JP2011209242A - 炭化水素濃度の算出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学チョッパを使用せずに、炭化水素濃度の測定を可能にするとともに、測定精度を向上させることができる炭化水素濃度測定装置における炭化水素濃度の算出方法を提供する。
【解決手段】制御部40によって、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルを、赤外線の変動周期の一周期分以上の波長域で取得して、各スペクトルの波形に線対称性を持たせつつ、取得したベーススペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長λbと、取得した排ガススペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長λgを設定するとともに、波長λbに対応する赤外線の強度Db(n)と、波長λgに対応する赤外線の強度Dg(n)を算出し、強度Db(n)と強度Dg(n)の差分を「0」とするように、排ガススペクトルの強度を補正し、強度を補正した後の排ガススペクトルと、ベーススペクトルの差分として、排気ガスの赤外吸収スペクトルG(n)を取得する。
【選択図】図5
【解決手段】制御部40によって、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルを、赤外線の変動周期の一周期分以上の波長域で取得して、各スペクトルの波形に線対称性を持たせつつ、取得したベーススペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長λbと、取得した排ガススペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長λgを設定するとともに、波長λbに対応する赤外線の強度Db(n)と、波長λgに対応する赤外線の強度Dg(n)を算出し、強度Db(n)と強度Dg(n)の差分を「0」とするように、排ガススペクトルの強度を補正し、強度を補正した後の排ガススペクトルと、ベーススペクトルの差分として、排気ガスの赤外吸収スペクトルG(n)を取得する。
【選択図】図5
Description
本発明は、炭化水素濃度測定装置における炭化水素濃度の算出方法の技術に関する。
従来、自動車の排気ガス等に含まれる炭化水素の濃度和(Total Hydrocarbon:THC)を測定する装置として、赤外分光法を利用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記のような赤外分光法を利用した炭化水素濃度測定装置は、測定対象ガスに赤外線を照射し、当該赤外線の特定の波長域における吸収量に基づいて、測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度和を測定する。
当該測定においては、光学チョッパを用いて、測定対象ガスに照射される赤外線を周期的に遮断し、当該赤外線の受光強度のゼロ点を把握することで、赤外線の発振強度の補正、及び背景光の影響(ノイズ)の除去等を行っている。
当該測定においては、光学チョッパを用いて、測定対象ガスに照射される赤外線を周期的に遮断し、当該赤外線の受光強度のゼロ点を把握することで、赤外線の発振強度の補正、及び背景光の影響(ノイズ)の除去等を行っている。
しかしながら、炭化水素の濃度測定に光学チョッパを用いると、炭化水素濃度測定装置の大型化を招くとともに、光学チョッパを制御するための装置が必要となり、炭化水素濃度測定装置のコストを増大させていた。
また、光学チョッパの回転ムラや振動により、赤外分光を遮断する周期にずれが生じるため、光学チョッパを採用することに起因して、最終的に測定される炭化水素の濃度に誤差が生じていた。
このため、光学チョッパを採用せずに、より精度良く炭化水素の濃度測定を行うことができる技術の開発が望まれていた。
また、光学チョッパの回転ムラや振動により、赤外分光を遮断する周期にずれが生じるため、光学チョッパを採用することに起因して、最終的に測定される炭化水素の濃度に誤差が生じていた。
このため、光学チョッパを採用せずに、より精度良く炭化水素の濃度測定を行うことができる技術の開発が望まれていた。
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、光学チョッパを使用せずに、炭化水素濃度の測定を可能にするとともに、測定精度を向上させることができる炭化水素濃度測定装置における炭化水素濃度の算出方法を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、波長が周期的に変動する赤外線を照射する照射部と、前記赤外線を受光して、当該赤外線の強度を取得する受光部と、前記受光部に接続される制御部と、を備える炭化水素濃度測定装置を使用して、前記照射部から炭化水素を含まないガスである基準ガスに向けて赤外線を照射し、前記基準ガスを透過した赤外線を前記受光部によって受光することにより、前記制御部によって、前記基準ガスを透過した赤外線の波長ごとの強度を表す第一のスペクトルを取得するとともに、前記照射部から炭化水素を含むガスである測定対象ガスに向けて赤外線を照射し、前記測定対象ガスを透過した赤外線を前記受光部によって受光することにより、前記制御部によって、前記測定対象ガスを透過した赤外線の波長ごとの強度を表す第二のスペクトルを取得して、前記制御部によって、前記第一のスペクトルと前記第二のスペクトルの差分として、前記測定対象ガスの赤外吸収スペクトルを取得して、当該赤外吸収スペクトルに基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する炭化水素濃度の算出方法であって、前記制御部によって、前記第一のスペクトルおよび前記第二のスペクトルを、前記照射部から照射される前記赤外線の変動周期の一周期分以上の波長域で取得して、当該各スペクトルの波形に線対称性を持たせつつ、取得した前記第一のスペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長である第一の波長と、取得した前記第二のスペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長である第二の波長を設定するとともに、前記第一の波長に対応する赤外線の強度である第一の強度と、前記第二の波長に対応する赤外線の強度である第二の強度を算出し、前記第一の強度と前記第二の強度の差分を「0」とするように、前記第二のスペクトルの強度を補正し、強度を補正した後の前記第二のスペクトルと、前記第一のスペクトルの差分として、前記測定対象ガスの赤外吸収スペクトルを取得するものである。
