JP2011222479A - 燃料電池用電解質膜・電極構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに大きさの異なる固体高分子電解質膜と拡散層とを、簡単な構成及び工程で、高精度に位置決めすることができ、高品質な電解質膜・電極構造体を効率的に製造することを可能にする。
【解決手段】電解質膜・電極構造体10は、固体高分子電解質膜18と、前記固体高分子電解質膜18を挟持するアノード側電極20及びカソード側電極22とを備える。アノード側電極20は、カソード側電極22よりも小さな表面積を有する。アノード側電極20及びカソード側電極22は、固体高分子電解質膜18に接合される電極触媒層24a、24bと、前記電極触媒層24a、24bに下地層26a、26bを介して積層されるガス拡散層28a、28bとを設ける。ガス拡散層28aの外周端面には、固体高分子電解質膜18にホットプレスにより一体化された後、位置決め部として使用された外周縁部50aが、予め設定された分離部位から切り離されることにより、分離面52aが形成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層が設けられ、前記電極触媒層に拡散層が積層されるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周端面が少なくとも一方の前記拡散層の外周端面よりも外方に突出する燃料電池用電解質膜・電極構造体及びその製造方法に関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。この燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側に、それぞれ触媒層(電極触媒層)とガス拡散層(多孔質カーボン)とからなるアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。通常、この燃料電池を所定数だけ積層した燃料電池スタックが、例えば、車載用として使用されている。
この種の電解質膜・電極構造体では、固体高分子電解質膜の表面積が、この固体高分子電解質膜の両面に積層されているガス拡散層の表面積よりも大きく構成され、前記固体高分子電解質膜の外周端面が各ガス拡散層の外周端面よりも外方に突出する膜突出型MEAや、一方のガス拡散層が固体高分子電解質膜よりも小さな表面積に設定され、他方のガス拡散層が前記固体高分子電解質膜と同一の表面積に設定される、所謂、段差型MEAを構成する場合がある。
このため、電解質膜・電極構造体を製造する際に、それぞれ寸法の異なる固体高分子電解質膜とガス拡散層とを互いに位置決めして接合する必要がある。従って、電解質膜・電極構造体の製造作業が煩雑化している。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている作製方法が知られている。この作製方法は、図17に示すように、位置決め用のガイドピン1aが四隅に設けられた平板状の第1治具1の上面に、前記ガイドピン1aを挿通させるための孔2aが四隅に設けられ、中央部に触媒層付きガス拡散層を配するための開口2bが形成された第1枠体2が配設されている。第1枠体2の開口2bには、空気極触媒付きガス拡散層である第1電極3が配設されている。
そして、第1電極3の上面から第1枠体2の上面まで延在して、電解質膜4が配設された後、前記電解質膜4には、第2電極5が第2枠体6を解して配設されている。この第2枠体6には、ガイドピン1aが挿入される孔6aが四隅に設けられるとともに、中央には、第2電極5が配設される開口6bが形成されている。
さらに、第2枠体6には、第2治具7が積層されるとともに、この第2治具7の四隅に設けられている孔7aに、ガイドピン1aが挿入されている。第1治具1と第2治具7とにより、第1電極3、電解質膜4及び第2電極5が挟持された後、ホットプレスによってこれらが一体に接合されている。
特開2004−303627号公報
上記の特許文献1では、第1電極3及び第2電極5は、それぞれ第1治具1に対して4本のガイドピン1aを介して配設される第1枠体2及び第2枠体6を介して位置決めされている。このため、実際上、第1枠体2の4つの孔2aにそれぞれガイドピン1aを挿入して、前記第1枠体2を第1治具1上に配置する作業と、第2枠体6の4つの孔6aに各ガイドピン1aを挿入して、前記第2枠体6を電解質膜4上に配置する作業とが必要となっている。
従って、前記第1及び第2枠体2、6の着脱作業は、相当に煩雑化するという問題がある。これにより、MEAの製作作業に相当の時間を要してしまい、効率的な作製作業が遂行されないという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、互いに大きさの異なる固体高分子電解質膜と拡散層とを、簡単な構成及び工程で、高精度に位置決めすることができ、高品質な電解質膜・電極構造体を効率的に製造することが可能な燃料電池用電解質膜・電極構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層が設けられ、前記電極触媒層の外側に一対の拡散層が積層されるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周端面が少なくとも一方の前記拡散層の外周端面よりも外方に突出する燃料電池用電解質膜・電極構造体及びその製造方法に関するものである。
