JP2011225728A - 熱伝導性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱性が高い電気粘性流体用熱伝導性ペーストを提供する。
【解決手段】熱伝導性が高く表面が平滑で、サイズが制御され、さらにシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂、もしくはポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリカーボネート類、およびフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂、もしくは無機化合物で絶縁処理されたピッチ系黒鉛化短繊維とシリコーンオイル、脂肪族系オイル、もしくは不飽和脂肪族系オイル成分を混合し、電気粘性流体用熱伝導性ペーストを作成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ピッチ系黒鉛化短繊維を用いた電気粘性流体用熱伝導性ペーストに関わるものである。さらに詳しくは、メルトブロー法によって作製した三次元ランダムマット状ピッチ系炭素繊維マットを粉砕してなる特定の形状、電気伝導率、表面性を有するピッチ系黒鉛化短繊維に絶縁処理を施すことで、電気的に安定した電気粘性流体用熱伝導性ペーストを提供することに関わる。
流体の粘性は、電場や磁場のような外部場を付与することで、制御することが可能であり、電気粘性流体や磁気粘性流体が代表的である。これらは、磁気モーメントや誘電率を持つ粒子を液体に分散し、磁場や電場といった外場を付与し、磁気モーメントや誘電率を持つ粒子が静磁気的相互作用や静電気力により鎖状の凝集構造を形成し、流体の粘度を高める効果により発現すると考えられている。
電気粘性流体は50年以上前に発見され、クラッチやブレーキや近年では表示体などへの応用がなされている。かかる現在もシステム、材料の両面から応用を目指した開発がなされている。
材料面における粒子という観点でここまでの開発を概観すると、アルミニウムなどの誘電体粒子に対して絶縁処理を行ったことが開示されている(特許文献1)。炭素材料としては、カーボンブラックやメソカーボンマイクロビーズが電気粘性流体用の粒子として開示されている(特許文献2)。また、ピッチ系炭素繊維を粉砕した粒子を用いることも開示されている(特許文献3)。しかし、その具体的形態が電気粘性流体としての作用に及ぼす影響については依然として不明であった。
一方、電気粘性流体の用途を鑑みると、ブレーキのように発熱を伴う用途がある。また、電気粘性流体の特性は温度に依存すると言われているが、温度ムラを低減することで幾分はムラが緩和できる。これは熱対策を電気粘性流体においても実施するということが好ましいことを示唆している。
特開昭64−6093号公報 特開平1−236291号公報 特開平6−1990号公報
上記のように、熱対策にまで考慮された電気粘性流体の出現が期待されているが、その作用を積極的に用いることはなされていない。一般には温度の上昇とともに、電気粘性効果は大きく低下してしまう。また、温度の上昇を抑制する際にも、温度ムラが発生すると電気粘性効果を適切に制御できないという課題があった。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行い、特定の電気比抵抗と表面状態並びに端面が制御されたピッチ系黒鉛化短繊維を絶縁コーティングして電気粘性流体として用いることで、電気粘性効果が高く、且つ発熱した熱を効果的に逃がすことができる電気粘性流体用ペーストが得られることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明は、ピッチ系黒鉛化短繊維を絶縁性物質で被覆した、粉体としての抵抗値が10Ω以上である絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維10〜200重量部と、オイル成分100重量部とを含む熱伝導率が0.5W/mK以上である電気粘性流体用熱伝導性ペーストであって、
ピッチ系黒鉛化短繊維は、電気比抵抗が10−3〜10−4Ωcmの範囲にあり、平均繊維径が5〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜15%であり、平均繊維長が20〜500μmであり、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、透過型電子顕微鏡で観察した端面が実質的に閉じており、六角網面の厚みに由来する結晶子サイズが10nmより大きいことを特徴とする電気粘性流体用熱伝導性ペーストである。
本発明の電気粘性流体用熱伝導性ペーストは、電気比抵抗を適切に制御し、さらに形状を制御し、表面状態や短繊維断面の構造も制御したピッチ系黒鉛化短繊維に絶縁コーティングを施し、オルガノポリシロキサンに混合したものである。
