JP2011222666A - 薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の絶縁耐電圧性を確保しながら、発電面積を増加させることができる薄膜太陽電池の製造方法、およびこの製造方法によって製造された薄膜太陽電池を提供すること。
【解決手段】透光性の絶縁基板Q1の主面Q1aに形成された透明電極層3上に光電変換層4および裏面電極層5をこの順に積層して、薄膜光電変換素子11を形成する成膜工程と、絶縁基板Q1の主面Q1aの外周部に形成されている透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5の積層膜を除去する主面膜除去工程と、絶縁基板Q1の外周端面Q1cの少なくとも主面側に堆積している薄膜光電変換素子11の材料を含有する堆積膜Dを除去する堆積膜除去工程とを含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽光発電に用いられる薄膜太陽電池の製造方法に関する。
従来の薄膜太陽電池は、透光性絶縁基板の表面(主面)に透明電極層、光電変換層および裏面電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が複数個互いに電気的に直列接続されたストリングを備え、ストリングを含む前記絶縁基板の表面全面が、樹脂層および保護フィルムで封止された構造を有している(例えば、特許文献1参照)。
このような薄膜太陽電池は、外周縁から漏電しないように絶縁耐電圧性が要求されている。
このため、この薄膜太陽電池は、所定の絶縁耐電圧性を得るために、絶縁基板(以下、単に「基板」という場合がある)の表面の外周部に形成されていた薄膜光電変換素子部分を膜除去装置にて所定の設定幅で除去することにより、基板の表面が露出してなる非導電性表面領域が形成されている。
この薄膜太陽電池の製造工程では、まず、基板の表面全体にCVD、スパッタ、蒸着等の方法により透明電極層を積層し、レーザスクライブ法によって透明電極層に所定間隔で第1分離溝を形成することにより複数に分割する。
次に、例えば、プラズマCVD法により、複数の透明電極層を覆うようにアモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層を順次積層して光電変換層を形成し、レーザスクライブ法によって光電変換層に所定間隔でコンタクトラインを形成することにより複数に分割する。なお、第1分離溝は光電変換層にて埋められる。
次に、光電変換層を覆うようにCVD、スパッタ、蒸着等の方法により裏面電極層を積層する。これにより、コンタクトラインが裏面電極層にて埋められる。
次に、レーザスクライブ法によって、光電変換層および裏面電極層に所定間隔で第2分離溝を形成することにより、互いに電気的に直列接続された複数個の薄膜光電変換素子(ストリング)が形成される。
続いて、レーザスクライブ装置または研磨装置によって、基板の表面の外周部に形成されている薄膜光電変換素子部分を、基板外周端面から設定幅で除去することにより前記非導電性表面領域を形成する。
次に、ストリングにおける直列接続方向の一端側と他端側の薄膜光電変換素子上には、電流取り出し用の電極を電気的に接続する。
そして最後に、裏面電極層の表面上にEVAシートを設置し、そのEVAシート上に保護フィルムを設置して加熱圧着することにより、薄膜太陽電池が得られる。
特開2008−109041号公報
CVD、スパッタ、蒸着といった成膜方法を行う成膜装置のチャンバー内に基板を設置して前記透明電極層、光電変換層および裏面電極層を基板の主面側に積層すると、これらの層の材料を含有する導電性堆積膜が基板の外周端面に堆積する。
薄膜太陽電池は、所定の絶縁耐電圧性を得るための非導電性表面領域が、基板の外周端面(最も外側の端面)から前記設定幅で基板の主面外周部に形成されているが、基板の外周端面に導電性堆積膜が堆積していると実際は所定の絶縁耐電圧性よりも低下している場合や所定の規格幅に達しない場合がある。
特に、基板外周部の欠けや割れ等を抑制するために、外周部の角部を切削して滑らかにした面取り部を有する基板を用いた場合、面取り部はその幅分が主面側に入り込んでいるため、主面側の面取り部に導電性堆積膜が堆積していると前記設定幅で非導電性表面領域を形成していても所定の絶縁耐絶縁性よりも低下したり、所定の規格幅に達しなくなる。
面取り部を有さない平坦な外周端面を有する基板を用いた場合でも、外周端面の主面側の角部に導電性堆積膜が堆積していると所定の絶縁耐電圧性よりも低下したり、所定の規格幅に達しなくなるおそれがある。
ここで、前記「設定幅」とは、主として規格幅を意味し、膜除去装置の膜除去精度が機械精度的な誤差を含む場合はその誤差、ガラスの直角度や寸法公差等を考慮したマージンも含まれる。
また、前記「規格幅」とは、得ようとする薄膜太陽電池のシステム電圧に応じて規定された非導電性表面領域の幅であり、例えば、薄膜太陽電池のシステム電圧が301〜600Vでは6.4mm以上、システム電圧が601〜1000Vでは8.4mm以上必要であると、規格(IEC:61730やJIS:C8992)によって規定されている。
そのため、最近では、基板の外周端面(特に、主面側の面取り部)に導電性堆積膜が堆積した場合を想定したマージンも含んだ設定幅で非導電性表面領域を形成しているが、それは発電面積を減少させることになっている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、所定の絶縁耐電圧性を確保しながら、発電面積を増加させることができる薄膜太陽電池の製造方法、およびこの製造方法によって製造された薄膜太陽電池を提供することを目的とする。
本発明によれば、透光性の絶縁基板の主面に形成された透明電極層上に光電変換層および裏面電極層をこの順に積層して、薄膜光電変換素子を形成する成膜工程と、前記絶縁基板の前記主面の外周部に形成されている前記透明電極層、前記光電変換層および前記裏面電極層の積層膜を除去する主面膜除去工程と、前記絶縁基板の外周端面の少なくとも前記主面側に堆積している前記薄膜光電変換素子の材料を含有する堆積膜を除去する堆積膜除去工程とを含む薄膜太陽電池の製造方法が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、前記薄膜太陽電池の製造方法によって製造された薄膜太陽電池であって、透光性の絶縁基板の主面の外周部を除く領域に透明電極層と光電変換層と裏面電極層とがこの順に積層してなる薄膜光電変換素子と、前記絶縁基板の外周部に形成された非導電性表面領域とを備え、前記絶縁基板の外周端面の前記主面とは反対の反対面側に前記薄膜光電変換素子の材料を含有する堆積膜が堆積している薄膜太陽電池が提供される。
本発明の薄膜太陽電池の製造方法では、堆積膜除去工程によって絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側に堆積した前記堆積膜を除去する。
そのため、基板の外周端面に堆積膜が堆積していることを考慮しない設定幅で非導電性表面領域を基板の主面外周部に形成することができ、従来よりも発電面積が増加した薄膜太陽電池を製造することができる。
特に、外周端面に面取り部を有する基板を用いた薄膜太陽電池の製造に本発明は好適である。
図1は本発明の実施形態1の薄膜太陽電池を示す斜視図である。 図2(A)は図1のA−A線部分断面図であり、図2(B)は図1のB−B線部分断面図である。 図3(A)は膜除去工程前の図2(A)に対応し、図3(B)は膜除去工程前の図2(B)に対応する部分断面図である。 図4(A)〜(C)は実施形態1における膜除去工程を説明する工程図である。 図5は実施形態2で用いられる絶縁基板としてのオンライン用基板を示す部分平面図である。 図6は実施形態2における切断工程の第1切断ステップ後に得られた透明電極層付き切断基板を示す平面図である。 図7(A)〜(C)は実施形態2の薄膜太陽電池の製造方法を説明する工程図である。 図8(A)〜(C)は図7(C)の続きの工程図である。 図9は本発明の実施例1の薄膜太陽電池を示す平面図である。 図10(A)および(B)は図9で示した薄膜太陽電池の製造工程を説明する工程図である。 図11は図10(A)および(B)の続きの工程図である。 図12は図11(A)および(B)の続きの工程図である。 図13は図12(A)および(B)の続きの工程図である。 図14は図13(A)および(B)の続きの工程図である。 図15は図14(A)および(B)の続きの工程図である。 図16は図15(A)および(B)の続きの工程図である。 図17は図16(A)および(B)の続きの工程図である。 図18は図17(A)および(B)の続きの工程図である。 図19は図18(A)および(B)の続きの工程図である。 図20は図19(A)および(B)の続きの工程図である。 図21(AX)〜(AZ)は実施例2の薄膜太陽電池の製造工程を説明する工程図である。