この電解質膜・電極構造体は、少なくとも一方の拡散層と固体高分子電解質膜とがホットプレスにより一体化された後、少なくとも一方の前記拡散層の外周端面には、外周縁部が、予め設けられた分離部位から切り離されることにより、分離面が形成されている。
また、分離部位は、少なくとも一方の拡散層に断続的又は連続的に設けられた切り込み形状を有することが好ましい。
さらに、この製造方法は、一対の拡散層により固体高分子電解質膜を挟持して、積層体を得る工程と、前記積層体をホットプレスすることにより、前記固体高分子電解質膜と一対の前記拡散層とを一体化させる工程と、少なくとも一方の前記拡散層の外周縁部を、少なくとも一方の該拡散層に予め設けられた分離部位に沿って切り離す工程とを有している。
さらにまた、この製造方法は、一対の拡散層により固体高分子電解質膜を挟持して、積層体を得る工程と、前記積層体間にシート部材を介装して複数の前記積層体を同時にホットプレスすることにより、各積層体を構成する前記固体高分子電解質膜と一対の前記拡散層とを一体化させる工程と、少なくとも一方の前記拡散層の外周縁部を、少なくとも一方の該拡散層に予め設けられた分離部位に沿って切り離す工程とを有している。
また、拡散層には、電極触媒層に接合される下地層が設けられることが好ましい。
さらに、位置決め部は、拡散層の外周縁部に形成される孔部を有し、前記孔部に位置決めピンを挿入して前記拡散層を位置決めすることが好ましい。
本発明によれば、拡散層の寸法を、予め製品寸法よりも大きな寸法に設定しておき、前記拡散層の外周縁部又は外周端面を位置決め部に設定することにより、前記位置決め部を基準にして前記拡散層の位置決めを行うことができる。次いで、拡散層が固体高分子電解質膜に一体化された後、前記拡散層の位置決め部を含む外周縁部を、該拡散層に予め設けられた分離部位に沿って切り離すことにより、所望の寸法を有する拡散層が得られる。
このため、拡散層を位置決めするために、専用の枠部材(位置決め部材)を用いる必要がなく、前記枠部材の取り扱い作業が不要になる。従って、互いに大きさの異なる固体高分子電解質膜と拡散層とを、簡単な構成及び工程で、高精度に位置決めすることができ、高品質な電解質膜・電極構造体を確実且つ迅速に製造することが可能になる。
さらに、複数の積層体が、積層体間にシート部材を介装して同時にホットプレスされている。これにより、複数の電解質膜・電極構造体を効率的に製造することができ、前記電解質膜・電極構造体の製造時間を良好に短縮することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る電解質膜・電極構造体が組み込まれる固体高分子型燃料電池の要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池の、図1中、II−II線断面説明図である。 前記電解質膜・電極構造体の一部断面説明図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 積層体をホットプレスする際の説明図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 前記電解質膜・電極構造体の製造工程を説明する斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る電解質膜・電極構造体の製造方法の要部説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る電解質膜・電極構造体の一部断面説明図である。 他の位置決め部を説明するアノード側カーボンペーパ及び第1治具の斜視図である。 別の分離部位を説明するアノード側カーボンペーパの斜視図である。 前記アノード側カーボンペーパの、図15中、XVI−XVI線断面図である。 特許文献1に開示されたMEAの作製方法の説明図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る電解質膜・電極構造体10が組み込まれる固体高分子型燃料電池12は、前記電解質膜・電極構造体10を挟持する第1及び第2セパレータ14、16を備える。第1及び第2セパレータ14、16は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板や、カーボン部材等で構成されている。
図3に示すように、電解質膜・電極構造体10は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜18と、前記固体高分子電解質膜18を挟持するアノード側電極20及びカソード側電極22とを備える。
アノード側電極20は、固体高分子電解質膜18及びカソード側電極22よりも小さな表面積を有する。なお、アノード側電極20とカソード側電極22とは、同一の表面積であってもよく、また、前記カソード側電極22が前記アノード側電極20よりも小さな表面積を有していてもよい。
アノード側電極20は、固体高分子電解質膜18の一方の面18aに配置されるとともに、前記固体高分子電解質膜18の外周を額縁状に露呈させる。カソード側電極22は、上記のアノード側電極20と同様に、固体高分子電解質膜18の他方の面18bに配置される。
アノード側電極20及びカソード側電極22は、固体高分子電解質膜18の両方の面18a、18bに接合される電極触媒層24a、24bと、前記電極触媒層24a、24bに下地層26a、26bを介して積層されるガス拡散層28a、28bとを設ける。
電極触媒層24a、24bは、カーボンブラックに白金粒子を担持した触媒粒子を形成し、イオン導伝性バインダーとして高分子電解質を使用し、この高分子電解質の溶液中に前記触媒粒子を均一に混合して作製された触媒ペーストを、固体高分子電解質膜18の両面に印刷、塗布又は転写することによって構成される。高分子電解質としては、例えば、デュポン社製のナフィオンが用いられる。
