JP2011218347A - 電気集塵機用の集塵極及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気集塵機用の集塵極22は、次のように構成されている。即ち、3つの凹凸部の繰り返しが連続して形成された集塵極板51を複数枚用意される(図3(A)及び図3(B))。具体的には、集塵極板51とは、略X方向に所定の間隔P毎に、導電性のFRP製の平板を略60°ずつ2度曲げることを繰り返すことによって、略Y方向に高さHの凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板である。これらの複数枚の集塵極板51の各々が、凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合されることで、開口部が六角形状の複数の筒の集合体からなる集塵極22が構成される(図3(C))。
【選択図】図3
Description
特に、湿式電気集塵機は、微粒子がきわめて微細でかさ密度が小さい場合や、微粒子の固有抵抗が低過ぎるか高過ぎる場合には、集塵極表面に水膜を作り、集塵極に達した微粒子がこの水と共に流れ落ちる構造となっている。このため、湿式電気集塵機は、再飛散現象及び逆電離現象が起こらず安定にしかも高い集塵効率を示すため、広く用いられている。
集塵極を接地し、放電極に負の高電圧を印加すると、放電極から旺盛なコロナ放電が発生し、集塵空間は負イオンと電子によって満たされる。
この集塵空間(以下、「イオン空間」と呼ぶ)にミストやダスト等の微粒子を含んだガスが流通すると、ガス中の微粒子は負に帯電する。
帯電した微粒子は、静電凝集作用を伴いながら、クーロン力により集塵極に向って移動し、集塵極上に付着する。
従来の湿式電気集塵機は、集塵極の上方に離間して配設されている下向きスプレーノズルから、多量の洗浄水を下方向に噴出させることによって、集塵極に付着した微粒子を洗浄除去する。
このため、複数の筒を繰り返し連続して配置することによって、広い有効集塵面積Aを確保した集塵極が広く用いられている。このような集塵極として、従来、筒の開口部が円状の円筒型集塵極や、筒の開口部が四角形状の角筒型集塵極が存在する。
また、このようなFRP製の筒は、湿式電気集塵機の設置場所とは別の場所で製造されて、当該設置場所に運搬される場合が多い。この場合、複数のFRPの筒を運搬する際に、その運搬容量が嵩張って陸上輸送では対応しきれないときには、海上輸送が利用される。海上輸送が利用されると、陸上輸送が利用されるときと比較して、FRPの筒の運搬コストが高くなり、その分だけ、製造コストも高くなる。
このような平板並行型集塵極を採用した場合、その構成部品である平板は、陸上輸送でも容易に運搬することが可能になる。従って、円筒型集塵極や角筒型集塵極を採用した場合と比較すると、運搬コストは低くなり、その分だけ、製造コストも低くなる。
しかしながら、処理ガスの熱による経年変形が生じるため、定期的に取り替えるコストが発生する。定期的に取り替えるためには新たな製造工程が含まれるとして、このような定期的に取り替えるコストも含めて製造コストと把握するならば、結局のところ、運搬コストの低減分も、このような定期的に取り替えるためのコストの増加分で相殺されてしまうため、全体として製造コストが低くなるとは言い難い。
また、平板並行型集塵極は、円筒型集塵極や角筒型集塵極と比較すると、単位面積当たりの集塵面積は小さくなるため、上述した式(1)に示す有効集塵面積Aも小さくなり、その結果、集塵効率ηが悪化する。
所定の個数の凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板を、集塵極板として複数枚有し、
複数枚の前記集塵極の各々が、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合されることで、複数の筒の集合体が構成されている、
ことを特徴とする。
所定の個数の凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板を、集塵極板として複数枚用意し、
複数枚の前記集塵極の各々を、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合することで、複数の筒の集合体からなる集塵極を製造する、
ことを特徴とする。
所定の個数の凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板が、集塵極板として複数枚用意され、
