エーテルとしては、炭素数2〜18、特には、6〜12のジアルキルエーテルなどのエーテル系溶剤が好適であり、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどが好ましい。
表面処理剤における揮発性液体の含有量は、表面処理剤全量基準で、30〜95質量%、好ましくは40〜80質量%である。揮発性液体が30質量%未満だと、表面処理剤の乾燥が早すぎて、逆に95質量%を超えると、乾燥に時間がかかり過ぎて、塗布作業がやり難くなる。
〔グリセリン脂肪酸部分エステル〕
本発明に用いるグリセリン脂肪酸部分エステルは、脂肪酸とグリセリンから合成され、グリセリンの1つ又は2つの水酸基が脂肪酸でエステル化された、モノエステル又はジエステル化合物であるが、モノエステルを用いることが好ましい。なお、トリエステル化合物は、部分エステルに比べて薄膜形成能が低く摩擦低減効果が小さい。
本発明では、上記脂肪酸は炭素数は6〜30のものが好ましく、12〜18がより好ましい。このモノエステルは下記一般式(1)、ジエステルは式(2)及び(3)でそれぞれ表される。
1‐COO‐CH2‐CH(OH)‐CH2OH (1)
2‐COO‐CH2‐CH(OCO‐R3)‐CH2OH (2)
4‐COO‐CH2‐CH(OH)‐CH2‐OCO‐R5 (3)
上記式(1)〜(3)において、R1、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立して、炭素数6〜30の飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基で、またこの炭化水素基を構成する水素の一部は水酸基で置換されていてもよい。
このようなグリセリン脂肪酸部分エステルとして、具体的には、ラウリン酸モノグリセリド、ラウリン酸ジグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、パルミチン酸ジグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、ベヘン酸ジグリセリド、ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド等の飽和脂肪酸モノグリセリド、飽和脂肪酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリドなどの不飽和脂肪酸モノグリセリド、飽和脂肪酸ジグリセリド、不飽和脂肪酸ジグリセリドなどが挙げられる。
上記グリセリン脂肪酸部分エステルはそれぞれ単独で用いても、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。また、表面処理剤に対するグリセリン脂肪酸部分エステルの含有量は、表面処理剤全量基準で、0.1〜50質量%、好ましくは3〜35質量%である。エステルの含有量が0.1質量%未満であると表面処理剤の薄膜形成能が十分でなくなり、50質量%以上であると、表面処理剤に流動性がなくなり、取り扱い難くなる。
本発明の表面処理剤には、表面処理剤の防錆特性をより効果的に発揮させるために、防錆剤、ポリメタクリレート、さらに、潤滑性を向上させるために、有機モリブデン化合物、アルキルジチオリン酸亜鉛を配合することが好ましい。これらの配合剤は、いずれか1種でもよいが、2種以上組み合わせて配合することもできる。
〔防錆剤〕
防錆剤としては、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸やリン酸塩などのリン化合物、エステル、アルコール及びアミン化合物の少なくとも一つの化合物を含むものであり、ステアリン酸等のモノカルボン酸、アルキル又はアルケニルコハク酸及びその誘導体等のジカルボン酸、アミノ酸およびその誘導体、アルケニルコハク酸部分エステルのような脂肪酸の部分エステル、ナフテン酸、ラノリン酸などの脂肪酸、アルケニルコハク酸、アミノ酸誘導体などと金属(Ca、Ba、Mg等)とのカルボン酸塩、石油スルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのスルホン酸と金属(Na、Ca、Ba、Zn等)とのスルホン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ジアルキルジチオリン酸、酸性リン酸エステルのアミン塩等、リン酸(エステル)およびそのアミン塩等のリン化合物、ソルビタンモノオレート、ペンタエリスリット・モノオレートなどの多価アルコ−ルのカルボン酸部分エステル、ソルビトール、ペンタエリスリトール、アイコシルアルコールなどの高級脂肪族アルコール、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ジエタノールアミン及びそれらの誘導体などのアミン化合物などが挙げられる。さらにはカルシウムフェネート、チアジアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール及びこの誘導体などの金属不活性剤が挙げられる。
