JP2011224899A - 金型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、冷却穴の表面に発生する変質層を確実に解消することができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】金型に冷却剤を流すことができる冷却穴が設けられている金型10の製造方法において、下穴開け工程にて下穴を開けた金型10を熱処理装置35で熱処理する熱処理工程と、次に、熱処理によって変質した下穴の表面28を切削対象とし、下穴の入口25から下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるようにして切削することで冷却穴18が形成される穴切削工程と、からなる。下穴22は、下穴22の入口の径に比較して、下穴22の奥部の径が大径である。下穴22は、中ぐり工具を用いて開ける。
【選択図】図12

Description

本発明は、金型を冷却する冷却穴が備えられている金型の製造方法の改良に関する。
金型を冷却するために水等の冷却剤を流すことができる冷却穴付き金型がある。この冷却穴は、ドリルなどの穴開け加工により形成される。次に、冷却穴が設けられている金型に、焼入れ・焼戻しが施される。金型に焼入れ・焼戻を施すと、冷却穴の表面が硬化されると共に変質する。変質した冷却穴に、冷却剤を流すと、この冷却剤によって冷却穴の表面が腐食され易くなる。腐食による結果、冷却穴に割れが発生し易くなる。
上記冷却穴に発生する割れの対策技術が提案されている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図16に示されているように、熱間加工用金型100に冷却穴101が開けられ、この冷却穴101の内壁に窒化防止剤102が塗布され、冷却穴101の入口は、ステンレス製ねじ103によって封止されている。上記対策によって、熱処理ガスが冷却穴101内への侵入することを阻止し冷却穴101の表面への接触を防止する。熱処理ガスを冷却穴101の表面に接触させないようにすることで、冷却穴101の表面に変質層が発生することを防止する。
しかしながら、冷却穴101の入口が封止され、冷却穴101内に熱処理ガスの侵入が防止されたか否かを確認することは難しい。万一にでも、冷却穴101内に熱処理ガスが侵入すると冷却穴101の表面に変質層が発生することになる。
冷却穴の表面に発生する変質層を確実に解消することができる技術が望まれる。
特開平11−61375号公報
本発明は、冷却穴の表面に発生する変質層を確実に解消することができる技術を提供することを課題とする。
そこで、本発明者らは、熱処理によって冷却穴の表面に生ずる変質層について調査したところ、以下の知見を得た。
熱処理によって、冷却穴の表面に変質層が形成されている。この変質層の厚さは、例えば、深さ300mm程度の冷却穴では、冷却穴の入口で約0.1mmの厚さであり、冷却穴の奥部では、0.05mm程度の厚さである。前記変質層の厚さは、冷却穴の入口から奥に行くにしたがって薄くなっていることが判明した。このような知見に基づき、変質層を解消することができる冷却穴の形成方法が導かれる。
すなわち、請求項1に係る発明は、金型に冷却剤を流すことができる冷却穴が設けられている金型の製造方法において、金型に下穴を開ける下穴開け工程と、次に、金型を熱処理する熱処理工程と、次に、熱処理によって変質した下穴の表面を切削対象とし、下穴の入口から下穴の奥部に行くほど切削厚さが小さくなるようにして切削することで冷却穴が形成される穴切削工程と、からなることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、下穴は、下穴の入口の径に比較して、下穴の奥部の径が大径であることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、下穴は、中ぐり工具を用いて開けることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、冷却穴は、入口を短いシャンクの工具で開け、奥部を長いシャンクの工具で開けることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、冷却穴は、径が一定の円柱状の穴であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、冷却穴を形成する工程は、金型に下穴を開ける下穴開け工程と、金型を熱処理する熱処理工程と、熱処理によって変質した下穴の表面を切削対象とし、下穴の入口から下穴の奥部に行くほど切削厚さが小さくなるように切削する穴切削工程と、からなる。
