JP2011206009A - 標的塩基配列の識別方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】あらゆる種類の塩基配列の識別に用いることができ、かつ、塩基配列の識別能に優れた方法の提供。
【解決手段】
(a)反応液中で、1本鎖からなる試料核酸と、第1プローブと、第2プローブとをハイブリダイズさせることにより、複合体を形成する工程と、(b)前記工程(a)の後、前記複合体に光を照射する工程と、(c)前記工程(b)の後、前記複合体中の試料核酸を、1本鎖化する工程と、(d)前記工程(c)の後、前記反応液中に存在する、前記第1プローブと前記第2プローブとの連結体を検出する工程と、(e)前記工程(d)により得られた結果に基づき、前記試料核酸が標的塩基配列を有する核酸であるかを識別する工程と、を有し、新規な光応答性核酸類縁体を第1プローブ及び第2プローブとして用いることを特徴とする、標的塩基配列の識別方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光応答性化合物で標識されたプローブを用いて標的塩基配列を識別する方法に関する。
DNAやRNA等の核酸の連結と切断は、遺伝子操作や塩基の変異検出のために常套的に用いられる基礎的な技術であり、医療や学問等の多くの分野において利用されている。例えば遺伝子検査には、各遺伝子型の塩基配列と同一又は相補的な塩基配列を有するプローブを用いて、ハイブリダイゼーションの有無を検出する方法がある。
このような核酸の連結反応や切断反応は、主に酵素反応によってなされている。しかしながら、酵素には反応条件が存在するなどの制約が多く、また、酵素の種類に応じても反応条件が異なるため、広範囲な系への適用は難しい側面を有する。
酵素による連結反応に替えて、種々の有機化合物により修飾された人工核酸を用いて核酸を連結する方法も多く報告されている。その一つとして、光応答性の分子を組み込んだプローブ(光応答性プローブ)を、光照射により他のプローブと結合させる光反応を利用した核酸光連結法がある。核酸光連結法は、反応の時間的空間的な制御の自由度が高く、一般的な有機化学反応よりも緩和な条件で反応可能であることなど、酵素法や既存の化学的な手法と比較して優位な点を多く有している。
核酸光連結法を利用して標的塩基配列の識別を行う方法としては、例えば、標的塩基配列からなる標的核酸を鋳型として、それに相補鎖としてハイブリダイズ可能な光応答性プローブと、同じ鋳型鎖上にハイブリダイズしている他のプローブとを、光照射により共有結合を形成させて連結させ、得られた連結体を検出することにより、標的塩基配列の識別を行う方法がある。
このような方法の1つとして、ビニル基等の光応答性官能基を導入した人工塩基を持つ核酸類縁体をプローブとして用いる方法がある。光応答性官能基により核酸塩基部分を修飾することにより、ウラシル(チミン)、シトシン、アデニン、グアニン誘導体の四種類の修飾塩基を作製することができる。例えば、特許文献1、2及び非特許文献1には、ピリミジン環の5位に、ビニル基等の光応答性官能基を導入した人工塩基を持つ核酸類縁体を光応答性プローブとして用いる方法が開示されている。プリン環の7位に光応答性官能基を導入した人工塩基を持つ核酸類縁体も、同様にプローブとして用いることができる。紫外線を照射することにより、当該核酸類縁体中の光応答性官能基と、他方のプローブ中のシトシン、チミン、若しくはウラシル中の炭素−炭素二重結合との間で共有結合を形成させることによりプローブ同士を連結させる。
当該方法は、このような反応の原理に基づき、基本的に、当該方法により連結可能な塩基配列は限定的なものである。すなわち、これらの光応答性プローブは、チミン、ウラシルあるいはシトシンといったピリミジン塩基とは連結可能だが、アデニンやグアニンといったプリン塩基とは連結不可能であるという塩基配列の制限が存在する。さらに、核酸塩基に光応答性化合物を導入した核酸類縁体は、標的核酸とハイブリダイズさせた際に、核酸の二本鎖構造が歪んでしまうため、遺伝子検査のような精密な塩基配列の識別は困難なものとなる。
また、塩基種により修飾位置が異なるため、合成方法もそれぞれ大きく違う。特にアデニンとグアニンは、光連結反応を適切に進行させるためにプリン環の7位への光応答性置換基の導入が必須であり、そのために通常は窒素原子である7位を炭素原子に置き換えたデアザ体を用いなければならないが、その合成には多くの手間とコストを必要とする。さらに、塩基中の修飾位置の違いは、光反応性にも影響を及ぼすという問題もある。
核酸光連結法を利用して標的塩基配列の識別を行う方法としては、その他、標的核酸とハイブリダイズする2種類のプローブにそれぞれ、クマリン等の光応答性化合物を導入したプローブを用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3、4、及び非特許文献2等参照。)。これらの方法では、光応答性化合物のイソチオシアネート誘導体等とアミン誘導体化ポリヌクレオチド等を結合させることにより、光応答性プローブを合成している。しかしながら、これらの光応答性化合物を導入した2本のプローブが、標的核酸にハイブリダイズすると、リン酸基2つが隣り合う構造となり、天然の核酸構造と大きく異なる。これにより、核酸2本鎖の構造が歪むため、特許文献1等に記載の方法と同様に、塩基配列の識別能は十分なものとはいえない。
米国特許第6,593,088号明細書 特許第3753942号公報 米国特許第5,449,602号明細書 米国特許第5,686,243号明細書
フジモト(Fujimoto)、外3名、米国化学会誌 (Journal of the American Chemical Society)、2000年、第122巻、第5646〜5647ページ。 イハラ(Ihara)、外4名、米国化学会誌 (Journal of the American Chemical Society)、2004年、第126巻、第8880〜8881ページ。
