典型的な実施形態によれば、模擬による動的な衝撃の事象(例えば、衝突又はスレッド試験)の際に複数の力及び/又は1つの力の分布を検出するための圧力センサシステムが提供される。更に詳しくは、この圧力システムは、模擬による動的な衝撃の事象の際に衝突試験用ダミー人形に作用する力を測定するように構成される。したがって、測定された力のデータを、車両用の安全装置の開発に使用することができる。
更に詳しく後述されるように、圧力センサシステムは、通常は、1又はそれ以上のセンサシートを含んでいる。各々のセンサは、力に応答して導電性が予測可能に変化する1又はそれ以上の圧力センサを含んでいる。各々のセンサシートは、衝突試験用ダミー人形の外表面へと着脱可能又は着脱不可能に接続され、或いは衝突試験用ダミー人形の表面と一体に形成されるように構成されている。センサシートは、センサシートの外表面が衝突試験用ダミー人形の外表面に相当し、取得される測定結果が本来であれば衝突試験用ダミー人形の外表面に作用すると考えられる力を表わすよう、薄くて軽量であるように構成されている。コントローラ又は測定装置が、各々のセンサへと電気信号を送信し、戻りの信号の電圧又は電流(後で、各々のセンサに作用する力又は圧力を割り出すために使用することができる)を測定するように構成される。
図1及び2を参照すると、センサシート100が、通常は、1又はそれ以上のセンサ110を含んでいる。センサ110は、センサ110へと電気信号を送信し、またセンサ110から電気信号を受信するように構成されたコントローラ又は測定装置(図示されていない)に入力及び出力導体111、112によって電気的に接続されている。
図2に示されるように、センサ110は、通常は、担体材料のシート113、114と、導体111、112と、電極115、116と、感圧材料117とを、おおむね対称的な層状の関係(すなわち、担体シート、導体、及び電極が、感圧材料の各側に配置されている)に構成して備えている。更に詳しく後述されるとおり、センサ110の導電性が動的な衝撃の事象の際の予想される力に応じて変化するように、担体シート113、114、導体111、112、電極115、116、及び感圧材料117を選択的に構成することができる。
第1及び第2の担体シート113、114を、例えば、衝突試験用ダミー人形10の表面に対して外側及び内側のシートとなるように構成することができる。各々の担体シート113、114は、半剛体のシート材料から製作される。例えば、各々の担体シート113、114は、約50ミクロンの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(PET)シートであってよい。他の典型的な実施形態によれば、担体シート113、114を、他の厚さ(例えば、約25ミクロン〜250ミクロン、1枚のシートにおいて変化する厚さ、シートごとに異なる厚さ、など)を有する他の材料(例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、他の押し出しプラスチック材料、1枚のシートを構成する複数の材料、シートごとに異なる材料、など)から製作することができる。
導体111、112の各々が、センサ110のうちの1つとコントローラ又は測定装置との間で電気信号を導くように構成される。導体は、銀(Ag)などの導電性材料から製作される。導体111、112は、二次元又は三次元のインクジェット又はスクリーン印刷などの印刷プロセス、蒸着、或いはエッチング、写真製版、又は切削などの従来からのプリント回路技術によって、担体シート113、114へと結合され、成膜され、或いは適用される。入力導体111を、例えば、第1の担体シート113の内表面に結合させることができ、出力導体112を、例えば、第2の担体シート114の内表面に結合させることができる。導体111、112は、約25ミクロン未満の仕上がり厚さを有する。他の典型的な実施形態によれば、導体111、112を、他の材料(例えば、銅(Cu)又は他の導電性材料、これらの組み合わせ、など)から製作することができ、互いに異なる材料から製作することができ、異なる仕上がり厚さ(例えば、約25ミクロン超又は約25ミクロン未満、導体ごとに変化する厚さ、異なる厚さ又は異なる導体、など)を有することができ、或いは他の方法によって設けることができる。