熱処理後に下穴の表面に形成される変質層の厚さは、例えば、冷却穴の深さが300mmのとき、冷却穴の入口付近で0.1mm程度の厚さになる。この変質層の厚さは、穴の奥に行くほど薄いものとなっている。
そこで、本発明では、変質した穴表面の切削厚さは、変質層の厚さ変化と同様な傾向をもたせ、冷却穴の入口から冷却穴の奥部に行くほど薄くなるようにした。
仮に、穴表面の切削厚さを、冷却穴の入口の変質層が除去される厚さで除去すると、冷却穴の奥部では、変質層でない層まで余計に除去することになる。
上記と反対に、穴表面の切削厚さを、冷却穴の奥部の変質層が除去される厚さで除去すると、冷却穴の入口の変質層を完全に除去できないという問題がある。
この点、本発明では、下穴の表面の切削厚さは、冷却穴の入口から冷却穴の奥部に行くほど小さくなるようにした。すなわち、変質層が厚い冷却穴の入口は、切削厚さを厚くし、変質層が薄い冷却穴の奥部の切削厚さは薄くしたので、変質層のみを効率良く除去することができる。
この結果、本発明によれば、冷却穴の表面に発生する変質層を効率良く確実に解消する技術が提供される。
請求項2に係る発明では、下穴は、下穴の入口の径に比較して、下穴の奥部の径が大径である。
熱処理工程で、冷却穴の入口に形成される変質層の厚さは、冷却穴の奥部に形成される変質層の厚さに較べて厚い。そこで、下穴開け工程で、下穴の入口の径は、下穴の奥部の径に較べて小径にし、下穴の奥に行くに従って徐々に大径となるようにした。
仮に、下穴を、冷却穴の入口付近から奥部に至るまで同一径の穴にした場合には、変質層を除去するために、冷却穴の入口の切削厚さは、奥部の切削厚さに較べて厚くする必要があった。すると、冷却穴を一定の内径で形成することができない。
この点、本発明では、熱処理工程の前工程で開ける下穴は、熱処理工程で形成される変質層の厚さを考慮して小さい径に設定されているので、冷却穴を一定の内径にすることができる。一定の内径をもつ冷却穴であれば、一定径の工具を利用することができ、回転軸に刃面が傾斜配置されている工具に較べて工具費用を低く抑えることができる。
請求項3に係る発明では、冷却穴の入口付近の変質層は、冷却穴の奥部の変質層に較べて厚い。熱処理後、下穴の入口で厚く形成され、下穴の奥部で薄く形成されている変質層に対応して、あらかじめ、下穴を形成する場合には、中ぐり工具を用いて開けるようにした。中ぐり工具であれば、入口よりも奥部に行くほど大きな穴を容易に開けることができる。
請求項4に係る発明では、冷却穴の入口は、短いシャンクの工具で開けられる。短いシャンクの工具であれば、シャンクの剛性が高まり、振動等が起き難いので、切削送りを大きくすることができる。切削送りを大きくすることができれば、切削に係る生産性を高めることができる。
冷却穴の奥部は、長いシャンクの工具で開けられる。長いシャンクの工具では、短いシャンクの工具に較べてシャンクの剛性が低く、振動等が起き易くなるので、切込み量は小さくなるが、奥部は、入口部に較べて切込み量が小さいので、切削に係る生産性を維持することができる。
請求項5に係る発明では、冷却穴は、径が一定の円柱状の穴であるので、入口と奥部とで径が異なっている穴に較べると、効率良く穴を形成することができる。
