JP2011207707A - 水素製造装置及び燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部の温度を最適な温度に保つことができる水素製造装置及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】水蒸発流路31は、選択酸化反応部8に隣り合うように並設されると共に、水を流通させて選択酸化触媒層A8から熱を回収して水蒸気を生成するように構成されている。また、選択酸化触媒層A8と水蒸発流路31との間に断熱部32が配置されている。この断熱部32は、選択酸化反応部8を構成する壁部材よりも低い熱伝導率を有している。これによって、水蒸発流路31と選択酸化反応部8とを並設させる構造とした場合であっても、選択酸化反応部8の選択酸化触媒層A8の温度が低くなりすぎてしまうことを防止できる。更に、水蒸発流路31と選択酸化触媒層A8との間に断熱部32を配置するだけの簡便な構造で温度低下を抑制することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、水素製造装置及び燃料電池システムに関する。
従来の水素製造装置としては、炭化水素等の原燃料を改質することによって生成された改質ガス中の一酸化炭素を選択酸化する選択酸化反応部を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。選択酸化反応部の温度を制御するためには通常ヒータ等の外部加熱器が用いられるが、例えば、筒状の選択酸化反応部の内周側に隣接する位置に、水蒸気を生成するための水蒸発部が配置されている水素製造装置では、水蒸発部に供給された水温により、加熱器を用いることなく、選択酸化反応部の温度を制御することが可能である。
特開2009−280408号公報
ここで、上述したような水素製造装置では、水または水蒸気が流通する流路が、選択酸化反応部に隣接する位置に設けられているため流路中の水温が低い場合、選択酸化反応部の選択酸化触媒の温度が低下してしまう。選択酸化触媒の温度が低くなりすぎた場合、選択酸化触媒の酸化劣化が生じ触媒の寿命が短くなるという問題があった。選択酸化反応部に対する適切な冷却構造が設けられていない場合は、選択酸化触媒の温度が高くなることにより、一酸化炭素および二酸化炭素のメタン化反応が進行し部材の耐熱温度以上に温度が急上昇するという問題があった。更に、選択酸化反応部周辺の改質ガスの流路の構造を工夫することによって、選択酸化触媒層の温度の最適化を図る場合、流路の構造が複雑になるという問題があった。以上より、簡便な構成で選択酸化反応部の温度を最適な温度に保つことが要求されていた。
そこで、本発明は、ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部の温度を最適な温度に保つことができる水素製造装置及び燃料電池システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る水素製造装置は、水素を含有する改質ガス中の一酸化炭素を選択酸化触媒層で選択酸化する選択酸化反応部と、選択酸化反応部に隣り合うように並設されると共に、水を流通させて選択酸化触媒層から熱を回収して水蒸気を生成する蒸発流路と、選択酸化触媒層と蒸発流路との間に配置され、選択酸化反応部を構成する壁部材よりも低い熱伝導率を有する断熱部と、を備えることを特徴とする。
この水素製造装置では、蒸発流路は、選択酸化反応部に隣り合うように並設されると共に、水を流通させて選択酸化触媒層から熱を回収して水蒸気を生成するように構成されている。これによって、選択酸化反応部の選択酸化触媒層を冷却することが可能となり、別途冷却構造を設けることなく選択酸化触媒の温度の上昇を抑制することができる。このような構造において、選択酸化触媒層と蒸発流路との間に断熱部が配置されている。この断熱部は、選択酸化反応部を構成する壁部材よりも低い熱伝導率を有している。従って、断熱部は、蒸発流路と選択酸化触媒層との間において、選択酸化触媒層の熱が蒸発流路に過剰に伝わってしまうことを防止することができる。