JP2011220911A - 空中電磁探査法による地盤の解析方法 - Google Patents

空中電磁探査法による地盤の解析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色分け区分の作業を人為的に行うことなく、地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を可視化して、高い精度で評価を行うことができる地盤の解析方法を提供する。
【解決手段】空中電磁法による電磁探査を行って取得した測定データに対し各種の補正、レベリングを行い、各測定点における比抵抗値を計算し、補間処理を行って、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、これを数値標高モデルのデータと組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成し、任意の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データに対し、比抵抗差分解析を行い、更に、ラプラシアン解析を行って、比抵抗値を評価値に変換して出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁誘導作用を利用して空中から探査を行い、1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を測定して地盤の比抵抗値を求め、そのデータを解析することによって、調査対象地盤の地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を高い精度で評価することができる地盤の解析方法、及び、その解析のためのコンピュータプログラムに関する。
地山にトンネルを構築しようとする際の事前調査、或いは、斜面の防災維持管理のための調査(例えば、地すべり、土石流などの斜面災害や道路に隣接した斜面で斜面災害の原因となる地質・地下水の調査など)を行う場合、調査対象地盤の地質及び地下水や粘土鉱物の含有状況を把握する必要があり、そのための有効な方法の一つとして、HEM(Helicopter-borne ElectroMagnetic method、ヘリコプタを用いた空中電磁法)と呼ばれる電磁探査法が知られている。
HEMは、図1に示すように、ヘリコプタ1の機体下方に電磁探査機器2を吊り下げ、この状態で調査対象域の上空を飛行させて探査を実行し、地盤の比抵抗(単位断面積を通る電流に対する単位長さ当たりの電気抵抗のことで、断面積S(m)、長さL(m)の均質な導体の電気抵抗R(Ω)は、R=ρL/Sで表され、このときの比抵抗定数ρを比抵抗と呼ぶ。)を計算するためのデータを3次元的に取得し、それらのデータに基づいて算出した地盤の比抵抗値から地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を把握しようとするものである。
より具体的には、電磁探査機器2に備えられている送信コイル3(ループコイル)に空中で交流電流を流し、交流磁場(1次磁場)を発生させ、この交流磁場による電磁波を調査対象地盤4中に透入させる。そうすると、電磁誘導現象により地盤中において渦電流5が誘起され、別の交流磁場(2次磁場)が発生する。この2次磁場の強さは地盤の比抵抗と負の相関があるため、電磁探査機器2に備えられている受信コイル6で、1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定し、それらの測定データ(同相成分比I、離相成分比Q)を解析することにより、磁場が透入した深度までの地盤の平均的な比抵抗値を求めることができる。
尚、1次磁場の透入深度は、送信する交流電流の周波数に応じて異なる(周波数が高いと透入深度は浅くなり、周波数が低いと透入深度は深くなる)ので、複数の周波数の交流電流を同時に流すことにより、それらの周波数に応じた深度毎のデータ(比抵抗値を計算するためのデータ)を同時に取得することができる。調査対象地では、50m或いは100mなどの間隔をおいて複数の測線で同じ測定を行い、それらを解析することにより、調査対象地盤の比抵抗分布を3次元的に把握することができる。
特開2003−43157
従来、HEMなどの電磁探査法によって取得した測定データに基づいて、調査対象地盤の地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を評価しようとする場合、測定データを解析することにより調査対象地盤の比抵抗値を3次元的に求め、各種の手法(レベリング、マッピング等)を用いて適宜データを加工し、比抵抗分布状況を図化することによって行っていた。
例えば、飛行測線間のデータを補間して比抵抗分布平面図を作成したり、調査対象域のDEM(Digital Elevation Model、数値標高モデル)と組み合わせて、仮想の3次元比抵抗モデルを作成し、更に、そこから任意の鉛直断面或いは水平断面の比抵抗分布断面図を作成し、図6に示すように、比抵抗の値に着目して分布状況の特性に応じた色分け区分を行って表示することにより、比抵抗分布状況、ひいては地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を視覚的に表現し、評価するという方法が行われていた。
このように、従来は、電磁探査法によって取得した測定データを加工して、比抵抗の値に着目して、その差異を表現するために人為的な色分け区分を行っていたため、資料を作成する作業者或いは作成された資料に基づいて判断を行う担当者において相応のキャリアや知識レベルが要求されることになり、また、それによって得られる評価も相対的なものに止まり、高い精度で評価を行うことが難しいという問題がある。
本発明は、比抵抗値に着目するだけでなく、隣接するグリッド間での比抵抗値の変化の割合に着目することにより、色分け区分の作業を人為的に行うことなく、地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を可視化して、高い精度で評価を行うことができる地盤の解析方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る地盤の解析方法は、ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、数値標高モデルのデータとを組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成するステップ6と、ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、任意の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ7と、ステップ7において生成した任意の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データに対し、深度方向の累積誤差を取り除くために比抵抗差分解析を行うステップ8と、ステップ8において比抵抗差分解析を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、スムージング処理を行い、このスムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力するステップ9とを順次実行することにより、調査対象地盤において着目したい任意の鉛直断面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴としている。
本発明の請求項2に係る地盤の解析方法は、ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、ステップ2において全体の補正を行った測定データについてレベリングを行うステップ3と、ステップ3においてレベリングを行った測定データから、飛行測線直下の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ4と、ステップ4において生成した飛行測線直下の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データに対し、深度方向の累積誤差を取り除くために比抵抗差分解析を行うステップ5と、ステップ5において比抵抗差分解析を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、スムージング処理を行い、このスムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力するステップ6とを順次実行することにより、飛行測線直下の鉛直断面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴としている。
本発明の請求項3に係る地盤の解析方法は、ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データに対し、スムージング処理を行い、このスムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力するステップ9とを順次実行することにより、調査対象地盤の周波数毎の水平断面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴としている。
本発明の請求項4に係る地盤の解析方法は、ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、数値標高モデルのデータとを組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成するステップ6と、ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、等間隔の複数の仮想水平断面、或いは、仮想等深度平面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出し、それぞれのグリッド形式の比抵抗データについて、ラプラシアン解析を実行し、それらの結果を再構築するステップ7とを順次実行することにより、調査対象地盤において着目したい任意の水平断面、或いは、等深度平面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴としている。
本発明の請求項5に係る地盤の解析方法は、ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、数値標高モデルのデータとを組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成するステップ6と、ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、等間隔の複数の仮想鉛直断面、及び/又は、仮想水平断面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出し、それぞれのグリッド形式の比抵抗データについて、ラプラシアン解析を実行し、それらの結果を再構築するステップ7とを順次実行することにより、調査対象地盤において着目したい複数の鉛直断面、及び/又は、水平断面についての複合的な比抵抗構造を容易に把握できる鳥瞰図を出力することを特徴としている。
本発明の地盤の解析方法は、比抵抗の値そのものを評価するのではなく、比抵抗値が、その周辺の比抵抗値に対しどのような相対関係になっているかという点に着目して、評価することとしており、調査対象地盤中における比抵抗の相対変化を抽出し、強調して出力することができるので、変化が微細であったとしても、調査対象地盤中に地下水或いは断層破砕帯が存在している場合には、その存在をより明確に、より客観的に表現することができる。従って、色分け区分の作業を人為的に行うことなく、地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を可視化して、高い精度で評価を行うことができる。
図1は、ヘリコプタを用いた空中電磁法の説明図である。 図2は、本発明に係る地盤の解析方法において用いられるデータアクセスプログラムの説明図である。 図3は、本発明に係る地盤の解析方法において行う比抵抗差分解析の説明図である。 図4は、本発明に係る地盤の解析方法において用いられる比抵抗構造グリッドデータの可視化プログラムの説明図である。 図5は、本発明に係る地盤の解析方法において、ラプラシアン鉛直断面解析を行って出力した任意の鉛直断面についての比抵抗構造を示す断面図の一例を示す図である。 図6は、空中電磁法による測定データに基づき、従来の方法によって作成した比抵抗断面図の一例を示す図である。
以下、本発明「地盤の解析方法」の実施形態について説明する。まず、本発明の第1の実施形態に係る「地盤の解析方法」について説明する。
第1の実施形態の「地盤の解析方法」は、調査対象地盤において着目したい任意の鉛直断面についての比抵抗構造を可視化して出力するものであり、下記のステップ1〜9を順次実行することによって実施される。
ステップ1:測定
ステップ2:測定データ全体のレベリング
ステップ3:飛行測線毎の測定データのレベリング
ステップ4:グリッディング及びグリッドレベリング
ステップ5:周波数毎のマッピング
ステップ6:DEMを利用した3次元比抵抗モデルの作成
ステップ7:任意の比抵抗鉛直断面図の作成
ステップ8:比抵抗差分解析
ステップ9:ラプラシアン鉛直断面解析
以下、上記各ステップについてそれぞれ詳細に説明する。
(ステップ1:測定)