本発明はこのような状況下、あらゆる種類の塩基配列の識別に用いることができ、かつ、塩基配列の識別能に優れた方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の種類の光応答性官能基であれば、塩基配列の種類にかかわらず核酸に導入して光応答性プローブを合成することができ、かつ、当該光応答性プローブが標的核酸にハイブリダイゼーションして形成される2本鎖核酸が、天然の2本鎖核酸と同様にゆがみを少なくし得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1) 標的塩基配列を識別する方法であって、
(a)反応液中で、1本鎖からなる試料核酸と、第1プローブと、第2プローブとをハイブリダイズさせることにより、複合体を形成する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記複合体に光を照射する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記複合体中の試料核酸を、1本鎖化する工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記反応液中に存在する、前記第1プローブと前記第2プローブとの連結体を検出する工程と、
(e)前記工程(d)により得られた結果に基づき、前記試料核酸が標的塩基配列を有する核酸であるかを識別する工程と、
を有し、
前記第1プローブ及び前記第2プローブは、標的塩基配列からなる1本鎖の標的核酸に対して、第1プローブの3’末端と第2プローブの5’末端とが近接した状態でハイブリダイズし得るものであり、
前記第1プローブは、ヌクレオシド部分として下記一般式(I)で表される構造を有する核酸類縁体であり、
前記第2プローブは、ヌクレオシド部分として下記一般式(II)で表される構造を有する核酸類縁体であることを特徴とする、標的塩基配列の識別方法、
Figure 2011206009
[式(I)及び(II)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。但し、前記R及びRのうちの少なくとも一方が、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(n)からなる群より選択される1の官能基である。]
Figure 2011206009
Figure 2011206009
[式(III)−(a)〜(u)中、Rは、H、COOH、COOCH、CONH、又はCNで表される基であり、nは0〜6の整数である。]
(2) 前記R又はRが有する置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、カルボキサミド基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項1記載の標的塩基配列の識別方法、
(3) 前記R及びRが、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい式(III)−(m)又は式(III)−(r)であることを特徴とする請求項1又は2記載の標的塩基配列の識別方法、
(4) 前記工程(b)において照射される光が紫外光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法、
(5) 前記第2プローブの3’末端が、ポリメラーゼによる伸長反応の阻害物質により修飾されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法、
(6) 前記第1プローブ及び前記第2プローブの少なくとも一方が、核酸類縁体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法、
(7) 前記第1プローブ及び前記第2プローブが、互いに異なる種類の標識物質によりそれぞれ標識されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法、
(8) 前記第1プローブを標識する標識物質と前記第2プローブを標識する標識物質との間で、エネルギー移動が可能であることを特徴とする請求項7記載の標的塩基配列の識別方法、
(9) 前記第1プローブ及び前記第2プローブのいずれか一方が、固相担体と結合可能な標識物質により標識されていることを特徴とする請求項7記載の標的塩基配列の識別方法、
(10) 前記試料核酸が、核酸増幅反応により増幅された核酸であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法、
(11)ヌクレオシド部分として前記一般式(I)又は(II)で表される構造を有することを特徴とする核酸類縁体、
(12) 前記Rが有する置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、カルボキサミド基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項11記載の核酸類縁体、
(13) 標的塩基配列を識別する方法に用いられるキットであって、
ヌクレオシド部分として前記一般式(I)で表される構造を有する核酸類縁体である第1プローブと、
ヌクレオシド部分として前記一般式(II)で表される構造を有する核酸類縁体である第2プローブとを有し、
前記第1プローブ及び前記第2プローブは、標的塩基配列からなる1本鎖の標的核酸に対して、第1プローブの3’末端と第2プローブの5’末端とが近接した状態でハイブリダイズし得るものであることを特徴とする、標的塩基配列識別用キット、
(14) 前記標的塩基配列が、遺伝子変異の特定の遺伝子型の変異部位を含む領域と相同的な塩基配列であることを特徴とする請求項13記載の標的塩基配列識別用キット、
を提供するものである。
本発明の標的塩基配列の識別方法により、塩基配列の種類にかかわらず、試料核酸中の標的塩基配列を精度よく識別することができる。
また、本発明の核酸類縁体は、新規な骨格を有する光応答性核酸類(光連結性核酸類)である。本発明の核酸類縁体は、どの種類の塩基に対しても統一した手法で光応答性官能基が修飾されているため、全ての塩基種において光反応の効果が同等であり、さらに、置換基導入の自由度も高い。このため、本発明の核酸類縁体は、核酸光連結法を利用した標的塩基配列の識別方法に好適に用いることができる。