請求項2においては、さらに、前記制御部によって、前記第一の波長と前記第二の波長の差分を「0」とするように、前記第二のスペクトルの波長を補正し、強度および波長を補正した後の前記第二のスペクトルと、前記第一のスペクトルの差分として、前記測定対象ガスの赤外吸収スペクトルを取得するものである。
請求項3においては、前記赤外吸収スペクトルは、前記制御部によって、強度および波長を補正した後の前記第二のスペクトルにおける前記第二の波長を境界として線対称性を有する態様で存在する複数の前記赤外吸収スペクトルを平均して算出するものである。
請求項4においては、前記第一の波長は、前記制御部によって、前記第一のスペクトルを形成する離散データを補完して設定し、前記第二の波長は、前記制御部によって、前記第二のスペクトルを形成する離散データを補完して設定するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、光学チョッパを用いずに、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルにおける強度の基準を設定することができる。
これにより、炭化水素濃度測定装置のコンパクト化および低コスト化に寄与することができる。
これにより、炭化水素濃度測定装置のコンパクト化および低コスト化に寄与することができる。
請求項2においては、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルの波長を精度良く揃えることができ、これにより、赤外吸収スペクトルの測定精度を向上させることができる。
請求項3においては、時間分解能を保持しつつ、従来に比して二倍のデータ量の平均から赤外吸収スペクトルを取得することができ、ランダムノイズによる影響を低減することができる。これにより、赤外吸収スペクトルの測定精度を向上させることができる。
請求項4においては、波長の基準とする対称軸の位置を精度良く設定することができ、これにより、赤外吸収スペクトルの測定精度を向上させることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法を実現する装置である炭化水素濃度測定装置の全体構成について、図1および図2を用いて説明をする。
本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法を実現する炭化水素濃度測定装置の一例であるTHC測定装置1は、赤外分光法を利用した炭化水素濃度測定装置であり、自動車等のエンジンから排出される測定対象ガスたる排気ガスに赤外線を照射し、当該赤外線の特定の波長域における赤外吸収量に基づいて、排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和(Total Hydrocarbon:THC)を測定する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法を実現する装置である炭化水素濃度測定装置の全体構成について、図1および図2を用いて説明をする。
本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法を実現する炭化水素濃度測定装置の一例であるTHC測定装置1は、赤外分光法を利用した炭化水素濃度測定装置であり、自動車等のエンジンから排出される測定対象ガスたる排気ガスに赤外線を照射し、当該赤外線の特定の波長域における赤外吸収量に基づいて、排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和(Total Hydrocarbon:THC)を測定する。
図1に示す如く、THC測定装置1は、照射部10、セル20、受光部30、及び制御部40を備えている。
照射部10は、波長が周期的に変動する赤外線をセル20の内部に供給された排気ガスに向けて照射する。
図2に示す如く、照射部10は、その外装をなす筐体11を備えている。
筐体11は、照射部10を構成する光源12、可動ミラー13、回折格子14、固定ミラー15等を収容する筐体であり、各部材12・13・14・15の相対的な位置関係を保持している。
図2に示す如く、照射部10は、その外装をなす筐体11を備えている。
筐体11は、照射部10を構成する光源12、可動ミラー13、回折格子14、固定ミラー15等を収容する筐体であり、各部材12・13・14・15の相対的な位置関係を保持している。
図1に示す如く、セル20は、略円筒状の部材であり、自動車等の排気経路の中途部に配置して当該排気経路を流動する排気ガスを内部に導入する。セル20は、所定の方向(セル20の軸方向と直交する方向であり、図1における左右方向)に赤外線が透過可能に構成されており、セル20の内部に導入された排気ガスを透過した後の赤外線(以下、「透過光」と記す。)を取得可能となっている。つまり、赤外線が導入される側(図1における右側)と反対側(同じく左側)で、排気ガスを透過した透過光を取得する。セル20によって取得された透過光は、受光部30によって受光される。
受光部30は、フォトダイオード等の光検出器を含み、照射部10から照射されてセル20の内部に導入された排気ガスを透過した後の赤外線、つまり透過光を所定のサンプリング周期tで検出することで、その強度(赤外線強度)を離散データの態様で取得する。
制御部40は、照射部10及び受光部30と電気的に接続されている。
制御部40は、照射部10に制御信号を発信することにより該照射部10を制御して、所望の波長域を有する赤外線を照射部10から照射可能とする。
また、制御部40は、受光部30から透過光の強度を示す受光信号を受信し、当該透過光の強度に基づいて排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する。
制御部40は、照射部10に制御信号を発信することにより該照射部10を制御して、所望の波長域を有する赤外線を照射部10から照射可能とする。