HEM(ヘリコプタを用いた空中電磁法)による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定する。より具体的には、調査対象域に対して予め設定した飛行ルート(調査対象域を、複数本の平行な直線によって均一な幅(例えば、50m)の細長い帯状の領域に分割し、それらの分割された各領域の中央線を順番に縦断していくようなルート)に沿ってヘリコプタを飛行させながら連続的に電磁波の送受信を行い、予め設定した時間間隔(例えば、0.1秒間隔)をおいて測定データ(同相成分比I、離相成分比Q)を取得する。また、測定中に実際にヘリコプタが飛行したルート(飛行測線)、及び、飛行測線上の測定点(送受信を行った地点)の位置データ(緯度、経度情報)及び高度を、GPS及び高度計により記録する。尚、電磁波の送受信は、本実施形態においては、異なる六つの周波数(340Hz、1,500Hz、3,300Hz、6,900Hz、31,000Hz、140,000Hz)について同時に行う。
測定には、低ノイズのデジタルセンサーを搭載し、送信コイルの近くに小さなバッキングコイル(受信コイルと逆巻き直列接続)を配置した電磁探査機器を用いる。地盤中において発生する2次磁場よりも、送信コイルへの通電によって発生する1次磁場の方がはるかに大きいため、バッキングコイルを配置することにより、受信コイルに及ぼされる1次磁場の影響を相殺することができ、2次磁場を好適に測定することができる。
電磁探査による測定を行う場合、測定前に、電磁探査機器について空中キャリブレーションを行う。電磁探査機器のキャリブレーションは、従来、地上で行われていたが、地盤の影響を受けてしまうため不可避的な誤差が生じていた。本実施形態においては、地盤の影響を受けない高高度(例えば、高度1500フィート以上)でキャリブレーションを行うことにより、誤差を解消することができ、測定データを高い精度で取得することができる。
また、測定の途中、電磁探査機器をリセットして、後に行う補正(レベリング)のための基準ポイントを作成する。空中電磁法においては、測定値にある程度の「ずれ」が生じてしまうことがある。例えば、測定の途中や終了時に、地盤の影響を受けない高高度(地盤中において発生させた2次磁場による電磁波を受信できない高度)に上昇した場合、電磁波は記録されないはずであるところ(つまり、測定値は0レベルとなるべきところ)、あるレベルで電磁波が記録されてしまうという問題がある(ドリフト)。この問題を解決して精度の高い測定データを得るためには、測定データを構成する連続した実測値のそれぞれに含まれる「ずれ」の大きさを把握し、それらを加減して測定データを補正する必要がある。
但し、2次磁場による電磁波の受信中(2次磁場の電磁波を受信できる高度を飛行中)は、「ずれ」の大きさを把握することができない。一方、地盤中において発生させた2次磁場による電磁波を受信できない高高度に上昇した場合には、測定値は0レベルとなるはずであるため、「ずれ」が生じているとすれば、その大きさを把握することができる。従って、測定データを構成する連続した測定値の中に、本来0レベルとなるべき基準ポイントを作成しておけば、当該基準ポイントにおける「ずれ」の大きさの値に基づいて、測定データ全体を補正することができる。
本実施形態においては、測定の開始前、測定の途中(例えば、15〜20分に1回)と測定終了後に、2次磁場による電磁波の測定値が本来0レベルとなるべき高高度に上昇し、電磁探査機器をリセットするとともにその位置(GPSで取得した位置データ)を記録して基準ポイントを作成し、当該基準ポイントにおける「ずれ」の大きさを把握することにより、後に行う補正に備えるようになっている。尚、基準ポイント作成のための高高度飛行を行う間、調査対象域の内外を問わず測定を継続的に行い、測定データを連続取得する。
(ステップ2:測定データ全体のレベリング)
ステップ1の電磁探査によって取得した未加工の測定データは相対値であり、しかも、上述したようなドリフトによる「ずれ」を含んでいるため、測定中に高高度で電磁探査機器をリセットすることによって作成した基準ポイント(及び当該基準ポイントにおける「ずれ」の大きさの値)を利用して、測定データ全体の補正(レベリング)を行う。尚、この作業は、電磁探査(フライト)の終了後、地上にて行う。
(ステップ3:飛行測線毎の測定データのレベリング)
ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データ(測線データ)に分割し、測線データ毎に、それぞれレベリングを行う。具体的には、測線データのうち、周波数間の値に矛盾(ずれている点)が無いかどうか、また、飛行測線間の連続性から、エラーが無いかどうか目視によりチェックし、適宜測定データに修正量を手入力して修正する。
(ステップ4:グリッディング及びグリッドレベリング)
ステップ3における測定データのレベリングは、飛行測線単位のデータ調整(上下オフセット)であり、単純な平滑化のプロセスである。この段階では、測線単位のデータ内部には、有用な情報とエラーが混在している。そこで、ステップ3においてレベリングを行った測定データに対し、グリッディング及びグリッドレベリングを行う。グリッドレベリングは、飛行測線単位の測定データ内部からノイズを除去する作業であり、単純な平滑化のプロセスではない。
a)グリッディング(入力格子データの生成)
測定中にGPSによって取得した位置データを用いて、ステップ3においてレベリングを行った測定データから、調査対象域外の測定データを除外し、調査対象域内の測定データを抽出する。次に、抽出した測定データを構成する同相成分比I及び離相成分比Qの各値から、各測定点における比抵抗の値を計算する。尚、測定データを構成する飛行測線毎の測定値は、前述の通り、予め設定された時間間隔(0.1秒間隔)で取得されるが、飛行速度は必ずしも一定ではないため、飛行測線上の各測定点間の距離は均一にはならない。また、飛行測線についても、必ずしも直線であるとは限らず、更に、各飛行測線の間隔も均等ではない。
従って、すべての測定点を調査対象域の平面座標上に表現すると、それらは不規則に分布することになる。そこで、本実施形態においては、それらの不規則に分布する各測定点間における比抵抗の値について補間処理を行うとともに、飛行測線間における比抵抗の値についても補間処理を行い、更に、調査対象域を縦方向及び横方向へ等間隔(例えば、10m間隔)に区分する格子状の座標をプロットし、周波数毎に、格子の各交点(格子点)の座標における比抵抗の値を計算することにより、グリッド形式の比抵抗データを生成する。そして、このグリッド形式の比抵抗データと、測線データとからなる入力格子データを生成する。
b)グリッドレベリング
入力格子データには、測線方向に延びる縞状構造のエラーが含まれている可能性があるので、2次元的にこのエラーを除外する。より具体的には、同じ周波数の比抵抗値は平面的に急変しないため、一定の基準値を設けて周辺の格子点における比抵抗の値との比較を行い、エラーを除外する。
b−1)2次元長方形領域フィルター処理
まず、入力格子データからバックグラウンド格子データを生成する。バックグラウンドは、ステップ3においてレベリングを行った測定データの長周期の傾向を示すものであり、バックグラウンド格子データは、入力格子データ上で、測線に直交する方向を長辺に、測線方向を短辺とする長方形領域を基本単位とするメディアンフィルター処理(2次元長方形領域フィルター処理)で得られる。これは、短辺も解析グリッドを複数含むことから2次元フィルター処理となる。メディアンフィルターの処理単位の形状は、測線データ間でも共通する長周期成分(バックグラウンド)と測線データに包含される有用な短周期成分の大きさから決定する。
