JP2011220709A - ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素ポンプセルの固体電解質体にブラックニングを生じさせることなく、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できるガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスセンサでは、多孔質層112を第1多孔質部112A,第2多孔質部112Bで構成し、それらの気孔率がいずれも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なり、さらに多孔質層の面積を100%としたときの面積率が何れも70%以下になるように調整されている。これらの条件を満たすことによって、酸素ポンプセルの起電力が場所によって異なるので、センサ全体として見た場合の合成起電力の変化を緩やかにできる。従って、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガスセンサに関するものである。
従来、自動車などの排気ガス中の特定ガス、例えばNOxや酸素などの濃度に応じ、排気ガスの空燃比制御を行うガスセンサが知られている。一例としてジルコニアを用いた酸素センサは、ジルコニアからなる固体電解質体を挟む一対の電極からなる酸素ポンプセル及び酸素濃度検知セルを備えている。このうち、酸素ポンプセルでは、酸素濃度検知セル間の電圧が基準電圧となるように、一対の電極間に流す電流の大きさや向きが制御され、これにより、ガス検出室から素子外部に向かって酸素の汲み出し、又は素子外部からガス検出室に向かって汲み入れが行われる。そして、酸素ポンプセルに流れる電流に基づいて、排気ガス中に含まれる酸素濃度、ひいては排気ガスの空燃比を特定できる(例えば、特許文献1参照)。なお、この酸素ポンプセルには、排気ガス中に含まれるリン等の被毒物質から電極を保護するため、固体電解質体を挟む一対の電極のうち、被測定ガスに晒される第1電極を覆うように多孔質層が設けられている。
特開2007―33114号公報
ところで、この酸素ポンプセルは起電力を有するため、一対の電極間に流す電流は、この起電力の影響を受けることとなる。そして、上記のガスセンサでは、燃料がリーンからリッチ(又はリッチからリーン)に切り替わるときに、酸素ポンプセルの起電力が急変するため、その起電力の急変に回路側が追従しきれず、電流がオーバーシュートしてしまい、回復させるために逆シュートする現象(ストイキ乗り越し)が起こるという問題点があった。この場合、排気ガス中の正確な酸素濃度および空燃比を特定することが困難であった。
そこで、例えば、多孔質層の気孔率を従来より小さくすることで、第1電極上のガス置換を遅くすることが考えられる。これにより、酸素ポンプセルの起電力による変化速度をゆるやかにでき、リーンからリッチ(又はリッチからリーン)に切り替わるときであっても、一対の電極間に流す電流が起電力の影響を受けにくくなり、排気ガス中の正確な酸素濃度および空燃比を特定することができる。しかしながら、素子外部からガス検出室内に向かって酸素を汲み入れる場合、第1電極への酸素の到達速度が遅くなる。すると、ガス検出室内に酸素が供給不足になるため、酸素ポンプセルの固体電解質体が電気分解して、固体電解質中に含まれる酸素が検出室内に供給することとなり、固体電解質体の破壊(ブラックニング)が起きる虞があった。
また、酸素ポンプセルの電極の触媒活性を低下させることで、酸素ポンプセルの起電力が小さくでき、リーンからリッチ(又はリッチからリーン)に切り替わるときであっても、一対の電極間に流す電流が起電力の影響を受けにくくなり、排気ガス中の正確な酸素濃度および空燃比を特定することができる。しかしながら、酸素ポンプセルの電極の触媒活性を低下させると、酸素ポンプセルの電極反応が抑止されて電極抵抗が上昇するため、同様にブラックニングが起きる虞があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、酸素ポンプセルの固体電解質体にブラックニングを生じさせることなく、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できるガスセンサを提供することを目的とする。
本発明に係るガスセンサの実施態様によれば、被検出ガスが導入される検出室と、第1固体電解質体、および前記第1固体電解質体上に形成された一対の電極を有し、前記一対の電極のうち、一方の第1電極が、多孔質層を介して前記被検出ガスに晒され、他方の第2電極が、前記検出室内に配置され、前記一対の電極間に通電される電流に応じて前記検出室内に導入される前記被検出ガスに含まれる酸素の汲み入れまたは汲み出しを行う酸素ポンプセルと、前記検出室を介して、前記第1固体電解質体に積層される第2固体電解質体、および前記第2固体電解質体上に形成された一対の電極を有し、前記一対の電極のうち、一方の第3電極が前記検出室内に配置され、前記一対の電極間において前記検出室の酸素濃度に応じた電圧を発生する酸素濃度検知セルと、を備えたガスセンサにおいて、前記多孔質層は、前記第1電極を覆って形成されるとともに、気孔率がいずれも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なる2以上の多孔質部からなり、前記ガスセンサの積層方向に見て、前記第1電極接触する前記多孔質層の接触面の面積を100%としたときに、前記第1電極に接触する前記多孔質部の部分接触面の面積がそれぞれ70%以下であることを特徴とする。
本実施態様に係るガスセンサでは、多孔質層は、第1電極を覆って形成されるとともに、互いの気孔率が10%以上異なる2以上の多孔質部からなっているので、第1電極の場所によって酸素の到達速度を異ならせることができる。よって、酸素ポンプセルの起電力の変化速度も場所によって異なるので、センサ全体として見た場合の起電力の変化速度を緩やかにできる。また、多孔質層の気孔率は何れも20%以上であるので、ガスセンサ外部から検出室内に向かって酸素を汲み入れる場合、第1電極への酸素の到達速度が遅くなることがなく、検出室内に酸素が供給不足にならない。その結果、固体電解質を電気分解して酸素が検出室内に供給することがなく、ブラッブラックニングの発生を防止できる。さらに、気孔率は70%以下であるので、第1電極を被毒から保護できる。さらに、2以上の多孔質部の第1電極に接触する部分接触面の面積が、それぞれ70%以下であるので、特定の多孔質部による起電力の変化速度とならない。よって、2以上の起電力を合成することによって、合成起電力の変化速度を緩やかにすることができるので、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できる。