本発明に係る冷却穴が備えられている金型の断面図である。 金型の製造方法を説明する図(下穴開け工程)である。 金型の製造方法を説明する図(熱処理工程)である。 金型の製造方法を説明する図(第1穴切削工程)である。 金型の製造方法を説明する図(第2穴切削工程)である。 下穴開け工程で開けた下穴を説明する断面図である。 熱処理工程で変質した下穴を説明する断面図である。 冷却穴の硬さ測定方法を説明する図である。 冷却穴の硬さ分布を説明する図である。 穴切削工程で切削した冷却穴の説明図である。 別実施例に係る金型の製造方法を説明する図(下穴開け工程)である。 別実施例に係る金型の製造方法を説明する図(熱処理工程及び穴切削工程)である。 別実施例に係る下穴開け工程で開けた下穴の説明図である。 別実施例に係る熱処理工程で変質した表面を説明する断面図である。 別実施例に係る穴切削工程で切削した冷却穴の説明図である。 従来の技術の基本構成を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されているように、金型10は、固定板11と、この固定板11に取付けられている固定型13と、固定板11の両端部から延ばされているガイドポスト15、15と、これらのガイドポスト15、15に摺動可能に設けられている可動板12と、この可動板12の固定型13側の面にスペースブロック16、16を介して固定型13に対向配置される可動型14と、を主要な構成要素とする。固定型13と可動型14の間には、溶湯が射出され製品形状となる空間としてのキャビティ17が形成されている。固定型13に、冷却剤を流すことができる複数の冷却穴18が開けられている。
次図以降で、これらの冷却穴18の形成方法について詳細に説明する。なお、穴の入口の径と穴の奥部の径が異なっているときに、理解を容易にするため、実際の寸法に較べ、入口の穴径は、奥部の穴径よりも誇張して大きく表されている。
なお、冷却穴を可動型に開けることは差し支えない。
図2(a)〜図2(c)に、金型に下穴を開ける下穴開け工程が示されている。
図2(a)において、金型10に、切削工具、例えば、ガンドリル21を回転させながら、図矢印a方向に移動させ、図2(b)の如く、ガンドリル21で一定の穴径をもつ下穴22を開ける。本実施例では、金型10の材料は、合金工具鋼で熱間金型用に利用されているSKD61である。
図2(c)に、ガンドリル21で金型10の表面に一定の穴径D1をもつ下穴22が開けられている状態を示す。
図3に、金型を熱処理する熱処理工程が示されている。
冷却穴その他成型面の形状加工を行った金型10を熱処理装置35に入れ、金型10に熱処理を施す。この熱処理工程では、焼入焼戻しを行う。具体的には、500℃〜600℃で第1予熱を行い、次に、750℃〜800℃で第2予熱を行う。そして、1010℃から1030℃で加熱後急冷する焼入処理を行う。この焼入処理の次に、例えば、560℃〜650℃まで加熱後空冷する焼戻し処理を行う。この熱処理によって、後述する図7に示されているように下穴22の表面が変質する。
図4及び図5に穴切削工程が示されている。
図4(a)において、熱処理によって変質した下穴22の表面を切削対象とし、シャンク長L1aの第1ドリル46にて下穴の入口25から下穴の中間部26まで一定の穴径で切削し、図4(b)に示すように下穴の入口25から下穴の中間部26に至るまで穴径D2の穴を得る。
図5(a)において、熱処理によって変質した下穴22の表面を切削対象とし、シャンク長L1b(L1a<L1b)の第2ドリル47にて下穴の中間部26から下穴の奥部27に至るまで一定の穴径で切削し、図5(b)に示すように下穴の中間部26から奥部27へ至るまで穴径D3に拡張した穴を得る。穴径の大小関係はD1<D3<D2となる。
すなわち、穴切削工程では、熱処理によって変質した下穴22の表面を切削対象とし、例えば、シャンク長の異なる第1ドリル46、第2ドリル47を用いて下穴の入口25から下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるようにして切削することで冷却穴18が形成される。
図2〜図5を参照して、冷却穴を形成する工程は、金型10に下穴22を開ける下穴開け工程と、金型10を熱処理する熱処理工程と、熱処理によって変質した下穴の表面28を切削対象とし、下穴の入口25から下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるように切削する穴切削工程と、からなる。
次に、下穴開け工程で開けた下穴22について説明する。
図6に示されているように、下穴22は深さ(L)、下穴の径(D1)の一定の穴径を有している。
次に、熱処理工程で変質した表面について説明する。