これによって、蒸発流路と選択酸化反応部とを並設させる構造とした場合であっても、選択酸化反応部の選択酸化触媒の温度が低くなりすぎてしまい、選択酸化触媒の酸化劣化が生じ触媒の寿命が短くなることを防止することができる。更に、蒸発流路と選択酸化触媒層との間に断熱部を配置するだけの簡便な構造で温度低下を抑制することができる。よって、例えば、外部に選択酸化反応部に対する温度調節用の機器を設けることによって選択酸化触媒層の温度低下を抑制する場合や、選択酸化反応部周辺の流路の構造を工夫することによって選択酸化触媒層の温度低下を抑制する場合に比して、本発明は、大幅に簡便な構造とすることができる。以上によって、ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部の温度を最適な温度に保つことができる。
また、本発明に係る水素製造装置において、蒸発流路は、互いに向かい合う一対の筒状の周壁の間の空間によって構成されており、選択酸化反応部は、周壁の軸に沿う筒状に構成されると共に、周壁の一方に取り付けられており、断熱部は、選択酸化反応部が取り付けられた周壁と、選択酸化触媒層との間に形成された空間によって構成されていることが好ましい。蒸発流路及び選択酸化反応部は筒状に構成されており、選択酸化反応部は蒸発流路を構成する周壁に取り付けられている。また、断熱部は、蒸発流路を構成する周壁と選択酸化触媒層との間に空間を形成するだけで構成することができる。従って、少なくとも選択酸化触媒層の部分のみは周壁と接触しないような構成とされた筒状の選択酸化反応部を準備し、このような選択酸化反応部を蒸発流路の外周側または内周側に嵌め込むだけの簡単な作業で、容易に断熱部を構成することができる。
また、本発明に係る燃料電池システムは、上記水素製造装置と、水素製造装置によって生成された改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、を備えたことを特徴とする。
この燃料電池システムにおいても、上記水素製造装置を備えているため、ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部の温度を最適な温度に保つことができるという上記効果が奏される。
本発明によれば、ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部の温度を最適な温度に保つことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの一部を示す概略ブロック図である。 図1の水素製造装置を示す概略正面端面図である。 図2に示す選択酸化反応部周辺の構成の拡大図である。 図1の水素製造装置の他の例を示す概略正面端面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、「上」「下」の語は、図面の上下方向に対応するものであり便宜的なものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの一部を示す概略ブロック図である。図1に示すように、水素製造装置(FPS:Fuel Processing System)1は、例えば家庭用の燃料電池システム100において水素供給源として利用されるものである。ここでの水素製造装置1は、原燃料として石油系炭化水素が用いられ、水素を含有する改質ガスをセルスタック(燃料電池スタック)20に供給する。
なお、原燃料としては、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料、天然ガス、都市ガスを用いてもよい。また、石油系炭化水素としては、灯油、LPガスのほか、ナフサ、軽油などを原燃料として使用することができる。また、セルスタック20としては、固体高分子形、アルカリ電解質形、リン酸形、溶融炭酸塩形或いは固体酸化物形等の種々のものを用いてもよい。