また、制御部40は、受光部30から透過光の強度を示す受光信号を受信し、当該透過光の強度に基づいて排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する。
以上のように、THC測定装置1においては、照射部10から照射された赤外線がセル20の内部に導入された排気ガスに向けて照射され、当該排気ガスを透過した赤外線(透過光)を受光部30により検出して、その強度を取得する。そして、当該透過光の強度に基づいて、制御部40が排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する。
尚、本実施形態では、測定対象ガスに赤外線を照射する前に赤外分光を行う態様のTHC測定装置1を例示しているが、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法を適用する炭化水素濃度測定装置をこれに限定するものではなく、測定対象ガスを通過した後の通過光を赤外分光する態様の炭化水素濃度測定装置を採用することも可能である。
尚、本実施形態では、測定対象ガスに赤外線を照射する前に赤外分光を行う態様のTHC測定装置1を例示しているが、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法を適用する炭化水素濃度測定装置をこれに限定するものではなく、測定対象ガスを通過した後の通過光を赤外分光する態様の炭化水素濃度測定装置を採用することも可能である。
次に、照射部10の構造について、図2および図3を用いてさらに詳細に説明をする。
図2に示す如く、照射部10は、筐体11、光源12、可動ミラー13、回折格子14、固定ミラー15等を備えており、各部材11・12・13・14・15等を、筐体11に収容し、互いの相対的な位置関係を保持した状態で固定している。
図2に示す如く、照射部10は、筐体11、光源12、可動ミラー13、回折格子14、固定ミラー15等を備えており、各部材11・12・13・14・15等を、筐体11に収容し、互いの相対的な位置関係を保持した状態で固定している。
光源12は、セル20(図1参照)に導入された排気ガスに含まれる炭化水素に吸収される波長域を含む広帯域の赤外線を可動ミラー13に向けて照射する部材である。
可動ミラー13は、光源12から照射された赤外線を反射する手段として機能し、照射された赤外線を適宜の角度で回折格子14に入射させる部材である。例えば、可動ミラー13としては、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等を適用することが可能である。
可動ミラー13は、固定軸13aに揺動可能に設けられており、当該固定軸13a周りにおける所定範囲(図2に示す位置P1〜位置P3の間)を揺動するように制御部40(図1参照)によって制御される。
可動ミラー13は、固定軸13aに揺動可能に設けられており、当該固定軸13a周りにおける所定範囲(図2に示す位置P1〜位置P3の間)を揺動するように制御部40(図1参照)によって制御される。
図2に示す位置P1を可動ミラー13の初期位置とすると、可動ミラー13が順に位置P2、位置P3を取るように回動し、その後逆向きに位置P2、位置P1の順に回動して、初期位置である位置P1に戻るまでが可動ミラー13の回動周期(1周期)となっている。
可動ミラー13の揺動範囲は、すべての位置において回折格子14に赤外線を入射可能なように設定されている。
このようにして、可動ミラー13は、回折格子14に入射する赤外線の角度を周期的に変更する。
可動ミラー13の揺動範囲は、すべての位置において回折格子14に赤外線を入射可能なように設定されている。
このようにして、可動ミラー13は、回折格子14に入射する赤外線の角度を周期的に変更する。
回折格子14は、可動ミラー13によって反射された赤外線を回折する手段として機能し、当該赤外線を波長ごとに分光して、固定ミラー15に向けて反射させる部材である。回折格子14としては、表面(赤外線が入射する側の面)に互いに平行な多数の溝が形成された金属板等を適用することが可能である。
回折格子14は、可動ミラー13によって反射された赤外線の光路上に配置されており、可動ミラー13の揺動位置に応じて、回折格子14に入射した赤外線から所定の波長域の赤外線を生成する。
図3(a)に示す如く、可動ミラー13が位置P1である場合に、回折格子14に入射する赤外線の角度において生成される波長を波長λ1と規定する。また、可動ミラー13が位置P2である場合に、回折格子14に入射する赤外線の角度において生成される波長を波長λ2と規定する。さらに、可動ミラー13が位置P3である場合に、回折格子14に入射する赤外線の角度において生成される波長を波長λ3と規定する。
このように規定して、図3(a)に示すように可動ミラー13の位置が各位置P1・P2・P3・P2・P1・・・で周期的かつ連続的に変化するように揺動させることによって、図3(b)に示す如く、波長が波長λ1〜λ3の間で周期的かつ連続的に変化する赤外線を生成することができる。
このように規定して、図3(a)に示すように可動ミラー13の位置が各位置P1・P2・P3・P2・P1・・・で周期的かつ連続的に変化するように揺動させることによって、図3(b)に示す如く、波長が波長λ1〜λ3の間で周期的かつ連続的に変化する赤外線を生成することができる。
図2に示す如く、固定ミラー15は、回折格子14によって分光された赤外線をコリメートレンズ16に向けて反射させる部材であり、回折格子14によって生成される所定の波長域の赤外線の光路上に配置されている。赤外線は、コリメートレンズ16により適宜調整された後、照射口17から筐体11の外部に照射される。
このように、照射部10においては、光源12、可動ミラー13、回折格子14、固定ミラー15、コリメートレンズ16、照射口17を順に辿る赤外線の光路が形成される。
このように、照射部10においては、光源12、可動ミラー13、回折格子14、固定ミラー15、コリメートレンズ16、照射口17を順に辿る赤外線の光路が形成される。
こうして、可動ミラー13と回折格子14とが分光器として機能し、可動ミラー13の揺動と同期して、所定の波長域の赤外線を取り出すことで照射部10から照射される赤外線の波長が変動し、波長掃引を実現している。
そして、制御部40により、透過光の波長ごとの強度の分布(赤外分光スペクトル)を取得する。
そして、制御部40により、透過光の波長ごとの強度の分布(赤外分光スペクトル)を取得する。
