JP2011207116A - セラミックス構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な作業によって、セラミックスの成形体または焼成体の表面上にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを帯状に付着させることができるセラミックス構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】弾性変形可能な材質で形成された容器7の凹部8にスラリー5を充填し、成形体6または焼成体の外表面9に、容器7の凹部8に充填されたスラリー5の露出した表面を接触させて、容器7を弾性変形によって容器7と外表面9とを結ぶ方向に収縮させながら外表面9と容器7とによりスラリー5を挟み込んでスラリー5を外表面9に圧着させ、次いで容器7を外表面9から離して、スラリー5を外表面9に付着させるセラミックス構造体の製造方法。
【選択図】図11
【解決手段】弾性変形可能な材質で形成された容器7の凹部8にスラリー5を充填し、成形体6または焼成体の外表面9に、容器7の凹部8に充填されたスラリー5の露出した表面を接触させて、容器7を弾性変形によって容器7と外表面9とを結ぶ方向に収縮させながら外表面9と容器7とによりスラリー5を挟み込んでスラリー5を外表面9に圧着させ、次いで容器7を外表面9から離して、スラリー5を外表面9に付着させるセラミックス構造体の製造方法。
【選択図】図11
Description
本発明は、セラミックスを主成分とする部材の表面上に、セラミックスを主成分とする帯状の部材が設けられたセラミックス構造体の製造方法に関する。
セラミックス構造体には、セラミックスを主成分とする部材の表面上に、セラミックスを主成分とする帯状の部材を設けたものがある(例えば、特許文献1)。従来、このようなセラミックス構造体は、セラミックス粉末を所望の形状に成形体した成形体または成形体を焼成して得た焼成体の外表面に、セラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを、ヘラを使用して所望の厚さで帯状に塗り込むことにより製造されている。
しかしながら、ヘラによってスラリーを所望の厚さに塗り込む場合、繰り返しヘラで均したりする煩雑な作業を要し、スラリーを所望の厚さに塗るためには作業者の技能習得を要する。
上記の問題に鑑みて、本発明の課題は、簡便な作業によって、セラミックス粉末を成形して得た成形体または前記成形体焼成して得た焼成体の表面上にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを帯状に付着させることができるセラミックス構造体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために完成するに至った、本発明は、以下に示すセラミックス構造体の製造方法である。
[1] 凹部を有して弾性変形可能な材質で形成された容器の前記凹部にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを充填し、セラミック粉末を所望の形状に成形して得た成形体または前記成形体を焼成して得た焼成体の外表面に、前記容器の前記凹部に充填された前記スラリーの露出した表面を接触させて、前記容器を弾性変形によって前記容器と前記外表面とを結ぶ方向に収縮させながら前記外表面と前記容器とにより前記スラリーを挟み込んで前記スラリーを前記外表面に圧着させ、次いで前記容器を前記外表面から離して、前記スラリーを前記外表面に付着させるセラミックス構造体の製造方法。
[2] 前記成形体または前記焼成体の前記外表面における前記スラリーを付着させる部分が曲面を有し、前記容器の前記凹部が、前記外表面における前記スラリーを付着させる部分の形状に対して略相補的な形状の表面を有する前記[1]に記載のセラミックス構造体の製造方法
[3] 前記容器が、前記容器の表面上を並行する2つの凸部に挟まれた溝状の前記凹部を有する前記[1]または[2]に記載のセラミックス構造体の製造方法。
