JP2011216534A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2011216534A
JP2011216534A JP2010080749A JP2010080749A JP2011216534A JP 2011216534 A JP2011216534 A JP 2011216534A JP 2010080749 A JP2010080749 A JP 2010080749A JP 2010080749 A JP2010080749 A JP 2010080749A JP 2011216534 A JP2011216534 A JP 2011216534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
refractive index
semiconductor laser
high reflection
dfb laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010080749A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuya Takeshita
達也 竹下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2010080749A priority Critical patent/JP2011216534A/ja
Publication of JP2011216534A publication Critical patent/JP2011216534A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Lasers (AREA)

Abstract

【課題】膜剥がれなどを起こすことなく、膜数の多い(誘電体多層膜の層数が多い)高反射膜構造を実現することが可能なリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子などの半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】DFBレーザ素子22を、前端面にAR膜14を備え、後端面に低屈折率膜18aと高屈折率膜18bのペア膜を例えば3ペア有する構造の誘電体多層膜から成るHR膜18Aを備えたDFBレーザ30と、一方の端面に低屈折率膜18aと高屈折率膜18bのペア膜を例えば2ペア有する構造の誘電体多層膜から成るHR膜18Bを備えた透明ブロックであるInPブロック19とを有し、且つ、DFBレーザ30に備えたHR膜18AにInPブロック19に備えたHR膜18Bを接触させて成るHR膜構造18を有する構成とする。また、HR膜18BとInPブロック19の間に低屈折率調整膜18cを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光通信などに用いられる高速直接変調半導体レーザ素子(例えばDFBレーザ素子)などの半導体レーザ素子に関するものである。
急激に増大する伝送容量に対応するため、メトロエリア及びローカルエリア系のネットワークでは、2.5又は10Gb/sの高速伝送サービスが行われている。このようなネットワークでは、サービスを低コストで提供することが求められている。
これを実現するため、光トランシーバモジュールには、低消費電力、低コスト及び小型化が求められ、現在、温度調整(温調)なしで動作する光トランシーバモジュールが採用されている。このモジュールの実現は雰囲気温度70℃までの範囲において動作する高温特DFBレーザ(InGaAsP活性層)が開発されたためであり、広い温度範囲で高速動作する高温特DFBレーザチップの実現は低コストのネットワークの構築に大きく寄与した。
更に、近年、10Gbps (X) Form-factor Pluggable(XFP)に代表されるように、モジュールの実装密度が高くなっていることから、チップ温度は雰囲気温度よりいっそう高くなることが予想されている。このような観点から、更に高温動作のDFBレーザが求められ、これに対応する高温特DFBレーザとして、InGaAlAsを活性層とするDFBレーザが注目されている。
InGaAlAsを活性層とする半導体レーザはInGaAsPを活性層とする半導体レーザに比べ、高温で電子のオーバーフローが少ないという特徴を持つ。このInGaAlAs活性層DFBレーザは約130℃までの最高発振温度特性を持ち、更に、100℃の雰囲気温度でも良好なopen-eye特性(10Gbps変調)を持つことが報告されている。しかしながら、InGaAlAs系DFBレーザではAlを含む活性層を持つため、活性層側壁をエッチングした場合、酸化による欠陥が生成される。従って、現在のところ、信頼性の観点から活性層側壁をエッチングしないリッジ構造が採用されている。
図6及び図7に従来のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザの構造を示す。
