JP2011208655A - 油圧浮上台形ねじ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 台形ねじの各フランク面間をシール材によって密閉し、軸方向荷重に対応した油圧を供給して浮かせ、フランク面同士を確実に非接触とすることで、ねじ効率を極めて高くでき、高速大荷重の装置においても利用可能となる。
【選択図】 図2
Description
しかし、ボールねじの場合、高速で動作するとボール同士の衝突による衝撃でボール自身が破損し、ボールねじおよび機械の故障を引き起こすという問題がある。そのため、ボールねじ軸の外径(Dmm)と回転速度(Nrpm)をかけ合わせた数値(D×N)である周速に限界値があり、ボールねじ軸の太さおよび回転速度が制限される。よって、高速かつ大荷重(ねじ軸が大径になる)の装置には適しておらず、大型機にはボールねじを採用できないという欠点があった。また、ボールねじの本数を複数にして1本当たりの荷重を低くして使用する場合も、軸同士の同調メカニズムあるいは制御が煩雑となり、コストアップの要因となって採用が困難であった。
例えば、特許文献1には、外筒の内周部とナットの外周部の間に設けた周段部(絞りすきま)とナットに設けられた小孔を経由して、両フランク面に油圧を供給し、軸方向荷重の変動に対応した油圧をバランス良く発生させることにより、フランク面に一定の厚さの流体膜を生じさせることが可能な静圧ねじが開示されている。
次に、特許文献2には、ナット側からフランク面に供給した圧力空気を、ねじ軸の軸芯上に設けた長手方向排気孔から排出し、排出量を充分に確保することによって必要な空気膜を形成可能となる、静圧空気ねじが開示されている。
さらに、特許文献3では、軸方向の荷重を軸受け部分に設けた2個の圧力検出器によって検知し、検知信号を差動増幅器で増幅した後、直接サーボ弁へ信号入力して軸方向荷重に対応した油圧をナットの各フランク面に供給する静圧ねじ装置技術が開示されている。
また、特許文献2記載のねじでは、排気孔から圧力が抜けるため、高い圧力が必要な高荷重のねじ装置では圧力が立たず、適していなかった。
さらに、特許文献3記載のねじでは、圧力検出器から出てきた電気信号により直接サーボ弁を操作するため、低負荷から高負荷の範囲の荷重に対して、フランク面の圧力を適切に制御することが困難であった。
よって本願発明は、台形ねじのフランク面に軸方向荷重に対応した油圧を供給して浮かせ、フランク面同士を確実に非接触とすることで、動力伝達効率が極めて高く、高速大荷重の装置においても採用可能な、油圧浮上式の台形ねじ及びその制御方法を提供するものである。
また、第2の発明においては、ねじ軸は電気モータの回転軸と連結し、ナットは回転が拘束された状態で摺動運動可能とする。
さらに、第3の発明においては、モータの回転運動を直進運動に変換して駆動動作するダイカストマシンまたは射出成形機に用いる。
そして、第4の発明においては、上記台形ねじの動作を制御する制御方法であって、台形ねじの動作中にねじ位置センサーの測定値をフィードバックし、ねじ山の両側に形成されるフランク面の間の間隔が略同一になるよう、油圧制御装置によってaグループ油室およびbグループ油室に供給する作動油の圧力を制御する制御方法である。
(2)ねじのフランク面における金属摺動による摩擦抵抗が無くなるので、モータの回転トルクを効率的に直進運動力(推進力)に変換できる。
機械装置のフレーム18上に、軸受け固定部材23が固着されている。軸受け固定部材23には電気モータ20がモータ取付けブラケット22を介して固定されており、電気モータ20の回転軸はカップリング21によってねじ軸10と連結している。ねじ軸10の図1における左端部は、スラスト軸受け24、アンギュラ軸受け25、その間のスペーサ、軸受けナット26が組み付けられており、回転自在且つ軸方向には拘束された状態で、軸受け固定部材23に支持されている。ねじ軸10に左方向のスラスト荷重が作用するとスラスト軸受け24によって荷重を受け、右方向の力が作用するとアンギュラ軸受け25によって荷重を受けるようになっている。また、アンギュラ軸受け25は軸受け押さえ27によって、軸受け固定部材23に押さえ付けられている。
一方、ねじ軸10の右端部には押さえナット32によって軸受け31が取付けられており、フレーム18上に固着された軸受け支持部材30に回転自在に支持されている。
ねじ軸10の外周部とナット11の内周部には、お互い螺合し合う台形ねじが形成されている。台形ねじは、フランク面の間に隙間があるあまねじなっており、軸方向でδmmづつの空間に作動油を導くことができる。隙間は、両側を合わせた2δが0.1mm程度であることが好ましい。ナット11の内径部11bには、内径シール材51を収納する溝が加工されており、ナット11の内径部11bとねじ軸10の谷径部10bの間をシールできるようになっている。また、ナット11のねじ底部11aには、外径シール材52を収納する溝が加工されており、ナット11のねじ底部11aとねじ軸10の外径部10aの間をシールできるようになっている。さらに、ナット11の両端部において、フランク面の間をシールするフランク面シール材70が2組装着されている。よって、フランク面間の隙間であるa1、a2、a3、a4、a5からなり周囲がシール(封止)された螺旋状のaグループ油室と、同様にb1、b2、b3、b4、b5からなるbグループ油室が形成される。aグループ油室はナット11が図の矢印A方向からの荷重を受けると油室が小さくなり、またbグループ油室は図の矢印B方向からの荷重を受けると油室が小さくなる。内径シール材51と外径シール材52は螺旋状になっている。aグループ油室とbグループ油室は1つのねじ山の両側に形成される。