本発明の電気粘性流体用熱伝導性ペーストを電気粘性流体に用いることで、電気粘性流体特性が高く、熱拡散能力にも長けた電気粘性流体を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。
[ピッチ系黒鉛化短繊維]
本発明の熱伝導性ペーストを構成するピッチ系黒鉛化短繊維は電気比抵抗が10−3〜10−4Ωcmの範囲にあり、平均繊維径が5〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜15%であり、平均繊維長が20〜500μmであり、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、透過型電子顕微鏡で観察した端面が実質的に閉じており、六角網面の厚みに由来する結晶子サイズが10nmより大きいことを特徴とする。
本発明で用いるピッチ系黒鉛化短繊維は、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であることを特徴とする。ここで平滑であるとは、走査型電子顕微鏡による観察において、表面の凹凸が確認されないこと、表面の亀裂が確認されないこと、フィラーに割れが確認されないことを意味する。ここで、実質的にとは、例えば電子顕微鏡での観察において、視野中(倍率1000)に上記欠陥部が15箇所以下であれば、含まれていてもよいことを意味し、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であると、ピッチ系黒鉛化短繊維とマトリクスを混合してペーストを作成した場合、ピッチ系黒鉛化短繊維とマトリクスの相互作用が小さくなり、その結果、電場をかけていないときの粘度が小さくなり、電場をかけたときとの差が大きくなり、効果が高めやすい。逆に、ピッチ系黒鉛化短繊維が平滑でないと、ピッチ系黒鉛化短繊維とマトリクスの相互作用が大きくなり、その結果、ペーストの粘度が大きくなり、ハンドリング性が低下する。
ピッチ系黒鉛化短繊維の表面を平滑にするには、炭素繊維フィラーを粉砕後に黒鉛化することを通じてピッチ系黒鉛化短繊維の欠損を抑制することを達成することができる。
本発明で用いるピッチ系黒鉛化短繊維は、六角網面の厚みに由来する結晶子サイズが10nm以上である。六角網面の厚みに由来する結晶子サイズは公知の方法によって求めることができ、X線回折法にて得られる炭素結晶の(002)面からの回折線によって求めることができる。結晶子サイズが重要になるのは、電気伝導性が主として黒鉛結晶に非局在化する自由電子によって担われているからである。より好ましくは、20nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。
本発明に用いるピッチ系黒鉛化短繊維は、透過型電子顕微鏡での観察において端面が実質的に閉じているが、これは以下の定義に基づく。透過型電子顕微鏡での端面観察においてグラフェンシートが閉じている本発明のピッチ系黒鉛化短繊維は、透過型電子顕微鏡による繊維末端のグラフェンシート端面の全長が50nmを超え300nm未満である5本の繊維末端を観察したときに、式(1)で表される閉鎖率の平均値(平均閉鎖率)が80%を超え100%以下である。
閉鎖率(%)=B/A ×100 (1)
(Aは繊維末端のグラフェンシート端面の全長(nm)、Bは端面がU字状に湾曲している部分の長さ(nm)を表す)
閉鎖率は、繊維末端のグラフェンシート端面の全長(nm)に対する、端面がU字状に湾曲している部分の長さ(nm)の比で表される。
グラフェンシートの端面の平均閉鎖率が80%を超える場合、余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化が起こり難い。このため、ピッチ系黒鉛化短繊維に活性点が生じず、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂との混練で、触媒活性点の低下による硬化阻害の抑制が可能となる。また、水などの吸着も低減でき電気粘性流体の電場応答性を低下させる水を系内に入れることを抑制できる。平均閉鎖率が80%以下であると余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化を引き起こし、他材料との反応を促進する可能性があるため好ましくない。グラフェンシート端面の平均閉鎖率は好ましくは90%以上100%以下、更に好ましくは95%以上100%以下である。
閉鎖率は繊維末端のグラフェンシート端面の全長が50nmを超え300nm未満のときに好適に求めることができる。端面の全長が50nm未満の場合、繊維末端のグラフェンシートの端面像を400万倍以上に拡大する必要があり、極一部のデータ解釈となり、全体像の把握が困難となるため好ましくない。一方、端面の全長が300nmを越えた場合は、グラフェンシート端面のU字状湾曲構造の視認が困難となり、グラフェンシート端面の閉鎖率を導き出すことが出来ず好ましくない。全長のより好ましい範囲は60nm以上200nm以下である。