また、本実施態様において、前記多孔質層は、前記部分接触面が前記接触面の一端部を構成する第1多孔質部と、前記部分接触面が前記一端とは反対側の他端部を構成する第2多孔質部と、を備える2以上の多孔質部からなり、前記2以上の多孔質部は、第1多孔質部から第2多孔質部に向かって多孔質部毎に段階的に気孔率が高くてもよい。これにより、複雑な構成を形成することなく、気孔率が段階的に異なる多孔質部を第1電極に配置することで、合成起電力の変化速度を緩やかにすることが達成でき、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できることを容易に達成できる。
なお、「第1多孔質部から第2多孔質部に向かって多孔質部毎に段階的に気孔率が高く」するとは、接触面の一端から他端に向かって気孔率の小さい多孔質部から順番に複数配置されていても良いだけでなく、接触面の一端から他端に向かって漸近的に気孔率が高くなっている単一の多孔質層が配置されていても良い。この場合、単一の多孔質層を仮想的に接触面の一端から他端に向かって分割し、分割された多孔質層のそれぞれを複数の多孔質部として考える。
また、本実施態様において、前記ガスセンサは、前記第1固体電解質体及び前記第2固体電解質体を加熱するヒータを備え、前記ガスセンサの積層方向に見たときに、前記多孔質層は、前記部分接触面が前記ヒータの発熱中心側の前記接触面を構成する第3多孔質部と、前記部分接触面が前記第3多孔質部よりも前記発熱中心から離れた前記接触面を構成する第4多孔質部とを備える2以上の多孔質部からなり、前記2以上の多孔質部は、第3多孔質部から第4多孔質部に向かって多孔質部毎に段階的に気孔率が低くてもよい。ヒータには場所によって温度分布がある。ヒータの中央に位置する発熱中心は最も温度が高く、端の部分は温度が低い。温度が高いとガスの拡散速度は速くなり、温度が低いとガスの拡散速度は遅くなる。従って、発熱中心に対応する第3多孔質部の気孔率を高く、その両側の第4多孔質部の気孔率を低くすることで、より2以上の起電力の変化速度の差を離すことで、合成起電力の変化速度をより緩やかにすることができるので、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できる。
なお、「第3多孔質部から第4多孔質部に向かって多孔質部毎に段階的に気孔率が低く」するとは、第3多孔質部から第4多孔質部に向かって気孔率の大きい多孔質部から順番に複数配置されていても良いだけでなく、発熱中心から遠ざかるに従い漸近的に気孔率が低くなる単一の多孔質層が配置されていても良い。この場合、単一の多孔質層を仮想的に発熱中心側から遠ざかる方向に向かって分割し、分割された多孔質層のそれぞれを複数の多孔質部として考える。
ガスセンサ1の縦断面図である。 ガスセンサ素子100の分解斜視図である。 ガスセンサ素子100の横断面図である。 評価1の結果を示すグラフである。 評価2の結果を示すグラフである。 評価3の結果を示す表である。 ガスセンサ素子200の横断面図である。 ガスセンサ素子300の横断面図である。 ガスセンサ素子400の横断面図である。
以下、本発明を具体化したガスセンサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本発明に係るガスセンサの一例として、ガスセンサ1の構造について、図1を参照して説明する。
なお、以下の図面において、図1の上下方向をガスセンサ1(またはガスセンサ素子100)の軸線O方向(1点鎖線で示す。)とする。そして、図1の下側を、ガスセンサ1(またはガスセンサ素子100)の先端側とし、また、図1の上側を、ガスセンサ1(またはガスセンサ素子100)の後端側として説明する。
ガスセンサ1は、自動車の排気管(図示外)に取り付けられ、内部に保持するガスセンサ素子100の先端部11が排気管内を流通する排気ガス中に晒されて、その排気ガス中の酸素濃度から排気ガスの空燃比を検出する、いわゆる全領域空燃比センサである。ガスセンサ素子100からは、排気ガスの空燃比がリーンの場合には、理論空燃比に対し余剰となる酸素の量に応じた検出値(電流値)が得られ、リッチの場合には未燃焼ガスを完全燃焼させるのに必要な酸素の量に応じた検出値(電流値)が得られる。これら検出値をもとに、図示しないセンサ制御回路にて排気ガスの空燃比が求められてECU(電子制御ユニット)に対し出力され、空燃比フィードバック制御などに利用される。
ガスセンサ素子100は、軸線O方向に延びる細幅で板状の素子である(図1では、紙面左右方向を板厚方向、紙面表裏方向を板幅方向として示す。)。ガスセンサ1は、ガスセンサ素子100を金属カップ20内に保持し、さらに、自動車の排気管(図示外)に取り付けるための主体金具50内にて金属カップ20を支持することで、ガスセンサ素子100を主体金具50内に保持した構造を有する。
ガスセンサ素子100の中央部13には、自身の内部にガスセンサ素子100を挿通させた有底筒状をなす金属製の金属カップ20が配置されている。金属カップ20は主体金具50内にガスセンサ素子100を保持するための保持部材であり、筒底の開口25からガスセンサ素子100の先端部11が突出されている。また、筒底の縁部分の先端周縁部23は外周面にかけてテーパ状に形成されている。金属カップ20内には、アルミナ製のセラミックリング21と滑石粉末を圧縮して固めた滑石リング22とが、それぞれ、自身にガスセンサ素子100を挿通させた状態で収容されている。滑石リング22は金属カップ20内で押し潰されて細部に充填されており、これにより、ガスセンサ素子100が金属カップ20内で位置決めされて保持されている。