実施例1において、L16G12V−Pyrプローブ及びR16G12V−Cinプローブを用いた識別方法における光連結反応を模式的に示した図である。 実施例1において、40〜90℃の範囲におけるAlexa 488の蛍光をF1、Alexa 594の蛍光をF2としてF2/F1比をとり、規格化された蛍光強度値の変化を示した図である。 実施例1において、反応後のF2/F1から反応前のF2/F1の差[Δ(F2/F1)]を示した図である。 実施例2において、光連結反応後のF2/F1から光連結反応前のF2/F1の差[Δ(F2/F1)]を示した図である。
本発明及び本願明細書において、「標的塩基配列を識別する」とは、識別の対象となる試料核酸が、標的塩基配列を有する核酸であるか否かを識別することを意味する。なお、標的塩基配列は、塩基変異部位を含有し、かつ、ハイブリダイゼーション法により検出が可能な程度に塩基配列が明らかになっているものであれば、特に限定されるものではない。
本発明において、核酸とは、DNA又はRNAであれば特に限定されるものではなく、天然のものであってもよく、合成されたものであってもよい。天然の核酸として、例えば、生物から回収されたゲノムDNA、mRNA、tRNA、rRNA、hnRNA等がある。また、合成された核酸として、β−シアノエチルホスフォロアミダイト法DNA固相合成法等の公知の化学的合成法により合成されたDNAや、PCR等の公知の核酸増幅法により合成された核酸、逆転写反応により合成されたcDNA等がある。
本発明及び本願明細書において、核酸類縁体とは、非天然の核酸であり、天然の核酸であるDNAやRNAと同様の機能を有するものをいう。すなわち、核酸類縁体は、DNA等と同様にリン酸ジエステル結合により鎖を形成することができ、かつ、核酸類縁体を用いて形成されたプライマーやプローブは、天然の核酸のみを用いて形成されたプライマーやプローブと同様に、PCRやハイブリダイゼーションに用いることができる。このような核酸類縁体として、例えば、天然の核酸に官能基を導入して修飾したものが挙げられる。すなわち、DNA鎖に後述する光応答性官能基を導入したプローブは、核酸類縁体である。核酸類縁体としては、その他、PNA(ポリアミドヌクレオチド誘導体)、LNA(BNA)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylene−bridged nucleic acids)、及びこれらの複合体等がある。ここで、PNAは、DNAやRNAのリン酸と5炭糖からなる主鎖をポリアミド鎖に置換したものである。また、LNA(BNA)は、リボヌクレオシドの2’部位の酸素原子と4’部位の炭素原子がメチレンを介して結合している2つの環状構造を持つ化合物である。
本発明及び本願明細書において、試料核酸とは、標的塩基配列との配列の同一性の有無を識別する対象の1本鎖核酸を意味する。本発明において用いられる試料核酸は特に限定されるものではなく、動物、植物、微生物、培養細胞等の生物から抽出された核酸であってもよく、核酸増幅反応により増幅された核酸であってもよい。増幅産物が2本鎖核酸である場合には、熱変性処理や化学変性処理等により1本鎖化した後に用いることができる。このような核酸増幅反応としては、例えば、PCR法、LAMP法、SMAP法、NASBA法、RCA法等が挙げられる。また、動物等からの核酸の抽出は、フェノール/クロロホルム法等の公知の手法により行うことができる。
本発明及び本願明細書において、本発明において、光連結(光ライゲーション)とは、光照射を行って光反応を生じさせることにより、2以上の核酸類縁体を連結することを意味する。このような光連結反応を生じる能力を光連結性若しくは光連結能、又は光応答性という。
本発明の標的塩基配列の識別方法は、核酸光連結法を利用して標的塩基配列を識別する方法であって、特定の光応答性官能基を導入した第1プローブ及び第2プローブを用いることを特徴とする。導入されている光応答性官能基同士を光二量化することにより、この2種類のプローブを連結させ、標的核酸の塩基配列の種類の違いを連結効率の差として検出することにより、標的塩基配列を識別する。
完全に相補的な核酸鎖同士が形成する2本鎖構造に比べて、非相補的な核酸鎖同士が形成する2本鎖構造は歪みが大きく、このため、完全に相補的な核酸鎖同士が優先的に2本鎖核酸を形成する。核酸光連結法においても、第1プローブ及び第2プローブと完全に相補的な核酸と優先的にハイブリダイズして複合体を形成するため、識別に供される試料核酸が、第1プローブ及び第2プローブと完全に相補的な塩基配列を有する場合には、非相補的な塩基配列を有する場合よりも、第1プローブ及び第2プローブの連結効率が高くなる。
核酸光連結法を核酸操作技術として広く応用するためには、あらゆる塩基配列に対応できることが望ましい。さらに、塩基配列の識別能を高めるためには、光応答性官能基を導入したプローブと標的核酸とをハイブリダイズさせた際に形成される2本鎖構造が、天然の2本鎖核酸の構造に近く、歪みが十分に抑えられていることが好ましい。標的塩基配列と相補的なプローブと標的核酸とにより形成される2本鎖構造に歪みが生じている場合には、例えば、当該プローブが標的塩基配列とは1塩基相違する塩基配列を有する1本鎖核酸とハイブリダイズした場合に、非相補的な塩基対に由来する2本鎖構造の変化が反映され難く、結果として、塩基配列の識別能を低下させるためである。
本発明は、核酸における共通部位へ光応答性官能基を導入することにより、塩基配列の制限を解消し、第1プローブ及び第2プローブがどのような塩基配列であっても、光連結を可能にするものである。共通部位への修飾は、光反応の取り扱いを容易なものとし、更に、全ての塩基種に対して統一した手法による導入が可能となり、プローブに光応答性官能基を導入するための有機合成の合理化を図れるものである。また、核酸塩基部位に光応答性官能基を導入するよりも、試料核酸とハイブリダイズして形成される2本鎖核酸の歪みを抑えることができる。加えて、光応答性官能基の修飾部位の相違に起因して塩基種間で違いのあった光反応の効果をそろえることができる。具体的には、核酸の糖骨格中の3’位又は5’位に光応答性官能基を導入する。