b−2)差分処理A
次に、入力格子データから、バックグラウンド格子データを差し引くこと(差分処理)により、測線データの内部に包含される長周期成分を除去する。この処理によって得られたデータを、便宜上「仮出力格子データ」と呼ぶこととする。この仮出力格子データは、入力格子データの内部に包含される長周期成分を除去したに過ぎず、未だ、有用な情報とエラーが混在している。
b−3)1次元フィルター処理
ここで、エラー成分を分離するため、あえて有用な情報である短周期成分を除去する。短周期成分の除去は、仮出力格子データの測線方向を長辺、解析グリッドサイズを短辺とする処理単位(解析グリッドサイズは基本単位であることから1次元フィルターとなる)で、メディアンフィルター処理(1次元フィルター処理)を行うことで達成できる。尚、この処理の結果得られる格子データを、便宜上「エラー値格子データ」と呼ぶこととする。
b−4)差分処理B
そして、入力格子データからエラー値格子データを差し引くこと(差分処理)により、有用な情報のみを反映したレベリング済み格子データを生成する。
以上のように、2次元の入力格子データから、バックグラウンド格子データを仲介して作成したエラー値格子データを除去することにより、有用な情報のみを反映したレベリング済み格子データを求めるプロセスが「グリッドレベリング」である。
そして、レベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成する。ここで生成した飛行測線毎の比抵抗データは、ステップ3においてレベリングを行うことによってエラーを除外した飛行測線毎の測定データよりも、更に、調査対象地盤の比抵抗値を正確に反映したものとなる。
(ステップ5:周波数毎のマッピング)
ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、周波数毎に比抵抗平面図を作成する。補間は、例えば、クリギング法によって行う。
(ステップ6:DEMを利用した3次元比抵抗モデルの作成)
空中電磁法によって取得した測定データには、各測定点の地盤標高の情報は含まれていない。そのため、調査対象地盤の3次元的な比抵抗モデルを作成するためには、地表面の数値標高モデル(DEM)が必要となる。本実施形態においては、ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、別途準備したDEMデータとを組み合わせることにより、任意の3次元位置の比抵抗値を取り出せる比抵抗モデルを作成する。尚、この3次元比抵抗モデルは、2次元データのセット(ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データ(比抵抗平面図)、及び、DEM)と、それにアクセスするプログラム(データアクセスプログラム)によって作成する。
このデータアクセスプログラムは、図2(データアクセスプログラムの概念図)に示すように、鉛直断面の位置、標高、或いは、深度を入力することにより、2次元データのセットから、任意の鉛直断面、等標高断面、或いは、等深度断面を出力するように構成されており、このプログラムを用いることにより、空中電磁法によって取得した比抵抗値の測定データを3次元情報として活用することができる。尚、このデータアクセスプログラムは、2次元データのセットの平面座標を一元的に管理する機能と、入力データの処理に必要なデータ(セット)を任意の平面分解能で2次元データのセットから取得する機能と、ある平面座標位置に対して取得した各周波数の比抵抗値に対して表示深度を計算する機能と、ある平面座標位置に対して取得した全周波数の比抵抗値と、計算した表示深度の組合せで、任意の鉛直間隔の1次元補間を行う機能と、ある平面座標位置に対して取得した標高との組み合わせで深度と標高の表示変換を行う機能と、個別のアクセス、変換結果を統合して、グリッド形式のデータとして出力する機能とを有している。
この段階で、例えばボクセルのような3次元データ構造を作り、画一化したモデル化(例えば10m×10m×10mのサイコロ化)を行うと、データの品質が落ちしてしまうという問題があるが、本実施形態においては、上述の通り、必要に応じて必要箇所(XYZ)の値を、必要な処理(補間やフィルター)を行って取り出すようにしているため、データの品質が落ちてしまうという問題を好適に回避することができる。
(ステップ7:任意の比抵抗鉛直断面図の作成)
ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、調査対象地盤において着目したい任意の鉛直断面についての比抵抗分布を図化して出力する。具体的には、当該断面における地盤の輪郭形状、及び、グリッド間隔を1mに設定した格子座標をプロットするとともに、各格子点の座標に係るグリッド形式の比抵抗データを生成し、これを図化して比抵抗鉛直断面図を作成する。尚、ここでは、着目したい任意の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データから、比抵抗鉛直断面図を作成しているが、次のステップを実行するためには、グリッド形式の比抵抗データが得られればよく、必ずしも図化を行って比抵抗鉛直断面図を作成しなければならない訳ではない。
また、3次元比抵抗モデルは、データ密度に異方性があるが、入手できるDEMがレーザープロファイラーデータの1mメッシュが主流であること、空中電磁法のデータが測線直下で概ね1m間隔で取得することから、密な方に合わせて1m間隔の格子を標準とする(測線と測線の間は飛行計画に依存する。また、深度方向の分解能はコイル数に依存する)。
(ステップ8:比抵抗差分解析)
空中電磁法による電磁探査においては、送信される電磁波の周波数が低いほど、地盤中への透入深度は深くなる。従って、低い周波数の電磁波によって取得された比抵抗データは、高い周波数の電磁波によって取得された比抵抗データよりも深い位置の地盤情報を反映していることになる。但し、送信される電磁波は地表から投入されるため、低い周波数の電磁波によって取得された比抵抗データは、より浅い地盤(より高い周波数の透入深度の地盤)の影響を受けることになり、その結果、ステップ7において作成した比抵抗鉛直断面図(当該断面図の元となる鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データ)においては、深部ほど、誤差の累積が大きくなる。そこで、この深度方向の累積誤差を取り除くために、ステップ7において作成した比抵抗鉛直断面図の元となる鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データに対し、比抵抗差分解析を行う。