即ち、本発明の一実施形態に係るTHC測定装置1では、光学チョッパが不要な構成としており、従来の光学チョッパが果たしていた機能(即ち、赤外線の受光強度のゼロ点の把握、赤外線の強度の補正、及び背景光の影響(ノイズ)の除去等)を、制御部40におけるデータ処理により果たす構成としている。
従来の光学チョッパを使用した場合において取得されるスペクトルの態様を、図4(b)に示している。
図4(b)に示す如く、光学チョッパがある場合には、所定の波長域を抜き出した態様でスペクトルを取得するため、取得した波長域の範囲では、スペクトルの変化に周期性は認められず、またその波形に線対称性は認められない。
しかしながら、このようにして取得したスペクトルには、強度が「0」となる波長が存在しており、この波長を波長の基準位置とすることができる。
図4(b)に示す如く、光学チョッパがある場合には、所定の波長域を抜き出した態様でスペクトルを取得するため、取得した波長域の範囲では、スペクトルの変化に周期性は認められず、またその波形に線対称性は認められない。
しかしながら、このようにして取得したスペクトルには、強度が「0」となる波長が存在しており、この波長を波長の基準位置とすることができる。
一方、光学チョッパを使用せずに取得されるスペクトルの態様を、図4(a)に示している。
図4(a)に示す如く、光学チョッパを外すと、可動ミラー13の回動位置P1→P2→P3→P2→P1→・・・に対応して、波長λ1→λ2→λ3→λ2→λ1→・・・と、周期的に波長が変化するスペクトルを取得することができる(図3(a)(b)参照)。
このようにして取得したスペクトルは、その波形が波長λ3の位置を対称軸として線対称となっている。
しかしながら、このようにして取得したスペクトルには、強度が「0」となる波長が存在していない。
図4(a)に示す如く、光学チョッパを外すと、可動ミラー13の回動位置P1→P2→P3→P2→P1→・・・に対応して、波長λ1→λ2→λ3→λ2→λ1→・・・と、周期的に波長が変化するスペクトルを取得することができる(図3(a)(b)参照)。
このようにして取得したスペクトルは、その波形が波長λ3の位置を対称軸として線対称となっている。
しかしながら、このようにして取得したスペクトルには、強度が「0」となる波長が存在していない。
本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法では、光学チョッパが使用せずに取得するスペクトルは線対称性が認められるという特徴を有効に利用して、光学チョッパを使用せずに取得したスペクトルのデータ処理を実現するものである。
以下、制御部40における具体的なデータ処理の方法(即ち、THC測定装置1における炭化水素濃度の算出方法)について、説明をする。
以下、制御部40における具体的なデータ処理の方法(即ち、THC測定装置1における炭化水素濃度の算出方法)について、説明をする。
次に、本発明の一実施形態に係るTHC測定装置1における炭化水素濃度の算出方法について、図5〜図13を用いて説明をする。
本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法では、図5に示すフローに従って、炭化水素濃度の算出が行われる。
本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法では、図5に示すフローに従って、炭化水素濃度の算出が行われる。
図5に示す如く、まず始めに、炭化水素を含まないガス(例えば、窒素ガス等)である基準ガスをセル20に導入して、THC測定装置1による測定を行い、基準ガスを透過させた透過光についてのスペクトル(以下、ベーススペクトルと呼ぶ)を取得する(STEP−1)。
このとき取得したベーススペクトルは、例えば、図6(a)のような波形で表されるスペクトルであり、取得したベーススペクトルのデータは、制御部40に格納される。
ここで、波長の変動周期が一周期分以上となる波長域でベーススペクトルを取得することによって、取得したベーススペクトルの波形に線対称性を持たせることができる。
このとき取得したベーススペクトルは、例えば、図6(a)のような波形で表されるスペクトルであり、取得したベーススペクトルのデータは、制御部40に格納される。
ここで、波長の変動周期が一周期分以上となる波長域でベーススペクトルを取得することによって、取得したベーススペクトルの波形に線対称性を持たせることができる。
次に、図5に示す如く、炭化水素を含む測定対象たる排気ガス(測定対象ガス)をセル20に導入して、THC測定装置1による測定を行い、排気ガスを透過させた透過光についてのスペクトル(以下、排ガススペクトルと呼ぶ)を取得する(STEP−2)。
このとき取得した排ガススペクトルは、例えば、図6(b)のような波形で表されるスペクトルであり、取得した排ガススペクトルのデータは、制御部40に格納される。
ここで、波長の変動周期が一周期分以上となる波長域で排ガススペクトルを取得することによって、取得した排ガススペクトルの波形に線対称性を持たせることができる。
このとき取得した排ガススペクトルは、例えば、図6(b)のような波形で表されるスペクトルであり、取得した排ガススペクトルのデータは、制御部40に格納される。
ここで、波長の変動周期が一周期分以上となる波長域で排ガススペクトルを取得することによって、取得した排ガススペクトルの波形に線対称性を持たせることができる。
次に、図5に示す如く、取得したベーススペクトルおよび排ガススペクトルにおける対称軸の位置を設定する(STEP−3)。
ここでは、ベーススペクトルあるいは排ガススペクトルの波長をλ(n)と規定する。nは任意の正の整数であり、nの値によって受光部30により透過光をサンプリングしたタイミングを特定する。
ここでは、ベーススペクトルあるいは排ガススペクトルの波長をλ(n)と規定する。nは任意の正の整数であり、nの値によって受光部30により透過光をサンプリングしたタイミングを特定する。
そして、波長λ(n)における強度をA(n)と規定する。そして、波長λ(n)〜波長λ(n+a)までの所定の波長域における各強度A(n)〜A(n+a)の和を強度和X(n)と規定する。尚、aは任意の整数であり、データ処理に用いる波長域の幅を設定するために適宜設定する。
そして、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルのそれぞれについて同様に、個別に対称軸の位置を設定する。
