JP2015202485A - 湿式電気集塵機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】集塵塔30は、各集塵電極40が横断面六角形をなすハニカム構造とされている。各集塵電極40の下端部の全周縁に、集塵電極の六つの辺それぞれに沿って下方に向けて張り出した水切り部42を設けている。水切り部42を構成する6つの面は、各面の中央部が下方に突設された山形をなすとともに、左右端部が隣接する面と同じ突設位置で連結されている。
【選択図】図2
Description
ガス中の塵埃などの微粒子を捕集するときは、集塵電極を接地するとともに放電電極に負の高電圧を印加する。これにより、放電電極からコロナ放電が発生し、集塵機のガス導入口より導入したガスに含まれる微粒子に帯電をさせて集塵電極に捕集するようになっている。さらに、この種の湿式電気集塵機は、霧状に水を噴射するスプレーノズルを用いて集塵電極に洗浄水を噴射して集塵電極表面に洗浄水の水膜を作り、集塵電極に捕集した微粒子を洗浄水とともに流れ落とすようになっている。
つまり、同文献記載の電気集塵手段は、溶接作業台用としての乾式の電気集塵手段なので、湿式電気集塵機に必須の構成である水膜を噴射するスプレーノズルを有しておらず、当然に、集塵電極下部に洗浄水の液溜りが生ずることもない。そのため、これに起因する火花放電の対策が不要だからである。
一方、上述したように、湿式電気集塵機においては、火花放電の対策が必要であるところ、上述した特許文献1に記載の技術では、水切り部を有する集塵電極が板状であって、板状の集塵電極が集塵機の幅方向に列をなす構成なので、これをハニカム構造の電極集束体に転用して、集塵電極における洗浄水の液溜りを効果的に防止または抑制する上では未だ改善の余地が残されている。
図1に示すように、この湿式電気集塵機1は、上方から順に、上部ケーシング10、集塵塔30および下部ケーシング20を有する。上部ケーシング10の下部に形成されたフランジ11と集塵塔30の上部フランジ31、および、集塵塔30の下部フランジ32と下部ケーシング20の上部に形成されたフランジ21は、相互がボルト・ナットにより連結されてケーシング全体が一体とされている。湿式電気集塵機1のケーシング全体は、不図示の基台等の支持構造により軸線を上下にして支持された縦型構造となっている。なお、ケーシングは、円筒状や角筒状など適宜の筒状体とすることができるが、本実施形態では、矩形筒状のケーシングを用いている。
上下のフランジ31、32は、ケーシングに整合させた矩形状に形成されており、ボルト・ナット締結用の複数の装着孔35,36が周囲の適所に形成されている。なお、図2および図3中、フランジ31、32に沿って図示された二点鎖線は、二点鎖線よりも外側が実質的なフランジとして機能する部分であり、二点鎖線よりも内側が、上下のケーシング10、20の内周側に位置する部分である。
水切り部42は、六つの辺それぞれに対応する各面の方向から見たときに、各面の中央部が、下方に突設された左右対称形状となっている。水切り部42の各面の左右端部は、隣接する面と同じ位置で連結されている。これにより、全体的に安定した水切り性能を全ての箇所に対して確保可能になっている。また、同じ集塵電極形状とすることで、コストダウンおよび品質の安定を保つことができる。なお、本実施形態では、各集塵電極40の水切り部42は、その基端部の水平方向での位置が、全て同じ(いわば面一)とされており、その基端部の位置に合わせて上記下部フランジ32が設けられている。
本実施形態の例では、集塵塔30は、同一の型枠を用いて製作した、複数の中空六角筒状の柱を組み合わせて製造している。まず、六角筒状の型枠を用いてその型枠部材の外面に離型剤を塗布し、その上から、繊維強化プラスチックであって導電性FRPのシートを重ね合わせて張り付けて横断面が六角形とされるとともに、内面が平滑面とされた六角筒体を作成する。次いで、成形状態が安定したら型枠から六角筒体を軸方向に抜き出す。次いで、六角筒体同士の隣接面を相互に接着してこれらを所期の数だけハニカム構造を構成するように組み合わせる。その後、軸方向の両端面にフランジ31、32をそれぞれ取り付けて一体とした集塵塔30を製造する。
これにより、同じ部品である複数の集塵電極40を組み合わせたハニカム構造をなす集塵塔30が製造される。そのため、この集塵塔30は、各集塵電極40の部品管理が容易であり、組み立て時の作業効率も良く、また、製造コストを安価にすることができる。また、集塵塔30は、全体が一体となっているので、剛性が高く安定した形状を維持する上で好適であり、さらに、導入されたガスが隣接する集塵電極40の筒体部同士の間の空間に侵入して浸食されることも防止される。