同様にbグループ油室も、bライン流路孔48及びbラインを介して、bラインポンプ44及びbライン電磁圧力制御弁42、タンク46と回路接続し、油圧を制御できるようになっている。
運転開始信号が制御装置に入力されると、まずポンプ用モータ45を回転駆動しaラインポンプ43およびbラインポンプ44から作動油を吐出する。この時、aライン電磁圧力制御弁41とbライン電磁圧力制御弁42は、低い圧力に設定しておく。このことにより、aグループ油室とbグループ油室には低い圧力が供給される。この状態でねじ位置センサー60によって、フランク面間の隙間を測定する。そして、それぞれの隙間が中間値のδmmとなるよう、隙間が小さい方のラインの圧力を少し上げて調整する。そして、ナット11および移動部材13を直進移動させるため電気モータ20を回転させる。この時、移動部材13に作用する力の変動によって隙間が変わるので、常時ねじ位置センサー60によって相対位置を監視し、適宜aライン電磁圧力制御弁41とbライン電磁圧力制御弁42の指令値を変更し、各ラインの圧力を増減させる。例えば、ねじ位置センサー60の測定値が小さくなった場合、矢印A方向の荷重を受けaグループ油室の隙間が小さくなり作動油がaライン電磁圧力制御弁41を介してタンク46に落ちていることになるので、aライン電磁圧力制御弁41の設定圧力を高くする。
このようなことを、短いサンプリング間隔で繰り返し、両側の隙間が常にδmm近辺に維持できるように制御する。
軸方向の推進力をQ、ねじ軸の外径をd、噛み合っているねじ山の高さをh、フランク面に圧力が供給されるねじ山数をZとすると、フランク面(油室)に供給する作動油の圧力qは、次の計算式となる。
q=Q÷{π・Z・h・(d−h)}
以上の計算式より、機械装置の最高推進力の仕様値より最大圧力を計算し、その最大圧力を供給できる油圧回路を設計する。
このようなことから、ダイカストマシンや射出成形機の大型機(例えば型締力が500トン以上)の駆動装置としても利用でき、型締装置や射出装置を動かすことが可能となる。
10a 外径部
10b 谷径部
11 ナット
11a ねじ底部
11b 内径部
13 移動部材
18 フレーム
20 電気モータ
21 カップリング
22 モータ取付けブラケット
23 軸受け固定部材
24 スラスト軸受け
25 アンギュラ軸受け
26 軸受けナット
27 軸受け押さえ
30 軸受け支持部材
31 軸受け
32 押さえナット
33 スライドレール
34 スライドブロック
41 aライン電磁圧力制御弁
42 bライン電磁圧力制御弁
43 aラインポンプ
44 bラインポンプ
45 ポンプ用モータ
46 タンク
47 aライン流路孔
48 bライン流路孔
51 外径シール材
52 内径シール材
60 ねじ位置センサー
70 フランク面シール材
71 シールアダプター
72 ばね
73 スリット溝
Claims (4)
- ねじ軸とナットからなる台形ねじであって、
前記ねじ軸の外径部と前記ナットのねじ底部の間をシールする外径シール材と、前記ねじ軸の谷径部と前記ナットの内径部をシールする内径シール材と、前記ナットの両端部において前記ねじ軸のフランク面と前記ナットのフランク面の間をシールするフランク面シール材と、によって封止され、前記ねじ軸のフランク面と前記ナットのフランク面との間に形成される螺旋状のaグループ油室およびbグループ油室と、
前記aグループ油室とおよび前記bグループ油室に、個別に圧力制御された作動油を供給する油圧制御装置と、
前記aグループ油室および前記bグループ油室と連通し、前記油圧制御装置からの油圧を供給するために前記ナットに施された流路孔と、
前記ねじ軸と前記ナットの軸方向の相対位置を測定するねじ位置センサーと、
から構成されることを特徴とする台形ねじ。 - 前記ねじ軸は電気モータの回転軸と連結し、前記ナットは回転が拘束された状態で摺動運動可能であることを特徴とする請求項1に記載の台形ねじ。
- モータの回転運動を直進運動に変換して駆動動作するダイカストマシンまたは射出成形機に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の台形ねじ。
- 請求項1から3に記載の台形ねじの動作を制御する制御方法であって、前記台形ねじの動作中に前記ねじ位置センサーの測定値をフィードバックし、ねじ山の両側に形成されるフランク面の間の間隔が略同一になるよう、前記油圧制御装置によって前記aグループ油室および前記bグループ油室に供給する作動油の圧力を制御することを特徴とする台形ねじの制御方法。
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