金属カップ20と一体となったガスセンサ素子100は、その周囲を筒状の主体金具50に取り囲まれて保持されている。主体金具50はガスセンサ1を自動車の排気管(図示外)に取り付け固定するためのものであり、SUS430等の低炭素鋼からなり、外周先端側に排気管への取り付け用の雄ねじ部51が形成されている。この雄ねじ部51よりも先端側には、後述するプロテクタ8が係合される先端係合部56が形成されている。また、主体金具50の外周中央には取り付け用の工具が係合する工具係合部52が形成されており、その工具係合部52の先端面と雄ねじ部51の後端との間には、排気管に取り付けた際のガス抜けを防止するためのガスケット55が嵌挿されている。さらに、工具係合部52の後端側には、後述する外筒65が係合される後端係合部57と、その後端側に、主体金具50内にガスセンサ素子100を加締め保持するための加締め部53とが形成されている。
また、主体金具50の内周で雄ねじ部51付近には段部54が形成されている。この段部54には、ガスセンサ素子100を保持する金属カップ20の先端周縁部23が係止されている。さらに、主体金具50の内周には滑石リング26が、自身にガスセンサ素子100を挿通させた状態で、金属カップ20の後端側から装填されている。そして、滑石リング26を後端側から押さえるように、筒状のスリーブ27が主体金具50内に嵌め込まれている。スリーブ27の後端側外周には段状をなす肩部28が形成されており、その肩部28には、円環状の加締めパッキン29が配置されている。この状態で主体金具50の加締め部53が、加締めパッキン29を介してスリーブ27の肩部28を先端側に向けて押圧するように加締められている。スリーブ27に押圧された滑石リング26は主体金具50内で押し潰されて細部にわたって充填され、この滑石リング26と、金属カップ20内にあらかじめ装填された滑石リング22とによって、金属カップ20およびガスセンサ素子100が主体金具50内で位置決め保持される。
主体金具50の先端(先端係合部56)からは、内部に保持するガスセンサ素子100の先端部11が突出されている。この先端係合部56には、ガスセンサ素子100の先端部11を、排気ガス中のデポジット(燃料灰分やオイル成分など被毒性の付着物質)による汚損や被水などによる折損等から保護するためのプロテクタ8が嵌められ、スポット溶接やレーザ溶接によって固定されている。プロテクタ8は、有底筒状の内側プロテクタ90と、内側プロテクタ90の外周面との間に空隙を有した状態でその径方向周囲を取り囲む筒状の外側プロテクタ80とから構成される2重構造を有する。
内側プロテクタ90には、ガスセンサ素子100を取り囲む周壁92と、周壁92の先端側を塞ぐ底壁93を有している。そして、周壁92の後端側に複数の内側導入孔95と、周壁92の先端側に複数の水抜き孔96と、底壁93に排出口97とが開口されている。内側プロテクタ90は、開口端側(後端側)の基端部91が先端係合部56の外周に係合され、その状態で外周を一周してレーザ溶接が施されており、主体金具50に固定されている。また、外側プロテクタ80には、内側プロテクタ90の周壁92を取り囲む周壁82を有している。この周壁82の先端側には、複数の外側導入孔85が開口されている。そして、外側プロテクタ80は、開口端側の基端部81が内側プロテクタ90の基端部91の外周に係合され、その状態で外周にスポット溶接が施されており、外側プロテクタ80もまた内側プロテクタ90と共に主体金具50に固定されている。さらに、外側プロテクタ80と内側プロテクタ90との間の空隙を閉じるように、外側プロテクタ80の周壁82の先端側に設けられた先端部83が内側プロテクタ90の周壁92に向けて内側に折り曲げられている。
外側導入孔85から外側プロテクタ80と内側プロテクタ90との間の空隙に導入される排気ガスは、内側プロテクタ90の周壁92の外周を取り囲む状態で旋回流を生じ、ガス成分と水分とに分離される。ガス成分は内側導入孔95から内側プロテクタ90内に導入され、ガスセンサ素子100に接触し、排出口97から外部に排出される。一方、水分は、水抜き孔96から内側プロテクタ90内に進入し、排出口97から外部に排出される。こうした構成により、ガスセンサ素子100の先端部は、排気ガス中のデポジットによる汚損や、被水に起因する熱衝撃による折損等から保護されている。
一方、主体金具50後端(加締め部53)からは、内部に保持するガスセンサ素子100の後端部12が突出されている。後述するが、ガスセンサ素子100の後端部12には、電極を取り出すための白金(Pt)からなる5つの電極パッド135(図2参照)が形成されている。また、それら電極パッド135それぞれに接触(電気的に接続)させる5つの接続端子61(図1ではそのうちの2つを図示。)を内部に保持した絶縁性セラミックスからなる筒状のセパレータ60が、ガスセンサ素子100の後端部12に被せられている。このセパレータ60には、ガスセンサ1の外部に引き出される5本のリード線64(図1ではそのうちの3本を図示。)と各接続端子61との各接続部分も収容され保護されている。
外筒65はステンレス(例えばSUS304)製で筒状をなし、主体金具50の後端側に取り付けられ、主体金具50の後端から露出されるガスセンサ素子100の後端部12やセパレータ60の周囲を覆って保護するものである。外筒65は、自身の先端側の開口端66が主体金具50の後端係合部57の外周に係合され、外周側から加締められると共に、外周を一周して後端係合部57にレーザ溶接され、主体金具50に固定されている。
また、外筒65とセパレータ60との間の間隙には、金属製で筒状の保持金具70が配設されている。保持金具70は自身の後端を内側に折り曲げて構成した支持部71を有し、自身の内部に挿通されるセパレータ60の後端側外周に鍔状に設けられた鍔部62を支持部71に係止させて、セパレータ60を支持している。この状態で、保持金具70が配置された部分の外筒65の外周面が加締められ、セパレータ60を支持した保持金具70が外筒65に固定されている。
さらに、セパレータ60の後端側には、外筒65の後端を閉塞するグロメット75が配置されている。このグロメットには、5本のリード線64を外部に取り出すためのリード線挿通孔76が5つ(図1ではそのうちの1つを図示)形成されている。
次に、ガスセンサ素子100の構造について説明する。図1に示すように、ガスセンサ素子100は、軸線O方向に延びる板状(短冊状)をなす。このガスセンサ素子100の先端部11は、排気ガス中の酸素ガス成分を検出する検出部とされている。この検出部には、排気ガスによる被毒から保護するため、その外表面を覆うようにして検出部保護層9が被覆されている(図1参照。図2では省略。)。
