JP2003043157A - 空中電磁探査法のドリフト補正方法 - Google Patents

空中電磁探査法のドリフト補正方法

Info

Publication number
JP2003043157A
JP2003043157A JP2001231362A JP2001231362A JP2003043157A JP 2003043157 A JP2003043157 A JP 2003043157A JP 2001231362 A JP2001231362 A JP 2001231362A JP 2001231362 A JP2001231362 A JP 2001231362A JP 2003043157 A JP2003043157 A JP 2003043157A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measurement
drift
vertical
leveling
flight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001231362A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisatoshi Konishi
尚俊 小西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPON ENGINEERING CONSULTANTS
Nippon Engineering Consultants Co Ltd
Original Assignee
NIPPON ENGINEERING CONSULTANTS
Nippon Engineering Consultants Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIPPON ENGINEERING CONSULTANTS, Nippon Engineering Consultants Co Ltd filed Critical NIPPON ENGINEERING CONSULTANTS
Priority to JP2001231362A priority Critical patent/JP2003043157A/ja
Publication of JP2003043157A publication Critical patent/JP2003043157A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A90/00Technologies having an indirect contribution to adaptation to climate change
    • Y02A90/30Assessment of water resources

Landscapes

  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空中電磁法により、送信コイルと受信コイル
との相互インタクタンス変化を測定する際の正しい測定
法を確定する。 【解決手段】 測定飛行前に通常のキャリブレーション
を行い、高高度で0レベルの設定を行ってから、調査対
象地域等の平坦地を選んで垂直多点測定によるドリフト
補正のためのデータを取得し、次に通常の測定飛行を行
って調査終了後に着陸する直前に、垂直多点測定を行っ
た同一箇所で、同一内容の垂直多点測定を行い、次に、
データ処理時に通常のレベリング手法を用いて0レベル
を設定し、実測値の大きさを求め、測定飛行前後の垂直
多点測定値それぞれについて、インバージョン手法によ
りキャリブレーション時の利得及び位相誤差によるドリ
フトを求め、ドリフト補正を施すことにより正確な応答
値を得る工程からなる空中電磁法のレベリングにおける
ドリフト補正方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空中電磁探査法のレ
ベリングに関する。詳細には、空中電磁探査法により、
比抵抗断面図の作成やインバージョン解析をする際に、
電磁誘導測定値に含まれる誤差(ドリフト)を修正する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空中電磁法は、広い地域に潜在する塊状
硫化鉱体等の電導性鉱物を迅速にかつ低コストで探知す
ることを目的として開発され発展してきたものである。
空中電磁法は、土壌・岩石の電気比抵抗(抵抗率:1m
3の電気抵抗に相当、以下比抵抗と称す)を求め、地質
状況を判定する手法である。求められた比抵抗データは
風化層や粘土化変質帯などの地質的脆弱部の探知に優れ
ているほか、地下水に関する情報も反映している。ヘリ
コプターを利用した周波数領域型空中電磁法(HEM:
helicopterboren electromagnetic method 以下同様)