グラフェンシート端面構造は、黒鉛化の前に粉砕を実施するか、黒鉛化の後に粉砕を実施するかにより、大きく異なる。すなわち、黒鉛化後に粉砕処理を行った場合、黒鉛化で成長したグラフェンシートが切断破断され、グラフェンシート端面が開いた状態になり易い。一方、黒鉛化前に粉砕処理を行った場合、黒鉛の成長過程でグラフェンシート端面がU字上に湾曲した構造になり易い。このため、グラフェンシート端面の平均閉鎖率が80%を超えるようなピッチ系黒鉛化短繊維を得るためには、粉砕を行った後に黒鉛化処理することが好ましい。
平均閉鎖率が80%を超え100%以下のピッチ系黒鉛化短繊維は、紡糸ノズルを通過するピッチに特定の応力を加えること、及び粉砕を行った後に黒鉛化処理することで、好ましく得ることが出来る。また、粉砕を行った後に黒鉛化処理することで、端面が閉鎖し、吸水率も低減できる。本発明のピッチ系黒鉛化短繊維の吸水率はカールフィッシャー法で0.1%未満である。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は5〜20μmである。5μm以下の場合には、単位重量あたりのピッチ系黒鉛化短繊維の個数が増え粘度が増大してしまう。平均繊維径が20μmを超えると、電場がかかったときに方向を変えるためのトルクを大きくする必要があり、より高い電圧を必要とするため好ましくない。より好ましくは5〜15μmであり、さらに好ましくは8〜12μmである。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は20〜500μmである。20μmを下回ると繊維形状が損なわれ、電場への応答がなされるものの、粘度が十分に増大しない。一方500μmを超えるとペーストでの粘度が高くなり、初期粘度が高く電気粘性流体として使い難い。より好ましくは20〜200μmである。
なお、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率として求められるCV値は、5〜15%であることが好ましい。CV値が5%を下回ると繊維径が極めて揃っているため、理論解析には適しているが、実用上ではピッチ系黒鉛化短繊維間の隙間が密に詰る傾向になり、電場をかけた際、応答性が悪くなってしまう。CV値が15%を超えると、濃度のムラが発生しやすくなり、均一な粘度増大が起こりにくくなる。
[絶縁処理]
ピッチ系黒鉛化短繊維は、電気粘性流体用熱伝導性ペーストにする前に、絶縁性物質による表面処理を行う。絶縁性物質による表面処理は、ピッチ系黒鉛化短繊維の見かけの抵抗を増大させるために実施するものである。電気粘性流体の性能は、添加してなるピッチ系黒鉛化短繊維の誘電率によって決まり、表面処理は見かけの抵抗を調整するために実施する。
絶縁性物質としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および無機化合物からなる群より選ばれてなる少なくとも1種を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類、熱硬化性ポリイミド類、熱硬化型変性PPE類、および熱硬化型PPE類、ポリブタジエン系ゴム及びその共重合体、アクリル系ゴム及びその共重合体、シリコーン系ゴム及びその共重合体、天然ゴムなどが挙げられる。また、これらの二種以上を適宜組み合わせも挙げられる。さらに、これらの熱硬化性樹脂は難燃剤等の添加剤や他の機能性フィラーなどが混入されているものも挙げられる。これらは、ピッチ系黒鉛化短繊維への加工を鑑みると液状であることが望ましい。熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン類及びその共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体など)、ポリメタクリル酸類及びその共重合体(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステルなど)、ポリアクリル酸類及びその共重合体、ポリアセタール類及びその共重合体、フッ素樹脂類及びその共重合体(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエステル類及びその共重合体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、液晶性ポリマーなど)、ポリスチレン類及びその共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂など)、ポリアクリロニトリル類及びその共重合体、ポリフェニレンエーテル(PPE)類及びその共重合体(変性PPE樹脂なども含む)、脂肪族ポリアミド類及びその共重合体、芳香族ポリアミド類及びその共重合体、熱可塑性ポリイミド類及びその共重合体、ポリアミドイミド類及びその共重合体、ポリカーボネート類及びその共重合体、ポリフェニレンスルフィド類及びその共重合体、ポリサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルニトリル類及びその共重合体、ポリエーテルケトン類及びその共重合体、ポリエーテルエーテルケトン類及びその共重合体、ポリケトン類及びその共重合体等が挙げられる。なかでもポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリカーボネート類、およびフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。中でもアセトンやトルエンといった特定の溶媒に可溶な熱可塑性樹脂がハンドリング面で好ましい。
無機化合物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、などの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属もしくは金属合金、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料が好ましい。
これら絶縁性物質は公知の手法にてピッチ系黒鉛化短繊維に付着させることができるが、具体的には蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法といった物理的気相成長法やCVD、PE−CVD、熱反応法が挙げられる。熱反応法は、ピッチ系黒鉛化短繊維を例えば、珪素粉末と一緒に不活性ガス雰囲気下で加熱し、化学反応を起こさせるという方法を挙げることができる。金属酸化物は金属を出発材料として酸素との反応を行う反応性蒸着法や反応性スパッタ法や反応性イオンプレーティング法を用いることができる。また、熱反応法で、金属をピッチ系黒鉛化短繊維表面に付着させ、その後空気中で再加熱して、表面を酸化させる方法を用いることができる。ただ、空気中500℃以上の温度では、ピッチ系黒鉛化短繊維がダメージを受ける恐れがあり、温度管理が重要になる。
処理方法という見地では、ピッチ系黒鉛化短繊維を、電解酸化などによる酸化処理やカップリング剤やサイジング剤で処理することで、表面を改質させたものを用いることもできる。また、その手法としては、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法、化学的蒸着法、塗装、浸漬、微細粒子を機械的に固着させるメカノケミカル法などの方法を取ることができる。
各種絶縁層の付着量は、付着操作前後の重量増減で測定することができる。付着量の好ましい範囲はピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し、絶縁性物質3〜10重量部が好ましい。3重量部未満では絶縁性が確保できないことが多く、また10重量部超では熱伝導率が著しく低下してしまう。
これらの絶縁性物質は単体としては絶縁性を有するが、その被覆厚みによってピッチ系黒鉛化短繊維のみかけの電気比抵抗を変化させることができる。各種絶縁層の厚みは、重量増分からの換算厚みとして求めることができる。
絶縁性物質で被覆したピッチ系黒鉛化短繊維の粉体としての抵抗は、10Ω以上であるとき、電気粘性流体用熱伝導性ペーストも10Ω以上の抵抗となり、絶縁性を有すると評価する。粉体としての抵抗の測定方法としては、テスターの電極を1cm間隔として容器に入れた粉体に直接差込み、導通が無いことで10Ω以上の抵抗を持つという定義とする。
本発明の電気粘性流体用熱伝導ペーストの熱伝導率は公知の方法によって測定することができるが、その中でも、熱抵抗法、プローブ法、ホットディスク法、レーザーフラッシュ法が好ましく、特にプローブ法が簡易的で好ましい。一般に炭素繊維そのものの熱伝導度は数百W/(m・K)であるが、ペーストなど複合体にすると、欠陥の発生・空気の混入・予期せぬ空隙の発生により、熱伝導率は急激に低減する。ピッチ系黒鉛化短繊維は,結晶内を走るフォノンによって熱が伝播されるため、絶縁被覆はフォノンの伝播に対する障壁となる。本発明の熱伝導性ペーストの熱伝導率は0.5W/(m・K)以上であり、より好ましくは1W/(m・K)以上である。通常の電気粘性流体では、熱伝導率が0.2W/(m・K)であるので、2.5倍以上の熱伝導率を有することとなる。これは、実用時に発生する熱ムラを解消するには十分である。
[熱伝導性ペースト]
本発明の熱伝導性ペーストは、絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維10〜200重量部と、オイル成分100重量部とからなる。オイル成分100重量部に対し、絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維が10重量部未満であると、電場をかけた際に、十分な粘度の増大が見られない。200重量部を超えると、初期粘度が高くなり電気粘性流体として使用しにくい。より望ましくは20〜150重量部である。