図2に示すように、ガスセンサ素子100は、互いに積層され主成分が異なる複数層を同時焼成して形成したものであり、特定ガス成分を検出する機能を果たす板状の検出素子150と、検出素子150を活性化させるために加熱する板状のヒータ170とを有する。なお、図2の左右方向が、図1における軸線O方向に相当し、図2の左側が図1における先端側、図2の右側が図1における後端側に位置する。
まず、検出素子150について説明する。図2に示すように、この検出素子150は、酸素ポンプセル151と、酸素濃度検出セル153と、これらの間に積層された緻密な絶縁層119と、酸素ポンプセル151を介して絶縁層119とは反対側に配置された保護層160から構成されている。酸素ポンプセル151は、緻密な第1固体電解質体115と、この第1固体電解質体115の両面に形成された第1電極部113及び第2電極部117とから構成されている。第1固体電解質体115は、ジルコニアを主成分として、安定化剤にイットリア又はカルシアを添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。この第1固体電解質体115の基端側の所定位置には、第1スルーホール導体215a及び第2スルーホール導体115bが貫通形成されている。
第1電極部113は、白金を主成分としており、先端側の所定位置に形成された平面視矩形状の第1電極113aと、この第1電極113aから基端側に延びる第1リード113bとから構成されている。この第1リード113bは、その基端において、後述する保護本体層111に設けられた第8スルーホール導体111cに電気的に接続している。
第2電極部117も、白金を主成分としており、先端側の所定位置に形成された平面視矩形状の第2電極117aと、この第2電極117aから基端側に延びる第2リード117bとから構成されている。この第2リード117bは、その基端において、第1固体電解質体115に設けられた第2スルーホール導体115bに電気的に接続すると共に、後述する絶縁層119に設けられた第5スルーホール導体119bに電気的に接続している。
酸素濃度検出セル153は、緻密な第2固体電解質体123と、この第2固体電解質体123の両面に形成された第3電極部121及び第4電極部125とから構成されている。第2固体電解質体123は、第1固体電解質体115と同様に、ジルコニアを主成分として、安定化剤にイットリア又はカルシアを添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。また、この第2固体電解質体123の基端側の所定位置には、第3スルーホール導体123aが貫通形成されている。
第3電極部121は、白金を主成分としており、先端側の所定位置に形成された平面視矩形状の第3電極121aと、この第3電極121aから基端側に延びる第3リード121bとから構成されている。この第3リード121bは、その基端において、後述する絶縁層119に設けられた第5スルーホール導体119bに電気的に接続している。
第4電極部125も、白金を主成分としており、先端側の所定位置に形成された平面視矩形状の第4電極125aと、この第4電極125aから基端側に延びる第4リード125bとから構成されている。この第4リード125bは、その基端において、第2固体電解質体123に設けられた第2スルーホール導体123aに電気的に接続している。
絶縁層119は、アルミナを主成分として形成されている。この絶縁層119には、前述の第2電極117a及び第3電極121aに対応する位置に、この絶縁層119を貫通する平面視矩形状の検出室119dが設けられている。また、この検出室119dの幅方向の両側には、素子外部と検出室119dとの間のガス拡散を所定の律速条件下で実現する拡散律速部120,120がそれぞれ設けられている。この拡散律速部120,120は、アルミナの多孔質体からなる。
また、絶縁層119の基端側の所定位置には、第4スルーホール導体119a及び第5スルーホール導体119bが貫通形成されている。この第4スルーホール導体119aは、第1固体電解質体115に設けられた第1スルーホール導体115aに電気的に接続すると共に、第2固体電解質体123に設けられた第3スルーホール導体123aに電気的に接続している。また、第5スルーホール導体119bは、第2電極部117の第2リード117bに電気的に接続すると共に、第3電極部121の第3リード121bに電気的に接続している。
次に、保護層160について説明する。図2に示すように、この保護層160は、緻密な保護本体層111を有する。この保護本体層111は、アルミナを主成分とする材質からなる。この保護本体層111には、前述の第1電極113aに対応する位置に、この保護本体層111を貫通する平面視矩形状の開口111dが設けられている。そして、この開口111d内には、これを閉塞するようにして、アルミナを主成分とする多孔質層112が設けられている。この多孔質層112は、気孔率がいずれも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なる複数の多孔質部から構成されている。なお、多孔質層112の詳細については後述する。
また、保護本体層111の表面のうち、基端側の所定位置には、3つの電極パッド135,135,135が幅方向に並んで配置されている。この保護本体層111の基端側の所定位置には、第6スルーホール導体111a、第7スルーホール導体111b及び第8スルーホール導体111cが貫通形成されている。第6スルーホール導体111aは、電極パッド135の1つに電気的に接続すると共に、第1固体電解質体115に設けられた第1スルーホール導体115aに電気的に接続している。また、第7スルーホール導体111bは、電極パッド135の1つに電気的に接続すると共に、第1固体電解質体115に設けられた第2スルーホール導体115bに電気的に接続している。また、第8スルーホール導体111cは、電極パッド135の1つに電気的に接続すると共に、第1電極部113の第1リード113bに電気的に接続している。