複数枚の前記集塵極の各々が、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合されることによって、複数の筒の集合体からなる集塵極が構成される。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
具体的には、図1(A)及び図1(B)は、湿式電気集塵機1の外観の概略構成を示す断面図であり、相互に略垂直の別々の方向からみた断面図である。
上部ケーシング11と、集塵極22と、下部ケーシング13とが上方からその順番で組み合わされることによって、湿式電気集塵機1の筺体が構成される。湿式電気集塵機1の筺体は、架構14により、地上から所定距離だけ上方に離間して固定されている。湿式電気集塵機1の筺体の材質は、本実施形態では導電性のFRPが採用されている。
ここで、以下、図2の記載に併せて、垂直方向を「Z方向」と呼ぶ。また、水平方向のうち、一方向を「X方向」と呼び、X方向に直角な方向を「Y方向」と呼ぶ。また、X方向とY方向に平行な平面を、「XY平面」と呼ぶ。
この場合、XY平面においてハニカム構造となるように、複数の室が連続して繰り返すことによって、集塵極22が構成されている、と把握することができる。
なお、集塵極22の室の個数は、図2の10個に特に限定されず、任意の個数でよい。
図3(B)は、集塵極22を構成する部品である集塵極板51の斜視図である。
図3(A),(B)に示すように、集塵極板51は、次のような曲板である。即ち、略X方向に所定の間隔P毎に、導電性のFRP製の平板を略60°ずつ2度曲げることを繰り返すことによって、略Y方向に高さHの凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板が、集塵極板51である。
ここで、1つの凹部又は1つの凸部を「波」と呼ぶものとすると、集塵極板51の波の数は、特に限定されないが、本実施形態では図3(A),(B)に示すように、3つとされている。即ち、本実施形態では、集塵極板51は、3つの波を1単位として製造される。
集塵極22を製造する場合には、n枚(nは2以上の整数値)の集塵極板51−1乃至51−nが用意される。なお、図3においては、説明の便宜上、集塵極板51−1乃至51−4のみが図示されている。
作業者(ロボット含む)は、集塵極板51−1乃至51−nの各々を、波の向き(凹凸部の向き)を順次逆向きにした上で相互に結合していく。
これにより、集塵極板51−k(kは、1乃至n−1の任意の整数値)の所定の凸部と、隣接する集塵極板51−(k+1)の所定の凸部とが略Y方向に逆向きに結合された部分が、開口部が六角形状の室として構成される。その結果、全体として、図2に示すような六角形状の室を複数有するハニカム構造体の角筒型集塵極が、第1実施形態に係る集塵極22として製造される。
即ち、図4は、第1実施形態に係る集塵極22の製造手法のうち、隣接する2枚の集塵極板51−k,51−(k+1)の結合手法について説明する図である。ただし、図4には、説明の便宜上、集塵極板51−1,51−2の組と、集塵極板51−3,51−4の組みのみが図示されている。詳しくは、図4は、複数の集塵極板51が組み合わされて構成される集塵極22の外周付近の一部を拡大した斜視図である。
作業者(ロボット含む)は、略Y方向に隣接する2枚の集塵極板51−k,51−(k+1)を組として、当該組の両端を、ケーシング52の内部に取り付けられた案内ガイド53に挿入する。そして、作業者(ロボット含む)は、FRP積層や溶接等により案内ガイド53の周囲を固定することによって、当該組を結合する。
このような結合の作業が繰り返されることによって、最終的に、図2に示すような六角形状の室を複数有するハニカム構造体の集塵極22が製造される。
また、ケーシング52は、図1の集塵極22を利用してもよいし、集塵極22とは別なものを用意してもよい。
ここで、両極間を所定距離(下限値)よりも短くすると、スパーク(火花放電)が多発して、直流高電圧Vが上昇しないという問題が発生する。一方、両極間を所定距離(上限値)よりも長くすると、荷電流値Aが上昇しないという問題が発生し、いずれの場合も集塵効率の低下を招く。このため、これらの問題の発生を防止するためには、即ち、スパークの発生頻度を抑制し、荷電流値Aを高く維持する両極間の距離の下限値と上限値とが存在する。
従って、このような両極間の距離の下限値と上限値との範囲(以下、「適正範囲」と呼ぶ)内で、曲げ間隔P及び曲板高さHを設定することで、スパークの発生頻度を抑制し、荷電流値Aを高く維持し、集塵効率ηを確保することが可能になる。
このような適正範囲内を確保するための図3の例の集塵極板51の好適な寸法が、上述したように、曲板高さHとしては150乃至250mm程度であり、曲げ間隔Pとしては250乃至450mm程度なのである。
