JP2011220346A - 内接ギヤ型ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】内接ギヤ型ポンプのロータ構造において、歯間空間の中央部付近で発生するキャビテーションの発生を防止するとともに、ポンプの大型化を抑制すること。
【解決手段】
円筒状空間を形成するハウジングと、ハウジング内で回転自在なドリブンロータ40と、ドリブンロータ40内で回転自在なドライブロータ50と、ハウジングに形成される吸入ポート12と、吐出ポート13と、を備えたポンプ100において、ドライブロータ50とドリブンロータ40の側面に、吸入ポート12及び歯間空間Rに連通可能な凹部55、45を形成され、凹部55、45はドライブロータ50及びドリブンロータ40の少なくとも一方の歯面の周方向から径方向の間の方向に向けて開口し、ドライブロータ50およびドリブンロータ40の少なくとも一方の歯面の径方向の開口面積と、周方向の開口面積とは略同一である。
【選択図】図1
【解決手段】
円筒状空間を形成するハウジングと、ハウジング内で回転自在なドリブンロータ40と、ドリブンロータ40内で回転自在なドライブロータ50と、ハウジングに形成される吸入ポート12と、吐出ポート13と、を備えたポンプ100において、ドライブロータ50とドリブンロータ40の側面に、吸入ポート12及び歯間空間Rに連通可能な凹部55、45を形成され、凹部55、45はドライブロータ50及びドリブンロータ40の少なくとも一方の歯面の周方向から径方向の間の方向に向けて開口し、ドライブロータ50およびドリブンロータ40の少なくとも一方の歯面の径方向の開口面積と、周方向の開口面積とは略同一である。
【選択図】図1
Description
本発明は、内接ギヤ型ポンプに関し、特に、キャビテーションを防止するロータ構造を有する内接ギヤ型ポンプに関する。
一般に、自動車用オイルポンプなどに広く使われている内接ギヤ型オイルポンプは、高回転で使用されて流体の吸入流速が増大した場合、流体の粘性抵抗によって吸入が追いつかなくなり、吸入経路内(吸入ポート、及びロータ歯間空間)において、キャビテーションを誘発する。キャビテーションの発生は、ポンプ容積効率の低下、異音の発生及びエロージョンによるポンプ内部の侵食などの様々な弊害を引き起こす。
この問題に対して、ドライブロータ側面に歯間空間に連通する溝あるいは面取りなどを設けて、隣接する歯間空間を連通させて急激な圧力変動を緩和し、キャビテーションを防止するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この内接ギヤ型ポンプのロータ構造は、発生するキャビテーション量をある程度抑えることが期待できるものの、根本的なキャビテーションの発生要因である吸入流速過大に対しては効果がない。このため、大きな効果は、得られない。
また、ドライブロータ又はドリブンロータの側面に回転方向に開口する溝を設けたもの
がある(例えば、特許文献2参照。)。
がある(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、このロータ構造は、ロータ室の側壁とドライブロータ又はドリブンロータの側面との間隙に流体を導入することで、ロータとロータ室の間の接触抵抗を低減することを狙ったものであり、ロータ歯間空間でのキャビテーション発生防止に対しては、有効な効果が得られない。
一方、ドライブロータとドリブンロータとの、少なくともいずれか一方の、回転方向前側部に溝を設け、溝部を吐出ポートよりも早期にポンプ室に連通させ、高圧の吐出ポートからポンプ室へのオイルの逆流を回避し、ウォータハンマ現象を防止するものがある(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、この構造も、吐出時に発生するウォータハンマ現象をある程度抑えることが期待できるものの、キャビテーションの根本的な発生要因である吸入流速過大に対しては効果がない。
さらに、ドライブロータの歯底部に当該ドライブロータの径外方向に開口する凹部を設け、吸入時のキャビテーション発生の防止を狙いとしたものがある(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、この構造は、歯底部に設けた凹部と中心穴との間のシール面を確保する必要から、ドライブロータの外径が大きくなり、ひいてはオイルポンプ自体の大型化、フリクションの増大につながるという問題を有している。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、内接ギヤ型ポンプのロータ構造において、ロータ歯間空間で発生するキャビテーションの発生を防止するとともに、ポンプの大型化を抑制することを技術的課題とする。