下地層26a、26bは、カーボンブラック及びFEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)粒子とカーボンナノチューブをペースト状にした後、ガス拡散層28a、28bに塗布される。ガス拡散層28a、28bは、カーボンペーパ等からなる。
ガス拡散層28bの平面は、ガス拡散層28aの平面よりも大きく設定されるとともに、前記ガス拡散層28bは、電極触媒層24b及び下地層26bの外周端面から突出して固体高分子電解質膜18の他方の面18b全体を覆う。ガス拡散層28aの外周端面には、後述するように、固体高分子電解質膜18にホットプレスにより一体化された後、外周縁部50aが切り離された分離面52aが形成される。
図1に示すように、燃料電池12の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔30a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔32a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔34bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
燃料電池12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔34a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔32b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔30bが、矢印C方向に配列して設けられる。
第2セパレータ16の電解質膜・電極構造体10に向かう面16aには、酸化剤ガス入口連通孔30aと酸化剤ガス出口連通孔30bとに連通する酸化剤ガス流路36が設けられる。
第1セパレータ14の電解質膜・電極構造体10に向かう面14aには、燃料ガス入口連通孔34aと燃料ガス出口連通孔34bとに連通する燃料ガス流路38が形成される。第1セパレータ14の面14bと第2セパレータ16の面16bとの間には、冷却媒体入口連通孔32aと冷却媒体出口連通孔32bとに連通する冷却媒体流路40が形成される。
図1及び図2に示すように、第1セパレータ14の面14a、14bには、この第1セパレータ14の外周端部を周回して、第1シール部材42が一体化されるとともに、第2セパレータ16の面16a、16bには、この第2セパレータ16の外周端部を周回して、第2シール部材44が一体化される。
図2に示すように、第1シール部材42は、電解質膜・電極構造体10の外部に露呈する固体高分子電解質膜18に当接する第1凸状シール42aと、第1セパレータ14と第2セパレータ16との間に介装される第2凸状シール42bとを有する。第2シール部材44は、平面シールを構成する。なお、第2凸状シール42bに代えて、第2シール部材44に凸状シール(図示せず)を設けてもよい。
第1及び第2シール部材42、44には、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材が用いられる。
図1に示すように、第1セパレータ14には、燃料ガス入口連通孔34aを燃料ガス流路38に連通する供給孔部46と、前記燃料ガス流路38を燃料ガス出口連通孔34bに連通する排出孔部48とが形成される。
このように構成される燃料電池12において、電解質膜・電極構造体10を製造する方法について、以下に説明する。
先ず、図4に示すように、アノード側カーボンペーパ50が用意される。このアノード側カーボンペーパ50は、ガス拡散層28aを構成するものであり、例えば、トリミング前の固体高分子電解質膜18の外径寸法と略同一の外径寸法に形成される。アノード側カーボンペーパ50には、電極触媒層24aの領域内に対応して撥水剤とカーボン粒子の混合物からなる下地層26aが塗布されている。
アノード側カーボンペーパ50は、ガス拡散層28aの外径寸法に沿って分離部位52を設けるとともに、前記ガス拡散層28aの外部領域に対応して複数、例えば、2つの位置決め用の孔部(位置決め部)54a、54bが形成される。分離部位52は、例えば、アノード側カーボンペーパ50の厚さ方向に断続的に切り欠いて形成されるミシン目を有する。なお、後述するように、ホットプレス処理後に、外周縁部50aを分離部位52から切り離すことができるものであればよく、種々の構成が採用可能である。
アノード側カーボンペーパ50は、第1治具56上に位置決め保持される。この第1治具56には、孔部54a、54bに挿入される位置決めピン58a、58bが設けられる。第1治具56は、アノード側カーボンペーパ50を吸引又は静電により吸着するための吸着手段(図示せず)を備えている。
一方、図5に示すように、固体高分子電解質膜18の両方の面18a、18bに電極触媒層24a、24bを塗布したPEMユニット60が用意され、このPEMユニット60が位置決めテーブル62上に配置される。位置決めテーブル62上では、PEMユニット60の位置決め作業が、例えば、カメラ等を使用した画像処理によって行われる。
そして、位置決めされたPEMユニット60は、位置決めテーブル62から第1治具56に受けわたされる。このため、PEMユニット60は、第1治具56に吸着保持されているアノード側カーボンペーパ50上に吸着保持される。