電極ロッド24は、図2に示すように、集塵極22の所定の室の中央内部を略垂直方向に貫通するように配設され、上端部が上部グリッド21に固定され、下端部が下部グリッド23に固定される。
放電線25は、図2に示すように、上部グリッド21から吊下げられ、集塵極22の所定の室の中央内部を略垂直方向に貫通するように配設される。放電線25はまた、弛まないだけの張力を持たすように、下部グリッド23の上部に設けられたウェイト26に接続される。
電極ロッド24及び放電線25には、直流高圧発生装置30からの負極の直流高電圧Vが、印加される。
ただし、その動作については、[背景技術]の欄で上述した従来の湿式電気集塵機の動作と基本的に同様であるため、ここでは、その説明は省略する。
即ち、第1実施形態に係る湿式電気集塵機1については、図2に示す構成の集塵極22を採用した。この集塵極22を構成する集塵極板51の曲げ板の厚みtは3mmとし、当該集塵極板51の全長は5mとした。
一方で、図示はしないが、従来の平板並行型集塵極としては、全長が5mの平板が略Y方向に4枚配設されて構成され、各平板の間には3本の電極が略等間隔で収容された集塵極を採用した。その他の構成は、第1実施形態に係る湿式電気集塵機1と基本的に同様とした。
そして、第1実施形態に係る湿式電気集塵機1と、従来の平板並行型集塵極を備えた湿式電気集塵機との両者とも、通過ガス速度は1.0m/sとして、放電極に印加する直流高電圧Vは70kVとした。
これに対して、従来の平板並行型集塵極を備えた湿式電気集塵機では、入口ダスト濃度は5,000mg/m3Nであるのに対して、出口ダスト濃度は、第1実施形態に係る湿式電気集塵機1程には低下せず、50mg/m3Nに止まった。
このように、第1実施形態に係る湿式電気集塵機1は、従来の平板並行型集塵極を備えた湿式電気集塵機と比較して、集塵効率ηの点で非常に性能が優れていることがわかる。
また、n枚の曲板を運搬する場合に、波の向き(凹凸部の向き)を揃えた上で積層することによって、従来のように複数の筒を積み上げる場合と比較して、運搬容量を遥かに小さくすることができる。これにより、n枚の曲板を陸上輸送で容易に運搬することが可能になるため、海上輸送を利用する場合と比較して運搬コストを30%程度削減でき、その結果、集塵極22の製造コストも削減できる。
一方で、集塵極22は、開口部が六角形状の室を複数有する構成を取っているので、従来の角筒型集塵極と同様に、デットスペースは無くなり、かつ、上述した式(1)に示す有効集塵面積Aを大きくすることができるので、集塵効率ηを高くすることが可能になる。このことは、上述のガスロードテストでも証明されている。
以上まとめると、第1実施形態では、集塵効率ηを確保した上で、製造に必要な労力、製造時間、及び製造コストを低下させることが可能な集塵極22を提供することが可能になる。
従来の平板並行型集塵極の平板(平面電極)の材質としてFRPが採用されている場合、当該平板は、経年変化や熱の影響により、「そり」や「曲がり」等の形状の変形が生じてしまう。
平板の一部に「そり」や「曲がり」等が生ずると、当該一部における2電極間の距離がその分だけ短縮されるため、同一の印加電圧Vcであっても、電界の強さが大きくなる。換言すると、「そり」や「曲がり」等により2電極間の距離が短縮されるに連れて、火花放電の発生電圧が小さくなるため、火花放電の発生が頻発して、安定した運転状態を継続できなくなる可能性が高くなっていく。
従って、従来の平面電極では、経年変化や熱等による「そり」や「曲がり」等の変化を考慮して、仕様としての直流高電圧Vを予め低下させておくか、或いは、経年変化や熱等による距離の短縮分も含めて2電極間の距離を、上述の適正範囲よりも予め長く設計しておく必要がある。
仕様として直流高電圧Vを低下させれば、要求される集塵効率を確保することが非常に困難になる。一方で、2電極間の距離を長く設計すれば、その分だけ湿式電気集塵機が大型化して、コストや設置等各種各様の点において問題が生じてしまうし、運転当初の「そり」や「曲がり」等が生じていないときには、上述の荷電流値Aが上昇しないという問題が依然として発生する。
これにより、経年変化や熱等による「そり」や「曲がり」等の変化をさほど考慮せずとも、2電極間の距離を当初から適正範囲とし、かつ、印加電圧Vc及び荷電流値Aの仕様として所望の値をそのまま採用して、湿式電気集塵機を設計製作することができる。
そして、そのように設計製作されても、「そり」や「曲がり」等の変形はさほど生じない。従って、長期間使用しても、火花放電を発生させることなく、当初の直流高電圧V及び荷電流値Aをほぼ維持して運転すること、即ち効率の良い運転を維持することが可能になる。