本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法は、成膜工程と主面膜除去工程と堆積膜除去工程を含む。
成膜工程は、透光性の絶縁基板の主面に形成された透明電極層状に光電変換層および裏面電極層をこの順に積層して、薄膜光電変換素子を形成する。
主面膜除去工程は、絶縁基板の主面の外周部に形成されている透明電極層、光電変換層および裏面電極層の積層膜を除去する。
堆積膜除去工程は、絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側に堆積している前記薄膜光電変換素子の材料を含有する堆積膜を除去する。
成膜工程において、透明電極層上への光電変換層の積層ステップと裏面電極層の積層ステップは、連続的に行ってもよいし、これらのステップの間に別の工程が行われてもよい。
また、主面膜除去工程と堆積膜除去工程は、どちらが先に行われてもよく、さらに、連続的または同時に行われてもよく、これらの工程の間に別の工程が行われてもよい。このとき、主面膜除工程と堆積膜除去工程のうち少なくとも一方は、例えば、レーザ、研磨、ブラストおよびエッチングのうちの少なくとも1つを用いて行うことができる。
また、本発明において、成膜工程で用いられる前記絶縁基板は、得ようとする薄膜太陽電池のサイズに形成された透光性かつ絶縁性のオフライン用基板、および得ようとする薄膜太陽電池の外周長さよりも長い外周長さを有する透光性かつ絶縁性のオンライン用基板のうち、いずれか一方を選択して用いることができる。
また、絶縁基板としては、その外周端面に面取り部があっても無くてもどちらでもよいが、基板外周部の欠けや割れ等を抑制できるので外周端面に面取り部を有していることが好ましい。
本発明は、具体的に次の(1)〜(7)のようにすることができる。
(1)成膜工程において、絶縁基板の外周端面の少なくとも一部に透明電極層が堆積された状態で、光電変換層が積層される。
この場合、成膜工程で用いられる絶縁基板がオフライン用基板であり、成膜工程にてオフライン用基板に対して効率よく薄膜光電変換素子を形成することができる。
(2)前記(1)の場合、絶縁基板(オフライン用基板)は、外周端面の少なくとも主面側に主面側面取り部を有し、堆積膜除去工程が、絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側面取り部に堆積した堆積膜を除去する。
この場合、成膜工程における裏面電極層の積層によって絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側面に堆積膜が堆積しない場合は、堆積膜除去工程は、裏面電極層の積層前でも構わない。
このようにすれば、基板外周部の欠けや割れ等を抑制する面取り部を有するオフライン用基板を用いることができる。さらに、所定の絶縁耐電圧性を得るための非導電性表面領域の幅を従来よりも狭くできる堆積膜除去工程を、容易かつ効率よく行うことができる。
(3)成膜工程における光電変換層の積層の前で、かつ透明電極層が絶縁基板上に積層された後に、得ようとする薄膜太陽電池のサイズに対応させて絶縁基板の外周の全体を切断する基板切断工程をさらに含み、基板切断工程の後に、成膜工程における光電変換層および裏面電極層を積層する。
この場合、成膜工程で用いられる絶縁基板がオンライン用基板であり、オンライン用基板の主面に透明電極層を積層して、透明電極層付き切断基板を効率よく量産することができるため、薄膜太陽電池の製造コストを低減することができる。
(4)前記(3)の場合、基板切断工程に引き続いて、絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側を面取り加工して主面側面取り部を形成する面取り工程をさらに含み、面取り工程の後に、前記成膜工程における光電変換層および裏面電極層を積層し、堆積膜除去工程では、絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側面取り部に堆積した前記堆積膜を除去する。
この場合、成膜工程における裏面電極層の積層によって絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側面に堆積膜が堆積しない場合は、堆積膜除去工程は、裏面電極層の積層前でも構わない。
このようにすれば、基板外周部の欠けや割れ等を抑制できると共に、所定の絶縁耐電圧性を得るための非導電性表面領域の幅を従来よりも狭くできる堆積膜除去工程を、容易かつ効率よく行うことができる。
(5)前記(3)または(4)の製造方法は、成膜工程における光電変換層および裏面電極層を積層した後に、絶縁基板の外周端面の少なくとも主面側を面取り加工して仕上げ面取り部を形成する仕上げ面取り工程をさらに含み、仕上げ面取り工程が、堆積膜除去工程を兼ねる。
このようにすれば、前記(4)の面取り工程を簡素化または省略することができると共に、基板外周端面の主面側の堆積膜部分を除去しながら仕上げ面取り部を形成することができる。
(6)前記(4)または(5)の場合、面取り加工により減少する基板サイズに基づいて、主面膜除去工程または堆積膜除去工程が行われる。
このようにすれば、主面膜除去工程または堆積膜除去工程を高精度に行うことができる。
(7)主面膜除去工程と堆積膜除去工程とが、同一工程で行われる。
このようにすれば、薄膜太陽電池の製造時間を短縮することができる。また、主面膜除去工程と堆積膜除去工程とを同一の膜除去方法にて行えばさらに製造時間の短縮化となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の薄膜太陽電池の製造方法およびそれによって製造された薄膜太陽電池について詳しく説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の薄膜太陽電池を示す斜視図であり、図2(A)は図1のA−A線部分断面図であり、図2(B)は図1のB−B線部分断面図である。
この薄膜太陽電池Sは、透光性の絶縁基板Q1(以下、単に「基板Q1」という)と、この基板Q1の主面Q1aの外周部を除く領域に透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5が順次積層されてなる薄膜光電変換素子11が複数個互いに電気的に直列接続されたストリングGと、基板Q1の主面Q1aの外周部に形成された四角枠形の非導電性表面領域Pと、ストリングGにおける直列接続方向の一端側と他端側の薄膜光電変換素子11上に電気的に接続された電流取り出し用の電極10とを備え、ストリングGを含む基板Q1の表面全面が、図示しない樹脂層および保護フィルムで封止された構造を有している。
基板Q1は、例えば、ガラス基板からなり、その外周端面Q1cに断面半円形の面取り部を有している。つまり、外周端面Q1c全体が断面半円形の面取り部となっている。
この面取り部Q1cは、主面Q1a側の矢印Jで示す角度90度の範囲の主面側面取り部Q1c1と、主面Q1aとは反対の反対面Q1b側の矢印Kで示す角度90度の範囲の反対面側面取り部Q1c2とからなる。
この基板Q1は、得ようとする薄膜太陽電池のサイズに対応するように基板外周が切断された後に透明電極層を積層した透光性かつ絶縁性のオフライン用基板である。言い換えれば、オフライン用基板は、透明電極の積層前に、基板外周が全て切断されたものであり、このため外周端面全てに透明電極層が堆積されたものとなる。なお、このオフライン用基板は、後述のオンライン用基板と区別するために用いている用語である。
なお、図2において、符合Q1c3は、基板Q1の最も外側の端面を示している。
非導電性表面領域Pは、基板Q1の平坦な主面Q1aの外周部分に相当する平面部P1と、基板Q1の湾曲した主面側面取り部Q1c1に相当する湾曲面部P2とからなる。