図2は、図1の水素製造装置を示す概略正面端面図である。図1,2に示すように、水素製造装置1は、中心軸を軸Gとする円筒状外形の脱硫部2と、中心軸を軸Gとする円柱状外形の本体部3と、を備え、これらが筐体4に収容されている。また、筐体4内において脱硫部2及び本体部3の周囲には、粉状の断熱材(不図示)が充填されて断熱されている。脱硫部2は筐体4の外に設置されてもよい。
脱硫部2は、外部から導入された原燃料を脱硫触媒によって脱硫して硫黄分を除去し、この原燃料を後述のフィード部5へ供給する。脱硫部2は、筐体4の側板4xにパイプ21で固定され、本体部3の上部を所定の隙間を有して囲繞するよう保持されている。本体部3は、フィード部5、改質部6、シフト反応部7、選択酸化反応部8及び蒸発部9を備え、これらが一体で構成されている。この本体部3は、筐体4の床板4yに筒状のステー22により固定され保持されている。
フィード部5は、脱硫部2で脱硫した原燃料及び水蒸気(スチーム)を混合し、これらを改質部6に供給する。具体的には、フィード部5は、原燃料及び水蒸気を合流・混合させて混合ガス(混合流体)を生成する混合部5xと、混合ガスを改質部6へ流通させる混合ガス流路5yと、を含んでいる。
改質部(SR:Steam Reforming)6は、フィード部5により供給された混合ガスを改質触媒(改質触媒部)6xによって水蒸気改質して改質ガスを生成し、この改質ガスをシフト反応部7へ供給する。改質部6は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈し、脱硫部2の筒内に位置するよう本体部3の上端側に設けられている。この改質部6にあっては、水蒸気改質反応が高温を必要としかつ吸熱反応であるため、改質部6の改質触媒6xを加熱するための熱源としてバーナ10を利用している。
バーナ10では、外部から原燃料がバーナ燃料として供給されて燃焼される。このバーナ10は、本体部3の上端部に設けられ軸Gを中心軸とする燃焼筒11に、バーナ10による火炎が取り囲まれるよう取り付けられている。なお、バーナ10においては、脱硫部2で脱硫した原燃料の一部が、バーナ燃料として供給されて燃焼される場合もある。
シフト反応部7は、改質部6から供給された改質ガスの一酸化炭素濃度(CO濃度)を低下させるためのものであり、改質ガス中の一酸化炭素をシフト反応させて水素及び二酸化炭素に転換する。ここでのシフト反応部7は、シフト反応を2段階に分けて行うことも可能であり、高温(例えば400°C〜600°C)でのシフト反応である高温シフト反応を行う高温シフト反応部(HTS:High Temperature Shift)12と、高温シフト反応の温度よりも低温(例えば150°C〜350°C)でのシフト反応である低温シフト反応を行う低温シフト反応部(LTS:Low Temperature Shift)13と、を有している。ただし、高温シフト反応部12は、必ずしも設けなくともよい。
高温シフト反応部12は、改質部6から供給された改質ガス中の一酸化炭素を高温シフト触媒12xによって高温シフト反応させ、改質ガスのCO濃度を低下させる。高温シフト反応部12は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈しており、高温シフト触媒12xが改質触媒6xの下端部を囲繞するよう改質部6の径方向外側に隣接配置されている。この高温シフト反応部12は、CO濃度を低下させた改質ガスを低温シフト反応部13へ供給する。
低温シフト反応部13は、高温シフト反応部12で高温シフト反応させた改質ガス中の一酸化炭素を低温シフト触媒13xによって低温シフト反応させ、改質ガスのCO濃度を低下させる。低温シフト反応部13は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈しており、本体部3の下端側に配設されている。この低温シフト反応部13は、CO濃度を低下させた改質ガスを改質ガス配管14xを介して選択酸化反応部8へ供給する。