図6において、1はInGaAlAs活性層である。このInGaAlAs活性層1は、圧縮歪み量子井戸層と伸張歪みバリア層から成る。前記量子井戸層は1.31μm波長に対応したバンドギャップを持ち、その井戸厚は6nm、井戸数は6、圧縮歪みは1.4%である。前記バリア層は0.95μm波長に対応したバンドギャップを持ち、その障壁厚は10nm、引っ張り歪みは0.6%である。
また、2はi-InGaAlAs(0.95μm組成)第1のSCH層、3はi-InGaAlAs(0.95μm組成)第2のSCH層、4はn-InAlAsキャリアストップ層、5はp-InAlAsキャリアストップ層、6はn-InPバッファー層である。7はInGaAsP(1.1μm組成)光ガイド層であり、この光ガイド層7は回折格子により動的単一モードの動作が実現される。8はp-InPクラッド層、9はp+-InGaAsPキャップ層、10はn-InP基板、12はp電極、13はn電極、14はAntireflection (AR, 反射防止)膜、15はHigh reflection (HR, 高反射)膜、16はAuSnハンダ、17はAlNヒートシンクである。
ここで、AR膜14は反射率0.1%以下のAR膜であり、TiO2高屈折率膜14aとSiO2低屈折率膜14bから成る。HR膜15は、SiO2低屈折率膜15aとTiO2高屈折率膜15bのペア膜を3ペア有する構造の誘電体多層膜から成るものである。
図8に従来の高反射膜における反射率の波長依存性の計算を示す。SiO2低屈折率膜15aの屈折率(nSiO2)を1.47、TiO2高屈折率膜15bの屈折率(nTiO2)を2.30とした。レーザ発振波長(λ0)の1310nmで反射率が最大になる設計値として、SiO2低屈折率膜15aの膜厚222.8nm(=λ0/(4・nSiO2))と、TiO2高屈折率膜15bの膜厚142.4nm(=λ0/(4・nTiO2))とを用いた。このSiO2低屈折率膜15aとTiO2高屈折率膜15bを1つのペア膜とし、このペア膜の数が1ぺア、2ペア及び3ペアの場合の反射率(λ0=1310nm)を計算すると、それぞれの反射率は約60、81及び92%と見積もられ、ペア膜数の増加とともに反射率は高くなっている。
図7に示すように、リッジは幅1.5μmのp-InPクラッド層8と、p+-InGaAsPキャップ層9とから成っている。また、リッジ頂上を除く半導体表面(p-InPクラッド層8の表面)にはSiN絶縁膜11があり、このSiN絶縁膜11によって半導体(p-InP
クラッド層8)とp電極12とを絶縁する構造になっている。電流はリッジ頂上から注入される。素子長は100μmである。
図9に従来のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザの光出力特性を示す。25℃雰囲気における閾値電流は約6mAであり、最大光出力が10mW以上の良好な光出力が得られている。これは活性層の埋め込みがなく、リーク電流が小さいことによるものであり、良好なリッジレーザが作製されているためである。
光ファイバ通信の伝送容量は半導体レーザの変調帯域により制限される。これは半導体レーザの変調感度特性が共振状ピークを持ち、更に、変調周波数を増加させると変調度は急激に低下する特徴を持つためである。一般的に半導体レーザの変調帯域を示すパラメータとして、変調感度が低周波領域の感度に比べて3dB低下する周波数f3dBが用いられており、半導体レーザの直接変調の上限を示す目安になっている。
3dBは緩和振動周波数frの約1.55倍に相当する。従って、frを改善することはf3dBを増加させる目安となる。この緩和振動は誘導放出を介してキャリア及び光子密度が変動することにより発生するものであり、frは次式(1)で示される。
但し、S0は光子密度、(∂g/∂N)は微分利得、Nはキャリア密度、τPは光子の寿命時間である。式(1)は、frを改善するには3つのパラメータの改善、即ち、(a)光子寿命時間の低減、(b)光出力の増加、(c)微分利得の増加が有効であることを示している。
これらのパラメータの中で、高速化は、(a)光子寿命時間の低減により実現される。(a)光子寿命時間の低減は、光損失を増やすこと(内部損失の増加、素子長の低減又は端面反射率の低減)により実現される。近年、素子長(L)100μmの直接変調半導体レーザにおいて、雰囲気温度25℃で29Gb/sのf3dB 特性が報告されている(例えば、非特許文献1)。半導体レーザは基板の裏面研磨により100μm程度に薄くされる。従って、素子長が100μm以下となると素子のハンドリングが困難となることから、素子長100μmは限界にある。
2つ目に高速化は、(b)光出力を増加することにより実現される。これは光子密度を増加させることであり、高出力レーザを作製することを意味する。しかしながら、高速性を保ちつつ高出力レーザを作製することは困難である。
3つ目に高速化は、(c)微分利得を改善することにより実現される。微分利得はキャリア密度が低いほど高くなる。従って、閾値電流を減少させることにより微分利得が改善される。
前記閾値電流を減少させるには、損失を下げることが求められる。しかし、損失の低減は光子寿命時間の低減を抑制することになり、frを悪くさせてしまう。このような関係があるため、frの改善は、微分利得の改善が光子寿命時間の低減悪化に比べ大きくなった場合となる。
損失の低減はAR膜とHR膜の反射率を上げることにより実現される。この中でAR膜の反射率を上げる方法は、AR膜の反射率を上げるとDFBレーザの光特性を悪くすることから、現実的ではない。従って、HR膜の反射率の上げる方法が、閾値電流低減の有効な手段となる。