したがって、非導電性表面領域Pの幅L、すなわち、基板Q1の外周端面Q1cの最も外側の端面Q1c3から薄膜光電変換素子11(ストリングG)の端面までの距離Lは、平面部P1の幅L1と湾曲面部P2の幅L2との和である。
例えば、縦寸法が500〜1500mm、横寸法が500〜1500mm、厚みが2〜8mmの基板Q1を用いる場合、平面部P1の幅L1としては4〜10mm、湾曲面部P2の幅L2としては0.5〜3mmに設定することができる。
また、この薄膜太陽電池Sは、基板Q1の反対面側面取り部Q1c2に堆積膜Dが堆積している。
この堆積膜Dは、薄膜光電変換素子11の材料を含有してなり、透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5を基板Q1の主面Q1a上に形成する際に、これらの材料が基板Q1の外周端面Q1cに堆積し、除去されずに残存したものである。これについて、詳しくは後述する。
〔成膜工程〕
この薄膜太陽電池Sの製造に際しては、図3に示すように、まず、基板Q1(オフライン用基板)の主面Q1aに透明電極層3を積層する第1積層ステップと、透明電極層3上に光電変換層4を積層する第2積層ステップと、光電変換層4上に裏面電極層5を積層する第3積層ステップとを行って薄膜光電変換素子11を形成する成膜工程が行われる。
なお、図3(A)は膜除去工程前の図2(A)に対応し、図3(B)は膜除去工程前の図2(B)に対応する部分断面図である。
<第1積層ステップ>
第1積層ステップでは、成膜装置のチャンバー内の設置台上に基板Q1を設置し、CVD、スパッタ、蒸着等の成膜方法によって基板Q1の表面全体に透明電極層3を積層する。
この第1積層ステップにより、主面Q1aから外周端面Q1cに亘って透明電極層3が積層された基板Q1が得られる。
この後、成膜装置から基板Q1を取り出し、レーザスクライブ法によって透明電極層3に所定間隔で第1分離溝6を形成することにより複数に分割する。
<第2積層ステップ>
次の第2積層ステップでは、成膜装置のチャンバー内の設置台上に基板Q1を設置し、例えば、プラズマCVD法により、複数の透明電極層3を覆うようにアモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層を順次積層して光電変換層4を形成する。これにより、第1分離溝6は光電変換層4にて埋められる。
この第2積層ステップにより、透明電極層3の表面全体に光電変換層4が積層された基板Q1が得られる。
この後、レーザスクライブ法によって光電変換層4に所定間隔でコンタクトライン7を形成することにより複数に分割する。
<第3積層ステップ>
次の第3積層ステップでは、成膜装置のチャンバー内の設置台上に基板Q1を設置し、CVD、スパッタ、蒸着等の成膜方法により、複数の光電変換層4を覆うように裏面電極層5を積層する。これにより、コンタクトラインが裏面電極層にて埋められる。
この第3積層ステップにより、光電変換層4の表面全体に裏面電極層5が積層された基板Q1が得られる。
この後、レーザスクライブ法によって、光電変換層4および裏面電極層5に所定間隔で第2分離溝8を形成することにより、図3(A)および(B)に示すように、互いに電気的に直列接続された複数個の薄膜光電変換素子11が形成される。
この基板Q1には外周部に不要な積層膜(透明電極層、光電変換層および裏面電極層の積層膜)が存在するため、次の膜除去工程にてその不要な膜部分を除去する。
なお、図3(A)および(B)において、基板Q1の外周部の薄膜光電変換素子部分は、主面Q1a上の薄膜光電変換素子部分よりも薄く図示されているが、実際はこのような膜厚比にあるわけではない。
また、ここの成膜工程の説明では、基板Q1に透明電極層3を積層する第1積層ステップと、透明電極層3上に光電変換層4を積層する第2積層ステップと、光電変換層4上に裏面電極層5を積層する第3積層ステップとの3つの積層ステップを含むものを説明したが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、基板として予め透明電極層が形成されたものを用いてもよく、この場合には、基板に形成された透明電極層上に光電変換層を積層する積層ステップと、光電変換層上に裏面電極層を積層する積層ステップとの2つの積層ステップを含めばよい。
〔膜除去工程〕
成膜工程後の膜除去工程では、図4(A)〜(C)に示すように、基板Q1の主面Q1aの外周部に形成されている透明電極層、光電変換層および裏面電極層の積層膜を除去して非導電性表面領域を形成する主面膜除去工程と、成膜工程時に基板Q1の外周端面Q1cに堆積した堆積膜(透明電極層、光電変換層および裏面電極層のうちの少なくとも一部を含む堆積膜)を除去する堆積膜除去工程とが行われる。
なお、図4(A)〜(C)は実施形態1における膜除去工程を説明する工程図である。
<主面膜除去工程>
主面膜除去工程では、図4(A)に示すように、基板Q1の最も外側の端面Q1c3から面内垂直方向に前記幅Lまでの範囲に存在する主面Q1a上の透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5の積層膜を垂直方向の上方から除去する。これにより、前記非導電性表面領域の平面部P1が形成される。
このときの膜除去方法としては、例えば、レーザ、研磨、ブラストおよびエッチングのうちの単独または組み合わせによって行うことができ、これについて詳しくは後述する。
<堆積膜除去工程>
堆積膜除去工程は、図4(A)および(B)に示すように、主面膜除去工程に連続して同じ膜除去方法で、基板Q1の外周端面Q1cに堆積した堆積膜Dxを除去することができる。なお、堆積膜Dには、透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5のうちの少なくとも一部が含まれる。
図4(B)は、膜除去が基板Q1の最も外側の端面Q1c3まで行われ、前記非導電性表面領域の湾曲面部P2が形成された状態を示している。
この状態では、基板Q1の主面側面取り部Q1c1から不要な堆積膜が除去されているが、反対面側面取り部Q1c2に堆積膜Dyが残存する。
この堆積膜Dyは、主面側面取り部Q1c1の方に近接した突起部を有する場合があり、後工程で基板Q1を樹脂層および保護フィルムで封止すると、堆積膜Dyの前記突起部が分離して非導電性表面領域Pに再付着してしまい、所定の絶縁耐電圧性が得られなくなるおそれ及び規格幅が得れないおそれがある。
したがって、図4(B)および(C)に示すように、引き続き堆積膜除去工程を行って、堆積膜Dyにおける主面側面取り部Q1c1に近接した突起部も外側の部分も除去することが好ましい。
これにより、図4(C)に示すように、堆積膜Dは、基板Q1の厚み方向の反対面Q1b側のみに残存するため、後工程で基板Q1を樹脂層および保護フィルムで封止しても、堆積膜Dの一部が剥離や倒れることにより、非導電性表面領域Pに再付着しなくなる。
なお、ここでは、主面膜除去工程と堆積膜除去工程とを別々に説明したが、この2つの工程は、同一の工程で行ってもよいし、別々の工程で行ってもよい。ただし、同一の工程で行えば工程が簡略化できるので好ましく、更には同一装置を用いて行うことが好ましい。
〔膜除去方法の説明〕
次に、本発明の薄膜太陽電池の製造方法を実施する膜除去方法の一例を説明する(図示省略)。
主面膜除去工程または堆積膜除去工程では、まず、主面Q1aにストリングGが形成された基板Q1を膜除去加工位置に位置決めする。
膜除去加工位置には、例えば、基板Q1を載置するためのターンテーブルが設置されると共に、基板Q1の二辺と当接する位置決め部材点が設置される。
各位置決め部材は、例えば、床面から垂直方向に伸縮可能に延びる伸縮ロッドとすることができる。
さらに、膜除去加工位置には、基板Q1の位置決めされた1辺に対して平行な左右方向および垂直な前後方向に移動可能な膜除去ヘッド部Rを有する膜除去装置が設置される。
膜除去装置は、レーザ加工装置、研磨装置、ブラスト装置またはエッチング装置からなる前記膜除去ヘッド部と、膜除去ヘッド部RをX軸方向およびY軸方向に移動させる移動機構部とを備える。
レーザ加工装置としては、薄膜光電変換素子11(透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5)を除去できるレーザ照射装置、例えば、YAGレーザの基本波等を照射するものを用いることができる。
研磨装置としては、例えば、小型モータと、この小型モータの回転シャフト先端に固定された車輪形、円錐形等の研磨部材とを備えた構成とすることができる。