ペーストの粘度は25℃の室温でシェアレート1.7(1/s)の時、5〜150Pa・sであることが好ましい。さらに好ましくは5〜100Pa・sである。5Pa・s未満の時はペーストの流動性が高すぎて、ピッチ系黒鉛化短繊維の沈降が起こりやすい。150Pa・sを超えると、電場をかける前の粘度が高く、電気粘性流体としての性能が出しにくくなる。なお、粘度は公知の方法を用いて測定できるが、具体的にはB型粘度計を用いて測定することができる。
本発明の電気粘性流体用熱伝導性ペーストの電気粘性流体特性は、直径4mm、内径2mmのガラス管中にペーストを充填し、ガラス管の外側に平行に並べた2本の電極棒の間に2kVの電圧をかけたときに、液滴が滴下するか否かを指標にした。
また熱伝導性ペースト中に、ピッチ系黒鉛化短繊維以外の熱伝導材として、酸化アルミニウムや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英、水酸化アルミニウム、銀粉などの金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、金属を添加剤として加えても構わない。より具体的には酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、石英、水酸化アルミニウムの群より選ばれる1種以上の無機フィラーを添加しても構わない。添加量は、絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましい。これらを用いることにより、難燃性などの他の機能を付与できる。
[オイル成分]
本発明の流体用熱伝導性ペーストのマトリクスとして使用されるオイル成分は、機械オイルや絶縁オイルを用いることができるが、シリコーンオイル、脂肪族系オイル、不飽和脂肪族系オイルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
シリコーンオイルにおいては、オルガノポリシロキサンが代表的である。オルガノポリシロキサンは、耐熱性・絶縁性等、電子材料の特性が備わったものである。これをマトリクスとすることによって信頼性を高めたペーストが得られ、電気粘性流体としても用いることができる。オルガノポリシロキサンは、具体的には下記一般式(1)で示されるものである。
SiO(4−a)/2 (1)
(Rは炭素数1〜18の飽和又は不飽和の1価炭化水素基から選択される1種もしくは2種以上の基、aは1.8〜2.2)
上記式(1)において、Rは炭素数1〜18の飽和又は不飽和の1価炭化水素基から選択される1種もしくは2種以上の基である。このような基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基などが挙げられるが、特にメチル基、フェニル基、及び炭素数6〜14のアルキル基が好ましい。aはシリコーンペースト組成物として要求される粘度の観点から、1.8〜2.2の範囲の正数がよく、特に1.9〜2.2の範囲が好ましい。
また、本発明で使用するオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、30mm/sより低いとペーストからオイルブリードが出やすくなる。500000mm/sより大きくなるとペーストの粘度が高くなりすぎる。よって、25℃における動粘度が30〜500000mm/sであることが好ましく、特に30〜10,000mm/sであることが好ましい。なお、動粘度は公知の方法により測定できるが、具体的にはオストワルド粘度計により測定することができる。
脂肪族系オイルや不飽和脂肪族系オイルは、25℃における動粘度が30〜500000mm/sであることが好ましく、特に30〜10,000mm/sであることが好ましく、工業用オイル或いは、熱媒として販売されているものを用いることができる。具体的な製品としては登録商標バーレルギヤーFGやサームオイル46AHが代表的である。
さらにオイル成分には、分散性を向上させるために、界面活性剤を用いることができる。本発明における界面活性剤には分散剤と呼ばれるものも含む。界面活性剤に特に制約は無いが、ポリアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリウレタンポリエステル系、シリコーン系などの各種界面活性剤が挙げられる。シリコーン系の場合、低分子量のものが好ましい。このような界面活性剤を添加し、ピッチ系黒鉛化短繊維などの沈降を抑制することができる。界面活性剤の添加量にとくに限定はないがオイル成分100重量部に対し、界面活性剤0.1〜50重量部程度を用いることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。
[ペーストの製造]