[4] 前記容器の表面上を並行する2つの凸部に挟まれた溝状の前記凹部を有する前記容器の前記凹部に前記スラリーを充填し、柱形状を有する前記成形体または前記焼成体の外周面に、溝状の前記凹部が延びる方向を前記成形体または前記焼成体の軸方向に合わせた状態にて前記容器の前記凹部に充填された前記スラリーの前記露出した表面を接触させて、前記容器を弾性変形によって前記容器と前記外周面とを結ぶ方向に収縮させながら前記外周面と前記容器とにより前記スラリーを挟み込んで前記スラリーを前記外周面に圧着させ、次いで前記容器を前記外周面から離して、前記スラリーを前記外周面に付着させる前記[1]または[2]に記載のセラミックス構造体の製造方法。
[5] 前記成形体または前記焼成体が、円柱形状または楕円柱形状を有し、前記容器の前記凹部が、前記凹部の延びる方向に交わる断面において円形または楕円形に対して略相補的に凹んだ形状を有する前記[4]に記載のセラミックス構造体の製造方法。
本発明のセラミックス構造体の製造方法は、簡便な作業によって、セラミックス粉末を成形した成形体または成形体を焼成して得た焼成体の表面上にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを帯状に付着させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
1.本発明のセラミックス構造体の製造方法の概要:
本発明のセラミックス構造体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」)は、凹部を有して弾性変形可能な材質で形成された容器の前記凹部にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを充填し、セラミック粉末を所望の形状に成形して得た成形体または前記成形体を焼成して得た焼成体の外表面に、容器の凹部に充填されたスラリーの露出した表面を接触させて、容器を弾性変形によって容器と外表面とを結ぶ方向に収縮させながら外表面と容器とによりスラリーを挟み込んでスラリーを外表面に圧着させ、次いで容器を外表面から離して、スラリーを外表面に付着させることを特徴とする。
本発明のセラミックス構造体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」)は、凹部を有して弾性変形可能な材質で形成された容器の前記凹部にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを充填し、セラミック粉末を所望の形状に成形して得た成形体または前記成形体を焼成して得た焼成体の外表面に、容器の凹部に充填されたスラリーの露出した表面を接触させて、容器を弾性変形によって容器と外表面とを結ぶ方向に収縮させながら外表面と容器とによりスラリーを挟み込んでスラリーを外表面に圧着させ、次いで容器を外表面から離して、スラリーを外表面に付着させることを特徴とする。
なお、本明細書において、成形体とは、特に言及されない場合、セラミック粉末を所望の形状に成形して得た成形体のことを指し、焼成体とは、特に言及されない場合、セラミック粉末を所望の形状に成形して得た成形体を焼成した得た焼成体のことを指す。スラリーとは、特に言及されない場合、セラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーのことを指す。
本発明の製造方法は、簡便な作業によって、成形体または焼成体の外表面にスラリーを帯状にて付着させることができる。本発明の製造方法では、容器の凹部の形状を適宜定めることにより、スラリーを付着させる成形体等の外表面の形状に最も適した状態にて、スラリーを付着させたりできる。容器の凹部の表面に所定の凹凸形状を設けることにより、帯状に付着させたスラリーの表面に、他の部材との組合せに用いる凹凸形状や刻印などを施すことも可能になる。この場合には、成形体または焼成体の外表面にスラリーを帯状にて付着させる工程と、帯状に付着させたスラリーの表面を加工する工程とを同時かつ簡便に行うことができる。
本発明の製造方法は、凹部の深さを定めることにより、成形体または焼成体の外表面に付着させたスラリーの厚さを自在に調整することができる。したがって、凹部の形状および深さを定めることにより、成形体または焼成体の外表面にスラリーを均一の厚さで付着させることも可能になる。