ブラスト装置としては、例えば、膜除去用粒体を噴出する噴出ノズルと、噴出ノズルに膜除去用粒体を空気と共に供給するブロワーと、ブロワーと噴出ノズルとを接続するホースを備えた構成とすることができる。
エッチング装置としては、例えば、薄膜光電変換素子11(透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5)を除去できるエッチング液を含浸できるスポンジや布等の拭取り部材と、拭取り部材にエッチング液を供給するポンプと、ポンプと拭取り部材とを接続するホースとを備えた構成とすることができる。
なお、エッチングの場合、エッチング装置を用いずに、エッチング液を染み込ませた拭取り部材を用いて作業者にて膜除去を行うようにすることもできる。
移動機構部としては、例えば、位置決め加工位置の左右および前後方向(X−Y二軸方向)に敷設されたガイドレールおよびモータを動力源としてガイドレールに沿って移動する移動台を有するリニア駆動部と、移動台に膜除去ヘッド部を基板Q1に対して接近離間させる方向に高精度に移動可能に連結する可動連結部(例えば、ボールネジ機構)と、リニア駆動部および可動連結部を予め設定された所定の方向および移動量で移動するように制御する制御部等を備えた構成とすることができる。
この場合、前記制御部からの指令に基づいて、リニア駆動部の移動台および可動連結部における膜除去ヘッド部との連結部分が所定の方向および移動量で移動することにより、膜除去ヘッド部を基板Qの位置決めされた二辺に沿ってX−Y二軸方向に移動させることができる。
さらに、移動台、可動連結部および膜除去ヘッド部を備えたユニットがX軸方向とY軸方向のガイドレールに乗り換えられるようにするか、あるいはX軸方向とY軸方向のガイドレールに個別に前記ユニットを設けることができる。
なお、レーザ加工装置を用いる場合、ガルバノミラーを用いてレーザ照射位置(膜除去位置)を二軸方向に移動可能に構成することもできる。
基板Q1の二辺の位置決め後、膜除去ヘッド部が左右移動初期位置に待機し、膜除去ヘッド部がX軸方向(左右方向)に移動しながら位置決めされた左右方向の一辺側の膜除去を行う。この際、X軸方向へ往復移動させながらY軸方向(前後方向)へも段階的に移動させて、図4(C)に示したように膜除去を行うことができる。
次に、膜除去装置の膜除去ヘッド部が前後移動初期位置に待機し、膜除去ヘッド部がY軸方向に移動しながら位置決めされた前後方向の一辺側の膜除去を行う。この際、Y軸方向に往復移動させながらX軸方向へも段階的に移動させて、図4(C)に示したように膜除去を行うことができる。
次に、位置決め部材を基板Q1の下面よりも下に下降させ、ターンテーブルと共に基板Q1を180度回転させ、位置決め部材を基板Q1の下面よりも上に上昇させ、他の二辺を位置決め部材に当接させて位置決めする。
この後は、前記と同様に、位置決めした二辺側の膜除去が行われる。
このようにして、基板Q1の外周部全周に沿って膜除去を行って、所定の絶縁耐電圧性を確保するための非導電性表面領域Pの形成を完了する。
ブラスト装置を用いる場合、光電変換素子11の膜除去すべきでない部分(特に、膜除去付近)をマスクでおおい透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5の積層膜の除去すべき部分にのみ膜除去用投射材と呼ばれる粒体を衝突させる。この際、マスクレスでブラスト処理が可能な装置の場合はマスクを必要としない。ブラスト処理を行った場合、平面部P1と湾曲面部P2を同時に効率よく除去可能である(図4(C)の状態になる)。
エッチング装置を用いる場合も、光電変換素子11の膜除去すべきでない部分(特に、膜除去付近)をマスクで多い(レジスト塗布でも可)、光電変換素子11の膜除去すべき部分にのみエッチング液を含浸させた拭取り部材を接触させる。
装置の組み合わせの一例として、平面部P1の膜除去をレーザ加工にて行い、湾曲面部P2の加工を研磨装置やブラスト処理で行うことが可能である。
膜除去工程を完了した後は、ストリングGにおける直列接続方向の一端側と他端側の薄膜光電変換素子11上に、電流取り出し用の電極10を電気的に接続し、裏面電極層5の表面上にEVAシートを設置し、そのEVAシート上に保護フィルムを設置して加熱圧着することにより、薄膜太陽電池Sが得られる。
(実施形態2)
前記実施形態1では基板Q1としてオフライン用基板を用いた薄膜太陽電池およびその製造方法を説明したが、実施形態2ではオンライン用基板を用いた薄膜太陽電池およびその製造方法を説明する。ここで、オンライン用基板は、透明電極層が形成されてから、基板外周の少なくとも一部が切断された後に、光電変換層および裏面電極層が積層される基板であり、このため少なくとも一部の外周端面に透明電極層が堆積されないものとなる。なお、このオンライン用基板は、前述のオフライン用基板と区別するために用いている用語である。
〔成膜工程〕
実施形態2では、図5に示すように、まず、得ようとする薄膜太陽電池の外周長さよりも長い外周長さを有する透光性かつ絶縁性のオンライン用基板Q21の主面Q21aに透明電極層を積層する成膜工程の第1積層ステップが行われる。
図5は実施形態2で用いられる絶縁基板としてのオンライン用基板を示す部分平面図である。
図5において、点線a、b、c、dで囲まれた領域は、得ようとする薄膜太陽電池のサイズとほぼ同一である。つまり、オンライン用基板Q21は、得ようとする薄膜太陽電池の長辺よりも長い幅(例えば、3000mm)を有する長尺ガラス基板である。
このオンライン用基板Q21の主面Q21aに透明電極層を積層する場合、オンライン用基板Q21を成膜装置内で一定速度で移動させて成膜する。このときの成膜方法としては、CVD、スパッタ、蒸着等が可能である。
第1積層ステップ後に得られたオンライン用基板Q21には、その主面Q21a以外に両側端面にも堆積膜が堆積している。
次に、第2積層ステップの前に、透明電極層が積層されたオンライン用基板Q21を得ようとする薄膜太陽電池のサイズに切断する基板切断工程が行われる。
この切断工程は、第1切断ステップと第2切断ステップに分けて行われる。
図6は実施形態2における切断工程の第1切断ステップ後に得られた透明電極層付き切断基板Q22を示す平面図である。
図6に示すように、この切断基板Q22のサイズは、図5で示したオンライン用基板Q21の点線a、bの位置で切断した基板のサイズとほぼ一致する。
基板切断工程では、透明電極層が積層されたオンライン用基板をライン上で一定速度で移動させながら所定長さ(例えば、500〜2000mm)に切断する。この切断は、例えば、ダイヤモンドカッターや超硬合金製のホイールカッターなどを備えたヘッド部を、オンライン用基板の移動方向に対して同じ方向および速度で移動させ、かつこの方向と垂直方向にも移動させながら行われる。
次の第2切断ステップでは、図6に示す切断基板Q22を点線c、dの位置で切断する。この場合、切断基板Q22を切断加工位置に位置決めし、ダイヤモンドカッターや超硬合金製のホイールカッターなどを備えたヘッド部を点線c、dの位置で移動させて切断する。
このようにして得られた切断基板Q23(図7(A)参照)において、その主面Q23aには透明電極層3が積層されているが、外周端面Q23cには堆積膜(透明電極層3)が付着していない。
図7(A)〜(C)は実施形態2の薄膜太陽電池の製造方法を説明する工程図である。
基板切断工程の後、図7(A)に示すように、得られた切断基板Q23に対して第2積層ステップと第3積層ステップが連続的に行われるが、その前に、切断基板Q23の外周端面Q23cの少なくとも主面Q23a側に主面側面取り部を形成する面取り工程を行ってもよい。
この面取り工程は、図7(B)に示すように、基板Q23の主面Q23a側と反対面Q23b側の角部を研磨装置を用いて切除した少ない面取りでもよいし、図2(A)で示したように丸い形状の仕上げ面取りでもよい。
図7(B)に示すように、面取り工程後に得られた切断基板Q24は、主面側面取り部Q24c1と反対面側面取り部Q24c2と最外端面部Q24c3とからなる外周端面Q24cを有する。
次に、第2および第3積層ステップによって、切断基板Q24の主面Q24aに積層された透明電極層3上に、実施形態1と同様にして光電変換層4および裏面電極層5が順次積層される。
第3積層ステップ後に得られた基板Q24は、その外周端面Q24cにも光電変換層4と裏面電極層5との積層膜(堆積膜)が積層している。