さらに、本発明において、第1プローブ及び第2プローブの糖骨格へ導入される光応答性官能基は、標的核酸とハイブリダイズして形成される2本鎖構造の歪みが十分に抑制され、試料核酸にハイブリダイズした際に生じる2本鎖構造の局所的な歪みは、非相補的な塩基対に由来するものとなることを考慮して設計されたものであり、従来使用されていた光応答性分子とは基本的に異なるデザインの光応答性官能基である。このため、本発明の標的塩基配列の識別方法では、標的塩基配列を有する1本鎖核酸以外の核酸との光連結効率を顕著に低下させることにより、標的塩基配列の識別能が向上されている。
具体的には、本発明において用いられる第1プローブは、ヌクレオシド部分として下記一般式(I)で表される構造を有する核酸類縁体であり、第2プローブは、ヌクレオシド部分として下記一般式(II)で表される構造を有する核酸類縁体である。すなわち、第1プローブは、3’末端のヌクレオチドの糖骨格の3’位の炭素原子に、適当なリンカ―(一般式(I)中のA)を介して一般式(III)−(a)〜(u)のいずれかの光応答性官能基(一般式(I)中のR)が導入されたものである。一方、第2プローブは、5’末端のヌクレオチドの糖骨格の5’位の炭素原子に、適当なリンカ―(一般式(II)中のA)を介して一般式(III)−(a)〜(u)のいずれかの光応答性官能基(一般式(II)中のR)が導入されたものである。
Figure 2011206009
[式(I)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。]
Figure 2011206009
[式(II)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。]
Figure 2011206009
Figure 2011206009
[式(III)−(a)〜(u)中、Rは、H、COOH、COOCH、CONH、又はCNで表される基であり、nは0〜6の整数である。]
一般式(I)中の糖骨格の5位の炭素原子に結合している酸素原子、及び、一般式(II)中の糖骨格の3位の炭素原子に結合している酸素原子は、それぞれ、リン酸基に結合し、ヌクレオチドを形成する。
一般式(I)及び(II)中、Bは天然又は人工の核酸塩基である。天然の核酸塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、又はウラシルである。人工の核酸塩基は、天然の核酸塩基と同様の機能を有し、他の天然の核酸塩基と塩基対を形成することが可能である化合物をいう。人工の核酸塩基としては、ジヒドロウラシル、4−アセチルシトシン、1−メチルアデニン、2,2−ジメチルグアニン等の天然の核酸塩基の修飾体等が挙げられる。本発明においては、第1プローブ又は第2プローブが、他の1本鎖核酸と2本鎖構造を形成した際に、歪みが生じ難い核酸塩基であることが好ましく、天然の核酸塩基であることが特に好ましい。
一般式(I)及び(II)中、Aは酸素原子(O)、硫黄原子(S)、メチレン基(CH)、2価のアミノ基(NH)、COOで表されるエステル基、又はアミド基(CONH)である。なお、COO及びCONHで表される基は、炭素原子が糖骨格に結合する。本発明においては、一般式(I)及び(II)中、Aは酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)中、Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。同様に、一般式(II)中、Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。一般式(III)−(a)〜(u)中の芳香環は、光応答性を損なわない限り、1又は複数の置換基を有していてもよい。一般式(III)−(a)〜(u)中の芳香環が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アシル基(アルキルカルボニル基)、シアノ基、カルボキサミド基(−CONH)、及びアルコキシカルボニル基等が挙げられる。アルキル基、アルコキシ基、アシル基、及びアルコキシカルボニル基は、炭素数1〜6であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましい。なお、一般式(III)−(a)〜(u)中の芳香環が複数の置換基を有する場合、それらの置換基は、同種であってもよく、異種であってもよい。
一般式(III)−(f)、(g)、(k)〜(m)中、Rは、水素原子(H)、カルボキシル基(COOH)、メトキシカルボニル基(COOCH)、カルボキサミド基(CONH)、又はシアノ基(CN)である。
一般式(III)−(a)〜(u)中、nは0〜6である。なお、nが0の場合、単結合を意味する。本発明においては、一般式(III)−(a)〜(u)中、nは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
なお、一般式(III)−(m)はケイ皮酸から誘導された官能基であり、一般式(III)−(r)はピレンから誘導された官能基である。
とRは、同種の官能基であってもよく、異種の官能基であってもよい。一般式(III)−(a)〜(u)のうち、一般式(III)−(a)〜(n)のいずれかが導入された化合物は、一般式(III)−(a)〜(u)のいずれの種類の官能基を有する化合物とも光反応により共有結合を形成し、2量体化することができる。これに対して、一般式(III)−(o)〜(u)のいずれかが導入された化合物は、一般式(III)−(a)〜(n)のいずれかが導入された化合物とのみ光反応により共有結合を形成し、2量体化することができる。したがって、R及びRのうちの少なくとも一方が、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(n)からなる群より選択される1の官能基である。
及びとRの光応答性官能基として、一般式(III)−(a)〜(u)の中から特にπ(パイ)共役系を形成可能な置換基を選択して用いることにより、他の光応答性官能基を導入した場合よりも、より長波長の光、例えば360〜400nmの範囲、例えば370〜400nmの範囲、例えば380〜400nmの範囲、例えば380〜390nmの範囲の波長の光を照射することによって光連結可能な核酸類縁体を得ることができる。