選択酸化反応部(PROX:Preferential Oxidation)8は、低温シフト反応部13で低温シフト反応させた改質ガス中のCO濃度をさらに低下させる。これは、セルスタック20に高濃度の一酸化炭素を供給すると、セルスタック20の触媒が被毒して大きく性能低下するためである。この選択酸化反応部8は、具体的には、改質ガス中の一酸化炭素と空気配管15を介して導入される空気とを選択酸化触媒8xで反応させて、改質ガス中の水素を酸化させることなく、一酸化炭素を選択的に酸化し、二酸化炭素に転換する。選択酸化反応部8は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈しており、本体部3の下端から所定長上端側に該本体部3の最外周側を構成するよう配設されている。
この選択酸化反応部8は、CO濃度をさらに低下させた改質ガスを、熱交換部16が設けられた改質ガス配管14yを介して外部へ導出する。熱交換部16は、改質ガス配管14y内を流通する改質ガスと、外部から水配管17xを介して導入された水との間で熱交換を行うと共に、この水を蒸発部9に水配管17yを介して供給する。
蒸発部9は、熱交換部16から供給された水を内部に貯留させると共に、この水を低温シフト反応部13及び選択酸化反応部8から移動させた(低温シフト反応部13及び選択酸化反応部8を冷却して得た)熱、及びバーナ10の排ガスの熱で気化させて水蒸気を生成する。蒸発部9は、ジャケット型のものであり、中心軸を軸Gとする円筒状を呈している。この蒸発部9は、高温シフト反応部12及び低温シフト反応部13の径方向外側で且つ選択酸化反応部8の径方向内側(つまり、シフト反応部7と選択酸化反応部8との間)に位置するよう配設されている。この蒸発部9は、生成した水蒸気をフィード部5の混合部5xに水蒸気配管17zを介して供給する。
このような水素製造装置1では、まず、バーナ燃料及びセルスタック20からのオフガス(セルスタック20で反応に使用されない残ガス)の少なくとも一方と空気とがバーナ10に供給されて燃焼され、かかる燃焼によって改質触媒6xが加熱される。そして、バーナ10の排ガスが排ガス流路L1及びガス配管18を流通して外部へ排気される。
これと共に、脱硫部2で脱硫された原燃料と蒸発部9からの水蒸気とが混合部5xで混合され、混合ガスが生成される。この混合ガスは、混合ガス流路5yを介して改質部6に供給されて改質触媒6xで水蒸気改質され、これにより、改質ガスが生成される。そして、生成された改質ガスは、シフト反応部7によってその一酸化炭素濃度が例えば数千ppm程度まで低下され、選択酸化反応部8によってその一酸化炭素濃度が10ppm程度以下まで低下された後、熱交換部16で冷却され、後段のセルスタック20へ導出される。
なお、本実施形態においては、例えば各触媒6x,12x,13x,8xにて触媒反応を好適に行うため、次のように各部位の温度が設定されている。すなわち、改質部6に流入する混合ガスの温度が約300〜550℃とされ、改質部6から流出する改質ガスの温度が550℃〜800℃とされ、高温シフト反応部12に流入する改質ガスの温度が400℃〜600℃とされ、高温シフト反応部12から流出する改質ガスの温度が300℃〜500℃とされている。また、低温シフト反応部13に流入する改質ガスの温度が150℃〜350℃とされ、低温シフト反応部13から流出する改質ガスの温度が150℃〜250℃とされ、選択酸化反応部8に流入する改質ガスの温度が90℃〜210℃(120℃〜190℃)とされている。
次に、本実施形態における選択酸化反応部8及び蒸発部9の周辺構成について、より詳細に説明する。
図3は、図2に示す選択酸化反応部周辺の構成の拡大図である。図3に示すように、本実施形態に係る水素製造装置1の選択酸化反応部8周辺の構造は、蒸発部9に選択酸化反応部8を取り付けると共に、選択酸化触媒層A8と水蒸発流路31との間に断熱部32を配置することによって構成されている。選択酸化触媒層A8周辺の構造は、軸G側から外周側へ向かって、水蒸発流路31、断熱部32、選択酸化触媒層A8を、この順番で備えている。水蒸発流路31、断熱部32、選択酸化触媒層A8は、いずれも軸Gを中心軸とする円筒状をなしており、径方向に互いに隣接するようにそれぞれ配置されている。