また、図6に示すように、カソード側カーボンペーパ64が用意される。カソード側カーボンペーパ64は、中央部に電極触媒層24bに対応する領域にわたって撥水剤とカーボン粒子の混合物からなる下地層26bが設けられている。カソード側カーボンペーパ64の外周縁部64aには、位置決め用の孔部66a、66bが形成されるとともに、前記孔部66a、66bは、前記カソード側カーボンペーパ64の製品形状を構成するトリミングライン68の外方に配置される。
カソード側カーボンペーパ64は、第2治具70に設けられている位置決めピン72a、72bを孔部66a、66bに挿入させることにより、前記第2治具70上に位置決めされる。第2治具70には、カソード側カーボンペーパ64を吸引又は静電により吸着するための吸着手段(図示せず)が設けられている。
そこで、第1治具56が第2治具70に対応して位置決めされ、この第1治具56に吸着されているPEMユニット60及びアノード側カーボンペーパ50が、前記第2治具70上に吸着されているカソード側カーボンペーパ64上に積層される。このため、第2治具70上には、カソード側カーボンペーパ64、PEMユニット60及びアノード側カーボンペーパ50の順に積層される。
次いで、図7に示すように、例えば、樹脂製シート等の略板状のスペーサ部材74が第3治具76(なお、第1治具56を用いてもよい)上に配置される。スペーサ部材74は、外周側に厚肉部74aを有するとともに、中央部側に薄肉部74bを有する。
薄肉部74bは、ガス拡散層28aの外径寸法よりも僅かに大きな寸法に設定される一方、図3に示すように、厚肉部74aは、幅寸法hにわたって額縁状に設けられる。厚肉部74aの厚さは、薄肉部74bの厚さに電極触媒層24a、24bの厚さと下地層26a、26bとの厚さとを加算した厚さに設定される。
図7に示すように、厚肉部74aには、位置決め用の孔部78a、78bが形成される一方、第3治具76には、前記孔部78a、78bに挿入される位置決めピン80a、80bが形成される。第3治具76には、スペーサ部材74を吸着するための吸着手段(図示せず)が設けられる。
第3治具76に吸着保持されたスペーサ部材74は、第2治具70に対向して配置される。このスペーサ部材74は、第3治具76から第2治具70のアノード側カーボンペーパ50上に積層される(図8参照)。従って、第2治具70上には、カソード側カーボンペーパ64、PEMユニット60、アノード側カーボンペーパ50及びスペーサ部材74が積層された積層体82が得られる。
積層体82は、第2治具70から取り外されるとともに、固定手段、例えば、複数のクリップ(図示せず)等により一体的に保持される。さらに、図9に示すように、積層体82の両側には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製等の非粘着性のシート部材84、緩衝材シート体86及びプレート88が積層される。
これらは、ホットプレス治具(図示せず)に装着されて120℃〜150℃でホットプレスされることにより、PEMユニット60の両面に、アノード側カーボンペーパ50とカソード側カーボンペーパ64とが一体化される(図10参照)。
次に、アノード側カーボンペーパ50の外周縁部50aは、分離部位52に沿って切り離される。これにより、図11に示すように、所定の寸法を有するアノード側のガス拡散層28aが得られる。ガス拡散層28aの外周端面には、分離面52aが設けられる。この分離面52aは、例えば、ミシン目の切断による凹凸形状によって識別可能である。
次に、PEMユニット60及びカソード側カーボンペーパ64がトリミングライン68に沿ってトリミングされる。このため、電解質膜・電極構造体10が製造される(図1及び図3参照)。
この場合、第1の実施形態では、小寸法側のガス拡散層28aの寸法が、予め製品寸法よりも大きな寸法に設定されたアノード側カーボンペーパ50が用意される。アノード側カーボンペーパ50の外周縁部50aには、位置決め部として孔部54a、54bが形成されている。そして、第1治具56の位置決めピン58a、58bが、孔部54a、54bに挿入されることにより、アノード側カーボンペーパ50は、前記第1治具56に対して位置決め保持されている。
一方、カソード側のガス拡散層28bにおいても同様に、カソード側カーボンペーパ64が用意されるとともに、このカソード側カーボンペーパ64には、トリミングにより除去される外周縁部64aに、位置決め部として孔部66a、66bが形成されている。このため、第2治具70に設けられている位置決めピン72a、72bが、孔部66a、66bに挿入されることにより、カソード側カーボンペーパ64は、前記第2治具70上に位置決め保持されている。
次いで、アノード側カーボンペーパ50及びカソード側カーボンペーパ64は、PEMユニット60(固体高分子電解質膜18)の両面に一体化されている。さらに、アノード側カーボンペーパ50の孔部54a、54bを含む外周縁部50aは、分離部位52に沿って切り離されることにより、所望の寸法を有するガス拡散層28aが得られている。
従って、ガス拡散層28a、28bを固体高分子電解質膜18に対して位置決めするために、専用の枠部材(位置決め部材)を用いる必要がなく、前記枠部材の取り扱い作業が不要になる。これにより、互いに大きさの異なる固体高分子電解質膜18とガス拡散層28aとを、簡単な構成及び工程で、高精度に位置決めすることができ、高品質な電解質膜・電極構造体10を確実且つ迅速に製造することが可能になるという効果が得られる。