そして、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルのそれぞれについて同様に、個別に対称軸の位置を設定する。
図7に示す如く、対称軸の位置を設定するための処理(STEP−3)では、まず、制御部40により、波長域λ(n)〜λ(n+a)における各強度A(n)〜A(n+a)の強度和X1(n)と、波長域λ(n+a+1)〜λ(n+2a+1)における各強度A(n+a+1)〜A(n+2a+1)の強度和X2(n)と、を算出する(STEP−3−1)。
次に、制御部40により、強度和X1(n)と強度和X2(n)の差分Y1(n)を算出する(STEP−3−2)。
次に、制御部40により、波長域λ(n+1)〜λ((n+1)+a)における各強度A(n+1)〜A((n+1)+a)の強度和X1(n+1)と、波長域λ((n+1)+a+1)〜λ((n+1)+2a+1)における各強度A((n+1)+a+1)〜A((n+1)+2a+1)の強度和X2(n+1)と、を算出する(STEP−3−3)。
次に、制御部40により、強度和X1(n+1)と強度和X2(n+1)の差分Y1(n+1)を算出する(STEP−3−4)。
次に、制御部40により、差分Y1(n)と差分Y1(n+1)の積が、正となるか否か(即ち、Y1(n)×Y1(n+1)>0)の判定を行う(STEP−3−5)。
ここで、差分Y1(n)と差分Y1(n+1)の積が、正であれば、n=n+1として(STEP−3−6)、前述した処理(STEP−3−3)に戻る。
そして、差分Y1(n)と差分Y1(n+1)の積が負となる(即ち、Y1(n)×Y1(n+1)<0)まで、この処理を繰り返す。
ここで、差分Y1(n)と差分Y1(n+1)の積が、正であれば、n=n+1として(STEP−3−6)、前述した処理(STEP−3−3)に戻る。
そして、差分Y1(n)と差分Y1(n+1)の積が負となる(即ち、Y1(n)×Y1(n+1)<0)まで、この処理を繰り返す。
次に、制御部40により、差分Y1(n)と差分Y1(n+1)の積が、負となったとき、そのときのnの値を採用して、波長λ(n+a)の位置を仮の対称軸の位置として設定する(STEP−3−7)。
ここで、各波長λ(n)は離散データであるため、各波長λ(n)の位置で対称軸を設定すると、スペクトルの対称性が良くないため、各波長λ(n)の離散データ間のデータを補完する処理に移行する。
ここで、各波長λ(n)は離散データであるため、各波長λ(n)の位置で対称軸を設定すると、スペクトルの対称性が良くないため、各波長λ(n)の離散データ間のデータを補完する処理に移行する。
次に、図8に示す如く、制御部40により、新たな変数mを規定するとともに、m=1とする(STEP−3−8)。尚、mは任意の正の整数であり、適宜設定する。
次に、制御部40により、サンプリングのタイミングが隣り合う各波長λ(n)、λ(n+1)における各強度A(n)、A(n+1)を用いて、図9に示すように、各離散データ間の波長λm(n)における強度B(n)を新たに定義する(STEP−3−9)。
強度B(n)は、B(n)=A(n)×(1−(k×m))+A(n+1)×k×mとして定義する。
尚、kは離散データ間の波長域の分割数を設定するための任意の係数であり、適宜設定する。例えば、k=0.01とすれば、λ(n)およびλ(n+1)間を100等分する精度において対称軸を設定することができる。また、mの値は、1/k以下とする。
強度B(n)は、B(n)=A(n)×(1−(k×m))+A(n+1)×k×mとして定義する。
尚、kは離散データ間の波長域の分割数を設定するための任意の係数であり、適宜設定する。例えば、k=0.01とすれば、λ(n)およびλ(n+1)間を100等分する精度において対称軸を設定することができる。また、mの値は、1/k以下とする。
次に、図8に示す如く、定義した強度B(n)を用いて、制御部40により、各強度B(n)〜B(n+a)の強度和X3(n)と、各強度B(n+a+1)〜B(n+2a+1)の強度和X4(n)と、を算出する(STEP−3−10)。
次に、制御部40により、強度和X3(n)と強度和X4(n)の差分Y2(n)を算出する(STEP−3−11)。
次に、制御部40により、各強度B(n+1)〜B((n+1)+a)の強度和X3(n+1)と、各強度B((n+1)+a+1)〜B((n+1)+2a+1)の強度和X4(n+1)と、を算出する(STEP−3−12)。
次に、制御部40により、強度和X3(n+1)と強度和X4(n+1)の差分Y2(n+1)を算出する(STEP−3−13)。
次に、制御部40により、差分Y2(n)と差分Y2(n+1)の積が、正となるか否か(即ち、Y2(n)×Y2(n+1)>0)の判定を行う(STEP−3−14)。
ここで、差分Y2(n)と差分Y2(n+1)の積が、正であれば、m=m+1として(STEP−3−15)、前述した処理(STEP−3−12)に戻る。
そして、差分Y2(n)と差分Y2(n+1)の積が負となる(即ち、Y2(n)×Y2(n+1)<0)まで、この処理を繰り返す。
ここで、差分Y2(n)と差分Y2(n+1)の積が、正であれば、m=m+1として(STEP−3−15)、前述した処理(STEP−3−12)に戻る。
そして、差分Y2(n)と差分Y2(n+1)の積が負となる(即ち、Y2(n)×Y2(n+1)<0)まで、この処理を繰り返す。
次に、制御部40により、差分Y2(n)と差分Y2(n+1)の積が、負となったとき、そのときのmの値を採用して、波長λ(n+a)+k×mの位置を、最終的な対称軸の位置として設定する(STEP−3−16)。
そしてここでは、ベーススペクトルの対称軸の位置に対応する波長をλbと規定し、排ガススペクトルの対称軸の位置に対応する波長をλgと規定する。
尚、各スペクトルを比較する際の基準位置は、赤外吸収によるスペクトル変形による影響を受けないことが必要であるが、ここで決定する各スペクトルの対称軸は、波長λbおよび波長λgの周囲の波長域において赤外吸収が起こらないため、基準位置として適している。
尚、各スペクトルを比較する際の基準位置は、赤外吸収によるスペクトル変形による影響を受けないことが必要であるが、ここで決定する各スペクトルの対称軸は、波長λbおよび波長λgの周囲の波長域において赤外吸収が起こらないため、基準位置として適している。