なお、ここの成膜工程の説明では、基板に透明電極層を積層する第1積層ステップと、透明電極層上に光電変換層を積層する第2積層ステップと、光電変換層上に裏面電極層を積層する第3積層ステップとの3つの積層ステップを含むものを説明したが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、基板として、予め透明電極層が形成されてから得ようとする薄膜太陽電池のサイズに対応させて切断されたものを用いてもよく、この場合には、基板に形成された透明電極層上に光電変換層を積層する積層ステップと、光電変換層上に裏面電極層を積層する積層ステップとの2つの積層ステップを含めばよい。
〔膜除去工程〕
図8(A)〜(C)は図7(C)の続きの工程図である。
成膜工程後の膜除去工程では、図8(A)および(B)または(C)に示すように、基板の主面の外周部に形成されて透明電極層、光電変換層および裏面電極層の積層膜を除去して非導電性表面領域を形成する主面膜除去工程と、成膜工程時に基板の外周端面に堆積した堆積膜(透明電極層、光電変換層および裏面電極層のうちの少なくとも一部を含む堆積膜)を除去する堆積膜除去工程とが行われる。
実施形態2における膜除去工程は、実施形態1の膜除去工程と基本的に同じである。
主面膜除去工程では、図8(A)に示すように、基板Q24の最外端面部Q24c3から面内垂直方向に前記幅Lまでの範囲に存在する主面Q24a上の透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5の積層膜を垂直方向の上方から除去する。これにより、前記非導電性表面領域の平面部P1が形成される。
次の堆積膜除去工程では、主面膜除去工程に連続して同じ膜除去方法で、基板Q24の外周端面Q24cの主面側面取り部Q24c1に堆積した堆積膜Dxを除去することにより非導電性表面領域Pを形成する。
このとき、図8(B)に示すように、切断基板Q25の外周端面Q25cの少なくとも主面Q25a側に研磨装置を用いて仕上げ面取り部を形成する仕上げ面取り工程を行ってもよく、この場合、仕上げ面取り工程が、堆積膜除去工程を兼ねる。
図8(B)で示す基板Q25は、湾曲面状の主面側面取り部Q25c1と平面状の反対面側面取り部Q25c2と最外端面部Q25c3とからなる外周端面Q25cを有し、主面側面取り部Q25c1から最外端面部Q25c3に亘る範囲が非導電性表面領域Pの湾曲面部P2となっている。
あるいは、図8(C)に示すように、切断基板Q26の外周端面Q26cの主面Q26a側および反対面Q26b側に丸みを有する仕上げ面取り部を形成する仕上げ面取り工程を行ってもよく、この場合も、仕上げ面取り工程が、堆積膜除去工程を兼ねる。
図8(C)で示す基板Q26は、湾曲面状の主面側面取り部Q26c1と湾曲面状の反対面側面取り部Q26c2とからなる外周端面Q26cを有し、主面側面取り部Q25c1から最外端面部Q25c3に亘る範囲が非導電性表面領域Pの湾曲面部P2となっている。
この場合、図8(B)で示された反対面Q25b側の堆積膜Dも除去される。
(他の実施形態)
実施形態1および2では、外周部に面取り部を有する絶縁基板を用いる薄膜太陽電池およびその製造方法について説明したが、本発明は外周部に面取り部を有さない薄膜太陽電池およびその製造方法にも適用できる。
この場合、堆積膜除去工程において、外周端面の少なくとも主面側の角部付近に堆積している堆積膜を除去すればよい。
(実施例1)
図9は本発明の実施例の薄膜太陽電池を示す平面図である。
図9に示すように、透光性絶縁基板Q1として、ガラス基板納入仕様として、外形基準サイズが幅1000mm×長さ1400mmで、外形基板公差±1mm、面取り幅(糸面取り実施)が最大2.0mm以下、直角度90±0.114591406°範囲(即ちtanα≦2、Wα=2mm、1/500mm:垂直方向に500mm進むとその直交方向に1mmずれることを意味する)、形状は平行四辺形(長さ方向が平行)であるガラス基板を用意した。なお、このガラス基板は外周に面取り幅WMの面取り部を有している。この面取り部は、ガラス基板の外周の主面および反対面の角部に斜面取りをした断面形状を有している。
以下、システム電圧1000Vに対応する薄膜太陽電池を作製する場合の非導電性表面領域P11、P12、P13、P14の幅の設計方法について説明する。
図9において、一点鎖線は理想状態にある基板の外郭線を示し、実線は用意した基板Q1の外郭線を示している。また、短辺方向の位置基準は中点でとった場合で考える。
第1非導電性表面領域P11の設定幅WP11は8.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm)、第2非導電性表面領域P12の設定幅WP12は9.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm)、第3非導電性表面領域P13の設定幅WP13は9.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm)、第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14は10.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm)となるので、設定幅WP11〜WP14を、非導電性表面領域が一番広くなる第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14である10.7mmとした。
図10(A)および(B)〜図20(A)および(B)は図9で示した薄膜太陽電池の製造工程を説明する工程図である。なお、図10(A)〜図20(A)は図9中のA1−A2線断面図であり、図10(B)〜図20(B)は図9中のB1−B2線断面図である。
図10の模式的断面図に示すように、まず、熱CVD法で、透明電極層3である酸化錫(SnO2)を膜厚700nmで基板Q1の表面に形成した。この際、面取り部には導電性の膜である酸化錫が成膜されている。
次に、得られた基板Q1に対して純水を用いて超音波洗浄を行なった後、図11(A)および(B)の模式的断面図に示すように、基板Q1側からYAGレーザ光の基本波を長手方向に走査して照射することによって、透明導電層3をストライプ状に除去して、図11(A)および(B)に示すように、複数本の第1分離溝6を形成した。
このとき、図11(B)に示すように基板Q1の第1辺1a(図9参照)と平行な第1分離溝6を91本すると共に、図11(A)に示すように後工程でのレーザアライメントに用いる2本の第1分離溝6を基板Q1の両端から8mmの位置に第1辺1aと直交する方向に形成した。各第1分離溝6の幅は0.06mmであり、隣接する2本の第1分離溝6、6間の距離WP6は10.735mmである。
なお、酸化錫(SnO2)を除去するレーザとしては、ファイバーレーザやYVO4レーザ光の基本波を用いてもよい。
得られた基板Q1に対して純水により超音波洗浄を行なった後、図12(A)および(B)の模式的断面図に示すように、第1分離溝6が形成された透明電極層3上に光電変換層4をプラズマCVD法を用いて形成した。
この際、透明電極層3側から、アモルファスシリコン薄膜からなるp層(膜厚20nm)、i層(膜厚260nm)およびn層(膜厚20nm)をこの順に積層したトップセル(第1光電変換層)と、トップセル上に、微結晶シリコン薄膜からなるp層(膜厚20nm)、i層(膜厚2000nm)およびn層(膜厚30nm)をこの順に積層したボトムセル(第2光電変換層)とを成膜した。
ここで、光電変換層4としては、上記の他に、例えば、透明電極層3側から、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したトップセル(第1光電変換層)と、トップセル上に、アモルファスシリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したミドルセル(第2光電変換層)と、ミドルセル上に、微結晶シリコン薄膜からなるp層、i層およびn層をこの順に積層したボトムセル(第3光電変換層)とを、例えばプラズマCVD法により積層してもよい。なお、光電変換層の数をこれ以上とすることもできる。
第1光電変換層から第3光電変換層の各光電変換層は、全て同種のシリコン系半導体からなってもよく、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなってもよい。