本発明においては、R及びRの光応答性官能基として、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい式(III)−(m)又は式(III)−(r)であることが好ましい。R及びRがともに置換基を有していてもよい式(III)−(m)であってもよいが、R及びRのうち、いずれ一方が置換基を有していてもよい式(III)−(m)であり、他方が置換基を有していてもよい式(III)−(r)であるほうがより好ましい。
第1プローブ及び第2プローブは、標的塩基配列からなる1本鎖の標的核酸に対して、第1プローブの3’末端と第2プローブの5’末端とが近接した状態でハイブリダイズし得るように設計し、合成される。具体的には、標的核酸にハイブリダイズした状態における、第1プローブの3’末端の糖骨格に導入された光応答性官能基と、第2プローブの5’末端の糖骨格に導入された光応答性官能基との距離が、光照射により共有結合が形成可能な距離となるように設計されていればよい。すなわち、第1プローブと第2プローブは、標的塩基配列の隣接する領域にそれぞれ相補的であるように設計されていてもよく、標的核酸中の、第1プローブがハイブリダイズする領域と、第2プローブがハイブリダイズする領域とが、1〜数塩基離れていてもよい。
本発明において用いられる第1プローブ及び第2プローブは、光応答性官能基が導入されたヌクレオチドを原料として、化学合成法等の公知の核酸合成反応により、合成することができる。なお、化学合成法としては、トリエステル法、亜リン酸法等が挙げられる。例えば、液相法又は不溶性の担体を使った固相合成法等を利用した通常の自動合成機(APPLIED BIOSYSTEMS社392等)を使用して1本鎖のDNAを合成することができる。
また、光応答性官能基が導入されたヌクレオシドは、ヌクレオシドと公知の光応答性化合物から、当該技術分野において公知の有機合成反応によって合成することができる。例えば、ヌクレオシドの糖骨格の3’位又は5’位の水酸基のうち、光応答性官能基を導入しない水酸基を保護基で保護した後、ハロゲン化光応答性化合物と反応させることにより、糖骨格に光応答性官能基を導入し、その後保護基を外すことによって、合成することができる。例えば、ヌクレオシドの糖骨格の3’位に導入する場合の反応式は以下ようになる。
Figure 2011206009
[式中、Cは一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基であり、Xはハロゲン原子であり、Dは水酸基の保護基である。Bは式(I)と同じである。]
また、ヌクレオシドの糖骨格の3’位又は5’位の水酸基のうち、光応答性官能基を導入する水酸基をハロゲン化した後、水酸化光応答性化合物と反応させることにより、糖骨格に光応答性官能基を導入することによって、合成することもできる。例えば、ヌクレオシドの糖骨格の5’位に導入する場合の反応式は以下ようになる。
Figure 2011206009
[式中、Cは一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基であり、Xはハロゲン原子である。Bは式(I)と同じである。]
なお、導入する光応答性官能基(上記C)中に複数の反応点が存在する場合には、それらの反応点を適宜保護した後に反応を行い、糖骨格に導入後に保護基を外せばよく、このような保護・脱保護反応は常法により行うことができる
また、第1プローブと第2プローブは、互いの核酸種が異なっていてもよい。例えば、第1プローブと第2プローブが共にDNA鎖であってもよく、いずれか一方がDNA鎖であり、他方がRNA鎖であってもよい。さらに、第1プローブと第2プローブのいずれか一方のみが、ヌクレオシド部が一般式(I)又は(II)で表わされる核酸類縁体以外のその他の核酸類縁体を含んでいてもよく、両者がその他の核酸類縁体を含んでいてもよい。
第2プローブの3’末端は、ポリメラーゼによる伸長反応の阻害物質により修飾される等により、伸長阻害構造をとることが望ましい。第2プローブの3’末端が阻害物質により修飾されている場合には、反応液中にポリメラーゼが混入している場合でも、第2プローブが伸長反応のプライマーとして消費されることを防止することができる。このため、PCR産物を試料核酸とする場合に、精製することなく、PCR後の反応液をそのまま試料核酸として反応液に添加することができる。
このような阻害物質として、アミノ基、リン酸基、メチル基、チオール基等が挙げられる。各プローブの3’末端のヌクレオチドが、アミノ化、リン酸化、メチル化、又はチオール化等がなされていることにより、当該プローブを起点とするポリメラーゼによる伸長反応を阻害することができる。
このように、本発明において用いられる第1プローブ及び第2プローブは、これまでの光応答性分子とは基本的に異なるデザインの光応答性分子が用いられており、本発明の標的塩基配列の識別方法は、あらゆる核酸の配列に適応可能な可逆的な光連結法を利用した方法である。
本発明の標的塩基配列の識別方法は、具体的には、下記工程(a)〜(e)を有する。
(a)反応液中で、1本鎖からなる試料核酸と、第1プローブと、第2プローブとをハイブリダイズさせることにより、複合体を形成する工程と、
(b)前記工程(a)の後、前記複合体に光を照射する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記複合体中の試料核酸を、1本鎖化する工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記反応液中に存在する、前記第1プローブと前記第2プローブとの連結体を検出する工程と、
(e)前記工程(d)により得られた結果に基づき、前記試料核酸が標的塩基配列を有する核酸であるかを識別する工程。
以下、工程ごとに説明する。