即ち、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法において、波長λbは、制御部40によって、ベーススペクトルを形成する離散データを補完して設定し、波長λgは、制御部40によって、排ガススペクトルを形成する離散データを補完して設定するものである。
このような構成により、対称軸の位置を精度良く設定することができ、これにより、赤外吸収スペクトルの測定精度を向上させることができる。
このような構成により、対称軸の位置を精度良く設定することができ、これにより、赤外吸収スペクトルの測定精度を向上させることができる。
次に、図5に示す如く、制御部40により、設定した各対称軸の位置(即ち、波長λbおよび波長λgに対応する位置)における各スペクトルの平均強度を算出して、当該平均強度に基づいてベーススペクトルおよび排ガススペクトルのそれぞれについて同様に、個別に強度を補正する(STEP−4)。
まず、図10(a)に示す如く、制御部40により、(STEP−3)において設定した各対称軸の位置(即ち、波長λbおよび波長λgに対応する位置)を中心として、幅2bの波長域における強度B(n)の平均強度Cを算出する(STEP−4−1)。尚、bは任意の正の数であり、データ処理に用いる波長域の幅を設定するために適宜設定する。
そして、制御部40により、この平均強度Cの値が強度B(n)の最小値になるものと仮定し、この平均強度Cの値を「0」とするように、強度B(n)を補正する(STEP−4−2)。ここで、補正後の強度B(n)である強度D(n)を、D(n)=B(n)−Cとして定義する。
そして、制御部40により、この平均強度Cの値が強度B(n)の最小値になるものと仮定し、この平均強度Cの値を「0」とするように、強度B(n)を補正する(STEP−4−2)。ここで、補正後の強度B(n)である強度D(n)を、D(n)=B(n)−Cとして定義する。
ここで、ベーススペクトルの強度D(n)を強度Db(n)と規定し、排ガススペクトルの強度D(n)を強度Dg(n)と規定すると、強度B(n)を強度Dg(n)とする補正は、図10(b)のように表される。
尚、図10(b)では、排ガススペクトルの強度Dg(n)の補正の状況について例示しており、ベーススペクトルの強度Db(n)の補正の状況についての図示は割愛している。
尚、図10(b)では、排ガススペクトルの強度Dg(n)の補正の状況について例示しており、ベーススペクトルの強度Db(n)の補正の状況についての図示は割愛している。
これにより、対称軸(即ち、波長λbおよび波長λgに対応する位置)における各スペクトルが「0」となるように、各スペクトルを補正することができ、光学チョッパを使用することなく、強度の基準(本実施形態では、強度「0」の位置)を生成することができる。
尚、本実施形態では、強度D(n)の基準を「0」に設定し、各スペクトルにおける各平均強度Cの値を「0」に一致させて補正するようにしているが、必ずしも強度D(n)の基準は「0」としなくてもよく、各スペクトルにおける各平均強度Cの値を一致させるように補正すればよい。
尚、本実施形態では、強度D(n)の基準を「0」に設定し、各スペクトルにおける各平均強度Cの値を「0」に一致させて補正するようにしているが、必ずしも強度D(n)の基準は「0」としなくてもよく、各スペクトルにおける各平均強度Cの値を一致させるように補正すればよい。
次に、図5に示す如く、制御部40により、設定したベーススペクトルの対称軸の位置(即ち、波長λbに対応する位置)を基準として、排ガススペクトルの波長を補正する(STEP−5)。
図11(a)に示す如く、まず、制御部40により、(STEP−3)において設定した、ベーススペクトルの強度Db(n)の対称軸の位置に対応する波長λbと、排ガススペクトルの強度Dg(n)の対称軸の位置に対応する波長λgとを比較して、各スペクトル間に存在する波長のズレΔλを算出する(STEP−5−1)。ここで、ズレΔλは、Δλ=λb−λgにより算出する。
そして、制御部40により、算出した波長のズレΔλを「0」とするように、排ガススペクトルの強度Dg(n)の波長を補正する(STEP−5−2)。
ここで、波長のズレを補正した排ガススペクトルの強度Dg(n)を強度E(n)と規定し、E(n)=Dg(n−Δλ)として定義する。
これにより、各スペクトル間に存在する波長のズレを精度良く補正することができる。
ここで、波長のズレを補正した排ガススペクトルの強度Dg(n)を強度E(n)と規定し、E(n)=Dg(n−Δλ)として定義する。
これにより、各スペクトル間に存在する波長のズレを精度良く補正することができる。
そして、このような排ガススペクトルの強度Dg(n)を強度E(n)とする補正の状況は、図11(b)のように表される。
次に、図5に示す如く、制御部40により、赤外吸収が起こらないことが既知である波長域におけるベーススペクトルの強度を基準として、排ガススペクトルの強度を補正する(STEP−6)。
図12に示す如く、例えば、赤外吸収が起こらないことが既知である波長域をλ(α)〜λ(β)に設定した場合、当該波長域におけるベーススペクトルの強度Db(α)〜Db(β)の平均強度Fbと、当該波長域における排ガススペクトルの強度E(α)〜E(β)の平均強度Fgを算出する(STEP−6−1)。
そして、排ガススペクトルの強度E(n)に、各平均強度Fb・Fgの比(Fb/Fg)を乗じて、ベーススペクトルの強度E(n)を補正する(STEP−6−2)。
ここで、上記補正後のベーススペクトルの強度E(n)を強度F(n)として、F(n)=E(n)×Fb/Fgと定義する。
このようにして、基準ガスと排気ガスの測定状態(温度条件等)の差異に起因して生じる強度のばらつきを補正することにより、各スペクトル間の差分(即ち、赤外吸収スペクトル)を求めるための条件を整えることができる。
ここで、上記補正後のベーススペクトルの強度E(n)を強度F(n)として、F(n)=E(n)×Fb/Fgと定義する。
このようにして、基準ガスと排気ガスの測定状態(温度条件等)の差異に起因して生じる強度のばらつきを補正することにより、各スペクトル間の差分(即ち、赤外吸収スペクトル)を求めるための条件を整えることができる。
次に、図5に示す如く、上記各補正を行った後のベーススペクトルの強度Db(n)と、排ガススペクトルの強度F(n)を用いて、制御部40により、赤外吸収量を算出する(STEP−7)。