これまで、レーザ端面に備えるHR膜の低屈折率膜と高屈折率膜のペア膜数を増加させ、3ペア膜とすることによって、約90%の高反射率が得られている。
しかしながら、高反射率を得るためにレーザ端面に低屈折率膜と高屈折率膜のペア膜を4ペア以上作製した場合、膜剥がれなどが起き、膜応力の観点から作製困難であった。即ち、誘電体多層膜の層数(ペア膜数)を増やすと、膜内部に応力が蓄積しやすくなり、途中で膜が剥がれてしまったり膜に亀裂が入ったりするため、ペア膜の総数の増加には限界があった。
従って、本発明はこのような問題点に鑑み、膜剥がれなどを起こすことなく、膜数の多い(誘電体多層膜の層数が多い)高反射膜構造を実現することが可能なリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子などの半導体レーザ素子を提供することを課題としている。
上記課題を解決する第1発明の半導体レーザ素子は、誘電体多層膜から成る高反射膜を、少なくとも一方の端面に備えた半導体レーザと、
誘電体多層膜から成る高反射膜を端面に備えた透明ブロックとを有し、
且つ、前記半導体レーザに備えた前記高反射膜に前記透明ブロックに備えた前記高反射膜を接触させて成る高反射膜構造を有していることを特徴とする。
また、第2発明の半導体レーザ素子は、一方の端面に反射防止膜を備え、他方の端面に低屈折率膜と高屈折率膜のペア膜を少なくとも1ペア有する構造の誘電体多層膜から成る高反射膜を備えたDFBレーザと、
一方の端面に低屈折率膜と高屈折率膜のペア膜を少なくとも1ペア有する構造の誘電体多層膜から成る高反射膜を備えた透明ブロックとを有し、
且つ、前記半導体レーザに備えた前記高反射膜に前記透明ブロックに備えた前記高反射膜を接触させて成る高反射膜構造を有していることを特徴とする。
また、第3発明の半導体レーザ素子は、第2発明の半導体レーザ素子において、前記透明ブロックの一方の端面において、前記高反射膜と前記透明ブロックの間に低屈折率調整膜を備えたことを特徴とする。
また、第4発明の半導体レーザ素子は、第2又は第3発明の半導体レーザ素子において、前記半導体レーザに備えた前記高反射膜に前記透明ブロックに備えた前記高反射膜を接触させて成る前記高反射膜構造は、前記低屈折率膜と前記高屈折率膜のペア膜を4ペア以上有して成るものであることを特徴とする。
また、第5発明の半導体レーザ素子は、第2〜第4発明の何れか1つの半導体レーザ素子において、
前記透明ブロックの他方の端面に反射防止膜を備えたことを特徴とする。
本発明の半導体レーザ素子は、半導体レーザに備えた高反射膜に透明ブロック(半導体レーザの発振波長域の光に対して透明なブロック)に備えた高反射膜を接触させて成る高反射膜構造を有していることを特徴としているため、全ての誘電体多層膜(高反射膜構造)を半導体レーザの端面に成膜するときよりも応力の蓄積が小さくて済むため、膜剥がれなどを起こすことがなく、且つ、誘電体多層膜の実質的な層数は増えるため、高反射膜構造の反射率を高めることができる。従って、本発明の構成を直接変調型半導体レーザ素子に用いると、変調速度をより高速化することが可能になる。
また、本発明の高反射膜構造では、従来の高反射膜構造の空気の領域が透明ブロックに置き換わることになる。透明ブロックの屈折率をnXとし、このnXによる4ペア高反射膜構造の反射率の変化を図10に示す。nXが空気の1.0から増加するに従い、反射率は低下している。
これに対して、本発明の半導体レーザ素子では、透明ブロックの一方の端面において、高反射膜と透明ブロックの間に低屈折率調整膜を備えたことを特徴としているため、空気から透明ブロックに代わることによる反射率の低下を、低屈折率調整膜によって抑制することができる。このため、例えば90%以上の高反射率を実現し、高速変調のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子などを提供することができる。
また、このような高反射膜構造の導入により、閾値電流が減少し、変調帯域が改善される。また、反射防止膜から出射される出力が増加する。その結果、光ファイバとの結合係数を上げなくても光結合が充分にとれることから、光ファイバの調整トレランスが緩く、モジュールの歩留まりが向上する。
本発明の実施の形態例に係るコーティング膜付きInPブロックを搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子の構造であって、リッジ中央をストライプ方向に切った面の断面構造図である。 図1のB−B線矢視断面図(光出射端面に平行な面の断面構造図)である。 本発明の実施の形態例に係るコーティング膜付きInPブロックを搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子のHR膜近傍の構造(構造2)における反射率の波長依存性の計算結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態例に係るコーティング膜付きInPブロックを搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子の光出力特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態例に係るコーティング膜付きInPブロックを搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子を用いたモジュールの構造図である。 