JP2011213858A - オレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた耐熱性オレフィン系樹脂成形品 - Google Patents

オレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた耐熱性オレフィン系樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れる、電離放射線架橋用のオレフィン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】電離放射線架橋可能なオレフィン系樹脂と、前記オレフィン系樹脂と5体積%以上相溶又は分散する二重結合含有モノマー及び/又はオリゴマーからなる架橋剤と、を含有するオレフィン系樹脂組成物である。これを電離放射線架橋して得られる成形品は耐熱性に優れ、例えば、太陽電池モジュールの裏面保護シートとして好適に用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、太陽電池モジュールの裏面保護シートとして好適に用いられる、電離放射線架橋用のオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた耐熱性オレフィン系樹脂成形品に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に太陽電池モジュールは、透明前面基板と太陽電池素子と裏面保護シートとが、充填材(封止材)を介して積層された構成である。
この裏面保護シートとして、従来は耐候性や耐熱性の観点からフッ素系樹脂やPETなどのシートが知られている。これに対してコスト面などからオレフィン系材料も検討されているが、オレフィン系樹脂は耐熱性に劣ることから裏面保護シートへ適用できる材料は未だ確立されていないのが現状である。
一方、太陽電池用の充填材シートとしてオレフィンやEVAなどのオレフィン系樹脂を用いることは既に行なわれており、このなかで、EVA樹脂を電離放射線架橋して高温域での貯蔵弾性率を改善することも行なわれている(特許文献1参照)。
特開2001−119047号公報
上記特許文献1のEVAは、充填材シートとして透明性や流動性を維持するために架橋程度が低く、架橋剤又は架橋助剤を使用しないか、使用するとしても1%程度の少量を用いている。しかしながら、これでは裏面保護シートとしての耐熱性が不十分である。また、この種の架橋剤又は架橋助剤は、オレフィン系樹脂との相溶性が低く、耐熱性を大幅に向上させる十分な量を均一に分散できない。このため、オレフィン系樹脂に大量の架橋剤を導入して電離放射線架橋させるという思想は従来ないものであった。
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高温域での優れた貯蔵弾性率を維持でき、例えば太陽電池モジュールの裏面保護シート部材として好適に用いることができるオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた耐熱性オレフィン系樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、ポリエチレンやEVAなどの電離放射線架橋可能なオレフィンをベース樹脂とし、これに所定量以上の二重結合含有モノマー又はオリゴマーを架橋剤として添加することで、多量のモノマーを均一に分散でき、更にこの樹脂組成物を電離放射線架橋することで、従来オレフィン系樹脂では得ることができなかった高温域での貯蔵弾性率を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1)電離放射線架橋可能なオレフィン系樹脂と、前記オレフィン系樹脂と5体積%以上相溶又は分散する二重結合含有モノマー及び/又はオリゴマーを含む架橋剤と、を含有するオレフィン系樹脂組成物。
(2) 更に無機フィラーを含有する(1)記載のオレフィン系樹脂組成物。
(3) 更に相溶化剤を含有する(1)又は(2)記載のオレフィン系樹脂組成物。
(4) (1)から(3)いずれか記載のオレフィン系樹脂組成物を成形加工後に電離放射線架橋してなる耐熱性オレフィン系樹脂成形品。
(5) 太陽電池モジュールの裏面保護シートとして用いられる(4)記載の耐熱性オレフィン系樹脂成形品。
(6) (1)から(3)いずれか記載のオレフィン系樹脂組成物を混練する際に、トルクが2N・m以上を維持するように徐々に前記架橋剤を加えていき、前記オレフィン系樹脂と5体積%以上の前記架橋剤との混練を行なうオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
本発明のオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた耐熱性オレフィン系樹脂成形品によれば、従来のオレフィン系樹脂では得ることができなかった耐熱性、具体的には高温域での高い貯蔵弾性率を維持できる。よって、この耐熱性オレフィン系樹脂成形品は太陽電池モジュールの裏面保護シートとして好適に用いられる。