また、本発明の製造方法は、容器を弾性変形によって容器と外表面とを結ぶ方向に収縮させながら、成形体または焼成体の外表面と容器とによりスラリーを挟み込んでスラリーを外表面に圧着させる。このように、容器が弾性変形するため、スラリーは適度な圧力で成形体または焼成体の外表面に圧着する。さらに、容器が弾性変形するため、スラリーを外表面に付着させる操作によって、過剰な圧力が成形体や焼成体の外表面に加わりにくくなり、成形体または焼成体の機械的強度が低い場合でも成形体や焼成体に変形および破損が生じにくい。したがって、本発明の製造方法は、外周側から中心軸に向かう圧力に対して変形しやすい、ハニカム構造を有する成形体の外周面に、スラリーを付着させる場合に好適である。
本発明の製造方法は、成形体または焼成体の外表面におけるスラリーを付着させる部分が曲面を有する場合には、容器の凹部が、外表面におけるスラリーを付着させる部分の形状に対して略相補的な形状の表面を有することが好ましい。この実施形態では、ヘラなどを用いてスラリーを塗り込む場合に比べ、より簡便にスラリーを所望の厚さにて外表面に付着させることができる。特に、この実施形態は、成形体または焼成体の外表面におけるスラリーを付着させる部分が凹凸を有する曲面から構成されており、この外表面の部分に略均一な厚さでスラリーを付着させる場合に有効である。容器の凹部が外表面のスラリーを付着させる部分に略相補的な形状であるため、容器の凹部と外表面とによりスラリーを挟み込んでスラリーを外表面に圧着させている時に、スラリーを挟み込んでいる各所で外表面と凹部の表面との距離を略同一にすることができる。対して、従来法によって外表面の凹凸を有する曲面にヘラを用いてスラリーを塗り込む場合には、スラリーが凹んだ部分を隠していくかたちになるため、外表面の突き出した部分と凹んだ部分を意識しながらスラリーを徐々に塗り込んでいくという、煩雑な作業が要求される。
本発明の製造方法は、スラリーを充填する容器が、容器の表面上を並行する2つの凸部に挟まれた溝状の凹部を有し、この凹部にスラリーを充填してスラリーを成形体または焼成体の外表面に付着させることが好ましい。この実施形態では、成形体または焼成体の外表面と容器とによりスラリーを挟み込んでスラリーを外表面に圧着させる際、2つの凸部の頂部が外表面に接触させながら、容器が容器と外表面とを結ぶ方向に収縮させることができる。このように凸部の頂部を外表面に固定した状態で容器を収縮させることができるため、容器の収縮による変化量を一定に定めることが可能になり、スラリーを外表面に圧着させる際にスラリーに作用する圧力の大きさを一定にできるため、スラリーの付着の作業を再現性よく繰り返すことが可能になる。また、容器の凸部の頂部を外表面に接触させながらスラリーを圧着させる場合、凸部の頂部と凹部の最深部との幅が所望の長さになるように容器を収縮させることにより、容易に、スラリーを均一な厚さで付着させることもできる。
また、スラリーが凹部に過剰に充填された場合には、過剰分のスラリーは、容器の凹部に意図しない変形を生じさせることなく、溝状の凹部の延びる方向に外表面に沿ってひろがることができる。そのため、溝状の凹部の延びる方向に沿った各位置において、スラリーに対し容器から外表面への方向に加わる圧力が均一になりやすくなり、溝状の凹部の延びる方向に沿った各位置にけるスラリーの厚さをより均一に付着させやすくなる。
この実施形態では、スラリーの圧着後、成形体または焼成体の外表面から容器を離す際に、凹部の最深部と外表面との距離をそのままに保ちながら凸部の頂部を外表面から離し、続いて凸部のある部分をそのまま溝状の凹部の中心線の方向に徐々に反らした場合には、凸部の頂部とスラリーとの境界部分から溝状の凹部の中心線に向かって、空気がスラリーと容器の間に入り込んでいく。これにより、成形体または焼成体の外表面から容器を離す際に、スラリーが容器の凹部に付着したまま残存することが防止できる。
本発明の製造方法は、上記の溝状の凹部を用いる場合には、柱形状を有する成形体または焼成体の外周面に、溝状の凹部が延びる方向を成形体または焼成体の軸方向に合わせた状態にて容器の凹部に充填されたスラリーの露出した表面を接触させて、容器を弾性変形によって容器と外周面とを結ぶ方向に収縮させながら外周面と容器とによりスラリーを挟み込んでスラリーを外周面に圧着させ、次いで容器を外周面から離して、スラリーを外周面に付着させることが好ましい。なお、柱形状の外周面とは、柱形状の中心軸に対して半径方向外側にある表面のことをいう。なお、柱形状の軸とは、柱形状が延びていく方向、すなわち軸方向に垂直な断面における重心の部分をいい、柱形状が延びていく方向に垂直な各断面の軸を集合させたものが中心軸とする。