まず、工程(a)として、反応液中で、1本鎖からなる試料核酸と、第1プローブと、第2プローブとをハイブリダイズさせることにより、複合体を形成する。反応液中におけるハイブリッド形成は、当該技術分野において、プローブと1本鎖核酸との会合体を形成する際に行われている公知のいずれの方法によっても行うことができる。例えば、反応液中に試料核酸と第1プローブと第2プローブとを共存させた後、反応液の温度を、各プローブのTm値よりも低い温度にすることにより、試料核酸と第1プローブと第2プローブとからなる複合体を形成することができる。
工程(a)においてハイブリッド形成を行う反応液のpH、組成等の条件は、通常の条件とすることができる。特に、本発明においては、緩衝液を反応液とすることが好ましい。具体的は、本発明においては、反応溶液のpHが6.5〜8.5の範囲にあることが好ましく、pH6.7〜7.7の範囲にあることがより好ましい。また、当該反応液中の緩衝作用のある塩の濃度は5〜250mMの範囲にあることが好ましく、10〜100mMの範囲にあることがより好ましい。緩衝作用のある塩としては、カコジル酸塩、リン酸塩、トリス塩等が挙げられる。中でも、カコジル酸塩であることが好ましい。
その他、反応液は、複合体形成及び以後の光連結反応を阻害しない範囲において、その他の物質を添加することもできる。反応液に添加し得るその他の物質としては、例えば、塩や有機溶媒等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩が挙げられる。中でも、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等を含むことが好ましい。また、有機溶媒としては、非プロトン性極性溶媒であることが好ましい。中でも、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)以外にジメトキシエタン(DME)、アセトニトリル、アセトン、又はジメチルスルホキシド(DMSO)等を含むことが好ましい。
次いで、工程(b)として、工程(a)において形成された複合体に、光を照射する。試料核酸が標的塩基配列を有している場合には、第1プローブと第2プローブとが、試料核酸上で近接してハイブリダイズしている。このため、光を照射することにより、第1プローブ中の光応答性官能基と第2プローブ中の光応答性官能基との間に共有結合が形成され、両プローブが連結される。なお、本発明において光反応によって生じた連結(結合)は可逆的である。
工程(b)において光連結反応を行う反応液は、工程(a)においてハイブリッド形成を行った反応液と同一の溶液とすることが好ましい。すなわち、工程(a)においてハイブリッド形成させた反応液に、直接光を照射して光連結反応を行うことが好ましい。
複合体に照射する光の波長は、第1プローブ及び第2プローブに導入されている光応答性官能基の種類に応じた波長とする。本発明においては、工程(b)において照射される光は紫外光であることが好ましく、波長が300nm〜400nmの範囲にある光を照射することがより好ましい。例えば、R及びとRに導入する光応答性官能基として、π(パイ)共役系を形成可能な置換基を用いた場合には、より長波長の光、例えば360〜400nmの範囲、例えば370〜400nmの範囲、例えば380〜400nmの範囲、例えば380〜390nmの範囲の波長の光を照射することにより、予期しない収率の減少を生じさせるおそれなく、光連結反応を起こすことができる。長波長の光は、短波長の光よりもエネルギーが低いために、生きた細胞に対しても安心して照射することができる。なお、工程(b)において照射される光は、所望の波長の単波長のレーザー光であってもよく、ある程度波長の幅のある光であってもよい。
工程(b)において光の照射時間は、第1プローブ中の光応答性官能基と第2プローブ中の光応答性官能基との間に共有結合を形成するために十分なエネルギーを複合体に与えるために必要な時間であればよく、各プローブに導入された光応答性官能基の種類や照射光の波長等を考慮して適宜決定することができる。照射時間は、操作上の観点からは短時間であるほうが好ましく、光反応の完全な進行の観点からは長時間であるほうが好ましい。具体的には、本発明においては、照射時間は1秒間以上60分間以下とすることができる。中でも、1〜60分間、好ましくは1〜45分間、さらに好ましくは5〜45分間、さらに好ましくは5〜30分間、さらに好ましくは10〜30分間、さらに好ましくは15〜30分間の時間とすることができる。
光連結反応の反応効率は、連結反応に必要とされる波長域の光の照度と照射時間との積に相関する。このため、工程(b)において照射される光の照度や照射時間を調整することにより、光連結反応効率を良好に維持することができる。また、光によって誘導される反応であるため、光を照射するタイミングを調整することにより、連結反応を任意のタイミングで実施することができる。さらに、光連結反応は、従来の酵素を用いた連結法に比べ、温度による影響を受け難い。このため、例えば0〜80℃といった幅広い温度域で反応を行うことができる。また、反応溶液が所望の反応温度に達した時点で、単に光を照射することにより光連結反応を行うことができるため、従来の酵素法に比べて非常に厳密な反応温度制御も可能である。
工程(b)の後、工程(c)として、前記複合体中の試料核酸を、1本鎖化する。1本鎖化の方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法で行うことができる。例えば、2本鎖核酸に熱エネルギーを加えることや、塩基同士の水素結合を弱めるような化学物質を添加すること等により、2本鎖核酸を1本鎖化することができる。具体的には、例えば、光照射後の反応液を、第1プローブ及び第2プローブのうち、より高いTm値以上の温度、好ましくは80〜105℃に加熱することにより、試料核酸を1本鎖化することができる。その他、該反応液に、水酸化ナトリウム、ホルムアルデヒド、及び尿素等を添加することによっても1本鎖化することができる。
さらに、工程(d)として、反応液中に存在する、第1プローブと第2プローブとの連結体を検出した後、工程(e)として、工程(d)により得られた結果に基づき、前記試料核酸が標的塩基配列を有する核酸であるかを識別する。工程(d)におけるプローブ連結体の検出方法は、特に限定されるものではなく、核酸を検出する場合に通常行われる方法を用いて行うことができる。なお、プローブ連結体自体を検出してもよく、光連結反応の反応効率を求めてもよい。