実施例における貯蔵弾性率の測定結果を示す図表である。 本発明の一用途である太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明のオレフィン系樹脂組成物、耐熱性オレフィン系樹脂成形品の順に詳細に説明する。
<オレフィン系樹脂組成物>
本発明のオレフィン系樹脂組成物は、電離放射線架橋可能なオレフィン系樹脂と、前記オレフィン系樹脂と5体積%以上相溶又は分散する二重結合含有架橋剤(アクリル系、メタクリル系、ビニル系)と、必要に応じて無機フィラーと、必要に応じて相溶化剤と、必要に応じてその他成分とを含有。以下、これらの必須成分について説明した後、その他の成分について説明する。
[オレフィン系樹脂]
本発明におけるオレフィン系樹脂は、電離放射線架橋可能なオレフィン系樹脂であればよく特に限定されない。このような樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ブテン共重合体(EBR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのエチレン系共重合体やポリブタジエンが挙げられ、なかでも、LDPEが好ましく用いられる。これらは単独で用いてもよく、相溶する範囲内であれば2種類以上含んでいてもよい。なお、「電離放射線架橋可能な」とは、電子線などの電離放射線照射エネルギーによって主鎖又は側鎖が主に切断されるようなホモのポロプロピレンなどは、本発明におけるオレフィン系樹脂には含まれないという意味である。
後述する架橋剤の熱硬化や揮発を防止するため、オレフィン系樹脂の融点は低いほうがよく、好ましくは170℃以下、より好ましくは140℃以下、特に好ましくは120℃以下、最も好ましくは110℃以下である。
オレフィン系樹脂組成物に含まれる上記のオレフィン系樹脂の含有量は、組成物中で好ましくは30体積%以上95体積%以下、より好ましくは40体積%以上75%体積以下であり、更に好ましくは体積50%以上65%体積以下である。逆に言えばこの範囲内であれば他の樹脂を含んでいてもよい。これら他の樹脂は、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用できる。
[架橋剤]
本発明における架橋剤は、上記のオレフィン系樹脂と5体積%以上相溶又は分散する、アクリル系、メタクリル系、ビニル系などの二重結合含有モノマー又はオリゴマーである。このように、通常より多量の上記モノマーが分散していることが本発明の組成物の特徴であり、従来の組成物と異なる点である。本発明においては、この架橋剤の量が多いことが特徴であり、より好ましくは5体積%以上60体積%以下であり、更に好ましくは10体積%以上35体積%以下である。なお、質量%では4%以上75%以下が好ましく、更に好ましくは9%以上45%以下である。そして、このように多量の架橋剤は通常オレフィン系樹脂に相溶又は分散することができない。よって、本発明においては、5体積%以上の多量の架橋剤をオレフィン系樹脂中に相溶又は分散することができる組み合わせを見出したことに本発明の特徴があると言ってもよい。
上記の二重結合含有モノマー又はオリゴマー(アクリル系、メタクリル系、ビニル系)は、電離放射線架橋による硬化性に優れるために用いられるが、なかでも、アクリル系、メタクリル系のモノマー又はオリゴマーが好ましい。ビニル系のモノマーでは、アクリル系、メタクリル系モノマー又はオリゴマーに比べ架橋の進行が遅く、電離放射線の照射量をより多くする必要がある。
アクリル系、メタクリル系のモノマーとしては、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレートなどがある。分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有すれば、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの二重結合含有モノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー等がある。
本発明に用いる二重結合含有モノマー又はオリゴマーとしては、電離放射線で硬化させるので溶融混練温度での熱硬化性が低い、すなわち熱硬化温度が高いほうが好ましく、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは170℃以上である。また、揮発温度も高いほうが好ましく、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは170℃以上である。なお、ここでいう熱硬化温度や揮発温度については後述する実施例の評価方法によるものである。
また、(メタ)アクリル系モノマーのなかでも、オレフィン系樹脂との相溶性の点から炭化水素などの疎水性の基を有する疎水性モノマーが好ましい。また、溶融粘度がオレフィン系樹脂と近いほうが好ましい。