図13(a)に示す如く、まず、ベーススペクトルの強度Db(n)と、排ガススペクトルの強度F(n)の差分を算出して、測定対象ガスたる排気ガスによる赤外吸収量を表す赤外吸収スペクトルG(n)を取得する(STEP−7−1)。
図13(b)に示す如く、本発明に係る炭化水素濃度の算出方法では、設定した対称軸(即ち、各波長λb・λgに対応する位置)を挟んで、その両側に各赤外吸収スペクトルG1(n)・G2(n)を取得することができる。
さらに、本発明に係る炭化水素濃度の算出方法では、各赤外吸収スペクトルG1(n)・G2(n)を平均して、最終的な赤外吸収スペクトルH(n)を取得する(STEP−7−2)。そして、赤外吸収スペクトルH(n)を用いて、排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する。
さらに、本発明に係る炭化水素濃度の算出方法では、各赤外吸収スペクトルG1(n)・G2(n)を平均して、最終的な赤外吸収スペクトルH(n)を取得する(STEP−7−2)。そして、赤外吸収スペクトルH(n)を用いて、排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する。
即ち、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法は、波長が周期的に変動する赤外線を照射する照射部10と、前記赤外線を受光して、当該赤外線の強度を取得する受光部30と、受光部30に接続される制御部40と、を備えるTHC測定装置1を使用して、照射部10から炭化水素を含まない基準ガスに向けて赤外線を照射し、前記基準ガスを透過した赤外線を受光部30によって受光することにより、制御部40によって、基準ガスを透過した赤外線の波長ごとの強度を表す第一のスペクトルであるベーススペクトルを取得するとともに、照射部10から炭化水素を含むガスである排気ガスに向けて赤外線を照射し、排気ガスを透過した赤外線を受光部30によって受光することにより、制御部40によって、排気ガスを透過した赤外線の波長ごとの強度を表す第二のスペクトルである排ガススペクトルを取得して、制御部40によって、ベーススペクトルと排ガススペクトルの差分として、排気ガスの赤外吸収スペクトルを取得して、当該赤外吸収スペクトルに基づいて排気ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出するものであって、制御部40によって、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルを、照射部10から照射される赤外線の変動周期の一周期分(例えば、λ1〜λ1)以上の波長域で取得して、当該各スペクトルの波形に線対称性を持たせつつ、取得したベーススペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長である第一の波長λbと、取得した排ガススペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長である第二の波長λgを設定するとともに、波長λbに対応する赤外線の第一の強度たる強度Db(n)と、波長λgに対応する赤外線の第二の強度たる強度Dg(n)を算出し、強度Db(n)と強度Dg(n)の差分を「0」とするように、排ガススペクトルの強度を補正し、強度を補正した後の排ガススペクトルと、ベーススペクトルの差分として、排気ガスの赤外吸収スペクトルG(n)を取得するものである。
このような構成により、光学チョッパを用いずに、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルの強度の基準(本実施形態では、強度「0」の位置)を設定することができる。
これにより、THC測定装置1のコンパクト化および低コスト化に寄与することができる。
このような構成により、光学チョッパを用いずに、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルの強度の基準(本実施形態では、強度「0」の位置)を設定することができる。
これにより、THC測定装置1のコンパクト化および低コスト化に寄与することができる。
また、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法は、さらに、制御部40によって、波長λbと波長λgの差分を「0」とするように、排ガススペクトルの波長を補正し、強度および波長を補正した後の排ガススペクトルと、ベーススペクトルの差分として、排気ガスの赤外線の赤外吸収スペクトルG(n)を取得するものである。
このような構成により、ベーススペクトルおよび評価対象スペクトルの波長を精度良く揃えることができ、これにより、赤外吸収スペクトルG(n)の測定精度を向上させることができる。
このような構成により、ベーススペクトルおよび評価対象スペクトルの波長を精度良く揃えることができ、これにより、赤外吸収スペクトルG(n)の測定精度を向上させることができる。
また、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法では、波長一周期分のスペクトルのデータから、二つの赤外吸収スペクトル(即ち、赤外吸収スペクトルG1(n)・G2(n))を取得することができ、従来に比して、同じ測定時間で、2倍の赤外吸収量のデータを取得することができる。
また、波長一周期分のスペクトルのデータから取得できる二個の赤外吸収量の測定結果を、平均化して最終的な赤外吸収スペクトルH(n)を取得することができ、これにより、ランダムノイズ等の影響が低減され、炭化水素濃度の測定精度が向上する。
また、波長一周期分のスペクトルのデータから取得できる二個の赤外吸収量の測定結果を、平均化して最終的な赤外吸収スペクトルH(n)を取得することができ、これにより、ランダムノイズ等の影響が低減され、炭化水素濃度の測定精度が向上する。
即ち、本発明の一実施形態に係る炭化水素濃度の算出方法において、赤外吸収スペクトルH(n)は、制御部40によって、強度および波長を補正した後の排ガススペクトルにおける波長λbを境界として線対称性を有する態様で存在する複数(本実施形態では2個)の赤外吸収スペクトルG1(n)・G2(n)を平均して算出するものである。
このような構成により、時間分解能を保持しつつ、従来に比して二倍のデータ量の平均から赤外吸収スペクトルH(n)を取得することができ、ランダムノイズによる影響を低減することができる。これにより、赤外吸収スペクトルH(n)の測定精度を向上させることができる。