第1プローブと第2プローブを予め標識物質により標識しておくことにより、当該標識物質を指標として、第1プローブと第2プローブとの連結体又は光連結反応の反応効率を定量的若しくは半定量的に測定することができる。中でも、第1プローブ及び第2プローブが、互いに異なる種類の標識物質によりそれぞれ標識されていることが好ましい。このように予め標識した場合には、光連結反応により形成された第1プローブと第2プローブとの連結体は2種類の標識物質で標識されており、1種類の標識物質により標識されている未連結のプローブと区別して検出することができる。
また、2種類の標識物質のうち、いずれかの標識物質を固相単体に結合可能な物質とした場合には、汎用されている固液分離作業を行うことにより、第1プローブと第2プローブとの間で生じた光連結反応の効率を測定することができる。例えば、第1プローブ又は第2プローブのいずれか一方のプローブを標識物質Aで標識し、他方のプローブを固相単体に結合可能な標識物質Bで標識し、光連結反応後の反応液を、標識物質Bが結合可能な固相単体に接触させる。その後、当該固相担体に結合している標識物質Bで標識されたプローブ中の標識物質Aを検出する。光連結反応が起こった場合には、固相担体に結合しているプローブ中の標識物質Aにより標識されているプローブ2本鎖形成核酸の割合が増大する。
標識物質としては、非放射性、放射性物質のどちらを用いてもよいが、好ましくは非放射性物質が用いられる。非放射性の標識物質としては、直接標識可能なものとして蛍光物質[例えばフルオレッセイン誘導体(フルオレッセインイソチオシアネート等)、ローダミン及びその誘導体(テトラメチルローダミンイソチオシアネート等)]、化学発光物質(例えばアクリジン等)等が挙げられる。また、標識物質と特異的に結合する物質を利用することにより、間接的に標識物質を検出することができる。このような標識物質としては、ビオチン、リガンド、特定の核酸あるいはタンパク質ハプテン等が挙げられる。そして、標識物質と特異的に結合する物質としては、ビオチンの場合にはこれに特異的に結合するアビジンあるいはストレプトアビジンが、ハプテンの場合はこれに特異的に結合する抗体が、リガンドの場合はレセプターが、特定の核酸あるいはタンパク質の場合はこれと特異的に結合する核酸、核酸結合タンパク質あるいは特定のタンパク質と親和性のあるタンパク質等が利用できる。 上記ハプテンとしては2,4−ジニトロフェニル基を有する化合物やジゴキシゲニンを使うことができ、更にはビオチンあるいは蛍光物質等もハプテンとして使用することができる。これらの標識物質は、いずれも単独又は必要があれば複数種の組み合わせで公知の手段(特開昭59−93099号公報、特開昭59−148798号公報、特開昭59−204200号公報参照。)により、導入することができる。
特に、本発明においては、互いにエネルギー移動可能な2種類の標識物質(例えば、励起により蛍光を発生するドナー標識物質と、その蛍光を吸収するアクセプター標識物質)を用いて、これらの標識物質間のエネルギー移動によるエネルギー変化の度合いを指標として、鎖置換反応が生じた程度を測定することが好ましい。
標識物質間のエネルギー移動とは、エネルギーを発生するドナー標識物質とこのドナー標識物質から発生したエネルギーを吸収するアクセプター標識物質との少なくとも2種の標識物質が、互いに近接した状態にある場合に、ドナー標識物質からアクセプター標識物質へのエネルギーの移動をいう。例えば、2種の標識物質が蛍光物質である場合、ドナー標識物質を励起して生じる蛍光をアクセプター標識物質が吸収し、このアクセプター標識物質が発する蛍光を測定するか、又はドナー標識物質を励起して生じる蛍光をアクセプター標識物質が吸収することにより起こるドナー標識物質の消光を測定することができる(PCR Methods and applications 4,357−362(1995)、Nature Biotechnology 16,49−53(1998))。なお、ドナー標識物質の蛍光波長とアクセプター標識物質の吸収波長に重なりがなくてもエネルギー移動が起こる場合があるが、このようなエネルギー移動も本発明に含まれるものである。また、アクセプター標識物質は消光物質であってもよい。このようなくクエンチャーとして、例えばDABCYLやブラックホール等が挙げられる。
互いにエネルギー移動可能な2種類の標識物質としては、互いに近接した状態でエネルギー移動可能なものであれば特に制限されないが、中でも蛍光物質、遅延蛍光物質が好ましく、場合によっては化学発光物質、生物発光物質等を用いることもできる。このような標識物質の組み合せとしては、フルオレセイン及びその誘導体(例えばフルオレセインイソチオシアネート等)とローダミン及びその誘導体(例えばテトラメチルローダミンイソチオシアネート、テトラメチルローダミン−5−(and−6−)ヘキサノイックアシッド等)との組み合わせ、フルオレセインとDABCYLとの組み合わせ等が挙げられ、これらの中から任意の組み合わせを選択することができる(Nonisotopic DNA Probe Techniques.Academic Press(1992))。その他、近接させた場合に熱エネルギーの放出が生じる組み合わせの分子であってもよい。このような標識物質の組み合わせとしては、Alexa Fluor(登録商標)488(インビトロジェン社製)、ATTO 488(ATTO-TEC GmbH社製)、Alexa Fluor(登録商標)594(インビトロジェン社製)、及びROX(Carboxy-X-rhodamine)からなる群より選択される1とBHQ(登録商標、Black hole quencher)−1又はBHQ(登録商標)−2との組み合わせ等が挙げられる。
第1プローブ又は第2プローブに標識物質を導入する方法としては、一般的な核酸への標識導入方法を採用することができる。例えば、標識物質を核酸に直接化学的に導入する方法(Biotechniques 24,484−489(1998))、DNAポリメラーゼ反応あるいはRNAポリメラーゼ反応により標識物質結合モノヌクレオチドを導入する方法(Science 238,336−3341(1987))、標識物質を導入したプライマーを用いてPCR反応を行うことにより導入する方法(PCR Methods and Applications 2,34−40(1992))等が挙げられる。