次に、ヒータ170について説明する。ヒータ170は、図2に示すように、第4電極部125を介して第2固体電解質体123に積層している。ヒータ170は、電気絶縁性の緻密な第1ヒータ絶縁層127と、電気絶縁性の緻密な第2ヒータ絶縁層131と、これらの間に挟まれ、通電により発熱する発熱抵抗体129とを有する。第1ヒータ絶縁層127、第2ヒータ絶縁層131は、それぞれアルミナを主成分とした材質から形成されている。
また、この第2ヒータ絶縁層131の基端側の所定位置には、第9スルーホール導体131aと第10スルーホール導体131bが貫通形成されている。また、この第2ヒータ絶縁層131の表面のうち、基端側の所定位置には、2つの電極パッド135,135が幅方向に並んで配置されている。一方の電極パッド135は、第9スルーホール導体131aに電気的に接続している。他方の電極パッド135は、第10スルーホール導体131bに電気的に接続している。
発熱抵抗体129は、先端側の所定位置に配置され、蛇行状をなす発熱部129aと、この発熱部129aの一端から基端側に延びる第1ヒータリード部129bと、発熱部129aの他端から基端側に延びる第2ヒータリード部129cとからなる。第1ヒータリード部129bは、その基端において、第2ヒータ絶縁層131に設けられた第9スルーホール導体131aに電気的に接続している。また、第2ヒータリード部129cは、その基端において、第2ヒータ絶縁層131に設けられた第10スルーホール導体131bに電気的に接続している。
次に、ガスセンサ1を用いて排気ガス中の酸素濃度(排気ガスの空燃比)を検出する動作について簡単に説明する。図3に示すガスセンサ素子100において、まず、検出室119d内に、拡散律速部120,120を介して排気ガスが流入する。排気ガスの拡散速度は、拡散律速部120,120の気孔率によって所定の律速条件下で制御されている。この条件下で、酸素濃度検出セル153(図2参照)の第4電極125aから第3電極121aに向けて微小電流を通電する。この通電により、第3電極121a側から第4電極125a側に第2固体電解質体123を介して被検出ガス中の酸素が汲み込まれ、第4電極125aが酸素基準部として機能する。
次に、第3電極121aと第4電極125a間に発生する起電力(Vs)を検出し、この起電力(Vs)が基準電圧となるように酸素ポンプセル151(図2参照)の第1電極113a,第2電極117a間に流すポンプ電流(Ip)の大きさや向きを制御する。このポンプ電流(Ip)の大きさや向きに応じて、多孔質層112を介して、検出室119dの酸素の汲み入れ汲み出しが行われ、起電力(Vs)が基準電圧に制御される。そして、ガスセンサ1から出力されるポンプ電流(Ip)の大きさと向きに基づいて、排気ガス中に含まれる酸素濃度、ひいては排気ガスの空燃比を特定できる。
次に、多孔質層112の構造について、図3を参照して説明する。ガスセンサ素子100において、多孔質層112は、アルミナを主成分とする多孔体である。多孔質層112は、気孔率が互いに異なる2種類の多孔質部112A,112Bによって構成されている。このうち、第1多孔質部112Aは、第1電極113aの幅方向の一端寄りの表面を覆うようにして薄く形成されている。第2多孔質部112Bは、第1電極113aの幅方向の他端寄りの表面を覆うと共に、第1多孔質部112Aの上から保護本体層111の開口111dを埋めるようにして形成されている。
この多孔質層112では、第1多孔質部112A、第2多孔質部112Bの各気孔率はいずれも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なるように調整されている(条件1)。なお、本実施形態では、第2多孔質部112Bの気孔率の方が、第1多孔質部112Aの気孔率よりも高く調整されている。また、多孔質層112が第1電極113aに積層方向に接触する接触面の面積を100%としたときに、第1多孔質部112A、第2多孔質部112Bの第1電極113aに積層方向に接触する部分接触面の面積がそれぞれ70%以下になるように調整されている(条件2)。
多孔質層112における多孔質部の配置構成は、製法上容易である。つまり、第1多孔質部112Aを、第1電極113aの幅方向の一端寄りの表面を覆うように形成した後に、第1多孔質部112Aの上から保護本体層111の開口111dを埋めるようにして第2多孔質部112Bを形成すればよいので、条件1、2を満たす多孔質層を容易に形成することができる。
(評価1)
次に、多孔質層112を上記構造としたことの効果を確認するため、ガスセンサの比較試験を行った。本試験では、比較品であるガスセンサのサンプルA、Bと、本発明品であるガスセンサのサンプルCを用意した。サンプルA、Bの多孔質層は何れも1種類の気孔率を有する多孔質層で構成した。なお、サンプルAの多孔質層の気孔率は50%、サンプルBの多孔質層の気孔率は30%、サンプルCの多孔質層112はサンプルA、Bと同じ気孔率を有する第1多孔質部112A、第2多孔質部112Bをそれぞれ用いた。つまり、サンプルBの方が密である。これら3本のガスセンサのサンプルA、B、Cを自動車の排気管に取り付け、リーンからリッチに切り替わるときのポンプ電流(Ip)を測定した。ポンプ電流はセンサ出力である。
次に、比較試験の結果について、図4のグラフを参照して説明する。まず、サンプルAの酸素ポンプセルに流れる電流(以下、ポンプ電流という)の変化について説明する。リーンからリッチに切り替わると、ポンプ電流は、少し時間を置いてから徐々に低下し始め、ガスが検出室119d内に到達したと思われる時間P経過時に0mAとなった。その直後、ポンプ電流は急激に低下しさらにその反動で上昇するストイキ乗り越しが起きた。これは、酸素ポンプセルの第1電極にガスが到達したことによって酸素ポンプセルの起電力が急変したことに伴い、その起電力の急変に回路側が追従しきれず、ポンプ電流がオーバーシュートしてしまい、回復させるために逆シュートしたのが原因である。その後は緩やかに低下し、一定値に推移した。なお、リーンからリッチに切り替わった時点からポンプ電流が0mAになるまでの時間Pは、ガス検出室内にガスが到達するまでに要する時間である。
次に、サンプルBのポンプ電流の変化について説明する。サンプルBでは、サンプルAに遅れてストイキ乗り越しが起きたが、サンプルAで起きたストイキ乗り越しよりも小さかった。この理由は、サンプルBの気孔率がサンプルAの気孔率よりも低いため、サンプルAに比べて酸素ポンプセルの起電力が緩やかに変化したのが原因と思われる。