この防錆剤は、表面処理剤全量基準で、1〜50質量%配合することが好ましい。1質量%未満では、防錆効果の向上があまり期待できず、50質量%を超えて配合しても、その量の増加に比して、防錆効果の向上が小さく経済的でない。
〔ポリメタクリレート〕
ポリメタクリレート(以下、「PMAポリマー」ともいう)としては、下記の一般式(4)で表される化合物を用いることが好ましい。
−(CH2‐C(CH3)‐COOR6)n− (4)
上記式(4)において、R6は炭素数1〜25の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基である。nは重合度を表し、これによって異なる分子量のポリメタクリレートが調製される。本発明の表面処理剤に用いるポリメタクリレートは、分子量が5000〜100万程度のものを好適に用いることができる。一般式(4)で表されるポリメタクリレートは、非分散型ポリメタクリレートとも呼ばれるが、一般式(4)で表される化合物にアミン、アミドやポリアルキレングリコールなどの誘導体のさらに極性基が付与された形の分散型ポリメタクリレートも好ましく用いることができる。
本発明の表面処理剤で表面処理された機械部品の防錆性は、後述の実施例に示したように格段に改善されているが、これは、ポリメタクリレートを有することにより、ポリメタクリレートと金属との結合が加わり、ゲル状被膜と金属との付着性が大幅に向上した結果と考えられる。
上記のポリメタクリレートをそれぞれ単独で用いても、2種以上の割合で組み合わせて用いてもよい。このポリメタクリレートは、表面処理剤全量基準で、1〜30質量%配合することが好ましく、5〜30質量%がより好ましい。1質量%未満では、防錆効果の向上があまり期待できず、30質量%を超えて配合しても、その量の増加に比して、防錆効果の向上が小さく経済的でない。
〔有機モリブデン化合物〕
有機モリブデン化合物としては、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)やモリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)、モリブデンアミンコンプレックスなどがあるが、MoDTCやMoDTPが好適に用いられる。
MoDTCとしては、硫化モリブデンジアルキルジチオカーバメートや硫化オキシモリブデンジアルキルジチオカーバメートが好ましく、このアルキル基としては、炭素数8〜14の分岐又は直鎖のアルキル基が特に好ましく、具体的にはブチル基、2‐エチルヘキシル基、イソトリデシル基、ステアリル基等が好ましい。また、1分子中に存在するアルキル基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
MoDTPとしては、硫化モリブデンジアルキルジチオホスフェート、硫化オキシモリブデンジアルキルジチオホスフェートが好ましく、このアルキル基としては、炭素数8〜14の分岐又は直鎖のアルキル基が特に好ましく、具体的にはブチル基、2‐エチルヘキシル基、イソトリデシル基、ステアリル基等が好ましい。また、1分子中に存在するアルキル基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
この有機モリブデン化合物の配合量は、モリブデン原子(Mo)として表面処理剤全量基準で、0.1〜10質量%含有されることが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0質量%である。0.1質量%未満では、潤滑性の向上があまり期待できず、10質量%を超えて配合しても、その量の増加に比して、潤滑性の向上が小さく経済的でない。
〔アルキルジチオリン酸亜鉛〕
アルキルジチオリン酸亜鉛としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基を有する化合物が好ましい。なお、このアルキル基は、1級タイプ、2級タイプ及び3級タイプのいずれであってもよいが、特に、1級タイプが最も好ましく、2級タイプが次に好ましい。
アルキルジチオリン酸亜鉛の具体例としては、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジイソペンチルジチオリン酸亜鉛、ジエチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルジチオリン酸亜鉛、ジノニルジチオリン酸亜鉛、ジデシルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
このアルキルジチオリン酸亜鉛は、亜鉛原子(Zn)として、表面処理剤全量基準で、0.01〜0.5質量%含有されることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2質量%である。0.01質量%未満では、潤滑性の向上があまり期待できず、0.5質量%を超えて配合すると、摩擦係数の増加につながり好ましくない。