従来のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザの構造であって、リッジ中央をストライプ方向に切った面の断面構造図である。 図6のA−A線矢視断面図(光出射端面に平行な面の断面構造図)である。 従来の高反射膜における反射率の波長依存性の計算結果を示すグラフである。 従来のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザの光出力特性を示すグラフである。 透明ブロックの屈折率nXによる4ペア高反射膜構造の反射率の変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態例に係るリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子22は、直線変調半導体レーザであるリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ30に対してコーティング膜付きInPブロック19を搭載した構造のものである。なお、DFBレーザ30は従来のDFBレーザ(図6参照)と同様のものである。InPブロック19は透明ブロックである。ここでいう「透明ブロック」の「透明」とは、半導体レーザ(本実施の形態例ではDFBレーザ)の発振波長域の光に対して透明であればよく、可視光域で透明である必要はない。即ち、透明ブロックは、HR膜構造18(HR膜18A,18B、低屈折率調整膜18c)からの出力光をパスさせることができるような透明な材料からなるものであればよい。InPブロック19は、可視光域の光に対しては不透明であるが、図3に示すような赤外域の光に対しては透明である。
DFBレーザ22の構造について詳述すると、図1において、1はInGaAlAs活性層である。このInGaAlAs活性層1は、圧縮歪み量子井戸層と伸張歪みバリア層から成る。前記量子井戸層は1.31μm波長に対応したバンドギャップを持ち、その井戸厚は6nm、井戸数は6、圧縮歪みは1.4%である。前記バリア層は0.95μm波長に対応したバンドギャップを持ち、その障壁厚は10nm、引っ張り歪みは0.6%である。
また、2はi-InGaAlAs(0.95μm組成)第1のSCH層、3はi-InGaAlAs(0.95μm組成)第2のSCH層、4はn-InAlAsキャリアストップ層、5はp-InAlAsキャリアストップ層、6はn-InPバッファー層である。7はInGaAsP(1.1μm組成)光ガイド層であり、この光ガイド層7は回折格子により動的単一モードの動作が実現される。8はp-InPクラッド層、9はp+-InGaAsPキャップ層、10はn-InP基板、12はp電極、13はn電極、14はAR膜、16はAuSnハンダ、17はAlNヒートシンク 、18は前述のHR膜構造である。19は前述のInPブロック(透明ブロック)、20はAR膜、21はAuコーティング膜である。
ここで、DFBレーザ30の前端面には、TiO2高屈折率膜14aとSiO2低屈折率膜14bをコーティングすることにより、反射率0.1%以下のAR膜14を作製した。一方、DFBレーザ30の後端面には、SiO2低屈折率膜18a(屈折率:1.47、膜厚:222.8nm(=λ0/(4・nSiO2)))とTiO2高屈折率膜18b(屈折率:2.30、膜厚:142.4nm(=λ0/(4・nTiO2)))のペア膜を3ペアコーティングすることにより、誘電体多層膜であるHR膜18Aを作製した。
この場合、HR膜近傍の構造は、InP結晶/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/空気の構造(構造1)であり、この構造1で約92%の高反射特性(λ0=1310nm)を持つ。
このDFBレーザ30の後端面のHR膜18Aにコーティング膜付きInPブロック19を直接接触させた。InPブロック19の一方の端面にコーティング膜として、SiO2低屈折率膜18a(屈折率:1.47、膜厚:222.8nm(=λ0/(4・nSiO2)))とTiO2高屈折率膜18b(屈折率:2.30、膜厚:142.4nm(=λ0/(4・nTiO2)))のペア膜を2ペアコーティングして成るHR膜(誘電体多層膜)18Bと、SiO2低屈折率調整膜18cとを配置した。即ち、DFBレーザ30に備えたHR膜18Aに対し、InPブロック19に備えたHR膜18Bが接触(密着)するようにInPブロック19を配置(搭載)することによって、HR膜18AとHR膜18BとSiO2低屈折率調整膜18cとから成るHR膜構造18を構成した。
その結果、全体のHR膜近傍の構造は、InP結晶/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率膜18a/TiO2高屈折率膜18b/SiO2低屈折率調整膜18c/InPブロック19(構造2)の構造(構造2)となる。この構造2は、SiO2低屈折率膜18aとTiO2高屈折率膜18bのペア膜が構造1の3ペアから5ペアに増加し、且つ、空気からInPブロック19に代わり、更に、SiO2低屈折率調整膜18cが追加された構造である。