上記した課題を解決するために講じた第1の技術的手段は、円筒状空間を形成するハウジングと、前記円筒状空間内に回転自在に配設された内歯を有するドリブンロータと、前記内歯と係合する外歯を有し前記ドリブンロータ内に回転自在に配設されるとともに前記ドリブンロータと係合する歯間において拡大および縮小を繰り返し流体を吸入・吐出する複数の歯間空間を形成するドライブロータと、前記ハウジングに形成され、前記円筒状空間に連通する吸入ポートおよび吐出ポートとを備えた内接ギヤ型ポンプにおいて、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の側面には、前記歯間空間に連通可能であって、前記歯間空間が最大容積となる位置にて、前記吐出ポートおよび前記吸入ポートと前記最大容積となる前記歯間空間とが連通しないように凹部が形成され、前記凹部は、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の歯面の、周方向から径方向の間の方向に向けて開口し、前記凹部の、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の歯面の径方向の開口面積と、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の前記歯面の周方向の開口面積とは略同一であることである。
第2の技術的手段は、第1の技術的手段において、前記凹部は、前記ドライブロータに形成され、回転方向とは逆方向に開口していることである。
第3の技術的手段は、第1の技術的手段または第2の技術的手段において、前記ドリブンロータの前記凹部は、回転方向に開口していることである。
第2の技術的手段は、第1の技術的手段において、前記凹部は、前記ドライブロータに形成され、回転方向とは逆方向に開口していることである。
第3の技術的手段は、第1の技術的手段または第2の技術的手段において、前記ドリブンロータの前記凹部は、回転方向に開口していることである。
請求項1の発明によれば、ドライブロータおよびドリブンロータの少なくとも一方の側面には、吸入ポートに連通可能であるとともに歯間空間に連通可能であって、歯間空間が最大容積となる位置にて、吐出ポートおよび吸入ポートと最大容積となる歯間空間とが連通しないように凹部が形成され、凹部はドライブロータおよびドリブンロータの少なくとも一方の歯面の、周方向から径方向の間の方向に向けて開口していることにより、歯間空間のロータ側面方向への開口面積が拡大されて歯間空間への流体の吸入流速が低減される。よって、内接ギヤ型ポンプのロータ構造において、ロータ歯間空間で発生するキャビテーションの発生を防止するとともに、ポンプの大型化を抑制できる。さらに、凹部の、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の歯面の径方向の開口面積と、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の前記歯面の周方向の開口面積とは略同一であるので、凹部の流体は円滑に歯間空間へ流入することができる。なお、略同一とは、径方向の開口面積と周方向の開口面積とが同一に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲を言う。
請求項2の発明によれば、凹部はドライブロータに形成され、回転方向とは逆方向に開口しているので、回転力を伝える歯面の面積が減少することがないので面圧が上がることなく摩耗を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、ドリブンロータの凹部は、回転方向に開口しているので、回転力を受け止める歯面の面積が減少することがないので面圧が上がることなく摩耗を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、凹部はドライブロータに形成され、回転方向とは逆方向に開口しているので、回転力を伝える歯面の面積が減少することがないので面圧が上がることなく摩耗を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、ドリブンロータの凹部は、回転方向に開口しているので、回転力を受け止める歯面の面積が減少することがないので面圧が上がることなく摩耗を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、ポンプ(内接ギヤ型ポンプ)100の裏面図である。ポンプ100は、主に、ボデー10、図示しないカバー、ドリブンロータ40及びドライブロータ50、ドライブロータ50の中心に嵌合しドライブロータ50を駆動するシャフト110から構成されている。ボデー10と図示しないカバーとによってハウジングを構成し、ハウジングには円筒状空間であるロータ室15が形成されている。ロータ室15には、シャフト110が嵌合されるドライブロータ50と、ドライブロータ50に対し所定量偏心して係合するドリブンロータ40が収容されている。ドライブロータ50及びドリブンロータ40は、それ