〔潤滑油基油〕
本発明の表面処理剤は、さらに潤滑油基油を含んでいても良い。表面処理剤中の揮発性液体が除去された後、グリセリン脂肪酸部分エステルと防錆剤のみで形成されるミセル様被膜よりも潤滑油基油が共存したミセル様被膜のほうが強固となり防錆性が高まるケ−スもある。防錆剤も固体の場合はゲル状被膜を形成するために潤滑油基油は重要な役割をはたす。潤滑油基油は防錆剤を溶解できる量があればよいが、量が多すぎると防錆剤としての防錆効果が低減される。
潤滑油基油としては、実質的に揮発することなく、安定な液体であることが好ましい。潤滑油基油の物性は、特に限定するものではないが、40℃における動粘度は5〜5000mm2/sが好ましく、より好ましくは10〜1000mm2/sであり、さらに好ましくは20〜700mm2/sである。粘度指数は90以上が好ましく、より好ましくは95〜250であり、流動点は−10℃以下、より好ましくは−15〜−70℃であり、引火点は130℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上である。また、ガスクロ蒸留(ASTM D7213‐05)における50%留出温度が320℃以上であるものが好ましい。
潤滑油基油として上記の物性を満たすものであれば、鉱油(鉱物油ともいう)、合成油あるいはこれらの混合油を好ましく用いることができる。鉱油系の潤滑油基油としては、原油を常圧蒸留して、さらには減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱蝋、水素化脱蝋、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の潤滑油精製手段を適宜組み合わせて処理して得られた精製潤滑油留分を好適に用いることができる。各種の原料と各種の精製手段を組み合わせて性状の異なる様々な物性の精製潤滑油留分を得ることができるが、上記物性を満たせば、そのまま単独で用いることができる。また、上記物性を満たしていなくても、2種以上を組み合わせて上記物性を満たせば、潤滑油基油として用いることもできる。
また、合成油系の潤滑油基油としては、ポリ‐α‐オレフィン(PAO)、エチレン‐α‐オレフィンオリゴマーなどのポリ‐α‐オレフィンオリゴマー、アルキルナフテン、アルキルナフタレン、グリコール、脂肪酸エステル、シリコーン油、フッ素化油などを挙げることができる。なかでも、ポリ‐α‐オレフィン、脂肪酸エステルが、粘度特性、酸化安定性、材料適合性、コストの面で優れており、好ましく用いることができる。
ポリ‐α‐オレフィンは、1‐デセンや1‐ドデセン、あるいは1‐テトラデセンなどのオレフィンオリゴマーを重合し、重合度2〜10の範囲で、これら重合物を粘度調整のために適宜配合したものを好ましく使用することができる。脂肪酸エステルも様々な分子構造の化合物が市販されており、それぞれ特有の粘度特性(高粘度指数、低流動点)を有し、同一粘度である炭化水素系基油と比べると引火点が高い特徴がある基油である。
脂肪酸エステルは、アルコールと脂肪酸を脱水縮合反応して得ることができるが、本発明においては、化学的な安定性の面で、ジエステル、ポリオールエステル、またはコンプレックスエステルを好適な液状基油成分として挙げることができる。
ジエステルとしては、炭素数4〜14の二塩基酸と、炭素数5〜18のアルコールとのエステルが好ましく用いられる。ここで、二塩基酸としては、具体的には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられ、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸が好ましい。アルコールとしては、炭素数が6〜12の1価アルコール、特には8〜10の炭化水素基に分岐を有する1価アルコールが好ましい。具体的には、2‐エチルヘキサノール、3,5,5‐トリメチルヘキサノール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
また、ポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ‐(トリメチロールプロパン)、トリ‐(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)等のヒンダードアルコールと炭素数2〜24の脂肪酸(一価カルボン酸)とのエステルが好ましい。この脂肪酸として、その炭素数は特に制限されるものではないが、炭素数2〜24の脂肪酸の中でも、潤滑性の点から炭素数3以上のものが好ましく、炭素数4以上のものがより好ましく、炭素数5以上のものが更に好ましく、炭素数7以上のものが特に好ましい。具体的には、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、オレイン酸等が挙げられ、これらの脂肪酸は直鎖状脂肪酸、分枝状脂肪酸のいずれであってもよく、更にはα炭素原子が4級炭素原子である脂肪酸(ネオ酸)であってもよい。これらの中でも、吉草酸(n‐ペンタン酸)、カプロン酸(n‐ヘキサン酸)、エナント酸(n‐ヘプタン酸)、カプリル酸(n‐オクタン酸)、ペラルゴン酸(n‐ノナン酸)、カプリン酸(n‐デカン酸)、オレイン酸(cis‐9‐オクタデセン酸)、イソペンタン酸(3‐メチルブタン酸)、2‐メチルヘキサン酸、2‐エチルペンタン酸、2‐エチルヘキサン酸及び3,5,5‐トリメチルヘキサン酸が好ましく用いられる。