による探査法を図1に示した。また、探査法の原理の概
略を図2に示した。ヘリコプターを用い空中からコイル
に交流電流を流し、それによって生じる交流磁場が地中
を通過する際に生ずる電磁誘導現象を利用して地下の比
抵抗分布を求めるものである。
【0003】図1に示したように、ヘリコプターにつり
下げたバード内に設けた5組の送受信コイル対を用いて
5周波数同時に測定し、高周波数で浅部(機種や地下の
比抵抗によって異なるが、おおよそ地表下2〜3m)、
低周波数で深部(地表下約100m)の比抵抗情報をそ
れぞれ取得する。空中電磁法は、空中から大地に比接触
で非常に高密度で広域を測定しているために、以下のよ
うな特徴を備えている。 低コストで広域を調査できる。 アクセス艱難な斜面なども容易に調査できる。 地形の影響をほとんど受けないために均質なデータ
が得られる。 比抵抗分布の平面的な広がりと深度方向の変化を把
握できるために3次元調査が可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】HEMデータ処理・解
析は、一般に、データベースの作成、各種測定データと
位置データとの統合、各測定EM成分(5周波数の同
相、離相成分)のレベリング(0レベルの調整)、各測
定値の確定、比抵抗計算および各種比抵抗解析の順に行
われる。この中で、レベリングは比抵抗計算解析の根幹
にあたり、最も困難でかつ時間の要する煩わしい作業で
ある。
【0005】比抵抗を計算するには2次磁場の正しい同
相成分I、および離相成分Qが必要であるが、不都合な
ことに、HEMデータの0レベルを決定するための完全
な手法はない。その理由は次の通りである。空中電磁法
では、1次磁場(HP)に対する2次磁場(HS)の割合
を同相・離相に分離してppm単位で測定している。実
際には、HPの大きさを既知として、受信側でHPを相殺
してHSのみを測定し、間接的にHS/HPを求める方法
である。HS/HPを直接的に測定しないために、残留H
Pによるドリフト、およびキャリブレーション等のレベ
リング(0レベルの調整)に直接係わる問題が存在す
る。
【0006】また、ppm単位である微小な2次磁場H
Sを増幅して精度良く測定するために、受信側の1次磁
場HPをバッキングコイルで相殺した後の電位を見掛け
上の相対0電位としている。これは、入力側をショート
した状態で決定される絶対0電位を基準とした測定がで
きないことによる。従って、判定システムの動作原理お
よび0レベルを正しく理解していない場合は、精度よく
I、Qを決めることができず、個人差が生じる大きな原
因となっている。
【0007】また、HEMでは測定周波数の数だけ特性
の異なるコイルおよびアンプを用いるために、各周波数
間での測定値は多周波数間で滑らかに変化すべきである
という整合牲も問題になる。さらに、空中電磁法のデー
タを使用するどの解析法にとっても、対地高度(h)を
正確に知っておくことが解析精度を高める上で重要であ
るが、高度計の指向性、ヘリコプターの姿勢位置、樹木
及び地形の影響により、現状ではこれを正確に測定する
方法がないという問題もある。
【0008】レベリングおよび各周波数問の整合性の問
題は、同質同根の問題であり測定誤差が大きく関係して
いる。そのために、測定および0レベルに関する正しい
測定値を確定することが必要である。
【0009】土木地質分野では、平面情報に加えて風化
層厚や地下水位といった深度情報が重要であるために、
比抵抗断面図の作成やインバージョン解析が不可欠であ
る。そのためには、正しいI、Qおよび各周波数間の整
合性が重要である。そこで、本発明はキャリプレーショ
ンの内容を数式で表現し、誤差が測定値にどのような影
響を及ぼすかについて明確にすることにし、さらに、E
M測定値に含まれるドリフトを合理的に補正して真値に
近いI、Qを求めると同時に、各周波数間の整合性をも
図る方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の第1の態様は、下記工程からなることを特徴
とする空中電磁法のレベリングにおけるドリフト補正方
法である。 (a) 測定飛行前に、測定機器類について、地上で通
常のキャリブレーションを行い、さらに高高度での0レ
ベルの設定を行ってから、調査対象地域内又は調査対象
地域近くの平坦地を選んで垂直多点測定によるドリフト
補正のためのデータ取得を行い、(b) 次に、通常の
測定飛行を行い、調査終了又は給油のために着陸する直
前に、前記垂直多点測定を行った同一箇所で、再度同一
内容の垂直多点測定を行い、(c) 次に、室内での測
定データの処理時に、通常のレベリング手法を用いて0
レベルを設定し、実測値(Iobs、Qobs)の大き
さを求め、(d) 前記(a)の測定飛行前と前記
(b)の測定飛行後の垂直多点測定値それぞれについ