図10に示したように、空気からInPブロック19に代わると、反射率が低下する。従って、図1に示すように本実施の形態例では、InPブロック19の一方の端面において、HR膜18BとInPブロック19の間にSiO2低屈折率調整膜18cを挿入することにより、空気からInPブロック19に代わることによる反射率の低下を抑制した。
本発明による構造2の反射率の波長依存性の計算結果を図3に示す。反射率はDFBレーザ30の発振波長の1310nmで約99%となり、高反射特性が得られている。
InPブロック19の一方の面(HR膜18A及び低屈折率調整膜18cを備えた面)からInPブロック19に入った光は、InPブロック19の他方面(HR膜18A及び低屈折率調整膜18cを備えた面と反対側の面)から出射される。このInPブロック19の他方面には、TiO2高屈折率膜20aとSiO2低屈折率膜20bを配置することにより、反射率0.1%以下のAR膜20を作製した。
図2に示すDFBレーザ30の光出射端面に平行な面の断面構造は、図7と同様である。即ち、図2に示すように、リッジは幅1.5μmのp-InPクラッド層8と、p+-InGaAsPキャップ層9とから成っている。また、リッジ頂上を除く半導体表面(p-InPクラッド層8の表面)にはSiNX絶縁膜11があり、このSiNX絶縁膜11によって半導体(p-InPクラッド層8)とp電極12とを絶縁する構造になっている。電流はリッジ頂上から注入される。素子長は100μmである。
図4に本発明によるコーティング膜付きInPブロック19を搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子22の光出力特性を示す。なお、図4には、比較のため、従来の3ペアのHR膜をコーティングしたDFBレーザの光出力特性も示す。本発明のDFBレーザ素子22では、閾値電流が約4.5mAに低下し、スロープ効率が改善されている。従来構造のレーザ特性と比べ、本発明によるコーティング膜付きInPブロック19を搭載することによる効果が確認された。
また、本発明によるコーティング膜付きInPブロック19を搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子22の小信号高速周波数特性を測定した。その結果、3dBダウンの周波数は25℃常温で30GHzが得られ、広帯域特性が得られた。
図5にモジュールの構造を示す。図5において、22は本発明によるコーティング膜付きInPブロック19を搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子、23は受光素子、24はプリアンプ、25はWavelength division multiplexing (WDM)フィルタ、26はボールレンズ、27はシングルモード光ファイバである。DFBレーザ素子22の光出力の向上により、シングルモード光ファイバ27との結合効率が低下しても、駆動電流の増加で光出力を補償でき、一定の光出力を得ることができるため、作製トレランスの点でモジュールの作製歩留まり向上に貢献した。
以上のように、本実施の形態例のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子22によれば、前端面にAR膜14を備え、後端面に低屈折率膜18aと高屈折率膜18bのペア膜を3ペア(これに限らず、1ペア又は3ペア以外の複数ペアでもよい)有する構造の誘電体多層膜から成るHR膜18Aを備えたDFBレーザ30と、一方の端面に低屈折率膜18aと高屈折率膜18bのペア膜を2ペア(これに限らず、1ペア又は2ペア以外の複数ペアでもよい)有する構造の誘電体多層膜から成るHR膜18Bを備えた透明ブロックであるInPブロック19とを有し、且つ、DFBレーザ30に備えたHR膜18AにInPブロック19に備えたHR膜18Bを接触させて成るHR膜構造18を有していることを特徴としているため、全ての誘電体多層膜(高反射膜構造18)を半導体レーザの端面に成膜するときよりも応力の蓄積が小さくて済むため、膜剥がれなどを起こすことがなく、且つ、誘電体多層膜全体の実質的な層数(高反射膜構造18全体のペア膜数)は増えるため、高反射膜構造18の反射率を高めることができる。従って、DFBレーザ素子22の変調速度をより高速化することが可能になる。
また、InPブロック19の一方の端面において、HR膜18BとInPブロック19の間に低屈折率調整膜18cを備えたことを特徴としているため、空気からInPブロックに代わることによる反射率の低下を、低屈折率調整膜18cによって抑制することができる。このため、90%以上の高反射率を実現し、高速変調のリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子22を提供することができる。
また、このような高反射膜構造18の導入により、閾値電流が減少し、変調帯域が改善される。また、AR膜から出射される出力が増加する。その結果、光ファイバとの結合係数を上げなくても光結合が充分にとれることから、光ファイバの調整トレランスが緩く、モジュールの歩留まりが向上する。