本発明の電気粘性流体用熱伝導性ペーストは、上記諸材料を万能混合攪拌機、ニーダー、自公転型プラネタリミキサ等で混練することによって製造することができる。さらに、MEK、MIBKのようなケトン系溶剤やシクロヘキサンやヘキサン、トルエン、ベンゼン等の非水溶媒で粘度を調整することができる。
[ペーストの用途]
本発明の電気粘性流体用熱伝導性ペーストの用途は、ブレーキ、クラッチ等のメカトロニクスの分野である。
[ピッチ系黒鉛化短繊維の製造方法]
以下本発明の熱伝導性ペーストを構成するピッチ系黒鉛化短繊維の好ましい製法について述べる。
本発明で用いられるピッチ系黒鉛化短繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、すなわちメソフェーズピッチが好ましい。これらは、一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、メソフェーズピッチを単独で用いることが炭素繊維の熱伝導性を向上させる上で特に好ましい。
原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることができ、240℃以上350℃以下が好ましい。軟化点が240℃より低いと、不融化の際に繊維同士の融着や大きな熱収縮が発生する。また、350℃より高いとピッチの熱分解が生じ糸状になりにくくなる。
原料ピッチはメルトブロー法により紡糸され、その後不融化、焼成、粉砕を経て最後に黒鉛化することによってピッチ系黒鉛化短繊維とする。以下各工程について説明する。
ピッチ系黒鉛化短繊維の原料となるピッチ繊維の紡糸ノズルの形状については特に制約はないが、ノズル孔の長さと孔径の比が3よりも小さいものが好ましく用いられ、更に好ましくは1.5よりも小さいものが用いられる。紡糸時のノズルの温度についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる温度、即ち、紡糸ピッチの粘度が2〜200Pa・S、好ましくは30〜150Pa・Sになる温度であればよい。
ノズル孔から出糸されたピッチ繊維は、100〜350℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって短繊維化される。吹き付けるガスは空気、窒素、アルゴンを用いることができるが、コストパフォーマンスの点から空気が好ましい。
ピッチ繊維は、金網ベルト上に捕集され連続的なマット状になり、さらにクロスラップされることで3次元ランダムマットとなる。
3次元ランダムマットとは、クロスラップされていることに加え、ピッチ繊維が三次元的に交絡しているマットをいう。この交絡は、ノズルから、金網ベルトに到達する間にチムニと呼ばれる筒において達成される。線状の繊維が立体的に交絡するために、通常一次元的な挙動しか示さない繊維の特性が立体においても反映されるようになる。
このようにして得られたピッチ繊維よりなる3次元ランダムマットは、公知の方法で不融化する。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いて200〜350℃で達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが好ましい。また、不融化したピッチ繊維は、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中で焼成されるが、常圧で、且つコストの安い窒素中で実施される。不融化後、ピッチ繊維を粉砕することで、ピッチ系短繊維を得ることができる。粉砕は公知の方法によって行うことができる。具体的には、ボールミル、ジェットミル、クラッシャーなどを用いることができる。粉砕後、ピッチ系短繊維を焼成し黒鉛化する。焼成温度は、電気比抵抗を低くするためには、800〜3500℃にすることが好ましい。より好ましくは1000〜3000℃である。焼成の際に黒鉛性のルツボに入れ処理すると、外部からの物理的、化学的作用を遮断でき好ましい。黒鉛製のルツボは上記の原料となるピッチ系黒鉛化短繊維を、所望の量入れることが出来るものであるならば大きさ、形状に制約はないが、焼成中または冷却中に炉内の酸化性のガス、または炭素蒸気との反応によるピッチ系黒鉛化短繊維の損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好適に利用できる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径及び繊維径分散:
黒鉛化を経たピッチ系黒鉛化短繊維をJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長:
平均繊維長は、個数平均繊維長であり、黒鉛化を経たピッチ系黒鉛化短繊維を光学顕微鏡下で測長器で2000本以上測定し、その平均値から求めた。倍率は繊維長に応じて適宜調整した。
(3)結晶子サイズ:
X線回折法にて求め、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズは(002)面からの回折線を用いて求めた。また、求め方は学振法に準拠して実施した。
(4)ピッチ系黒鉛化短繊維の電気比抵抗:
粉砕工程以外を同じ条件で作製した、黒鉛化後のピッチ系炭素繊維ウェブから糸を抜き出し電気比抵抗を測定した。
(5)ピッチ系黒鉛化短繊維のグラフェンシートの端面微細構造:
ピッチ系黒鉛化短繊維の透過型電子顕微鏡による繊維末端観察において、繊維末端の50〜250万倍のグラフェンシート端面像を5本観察し、繊維末端のグラフェンシート端面の全長A(nm)と端面がU字状に湾曲している部分の長さB(nm)を計測し、閉鎖率(%)=B/A ×100により、閉鎖率を求めた。
(6)実質的に平坦な表面の確認:
ピッチ系黒鉛化短繊維の側面を走査型電子顕微鏡にて1000倍で観察した像に、凹凸のような欠陥が何箇所あるかを数えた。15箇所以下の場合平滑とした。
(7)絶縁コーティングの付着量:
絶縁コーティング前後の重量増から、平均塗布厚みを計算で求めた。
(8)絶縁性の評価:
絶縁コーティングを行った絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維を充填した100×50×50mmの容器に、間隔を1cmに固定したテスターの端子を入れ、10Ω以上の抵抗である場合、絶縁とした。
(9)電気粘性流体用熱伝導性ペーストの熱伝導率:
電気粘性流体用熱伝導性ペーストの熱伝導率は、プローブ法で測定した。また、当該ペーストには、流動性があるため、単純に測定することはできず、100μm厚みのテフロン(登録商標)で作成した枠の中に当該ペーストを入れ、気泡をかまないように13μmのポリイミドフィルムで蓋をし、その上からプローブをあてるという方法を採用した。
(10)電気粘性流体用熱伝導性ペーストの粘度:
電気粘性流体用熱伝導性ペーストの粘度は、調合した段階のスラリーに対して、B型粘度計(ブルックフィールドアナログ粘度計LVT)を用いて25℃の室温でシェアレート1.7(1/s)の時の粘度を求めた。
(11)電気粘性の確認:
電気粘性流体用熱伝導性ペーストの電気粘性流体特性は、直径4mm、内径2mmのガラス管中にペーストを充填し、ガラス管の外側に平行に並べた2本の電極棒の間に60Hzの2kVの交流電場をかけたときに、液滴が滴下するか否かを指標にした。電気粘性流体用熱伝導性ペーストは電場が無い場合には、ガラス管から流れ出るが、電気粘性流体特性がよくなれば、流れ出なくなる。電場をかける時間は2分とした。
(12)温度ムラの確認:
室温(23℃)にした電気粘性流体用熱伝導性ペースト50ccを100ccのビーカーに入れ、40℃の湯浴に入れ、10分後のビーカー中心部のペースト温度を測定し、温度ムラの指標とした。
[参考例1:電気粘性流体用熱伝導性ペーストに用いるピッチ系黒鉛化短繊維の作製]
電気粘性流体用熱伝導性ペーストに用いるピッチ系黒鉛化短繊維は以下の手順で作製した。縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が278℃であった。直径0.2mmの孔の紡糸口金を使用し、スリットから加熱空気を毎分6000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径13.9μmのピッチ繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してピッチ繊維ウェブとし、さらにクロスラッピングで目付440g/mとした。
このピッチ繊維ウェブを空気中で170℃から315℃まで平均昇温速度7℃/分で昇温して不融化ピッチ繊維ウェブとした後、更に800℃で焼成を行い炭化ピッチ繊維ウェブとした。この炭化ピッチ繊維ウェブをカッター(ターボ工業製)を用いて粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.6μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比は13%であった。平均繊維長は130μmであった。六角網面の厚み方向に由来する結晶サイズは41nmであった。ピッチ系黒鉛化短繊維の走査型電子顕微鏡で観察した表面は平滑であった。また、透過型電子顕微鏡で観察した端面の像には主としてグラフェンシートが閉じている構造が観察され、端面の閉鎖率は95%であった。カールフィッシャー法で測定した吸水率は0.1%未満であった。炭化ピッチ繊維ウェブを粉砕せずに3000℃で黒鉛化し、単糸の電気伝導率より求めた比抵抗は1.6×10−4Ωcmであった。
[参考例2]絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維A