第1光電変換層から第3光電変換層の各光電変換層は、それぞれ、p型半導体層、i型半導体層及びn型半導体層を含んでおり、各半導体層は、シリコン系半導体からなってもよい。光電変換層に含まれる各半導体層は、全て同種のシリコン系半導体からなってもよく、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなってもよい。例えば、p型半導体層とi型半導体層を非晶質シリコンで形成し、n型半導体層を微結晶シリコンで形成してもよい。また、例えば、p型半導体層とn型半導体層をシリコンカーバイド又はシリコンゲルマニウムで形成し、i型半導体層をシリコンで形成してもよい。
また、p型、i型及びn型の各半導体層は、1層構造であっても複数層構造であってもよい。複数層構造である場合は、各層は、互いに異なる種類のシリコン系半導体からなってもよい。
なお、本明細書において、「非晶質シリコン」は「水素化非晶質シリコン」を含む概念であり、「微結晶シリコン」は「水素化微結晶シリコン」を含む概念である。
続いて、図13(A)および(B)の模式的断面図に示すように、基板Q1側から、YAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)を第1分離溝6の長手方向に走査し照射することによって、光電変換層4の一部をストライプ状に除去して、コンタクトライン7を幅0.06mmで90本形成した。
隣接する2本のコンタクトライン7、7間の距離WP7は等間隔の10.735mmであり、第1分離溝6とコンタクトライン7のラインスペース間は、0.07mmである。なお、光電変換層4の除去には、レーザ光として、YVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いても構わない。
次に、図14(A)および(B)の模式的断面図に示すように、コンタクトライン7が形成された光電変換層4を覆うように裏面電極層5をスパッタリング法により、膜厚50nmの酸化亜鉛(ZnO)と膜厚150nmの銀(Ag)をこの順に形成した。
なお、裏面電極層5の形成方法としては、上記以外に、例えば従来公知の蒸着法またはイオンプレーティング法などを用いてもよい。
ここで、裏面電極層5としては、ZnOとAgの積層膜の他に、例えばAgの単層、Al(アルミニウム)の単層、またはこれらの積層膜などの導電性を有する層を用いることができる。
また、裏面電極層5は、光電変換層4側の表面に透明導電膜を有していてもよい。透明導電膜としては、例えば、SnO2膜、ITO膜、ZnO膜、若しくはこれらの膜に微量の不純物を添加した膜の単層、またはこれらを複数重ね合わせた積層膜などが挙げられる。裏面電極層が透明導電膜を有していることは、薄膜太陽電池の変換効率を向上させる観点から好ましい。
透明導電膜が複数層から構成される場合には、すべての層が同一の材料から形成されていてもよく、少なくとも1層が他と異なる材料から形成されていてもよい。
次いで、図15(A)および(B)の模式的断面図に示すように、透光性絶縁基板Q1側からYAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)を第1分離溝6の長手方向に走査して照射することによって、光電変換層4および裏面電極層5の一部をストライプ状に除去し、幅0.06mmの第2分離溝8を90本形成した。これにより、複数の薄膜光電変換素子11が電気的に直列接続されたストリングを形成した。
隣接する2本の第2分離溝8、8間の距離WP8は等間隔の10.735mmであり、コンタクトライン7と第2分離溝8のラインスペース間は0.07mmである。
第2分離溝8の形成においては、透明電極層3へのダメージを抑え、かつ第2分離溝8の形成後の裏面電極層5のバリの発生を抑制することが可能な加工条件を選択することが好ましい。
なお、光電変換層4および裏面電極層5を除去するレーザ光としては、YVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いても構わない。
次いで、図9で示すように、膜除去加工位置に基板Q1を搬送し、基板Q1の第1辺1aの2点を位置決め部材200Aに当接させ、かつ第2辺1bの中点を位置決め部材200Bに当接させて、設計基準と同じように基板Q1を位置決めを行った。
そして、図16(A)および(B)の模式的断面図に示すように、加工幅WP11〜加工幅WP14までが10.7mmになるように、基板Q1側からYAGレーザ光の基本波(レーザ光の照射幅:650μm)を移動させながら照射することにより、レーザ加工を行った。但し、図16に示したように、面取り部に成膜された透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5は除去されていない。
これにより、直列接続方向の位置決め基準側(以下、基準側)と位置決め反基準側(以下、反基準側)の薄膜光電変換素子11が取り出し電極として形成され、基準側の取り出し電極の幅WD1は6.4mm(設計値)であり、反基準側の取り出し電極の幅WD2は6.05mm(設計値)である。
次いで、加工端での透明電極層3の再付着等によるリークを無くす為に、図17(A)の模式的断面図に示すように、短辺方向の透明電極層3のみが幅WTとして0.2mm突出するように、基板Q1側からYAGレーザ光の第2高調波(波長:532nm)を照射して光電変換層4および裏面電極層5を除去した。
この際、透明電極層3へのダメージを抑え、形成後の裏面電極層5のバリの発生を抑制することが可能な加工条件を選択することが好ましい。
なお、光電変換層4および裏面電極層5を除去するレーザ光としては、YVO4レーザ光の第2高調波(波長:532nm)を用いても構わない。
その後、逆バイアス処理装置の正負両極端子を得られた薄膜太陽電池の隣接したセルの裏面電極層5に各々接触させて逆電圧を印加することにより、各薄膜光電変換素子11内のリークを修復した。
次に、図18(A)および(B)の模式的断面図に示すように、面取り部Q11c1、Q12c1、Q13c1およびQ14c1に成膜されている透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5をダイヤモンド砥石を高速回転させることにより、除去した。形状としては、斜面取りの断面形状とした。透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5を除去する方法は特に限定されるものではない。
次に、第1〜第4非導電性表面領域P11、P12、P13、P14の絶縁耐電圧性を評価するために、絶縁耐圧試験装置を用いて6000Vの電圧を印加することにより検査を行い、絶縁耐圧性に問題の無いことを確認した。絶縁耐圧性の合格基準として、JISのC8992の規定により、漏れ電流50μA未満とした。この際、絶縁耐圧試験装置の正負両極端子を薄膜太陽電池の取り出し電極と基板周辺部に接触させて電圧を印加した。この際、基板周辺部は、端子が全周辺部に接触するようにした。
続いて、図19(B)に示すように、直列接続方向の上流と下流の裏面電極層5の表面上にそれぞれ、銀ペーストなどの導電性ペーストを介して電流取り出し用電極10を形成した。
その後、図20(A)および(B)の模式的断面図に示すように、電極10を形成した後の裏面電極層5の表面上に、透明なEVA(エチレンビニルアセテート)からなる透明接着材60を設置し、その上に、アルミニウムの両面にPETを積層した積層フィルムからなる裏面封止材61を設置した後、真空ラミネート装置によって裏面封止材61と絶縁基板Q1とを接着した。
その後、得られた薄膜太陽電池の裏面封止材61に端子ボックスを接着し、端子ボックス内をシリコーン樹脂で充填し、アルミニウムフレームを取り付けることによって、薄膜太陽電池を完成させた。
フレームと薄膜太陽電池の電極10との間に6000Vを印加し、絶縁耐電圧性の最終試験を行った結果、漏れ電流50μA未満であったため、合格であった。
なお、フレームを取り付けないフレームレスタイプの場合には、例えば、薄膜太陽電池の外周縁の端面に外部電極を接触させて、その外部電極と薄膜太陽電池の電極との間に所定の電圧を印加することにより、絶縁耐電圧性の最終試験を行うことができる。