なお、上記では高屈折率膜としてTiO2膜を用いたが、これに限定するものではなく、Ta25膜、Si膜、AlOX膜、SiNX膜、AlNX膜などを高屈折率膜として用いても、同様の効果が得られることは自明である。
また、上記では本発明を分布帰還(DFB)型の半導体レーザ素子に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限定するものでなく、本発明は、例えばファブリペロー(FP)型の半導体レーザ素子において誘電体多層膜(高反射膜構造)を作製するに際にも適用することができる。FP型の半導体レーザの場合には共振器を構成するミラーとして、誘電体多層膜から成る高反射膜(高反射鏡)を、半導体レーザの両方もしくは片方の端面に形成することが一般的である。DFB型の半導体レーザの場合には光の出力方向を決定するミラーとして、上記のとおり、誘電体多層膜から成る高反射膜(高反射鏡)を、半導体レーザの片方に端面にのみ形成することが一般的である。
本発明は半導体レーザ素子に関するものであり、誘電体多層膜から成る高反射膜を備えるDFB型やFP型などの半導体レーザに適用して有用なものである。
1 InGaAlAs活性層
2 i-InGaAlAs(0.95μm組成)第1のSCH層
3 i-InGaAlAs(0.95μm組成)第2のSCH層
4 n-InAlAsキャリアストップ層
5 p-InAlAsキャリアストップ層
6 n-InPバッファー層
7 InGaAsP(1.1μm組成)光ガイド層
8 p-InPクラッド層
9 p+-InGaAsPキャップ層
10 n-InP基板
11 SiNx絶縁膜
12 p電極
13 n電極
14 AR膜
14a TiO2高屈折率膜
14b SiO2低屈折率膜
15 HR膜
15a SiO2低屈折率膜
15b TiO2高屈折率膜
16 AuSnハンダ
17 AlNヒートシンク
18 HR膜構造
18A DFBレーザのHR膜
18B InPブロックのHR膜
18a SiO2低屈折率膜
18b TiO2高屈折率膜
18c SiO2低屈折率調整膜
19 コーティング膜付きInPブロック
20 AR膜
20a TiO2高屈折率膜
20b SiO2低屈折率膜
21 Auコーティング膜
22 本発明によるコーティング膜付きInPブロックを搭載したリッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子
23 受光素子
24 プリアンプ
25 Wavelength division multiplexing (WDM)フィルタ
26 ボールレンズ
27 シングルモード光ファイバ
30 リッジ型InGaAlAs系DFBレーザ素子

Claims (5)

  1. 誘電体多層膜から成る高反射膜を、少なくとも一方の端面に備えた半導体レーザと、
    誘電体多層膜から成る高反射膜を端面に備えた透明ブロックとを有し、
    且つ、前記半導体レーザに備えた前記高反射膜に前記透明ブロックに備えた前記高反射膜を接触させて成る高反射膜構造を有していることを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 一方の端面に反射防止膜を備え、他方の端面に低屈折率膜と高屈折率膜のペア膜を少なくとも1ペア有する構造の誘電体多層膜から成る高反射膜を備えたDFBレーザと、
    一方の端面に低屈折率膜と高屈折率膜のペア膜を少なくとも1ペア有する構造の誘電体多層膜から成る高反射膜を備えた透明ブロックとを有し、
    且つ、前記半導体レーザに備えた前記高反射膜に前記透明ブロックに備えた前記高反射膜を接触させて成る高反射膜構造を有していることを特徴とする半導体レーザ素子。
  3. 前記透明ブロックの一方の端面において、前記高反射膜と前記透明ブロックの間に低屈折率調整膜を備えたことを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記半導体レーザに備えた前記高反射膜に前記透明ブロックに備えた前記高反射膜を接触させて成る前記高反射膜構造は、前記低屈折率膜と前記高屈折率膜のペア膜を4ペア以上有して成るものであることを特徴とする請求項2又は3記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記透明ブロックの他方の端面に反射防止膜を備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項記載の半導体レーザ素子。
JP2010080749A 2010-03-31 2010-03-31 半導体レーザ素子 Pending JP2011216534A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010080749A JP2011216534A (ja) 2010-03-31 2010-03-31 半導体レーザ素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010080749A JP2011216534A (ja) 2010-03-31 2010-03-31 半導体レーザ素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011216534A true JP2011216534A (ja) 2011-10-27