図7に示されているように、下穴22の入口25では、熱処理による変質層36(図ドットで示される部分)の厚さは厚く、下穴22の奥部27に行くにしたがって変質層36の厚さは薄く形成されている。その理由は、下穴22の奥部27に行くほど空気が滞留し、酸素の供給が少ないことによる。
本実施例では、L=300mmであり、冷却穴の下穴の入口25の変質層の厚さ(t)は、約0.1mmである。
熱処理後の下穴の入口25を(a)、下穴の中間部26を(b)、下穴の奥部27を(c)とし、これらの(a)〜(c)に形成された変質層の組織及び硬さについて以下に説明する。
次に、冷却穴の硬さ測定方法を説明する。
図8に示されているように、金型10の下穴22の周辺部分を試験片として切り出し、硬さ試験を行う。硬さ試験のステップとして、下穴22の軸直角方向に金型を薄く切断して試験片41とし、この試験片41を樹脂42に埋設し、樹脂42に埋設した試験片41をエメリー紙で研磨し、次に、バフ研磨し、このバフ研磨された試験片41をマイクロビッカース硬度計43を用いて測定する。
マイクロビッカース硬度計43のダイヤモンド圧子は、仮下穴23の軸方向に圧着されるので、仮下穴23の表面から必要とする深さ位置における硬度を容易に測定することができる。
試験条件は、JIS2244に示されているものとした。測定荷重は、熱処理後の下穴表面から深さ0.025mmのとき100gとし、表面から深さ0.025mm超のとき200gとした。保持時間は10秒である。硬さ試験の結果を次図にて説明する。
図9に下穴の深さ方向位置での硬さ分布が示されている。縦軸を硬さ(Hv)、横軸を下穴表面からの距離(D)とした。
図9(a)は下穴の入口の硬さ分布であり、図7(a)の位置での硬さが示されている。図中、下穴表面からDが約0.1mmまで硬さ(Hv)は、Hv100程度から右肩上がりで上昇し、Dが約0.1mmより深い地点になると、硬さ(Hv)はHv450〜Hv500の間でほぼ一定の値となっている。
図9(b)は下穴の中間部の硬さ分布であり、図7(b)の位置での硬さが示されている。図中、下穴表面からDが約0.05mmまで硬さ(Hv)は右肩上がりで上昇し、Dが約0.05mmより深い地点になると、硬さ(Hv)はHv450〜Hv500の間でほぼ一定の値となっている。
図9(c)は下穴の奥部の硬さ分布であり、図7(c)での位置の硬さが示されている。図中、下穴表面からDが約0.025mmまで硬さ(Hv)は、下穴表面からDが約0.05mmから深い値に較べて低くなっており、Dが約0.05mmより大きくなると硬さ(Hv)はHv450〜Hv500の間でほぼ一定の値となっている。
上記硬さ試験の結果や組織観察等により、熱処理による変質層は、入口では表面から深さ0.12mm程度、中間部では表面から深さ0.06mm程度、奥部では表面から深さ0.03mm程度であることを見出した。
上記変質層の厚さ分布から、穴切削工程では、下穴の入口では切込み量を0.15mmとし、下穴の奥部では切込み量を0.05mmとすれば、熱処理による変質層を確実に除去することができる
次に、穴切削工程で切削した冷却穴について説明する。
図10に示されているように、冷却穴18は、長さ(L)、冷却穴の入口51から中間部52までの径が一定(D2)の円柱状の穴であり、冷却穴の中間部52から奥部53までの径が一定(D3)の円柱状の穴である。この穴は、入口側が穴径D2、奥側が穴径D3(D3<D2)の段付き穴ということができる。ここで、穴径D2及び穴径D3は各々、変質層(図7、符号36)が除去される必要十分な穴径であれば良い。
上記一連の工程により、冷却穴18の表面に、熱処理により形成された変質層が確実に除去される冷却穴18が形成される。このような冷却穴18であれば、金型(図1、符号10)に、冷却穴18の周辺部に発生する割れ等の不具合を減少させることができる。
以上に述べた金型の製造方法の作用を次に述べる。
図2〜図4を併せて参照して、冷却穴18を形成する工程は、金型10に下穴22を開ける下穴開け工程と、金型10を熱処理する熱処理工程と、熱処理によって変質した下穴22の表面を切削対象とし、下穴の入口25から仮下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるように切削する穴切削工程と、からなる。