これが、(2)の効果の本質である。
各「室」の四隅を強固に固定するためには、隣接する2枚の集塵極板51−k,51−(k+1)の結合手法として、上述した図4に示すような案内ガイド53を用いる手法を採用する好適である。換言すると、かかる手法を適用することで、(2)の効果はより顕著なものとなる。
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
しかしながら、図5に示すように、第2実施形態に係る集塵極22の形状が、図3に示す第1実施形態に係る集塵極22の形状と異なる。そこで、以下、図5を参照して、第2実施形態に係る集塵極22の形状についてのみ説明する。
図5(B)は、集塵極22を構成する部品である集塵極板61の斜視図である。
図5(A),(B)に示すように、集塵極板61は、次のような極板である。即ち、略X方向に曲げ間隔P毎に、導電性のFRP製の平板を略90°ずつ2度曲げることを繰り返すことによって、略Y方向に曲板高さHの波(凹凸部)の繰り返しが連続して形成された曲板が、集塵極板61である。
なお、上述の適正範囲内を確保するための図5の例の集塵極板61の好適な寸法が、曲板高さHとしては150乃至250mm程度であり、曲げ間隔Pとしては300乃至500mm程度なのである。
本実施形態では、集塵極板61は、3つの波を1単位として製造される。
第2実施形態に係る集塵極22を製造する場合には、n枚の集塵極板61−1乃至61−nが用意される。なお、図3においては、説明の便宜上、集塵極板61−1乃至61−4のみが図示されている。
作業者(ロボット含む)は、集塵極板61−1乃至61−nの各々を、波の向き(凹凸部の向き)を順次逆向きにした上で相互に結合していく。
これにより、集塵極板61−kの所定の凸部と、隣接する集塵極板61−(k+1)の所定の凸部とが略Y方向に逆向きに結合された部分が、開口部が四角形状の室として構成される。
ここで、隣接する2枚の集塵極板61−k,61−(k+1)の結合手法は、特に限定されないが、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、上述した図4に示すような案内ガイド53を用いる手法が採用されている。
このような結合の作業が繰り返されることによって、全体として、開口部が四角形状の室を複数有する角筒型集塵極が、第2実施形態に係る集塵極22として製造される。
しかしながら、従来の角筒型集塵極では、開口部が四角形状の室のうち、3/4の部分もが1枚の曲板で構成されている。即ち、開口部に着目すると、四角形の4辺のうち3辺もが、1枚の曲板から形成されており、残りの1辺が他の曲板により形成されている。そして、この3辺(1枚の曲板)と、1辺(他の曲板)とが組み合わされて開口部の四角形が形成される。
このため、従来の角筒型集塵極において、当該曲板の材質としてFRPが採用される場合には、経年変化や熱等による室の「そり」や「曲がり」等の変形が生ずることになる。
従って、従来の角筒型集塵電極では、従来の平面電極まではいかないまでも、経年変化や熱等による「そり」や「曲がり」等の変化を考慮して、仕様としての直流高電圧Vを予め低下させておくか、或いは、経年変化や熱等による距離の短縮分も含めて2電極間の距離を、上述の適正範囲よりも予め長く設計しておく必要がある。
上述したように、仕様として直流高電圧Vを低下させれば、要求される集塵効率を確保することが非常に困難になる。一方で、2電極間の距離を長く設計すれば、その分だけ湿式電気集塵機が大型化して、コストや設置等各種各様の点において問題が生じてしまうし、運転当初の「そり」や「曲がり」等が生じていないときには、上述の荷電流値Aが上昇しないという問題が依然として発生する。
このように、開口部が四角形状の室単位でみると、1枚の曲板の占める割合が、第2実施形態に係る集塵極22の方が従来の角筒型集塵極よりも小さくなるので、当該曲板の材質としてFRPが採用される場合には、経年変化や熱等による室の「そり」や「曲がり」等の変形が少なくて済むことになる。
これにより、第2実施形態に係る集塵極22においては、従来の角筒型集塵極と比較して、経年変化や熱等による「そり」や「曲がり」等の変化をさほど考慮せずとも、2電極間の距離を当初から適正範囲とし、かつ、印加電圧Vc及び荷電流値Aの仕様として所望の値をそのまま採用して、湿式電気集塵機を設計製作することができる。
そして、そのように設計製作されても、「そり」や「曲がり」等の変形はさほど生じない。従って、長期間使用しても、火花放電を発生させることなく、当初の直流高電圧V及び荷電流値Aをほぼ維持して運転すること、即ち効率の良い運転を維持することが可能になる。