水蒸発流路31は、蒸発部9内の流路を構成しており、水を流通させることによって、選択酸化触媒層A8から熱を回収して水蒸気を生成する流路である。水蒸発流路31(すなわち蒸発部9)は、選択酸化反応部8に隣り合うように並設されている。水蒸発流路31は、周壁41、及び周壁42によって構成されている。これらの水蒸発流路31を構成する壁部材は、ステンレスや炭素鋼などで構成されている。周壁41は、軸Gを中心軸とする円筒状(円管状)を呈している。また、周壁42は、周壁41を外周側で取り囲むように軸Gを中心軸とする円筒状(円管状)を呈している。周壁41と周壁42は、径方向において互いに向かい合うように配置されている。水蒸発流路31は、周壁41と周壁42との間の隙間によって構成されている。周壁42の下端付近には、水配管17xが接続されている(図2参照)。水蒸発流路31は、水配管17xから供給された水を下方から上方へ向けて流通させる。このとき、水蒸発流路31の水は、選択酸化触媒層A8の熱を回収すると共に、低温シフト反応部13やバーナ10からの排ガスの熱を回収することも可能である。なお、水は水蒸発流路31内で蒸発するため、水蒸発流路31は下側の水層と上側のスチーム層を有している。水蒸発流路31内の水の水面の位置は特に限定されないが、少なくとも選択酸化触媒層A8の上端位置よりも上方であることが好ましい。また、水蒸発流路31の上端や下端位置は特に限定されず、図2に示す位置より更に高い位置や低い位置に配置してよい。
選択酸化反応部8は、水蒸発流路31を構成する周壁42の軸Gに沿う円筒状に構成されると共に、周壁42の外周面42aに直接取り付けられている。また、選択酸化反応部8は、選択酸化触媒層A8の部分のみが外周面42aから外周側へ離間するように構成され、全体的な形状として、選択酸化触媒層A8の部分が外周側へ張り出したような構成となる。具体的に、選択酸化反応部8は、周壁42の外周面42aの一部、周壁43、上壁44、周壁46、下壁47、周壁48、上壁49、周壁50、下壁51、及び選択酸化触媒層A8によって構成されている。これらの選択酸化反応部8を構成する壁部材は、ステンレスや炭素鋼などで構成されている。周壁43は、周壁42を外周側で取り囲むように軸Gを中心軸とする円筒状(円管状)を呈している。周壁48は、周壁43と同じ径を有すると共に当該周壁42よりも下側に配置されており、周壁42を外周側で取り囲むように軸Gを中心軸とする円筒状(円管状)を呈している。周壁46は、周壁43及び周壁48よりも大きな径を有すると共に上下方向において当該周壁43と周壁48との間に配置されており、周壁42を外周側で取り囲むように軸Gを中心軸とする円筒状(円管状)を呈している。上壁44は、径方向に沿って延在する円板状を呈し、周壁43の下端と周壁46の上端を閉塞するように設けられている。下壁47は、径方向に沿って延在する円板状を呈し、周壁48の上端と周壁46の下端を閉塞するように設けられている。周壁50は、周壁42より大きく周壁46より小さな径を有すると共に上壁44と下壁47との間に配置され、周壁42を外周側で取り囲むように軸Gを中心軸とする円筒状(円管状)を呈している。周壁50は、周壁46との間で選択酸化触媒8xを充填して選択酸化触媒層A8を形成するための隙間を構成する。また、周壁50は、周壁42との間で断熱部32を形成するための空間60を構成する。上壁49は、上壁44から下方へ離間して径方向に沿って延在する円板状を呈し、周壁50の上端と周壁42と接続されて、空間60の上端壁を構成している。下壁51は、下壁47から上方へ離間して径方向に沿って延在する円板状を呈し、周壁50の下端と周壁42と接続されて、空間60の下端壁を構成している。
なお、上述の壁構造をどのように実現するかは、特に限定されない。例えば、水蒸発流路31と選択酸化反応部8との間の周壁42を一枚の板によって構成し、選択酸化触媒層A8に対応する位置のみに上壁49、周壁50、及び下壁51を取り付ける構成としてもよい。あるいは、周壁42を、蒸発部9の外周壁と選択酸化反応部8の内周壁とを重ね合わせた二枚の板によって構成し、選択酸化反応部8の内周壁の一部を外周側へ張り出させることで上壁49、周壁50、及び下壁51を形成する構成としてもよい。