ぞれの外歯51及び内歯41が噛合して係合している。
ぞれの外歯51及び内歯41が噛合して係合している。
シャフト110の回転駆動力によってドライブロータ50が回転される。ドリブンロータ40はドライブロータ50との係合により回転される。ドリブンロータ40及びドライブロータ50の回転により、吸入ポート12を介して流体を吸入通路12aから吸入し、吐出ポート13を介して流体を吐出通路13aへ吐出する。
歯間空間Rはドリブンロータ40及びドライブロータ50の回転に伴って吸入ポート12を回転方向に移動する。その際、歯間空間Rの容積は徐々に拡大し吸入ポート12と吐出ポート13との間に設けられた閉切位置Dで最大容積となる。次に、閉切位置Dからドリブンロータ40及びドライブロータ50の回転に伴って吐出ポート13に沿って回転方向に移動する。その際、歯間空間Rの容積は徐々に縮小する。このように、ポンプ100は、ドリブンロータ40及びドライブロータ50の回転に伴い、歯間空間Rの容積を拡大・縮小し、吸入ポート12及び吐出ポート13を介して流体の吸入と吐出を行う。
ドライブロータ50の外歯51の側面には凹部55が形成されている。凹部55は外歯51の歯面の、周方向から径方向の間の方向に向けて開口し歯間空間Rに連通している。
凹部55は歯底部51bの両側に延在するとともに、ドライブロータ50の軸線を含む断面においてL字形状に形成されている。
一方、ドリブンロータ40の内歯41の側面には凹部45が形成されている。凹部45は内歯41の歯面の、周方向から径方向の間の方向に向けて開口し歯間空間Rに連通している。凹部45は、歯底部41bの両側に延在するとともに、ドリブンロータ40の軸線を含む断面においてL字形状に形成されている。
さらに詳しくは、ドライブロータ50とドリブンロータ40との凹部55,45は、歯間空間Rが最大容積となる位置において、吐出ポート13および吸入ポート12と歯間空間Rが連通しない範囲に形成されている。言い換えると、凹部55,45の周方向縁部が、歯間空間Rが最大容積となる位置において、吐出ポート13および吸入ポート12の輪郭形状の周方向縁部と略同一であることにより、効率よく流体を吸入ポート12から吸入し吐出ポート13へ吐出することができる。尚、効率よく流体を吸入ポート12から吸入し吐出ポート13へ吐出するためには、凹部55と凹部45との、径方向の開口面積と周方向の開口面積とは略同一である。あるいは、凹部55と凹部45との軸方向深さがロータ側面側の開口周長と略同一である。
さらに、凹部55、45をL字形状に形成することにより、ドライブロータ50、ドリブンロータ40を製造する際、一般的に採用される製造工法である金属焼結時に、凹部55、45の成形が容易となるばかりでなく、金属密度が均一になり品質が安定するという効果も得られる。
図5はドリブンロータ40及びドライブロータ50と吸入ポート12の関係を示す要部断面図である。
吸入ポート12は、ボデー10及びカバー20に形成したそれぞれの凹部10a及び20aにより形成され、吸入通路12aに接続されている。吸入ポート12を形成する凹部10a及び20aの輪郭10b及び20bは、凹部55の内周端55bと略同一である。
また、吸入ポート12を形成する凹部10a及び20aの輪郭10c及び20cは、凹部45の外周端45bと略同一である。これにより、吸入ポート12に対する凹部55と凹部45との開口面積を最大にすることができ、吸入ポート12から凹部55と凹部45とを通して歯間空間Rに流入する流体の流量を多くすることができ、キャビテーションの発生を防止することができる。
図6は本発明の凹部を設けていないポンプ200のドリブンロータ240及びドライブロータ250と吸入ポート212の関係を示す要部断面図である。
このポンプにおいては、歯間空間Rの略中央に流体を多く、且つ、円滑に流入させることができないため、ドライブロータ250の外歯間の歯底部中央付近(図6の斜線で表示)にキャビテーションが発生し易くなっている。
次に本実施形態の動作について以下に説明する。
ポンプ100は、シャフト110の回転駆動力によって回転されるドライブロータ50とドリブンロータ40が噛み合いながら回転する。従って、流体は、吸入通路を通して吸込まれポンプ100の吸入ポート12から吐出ポート13へと吸入・吐出されて、吐出通路13aを通して被送給部へ圧送される。
このとき、ドライブロータ50とドリブンロータ40との間に形成される歯間空間R、特に歯間空間Rの中央部には負圧が発生しようとする。しかしながら、ドライブロータ50には外歯51の側面に凹部55と、ドリブンロータ40には内歯41の側面に凹部45とが形成されている。このため、歯間空間Rの開口面積を拡大することができ、また、凹部55を通して歯間空間Rに流入する流体を遠心力で付勢し、歯間空間Rの略中央に流体を流入させることができ、キャビテーションの発生を防止できる。