Family

ID=44946003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010080749A Pending JP2011216534A (ja) 2010-03-31 2010-03-31 半導体レーザ素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011216534A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018006396A (ja) * 2016-06-28 2018-01-11 ウシオ電機株式会社 半導体レーザ素子および半導体レーザ装置
CN115395364A (zh) * 2022-08-31 2022-11-25 武汉云岭光电有限公司 半导体激光器及其制备方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003031900A (ja) * 2001-05-11 2003-01-31 Furukawa Electric Co Ltd:The 半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003031900A (ja) * 2001-05-11 2003-01-31 Furukawa Electric Co Ltd:The 半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよびこれを用いたラマン増幅器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018006396A (ja) * 2016-06-28 2018-01-11 ウシオ電機株式会社 半導体レーザ素子および半導体レーザ装置
CN115395364A (zh) * 2022-08-31 2022-11-25 武汉云岭光电有限公司 半导体激光器及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4977377B2 (ja) 半導体発光装置
JP5897414B2 (ja) 光デバイスの製造方法
US7760782B2 (en) Distributed bragg reflector type directly modulated laser and distributed feed back type directly modulated laser
WO2010100738A1 (ja) 半導体レーザ、シリコン導波路基板、集積素子
US8472109B2 (en) Semiconductor optical amplifier and optical module
JP5100881B1 (ja) 集積型半導体レーザ素子
JP2009076942A (ja) 分布帰還型半導体レーザ、分布帰還型半導体レーザアレイ及び光モジュール
JP6717733B2 (ja) 半導体光集積回路
JP2003014963A (ja) 半導体光集積素子とその製造方法並びに光通信用モジュール
JP4634010B2 (ja) 半導体光素子
JPWO2013151145A1 (ja) 光半導体装置、半導体レーザモジュールおよび光ファイバ増幅器
JP5022015B2 (ja) 半導体レーザ素子及びそれを用いた光モジュール
JP5243901B2 (ja) 同軸型半導体光モジュール
JP2000066046A (ja) 光伝送装置
WO2015099176A1 (ja) 半導体レーザアレイ、半導体レーザ素子、半導体レーザモジュール、および波長可変レーザアセンブリ
US20050226283A1 (en) Single-mode semiconductor laser with integrated optical waveguide filter
JP2011216534A (ja) 半導体レーザ素子
JP2004266095A (ja) 半導体光増幅器
JP2012002929A (ja) 半導体光素子の製造方法、レーザモジュール、光伝送装置
JP5286198B2 (ja) 分布帰還形半導体レーザ
JP5374196B2 (ja) 半導体光素子
JP7517738B2 (ja) 狭線幅レーザー
JP2009016878A (ja) 半導体レーザ及びそれを用いた光モジュール
JP7295739B2 (ja) 半導体レーザ素子およびチップオンサブマウント
JP2018206901A (ja) 光送信機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130130

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20130306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130326

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130806