電極115、116の各々は、感圧材料117への電気信号又は感圧材料117からの電気信号を効率的に導くように構成される。電極115、116は、炭素(C)などの導電性材料から製作される。電極115、116は、二次元又は三次元のインクジェット又はスクリーン印刷などの印刷プロセス、蒸着、或いはエッチング、写真製版、又は切削などの従来からのプリント回路技術によって、導体111、112及び/又は担体シート113、114へとそれぞれ結合され、成膜され、或いは適用される。電極115、116は、約25ミクロン未満の仕上がり厚さを有する。他の典型的な実施形態によれば、電極115、116を、他の材料から製作することができ、互いに異なる材料から製作することができ、異なる仕上がり厚さ(例えば、約25ミクロン以上、電極ごとに変化する厚さ、他の電極とは異なる厚さ、など)を有することができ、様々な方法によって設けることができ、或いは別の順序(例えば、これら電極のうちの1つを感圧材料117へと適用することができる)で設けることができる。
感圧材料117は、感圧材料117に作用する力又は圧力に応答して抵抗又は導電性が変化するように構成されている。より詳しくは、感圧材料は、力又は圧力が存在しないときには実質的に絶縁体として振る舞い、存在する力又は圧力が大きくなるにつれて抵抗が減少する。小さな力と大きな力との間で、感圧材料は、予測可能な様相で力又は圧力に応答し、力が増加するにつれて抵抗を減少させる。これらの特性が、本明細書に記載のセンサ110の抵抗−力の特性を示している図3のグラフ200に示されている。図3は、更に詳しく後述される。
感圧材料117は、例えば、カーボンナノチューブ導電ポリマーであってよい。感圧材料117は、二次元又は三次元のインクジェット又はスクリーン印刷などの印刷プロセス、蒸着、或いはエッチング、写真製版、又は切削などの従来からのプリント回路技術によって、電極115、116の一方へと適用される。グラフィンの粒子サイズなど、感圧材料117がより小さな粒子サイズによって更に開発されるにつれて、感圧材料117を、蒸着などの従来からのプリント回路技術によって適用することもできる。
他の典型的な実施形態によれば、感圧材料が、ファウラー−ノルドハイム(Fowler-Nordheim)トンネリングを利用する抵抗変化性の感圧材料である量子トンネル性複合材料(QTC)である。QTCは、Peratech社(www.peratech.com)によって製造される材料である。センサ110におけるQTC材料は、圧力又は力が加わっていないときは導電粒子が導通するには離れすぎているため絶縁体として機能することができるが、圧力(又は、力)が加えられるにつれて導電粒子が他の導電粒子に近付き、電子が絶縁体層を通過できるようになってセンサ110の抵抗を変化させる。このようにして、センサ110におけるQTCの抵抗は、センサ110に作用する力又は圧力の関数である。
担体シート113、114は、担体シート113、114へと導体111、112、電極115、116、及び感圧材料117を配置した後で、センサシート100を形成すべく一体に結合される。担体シート113を、例えば導体111、112、電極115、116、及び感圧材料117が適切に整列するように積層することができる。積層プロセスは、例えば、熱及び圧力を使用する従来からのプロセスであってよい。接着剤を使用してもよい。センサシート100及び/又はセンサ110の全体としての厚さは、約120ミクロンであってよい。他の典型的な実施形態によれば、担体シート113、114を、例えば、他のやり方(例えば、熱又は圧力を用いない積層)で一体に結合させることができる。更に、センサシート100及び/又はセンサ110が、別の全体としての厚さ(例えば、約70ミクロン以上)を有してもよい。
次に、図3を参照すると、センサ110の抵抗−力の特性のグラフ200が示されている。センサ110の抵抗がY軸に示されており、センサ110に作用する力がX軸に示されている。比較的小さな力(例えば、約1Nを下回る点210)においては、センサ110は、約300〜400メガオームに近い比較的高い抵抗性(例えば、約3キロオーム以上)を呈し、実質的に絶縁体として振る舞う。比較的大きな力(例えば、約3Nを上回る点200)においては、センサ110は、実質的に導体として振る舞う比較的低い抵抗性(例えば、約1キロオーム以下)を呈する。約1Nと3Nとの間においては、センサ110は、力が大きくなるにつれて予測可能な様相で減少する約3キロオームと1キロオームとの間の中間レベルの抵抗を呈する。