ここで行う比抵抗差分解析は、ある周波数の深度(差分深度)と比抵抗(差分比抵抗)を、その周波数よりも1ランク高い周波数についての所定の項目値との差から求めるというものであり、より具体的には、本実施形態において使用される六つの電磁波の周波数のうち、最も高い140,000Hzを「周波数A」とし、以降、周波数の高い順に、31,000Hzを「周波数B」、6,900Hzを「周波数C」、3,300Hzを「周波数D」、1,500Hzを「周波数E」、340Hzを「周波数F」としたとき、周波数Bの差分深度Bと差分比抵抗Bを、周波数Aとの差から求め、周波数Cの差分深度Cと差分比抵抗Cを、周波数Bとの差から求め、更に同様に、周波数D、E、Fの差分深度と差分比抵抗を、それぞれ周波数C、D、Eとの差から求める。
例えば、周波数Bの差分深度Bと差分比抵抗Bを、周波数Aとの差から求める場合、図3に示すように、まず、周波数Aについて、見掛比抵抗A(解析前の比抵抗)、及び、見掛深度A(解析前の深度)を計算する。次に、下記の計算式(数1〜3)を用いて、表皮深度A、有効深度A、及び、コンダクタンスAを求める。
一方、周波数Bについても、見掛比抵抗B、及び、見掛深度Bを計算し、上記計算式と同様の式により、見掛比抵抗Bと周波数Bから表皮深度Bを求め、見掛深度Bと表皮深度Bから有効深度Bを求め、見掛比抵抗Bと表皮深度BからコンダクタンスBを求める。
次に、有効深度Bから有効深度Aを減じることによって「有効深度の差」を求め(有効深度の差=有効深度B−有効深度A)、更に、コンダクタンスBからコンダクタンスAを減じることによって「コンダクタンスの差」を求める(コンダクタンスの差=コンダクタンスB−コンダクタンスA)。そして、下記の計算式(数4、数5)により、差分深度B(解析後の深度)、及び、差分比抵抗(解析後の比抵抗)を求める。
上記のような、周波数Bについての差分深度B及び差分比抵抗Bの計算(比抵抗差分解析)を、同様の要領により、周波数C〜Fについてもそれぞれ実行する。
(ステップ9:ラプラシアン鉛直断面解析)
調査対象地盤において着目したい任意の鉛直断面について、ステップ7により生成したグリッド形式の比抵抗データを用いてコンター図を作成し、比抵抗分布を可視化すれば、その断面における比抵抗構造が把握できる。しかし、コンター図によって比抵抗分布を可視化しただけでは、探査の目的となる地盤の状況を明確に表現できない場合がある。より具体的には、調査対象地盤中における地下水或いは断層破砕帯の検出を目的として探査を行う場合、次のような問題がある。
調査対象地盤中に地下水が存在する場合には、深度方向に比抵抗の値が変化するため、理論的には、そのような比抵抗値の変化を読み取ることによって地下水の有無を検出することができると考えられる。しかしながら現実には、標準的な空中電磁法における深度方向の分解能が十分ではないため(粗いため)、コンター図では、比抵抗値の変化を明瞭に読み取ることができない場合が多い。また、地下水が飽和状態であるか、不飽和状態であるかによって比抵抗の値が異なることを利用して地下水の有無を判断しようとする場合、地質の違い(例えば、砂であるか、粘土であるか)によって、地下水の有無以上の比抵抗値の変化を示すことがあり、この場合もコンター図での判断は難しい。
また、断層破砕帯を検出しようとする場合、層厚が5〜10m程度で、縦(垂直または斜め)方向に延在する断層破砕帯は、その周辺の領域と比べて低比抵抗となる構造が想定される。このような断層破砕帯が存在している場合、比抵抗断面図において比抵抗コンターの曲線の一部が細長く下方へ突出し、垂れ下がっているような形状として検出されることが多いが、その判読は客観性に欠ける。
調査対象地盤中に地下水或いは断層破砕帯が存在する場合、その領域は、その周辺の領域と比べ、相対的に低比抵抗域となることが多い。従って、そのような比抵抗の相対変化を抽出し、強調して出力することができれば、変化が微細であったとしても、地下水或いは断層破砕帯が地盤中に存在している場合には、その存在をより明確に、より客観的に表現することができる。
ところで、画像処理の技術分野では、周辺画素データとの相対変化を抽出し、強調表示するための手法として、ラプラシアンフィルターを使用することが知られている。これは、例えばデジタルカメラで取得した画像データに対し、エッジ(色分け模様の輪郭)を抽出する処理を行う際に用いられるものであり、格子状に配列された画素データを二次微分するものである。
画像データに対し、ラプラシアンフィルターを用いてエッジの抽出処理を行うという手法を、空中電磁法の測定データに基づいて算出した比抵抗データの処理に応用しようとする場合、データ密度の異方性と、そのために生じる補間領域の処理が問題となる。この点について具体的に説明すると、デジタルカメラの場合は、データ密度が均質で、基本的にエラーを含まない格子状の画素データが得られるのに対し、空中電磁法による比抵抗データは、必要な情報以上にノイズが強調されてしまう可能性がある。従って、空中電磁法による比抵抗データの処理に際し、ラプラシアンフィルターを用いた手法を単純に適用しただけでは、調査対象地盤の特質を的確に表現することはできない。
本実施形態においては、次のような要領で、ラプラシアンフィルターを用いた比抵抗データの処理を実施する。これにより、上述のような問題を回避し、調査対象地盤の特質を的確に表現することができる。
まず、ステップ8において比抵抗差分解析を行ったグリッド形式の比抵抗データ(調査対象地盤において着目したい任意の鉛直断面のグリッド形式の比抵抗データ)に対し、スムージング処理を行う。この処理は、ステップ8において解析を行ったグリッド形式の比抵抗データに含まれるすべての格子点の比抵抗値を、その周辺において一定の距離にある複数(例えば、441個)の格子点の比抵抗値の平均値に置き換える、というものである。
次に、スムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力する。具体的には、グリッド形式の比抵抗データを構成する各格子点(評価対象となる格子点)の比抵抗値を、その周辺(上方、下方、右方、及び、左方)に位置する他の四つの格子点(比較対象となる格子点)の比抵抗値と比較(差を計算)して比較値(差)を出力し、その比較値(差)の総和を、評価対象となる格子点についての比抵抗値と置き換え、評価値として出力する。
このように、ある格子点(評価対象となる格子点)の比抵抗値を、その周辺の格子点(比較対象となる格子点)の比抵抗値と比較する意図乃至目的は、評価対象となる格子点の比抵抗値が、その周辺の格子点の比抵抗値に対しどのような相対関係になっているかという点に着目して、その格子点の比抵抗値を評価しようとするところにある。また、ステップ8において解析を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、そのままラプラシアンフィルターを適用した場合、比抵抗値の相対関係を評価しようとするうえで本質に関係のないノイズが顕著となる場合が多く、顕在化させたい構造をうまく出現させることができないという問題があり、本実施形態においてはこのような問題を回避すべく、ラプラシアンフィルターの適用前に、上述のようなスムージング処理を行うこととしている。