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
しかしながら、図6に示すように、第3実施形態に係る集塵極22の形状が、図3に示す第1実施形態に係る集塵極22の形状、及び図5に示す第2実施形態に係る集塵極22の形状と異なる。そこで、以下、図6を参照して、第3実施形態に係る集塵極22の形状についてのみ説明する。
図6(B)は、集塵極22を構成する部品である集塵極板71の斜視図である。
図6(A),(B)に示すように、集塵極板71は、次のような極板である。即ち、略X方向に曲げ間隔P毎に、導電性のFRP製の平板を略90°ずつ1度曲げることを繰り返すことによって、略Y方向に曲板高さHの三角形状の波(凹凸部)の繰り返しが連続して形成された曲板が、集塵極板71である。
なお、上述の適正範囲内を確保するための図5の例の集塵極板61の好適な寸法が、曲板高さHとしては200乃至400mm程度であり、曲げ間隔Pとしては200乃至400mm程度なのである。
本実施形態では、集塵極板71は、3つの波を1単位として製造される。
第3実施形態に係る集塵極22を製造する場合には、集塵極板71−1乃至71−nが用意される。なお、図3においては、説明の便宜上、集塵極板71−1乃至71−3のみが図示されている。
ここで、集塵極板71−1は、3つの波のうち1つの波の部分だけにより形成されており、集塵極板71−2は、3つの波のうち2つの波の部分だけにより形成されている。従って、3つの波を1単位とする集塵極板71から、1つの波の部分と、2つの波の部分とに分割し、それぞれを集塵極板71−1,71−2として採用することで、集塵極22の製造に必要な集塵極板71の枚数を、n枚より少なくすることができる。
作業者(ロボット含む)は、集塵極板71−1乃至71−nの各々を、波の向き(凹凸部の向き)を順次逆向きにした上で相互に結合していく。
これにより、集塵極板71−kの所定の凸部と、隣接する集塵極板71−(k+1)の所定の凸部とが略Y方向に逆向きに結合された部分が、開口部が四角形状の室として構成される。
ここで、隣接する2枚の集塵極板71−k,71−(k+1)の結合手法は、特に限定されないが、第3実施形態では、第1実施形態や第2実施形態と同様に、上述した図4に示すような案内ガイド53を用いる手法が採用されている。
このような結合の作業が繰り返されることによって、全体として、開口部が四角形状の室を複数有する角筒型集塵極が、第3実施形態に係る集塵極22として製造される。
ここで、n枚以下としたのは、上述の如く、集塵極板71−1,71−2のように1枚の極板が分割されて用いられる場合があるからであり、このような場合、次の(4)の効果を奏することができる。
(4)集塵極板71−1乃至71−nを形成するための曲板の枚数を少なくすることができるので、その分だけ、製造コストを低下させることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
しかしながら、図7に示すように、第3実施形態に係る集塵極22の形状が、図3に示す第1実施形態に係る集塵極22の形状、図5に示す第2実施形態に係る集塵極22、及び図6に示す第2実施形態に係る集塵極22の形状と異なる。そこで、以下、図7を参照して、第4実施形態に係る集塵極22の形状についてのみ説明する。
図7(B)は、集塵極22を構成する部品である集塵極板81の斜視図である。
図7(A),(B)に示すように、集塵極板81は、アルファベットの略E状の形状を有している曲板、換言すると2つの凹部の繰り返しが連続して形成された曲板、或いは、3つの凸部の繰り返しが連続して形成された曲板である。
本実施形態では、集塵極板81は、3つの凸部を1単位として製造される。
第4実施形態に係る集塵極22を製造する場合には、複数の集塵極板81が用意される。
作業者(ロボット含む)は、3つの集塵極板81の各々を、凸部の向きを同一方向にした上で相互に結合した集合体を複数用意する。さらに、作業者(ロボット含む)は、複数の当該集合体を略直角に組み合わすように結合していく。
ここで、隣接する2枚の集塵極板81の結合手法は、特に限定されないが、第4実施形態では、第1実施形態乃至第3実施形態と同様に、上述した図4に示すような案内ガイド53を用いる手法が採用されている。
このような結合の作業が繰り返されることによって、全体として、開口部が四角形状の室を複数有する角筒型集塵極が、第4実施形態に係る集塵極22として製造される。
次に、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。