上述の湿式電気集塵機1を運転するときは、集塵塔30を接地し、放電線6に負の高電圧を印加して、放電線6からコロナ放電を発生させる。これと同時に、塵埃などの微粒子を含むガスGをケーシング下部のガス導入口8から導入する。これにより、集塵塔30の各集塵電極40の集塵空間に微粒子を含んだガスが流れると、ガス中の微粒子が負に帯電する。帯電した微粒子は静電凝集作用を伴いつつクーロン力により各集塵電極40の内壁面に向って移動して壁面上に付着する。同時に、上方の上部ケーシング10に配設されているスプレーノズル61,62から洗浄水を下方の集塵塔30に向けて噴射する。これによって、各集塵電極40の内壁面に付着した微粒子を洗浄して除去する。洗浄水は微粒子とともに下部ケーシング20へと流れ、下部ケーシング20下のタンク50へ排出される。塵埃などの微粒子が除去されたガスGは、ケーシング上部のガス排気口9から排気される。
なお、複数の筒状体を繰り返し配置することによって、広い有効集塵面積を確保する集塵電極としては、例えば、筒状体の開口部が円の円筒状や、開口部が矩形状の四角筒状とすることもできるものの、筒状体が円筒状であると、隣接する筒状体同士の間に不要な隙間部分がデットスペースとなる。そのため、同一断面積でより広い有効集塵面積を確保する上では不十分である。また、四角筒状であると、放電方向での面との対向距離と対角線方向との対向距離の差異が断面を六角形としたものに比べて大きくなる。これに対し、断面を六角形とした六角筒状であれば、有効集塵面積を大きくすることができる上、ハニカム配置が可能なので隣接する筒状体同士の間にデットスペースは無くなり、かつ、面との対向距離と対角線方向との対向距離の差異も可及的に小さくできるので、集塵効率を向上させる上で極めて好適である。
また、例えば上記実施形態では、集塵塔30の上面側に、更に水切り手段を有する例で説明したが、これに限定されず、水切り手段は、少なくとも各集塵電極の下部に設ける構成とすることができる。しかし、集塵電極40における洗浄水の液溜りをより効果的に防止または抑制する上では、集塵塔の上面側にも水切り手段を設けることが好ましい。
また、上記実施形態では、集塵塔の上面側に設ける水切り手段の一例として、集塵塔30の上面(平面部34)に、集塵電極40の筒部内に繋がるように形成された水切り溝33を形成した例で説明したが、これに限らず、例えば、集塵塔の上面側の水切り手段として、上記平面部34自体を集塵電極40の筒部内側に下り勾配の傾斜面として形成してもよい。また、上記第一または第二スプレーノズルと同様に配置した空気噴射ノズルを更に設け、この空気噴射ノズルからの圧縮空気噴射によって洗浄水の液溜りを解消するようにしてもよい。しかし、低コストで且つ簡素な構成で集塵塔の上面側にも水切り手段を設ける上では、上記のように、平面部34に水切り溝33を形成することが好ましい。
2 上部グリッド
3 下部グリッド
5 吊下管
6 放電線
7 放電用突起
8 ガス導入口
9 ガス排気口
10 上部ケーシング
11 (上部ケーシングの)フランジ
20 下部ケーシング
21 (下部ケーシングの)フランジ
30 集塵塔
31 上部フランジ
32 下部フランジ
33 水切り溝(水切り手段)
34 平面部
40 集塵電極(集塵室)
42 水切り部(水切り手段)
50 タンク
51 排出口
60 分散板
61 (集塵塔上部の)第一スプレーノズル
62 (集塵塔上部の)第二スプレーノズル
63 (集塵塔下部の)上向き洗浄ノズル
64 (集塵塔下部の)下向き洗浄ノズル
Claims (4)
- 集塵塔に沿ってガスを導入する縦型構造の湿式電気集塵機であって、
前記集塵塔内に沿って六角筒状をなす複数の集塵電極がハニカム構造を構成するように配置されるとともに、各集塵電極内の中央部に上下方向に放電線がそれぞれ張設されており、
前記集塵塔は、各集塵電極の下端部に、集塵電極の六つの辺それぞれに沿って下方に向けて全周縁に亘って張り出した水切り部を有し、
前記水切り部を構成する6つの面は、各面の中央部が下方に突設された山形をなすとともに、各面の左右端部が隣接する面と同じ位置で連結されていることを特徴とする湿式電気集塵機。 - 前記集塵塔の上面側に、更に水切り手段を有することを特徴とする請求項1に記載の湿式電気集塵機。
- 前記集塵塔の上部には、全集塵電極の上部端面を含む面一な面が設けられており、前記水切り手段が、前記集塵塔の前記面一な面の上面に、いずれかの集塵電極の筒部内に繋がるように形成された水切り溝であることを特徴とする請求項2に記載の湿式電気集塵機。
- 洗浄用スプレーノズルを前記集塵塔の上部側および下部側のそれぞれに有し、前記洗浄用スプレーノズルのうち、前記集塵塔に向けて洗浄水を噴射する洗浄用スプレーノズルの噴射口は、集塵電極の全てに亘って洗浄水を噴射するように、ハニカム構造を構成する複数の集塵電極を外周側から囲繞するように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式電気集塵機。
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