て、インバージョン手法を用いて、キャリブレーション
時の利得及び位相誤差によるドリフト(α、β、γ、
δ)を求め、ドリフト補正を施すことにより、正確な応
答値(I、Q)を得る。
【0011】本発明の第2の態様は、前記垂直多点測定
は、各測定飛行の前後に同一地点上で垂直方向に対地高
度20〜150mで連続的に行ってデータを取得するこ
とを特徴とする空中電磁法のレベリングにおけるドリフ
ト補正方法である。
【0012】本発明の第3の態様は、前記インバージョ
ン手法は、垂直多点測定を行った地点の地下が水平多層
構造からなると仮定し、各周波数毎のドリフトの数と水
平多層構造パラメーターの数の総計を未知数とし、垂直
多点測定によるデータ数が前記未知数の総数を上回るよ
うにしてドリフトを含む全未知数を最小2乗法を用いて
求める計算法であることを特徴とする空中電磁法のレベ
リングにおけるドリフト補正方法である。
【0013】本発明の第4の態様は、前記ドリフト
(α、β、γ、δ)は、測定飛行に先立って地上で行う
機器のキャリブレーションを行っても避けられない利得
及び位相の誤差に起因する、ドリフト補正時に求めるべ
き対象項目であるα、β、γ、δを合わせたものであり
下記の式で示されることを特徴とする空中電磁法のレベ
リングにおけるドリフト補正方法である。 Iobs=αI+βQ+γ Qobs=−βI+αQ+δ
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て説明する。HEMでは、一対の送・受信コイル間の相
互インタクタンスの変化を測定して地下の比抵抗分布を
求める。送信コイルに交流電流を通じると、コイルの周
辺に交流磁場(1次磁場)が発生する。この1次磁場が
地中を通過する際に、地中にはこの磁束の変化を打ち消
すように測電流が誘起され、2次磁場を発生させる。2
次磁場の強さは地下の比抵抗に依存するので、1次磁場
に対する2次磁場の割合を受信コイルで測定することに
より、磁場が透入した深度までの地下の平均的な比抵抗
が求められる。
【0015】図3にHEM計測の概念図を示した。2次
磁場に比べて送信コイルから受信コイルに直接的に入る
1次磁場の方がはるかに大きいために、送信コイルの近
くに小さなバッキングコイル(受信コイルと逆巻き直列
接続)を設けて1次磁場の影響を相殺し、2次磁場を増
幅して同相成分と離相成分とに分別して、1次磁場(大
きさは既知)に対する同相成分比I(ppm)と離相成
分比Q(ppm)とを測定する。
【0016】測定飛行に先立って地上でキャリブレーシ
ョンを行うが、キャリブレーションのやり方を数式で表
現した場合、結果として、キャリブレーションによって
修正される誤差とキャリブレーションによっても避ける
ことのできない誤差があり、次式のように表現される。
【0017】
【数1】
【0018】数式1は、利得および位相誤差と1次磁場
Pの残留分によって、HEM測定値にゆがみが生ずる
ことを示している。数式1の右辺を吟味したところ、
I、Qの真値に関係する部分と残留1次磁場に関係する
オフセット部分からなっており、その結果、数式1を次
式のように書くことができる。
【0019】
【数2】
【0020】なお、便宜上、Δg、Δφ、Δγ、Δδの
4要素を併わせて単にドリフトと総称する。そこで、数
式2をさらに次式のように書き直すことにする。
【0021】
【数3】
【0022】数式3は、α、β、γおよびδを合理的に
推定することができるならば、同相成分Iおよび離相成
分Qを精度よく求めることができることを示している。
【0023】そこで、測定データから逆にドリフトの大
きさを知ることが望まれる。しかし、数式2あるいは数
式3から判るように、単一測点での測定データを用いる
限りは、情報量不足のため不可能である。そこで、多測
点のデータを同時に使用すれば可能となることに着目
し、検討を行った。以下にその概要について述べる。
【0024】まず、複数の測点の区別と複数の使用周波
数の区別を添え字i、jによって数式3は次式のように
なる。
【0025】
【数4】
【0026】さらに、数式4の右辺のIj (i)とQj (i)
水平多層モデルに関する周知のフォワード計算アルゴリ
ズム(例えば、Frischknecht(1967):Fields about an
oscillating magnetic dipole over a two-layer eart
h, and Application to ground and airborne electrom
agnetic surveys, Quarterly of the Colorado School
of Mines, vol.62,No.1)の与えるHEM応答の理論値
で表すことができるものとする。すなわち次式のように
なる。
【0027】
【数5】
【0028】すると、測定値データIobsj (i)、Qo
bsj (i)の総数は、測点数×周波数の種類数×2相分=