上記を総合して勘案した好ましい(メタ)アクリル系モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETRA)等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物が挙げられる。これらについては実施例にて更に詳細に説明する。
なお、上記のオレフィン系樹脂と架橋剤とを混練する際には、トルクが2N・m以上を維持するように徐々に前記架橋剤を加えていくことが好ましい。これにより、上記のようにオレフィン系樹脂と5体積%以上の多量の混練が可能となる。このとき、架橋剤はオレフィン系樹脂と相溶するか、海島状態で架橋剤が微分散する。具体的には、ポリエチレン系樹脂を混練機に投入し、トルクが安定するまで加熱溶融させ、その後、架橋剤極少量(0.1ml〜0.5ml)ずつ添加する。混練の終点は、例えばトルクが2N・m以下になるか、混練機の中に架橋剤が液状のまま残っている時点とする。また、混練中に急激な温度上昇、トルク上昇がみられたらすぐに停止する。
[無機フィラー]
本発明においては、必要に応じて無機フィラーを添加できる。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、クレー、タルク等の粉末が用いられる。平均粒径は0.1〜10μm程度が好ましい。添加量としては、オレフィン系樹脂組成物中に5〜50体積%、より好ましくは15〜30体積%程度である。添加方法は、オレフィン系樹脂と二重結合含有モノマー・オリゴマーが溶融した状態に無機フィラーを添加する、または、無機フィラーと二重結合含有モノマー・オリゴマーをプレミックスし、溶融したオレフィン系樹脂にプレミックスした無機フィラーを添加するなどがある。
[相溶化剤]
本発明においては、必要に応じて相溶化剤を添加できる。相溶化剤としては、マレイン酸/無水マレイン酸変性ポリエチレンの様な極性基を持った変性ポリエチレンが例示できる。添加量としては、オレフィン系樹脂組成物中に1〜30体積%、より好ましくは5〜15体積%程度である。
[その他の成分]
上記のオレフィン系樹脂組成物には、さらにその他の成分を含有させることができる。例えば、耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれオレフィン系樹脂組成物中に0.001〜5体積%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、より長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これをオレフィン系樹脂組成物に添加することにより、良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いるオレフィン系樹脂でもよく、その他の樹脂であってもよい。なお、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本発明のオレフィン系樹脂組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤などの接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<耐熱性オレフィン系樹脂成形品>
本発明の耐熱性オレフィン系樹脂成形品は、上記のオレフィン系樹脂組成物を成形加工後に、電子線(EB)などの電離放射線架橋して得られる。電離放射線架橋の方法や照射量については従来公知のものが用いられ特に限定されない。好ましい照射量は1Mradから30Mradである。
<太陽電池モジュール用裏面シート>
本発明のオレフィン系樹脂組成物を成形加工後に電離放射線架橋してなる耐熱性オレフィン系樹脂成形品は、その優れた耐熱性から、太陽電池モジュールの裏面保護シート(いわゆるバックシート)として好適に用いられる。
図2は、その太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面充填材層3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。そして、本発明の太陽電池モジュール1は、裏面保護シート6に本発明のオレフィン系樹脂成形品を使用する。ここで裏面保護シート6は、シート状又はフィルム状としたものである。なお、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。シート化された裏面保護シート6は単層でなくてもよく、他の保護層と積層されて用いられてもよい。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面充填材層3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
なお、本発明の太陽電池モジュール1において、透明前面基板2、前面充填材層3及び背面充填材層5、太陽電池素子4は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。また、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。なお、本発明の充填材シートは単結晶型に限らず、薄膜型その他のすべての太陽電池モジュールに適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1:オレフィン系樹脂組成物の製造と粘弾性測定]