尚、画像処理の技術分野においてラプラシアンフィルターを用いる場合、比較対象となるのは、処理対象となる画素データの「周囲に隣接する」画素データであるのに対し、本実施形態において比較対象となるのは、評価対象となる格子点の周辺において、上方、下方、右方、及び、左方へ一定の距離Dをおいた位置にある四つの格子点である。尚、距離Dの値は、測定データの密度や、検出しようとする対象(地下水、断層破砕帯など)の深度や大きさに応じて、比較を行う際に、適正な値をその都度設定する。例えば、比較的浅部の地下水の検出を対象とする場合は5m(上方、下方、右方、及び、左方へそれぞれ5m)、深部のトンネル付近の断層破砕帯の検出を対象とする場合は10m(上方、下方、右方、及び、左方へそれぞれ10m)が標準となる。
評価対象となる格子点の比抵抗値と、比較対象となる四つの格子点の比抵抗値との比較(差の計算)、及び、評価値の出力は、次のようにして行う。評価対象となる格子点の比抵抗値をMとし、比較対象となる四つの格子点の比抵抗値をA1〜A4とした場合、Mと、A1〜A4それぞれとの差を計算すると、M−A1、M−A2、M−A3、M−A4となる。ここで、Mが比較対象より小さい場合には、比較値は負の値に、Mが比較対象より大きい場合には、比較値は正の値となる。これら四つの比較値の総和(4M−A1−A2−A3−A4)を計算し、これを評価対象となる格子点における評価値として出力する。例えば、四つの比較値がすべて負の場合は、大きな負の値として累積することになり、正負が入り乱れた場合や、比抵抗値に殆ど差が無い場合には、0に近い値となる。
このようにして、グリッド形式の比抵抗データにラプラシアンフィルターを適用することにより、すべての格子点の比抵抗値について、その周辺の格子点の比抵抗値との相対比較を行い、評価値に置き換えて出力する。そして、出力されたグリッド形式のデータ(比抵抗構造グリッドデータ)を、コンピュータプログラム(比抵抗構造グリッドデータの可視化プログラム)によって図化(可視化)し、コンピュータの画面或いは紙面に出力する。
ここで用いる比抵抗構造グリッドデータの可視化プログラムは、図4に示すように、比抵抗構造鉛直断面図や、等標高比抵抗構造断面図(水平断面図)、等深度比抵抗構造断面図等、比抵抗構造を示すグリッド形式のデータを活用するために、色調や、鳥瞰図における視点を調整して出力することにより可視化するものであり、入力値の正負、中間(ゼロ近傍の正負反転が過敏な領域)に対して独立して色調を設定できる機能、入力値の正負に対してそれぞれヒストグラムを作成し、コントラストを調整する機能、着色した結果をコンピュータのディスプレイに表示するとともに、必要に応じて紙面に印刷する機能、複数の比抵抗構造鉛直断面図(グリッド形式)(或いは、複数の比抵抗構造水平断面図)を統合し、比抵抗構造鳥瞰図を作成し、視点等を調整してコンピュータの画面に表示するとともに、必要に応じて紙面に印刷する機能を有している。
図5は、ステップ9のラプラシアン鉛直断面解析を行って出力した任意の鉛直断面についての比抵抗構造を示す断面図の例である。この図において、地表面を示す線の下側に表示されているグラデーション模様のうち、「青色表示」と示されている部分(コンピュータのディスプレイ上或いは紙面上においては青色に表示される)は、周囲より相対的に比抵抗が高い(色が濃い部分は高比抵抗の度合いが大きく、色が薄い部分は高比抵抗の度合いが小さい)ところを表し、それ以外のグラデーション模様の部分(コンピュータのディスプレイ上或いは紙面上においては赤色に表示される)は、周囲より相対的に比抵抗が低い(色が濃い部分は低比抵抗の度合いが大きく、色が薄い部分は低比抵抗の度合いが小さい)ところを表している。また、グラデーション模様が表示されていない白い部分は、比抵抗が周囲と相対的に変化していないところを表している。
本実施形態の地盤の解析方法は、図5の例に示すように、評価対象となる格子点の比抵抗の値そのものを評価するのではなく、隣接する格子点間での比抵抗値の変化の割合に着目することにより、つまり、評価対象となる格子点の比抵抗値が、その周辺の格子点の比抵抗値に対しどのような相対関係になっているかという点に着目して、その格子点の比抵抗値を評価することとしているため、色分け区分の作業を人為的に行うことなく、地質及び地下水、粘土鉱物の含有状況を可視化して、高い精度で評価を行うことができる。上述の通り、調査対象地盤中に地下水或いは断層破砕帯が存在する場合、その領域は、その周辺の領域と比べ、相対的に低比抵抗域となることが多いが、本実施形態の地盤の解析方法によれば、そのような比抵抗の相対変化を抽出し、強調して出力することができるので、変化が微細であったとしても、地下水或いは断層破砕帯が地盤中に存在している場合には、その存在をより明確に、より客観的に表現することができる。
第2の実施形態に係る「地盤の解析方法」は、飛行測線直下の鉛直断面についての比抵抗構造を可視化して出力するものであり、下記のステップ1〜6を順次実行することによって実施される。
ステップ1:測定
ステップ2:測定データ全体のレベリング
ステップ3:飛行測線の測定データのレベリング
ステップ4:飛行測線直下の比抵抗鉛直断面図の作成
ステップ5:比抵抗差分解析
ステップ6:ラプラシアン鉛直断面解析
本実施形態における地盤の解析方法は、地山にトンネルを構築しようとする際の事前調査等において、計画路線直上のルートに沿ってヘリコプタを飛行させることによって測定データを得ることができたような場合を想定している。このような場合には、第1の実施形態におけるステップ4〜6を実行せずに、ステップ3において飛行測線(計画路線直上の飛行測線)の測定データについてレベリングを行った後、ステップ4として、そのレベリングを行った測定データから、直接的に比抵抗鉛直断面図(第1の実施形態におけるステップ7において作成する比抵抗鉛直断面図に相当)を作成した方が、マッピングによる品質低下を避ける意味で有効な場合があるからである。
従って、本実施形態においては、ステップ1〜3(第1の実施形態におけるステップ1〜3と同一)を実行した後、ステップ4として、第1の実施形態におけるステップ7に相当する断面図の作成を行い、ステップ5として、比抵抗差分解析(第1の実施形態におけるステップ8と同一)を行い、ステップ6として、ラプラシアン鉛直断面解析(第1の実施形態におけるステップ9と同一)を行うこととしている。これらのステップを順次実行することにより、第1の実施形態と同様の効果を期待することができる。
第3の実施形態に係る「地盤の解析方法」は、調査対象地盤の水平断面(周波数毎)についての比抵抗構造を可視化して出力するものであり、下記のステップ1〜6を順次実行することによって実施される。
ステップ1:測定
ステップ2:測定データ全体のレベリング
ステップ3:飛行測線毎の測定データのレベリング
ステップ4:グリッディング及びグリッドレベリング
ステップ5:周波数毎のマッピング