また、二塩基酸と多価アルコールと一価カルボン酸または一価アルコールから合成されるコンプレックスエステルも好ましく用いられる。二塩基酸、多価アルコール、一価カルボン酸(脂肪酸)、一価アルコールは、ジエステルやポリオールエステルの合成に用いた上記の例示化合物を用いることができる。
上記各種の合成油系の潤滑油基油は、上記の物性を満足するのであれば、単独で用いることもできるし、上記の物性を満足するように2種以上をブレンドして用いることもできる。さらに、上記の鉱油と合成油を任意な混合割合で混合して使用することもできる。このとき、鉱油と合成油はそれぞれ複数用いてもかまわない。鉱物油は、より汎用な基油で、コスト面、粘度特性、酸化安定性などのバランスが取れている。ポリ‐α‐オレフィンは、化学的に不活性で安定し、性能面、特に粘度特性に優れ、幅広い粘度を有するものが市販されており、コスト的にも最も優れた基油として使用することができる。
この潤滑油基油は、表面処理剤全量基準で、50質量%以下配合することが好ましく、特には35質量%以下が好ましい。
〔その他添加剤〕
本発明の表面処理剤には、上記以外に、潤滑油や加工油に使用される添加剤を加えてさらに薄膜の性能を向上させることができる。添加剤としては、酸化防止剤、摩耗防止剤、消泡剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、加水分解安定剤、分散剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、使用材料、用途等に合わせて適宜選択配合するとよい。また、これらの添加剤は、数種が予め混合されたいわゆる添加剤パッケージの形で用いることもできる。なお、有機モリブデン化合物を配合したときに沈殿が発生する場合があるが、無灰系のコハク酸イミドを配合すると改善されることがある。
上記酸化防止剤としては、フェノール系では2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐P‐クレゾール(DBPC)、4,4‐メチレン‐ビス‐(2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐P‐クレゾール)が、アミン系化合物では、P,P′‐ジ‐オクチル‐ジ‐フェニルアミン等が好ましい。
摩耗防止剤としては、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスフェート、ジベンジルジスルフィド等のリン系及びいおう系化合物の極圧剤ないし摩耗防止剤やグリセリンモノオレイルエーテルなどの油性剤が好ましい。
加水分解安定剤としては、アルキルグリシジルエステル、カルボジイミド等が好ましく、消泡剤としてのシリコーン系化合物などが好ましい。
〔表面処理剤の調製〕
表面処理剤の調製方法は、特に限定されない。例えば、グリセリン脂肪酸部分エステル、ポリメタクリレート、防錆剤等を加熱して均一に混合し、その後、冷却により得られたゲル状組成物に、揮発性液体を混合、撹拌して表面処理剤を調製することができる。さらに潤滑油基油を用いる場合には、グリセリン脂肪酸部分エステル、ポリメタクリレート、防錆剤等と潤滑油基油を加熱して均一に混合した後、冷却し、得られたゲル状組成物に揮発性液体を混合して防錆液を調製することができる。他の方法としては、グリセリン脂肪酸部分エステル、揮発性液体、ポリメタクリレート、防錆剤、さらに潤滑油基油やその他の添加剤など調合する全ての基材を混合し、撹拌して調製することもできる。
本発明の表面処理剤は、常温で液体であるが、調製中、揮発性液体の蒸散によって環境の安全や作業性が阻害されない程度に温度を上げてやると均一混合の速度を速くすることができ、効率的である。
表面処理剤の物性は、特に限定するものではないが、40℃における動粘度が0.1〜50mm2/sのものが好ましく、0.1〜10mm2/sのものがより好ましく、さらに好ましくは0.2〜5mm2/sである。又、引火点が70℃以上であることが安全面から好ましい。
〔本表面処理剤の使用対象〕
薄膜形成の対象となる部材としては、潤滑性が要求される摺動機械部品や発錆を嫌う金属製の機械部品などの構成要素、機械部品を加工するための材料となる加工素材、その加工途中の部材、又は、加工のために用いるジグ、工具などの加工具などが挙げられる。