2・Nobs・Hfであり一方、未知数の数は、ドリフ
トの数×周波数の種類数十測点数×水平多層モデルの未
知バラメータ(h(i)、ρ1 (i )、d1 (i)、・・・、ρ
Nlayer (i))の総数=4・Hf+Nobs・2・Nlay
erである。現使用システムではNf=5であるから、
水平多層モデルの総数Nlayerをあまり大きくとら
なければ、測点数Nobsを適当に選ぶことによって、
データの総数が未知数の総数を上回るようにできる。こ
のことから、ドリフトを含む全ての未知数の推定を可能
にする次式の形式の最小2乗法が考えられる。
【0029】
【数6】
【0030】ところで、この最小2乗法の実行に使用で
きる測定データIobsj (i)、Qobsj (i)を入手する
には、図4に示した2通りの方法が考えられる。図4
(b)は、一連の水平方向の走査フライトで得られる複
数地点でのデータを使用する方法であり、本発明では、
このデータを水平多点データと称し、そして、水平多点
データを用いて上記の最小2乗法の解を求めることを水
平多点インバージョンと略称する。図4(a)は、地点
を1つ定めその上空で測定高度を幾通りも変えて得られ
る垂直方向の多測点データを使用する方法であり、本発
明ではこのデータを垂直多点データと称し、垂直多点デ
ータを用いて上記の最小2乗法の解を求めることを垂直
多点インバージョンと略称する。
【0031】垂直多点インバージョンと水平多点インバ
ージョンとでは、実用上、前者の方が優れていると考え
られた。その理由は、HEMバードの対地高度hと未知
数の数の問題にある。数式6では、対地高度hが未知数
として含まれている。ヘリコプターに取り付けた電波高
度計の指向性の問題や地表の植生などによる障害のため
対地高度hを正確に測定することは非常に困難である
が、HEM応答値は対地高度hの3乗に逆比例として減
衰するために、水平多点インバージョンでは対地高度h
は推定対象の重要な1項目である。
【0032】これに対して垂直多点インバージョンの場
合は、選ばれた1地点の空中での対地高度hの値は、例
えばその地点として植生のない良く整地されているヘリ
ポート等を選ぶことによって、一定の測定誤差の範囲内
で比較的正確に求められる。また、水平多点インバージ
ョンでは測定点毎に地下の比抵抗パラメータ(ρj
j)が異なるのに対し、垂直多点インパ−ジョンでは
唯一地点での比抵抗バラメータだけを考えればよいの
で、推定すべき未知数が著しく減って目的項目の推定精
度が向上すると期待できる。
【0033】また、垂直多点インバージョンの場合は、
何時でも変化に富んだ応答値の組み合わせを提供できる
ので、比較的安定してドリフトを求めることができる。
【0034】従って本発明では、垂直多点インパージョ
ンについて検討を進めた。垂直多点インバージョンでは
数式5は次の数式7のように書き変えられる。また、対
地高度h(i)の測定値を積極的に利用できるように、数
式6の最小2乗法の規準を次の数式8のように改めたも
のを用いる。
【0035】
【数7】
【0036】
【数8】
【0037】垂直多点インバージョンの解法について以
下に説明する。解法としては、非線型の最適化問題なの
で、通常よく行われる1次方程式を解きながら改良ステ
ップを進める反復法を採用できる。
【0038】まず、数式8の関数Φ*の未知数に関する
テーラー展開近似を、その適当な初期値(出発値)の回
りで行うことを考える。ドリフトを除く他の未知数を次
式で表わす。
【0039】
【数9】
【0040】次に、初期値の回りで数式10及び数式1
1の変数変換を行う。
【0041】
【数10】
【0042】
【数11】
【0043】各変化量を次式のように書く。
【0044】
【数12】
【0045】これらの変化最を変数とする関数Φ*の初
期値の回りでのテーラー展開近似をとると次式が得られ
る。
【0046】
【数13】
【0047】数式13の最適化は、変数Δxr、Δxh
g、bに関する線型の最適化問題であるが、計算時間の
短縮を図るために、次式に示した各変数についての部分
最適化を逐次に求めていく方法をとることができる。
【0048】
【数14】
【0049】計算の流れは、未知変数xr、xh、g、b
に適当な初期値を与えて、このアルゴリズムを用いてΔ
r、Δxh、g、bを求め、値の更新を数式15のよう
に行う。これを指定の回数だけ繰り返す。
【0050】
【数15】
【0051】なお、数式1〜3においては真の応答値に
対応する推定応答データI,Qを説明変数とし、実測デ
ータIobs、Qobsを被説明変数としている。ドリ
フト補正の観点からは、実測データIobs、Qobs
から真の応答値I、Qを求めることにあるために、次の
数式16の形の回帰式の回帰係数α’、β’、γ’、
δ’を求める方が手っ取り早いが、一応、本発明では統
計理論の観点および応答データの誤差の構造を知るのに