センサ110の導電特性(すなわち、抵抗−力の特性曲線200)を、材料を様々に選択し、更には担体シート113、114、導体111、112、電極115、116、及び感圧材料117を様々な構成にて設けることによって設定することが可能である。例えば、上述のように、センサ110の導電層(すなわち、導体111、112、電極115、116、及び感圧材料117)を、センサ110の導電性を変更するために、様々な材料及び/又は様々な厚さなど様々なやり方にて構成することができる。更に、感圧材料は、感圧材料を形成するために使用される構成材料及び/又は材料の混合を調節することによって構成することが可能である。
担体シート113、114も、センサ110の導電特性を変更するために、様々なやり方で構成することができる。例えば、担体シート113、114の相対的な位置を調節することが可能である。図2を参照すると、担体シート113、114をセンサ110の近傍の領域において離間させ、感圧材料117と電極115との間にすき間(図示のとおり)を設けることができる。すき間を設けることで、感圧材料に力が作用する前に、担体シート113、114に該当の距離の変形を生じさせるために充分な力を作用させなければならない。したがって図3のグラフを参照すると、センサ110の抵抗−力の特性を、担体シート113、114のばね定数に対応する特定のサイズ(例えば、35ミクロン)のすき間を設けることによって、所望の力のオフセット(すなわち、ニュートン数)だけ右側へとずらすことができる。すき間は、例えば、担体シート113、114を結合させるために使用される接着剤によってもたらすことができる。別の典型的実施の形態によれば、センサ110がすき間と反対の効果を有するように、例えば物理的な荷重を外部からもたらすなど、あらかじめ荷重を加え、センサ110の抵抗−力の特性を実質的に左方へとずらすことができる。
また、センサ110の導電特性を、担体シート113、114に使用される材料によって変更することもできる。例えば、比較的高速での動的な衝撃の事象を試験する場合には、より大きな力が予想されうる。より剛的な第1の担体シート又は外側の担体シート113を、より厚い材料又は別の材料を使用するなどの方法で提供することができる。より剛的な外側シート113を使用することで、より剛的でない材料と比べ、同様の距離の変形を生じさせるためには外側の担体シート113により大きな力を作用させなければならない。結果として、図3のグラフを参照すると、センサ110の抵抗−力の特性が右方へと(ずらされるのではなくて)延長又は拡張され、より大きな荷重では力の増加が抵抗をより大きく変化させ、コントローラ又は測定装置によるより正確な検出を可能にする。また、内側のシート114は、安定な基盤を提供するように構成することができ、外側のシート113よりも低いか、同じか、又は高い剛性を有することができる。
センサ110を圧縮荷重に応答するものとして説明したが、センサ110は、担体シート113、114及び感圧材料117の変形を生じさせる曲げ荷重にも応答する。したがって、簡単かつ/又は確実な較正のために、圧力センサ110は、圧縮荷重の測定が所望される場合にはおおむね平坦な構成に維持される。他の典型的な実施形態によれば、センサ110を、ねじり又はせん断荷重の測定が所望される用途において利用することができる。
次に図4を参照すると、1又はそれ以上のセンサシート100が、衝突試験用ダミー人形10の1又はそれ以上のゾーンに設けられている。これらのゾーンは、例えば、ダミー人形10の頭部、首、及び顔領域を含む第1のゾーン20と、胸郭上部及び肩を含む第2のゾーン30と、下腹部を含む第3のゾーン40と、太もも及び骨盤を含む第4のゾーン50と、下肢を含む第5のゾーン50と、足を含む第6のゾーン70とに分割することができる。他の典型的な実施形態によれば、これらのゾーンは、例えば異なるゾーンの数(例えば、より多数又は少数)、より大きなゾーン又はより小さなゾーン(例えば、上半身/下半身、足/脛骨/膝蓋骨/大腿骨)、異なる分割又はグループ化(例えば、胸部/腹部、左腕/肩、など)、或いは任意の他の適切なやり方など他のやり方で構成することができる。更に、衝突試験用ダミー人形は、95、5、又は50パーセンタイルダミー或いは幼児サイズのダミーなど、任意のサイズであってよい。