この実施形態では、上述のスラリーを均一な厚さで付着させる効果や、スラリーが容器の凹部に付着したまま残存することを防止する効果がより確実に発揮されるようになる。
また、この実施形態において、スラリーを均一な厚さで一層確実に付着させることができる観点から、成形体または焼成体の外周面の形状と容器の2つの頂部に挟まれた凹部表面の形状が略相補的であることがより好ましい。この実施形態では、スラリーを挟み込んでスラリーを外周面に圧着させた際、スラリーが溝状の凹部が延びる方向に沿った各位置で略同じ大きさの圧力を受ける。
この実施形態において、円柱形状または楕円柱形状を有する成形体または焼成体の外周面にスラリーを均一な厚さで付着させる場合には、容器の凹部が、凹部の延びる方向に交わる断面において円形または楕円形に対して略相補的に凹んだ形状を有することがより好ましい。例えば、円柱形状を有する成形体または焼成体の外周面にスラリーを均一な厚さで付着させる場合には、容器の2つの頂部に挟まれた凹部が、円弧や楕円の周の一部と相似な形状で凹んでいる、一具体例としてはハーフパイプ状にて凹んでいることが好ましい。
ここまでに述べた、本発明の製造方法の実施形態の一例として、以下、ハニカム構造体の製造方法を述べつつ、本発明の製造方法の内容をより詳しく説明する。
2.ハニカム構造体の製造方法:
図1は、本発明の製造方法の一実施形態によって製造されたハニカム構造体100の斜視図である。図2は、図1に示すA−A’断面図、すなわち、セルに延びる方向(軸方向)に対して垂直な断面の図である。
図1は、本発明の製造方法の一実施形態によって製造されたハニカム構造体100の斜視図である。図2は、図1に示すA−A’断面図、すなわち、セルに延びる方向(軸方向)に対して垂直な断面の図である。
図1に示すハニカム構造体100は、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する(隔壁1全体の外周を取り囲むように配設された)外周壁3とを有する筒状のハニカム構造部4と、ハニカム構造部4の側面(外周壁3)に配設された一対の電極部21,21とを備えるものである。一対の電極部21,21のそれぞれは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びると共に両端部間(両端面11,12間)に亘る帯状に形成されている。
そして、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗が1〜20Ωcmであり、電極部21の400℃における体積電気抵抗が、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗の20%以下である場合には、一対の電極部21,21間に電圧を印加することにより、ハニカム構造体100が発熱する。なお、ハニカム構造部4の400℃における体積電気抵抗は、二端子法により測定した値である。
内燃機関からの排ガスに含まれるCO、HC、NOxを酸化または還元してCO2、H2O、N2を生成する反応における触媒をハニカム構造体100に担持させた場合には、電極部21,21間に電圧を印加してハニカム構造体110を発熱させることにより、触媒が触媒活性に最適な温度まで速やかに温まる。すなわち、このハニカム構造体100では、電極部21の働きによる発熱によって、触媒の活性を速やかに高めることが可能になる。
以下、隔壁1及び外周壁3が、骨材としての炭化珪素粒子(炭化珪素)および炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を主成分として含有し、電極部21が炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする場合を例に、ハニカム構造体100製造方法について述べる。なお、「炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」とは、炭化珪素粒子と珪素との合計質量が、電極部全体の質量の90質量%以上であることを意味する。