役立つといったメリットから、まず、数式1〜3式の
α,β,γ,δを求め、その後に数式17の関係より
α’、β’、γ’、δ’に変換した。
【0052】
【数16】
【0053】
【数17】
【0054】垂直多点インバージョンによる新ドリフト
補正手法が、正常に動作するかどうかを確認するために
数値実験を行った。図5としての表1に示した8ケース
の2層比抵抗構造モデルについて垂直多点測定に対応す
るフォワード計算値(Icj、Qcj)を求め、それらにド
リフト(αj、βj、γj、δj)を与えて実測値相当値と
みなし、垂直多点インバージョン手法により与えたドリ
フトが精度よく推定できるかどうかについて検討した。
その結果、8ケースのいずれの場合についても期待通り
の良好な結果が得られた。第1層および第2層の比抵抗
値をρ1およびρ2とすると、HEMのインバージョンで
は一般に、ρ1>ρ2の場合よりもρ1<ρ2の場合の方が
難しい問題であるので、ここでは表1のL−5およびL
−40の場合の数値解析を例を示した。
【0055】図6としての表2(a)及び表2(b)
に、L−5(ρ1=10Ωm、ρ2=100Ωm、d=5
m)およびL−40(ρ1=10Ωm、ρ2=100Ω
m、d=40m)についての垂直多点測定に対応するフ
ォワード計算値(Icj、Qcj)を示した。図7として表
3に、この検討に当たって与えた各ドリフトの大きさを
示した。また、数式3に従って表2のフォワード計算値
(真値に相当)に表3のドリフトを与えた結果(Iob
j、Qobsj:実測値に相当)を図8としての表4に
示した。そこで、表4の結果に対して本発明の開発した
垂直多点インバージョン手法を適用してドリフトの推定
を行った。この場合の条件は次のように設定した。
【0056】すなわち, 計算反復回数: 20 比抵抗構造 :水平2層構造 比抵抗初期値:第1層−137.5kHz見掛比抵抗値 第2層−0.22kHz見掛比抵抗値 層厚初期値 :第1層厚− 20m
【0057】垂直多点インバージョン手法により求めら
れた各周波数毎のドリフトを図9としての表5に示した
が、この結果は表3の値とほぼ完全に一致している。ま
た、当然ことながら、求められた表5のドリフトを用
い、数式17の関係を使って真の応答値を求めた結果も
表2の結果と一致している。したがって、本アルゴリズ
ムが正常に動作するものと判断した。
【0058】
【実施例】採石場跡の平坦地において地上電気探査およ
びHEMの垂直多点測定を実施した。図10としての表
6に垂直多点測定の実測値(Iobs、Qobs)をそ
れぞれ示した。また、地上電気探査から求められた比抵
抗構造についてHEM応答のフォワード計算を行い、垂
直多点測定に対応する理論応答値(IC、QC)を得た。
その結果を図11としての表7に示した。
【0059】図12に、(IC、QC)と(Iobs、Q
obs)の差を示した。横軸に対地高度hをとり、縦軸
に実測値と理論応答値との差(Iobs−IC、Qob
s−QC)をとっている。実線はIobs−ICを示し、
点線はQobs−QCを示している。図12で示したよ
うに、いずれの周波数においても曲線となり、実測値に
は平行オフセット分の誤差だけでなく、利得および位相
の狂いによる誤差も含まれていることを意味している。
その理由は、利得および位相に狂いがない場合には平行
オフセット分の誤差のみにより平行な直線になると考え
られるからである。
【0060】表6の実測値に対して発明者の開発した垂
直多点インバージョン手法を適用してドリフトの推定を
行った。この場合の条件は次のように設定した。すなわ
ち、 計算反復回数: 20 比抵抗構造 :水平3層構造 比抵抗初期値:第1層 − 137.5kHz見掛比抵抗値 第2層 − 5.5kHz見掛比抵抗値 第3層 − 0.2kHz見掛比抵抗値 層厚初期値 :第1層厚 − 10m 第2層厚 − 20m
【0061】垂直多点インバージョン手法により求めら
れた各周波数毎のドリフト(α,β,γ,δ)を図13
としての表8に示した。γ,δはさておき、本来はα≒
1,β≒0となるべきであるところが、この結果は利得お
よび位相は相当の誤差を含んでいることを示している。
【0062】実測値(表6)から求められたドリフト
(表8)と数式17とを用いてドリフト補正した結果
(Id、Qd)を図14としての表9に示した。図15
に、表9のドリフト補正済み値と表7の理論応答値との
差(Id−IC,Qd−QC)を示した。実線はId−IC
示し、点線はQd−QCを示している。高周波数の低高度
側で若干の差異は認められるが、図12比べて著しく改
善されている。この若干の差異は、地上電気探査で求め
た比抵抗構造と垂直多点インバージョンで求めた比抵抗
構造の違いによるものである。事実、垂直多点インバー
ジョンで仮定した水平3層構造の代わりに地上電気探査
で求めた比抵抗構造(表7)を用いてドリフトを求め、
ドリフト補正した値と表7との差異を図16に示した。