選択酸化触媒層A8は、水蒸発流路31(すなわち蒸発部9)を外側から取り囲むように、周壁42の軸Gに沿う円筒状に構成されている。選択酸化触媒層A8の内周面A8aと接触する周壁50は、断熱部32介して水蒸発流路31の外側の周壁42から外周側へ離間している。選択酸化触媒層A8は、周壁50、周壁46、パンチング板52、及びパンチング板53で取り囲まれる空間に、選択酸化触媒8xを充填することによって構成されている。選択酸化触媒層A8に対しては、図3においてRG1に示すルートを通過するように改質ガスが供給される。すなわち、改質ガスは、周壁42と周壁48との間の流路、及び下壁51と下壁47との間の流路を通過して選択酸化触媒層A8に下方から流入し、選択酸化が行われる。このとき、選択酸化触媒層A8は、断熱部32を介して水蒸発流路31内の水によって熱を回収される。COを除去された改質ガスは、上壁44と上壁49との間の流路、及び周壁42と周壁43との間の流路を通過するように選択酸化触媒層A8から流出する。なお、改質ガスの流れる方向は限定されず、図3においてRG2で示すような上方から下方へ流れるルートとしてもよい。
断熱部32は、選択酸化触媒層A8と水蒸発流路31との間に配置されており、選択酸化反応部8を構成する壁部材よりも低い熱伝導率を有している。具体的には、断熱部32は、周壁42、周壁50、上壁49及び下壁51によって取り囲まれる空間60によって構成されている。空間60には空気が存在している。空間60に存在している空気は、選択酸化反応部8を構成する壁部材である周壁42、周壁43、上壁44、周壁46、下壁47、周壁48、上壁49、周壁50、下壁51よりも低い熱伝導率を有している。断熱部32は、上下方向において、選択酸化触媒層A8と同じ大きさに構成されているため、選択酸化触媒層A8は、上下方向の全領域において水蒸発流路31の周壁42から離間している。なお、断熱部32の上下方向の大きさは特に限定されず、図3に示すものより大きく構成してもよい。更に、断熱部32は、空間60にガラスウールやロックウールなどの断熱材を充填することによって構成されていてもよい。すなわち、断熱部32は、水蒸発流路31と選択酸化触媒層A8との間に選択酸化反応部8の壁部材より熱伝導性の低い物質が配置されて構成されていればよい。
次に、本実施形態に係る水素製造装置1及び燃料電池システム100の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る水素製造装置1では、水蒸発流路31は、選択酸化反応部8に隣り合うように並設されると共に、水を流通させて選択酸化触媒層A8から熱を回収して水蒸気を生成するように構成されている。これによって、選択酸化反応部8の選択酸化触媒層A8を冷却することが可能となり、別途冷却構造を設けることなく選択酸化触媒層A8の温度の上昇を抑制することができる。このような構造において、選択酸化触媒層A8と水蒸発流路31との間に断熱部32が配置されている。この断熱部32は、選択酸化反応部8を構成する壁部材よりも低い熱伝導率を有している。従って、断熱部32は、水蒸発流路31と選択酸化触媒層A8との間において、選択酸化触媒層A8の熱が水蒸発流路31に過剰に伝わってしまうことを防止することができる。これによって、水蒸発流路31と選択酸化反応部8とを並設させる構造とした場合であっても、選択酸化反応部8の選択酸化触媒層A8の温度が低くなりすぎてしまい、選択酸化触媒層A8の酸化劣化が生じ触媒の寿命が短くなることを防止することができる。更に、水蒸発流路31と選択酸化触媒層A8との間に断熱部32を配置するだけの簡便な構造で温度低下を抑制することができる。よって、例えば、外部に選択酸化反応部8に対する温度調節用の機器を設けることによって選択酸化触媒層A8の温度低下を抑制する場合や、選択酸化反応部8周辺の流路の構造を工夫することによって選択酸化触媒層A8の温度低下を抑制する場合に比して、本実施形態に係る水素製造装置1を大幅に簡便な構造とすることができる。以上によって、ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部8の温度を最適な温度に保つことができる。