また、上記のホットプレス時には、スペーサ部材74が用いられている。このスペーサ部材74は、厚肉部74aと薄肉部74bとを有し、前記厚肉部74aの厚さは、電極触媒層24a、24bと下地層26a、26bとを加算した厚さに相当している。このため、ホットプレス時に、厚肉部74aは、固体高分子電解質膜18の外周縁部(図3中、ガス拡散層28aの外周端面から外部に突出している外周縁部)をガス拡散層28bに対して確実に接着させることができる。
このように構成される燃料電池12の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔30aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔34aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔32aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔30aから第2セパレータ16の酸化剤ガス流路36に導入され、矢印B方向に移動して電解質膜・電極構造体10のカソード側電極22に供給される。一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔34aから供給孔部46を通って第1セパレータ14の燃料ガス流路38に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路38に沿って矢印B方向に移動し、電解質膜・電極構造体10のアノード側電極20に供給される。
従って、各電解質膜・電極構造体10では、カソード側電極22に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極20に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、カソード側電極22に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔30bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード側電極20に供給されて消費された燃料ガスは、排出孔部48を通り燃料ガス出口連通孔34bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔32aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ14と第2セパレータ16との間の冷却媒体流路40に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体10を冷却した後、冷却媒体出口連通孔32bから排出される。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る電解質膜・電極構造体10の製造方法の要部説明図である。
この第2の実施形態では、複数の積層体82を同時にホットプレスすることを特徴とする。具体的には、複数の積層体82(図12では、2枚であるが、3枚以上でもよい)は、位置決め部(孔部56a、66a、78a及び56b、66b、78b)を基準にして、例えば、位置決めピン(図示せず)を通すことにより互いに位置決めされる。積層体82間には、シート部材84が介装される。
一方の積層体82には、シート部材84、緩衝材シート体86及びプレート88が積層されるとともに、他方の積層体82には、緩衝材シート体86及びプレート88bが積層される。これらは、ホットプレス治具(図示せず)に装着されて120℃〜150℃でホットプレスされる。従って、各PEMユニット60の両面には、アノード側カーボンペーパ50とカソード側カーボンペーパ64とが一体化される。
これにより、複数の電解質膜・電極構造体10を効率的に製造することができ、前記電解質膜・電極構造体10の製造時間を良好に短縮することが可能になるという効果が得られる。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電解質膜・電極構造体90の要部断面説明図である。
なお、第1の実施形態に係る電解質膜・電極構造体10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略する。
電解質膜・電極構造体90は、固体高分子電解質膜18の両方の面18a、18bに、それぞれ同一の表面積を有するアノード側電極20及びカソード側電極92が設けられる。アノード側電極20及びカソード側電極92は、同一の端面位置に設定されたガス拡散層28a、28b1を有するとともに、固体高分子電解質膜18の外周縁部は、前記ガス拡散層28a、28b1の端面から外方に突出している。
このように構成される電解質膜・電極構造体90を製造する際、ガス拡散層28a側は、第1の実施形態と同様に製造されるとともに、カソード側電極92を構成するガス拡散層28b1は、前記ガス拡散層28aと同様に製造されている。これにより、第2の実施形態では、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第1及び第2の実施形態では、アノード側カーボンペーパ50に、位置決め部として孔部54a、54bが設けられる一方、前記孔部54a、54bに挿入される位置決めピン58a、58bを備えた第1治具56が用いられている。
これに代えて、例えば、図14に示すように、アノード側カーボンペーパ50の外周端面50aaを位置決め部とし、前記外周端面50aaに接する複数本の位置決めピン94を設ける第1治具96を採用してもよい。