ここで、実線はId−ICを示し、点線はQd−QCを示し
ている。この場合にはドリフトはほぼ完全に補正されて
いる。
【0063】図17としての表9には各周波数毎のドリ
フト値を示した。このドリフト値から、ドリフトの動き
の傾向がおおむね合致していることがわかる。このこと
は、本手法のアルゴリズムが正常に動作していることを
示している。
【0064】通常、0レベルを調整する場合の縦スケー
ルは、 137.5kHz : 20ppm/mm 27.5kHz : 20ppm/mm 5.5kHz : 10ppm/mm 1.1kHz : 2ppm/mm 0.22kHz : 2ppm/mm が一般的であり、これが1〜5mm程度で上下される現
状を考えると、図15および図16の結果は十分に許容
される範囲内にあると考えられる。したがって、垂直多
点インバージョンによりドリフトを補正する本アルゴリ
ズムは期待通りに正常に動作するものと判断できる。
【0065】
【発明の効果】HEMの応答誤差の構造に注目し、同一
地点での垂直方向の多測点デー夕を用いるインバージョ
ン手法により、測定システムの利得位相の狂いによるド
リフト及び直流バイアス分に相当する平行オフセットを
合理的に求める方法を開発し、このアルゴリズムが正常
に動作することを確認した。この手法によって求めたド
リフトを用いて新しい0レベルにリセットすることによ
って測定植がより真値に近い値に修正されることにな
る。通常のHEM測定の直前と直後に同一地点で垂直多
点データを取得し、ドリフトの経時変化をも補正する測
定法を確立することによって、測定精度自身の大幅な向
上とレベリングに要していた時間の大幅な短縮ひいては
調査期間の大幅な短縮が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘリコプターを利用した周波数領域型空中電磁
法による探査法である。
【図2】周波数領域型空中電磁法による探査法原理の概
略である。
【図3】周波数領域型空中電磁法の概念図である。
【図4】垂直多点データ及び水平多点データを説明する
図である。
【図5】表1として示した、数値実験用の8ケースの2
層比抵抗構造モデルである。
【図6】表2として示した、L−5およびL−40につ
いての垂直多点測定に対応するフォワード計算値であ
る。
【図7】表3として示した、各ドリフトの大きさであ
る。
【図8】表4として示した、ドリフトを与えた結果であ
る。
【図9】表5として示した、垂直多点インバージョン手
法により求められた各周波数毎のドリフトである。
【図10】表6として示した、垂直多点測定の実測値で
ある。
【図11】表7として示した、垂直多点測定に対応する
理論応答値である。
【図12】垂直多点測定に対応する理論応答値と垂直多
点測定の実測値との差を示した。
【図13】表8として、垂直多点インバージョン手法に
より求められた各周波数毎のドリフトを示した。
【図14】表9として、補正した結果を示した。
【図15】表9のドリフト補正済み値と表7の理論応答
値との差を示した。
【図16】ドリフト補正した値と表7との差異を示し
た。
【図17】図17としての表10には各周波数毎のドリ
フト値を示した。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程からなることを特徴とする空中
    電磁法のレベリングにおけるドリフト補正方法。 (a) 測定飛行前に、測定機器類について、地上で通
    常のキャリブレーションを行い、さらに高高度での0レ
    ベルの設定を行ってから、調査対象地域内又は調査対象
    地域近くの平坦地を選んで垂直多点測定によるドリフト
    補正のためのデータ取得を行い、(b) 次に、通常の
    測定飛行を行い、調査終了又は給油のために着陸する直
    前に、前記垂直多点測定を行った同一箇所で、再度同一
    内容の垂直多点測定を行い、(c) 次に、室内での測
    定データの処理時に、通常のレベリング手法を用いて0
    レベルを設定し、実測値(Iobs、Qobs)の大き
    さを求め、(d) 前記(a)の測定飛行前と前記
    (b)の測定飛行後の垂直多点測定値それぞれについ
    て、インバージョン手法を用いて、キャリブレーション
    時の利得及び位相誤差によるドリフト(α、β、γ、
    δ)を求め、ドリフト補正を施すことにより、正確な応
    答値(I、Q)を得る。
  2. 【請求項2】 前記垂直多点測定は、各測定飛行の前後
    に同一地点上で垂直方向に対地高度20〜150mで連
    続的に行ってデータを取得することを特徴とする請求項
    1に記載の空中電磁法のレベリングにおけるドリフト補
    正方法。
  3. 【請求項3】 前記インバージョン手法は、垂直多点測
    定を行った地点の地下が水平多層構造からなると仮定