熱処理後に下穴23の表面に形成される変質層36の厚さは、例えば、冷却穴の深さが300mmのとき、冷却穴の入口付近で0.1mm程度の厚さになる。この変質層36の厚さは、穴の奥に行くほど薄いものとなっている。
そこで、本発明では、変質した穴表面28(下穴の表面28)の切削厚さは、変質層36の厚さ変化に対応して、冷却穴の入口51から冷却穴の奥部53に行くほど薄くなるように、入口の穴径D2、奥部の穴径D3(D3<D2)をもつ段付き穴とした。
すなわち、変質層が厚い下穴の入口25は、切削厚さを厚くし、変質層が薄い冷却穴の奥部27の切削厚さを薄くしたので、変質層を効率良く除去することができる。
この結果、本発明によれば、冷却穴の表面に発生する変質層を効率良く確実に解消する技術が提供される。
熱処理工程で、冷却穴の入口としての下穴の入口25に形成される変質層の厚さは、仮下穴の奥部27に形成される変質層の厚さに較べて厚い。
本発明では、熱処理工程の前工程で開ける下穴22は、熱処理工程で形成される変質層の厚さを考慮して小さい径に設定されている。具体的には、入口から奥部まで穴径D1を有もつ穴とした。
仮に、穴径が入口と奥部で異なるテーパー状の穴を加工する場合には、中ぐり工具を利用する必要があり、加工費用が嵩む。
この点、本実施例では、ドりル等の安価な工具を利用することができ、中ぐり工具等に較べて工具費用を低く抑えることができる。
また、冷却穴の入口となる下穴の入口25に形成されている変質層は、冷却穴の奥部27の変質層に較べて厚い。熱処理後、下穴の入口25で厚く形成され、下穴の奥部27で薄く形成されている変質層に対応して、下穴22は、第1ドリル46及び第2ドリル47を用いて開けるようにした。このとき、シャンク長L1aの第1ドリル46で下穴の入口から中間部までの拡径を行い、シャンク長L1bの第2ドリル47で下穴の中間部から奥部までの拡径を行うようにした。シャンク長の関係はL1a<L1bであり、取代(除去量)の比較的大きな入口から中間部では、シャンク長の短い方の第1ドリル46で加工し、取代(除去量)の比較的小さな中間部から奥部では、シャンク長の長い方の第2ドリル47で加工した。
短いシャンク46の第1ドリル46であれば、シャンク46の剛性が高まり、振動等が起き難いので、切削送り量(Feedrate)を大きくすることができる。切削送り量を大きくすることができれば、切削に係る生産性を高めることができる。
一方、冷却穴18を、中間部から奥部27にかけて長いシャンク(L1b)をもつ第2ドリル47で開けた。長いシャンクの第2ドリル47では短いシャンクの第1ドリル46に較べてシャンクの剛性が低く、振動等が起き易くなるので、切込み量は小さくなるが、奥部27は、入口25に較べて切込み量が小さいので、切削に係る生産性を維持することができる。
本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
次図以降で、これらの冷却穴18の形成方法について詳細に説明する。なお、穴の入口の径と穴の奥部の径が異なっているときに、理解を容易にするため、実際の寸法に較べ、入口の穴径は、奥部の穴径よりも誇張して大きく表されている。
図11(a)〜図11(d)に、金型に下穴を開ける下穴開け工程が示されている。
図11(a)において、金型10に、切削工具、例えば、ガンドリル21を回転させながら、図矢印a方向に移動させ、図2(b)の如く、ガンドリル21で一定の穴径をもつ仮下穴23を開ける。本実施例では、金型10の材料は、合金工具鋼で熱間金型用に利用されているSKD61である。
図11(c)において、仮下穴(図11(b)、符号23)にシャンク長L1の第1中ぐり工具31を差し込み、この第1中ぐり工具31にて、仮下穴23の入口23aから中間部23bまで仮下穴23の中ぐり加工を行い下穴22の一部を得る。
図11(d)において、仮下穴23にシャンク長L2の第2中ぐり工具32を差し込み、この第2中ぐり工具32にて、第1の下穴22の中間部23bから奥部23cまでの中ぐり加工を行い残された部分の下穴22を得る。
図12(a)に、金型を熱処理する熱処理工程が示されている。