図5及び6を参照すると、各ゾーンを更に部分ゾーンへと分割することができる。例えば、図5に示されている第2のゾーン30(すなわち、胸郭上部及び肩)を、右肩32、左肩34、右胸36及び左胸38に分割することができる。別の例として、第1のゾーン20(すなわち、頭部、首、及び顔領域)を、額22、右顔24、左顔26、及び顎28に分割することができる。図7を参照すると、各々の部分ゾーンを更に分割することが可能である。例えば、顎の部分ゾーン28を右顎部分28A及び左顎部分28Bに分割することができる。
各々のセンサシート100を、該当のゾーン又は部分ゾーンの身体構造上の特徴並びに/或いは試験される動的な衝撃の事象の種類に応じて構成することができる。より具体的には、各々のセンサシート100が、位置、導電性、並びに/或いは形状及びサイズに応じて構成された1又はそれ以上のセンサ110を含むことができる。個々のセンサ110を、特定の車両の造作と衝突する可能性がある突出した身体構造を覆って配置することができる。例えば、センサを、種々のゾーンにおいて以下の位置に配置することができる。すなわち、第1のゾーン20において、顎、頬骨、鼻梁、額、及び頭蓋骨上の他の位置に配置することができ、第2のゾーン30において、肩及び肋骨に配置することができ、第4のゾーン50において、膝及び腰に配置することができ、第5のゾーン60において、脛に配置することができ、第6のゾーン70において、足に配置することができる。更に、センサ110を、例えばこめかみ及び腹部を含むことができる軟組織の身体表面を覆って配置することができる。力がより広い領域に分布する(例えば、ダッシュボード又はエアバッグが衝突する胸又は腹部)場合などの、力の分布が必要とされる場合には、センサシート100は、互いに同じ抵抗又は導電特性を有するセンサのグループを規則的な間隔(図1に示されているような)で備えることができる。センサ110は、例えば、約10mmの直径及び約25mmの規則的な間隔を有することができる。他の典型的な実施形態によれば、センサ110が、より小さくても、より大きくても、別の形状でも、更には/或いはより大きな間隔又はより小さな間隔を有してもよい。
また、センサ110を、試験される動的な事象、評価される安全装置又はシステム、並びに/或いは測定が望まれる力を決定するであろう他の因子に応じて配置することもができる。例えば、正面又は側方の衝撃の事象を試験する場合には、それに応じて、センサ110を衝突試験用ダミー人形10の前方又は側方に向かう位置に集中させることができる。エアバッグ、シートベルト、又は他の安全用の造作を試験する場合には、センサ110を、そのような造作の近傍の位置だけに設けることができる。また、センサ110を、適所を外れた乗員について配置することもできる。
更に、センサ110の導電特性(すなわち、抵抗−力の特性)を、センサ110の位置において予想される力に応じて設定することができる。例えば、突出している身体の造作(例えば、鼻、顎、肩、膝、腰、など)などに局所的な大きな力が予想される場合や、より速度の高い事象において、センサ110を、より大きな力に対してより敏感であるように設定することができる(すなわち、より高レベルでの力の増加のために、抵抗がより大きく変化するように設定できる)。そのようなセンサ110を、例えば上述のように、より剛的な外側担体シート113や、感圧材料117と電極115との間のすき間によって設定することができる。
また、センサ110のサイズ及び形状を、種々の考慮事項に応じて設定することができる。例えば、顔の領域など凹凸の激しい領域においては、センサ110に作用するねじりの荷重によって測定が不正確になることがないよう、センサ110をおおむね平坦又は平面状の構成に保つことができるように、より小さいセンサを利用することができる。例えば、全体的な荷重情報(例えば、広い面積にわたる総荷重)だけしか必要でない領域には、より大きなセンサ110を設けることができる。更に、せん断センサを、鼻などの凹凸の激しい領域において利用することができる。細長いセンサ110を、例えば、細長い身体造作(例えば、腕、脚、など)に設けることができる。他の典型的な実施形態によれば、センサ110のサイズ及び形状を、他の様々な考慮事項に従って他の適切なやり方で設定することができる。