次に、サンプルCのポンプ電流の変化について説明する。サンプルCでは、ストイキ乗り越しが起きなかった。これは、酸素ポンプセル151の起電力の変化速度が多孔質部によってそれぞれ異なることから、センサ全体として見た場合の起電力の変化が緩やかになったものと推測される。従って、サンプルCでは、リッチとリーンが切り替わるときでもポンプ電流が乱れず追従できることがわかった。
(評価2)
次に、上記した比較試験の結果の理由を確認するために、サンプルCの酸素ポンプセル151の場所毎の起電力について試験をおこなった。図3に示すように、酸素ポンプセル151(図2参照)は、第2多孔質部112Bを含む酸素ポンプセルC1と、第1多孔質部112Aを含む酸素ポンプセルC2とに分けられる。上記したように、第2多孔質部112Bの気孔率の方が第1多孔質部112Aの気孔率よりも高い。つまり、第1多孔質部112Aの方が密である。このサンプルCについて、評価1の比較試験と同様に、リーンからリッチに切り替えたときの酸素ポンプセルC1,C2の各起電力(mV)と、これら2つの合成起電力(mV)とについてそれぞれ測定した。
なお、酸素ポンプセルC1、C2の各起電力を測定するにあたり、第1多孔質部112Aの気孔率を有する多孔質部、第2多孔質部112Bの気孔率を有する多孔質部を準備した。そして、絶縁層119の代わりに絶縁層119と同材質の絶縁層(拡散律速部及び検出室は形成せず)を配置したガスセンサ素子100の開口111d全体に対して、この2つの多孔質部をそれぞれ充填した2つのサンプルを作製し、これを用いて酸素ポンプセルC1、C2の各起電力を測定した。
次に、各起電力の測定結果について、図5のグラフを参照して説明する。リーンからリッチに切り替わると、気孔率の高い第2多孔質部112Bを含む酸素ポンプセルC1では、起電力が急激に上昇し、一定値に推移した。一方、気孔率の低い第1多孔質部112Aを含む酸素ポンプセルC2では、ガスが第1多孔質部112Aを通過する速度が遅い。よって、酸素ポンプセルC2の起電力は、酸素ポンプセルC1の変化速度に遅れて徐々に上昇し、酸素ポンプセルC1と同じ値に推移した。なお、リーンからリッチに切り替わった時点から起電力450mV(基準電圧)になるまでの時間Sは、ガスが第1電極113a(図3参照)に到達するまでに要する時間である。
これらに対し、酸素ポンプセルC1,C2の合成起電力は、酸素ポンプセルC1に少し遅れて緩やかに上昇し、酸素ポンプセルC1,C2と同じ値に推移した。さらに、合成起電力の変化速度は、酸素ポンプセルC2の変化速度よりも速かった。このように、酸素ポンプセルC1,C2の合成起電力は、各起電力を合成したものであるので、酸素ポンプセル151全体の起電力の変化速度を緩やかにできる。合成起電力の変化速度が緩やかであるので、上記したストイキ乗り越しが起きるのを防ぐことができる。従って、上記した比較試験の結果のように、サンプルCでは、ストイキ乗り越しが起こらなかったと推測される。
(評価3)
次に、多孔質部の気孔率及び面積率を変えたことによるガスセンサの評価試験を行った。まず、試験方法について説明する。図6に示す表のように、多孔質部の気孔率及び面積率を変えた15本のガスセンサのサンプル1〜15を用意した。多孔質層を構成する多孔質部をA、B、Cとし、気孔率及び面積率をそれぞれの割合(%)で示した。なお、面積率は、各多孔質部において、第1電極部に積層方向に接触する接触面の面積を100%としたときに、第1電極に積層方向に接触する部分接触面の面積のそれぞれの割合である。
サンプルについて、No3,4,5,7,9,11,12,14は、本発明品であり、No1,2,6,8,10,13,15は比較品である。そして、これらガスセンサのサンプル1〜15について、ストイキ乗り越し、ブラックニング、被毒について3つの評価を行った。
(1)ストイキ乗り越し
排気量2000CCのV型6気筒エンジンにつながれた排気管にサンプル1〜15のガスセンサ1を取り付ける。そして、ヒータ170にてガスセンサ素子100を加熱してガスセンサ素子100を活性させた後、2500rpmのエンジン回転数で、排気ガスのλ値を0.97から1.03に切り替えたときのポンプ電流を測定した。そして、λ値が1をまたぐ際に発生するポンプ電流のオーバーシュート及び逆シュートの振幅が、λ値0.97から1.03までに変化するポンプ電流の振幅の5%未満となるものを○、5%以上となるものを×とした。
(2)ブラックニング
λ値が0.79となるガス雰囲気が装填されたチャンバー内(室温)にサンプル1〜15のガスセンサ1を配置する。そして、ヒータ170にてガスセンサ素子100を加熱してガスセンサ素子100を活性させた後、12時間放置する。その後、サンプル1〜15のガスセンサ1からガスセンサ素子100を取り出し、ガスセンサ素子100の表面を目視する。このとき、ガスセンサ素子100(第1固体電解質体115、第2固体電解質体123)が新品のガスセンサ素子100よりも黒く変色しているものを×、新品のガスセンサ素子100と同じ状態(同色)であるものを○とした。
(3)被毒(リン被毒)
排気量1800CCの直列4気筒エンジンにつながれた排気管にサンプル1〜15のガスセンサ1を取り付ける。そして、ヒータ170にてガスセンサ素子100を加熱してガスセンサ素子100を活性させた後、リン含有量が0.1wt%のエンジンオイル(10W−40)を無鉛ガソリンに6.4ml/L添加したものを燃料として、耐久試験を750時間実施した。耐久試験前と耐久試験後とにおいて、酸素ポンプセル151の内部抵抗の変化率が50%以下のものを○、50%を超えるものを×とした。
次に、評価試験の判定結果について、図6を参照して説明する。
・サンプル1・・・気孔率が1種類である従来品である。上記した評価1の比較試験と同様に、ストイキ乗り越しが起きたので判定は「×」であった。
・サンプル2・・・気孔率の異なる2種類の多孔質部であるが、気孔率の差が5%しかないので、起電力の差がほとんど生じず、サンプル1と同様にストイキ乗り越しが起きたので判定は「×」であった。
・サンプル3・・・2種類の多孔質部で、面積率は同じでAの気孔率を30%、Bの気孔率を40%にしたものである。この場合、ストイキ乗り越し、ブラックニング、被毒の何れも起きなかったので判定は「○」であった。