<実施例1>
下記の組成物を溶融混練した。なお架橋剤と無機フィラーとをあらかじめプレミックスしておき、LDPEを混練機に投入して加熱溶融させた後(130℃、10rpm、2分)、プレミックスした架橋剤と無機フィラーとを添加した。添加後、トルクの上昇が見られたところで混練機の回転数を50rpmに上げて5分間混練した。
LDPE(56体積%):密度0.918g/cm、MFR7g/10min(日本ポリエチレン株式会社製、商品名ノバテックLD LC600A)
架橋剤(35体積%):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、東亞合成株式会社製、商品名アロニックスM−403
無機フィラー(9体積%):シリカ、東ソー・シリカ株式会社製、商品名ニップジェルBY−200
その後、上記組成物からなる直径10cmサイズの試験片に対して、電離放射線照射装置(アイ・エレクトロンビーム社製、「カーテン型電離放射線照射装置」)を用いて、下記条件で20Mradの電離放射線照射を行なった。
加速電圧:165kv
電流:6.9mA
ウエブ搬送速度:5m/min
乾燥ライン温度:室温
照射雰囲気:窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)
照射量:20Mrad(20Mrad×1pass)
<比較例1>
組成物として耐加水分解PET(東レ株式会社製、商品名ルミラーX10S)を用いた。
<比較例2>
組成物として実施例1のLDPE(77体積%)と無機フィラー(23体積%)を組成物として130℃。50rpmで混錬した以外は実施例1と同様の電離放射線照射を行なった。
<比較例3>
組成物として実施例1のLDPE(100体積%)のみ130℃、50rpmで混錬した以外は実施例1と同様の電離放射線照射を行なった。
<比較例4>
組成物として実施例1のLDPE(50体積%)と、改質剤(30体積%)と、ポリブタジエングリコール(20体積%)を130℃、50rpmで混錬した以外は実施例1と同様の電離放射線照射を行なった。
改質剤:無水マレイン酸変性ポリエチレン(三洋化成工業株式会社製、商品名ユーメックス2000)
ポリブタジエングリコール:日本曹達株式会社製、商品名NISSO−PB G−1000
<評価例1>
実施例1及び比較例1から4について、動的粘弾性(貯蔵弾性率E’)の測定を行なった。その結果を図1に示す。図1から解かるように、実施例1のE’は250℃付近まで10から10を維持しており、比較例より格段に耐熱性に優れていることが理解できる。
[試験例2:架橋剤の選定]
下記表1に示す架橋剤について、揮発性(揮発温度)、熱硬化温度、EB硬化性、混練時の添加し易さ、混練時のブリード、の各項目について評価した結果をまとめて示す。なお、それぞれの評価基準は下記の通りである。
揮発温度及び熱硬化温度は、株式会社島津製作所社製、DTG−60のTG/DTA測定装置を用い、熱硬化温度は、混練時の温度領域での熱硬化性を熱硬化反応の立ち上がり位置の温度で判断し、揮発温度は、混練時の温度領域での揮発性を、重量変化の立ち上がり位置の温度で判断した。TG/DTA測定装置の測定条件は、ホールド時間:15min、昇温時間:5deg/min、窒素流量:50ml/min、測定温度領域:30〜250℃である。
揮発性は、○:170℃以上でも揮発なし、△:130℃〜170℃で揮発有り、×:130℃以下で揮発有り、の3段階評価であり、
熱硬化性については、○:170℃以上でも熱硬化なし、△:130℃〜170℃で熱硬化有り、×:130℃以下で熱硬化有り、で評価した。
EB硬化性は、PETフィルムに架橋剤をミヤバーにて100μm程度の膜厚に塗布し、20MradのEB照射を行い、硬化性を指触にて、○:完全硬化(タックフリー)、△:硬化(タック有)、×:若干硬化(増粘程度)、の3段階で評価した。EB照射条件は実施例1と同条件とした。
Figure 2011213858
B−1000:液状ポリブタジエン、日本曹達株式会社製、NISSO−PB
G−1000:ポリブタジエングリコール:日本曹達株式会社製、NISSO−PB
TEA−1000:1,2−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート(日本曹達株式会社製)
UV−1700B:ウレタンアクリレートオリゴマー、日本合成化学株式会社製
DPHA:ジペンタエリストールヘキサアクリレート、東亞合成株式会社製
PETRA:ペンタエリトリトールトリアクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製
M−215:ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、東亜合成株式会社製
M−313:イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、東亜合成株式会社製