更に、センサシート100を、センサ110のおおむね平坦又は平面状の構成を保つように他のやり方で設定することができる。例えば、センサシート100は、センサ110の間に、センサ110の代わりに曲がるように構成された弱体化部分(すなわち、より剛性の低い部分)を備えることができる(例えば、そのような領域において、担体材料が薄くされ、或いは除去される)。別の典型的な実施形態によれば、センサ110を、織布又は弾性シートなどの可撓な上張りへと個別に結合させることができる。更に別の典型的な実施形態によれば、センサ110が、該当のゾーンに応じて輪郭付けられた可撓部材に個別に結合される。例えば、第1のゾーン20のために、成型による弾性マスクが、個々のセンサ110を当該マスクに結合して備えることができる。
各々のセンサシート100が衝突試験用ダミー人形10に結合される。センサシート100を、接着剤、固定具、ストラップ、マジックテープなどによってダミー人形10に着脱可能に結合させることができる。例えば他のダミー人形10において使用するため、修理のため、或いはダミー人形10を他の試験に使用するために、センサシート100をダミー人形10から取り外すことができる。他の典型的な実施形態によれば、センサシート100を、ダミー人形10から取り外すことが不可能になるように、着脱不能にダミー人形10に結合させるか、或いはダミー人形10の外表面と一体に形成することができる。
各々のセンサシート100を、或るゾーンの一部分、或る1つのゾーン全体、又は2又はそれ以上のゾーンにおける使用に合わせて構成することができる。例えば、第1のセンサシート100を第1のゾーン20に設けることができ、第2のセンサシート100を第2及び第3のゾーン30、40に設けることができ、第3のセンサシート100を第4のゾーン50の左側に設けることができ、第5のセンサシート100を第4のゾーン50の右側に設けることができ、第6のセンサシート100を第5及び第6のゾーン60、70の右側に設けることができ、第7のセンサシート100を第5及び第6のゾーン60、70の左側に設けることができる。他の典型的な実施形態によれば、センサシート100を、例えば、異なる数のゾーン(例えば、6つよりも多数又は少数のゾーン)や、異なるゾーンの組み合わせ又は分割(例えば、第1及び第2のゾーン20、30を一緒にする、個々のゾーンの上部及び下部を別々のセンサシート100にするなど)など、別の構成にて設けることができる。
各々のセンサシート100は、様々なやり方で力を測定するように構成されたセンサを更に備えることができる。例えば、センサシートは、或るゾーン又は部分ゾーンについて局所的な力を測定するように構成されたセンサ110を備え、別のゾーンについて力の分布を測定するように構成されたセンサ110を備えることができる。別の典型的な実施形態によれば、センサシート100は、例えば1種類の力の測定(例えば、局所的又は分布)だけに合わせて構成されたセンサなど、他の構成にてセンサ110を備えることができる。
更に、センサ110を、並列又は直列にて測定をもたらすように構成することができる。例えば、導体111、112を、センサ110が並列に構成されて各センサ110についての別個の測定がもたらされるように、配置することができる。或いは、センサ110が直列に構成されて雑音の低減又は平滑化された出力並びにコントローラの電力削減という利益のある集合的な力の測定がもたらされるように、導体111、112を配置することができる。
更に、センサ110を、センサ110に作用する力の位置を提供するように構成することができる。各々のセンサ110について2組の出力導体112が設けられ、センサ110に採用する力の平均位置の割り出しを可能にする。2組の出力導体112は、基本的に、各々の出力導体112の電圧が各々の出力導体112の位置に対する力の位置に応じて変化する電圧分割器として振る舞う。