ハニカム構造部4は、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素(金属珪素粉末)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加した成形原料から作製する。成形原料を混練して坏土を形成する。次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を形成する。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。図1に示すハニカム構造部4を作製する場合には、ハニカム成形体の外周壁3は円筒形状となるように形成する。
電極部21は、ペースト状の電極部形成原料を用いて形成する。電極部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して、ペースト状に作製する。
続いて、ペースト状の電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の外周壁に帯状に付着させる。
図3,4は、従来の方法によって、ハニカム成形体6の外周壁3に電極部形成原料23を帯状に付着させる様子を表す説明図である。これらの図に示すように、従来の方法では、ヘラ35を用い、ハニカム成形体6の外周壁3の小さな領域に電極部形成原料23を少量ずつ塗り込んで、電極部形成原料23を塗り込んだ領域を徐々に拡げていくことにより、ハニカム成形体6の外周壁3に電極部形成原料23を帯状に付着させていた(図3中の電極部形成原料23から図4中の電極部形成原料23への推移の様子を参照)。
本発明のセラミックス構造体の製造方法の一実施形態によれば、以下に示すような簡便な作業によって、ハニカム成形体6の外周壁3に電極部形成原料23を帯状に付着させることができる。
図5は、ハニカム成形体6の外周壁3に電極部形成原料23を付着させる際に用いる、容器7の斜視図である。この容器7は、容器7の幅方向Yの両端で長さ方向Xに沿って形成された縁部15,15bと、縁部15a,15bに挟まれた溝部18とを有し、弾性変形できるようにゴムを材質としている。溝部18は、幅方向Yに沿った断面からみたとき、溝部18の中心線17に対して対称な円弧形状の表面を有するように凹んでいる。なお、溝部18の中心線17は、縁部15a、15bのちょうど中間にあたる溝部18の表面部分である。
図6は、容器7の溝部18に電極部形成原料23を充填する様子を表す模式図である。電極部形成原料23は、所望の組成にて作製された後、容器7の溝部18に注入し、充填する。
図7は、容器7の溝部18に充填した電極部形成原料23の表面25をヘラ35で均す様子を表す模式図である。電極部形成原料23を外周壁3に接触させるのに先立ち、電極部形成原料23の露出した表面25が、縁部15aと縁部15bとを結ぶ線と略一致するように平らになっていると好ましい(図10を参照、詳細については後述)。これにより、容器7とハニカム成形体6とを一方向に沿って近接させていくだけで、電極部形成原料23と外周壁3とを1点から徐々にひろがるように接触させていくことができ、電極部形成原料23と外周壁3との間に気泡が入りにくくなる。また、付着作業を繰り返す場合には、溝部18に充填される電極部形成原料23の量が各作業で同一に定まる。なお、電極部形成原料23を外周壁3に付着させていく工程については、後で詳しく述べる。
図8は、図7に続き、容器7の溝部18に充填された電極部形成原料23の表面25に、噴霧器33によって中間塗布物31を噴霧する様子を表す模式図である。中間塗布物31は、電極部形成原料23の性状に応じて使用を選択できる。中間塗布物31には、接着剤のように電極部形成原料23の外周壁3への付着を強化する物質、あるいは、電極部形成原料23を固化させるなどの作用を有することによって電極部形成原料23の流動性を調節する物質などを挙げることができる。