参考例1で得られたピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に絶縁処理としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、827とLV11)をトルエンで希釈しコーティングした。重量増はピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に対し9重量部であり、換算したコーティング厚みは0.3μmであった。絶縁処理後のピッチ系黒鉛化短繊維の抵抗は10Ω以上であり絶縁であると判断した。
[参考例3]絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維B
参考例1で得られたピッチ系黒鉛化短繊維100重量部に、絶縁処理として反応性蒸着法で酸化アルミニウムを付着させた。重量増から換算したコーティング厚みは0.1μmであった。絶縁処理後のピッチ系黒鉛化短繊維の抵抗は10Ω以上であり絶縁であると判断した。
[実施例1]
参考例2で作製した絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維Aを40重量部、シリコーンオイル(東芝シリコーン社製商品名「TSF451−500」)60重量部とを自公転型プラネタリミキサにて混合し、さらにシリコーン系の界面活性剤(東レダウコーニング社製L-7001)1重量部を添加しペーストとした。作製した電気粘性流体用熱伝導性ペーストの熱伝導率を測定したところ、1.2W/(m・K)であった。粘度は11Pa・S(110poise)であった。電気粘性が観測された。別途測定した温度ムラのテストでは、34℃になっていた。
[実施例2]
参考例3で作製した絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維Bを40重量部、シリコーンオイル(東芝シリコーン社製商品名「TSF451−500」)60重量部とを自公転型プラネタリミキサにて混合し、さらにシリコーン系の界面活性剤(東レダウコーニング社製L-7001)1重量部を添加しペーストとした。作製した電気粘性流体用熱伝導性ペーストの熱伝導率を測定したところ、1.0W/(m・K)であった。粘度は15Pa・S(150poise)であった。電気粘性が観測された。別途測定した温度ムラのテストでは、32℃になっていた。

Claims (8)

  1. ピッチ系黒鉛化短繊維を絶縁性物質で被覆した、粉体としての抵抗値が10Ω以上である絶縁被覆ピッチ系黒鉛化短繊維10〜200重量部と、オイル成分100重量部とを含む熱伝導率が0.5W/mK以上である電気粘性流体用熱伝導性ペーストであって、
    ピッチ系黒鉛化短繊維は、電気比抵抗が10−3〜10−4Ωcmの範囲にあり、平均繊維径が5〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜15%であり、平均繊維長が20〜500μmであり、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、透過型電子顕微鏡で観察した端面が実質的に閉じており、六角網面の厚みに由来する結晶子サイズが10nmより大きいことを特徴とする電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  2. 該オイル成分が、シリコーンオイル、脂肪族系オイル、および不飽和脂肪族系オイルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  3. オイル成分100重量部に対して、さらに0.1〜10重量部の界面活性剤を含む請求項1または2に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  4. 当該電気粘性流体用熱伝導性ペーストの粘度が25℃、シェアレート1.7(1/s)の条件において5〜150Pa・Sである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  5. 当該絶縁性物質が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  6. 熱硬化性樹脂が、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  7. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリカーボネート類、およびフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
  8. 無機化合物が、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属、金属合金、および炭素材料からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の電気粘性流体用熱伝導性ペースト。
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