また、センサシート100及びセンサ110を、車両の構造体、安全装置、又は他の造作に結合するように構成することもできる。例えば、センサシート100を、ピラー(例えば、A又はBピラー)へと適用されるように構成し、模擬による動的な車両の事象の際にピラーに衝突する衝突試験用ダミー人形10の力を測定するセンサ110を備えるようにすることができる。また、センサシート100及びセンサ110を、ドアパネル、ダッシュボード又は計器盤、シートベルト、天井、座席ベルト、変速機用トンネル、床板、座席アセンブリなどへと適用されるように構成及び提供することもできる。センサシート100及びセンサ110を、上述のやり方で構成及び/又は製造することができる。
センサシート100及びセンサ110を、衝突試験用ダミー人形10の外表面(エラストマー又は皮膚模擬材料など)の下方に配置されるように構成してもよい。外表面は、例えば上述のようにセンサ110にあらかじめの荷重をもたらすことができ、センサシート100及びセンサ110を保護することができ、更には/或いは力をセンサ110へと分配することができる。
また、センサシート100及びセンサ110を、車両から取り外すことができる安全装置又は他の種類の装置とともに使用されるように構成することもできる。例えば、センサシート100及びセンサ110を、乳児用シート、後ろ向き/前向き兼用チャイルドシート、又は児童用シートなど子供用安全シートに結合されるように構成することができる。1又はそれ以上のセンサ110を有する1又はそれ以上のセンサシート100を、チャイルドシートの座面又は構造面、チャイルドシートの座席ベルト、バックル機構などに組み合わせることができる。
大まかに図8を参照すると、検出システム10が、各々のセンサ110に作用する力を測定するように構成されたコントローラ130又は測定装置を含んでいる。コントローラ又は測定装置は、通常は、信号源(例えば、電圧又は電流源)と、センサ110の出力(例えば、電圧又は電流)を測定するための測定回路と、センサ110の出力電流又は出力電圧を力の値へと変換するための処理回路と、センサ110の出力を力の値へと変換するためのプログラムを保存するとともに、測定されたセンサ110の出力及び/又は力の値を記録するためのメモリとを備えている。コントローラ又は測定装置は、導体111、112及びポート140によって、各々のセンサシート100の各々のセンサ110へと電気的に接続される。コントローラ又は測定装置は、各々のセンサ110へと電気信号を送信し、各々のセンサ110から信号を受信し、各々のセンサ110から受信した信号を記録及び処理するように構成される。より詳しくは、コントローラ又は測定装置が、約1ミリアンペアの電流の約10ボルトのDC信号を、入力導体111を通って各々のセンサ110へと選択的に生成する。次いで、コントローラ又は測定装置は、出力導体112によって各々のセンサ110について戻りの信号を受信し、これが1000Hzのサンプリングレートで記録される。他の典型的な実施形態によれば、信号を、より高い電圧又はより低い電圧(例えば、約3〜24ボルトの間)や、より大きい電流又はより小さい電流(例えば、約100マイクロアンペア〜1ミリアンペアの間)で送信でき、より高いサンプリングレート又はより低いサンプリングレートで記録することができる。
次いで、コントローラ又は測定装置は、入力及び出力信号を比較し、各々のセンサ全体の電圧を割り出し、これが記録され、該当の荷重を割り出すために処理される。例えば、センサ110に作用する力が皆無又は殆ど無い場合、センサ110は、ほぼ完全な絶縁体として振る舞い、完全又はほぼ完全な電圧低下がセンサ110全体で測定される。例えばセンサ110に大きな力が作用している場合、センサ110は、ほぼ完全な導体として振る舞い、センサ110全体で測定される電圧低下は皆無又は不完全である。例えばセンサ110に中間的な力が作用する場合、センサ110は不完全な抵抗/導体として振る舞い、或る程度の電圧低下がセンサ110全体で測定される。各々110のセンサ全体で測定される電圧及びセンサ110の特有の抵抗−力の特性に基づき、コントローラ又は測定装置は、センサ110全体の電圧を処理してセンサ110に作用する力を割り出す。