ステップ6:周波数毎のラプラシアン平面解析
本実施形態においては、周波数毎の水平断面の比抵抗構造を解析対象としているため、第1の実施形態におけるステップ6〜8は不要である。従って、本実施形態においては、ステップ1〜5(第1の実施形態におけるステップ1〜5と同一)を実行した後、ステップ6として、第1の実施形態におけるステップ9に相当するラプラシアン解析を行うこととしている。より詳細には、ステップ6として、ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データ(周波数毎の比抵抗平面図)に対し、ラプラシアン解析(第1の実施形態のステップ9のラプラシアン解析と同一)を実行する。これにより、調査対象地盤の水平断面(周波数毎)についての比抵抗構造を可視化して出力することができる。
第4の実施形態に係る「地盤の解析方法」は、調査対象地盤において着目したい任意の水平断面、或いは、等深度平面についての比抵抗構造を可視化して出力するものであり、下記のステップ1〜7を順次実行することによって実施される。
ステップ1:測定
ステップ2:測定データ全体のレベリング
ステップ3:飛行測線毎の測定データのレベリング
ステップ4:グリッディング及びグリッドレベリング
ステップ5:周波数毎のマッピング
ステップ6:DEMを利用した3次元比抵抗モデルの作成
ステップ7:ラプラシアン水平断面解析・等深度平面解析
本実施形態における地盤の解析方法は、着目したい任意の水平断面、或いは、等深度平面についての比抵抗構造を可視化しようとするものであるため、第1の実施形態におけるステップ7(任意の比抵抗鉛直断面図の作成)は不要である。
従って、本実施形態においては、ステップ1〜6(第1の実施形態におけるステップ1〜6と同一)を実行した後、ステップ7として、第1の実施形態におけるステップ9に相当するラプラシアン解析を行うこととしている。より詳細には、ステップ7として、ステップ6において生成した3次元比抵抗モデルから、等間隔(例えば、5m間隔)の複数の仮想水平断面、或いは、仮想等深度平面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出し、それぞれのグリッド形式の比抵抗データについて、ラプラシアン解析(第1の実施形態のステップ9のラプラシアン解析と同一)を実行し、それらの結果を再構築する。これにより、調査対象地盤の任意の水平断面、或いは、等深度平面についての比抵抗構造を可視化して出力することができる。
尚、ステップ6において生成した3次元比抵抗モデルから、着目したい任意の比抵抗水平断面、或いは、等深度平面を抽出し、その抽出された断面、或いは、平面についてのみラプラシアン解析を行うと、精度が低下してしまう可能性があり、好ましくない。このため、本実施形態においては、上述の通り、3次元比抵抗モデルから、等間隔の複数の仮想水平断面等についての比抵抗データを抽出して、それぞれについてラプラシアン解析を実行するとともに、それらの結果を再構築することとしている。これにより、精度の低下を好適に防止することができる。
第5の実施形態に係る「地盤の解析方法」は、調査対象地盤において着目したい複数の鉛直断面、及び/又は、水平断面等についての複合的(立体的)な比抵抗構造を容易に把握できる鳥瞰図を出力するものであり、下記のステップ1〜7を順次実行することによって実施される。
ステップ1:測定
ステップ2:測定データ全体のレベリング
ステップ3:飛行測線毎の測定データのレベリング
ステップ4:グリッディング及びグリッドレベリング
ステップ5:周波数毎のマッピング
ステップ6:DEMを利用した3次元比抵抗モデルの作成
ステップ7:ラプラシアン鳥瞰解析
本実施形態においては、ステップ1〜6(第1の実施形態におけるステップ1〜6と同一)を実行した後、ステップ7として、第1の実施形態におけるステップ9に相当するラプラシアン解析を行うこととしている。より詳細には、ステップ7として、ステップ6において生成した3次元比抵抗モデルから、等間隔(例えば、5m間隔)の複数の仮想鉛直断面、及び/又は、仮想水平断面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出し、それぞれのグリッド形式の比抵抗データについて、ラプラシアン解析(第1の実施形態のステップ9のラプラシアン解析と同一)を実行し、それらの結果を再構築する。これにより、着目したい複数の鉛直断面、及び/又は、水平断面等についての複合的、立体的な比抵抗構造を容易に把握できる鳥瞰図を出力することができる。
尚、ステップ6において生成した3次元比抵抗モデルから、着目したい複数の鉛直断面、及び/又は、水平断面を抽出し、その抽出された断面についてのみラプラシアン解析を行うと、精度が低下してしまう可能性があり、好ましくない。このため、本実施形態においては、上述の通り、3次元比抵抗モデルから、等間隔の複数の鉛直断面、及び/又は、水平断面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出して、それぞれについてラプラシアン解析を実行するとともに、それらの結果を再構築することとしている。これにより、精度の低下を好適に防止することができる。
1:ヘリコプタ、
2:電磁探査機器、
3:送信コイル、
4:地盤、
5:渦電流、
6:受信コイル

Claims (5)

  1. ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、
    前記ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、
    前記ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、
    前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、
    前記ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、
    前記ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、数値標高モデルのデータとを組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成するステップ6と、
    前記ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、任意の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ7と、
    前記ステップ7において生成した任意の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データに対し、深度方向の累積誤差を取り除くために比抵抗差分解析を行うステップ8と、