中間塗布物31の一具体例には、セラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを用いることができる。特に、中間塗布物31に含有されるセラミックス粉末の平均粒子径は、ハニカム成形体6またはその焼成体の成形原料に含まれるセラミックス粉末(ここでは炭化珪素粉末)の平均粒子径と、これら成形体または焼成体の外表面(ここでは外周壁3)に付着させるスラリー(ここでは電極部形成原料23)に含まれるセラミックス粉末(ここでは炭化珪素粉末)の平均粒子径の中間にあることが好ましい。ハニカム成形体またはその焼成体の成形原料に含まれるセラミックス粉末と、外表面(ここでは外周壁3)に付着させるスラリーに含まれるセラミックス粉末(ここでは電極部形成原料23)との間で平均粒子径が異なる場合に、中間の平均粒子径を有するセラミックス粉末を含有する中間塗布物31が挟まれることで、ハニカム成形体6またはその焼成体の外表面(ここでは外周壁3)とスラリー(ここでは電極部形成原料23)との界面繋ぎが改善され、スラリー(ここでは電極部形成原料23)が、ハニカム成形体6またはその焼成体の外表面(ここでは外周壁3)から剥離しにくくなる。
ここでいうセラミックス粉末の平均粒子径とは、レーザ回折・散乱法を原理とする測定方法に得られた粒度分布でのメジアン径(50%径)のことをいう。
中間塗布物31に含有されるセラミックス粉末の平均粒子径が中間にあるとは、成形原料に含まれるセラミックス粉末の平均粒子径と外表面に付着させるスラリーに含まれるセラミックス粉末の平均粒子径が異なる場合には、両者の平均粒子径の小さい方の値より大きくかつ大きい方の値のより小さい値であることを意味し、成形原料に含まれるセラミックス粉末の平均粒子径の平均粒子径と外表面に付着させるスラリーに含まれるセラミックス粉末の平均粒子径が同じ場合には、両者と同じ値であることを意味する。
特に、中間塗布物31に含有されるセラミックス粉末の平均粒子径は、界面繋ぎを確実に向上させる観点において、成形原料に含まれるセラミックス粉末の平均粒子径と外表面に付着させるスラリーに含まれるセラミックス粉末の平均粒子径との中間にあり、かつ、成形原料に含まれるセラミックス粉末の平均粒子径と外表面に付着させるスラリーに含まれるセラミックス粉末の平均粒子径のうちの小さい方の値に対して両者の差の値の0.2〜0.8倍を足した値であることが好ましい。
図9は、ハニカム成形体6の外周壁3に、容器7を用いて電極部形成原料23を付着させる様子を説明するための図である。まず、容器7の溝部18に、電極部形成原料23を充填する。そして、ハニカム成形体6の軸方向と溝部18の延びる方向(容器7の長さ方向X)を合わせて、溝部18に充填した電極部形成原料23をハニカム成形体6の外周壁3に接触させていく。
図10は、容器7の長さ方向Xに垂直な断面から、ハニカム成形体6の外周壁3に溝部18に充填した電極部形成原料23を接触させていく様子を表す模式図である。なお、図10では、ハニカム成形体6の内部構造の描写は省いている(後述の図11,12でも同じ)。
溝部18の中心線17とハニカム成形体6の軸27とを結ぶ線が容器7の幅方向Yと直交するように、容器7の溝部18に充填された電極部形成原料23を外周壁3に接触させると、電極部形成原料23の表面15と外周壁3とをきれいに接触させることができる。
図11は、図10の状態から電極部形成原料23の表面25と外周壁3とを接触させ、さらに容器7を中心線17と軸27とを結ぶ方向に収縮させながら、電極部形成原料23を外周壁3に圧着させている様子を表す。容器7がゴムを材質とするため、容器7の高さは、ΔHだけ収縮する。また、縁部15a,15bは、外周壁3と接触する。さらに容器7が中心線17と軸27とを結ぶ方向に収縮することによって、縁部15a,15bは変形して外周壁3と密着する。そのため、溝部18に充填された電極部形成原料23は、幅方向Y外側には溝部18から漏れ出さず、外周壁3の所定の場所に所定量にて付着するようになる。また、縁部15a,15bを弾性変形させて外周壁3に密着させると、外周壁3に付着した電極部形成原料23は、幅方向Y(外周壁3の周方向)での両縁29a,29bに角が形成されないようにできる(縁29a,29bについては図12を参照)。このように縁29a,29bに角が形成されない場合には、クラックや外周壁3からの剥がれを生じさせる応力が、外周壁3に付着した電極部形成原料23、特に縁29a,29bの周辺部分において発生しにくくなる。