最後に、ソーラーシミュレーター装置にてAM1.5、放射照度100mW/cm2の条件で薄膜太陽電池の出力を測定し、その結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例2について、実施例1と異なる点のみを説明する。
図21(AX)〜(AZ)は実施例2の薄膜太陽電池の製造工程を説明する工程図である。詳しくは、図21(AX)は実施例2における堆積膜除去工程前の模式的断面図であり、図21(AY)は実施例2における堆積膜除去工程後の模式的断面図であり、図21(AZ)は実施例2における堆積膜除去工程後の別の模式的断面図である。なお、図21(AX)〜(AZ)では、第2非導電性領域P12側の断面構造を例示している。
図21(AX)に示すように、堆積膜除去工程前において、基板Q1の外周部は、実施例1の基板と同様の斜面取りした断面形状の面取り部を有している。
図21の(AX)に示す状態において、第2非導電性表面領域P12はレーザ加工により形成されており、基板Q1の外周端面には透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5の積層膜(堆積膜)が残存している。図21の(AX)において、符号EDは、基板Q1の外周端面の位置を示している。
その後の堆積膜除去工程では、図21の(AY)に示すように、ダイヤモンド砥石を高速回転させて面取り部に成膜されている透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5を除去し、かつ面取り形状を断面半円弧形状に加工した。
このような断面半円弧形状に面取り部を加工すると、基板Q1の外周端面の位置EDから位置ED1に変わる。このときの切削加工により基板Q1は第2非導電性表面領域P12側が減少幅WED分小さくなる。
これに伴ない、第2非導電性表面領域P12の幅がWP12からWP12Yに減少する。つまり、WP12=WP12Y+WEDとなる。
従って、第2非導電性表面領域P12の設計の際、図21の(AZ)に示すように、透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5を減少幅WED分後退させることを考慮した幅WP12Zを設計値とする必要性が生じる。つまり、WP12Z=WP12+WEDとなる。なお、これらのことは、第1、第3および第4非導電性表面領域P11、P13、P14についても同様である。
これらのことを考慮して、第1〜第4非導電性表面領域P11〜P14を以下のように設計変更して、主面膜除去工程および堆積膜除去工程を行って、図21(AZ)の模式的断面図で示す薄膜太陽電池を製造した。この際、減少幅WEDの最大量(再面取り公差)として、機械精度及び装置管理として、0.5mmとした。
第1非導電性表面領域P11の設定幅WP11は9.2mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm+再面取り公差0.5mm)、第2非導電性表面領域P12の設定幅WP12は10.2mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm+再面取り公差0.5mm)、第3非導電性表面領域P13の設定幅WP13は10.2mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm+再面取り公差0.5mm)、第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14は11.2mm(=規格幅8.4mm+面取り幅0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm+再面取り公差0.5mm)となるので、設定幅WP11〜WP14を、非導電性表面領域が一番広くなる第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14である11.2mmとした。
そのため、隣接する2本の第1分離溝6、6間の距離WP6は10.724mm、隣接する2本のコンタクトライン7、7間の距離WP7は10.724mm、隣接する2本の第2分離溝6、6間の距離WP6は10.724mm、基準側の取り出し電極の幅WD1は6.4mm(設計値)であり、反基準側の取り出し電極の幅WD2は6.04mm(設計値)である。
実施例1と同様に実施例2の薄膜太陽電池の出力を測定し、その結果を表1に示した。
なお、実施例2において、最終の仕上がり基板サイズを想定して、各非導電性表面領域の幅を減少幅WEDの2倍分大きく設定することにより、再面取り公差(減少幅WED)を考慮する必要性はなくなる。
(実施例3)
実施例1と次のように異ならせて実施例3の薄膜太陽電池を製造した。
各非導電性表面領域を必要最小限の幅、つまり、第1非導電性表面領域P11の設定幅WP11を8.7mm、第2非導電性表面領域P12の設定幅WP12を9.7mm、第3非導電性表面領域P13の設定幅WP13を9.7mm、第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14を10.7mmとした(図20参照)。
そのため、隣接する2本の第1分離溝6、6間の距離WP6を10.768mm、隣接する2本のコンタクトライン7、7間の距離WP7を10.768mm、隣接する2本の第2分離溝6、6間の距離WP6を10.768mm、基準側の取り出し電極の幅WD1を6.4mm(設計値)に設定し、反基準側の取り出し電極の幅WD2を6.08mm(設計値)に設定した。
実施例3の薄膜太陽電池の出力を測定し、その結果を表2に示した。
(比較例1)
次の事項以外は実施例1と同様にして比較例1の薄膜太陽電池を製造した。
比較例1では、図18(A)および(B)の模式的断面図に示した実施例1における面取り部Q11c1、Q12c1、Q13c1およびQ14c1に透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5が残存した状態とするために、堆積膜除去工程を行わなかった。
そのため、比較例1では、各非導電性表面領域の設計を以下に変更した。
第1非導電性表面領域P11の設定幅WP11は10.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm)、第2非導電性表面領域P12の設定幅WP12は11.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm)、第3非導電性表面領域P13の設定幅WP13は11.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm)、第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14は12.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm)となるので、設定幅WP11〜WP14を、非導電性表面領域が一番広くなる第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14である12.7mmとした。
また、取り出し電極10の電極エリアがほぼ同じになるように、隣接する2本の第1分離溝6、6間の距離WP6、隣接する2本のコンタクトライン7、7間の距離WP7および隣接する2本の第2分離溝8、8間の距離WP8をそれぞれ10.691mmとした。
また、基準側の取り出し電極の幅WD1を6.4mmとし、反基準側の取り出し電極の幅WD2を6.01mmとした。
比較例1の薄膜太陽電池の出力を測定し、その結果を表1に示した。
(比較例2)
次の事項以外は実施例2と同様にして比較例2の薄膜太陽電池を製造した。
比較例2では、図18(A)および(B)の模式的断面図に示した実施例1における面取り部Q11c1、Q12c1、Q13c1およびQ14c1に透明電極層3、光電変換層4および裏面電極層5が残存した状態とするために、堆積膜除去工程を行わなかった。
そのため、比較例2では、各非導電性表面領域の設計を以下に変更した。