このような構成により、時間分解能を保持しつつ、従来に比して二倍のデータ量の平均から赤外吸収スペクトルH(n)を取得することができ、ランダムノイズによる影響を低減することができる。これにより、赤外吸収スペクトルH(n)の測定精度を向上させることができる。
また、ここでは、波長一周期分のスペクトルから、二つの赤外吸収スペクトル(即ち、赤外吸収スペクトルG1(n)・G2(n))を取得し、これらを平均化して最終的な赤外吸収スペクトルH(n)を取得する場合を例示しているが、波長複数周期分のスペクトルを取得して、さらに多く(三つ以上)の赤外吸収スペクトルを平均化して最終的な赤外吸収スペクトルを取得することも可能であり、リアルタイム性を重視するか、あるいは、測定精度を重視するか、等の測定条件・目的に応じて、平均化に用いる赤外吸収スペクトルのデータ数を適宜設定する。
また、本実施形態では、照射部10を構成するMEMSミラーが周期的に振動する性質を利用して、振動周期の一周期分以上に相当する波長域でスペクトルを取得することによって、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルの波形に対称性を持たせるようにしているが、例えば、ファブリペローフィルタや音響光学式波長可変フィルタ(AOTF)等を備えるTHC測定装置を用いることによって、ベーススペクトルおよび排ガススペクトルの波形に対称性を持たせる態様とすることも可能であり、本発明に係る炭化水素濃度の算出方法を、MEMSミラーを有する照射部を備える炭化水素濃度測定装置に適用する場合に限定するものではない。
さらに、本実施形態では、波長と強度の関係を表すスペクトルを取得する場合を例示しているが、波長に対応するサンプリングのタイミングを表す時間を用いて、時間と強度の関係を表す態様でスペクトルを取得して、各データ処理を行うことも可能である。
1 THC測定装置
10 照射部
30 受光部
40 制御部
10 照射部
30 受光部
40 制御部
Claims (4)
- 波長が周期的に変動する赤外線を照射する照射部と、
前記赤外線を受光して、当該赤外線の強度を取得する受光部と、
前記受光部に接続される制御部と、
を備える炭化水素濃度測定装置を使用して、
前記照射部から炭化水素を含まないガスである基準ガスに向けて赤外線を照射し、前記基準ガスを透過した赤外線を前記受光部によって受光することにより、前記制御部によって、前記基準ガスを透過した赤外線の波長ごとの強度を表す第一のスペクトルを取得するとともに、
前記照射部から炭化水素を含むガスである測定対象ガスに向けて赤外線を照射し、前記測定対象ガスを透過した赤外線を前記受光部によって受光することにより、前記制御部によって、前記測定対象ガスを透過した赤外線の波長ごとの強度を表す第二のスペクトルを取得して、
前記制御部によって、
前記第一のスペクトルと前記第二のスペクトルの差分として、前記測定対象ガスの赤外吸収スペクトルを取得して、当該赤外吸収スペクトルに基づいて前記測定対象ガスに含まれる炭化水素の濃度和を算出する炭化水素濃度の算出方法であって、
前記制御部によって、
前記第一のスペクトルおよび前記第二のスペクトルを、
前記照射部から照射される前記赤外線の変動周期の一周期分以上の波長域で取得して、当該各スペクトルの波形に線対称性を持たせつつ、
取得した前記第一のスペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長である第一の波長と、取得した前記第二のスペクトルの波形が線対称となる軸の位置に対応する波長である第二の波長を設定するとともに、
前記第一の波長に対応する赤外線の強度である第一の強度と、前記第二の波長に対応する赤外線の強度である第二の強度を算出し、
前記第一の強度と前記第二の強度の差分を「0」とするように、前記第二のスペクトルの強度を補正し、
強度を補正した後の前記第二のスペクトルと、前記第一のスペクトルの差分として、前記測定対象ガスの赤外吸収スペクトルを取得する、
ことを特徴とする炭化水素濃度の算出方法。 - さらに、前記制御部によって、
前記第一の波長と前記第二の波長の差分を「0」とするように、前記第二のスペクトルの波長を補正し、
強度および波長を補正した後の前記第二のスペクトルと、前記第一のスペクトルの差分として、前記測定対象ガスの赤外吸収スペクトルを取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の炭化水素濃度の算出方法。 - 前記赤外吸収スペクトルは、
前記制御部によって、
強度および波長を補正した後の前記第二のスペクトルにおける前記第二の波長を境界として線対称性を有する態様で存在する複数の前記赤外吸収スペクトルを平均して算出する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化水素濃度の算出方法。 - 前記第一の波長は、
前記制御部によって、
前記第一のスペクトルを形成する離散データを補完して設定し、
前記第二の波長は、
前記制御部によって、
前記第二のスペクトルを形成する離散データを補完して設定する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の炭化水素濃度の算出方法。
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JP2010079759A JP2011209242A (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | 炭化水素濃度の算出方法 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
WO2021241589A1 (ja) * | 2020-05-29 | 2021-12-02 | 株式会社堀場製作所 | 分析装置、分析装置用プログラム及び分析方法 |
JP2022043847A (ja) * | 2020-09-04 | 2022-03-16 | 富士電機株式会社 | ガス分析計 |
-
2010
- 2010-03-30 JP JP2010079759A patent/JP2011209242A/ja not_active Withdrawn
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