容器7を外周壁3から離す際には、中心線17と外周壁3との距離をそのまま保ち、縁部15aから中心線17に向かって容器7を反らせていけば(図11中の白抜き矢印で示す方向に反らす)、容器7と電極部形成原料23との間に空気が入り込み、電極部形成原料23が溝部18表面に残存しにくくなる。
図12は、図11の状態から容器7を外周壁3から離した後の様子を表す。この図に示すように、ハニカム成形体6の外周壁3において、容器の長さ方向X(ハニカム成形体6の軸方向)では、電極部形成原料23を均一な厚さで付着させることができ、容器7の幅方向Y(外周壁3に周方向)では、図12に示す三日月形状のように所望の厚さで付着させることができる。
また、円柱形状のハニカム成形体6の外周壁3に対し、溝部18が、容器の長さ方向Xに垂直な断面において、円弧形状に凹んだ形状を有しているため、縁部15a,15bを弾性変形させて外周壁3に密着させると、外周壁3に付着した電極部形成原料23は、幅方向Y(外周壁3の周方向)での両縁29a,29bに角が形成されず、その表面が外周壁3から滑らかにつながる曲面を形成する。このように縁29a,29bに角が形成されないことにより、クラックや外周壁3からの剥がれを生じさせる応力が、外周壁3に付着した電極部形成原料23、特に縁29a,29bの周辺部分において発生しにくくなる。
続いて、電極形成原料23を付着させたハニカム成形体6を乾燥、焼成することにより、図1に示すハニカム構造体100を得ることができる。
本発明は、セラミックスを主成分とする部材の表面上に、セラミックスを主成分とする帯状の部材が設けられたセラミックス構造体の製造方法に関する。
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:スラリー、6:成形体(ハニカム成形体)、7:容器、8:凹部、9:外表面、11:一方の端面、12:他方の端面、15a,15b:縁部、17:中心線、18:溝部、21:電極部、23:電極部形成原料、25:表面、27:軸、29a,29b:縁、31:中間塗布物、33:噴霧器、35:ヘラ、100:ハニカム構造体、O:中心部。
Claims (5)
- 凹部を有して弾性変形可能な材質で形成された容器の前記凹部にセラミックス粉末と溶媒とを含有するスラリーを充填し、
セラミック粉末を所望の形状に成形して得た成形体または前記成形体を焼成して得た焼成体の外表面に、前記容器の前記凹部に充填された前記スラリーの露出した表面を接触させて、
前記容器を弾性変形によって前記容器と前記外表面とを結ぶ方向に収縮させながら前記外表面と前記容器とにより前記スラリーを挟み込んで前記スラリーを前記外表面に圧着させ、次いで前記容器を前記外表面から離して、前記スラリーを前記外表面に付着させるセラミックス構造体の製造方法。 - 前記成形体または前記焼成体の前記外表面における前記スラリーを付着させる部分が曲面を有し、
前記容器の前記凹部が、前記外表面における前記スラリーを付着させる部分の形状に対して略相補的な形状の表面を有する請求項1に記載のセラミックス構造体の製造方法 - 前記容器が、前記容器の表面上を並行する2つの凸部に挟まれた溝状の前記凹部を有する請求項1または2に記載のセラミックス構造体の製造方法。
- 前記容器の表面上を並行する2つの凸部に挟まれた溝状の前記凹部を有する前記容器の前記凹部に前記スラリーを充填し、
柱形状を有する前記成形体または前記焼成体の外周面に、溝状の前記凹部が延びる方向を前記成形体または前記焼成体の軸方向に合わせた状態にて前記容器の前記凹部に充填された前記スラリーの前記露出した表面を接触させて、
前記容器を弾性変形によって前記容器と前記外周面とを結ぶ方向に収縮させながら前記外周面と前記容器とにより前記スラリーを挟み込んで前記スラリーを前記外周面に圧着させ、次いで前記容器を前記外周面から離して、前記スラリーを前記外周面に付着させる請求項1または2に記載のセラミックス構造体の製造方法。 - 前記成形体または前記焼成体が、円柱形状または楕円柱形状を有し、
前記容器の前記凹部が、前記凹部の延びる方向に交わる断面において円形または楕円形に対して略相補的に凹んだ形状を有する請求項4に記載のセラミックス構造体の製造方法。
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