冷却穴その他成型面の形状加工を行った金型10を熱処理装置35に入れ、金型10に熱処理を施す。この熱処理工程では、焼入焼戻しを行う。具体的には、500℃〜600℃で第1予熱を行い、次に、750℃〜800℃で第2予熱を行う。そして、1010℃から1030℃で加熱後急冷する焼入処理を行う。この焼入処理の次に、例えば、560℃〜650℃まで加熱後空冷する焼戻し処理を行う。
図12(b1)及び図12(b2)に穴切削工程が示されている。この穴切削工程では、熱処理によって変質した下穴の表面28を切削対象とし、例えば、ボーリングバー37、38で下穴の入口25から下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるようにして切削することで冷却穴18が形成される。
下穴22を切削することにより得られる冷却穴18は、穴径が一定の円柱状の穴であるので、下穴の入口25と奥部27とで径が異なる冷却穴の切削に較べると、効率良く冷却穴を形成することができる。
図11〜図12を参照して、冷却穴を形成する工程は、金型10に下穴22(仮下穴23の加工を含む)を開ける下穴開け工程と、金型10を熱処理する熱処理工程と、熱処理によって変質した下穴の表面28を切削対象とし、下穴の入口25から下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるように切削する穴切削工程と、からなる。
次に、下穴開け工程で開けた下穴22について説明する。
図13に示されているように、下穴22は深さ(L)、下穴の入口25の径(D1)に比較して、下穴の奥部27の径(D2)が大径(D1<D2)となっている。
次に、熱処理工程で変質した表面について説明する。
図14に示されているように、下穴の入口25では、熱処理による変質層36(図ドットで示される部分)の厚さは厚く、下穴の奥部27に行くにしたがって変質層36の厚さは薄く形成されている。その理由は、下穴の奥に行くほど空気が滞留し、酸素の供給が少ないことによる。
本実施例では、L=300mmであり、冷却穴の入口25の変質層の厚さ(t)は、約0.1mmである。
熱処理後の下穴の入口25を(a)、下穴の中間部26を(b)、下穴の奥部27を(c)とし、これらの(a)〜(c)に形成された変質層の組織及び硬さについて以下に説明する。
次に、穴切削工程で切削した冷却穴について説明する。
図15に示されているように、冷却穴18は、長さ(L)径が一定(D2)の円柱状の穴である。図中、想像線は下穴22の輪郭を示すものである。
上記一連の工程により、冷却穴18の表面に、熱処理により形成された変質層が確実に除去される冷却穴18が形成される。このような冷却穴18であれば、金型(図1、符号10)に、冷却穴18の周辺部に発生する割れ等の不具合を減少させることができる。
以上に述べた金型の製造方法の作用を次に述べる。
図11及び図12を併せて参照して、冷却穴18を形成する工程は、金型10に下穴22を開ける下穴開け工程と、金型10を熱処理する熱処理工程と、熱処理によって変質した下穴の表面28を切削対象とし、下穴の入口25から下穴の奥部27に行くほど切削厚さが小さくなるように切削する穴切削工程と、からなる。
熱処理後に下穴の表面28に形成される変質層36の厚さは、例えば、冷却穴の深さが300mmのとき、冷却穴の入口付近で0.1mm程度の厚さになる。この変質層36の厚さは、穴の奥に行くほど薄いものとなっている。
そこで、本発明では、変質した穴表面28(下穴の表面28)の切削厚さは、変質層36の厚さ変化と同様な傾向をもたせるようにし、冷却穴の入口23aから冷却穴の奥部27に行くほど薄くなるようにした。
仮に、穴表面の切削厚さを、冷却穴の入口25の変質層が除去される厚さで除去すると、冷却穴の奥部27では、変質層でない層まで余計に除去することになる。
上記と反対に、穴表面の切削厚さを、冷却穴の奥部27の変質層が除去される厚さで除去すると、冷却穴の入口25の変質層を完全に除去できないという問題がある。
この点、本発明では、下穴の表面28の切削厚さは、冷却穴の入口25から冷却穴の奥部27に行くほど小さくなるようにした。すなわち、変質層が厚い下穴の入口25は、切削厚さを厚くし、変質層が薄い冷却穴の奥部27の切削厚さは薄くしたので、変質層のみを除去することができる。
この結果、本発明によれば、冷却穴の表面に発生する変質層を効率良く確実に解消する技術が提供される。