〔処理方法〕
本発明の表面処理剤をハケ、ブラシなどを用いて金属部材表面に塗布したり、噴霧状あるいは液体状で吹きかけたり、あるいは、表面処理剤の中に部材を浸漬することによって、部材表面全体に表面処理剤を付着させる。この場合、揮発性成分を蒸発させた後のゲル状薄膜の厚さが0.1〜50μm、好ましくは、1〜25μmになるように調整することが好ましい。0.1μmより薄いと十分な防錆性や潤滑性が得られず、50μmより厚いと、部材表面のべた付き感が強くなるため、好ましくない。
ついで、静置あるいは送風、必要に応じて加熱して、部材表面に付着している表面処理剤中の揮発性成分を除去する。部材を表面処理剤に浸漬させ、その後、揮発性成分を蒸発除去する方法が、薄膜の欠落がなく、操作が容易であり、簡便であるが、信頼性の高い好ましい方法である。
この結果、グリセリン脂肪酸部分エステル、及び所望により配合した防錆剤、ポリメタクリレート、有機モリブデン化合物、アルキルジチオリン酸亜鉛、又は潤滑油基油、その他の添加剤でなる均一な薄膜で表面が全面的に被覆され防錆性や潤滑性に優れた部材を得ることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
次の揮発性液体、グリセリン脂肪酸エステル、防錆剤、PMAポリマー、有機モリブデン化合物、アルキルジチオリン酸亜鉛、アミド化合物を表1及び2の上部に示す割合(質量%)で配合して、それぞれ実施例1〜16、比較例1〜3及び参考例1〜2の表面処理剤を調製した。
1.揮発性液体
A1:n‐デカン(沸点170℃、融点−30℃、引火点53℃)
A2:n‐オクタノール(沸点195℃、融点−15℃、引火点81℃)
2.グリセリン脂肪酸部分エステル
B1:グリセロールモノステアレート
B2:グリセロールモノオレエート
3.防錆剤
C1:中性スルホン酸カルシウム塩の混合物(塩基価;20mgKOH/g)
C2:過塩基性スルホン酸カルシウム塩(塩基価;300mgKOH/g)
4.ポリメタクリレート
D:PMAポリマー:分子量40,000、ポリマー含有量67%(鉱油で希釈)
5.有機モリブデン化合物
E1:モリブデンジチオカルバメート(MoDTC)(アルキル基:2‐エチルヘキシルとイソトリデシル基の混合,Mo含有量4.5%)
E2:モリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)(アルキル基:2‐エチルヘキシル、Mo含有量9.0%)
6.アルキルジチオリン酸亜鉛
F:1級−ジアルキルジチオリン酸亜鉛,ZDDP(アルキル基:2‐エチルヘキシル、Zn含有量8.0%)
7.アミド化合物
G:オレイルオレイン酸アミド(融点35℃)
〔表面処理剤の調製〕
ガラス製ビーカーに、グリセリン脂肪酸部分エステル(B1、B2)、防錆剤(C1、C2)及びPMAポリマー(D)、有機モリブデン化合物(E1、E2)、アルキルジチオリン酸亜鉛(F)、アミド化合物(G)を表1、2上部に示した仕上がりの表面処理剤に対する基材の配合割合(質量%)で、それぞれ約500mlの表面処理剤が得られるように所定量計り取り、卓上ヒーターを用い、60℃に加温しながら撹拌した。均一に溶解したことを外観の観察で判断した後、揮発性液体(A1、A2)を所定量加え、再び撹拌して均一な表面処理剤を得た。
Figure 2011225914
〔防錆性評価試験〕
(1)評価試験片の作製(金属表面の防錆処理)
JIS K2246に準拠して防錆性を評価するための試験片を次のようにして作製した。上記のように調製した表面処理剤中に、試験用炭素鋼板(60mm×80mm、厚さ1mm、JIS G3141で規定)を室温(23℃)で1分間浸漬した。供表面処理剤から取り出した後、試験片を室温、空気中で30分間放置して乾燥し、揮発性液体を蒸発除去した。こうして、防錆剤、グリセリン脂肪酸エステル、PMAポリマーからなる均一な薄膜を表面全体に保持する被覆試験片を作製した。試験片表面に付着した表面処理剤を乾燥して形成された薄膜の量は1〜20×10-4g/cm2となり、その厚さは2.8μm〜13μmであった。
(2)塩水噴霧試験
JIS K2246に準拠し、上記のようにして防錆処理を施して作製した試験片を用いた塩水噴霧試験を実施した。温度35℃の恒温槽において、測定面を上にして試験片を恒温槽内の保持器に置き、JIS Z2371に規定された試験用塩溶液を噴霧し、強制的に発錆させる試験を実施した。24時間、48時間、72時間、96時間および168時間後に試験片を取り出し、試験片に測定板(1辺5mmの正方形の碁盤目100個を刻んだもの)を重ね合わせて、肉眼でさびがある碁盤目の数を数えた。さびの発生度(%)を次の基準で評価判定した。
A:0%、B:1〜10%、C:11〜25%、D:26〜50%、E:51〜100%
(3)評価結果
上記の塩水噴霧試験を実施して防錆性(さび発生度)を試験し、その評価結果を表1下部にまとめた。