・サンプル4・・・2種類の多孔質部で、面積率は同じでAの気孔率を30%、Bの気孔率を50%にしたものである。これもサンプル3と同様に判定は「○」であった。
・サンプル5・・・2種類の多孔質部で、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を50%にし、Aの面積率を30%、Bの面積率を70%にしたものである。これも判定は「○」であった。
・サンプル6・・・2種類の多孔質部で、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を50%にし、Aの面積率を25%、Bの面積率を75%にしたものである。この場合、ストイキ乗り越しが起きたので判定は「×」であった。これはA、Bの合成起電力が、Bの領域の起電力にほとんど支配されてしまったため、起電力を緩やかにできなかったためと思われる。
・サンプル7・・・サンプル5の多孔質部の面積率を入れ替えたものである。この場合も判定は「○」であった。
・サンプル8・・・サンプル6の多孔質部の面積率を入れ替えたものである。この場合も判定は「×」であった。理由はサンプル6と同じである。
・サンプル9・・・2種類の多孔質部で、面積率は同じで、Aの気孔率を20%、Bの気孔率を50%にしたものである。この場合、ストイキ乗り越し、ブラックニング、被毒の何れも起きなかったので判定は「○」であった。
・サンプル10・・2種類の多孔質部で、面積率は同じで、Aの気孔率を15%、Bの気孔率を50%にしたものである。この場合、ブラックニングが起きたので判定は「×」であった。これは、Aの気孔率が小さ過ぎために、酸素の電極への到達速度が遅くなり、ガス検出室内に酸素が供給不足になるため、酸素ポンプセルの固体電解質体が電気分解して、固体電解質中に含まれる酸素が検出室内に供給することとなり、固体電解質体にブラックニングが起きたと思われる。
・サンプル11・・・2種類の多孔質部で、面積率は同じで、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を60%にしたものである。この場合、ストイキ乗り越し、ブラックニング、被毒の何れも起きなかったので判定は「○」であった。
・サンプル12・・・2種類の多孔質部で、面積率は同じで、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を70%にしたものである。この場合、ストイキ乗り越し、ブラックニング、被毒の何れも起きなかったので判定は「○」であった。
・サンプル13・・・2種類の多孔質部で、面積率は同じで、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を75%にしたものである。この場合、被毒が確認されたので判定は「×」であった。これは、気孔率の高いBを被毒物質が通過してしまい、第1電極部が劣化したためと思われる。
・サンプル14・・・3種類の多孔質部で、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を40%、Cの気孔率を60%とし、Aの面積離率を20%、Bの面積離率を30%、Cの面積離率を50%としたものである。この場合、ストイキ乗り越し、ブラックニング、被毒の何れも起きなかったので判定は「○」であった。
・サンプル15・・・3種類の多孔質部で、Aの気孔率を30%、Bの気孔率を40%、Cの気孔率を60%とし、Aの面積離率を15%、Bの面積離率を10%、Cの面積離率を75%としたものである。この場合、ストイキ乗り越しが起きたので判定は「×」であった。これはA、B、Cの合成起電力が、Cの領域の起電力にほとんど支配されてしまったため、起電力を緩やかにできなかったためと思われる。
以上の試験結果より、多孔質層を構成する2以上の多孔質部において、気孔率は、ブラックニング防止の観点から20%以上(サンプル10の結果を参照)とし、さらに被毒防止の観点から70%以下(サンプル13の結果を参照)にすることが必要であることが確認された。また、ストイキ乗り越し防止の観点から、互いの気孔率が10%以上異なることが必要であることが確認された(サンプル2の結果を参照)。さらに、面積率においては、複数の多孔質部における起電力を合成して起電力を緩やかにするために、70%以下にすることが必要であることが確認された。つまり、以下の条件1,2を満たすことが必要である。
・条件1・・・多孔質部の気孔率が何れも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なること。
・条件2・・・多孔質部の面積率が何れも70%以下であること。
以上説明したように、本実施形態であるガスセンサ1では、多孔質層112を第1多孔質部112A,第2多孔質部112Bで構成し、それらの気孔率がいずれも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なり、さらに面積率が何れも70%以下になるように調整されている。これらの条件を満たすことによって、第1電極113aの場所によって酸素の到達速度を異ならせることができる。よって、酸素ポンプセル151の起電力の変化速度も場所によって異なるので、センサ全体として見た場合の合成起電力の変化速度を緩やかにできる。
また、各多孔質部の気孔率は何れも20%以上70%以下であるので、第1電極113aを被毒から保護できると共に、ブラックニングの発生を防止できる。また、互いの気孔率が10%以上異なるので、第1電極113aにおける第1多孔質部112A,第2多孔質部112Bの各領域によって起電力の変化速度に差異を生じさせることができ、酸素ポンプセル151の合成起電力の変化速度を緩やかにすることができる。また、2以上の各多孔質部の部分接触面のそれぞれの面積が70%以下であるので、特定の多孔質部による起電力の変化速度とならない。よって、2以上の起電力を合成することによって、起電力の変化速度を緩やかにすることができる。
なお、本発明のガスセンサは、上記実施形態に限られるものではなく、種々、変更可能である。例えば、多孔質層112における2以上の多孔質部の配置構成は、上記実施例に限らず種々変更可能であり、条件1,2を満たせば、例えば、以下に示す2つのガスセンサ素子200,300のような、多孔質部の配置構成が可能である。