熱処理工程で、冷却穴の入口としての下穴の入口25に形成される変質層の厚さは、冷却穴の奥部27に形成される変質層の厚さに較べて厚い。そこで、下穴開け工程で、下穴の入口25の径は、下穴の奥部27の径に較べて小径にし、下穴22の奥に行くに従って徐々に大径となるようにした。
仮に、下穴を、冷却穴の入口付近から奥部に至るまで同一径の穴にした場合には、変質層を除去するために、冷却穴の入口の切削厚さは、奥部の切削厚さに較べて厚くする必要があった。すると、冷却穴を一定の内径で形成することができない。
この点、本発明では、熱処理工程の前工程で開ける下穴22は、熱処理工程で形成される変質層の厚さを考慮して小さい径に設定されているので、冷却穴18を一定の内径にすることができる。一定の内径をもつ冷却穴18であれば、一定径の工具を利用することができ、軸に刃面が傾斜している工具に較べて工具費用を低く抑えることができる。
また、冷却穴の入口となる下穴の入口25に形成されている変質層は、冷却穴の奥部27の変質層に較べて厚い。熱処理後、下穴の入口25で厚く形成され、下穴の奥部27で薄く形成されている変質層に対応して、下穴22は、中ぐり工具を用いて開けるようにした。中ぐり工具であれば、下穴の入口25よりも下穴の奥部27に行くほど大きな穴を容易に開けることができる。
下穴に追加工して冷却穴18を開ける穴切削工程では、第1工具37のシャンク長(Lb1)と第2工具38のシャンク長(Lb2)との関係は、Lb1<Lb2である。
下穴22は、入口25を短いシャンク(Lb1)の第1工具としてのボーリングバー37で開け、下穴23の奥部27を長いシャンク(Lb2)の第2工具としてのボーリングバー38で開けるようにした。
冷却穴18は、入口25から中間部にかけて短いシャンク(Lb1)をもつ工具としてのボーリングバー37で開けた。短いシャンク37のボーリングバー37であれば、シャンク33の剛性が高まり、振動等が起き難いので、切削送り量(Feedrate)を大きくすることができる。切削送り量を大きくすることができれば、切削に係る生産性を高めることができる。
冷却穴18を、中間部から奥部27にかけて長いシャンク(Lb2)をもつボーリングバー38で開けた。長いシャンク38の工具31では短いシャンク37のボーリングバー37に較べてシャンクの剛性が低く、振動等が起き易くなるので、切込み量は小さくなるが、奥部27は、入口25に較べて切込み量が小さいので、切削に係る生産性を維持することができる。
尚、本発明は、実施の形態ではダイカスト金型に適用したが、樹脂成形用金型にも適用可能であり、薄板鋼板成形用金型、その他の金型に適用することは差し支えない。
本発明は、冷却剤が通る冷却穴が備えられているダイカスト金型に好適である。
10…金型、14…可動型、18…冷却穴、22…下穴、25…下穴の入口、27…下穴の奥部、28…下穴の表面、37…第1工具(ボーリングバー)、38…第2工具(ボーリングバー)D1…下穴の入口の径、D2…下穴の奥部の径。

Claims (5)

  1. 金型に冷却剤を流すことができる冷却穴が設けられている金型の製造方法において、
    前記金型に下穴を開ける下穴開け工程と、次に、前記金型を熱処理する熱処理工程と、次に、前記熱処理によって変質した前記下穴の表面を切削対象とし、前記下穴の入口から前記下穴の奥部に行くほど切削厚さが小さくなるようにして切削することで前記冷却穴が形成される穴切削工程と、からなることを特徴とする金型の製造方法。
  2. 前記下穴は、前記下穴の入口の径に比較して、前記下穴の奥部の径が大径であることを特徴とする請求項1記載の金型の製造方法。
  3. 前記下穴は、中ぐり工具を用いて開けることを特徴とする請求項2記載の金型の製造方法。
  4. 前記冷却穴は、前記入口を短いシャンクの工具で開け、前記奥部を長いシャンクの工具で開けることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の金型の製造方法。
  5. 前記冷却穴は、径が一定の円柱状の穴であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の金型の製造方法。
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