    し、各周波数毎のドリフトの数と水平多層構造パラメー
    ターの数の総計を未知数とし、垂直多点測定によるデー
    タ数が前記未知数の総数を上回るようにして、ドリフト
    を含む全未知数を最小2乗法を用いて求める計算法であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の空中電磁法のレベ
    リングにおけるドリフト補正方法。
  4. 【請求項4】 前記ドリフト(α、β、γ、δ)は、測
    定飛行に先立って地上で行う機器のキャリブレーション
    を行っても避けられない利得及び位相の誤差に起因す
    る、ドリフト補正時に求めるべき対象項目であるα、
    β、γ、δを合わせたものであり下記の式で示されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の空中電磁法のレベリン
    グにおけるドリフト補正方法。 Iobs=αI+βQ+γ Qobs=−βI+αQ+δ
JP2001231362A 2001-07-31 2001-07-31 空中電磁探査法のドリフト補正方法 Pending JP2003043157A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001231362A JP2003043157A (ja) 2001-07-31 2001-07-31 空中電磁探査法のドリフト補正方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001231362A JP2003043157A (ja) 2001-07-31 2001-07-31 空中電磁探査法のドリフト補正方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003043157A true JP2003043157A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19063430

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001231362A Pending JP2003043157A (ja) 2001-07-31 2001-07-31 空中電磁探査法のドリフト補正方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003043157A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006105907A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Central Res Inst Of Electric Power Ind 探査システム
JP2011220911A (ja) * 2010-04-13 2011-11-04 Nippon Engineering Consultants Co Ltd 空中電磁探査法による地盤の解析方法
CN106226828A (zh) * 2016-07-18 2016-12-14 吉林大学 时间域航空电磁数据约束多项式拟合调平方法
JP2018194454A (ja) * 2017-05-18 2018-12-06 国立研究開発法人産業技術総合研究所 地下電磁探査装置
CN110598367A (zh) * 2019-10-12 2019-12-20 中南大学 一种足迹引导的高效航空电磁法数值模拟方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006105907A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Central Res Inst Of Electric Power Ind 探査システム
JP4498875B2 (ja) * 2004-10-08 2010-07-07 財団法人電力中央研究所 探査システム
JP2011220911A (ja) * 2010-04-13 2011-11-04 Nippon Engineering Consultants Co Ltd 空中電磁探査法による地盤の解析方法
CN106226828A (zh) * 2016-07-18 2016-12-14 吉林大学 时间域航空电磁数据约束多项式拟合调平方法
JP2018194454A (ja) * 2017-05-18 2018-12-06 国立研究開発法人産業技術総合研究所 地下電磁探査装置
CN110598367A (zh) * 2019-10-12 2019-12-20 中南大学 一种足迹引导的高效航空电磁法数值模拟方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Delefortrie et al. An efficient calibration procedure for correction of drift in EMI survey data