しかしながら、図8に示すように、第5実施形態に係る集塵極22の形状が、図3に示す第1実施形態に係る集塵極22の形状と異なる。そこで、以下、図8を参照して、第5実施形態に係る集塵極22の形状についてのみ説明する。
図8(A)と図3(A)とを比較すると容易にわかるが、図8(A)の集塵極板91は、図3(A)の集塵極板51をベースとして、当該集塵極板51の各辺にくぼみ部(内部法句への凸部)を設けたものである。
図8の例では、集塵極板91−1,91−2が対向するように組み合わされて、最終的に、全体として、開口部が六角形状の各辺にくぼみ(室内部に向けて凸部)を有する形状の室を複数有する角筒型集塵極が、第5実施形態に係る集塵極22として製造される。
さらに、第5実施形態に係る集塵極22の六角形状の室内においては、各辺毎に突起部が設けられたのと等価な形状になっている。これにより、第5実施形態に係る集塵極22は、第1実施形態と比較して、有効集塵面積Aが大きくなるので、式(1)から明らかなように、集塵効率ηがさらに一段と向上するという効果を奏することも可能になる。
次に、本発明の第6実施形態を図面に基づいて説明する。
しかしながら、図9に示すように、第6実施形態に係る集塵極22の形状が、図3に示す第1実施形態に係る集塵極22の形状と異なる。そこで、以下、図9を参照して、第6実施形態に係る集塵極22の形状についてのみ説明する。
図9(A)と図3(A)とを比較すると容易にわかるが、図9(A)の集塵極板101は、図3(A)の集塵極板51をベースとして、当該集塵極板51の長手方向の各辺にくぼみ部(内部方向への凸部)又は凸部(外部方向への凸部)を設けたものである。
図9の例では、集塵極板101−1,101−2が対向するように組み合わされて、最終的に、全体として、開口部が六角形状の2辺にくぼみ(室内部に向けて凸部)又は凸部(外部方向への凸部)を有する形状の室を複数有する角筒型集塵極が、第6実施形態に係る集塵極22として製造される。
さらに、第6実施形態に係る集塵極22の六角形状の室内においては、幾つかの辺に突起部やくぼみ部が設けられたのと等価な形状になっている。これにより、第6実施形態に係る集塵極22は、第1実施形態と比較して、有効集塵面積Aが大きくなるので、式(1)から明らかなように、集塵効率ηがさらに一段と向上するという効果を奏することも可能になる。
また、上記各種実施形態に係る集塵極22を構成する集塵極板の波や凸部等の繰り返しの単位は、3単位とされたが、特にこれに限定されず、任意の単位数でよい。
Claims (4)
- 電気集塵機用の集塵極において、
所定の個数の凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板を、集塵極板として複数枚有し、
複数枚の前記集塵極の各々が、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合されることで、複数の筒の集合体が構成されている、
電気集塵機用の集塵極。 - 前記集塵極板は、第1方向に所定の間隔毎に、平板を略60°ずつ2度曲げることを繰り返すことによって、前記第1方向とは略直角方向に所定の高さの前記凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板であり、
複数枚の前記集塵極の各々が、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合されることで、開口部が六角形状の前記複数の筒の集合体が構成されている、
請求項1に記載の電気集塵機用の集塵極。 - 前記集塵極板は、第1方向に所定の間隔毎に、平板を略90°ずつ2度曲げることを繰り返すことによって、前記第1方向とは略直角方向に所定の高さの前記凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板であり、
複数枚の前記集塵極の各々が、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合されることで、開口部が四角形状の前記複数の筒の集合体が構成されている、
請求項1に記載の電気集塵機用の集塵極。 - 電気集塵機用の集塵極の製造方法であって、
所定の個数の凹凸部の繰り返しが連続して形成された曲板を、集塵極板として複数枚用意し、
複数枚の前記集塵極の各々を、前記凹凸部の向きを順次逆向きにした上で相互に結合することで、複数の筒の集合体からなる集塵極を製造する、
電気集塵機用の集塵極の製造方法。
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