また、本実施形態に係る水素製造装置1において、水蒸発流路31は、互いに向かい合う一対の円筒状の周壁41と周壁42との間の空間によって構成されている。また、選択酸化反応部8は、周壁42の軸に沿う円筒状に構成されると共に、周壁42に取り付けられている。更に、断熱部32は、選択酸化反応部8が取り付けられた周壁42と、選択酸化触媒層A8との間に形成された空間60によって構成されている。水蒸発流路31及び選択酸化反応部8は円筒状に構成されており、選択酸化反応部8は水蒸発流路31を構成する周壁42に取り付けられている。また、断熱部32は、水蒸発流路31を構成する周壁42と選択酸化触媒層A8との間に空間60を形成するだけで構成することができる。従って、少なくとも選択酸化触媒層A8の部分のみは周壁42と接触しないように外周側へ張り出すような構成とされた円筒状の選択酸化反応部8を準備し、このような選択酸化反応部8を水蒸発流路31の外周側に嵌め込むだけの簡単な作業で、容易に断熱部32を構成することができる。
また、本発明に係る燃料電池システム100は、上記水素製造装置1を備えているため、ヒータ等の外部加熱器を用いることなく、簡便な構造で選択酸化反応部8の温度を最適な温度に保つことができるという上記効果が奏される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る水素製造装置及び燃料電池システムは、実施形態に係る上記水素製造装置1及び上記燃料電池システム100に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上記実施形態で示された水素製造装置の構成は、一例であり、選択酸化反応部8、水蒸発流路33、断熱部31の位置関係を除く部分の構成は、特に限定されず、各流路や配管や構成要素の位置関係や構成を適宜変更してもよい。例えば、改質部6は、原燃料及び水蒸気を改質するものであればよく、構造が異なるものを採用してもよい。また、脱硫部2がなくともよい。
また、上記実施形態は、改質ガス中の一酸化炭素をシフト反応させるものとして高温シフト反応部12及び低温シフト反応部13を備えているが、図4に示すように、低温シフト反応部13のみ備えていてもよい。
ちなみに、上記の「筒状」とは、略円筒状だけでなく、略多角筒状を含むものである。また、略円筒状及び略多角筒状とは、円筒状及び多角筒状に概略等しいものや、円筒状及び多角筒状の部分を少なくとも含むもの等の広義の円筒状及び多角筒状を意味している。
1…水素製造装置、20…セルスタック(燃料電池スタック)、8,108…選択酸化反応部、A8…選択酸化触媒層、31…水蒸発流路(蒸発流路)、32,132…断熱部、41,42…周壁、60,160…空間、100…燃料電池システム、G…軸。

Claims (3)

  1. 水素を含有する改質ガス中の一酸化炭素を選択酸化触媒層で選択酸化する選択酸化反応部と、
    前記選択酸化反応部に隣り合うように並設されると共に、水を流通させて前記選択酸化触媒層から熱を回収して水蒸気を生成する蒸発流路と、
    前記選択酸化触媒層と前記蒸発流路との間に配置され、前記選択酸化反応部を構成する壁部材よりも低い熱伝導率を有する断熱部と、を備えることを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記蒸発流路は、互いに向かい合う一対の筒状の周壁の間の空間によって構成されており、
    前記選択酸化反応部は、前記周壁の軸に沿う筒状に構成されると共に、一対の前記周壁のうちの一方に取り付けられており、
    前記断熱部は、前記選択酸化反応部が取り付けられた前記周壁と、前記選択酸化触媒層との間に形成された空間によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の水素製造装置。
  3. 請求項1または2記載の水素製造装置と、
    前記水素製造装置によって生成した前記改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
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