図7に示すガスセンサ素子200では、多孔質層212は、多孔質層212と第1電極113aとの接触面の幅方向の中央寄りに形成された第1多孔質部212Aと、接触面の外縁部寄りに形成された第2多孔質部212Bと、とから構成されている。第1多孔質部212Aの位置は、ヒータ170の幅方向の中央部位である発熱中心に対応している。この多孔質層212では、第1多孔質部212Aの気孔率が、その両側の第2多孔質部212Bの各気孔率よりも低く調整されている。
ヒータ170には場所によって温度分布がある。ヒータ170の中央に位置する発熱中心は最も温度が高く、端の部分は温度が低い。温度が高いとガスの拡散速度は速くなり、温度が低いとガスの拡散速度は遅くなる。従って、発熱中心に対応する第1多孔質部212Aの気孔率を高く、その外縁側の第2多孔質部212Bの気孔率を低くすることで、起電力の変化速度の差をより離すことができ、合成起電力の変化速度をより緩やかにすることができるので、リッチとリーンが切り替わるときでも酸素ポンプセルの電流が乱れず追従できる。
なお、第1多孔質部212Aが、特許請求の範囲の「第3多孔質部」に相当し、第2多孔質部212Bが「第4多孔質部」に相当する。
また、図8に示すガスセンサ素子300では、多孔質層312は、多孔質層212と第1電極113aとの接触面の幅方向の一端側から他端側に向けて順に配置された5つの第1多孔質部312A〜第5多孔質部312Eで構成されている。この多孔質層312では、第1多孔質部312A〜第5多孔質部312Eの各気孔率は、第1〜第5の順に段階的高くなるように調整されている。酸素ポンプセル151の起電力も場所によって異なるので、センサ全体として見た場合の合成起電力の変化速度を緩やかにできる。なお、第1多孔質部312Aが特許請求の範囲の「第1多孔質部」に相当し、第5多孔質部312Eが「第2多孔質部」に相当する。
また、図9に示すガスセンサ素子400では、多孔質層412は、多孔質層412と第1電極113aとの接触面の幅方向の一端寄りを構成する第1多孔質部412Aと、他端寄りを構成する第2多孔質部412Bとで構成されている。第1多孔質部412A及び第2多孔質部412Bは、積層方向に直交する方向に並んでいるので、気孔率の低い方の多孔質部412Aを通過する酸素を第1電極113aに速く到達させることができる。よって、酸素ポンプセルの起電力の変化速度も場所によって異なるので、センサ全体として見た場合の起電力の変化速度を緩やかにできる。
なお、上記実施形態は、ガスセンサとして、上記では全領域空燃比センサを例に挙げたが、酸素センサ、NOxセンサ、HCセンサなどにも適用可能である。
1 ガスセンサ
100 ガスセンサ素子
112 多孔質層
112A,112B 第1多孔質部、第2多孔質部
113 第1電極部
115 第1固体電解質体
117 第2電極部
119d ガス検出室
121 第3電極部
123 第2固体電解質体
125 第4電極部
151 酸素ポンプセル
153 酸素濃度検出セル
170 ヒータ
200 ガスセンサ素子
212 多孔質層
212A〜212C 第1〜第3多孔質部
215a スルーホール導体
300 ガスセンサ素子
312 多孔質層
312A〜312E 第1〜第5多孔質部
400 ガスセンサ素子
C1,C2 酸素ポンプセル

Claims (3)

  1. 被検出ガスが導入される検出室と、
    第1固体電解質体、および前記第1固体電解質体上に形成された一対の電極を有し、前記一対の電極のうち、一方の第1電極が、多孔質層を介して前記被検出ガスに晒され、他方の第2電極が、前記検出室内に配置され、前記一対の電極間に通電される電流に応じて前記検出室内に導入される前記被検出ガスに含まれる酸素の汲み入れまたは汲み出しを行う酸素ポンプセルと、
    前記検出室を介して、前記第1固体電解質体に積層される第2固体電解質体、および前記第2固体電解質体上に形成された一対の電極を有し、前記一対の電極のうち、一方の第3電極が前記検出室内に配置され、前記一対の電極間において前記検出室の酸素濃度に応じた電圧を発生する酸素濃度検知セルと、
    を備えたガスセンサにおいて、
    前記多孔質層は、前記第1電極を覆って形成されるとともに、気孔率がいずれも20%以上70%以下で、かつ、互いの気孔率が10%以上異なる2以上の多孔質部からなり、
    前記ガスセンサの積層方向に見て、前記第1電極に接触する前記多孔質層の接触面の面積を100%としたときに、前記第1電極に接触する前記多孔質部の部分接触面の面積がそれぞれ70%以下であることを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記多孔質層は、前記部分接触面が前記接触面の一端部を構成する第1多孔質部と、前記部分接触面が前記一端とは反対側の他端部を構成する第2多孔質部と、を備える2以上の多孔質部からなり、
    前記2以上の多孔質部は、前記第1多孔質部から前記第2多孔質部に向かって多孔質部毎に段階的に気孔率が高くなることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記ガスセンサは、前記第1固体電解質体及び前記第2固体電解質体を加熱するヒータを備え、
    前記ガスセンサの積層方向に見たときに、前記多孔質層は、前記部分接触面が前記ヒータの発熱中心側の前記接触面を構成する第3多孔質部と、前記部分接触面が前記第3多孔質部よりも前記発熱中心から離れた前記接触面を構成する第4多孔質部とを備える2以上の多孔質部からなり、
    前記2以上の多孔質部は、前記第3多孔質部から前記第4多孔質部に向かって多孔質部毎に段階的に気孔率が低くなることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。
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JP2016080684A (ja) * 2014-10-21 2016-05-16 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ

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