図8及び図9に示すように、本発明を適用したポンプにおいては、ポンプ回転数が高回転においても高いポンプ容積効率を達成している。また、ドライブロータ50の側面に凹部55を設けたことにより摺動抵抗及び吸入抵抗を低減でき、駆動馬力の低減を達成している。
さらに、凹部55はドライブロータ50の歯底径より外方に形成されているのでシャフト110が挿嵌されている中心穴との間のシール面が確保でき、外径が大きくなることがない。また、凹部45はドリブンロータ40の歯底径より内方に形成されているので、ドリブンロータ40外径が大きくなることもなく、ポンプ100の大型化を抑制することができる。
尚、これまで凹部55、45がドライブロータ50の軸線を含む断面において、径外方に向かってL型形状に形成されている場合について述べてきたが、図7に示すようなドライブロータ50の側面から歯面に向かって傾斜する凹部550、450で構成してもよい。その場合において、同様の作用効果が得られるばかりでなく、流体はさらに円滑に流動する。
また、凹部55、45がドライブロータ50の歯底部51b、ドリブンロータ40の歯底部41bの両側に形成されている場合について述べてきたが、図10乃至図14に示すように、歯底部51b、41bの片側にのみ凹部55、45を設けた場合でも同様な効果が得られる。
さらに、凹部55、45はドライブロータ50、ドリブンロータ40の両ロータに形成されている場合について述べてきたが、凹部はドライブロータ50およびドリブンロータ40の少なくとも一方に設けた場合でも、あるいは、ドライブロータ50、ドリブンロータ40の両側面ではなく、一方の側面のみに設けた場合でも同様な効果が得られる。
特に、図10の場合には、ドライブロータ50の凹部55が回転方向とは逆方向に開口し、ドリブンロータ40の凹部45が回転方向に開口しているので、ドライブロータ50の回転力を伝える歯面の面積が減少することがないので面圧が上がることなく摩耗を抑制する効果を有する。
図14は図10に対し凹部45と凹部55とを、それぞれ周方向に拡大したものである。このように拡大することにより、凹部55と凹部45とを通して歯間空間Rに流入する流体の流量をさらに多くすることができ、キャビテーション発生の防止に、より有効である。
10・・・ボデー(ハウジング)
12・・・吸入ポート
13・・・吐出ポート
15・・・ロータ室(円筒状空間)
20・・・カバー(ハウジング)
40・・・ドリブンロータ
41・・・内歯
50・・・ドライブロータ
51・・・外歯
51b・・・歯底部
45、55、550・・・凹部
100・・・ポンプ(内接ギヤ型ポンプ)
R・・・歯間空間
12・・・吸入ポート
13・・・吐出ポート
15・・・ロータ室(円筒状空間)
20・・・カバー(ハウジング)
40・・・ドリブンロータ
41・・・内歯
50・・・ドライブロータ
51・・・外歯
51b・・・歯底部
45、55、550・・・凹部
100・・・ポンプ(内接ギヤ型ポンプ)
R・・・歯間空間
Claims (3)
- 円筒状空間を形成するハウジングと、
前記円筒状空間内に回転自在に配設された内歯を有するドリブンロータと、
前記内歯と係合する外歯を有し前記ドリブンロータ内に回転自在に配設されるとともに前記ドリブンロータと係合する歯間において拡大および縮小を繰り返し流体を吸入・吐出する複数の歯間空間を形成するドライブロータと、
前記ハウジングに形成され、前記円筒状空間に連通する吸入ポートおよび吐出ポートとを備えた内接ギヤ型ポンプにおいて、
前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の側面には、前記歯間空間に連通可能であって、前記歯間空間が最大容積となる位置にて、前記吐出ポートおよび前記吸入ポートと前記最大容積となる前記歯間空間とが連通しないように凹部が形成され、
前記凹部は、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の歯面の、周方向から径方向の間の方向に向けて開口し、
前記凹部の、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の歯面の径方向の開口面積と、前記ドライブロータおよび前記ドリブンロータの少なくとも一方の前記歯面の周方向の開口面積とは略同一であることを特徴とする内接ギヤ型ポンプ。 - 請求項1において、
前記凹部は、前記ドライブロータに形成され、回転方向とは逆方向に開口していることを特徴とする内接ギヤ型ポンプ。 - 請求項1または2において、
前記ドリブンロータの前記凹部は、回転方向に開口していることを特徴とする内接ギヤ型ポンプ。
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