さらにまた、アノード側カーボンペーパ50には、分離部位として断続的に切れ込みを設けたミシン目状の分離部位52を用いているが、これに限定されるものではない。
例えば、図15に示すように、ガス拡散層28aを周回して連続するスリットからなる分離部位98が設けられるとともに、この分離部位98は、アノード側カーボンペーパ50の厚さ方向に所定の深さを有している(図16参照)。これにより、アノード側カーボンペーパ50は、連続するスリットからなる分離部位98に沿って、外周縁部50aを容易且つ確実に切り離すことができる。
10、90…電解質膜・電極構造体 12…燃料電池
14、16…セパレータ 18…固体高分子電解質膜
20…アノード側電極 22、92…カソード側電極
24a、24b…電極触媒層 26a、26b…下地層
28a、28b、28b1…ガス拡散層 30a…酸化剤ガス入口連通孔
30b…酸化剤ガス出口連通孔 32a…冷却媒体入口連通孔
32b…冷却媒体出口連通孔 34a…燃料ガス入口連通孔
34b…燃料ガス出口連通孔 36…酸化剤ガス流路
38…燃料ガス流路 40…冷却媒体流路
50、64…カーボンペーパ 50aa…外周端面
52、98…分離部位
54a、54b、66a、66b、78a、78b…孔部
58a、58b、72a、72b、80a、80b…位置決めピン
60…PEMユニット 68…トリミングライン
74…スペーサ部材 82…積層体
84…シート部材 86…緩衝材シート体
88…プレート

Claims (7)

  1. 固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層が設けられ、前記電極触媒層の外側に一対の拡散層が積層されるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周端面が少なくとも一方の前記拡散層の外周端面よりも外方に突出する燃料電池用電解質膜・電極構造体であって、
    少なくとも一方の前記拡散層と前記固体高分子電解質膜とがホットプレスにより一体化された後、少なくとも一方の前記拡散層の外周端面には、外周縁部が、予め設けられた分離部位から切り離されることにより、分離面が形成されることを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体。
  2. 請求項1記載の電解質膜・電極構造体において、前記分離部位は、少なくとも一方の前記拡散層に断続的又は連続的に設けられた切り込み形状を有することを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体。
  3. 固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層が設けられ、前記電極触媒層の外側に一対の拡散層が積層されるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周端面が少なくとも一方の前記拡散層の外周端面よりも外方に突出する燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法であって、
    一対の前記拡散層により前記固体高分子電解質膜を挟持して、積層体を得る工程と、
    前記積層体をホットプレスすることにより、前記固体高分子電解質膜と一対の前記拡散層とを一体化させる工程と、
    少なくとも一方の前記拡散層の外周縁部を、少なくとも一方の該拡散層に予め設けられた分離部位に沿って切り離す工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法。
  4. 固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層が設けられ、前記電極触媒層の外側に一対の拡散層が積層されるとともに、前記固体高分子電解質膜の外周端面が少なくとも一方の前記拡散層の外周端面よりも外方に突出する燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法であって、
    一対の前記拡散層により前記固体高分子電解質膜を挟持して、積層体を得る工程と、
    前記積層体間にシート部材を介装して複数の前記積層体を同時にホットプレスすることにより、各積層体を構成する前記固体高分子電解質膜と一対の前記拡散層とを一体化させる工程と、
    少なくとも一方の前記拡散層の外周縁部を、少なくとも一方の該拡散層に予め設けられた分離部位に沿って切り離す工程と、
    を有することを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法。
  5. 請求項3又は4記載の製造方法において、前記拡散層には、前記電極触媒層に接合される下地層が設けられることを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の製造方法において、位置決め部は、前記拡散層の外周縁部に形成される孔部を有し、前記孔部に位置決めピンを挿入して前記拡散層を位置決めすることを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載の製造方法において、前記分離部位は、少なくとも一方の前記拡散層に断続的又は連続的に設けられた切り込み形状を有することを特徴とする燃料電池用電解質膜・電極構造体の製造方法。
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