TAIC:トリアリルイソシアヌレート、日本化成株式会社製
FA−511AS:ジシクロペンタニルアクリレート、日立化成工業株式会社製
FA−512AS:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、日立化成工業株式会社製
FA−513AS:ジシクロペンタニルアクリレート、日立化成工業株式会社製
FA−512M:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、日立化成工業株式会社製
FA−512MT:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレ−ト、日立化成工業株式会社製
FA−513M:ジシクロペンタニルメタクリレート、日立化成工業株式会社製
IBOA:イソボニルアクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製
EBECRRYL150:ビスフェノールA エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製
IRR214−K:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ダイセル・サイテック株式会社製
表1に示すように、揮発性については単官能の架橋剤は全て揮発性が高く不適であり、低分子量ほど揮発し易い結果が得られた。熱硬化性については多官能アクリレートは熱硬化し易い結果が得られた。EB硬化性は、ビニル基は硬化性が悪く不適であり、一方、アクリレートはEB硬化性が良好であった。以上総合すると、全ての条件で良好な結果を示した架橋剤は、例えば、表1のTEA−1000などの高分子量タイプのアクリレートやEBECRYL150、IRR214−Kなどの疎水性モノマーのアクリレートであった。
[試験例3:長期耐熱性試験]
<実施例2>
実施例1のLDPE(56体積%)と、架橋剤としてアクリレート2官能のオリゴマータイプモノマー、商品名TEA−1000(24体積%)と、実施例1の無機フィラー(20体積%)を組成物とした以外は実施例1と同様にして20Mradの電離放射線照射した試験片を得た。
<比較例5>
実施例1のLDPE(80体積%)と、実施例1の無機フィラー(20体積%)を組成物とした以外は実施例1と同様にして20Mradの電離放射線照射した試験片を得た。
<評価例2>
実施例2と比較例5の試験片を130℃オーブンに投入して、試験前後での引張破断点応力(MPa)とその維持率(%)を下記試験条件で評価した。その結果をまとめて表1に示す。
引張試験条件(株式会社オリエンテック製RTF−1150−H):試験片幅10mm×長さ50mm、チャック間距離30mm、引っ張り速度100mm/min
維持率(%)=(オーブン投入後の破断点応力/オーブン投入前の破断点応力)×100
Figure 2011213858
表2に示すように、実施例においては130℃×90時間後においても79%の維持率があり長期耐熱性に優れる。変色も生じていない。一方、架橋剤を含有しない比較例においては15時間後で40%の維持率しかなく、90時間後においては測定不可能な強度であり、長期耐熱性を全く有さない。また変色が著しかった。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面充填材層
4 太陽電池素子
5 背面充填材層
6 背面保護シート

Claims (6)

  1. 電離放射線架橋可能なオレフィン系樹脂と、前記オレフィン系樹脂と5体積%以上相溶又は分散する二重結合含有モノマー及び/又はオリゴマーを含む架橋剤と、を含有するオレフィン系樹脂組成物。
  2. 更に無機フィラーを含有する請求項1記載のオレフィン系樹脂組成物。
  3. 更に相溶化剤を含有する請求項1又は2記載のオレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項1から3いずれか記載のオレフィン系樹脂組成物を成形加工後に電離放射線架橋してなる耐熱性オレフィン系樹脂成形品。
  5. 太陽電池モジュールの裏面保護シートとして用いられる請求項4記載の耐熱性オレフィン系樹脂成形品。
  6. 請求項1から3いずれか記載のオレフィン系樹脂組成物を混練する際に、トルクが2N・m以上を維持するように徐々に前記架橋剤を加えていき、前記オレフィン系樹脂と5体積%以上の前記架橋剤との混練を行なうオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
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KR20180011973A (ko) * 2016-07-26 2018-02-05 롯데케미칼 주식회사 태양전지용 백 시트
CN111004467A (zh) * 2018-10-08 2020-04-14 天津科技大学 高韧性和高回弹性硅烷交联聚乙烯材料的制备

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