Frischknecht et al. Profiling methods using small sources
US6791331B2 (en) Method and apparatus for measuring characteristics of geological formations
US8159227B2 (en) Methods for making directional resistivity measurements
Becken et al. DESMEX: A novel system development for semi-airborne electromagnetic exploration
US20100283470A1 (en) Compensated directional resistivity measurements
Moghadas et al. Joint full-waveform analysis of off-ground zero-offset ground penetrating radar and electromagnetic induction synthetic data for estimating soil electrical properties
CN101636669B (zh) 地形校正系统
US10670765B2 (en) Differential target antenna coupling (DTAC) data corrections
NO335528B1 (no) Samtidig bestemmelse av formasjonsvinkler og anisotropisk resistivitet ved bruk av multikomponent induksjonsloggdata
CN108061891B (zh) 一种无控制点的干涉sar基线矢量估计方法
JP2009074953A (ja) 電磁探査装置、電磁探査方法及びプログラム
Lambot et al. Frequency dependence of the soil electromagnetic properties derived from ground-penetrating radar signal inversion
GB2311376A (en) Method and system for skin effect correction in a multiple transmit frequency induction logging system
JP2003043157A (ja) 空中電磁探査法のドリフト補正方法
US11086046B2 (en) System and method for the calibration of azimuthal resistivity logging tools
CN111965712B (zh) 一种校正可控源音频大地电磁法静态效应的方法
EP4211501A1 (en) Methods and apparatus for determining dielectric constant and resistivity with electromagnetic propagation measurements
KR100945362B1 (ko) 전자탐사장치, 전자탐사방법 및 프로그램을 기록한 컴퓨터로 읽을 수 있는 매체
US10901107B2 (en) Calibration method for electromagnetic induction measurement systems, and apparatus
Alfano THE INFLUENCE OF SURFACE FORMATIONS ON THE APPARENT RESISTIVITY VALUES IN ELECTRICAL PROSPECTING*) Ist Part
Rabinovich et al. Challenges of measuring dielectric anisotropy with high-frequency dielectric logging tools
Saksa et al. System stability and calibrations for hand-held electromagnetic frequency domain instruments
WO2017070833A1 (zh) 电磁检测仪器的偏置误差校正方法
Finco et al. Calibration of near‐surface multi‐frequency electromagnetic induction data