    前記ステップ8において比抵抗差分解析を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、スムージング処理を行い、このスムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力するステップ9とを順次実行することにより、調査対象地盤において着目したい任意の鉛直断面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴とする地盤の解析方法。
  2. ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、
    前記ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、
    前記ステップ2において全体の補正を行った測定データについてレベリングを行うステップ3と、
    前記ステップ3においてレベリングを行った測定データから、飛行測線直下の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ4と、
    前記ステップ4において生成した飛行測線直下の鉛直断面についてのグリッド形式の比抵抗データに対し、深度方向の累積誤差を取り除くために比抵抗差分解析を行うステップ5と、
    前記ステップ5において比抵抗差分解析を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、スムージング処理を行い、このスムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力するステップ6とを順次実行することにより、飛行測線直下の鉛直断面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴とする地盤の解析方法。
  3. ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、
    前記ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、
    前記ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、
    前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、
    前記ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、
    前記ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データに対し、スムージング処理を行い、このスムージング処理を行ったグリッド形式の比抵抗データに対し、ラプラシアンフィルターを適用することにより、当該グリッド形式の比抵抗データを構成するすべての格子点の比抵抗値を、評価値に変換して出力するステップ9とを順次実行することにより、調査対象地盤の周波数毎の水平断面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴とする地盤の解析方法。
  4. ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、
    前記ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、
    前記ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、
    前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、
    前記ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、
    前記ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、数値標高モデルのデータとを組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成するステップ6と、
    前記ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、等間隔の複数の仮想水平断面、或いは、仮想等深度平面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出し、それぞれのグリッド形式の比抵抗データについて、ラプラシアン解析を実行し、それらの結果を再構築するステップ7とを順次実行することにより、調査対象地盤において着目したい任意の水平断面、或いは、等深度平面についての比抵抗構造を可視化して出力することを特徴とする地盤の解析方法。
  5. ヘリコプタを用いた空中電磁法による電磁探査を行い、調査対象地盤における1次磁場に対する2次磁場の強さの割合を同相成分と離相成分とに分離して測定するステップ1と、
    前記ステップ1の電磁探査によって取得した測定データ全体について、ドリフトによるずれを補正するステップ2と、
    前記ステップ2において全体の補正を行った測定データを、飛行測線毎の測定データに分割し、それぞれレベリングを行うステップ3と、
    前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データから、各測定点における比抵抗の値を計算し、補間処理を行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成し、このグリッド形式の比抵抗データと、前記ステップ3においてレベリングを行った飛行測線毎の測定データとからなる入力格子データを生成し、この入力格子データに対しグリッドレベリングを行って、2次元的にエラーを除外してレベリング済み格子データを求め、このレベリング済み格子データから、飛行測線毎の比抵抗データを生成するステップ4と、
    前記ステップ4において生成した飛行測線毎の比抵抗データを基に、飛行測線間の比抵抗データを補間するとともに、再びグリッディングを行い、周波数毎にグリッド形式の比抵抗データを生成するステップ5と、
    前記ステップ5において生成した周波数毎のグリッド形式の比抵抗データと、数値標高モデルのデータとを組み合わせることにより、3次元比抵抗モデルを作成するステップ6と、
    前記ステップ6において作成した3次元比抵抗モデルから、等間隔の複数の仮想鉛直断面、及び/又は、仮想水平断面についてのグリッド形式の比抵抗データを抽出し、それぞれのグリッド形式の比抵抗データについて、ラプラシアン解析を実行し、それらの結果を再構築するステップ7とを順次実行することにより、調査対象地盤において着目したい複数の鉛直断面、及び/又は、水平断面についての複合的な比抵抗構造を容易に把握できる鳥瞰図を出力することを特徴とする地盤の解析方法。
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