グリセリン脂肪酸部分エステルを含まない比較例1、2では発錆が48時間で観測されたのに対し、グリセリン脂肪酸部分エステルを10%配合した実施例1〜7はいずれも発錆までの時間が72時間以上に改善された。比較例1にグリセリン脂肪酸部分エステル(B1)を10%配合した実施例4は発錆が96時間に改善された。比較例2と実施例5でも同様な傾向が見られる。さらに過塩基性金属塩(C2)の防錆剤およびポリマー(D)をともに10%配合した実施例1〜3は168時間経過しても発錆が観測されなかった。これはPMAポリマーによる被膜形成能の向上の寄与と、過塩基性金属塩による、さびの原因となる酸性物質の中和が防錆効果を高めていると推察される。なお、グリセリン脂肪酸部分エステルを配合した実施例1〜3は、他の配合は同じで、従来のアミド化合物を用いた参考例1と同様、高い防錆性を示している。
〔潤滑性評価試験(SRV試験)〕
ASTM D5706に規定されているボールオンディスク型SRV摩擦試験機を用いた。ボールは、材質がSUJ‐2の直径10mmのボールベアリング用鋼球を用い、またディスクは、材質がSUJ‐2の直径24mm、厚さ7.85mmの円盤状の試験片を用いた。なお、ディスクの表面は粗さRZが0.45〜0.65μmであるラッピング仕上げを施した。このディスクに供試液体を塗布、室温下で30分間静置して揮発性液体を乾燥除去した.摩擦試験は、荷重100N、温度40℃、振幅数50Hz、振幅1.5mmの往復摩擦試験を20分間行い、試験終了時の球摩耗痕径、および摩擦係数の経時変化を測定した。
この結果を表2に示した。
Figure 2011225914
実施例8〜16は、SRV摩擦試験において摩擦係数、摩耗痕径ともに小さく、耐摩耗性すなわち潤滑特性に優れている。一方,比較例3は、摩擦係数が0.2以上と大きく,摩耗痕径も0.5mm以上と大きく、潤滑特性に劣っている。なお、グリセリン脂肪酸部分エステルの他に、防錆剤、有機モリブデン化合物、アルキルジチオリン酸亜鉛を配合すると、摩擦係数が0.05〜0.06程度の低摩擦係数を実現できることがわかる。さらには、実施例8と13から有機モリブデン化合物は、モリブデン(Mo)として0.1質量%以上配合すると十分にその効果を発揮できることがわかり、また実施例8、14,15から、アルキルジチオリン酸亜鉛は、亜鉛(Zn)として0.01質量%以上の配合量で効果があり、0.5質量%より多く配合しても効果が十分に得られないことがわかる。
本発明のゲル状薄膜を表面に有する機械部品は、耐摩耗性、潤滑性、加工性や防錆性に優れる。この薄膜は、金属、樹脂、セラミックスなどの機械部品を加工する様々な加工工程における作業効率を向上するために、あるいは保管時の防錆性を高めるために有効である。また、機械システムの摺動機械部品の潤滑性、防錆性を向上するために好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. 沸点が300℃以下の揮発性液体を30〜95質量%含有し、グリセリン脂肪酸部分エステルを1〜50質量%含有する表面処理剤。
  2. 防錆剤を1〜50質量%、ポリメタクリレートを1〜50質量%、有機モリブデン化合物をモリブデンとして0.1〜10質量%及びアルキルジチオリン酸亜鉛を亜鉛として0.01〜0.5質量%から選択されたいずれか少なくとも一つを含有させる請求項1に記載の表面処理剤。
  3. 揮発性液体が、沸点60〜300℃の炭化水素、エステル、アルコール、又はエーテルのいずれか少なくとも一つである請求項1又は2に記載の表面処理剤。
  4. 揮発性液体が、炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素である請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤。
  5. グリセリン脂肪酸部分エステルが、グリセリンと炭素数6〜30の脂肪酸とのエステルである請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理剤。
  6. 防錆剤が、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩、エステル、アルコール又はアミンのいずれか少なくとも一つである請求項2〜5のいずれかに記載の表面処理剤。
  7. ポリメタクリレートが、分子量5000〜100万である請求項2〜6のいずれかに記載の表面処理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤を、部材に付着させ、揮発性液体を揮発させて、グリセリン脂肪酸部分エステルを含む薄膜を前記部材の表面に形成することを特徴とする表面処理方法。
  9. グリセリン脂肪酸部分エステルを含有する厚さ0.1〜50μmのゲル状薄膜を表面に有することを特徴とする機械部品。
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