コントローラ又は測定装置は、例えば信号の送信、受信、記録、及び処理を行うように構成された単一のユニットであってよい。他の実施例によれば、コントローラ又は測定装置が、送信、受信、記録、及び処理の機能のうちの1又はそれ以上を行うように構成された別々の構成装置を含むことができる。送信、受信、記録、及び処理の機能の各々を、22又はそれ以上の構成装置によって提供してもよい(例えば、或る1つの装置が電圧を測定し、別の装置が電圧を記録し、更に別の装置が記録された電圧を処理する)。更には、各々のセンサシート100について1又はそれ以上など、複数のコントローラ又は測定装置を設けてもよい。
各々のセンサ110からの力の測定は、例えば局所的な力、力の分布、最初の接触までの時間、二次衝突、及び/又は衝撃の継続時間などを割り出すために、様々なやり方で処理及び/又は利用することができる。局所的な力を、各々のセンサについて割り出すことができる。力の分布又は分配を、センサのグループ(とくには、規則的な間隔で離間しているセンサ)について割り出すことができる。センサ110から集められた力のデータは、単独で使用することができ、或いは従来からのシステム(例えば、加速度計、ロードセル、及び/又はカメラ)によって集められたデータと併せて使用することができる。
本明細書において使用される用語「ほぼ」、「約」、「実質的に」、及び同様の用語は、本開示の主題に係る当業者による共通かつ一般的に認められた使用に合った幅広い意味を有することが意図されている。本開示を検討する当業者には、これらの用語が、説明及び請求される特定の特徴の範囲を、提示される数値範囲に厳格に限定せずに説明することを可能にすることを意図したものであることを理解されたい。したがって、これらの用語は、説明及び請求される主題の非実質的又は重要でない修正又は変更が首記の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲に包含されると見なされることを示すものと解釈されたい。
本明細書において種々の実施形態を説明するために使用される用語「典型的な」は、そのような実施形態が可能な例、代表例、及び/又は可能な実施形態の例示であることを示すことを意図する(それらの用語が、必ずしもそのような実施形態が非凡又は最高の例であると示唆しているわけではない)ことに注意すべきである。
本明細書において使用される用語「結合される(couple)」及び「接続される(connect)」などは、2つの部材を互いに直接的又は間接的に結び付けることを意味する。そのような結び付けは、静的(例えば、恒久的)であっても、可動(例えば、着脱可能又は解放可能)であってもよい。そのような結び付けは、2つの部材或いは1つの単一の物体として一体的に形成される2つの部材及び任意の追加の中間部材によって達成することができ、もしくは2つの部材或いは互いに取り付けられる2つの部材及び任意の追加の中間部材によって達成することができる。
本明細書における要素の位置についての言及(例えば、「上」、「下」、「上方」、「下方」、など)は、単に図面における種々の要素の向きを説明して使用されているにすぎない。種々の要素の向きは他の典型的な実施形態において異なってよく、そのような変形例が本開示に包含されるものであることに注意すべきである。
種々の典型的な実施形態において示したとおりの衝突試験用ダミー人形の構成及び配置はあくまでも例示にすぎないことに注意することが重要である。本開示においてはいくつかの実施形態だけを詳しく説明したが、本明細書の開示を検討した当業者であれば、本明細書に記載の主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく多数の変更(例えば、種々の構成要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値、取り付けの構成、材料の使用、色、向き、などの変更)が可能であることを容易に理解できるであろう。例えば、一体的に形成されるものとして示されている要素を、複数の部分又は要素で構成することができ、要素の位置を逆にし、或いは他のやり方で変更でき、個別の要素の性質又は数或いは位置を、変更又は変化させることができる。任意のプロセス又は方法の各段階の順序又は並びを、別の実施形態に従い変更でき、或いは並べ替えることができる。種々の典型的な実施形態の設計、動作条件、及び構成について、他の代用、修正、変更、及び省略も、本発明の範囲から離れることなく行うことが可能である。