各非導電性表面領域を必要最小限の幅、つまり、第1非導電性表面領域P11の設定幅WP11を10.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm)、第2非導電性表面領域P12の設定幅WP12を11.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差0mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm)、第3非導電性表面領域P13の設定幅WP13を11.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度0mm)、第4非導電性表面領域P14の設定幅WP14を12.7mm(=規格幅8.4mm+面取り幅2.0mm+寸法公差1mm+マージン幅0.3mm+直角度1mm)とした。
そのため、隣接する2本の第1分離溝6、6間の距離WP6を10.724mm、隣接する2本のコンタクトライン7、7間の距離WP7を10.724mm、隣接する2本の第2分離溝6、6間の距離WP6を10.724mm、基準側の取り出し電極の幅WD1を6.4mm(設計値)、反基準側の取り出し電極の幅WD2を6.04mm(設計値)とした。
比較例2の薄膜太陽電池の出力を測定し、その結果を表2に示した。
(発電面積の増加分による特性向上の予想割合D)
実施例1の発電面積AZ1
(10.735−0.32)×{1400−(10.7+0.2)−(10.7+0.2)}=14353.953mm2
実施例2の発電面積AZ2
(10.724−0.32)×{1400−(11.2+0.2)−(11.2+0.2)}=14328.3888mm2
実施例3の発電面積AZ3
(10.768−0.32)×{1400−(9.7+0.2)−(10.7+0.2)}=14409.8816mm2
比較例1の発電面積AH1
(10.691−0.32)×{1400−(12.7+0.2)−(12.7+0.2)}=14251.8282mm2
比較例2の発電面積AH2
(10.724−0.32)×{1400−(11.7+0.2)−(12.7+0.2)}=14307.5808mm2
実施例1、2の発電面積AZ1、AZ2は比較例1の発電面積AH1よりも増加しており、実施例1は発電面積AZ1の増加分および実施例2は発電面積AZ2の増加分、比較例1よりも特性が向上していると予想された。
そして、比較例1に対する実施例1の特性向上の予想割合D1を次の式から求めた。
特性向上の予想割合D1=(AZ1*100/AH1)−100=0.716%
そして、比較例1に対する実施例2の特性向上の予想割合D2を次の式から求めた。
特性向上の予想割合D2=(AZ2*100/AH1)−100=0.537%
Figure 2011222666
実施例3の発電面積AZ3は比較例2の発電面積AH2よりも増加しており、実施例3は発電面積AZ3の増加分、比較例2よりも特性が向上していると予想された。
そして、比較例2に対する実施例3の特性向上の予想割合D3を次の式から求めた。
特性向上の予想割合D3=(AZ3*100/AH2)−100=0.715%
Figure 2011222666
表1、2の結果から、各実施例の出力は、各比較例の出力よりも、発電面積の増加予想割合と同程度上がっていることを確認できた。
3 透明電極層
4 光電変換層
5 裏面電極層
11 薄膜光電変換素子
D、Dx、Dy 堆積膜
P 非導電性表面領域
Q1 絶縁基板(オフライン用基板)
Q1a、Q21a、Q23a、Q24a、Q25a、Q26a 主面
Q1b、Q23b、Q25b、Q26b 反対面
Q1c、Q23c、Q24c、Q25c、Q26c 外周端面
Q1c1、Q24c1、Q25c1、Q26c1 主面側面取り部
Q21 絶縁基板(オンライン用基板)
Q22、Q23、Q24、Q25、Q26 絶縁基板(切断基板)

Claims (11)

  1. 透光性の絶縁基板の主面に形成された透明電極層上に光電変換層および裏面電極層をこの順に積層して、薄膜光電変換素子を形成する成膜工程と、
    前記絶縁基板の前記主面の外周部に形成されている前記透明電極層、前記光電変換層および前記裏面電極層の積層膜を除去する主面膜除去工程と、
    前記絶縁基板の外周端面の少なくとも前記主面側に堆積している前記薄膜光電変換素子の材料を含有する堆積膜を除去する堆積膜除去工程とを含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 前記成膜工程において、前記絶縁基板の前記外周端面の少なくとも一部に前記透明電極層が堆積された状態で、前記光電変換層が積層される請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 前記絶縁基板は、前記外周端面の少なくとも前記主面側に主面側面取り部を有し、
    前記堆積膜除去工程が、前記絶縁基板の前記外周端面の少なくとも前記主面側面取り部に堆積した前記堆積膜を除去する請求項2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 前記成膜工程における光電変換層の積層の前で、かつ前記透明電極層が前記絶縁基板上に積層された後に、得ようとする薄膜太陽電池のサイズに対応させて前記絶縁基板の外周の全体を切断する基板切断工程をさらに含み、
    前記基板切断工程の後に、前記成膜工程における光電変換層および裏面電極層を積層する請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 前記基板切断工程に引き続いて、前記絶縁基板の外周端面の少なくとも前記主面側を面取り加工して主面側面取り部を形成する面取り工程をさらに含み、
    前記面取り工程の後に、前記成膜工程における光電変換層および裏面電極層を積層し、
    前記堆積膜除去工程では、前記絶縁基板の前記外周端面の少なくとも前記主面側面取り部に堆積した前記堆積膜を除去する請求項4に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 前記成膜工程における光電変換層および裏面電極層を積層した後に、前記絶縁基板の外周端面の少なくとも前記主面側を面取り加工して仕上げ面取り部を形成する仕上げ面取り工程をさらに含み、
    前記仕上げ面取り工程が、前記堆積膜除去工程を兼ねる請求項4または5に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 前記面取り加工により減少する基板サイズに基づいて、前記主面膜除去工程または前記堆積膜除去工程が行われる請求項5または6に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  8. 前記主面膜除去工程または前記堆積膜除去工程が、レーザ、研磨、ブラストおよびエッチングのうちの少なくとも1つを用いて行われる請求項1〜7のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  9. 前記主面膜除去工程と前記堆積膜除去工程とが、同一工程で行われる請求項1〜8のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法によって製造された薄膜太陽電池であって、透光性の絶縁基板の主面の外周部を除く領域に透明電極層と光電変換層と裏面電極層とがこの順に積層してなる薄膜光電変換素子と、前記絶縁基板の主面の外周部に形成された非導電性表面領域とを備え、前記絶縁基板の外周端面の前記主面とは反対の反対面側に前記薄膜光電変換素子の材料を含有する堆積膜が堆積している薄膜太陽電池。
  11. 複数個の前記薄膜光電変換素子を備え、前記複数個の薄膜光電変換素子が互いに電気的に直列接続された請求項10に記載の薄膜太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014050193A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 シャープ株式会社 光電変換モジュール
JP2015514323A (ja) * 2012-04-02 2015-05-18 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングRobert Bosch Gmbh 薄膜太陽電池モジュールの製造方法、並びに、当該製造方法によって製造される薄膜太陽電池モジュール
WO2018097282A1 (ja) * 2016-11-28 2018-05-31 京セラ株式会社 太陽電池モジュール

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