本発明において用いられる第1プローブ及び第2プローブは、試料核酸とハイブリダイズした際に形成される2本鎖構造の歪みが、天然の2本鎖核酸と同程度にまで軽減されている。このため、標的塩基配列を有する1本鎖核酸とハイブリダイズして形成された2本鎖構造と、非相補的な核酸とハイブリダイズして形成された2本鎖構造との差異を鋭敏に捕らえることが可能となる。試料核酸が標的塩基配列とは異なる塩基配列からなる場合、ハイブリダイズして形成された2本鎖構造中には、ミス塩基対により局所的な歪みが顕れ、この歪みにより、標的核酸とハイブリダイズする場合よりも光連結反応の反応効率が低下する。つまり、光連結反応の反応効率を指標とすることにより、塩基配列の識別が可能となる。
本発明の識別方法は、標的塩基配列の識別性能に優れているため、遺伝子変異の識別に好適に用いることができる。具体的には、遺伝子変異の変異部位を含む領域の塩基配列を標的塩基配列とする。この際、標的塩基配列中の変異部位とアニールするプローブが第1プローブとなるように設計してもよく、第2プローブとなるように設計してもよい。なお、標的塩基配列は、1個の塩基変異部位のみを有していてもよく、2個以上の塩基変異部位を有していてもよい。
なお、本発明において遺伝子変異とは、同一生物種の個体間において存在する遺伝子の塩基配列の相違を意味し、変異部位とは、塩基配列中の相違する部位を意味する。具体的には、塩基配列中の1又は複数の塩基が置換・欠失・挿入されていることにより、塩基配列の相違は生じる。このような遺伝子変異として、例えば、SNPやCNV(Copy Number variation)多型、塩基欠損変異、塩基挿入変異、転座変異等が挙げられる。また、本発明において遺伝子変異とは、SNP等の遺伝子多型のような先天的な変異に加えて、同一個体中の細胞間において存在する遺伝子の塩基配列の相違である体細胞変異等のように後天的な変異も含む。
本発明の識別方法において、標的となる遺伝子変異としては、がん関連遺伝子、遺伝病に関連する遺伝子、薬剤の代謝や効き目に関する遺伝子、ウィルス遺伝子、及び細菌遺伝子における変異と呼ばれるものである。がん関連遺伝子としては、例えばk−ras遺伝子、BRAF遺伝子、PTEN遺伝子、ALK遺伝子、EGFR遺伝子、N−ras遺伝子、p53遺伝子、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子、又はAPC遺伝子等が挙げられる。遺伝病に関連する遺伝子としては、各種先天性代謝異常症等との関連が報告されている遺伝子等が挙げられる。薬剤の代謝に関しては薬剤の代謝に関わる酵素であるシトクロムP450やトランスポーター等の遺伝子が挙げられる。ウィルス遺伝子、細菌遺伝子としては、例えばC型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルス等の遺伝子が挙げられる。さらに、病気等の原因とは必ずしも直接は関係のないヒト白血球抗原遺伝子であるHLA等も移植の適合性や薬の副作用等と関連して重要である。さらに、ミトコンドリアにコードされている遺伝子変異も病気との関連が示唆されており、これらの遺伝子の変異も標的となりうる。
本発明の識別方法は、その高い識別精度から、臨床検査等においても有用である。医療現場における遺伝子検査の実用性を考えた場合に、識別精度の改善は非常に重要である。本発明の識別方法により、SNP等の生殖細胞変異のみならず、体細胞変異も高精度に識別することができる。
例えば、K−rasはシグナル伝達系のタンパク質であり、プロトオンコ―ジーンである。多くのがん細胞においてK−ras遺伝子に変異が生じていることが報告されている。特にK−ras遺伝子のコドン12、13にアミノ酸置換を伴う変異が顕著に見られ、13種類の変異パターンが存在することが知られている。最近、K−ras遺伝子に変異がある患者では、抗がん剤であるEGFR抗体薬(セツキシマブ、パニツムマブ)等が効力を発揮できないことが次々に明らかとなっている。このような抗がん剤治療は副作用のみならず高額な費用を要する。したがって、治療前にK−ras変異の検査を行い、効く患者のみを選別して治療することがオーダーメード医療の一環として提案されている。
また、EGFR抗体薬であるセツキシマブは、大腸がん治療薬として使用されている。大腸がんの年間罹患数は10万人弱であり、平成17年の死亡者数は4万800人であった。食生活の欧米化により増え続ける傾向にあり、4年後には40,000人の大腸がん患者がEGFR抗体薬治療の対象となるとのEGFR抗体薬のメーカーによる試算もある。当該試算が正しければ、K−rasの検査市場は日本国内だけで4年後には4億円を越すものと予想される。
しかしながら、従来の識別法では、体細胞変異を十分な精度で識別することは困難であり、擬陽性が多い、と言う問題があった。本発明の識別方法は、体細胞変異をも非常に精度よく識別可能であることから、臨床検査における精度改善のみならず、擬陽性の低減による医療費の削減にも資することが期待できる。
本発明の標的塩基配列識別用キットは、標的塩基配列を識別する方法に用いられるキットであって、ヌクレオシド部分として前記一般式(I)で表される構造を有する核酸類縁体である第1プローブと、ヌクレオシド部分として前記一般式(II)で表される構造を有する核酸類縁体である第2プローブとを有し、第1プローブ及び第2プローブは、標的塩基配列からなる1本鎖の標的核酸に対して、第1プローブの3’末端と第2プローブの5’末端とが近接した状態でハイブリダイズし得るものであることを特徴とする。本発明の標的塩基配列識別用キットは、第1プローブ及び第2プローブ以外にも、緩衝剤、塩、有機溶媒等の反応液に添加する試薬や、標識物質の標識を検出するための試薬等を組み合わせても良い。このように、本発明の識別方法に必要な試薬等をキット化することにより、より簡便かつ短時間で標的塩基配列の識別を行うことができる。
本発明の標的塩基配列識別用キットは、特に、遺伝子変異の特定の遺伝子型の変異部位を含む領域と相同的な塩基配列を標的塩基配列とし、遺伝子変異を検出するために用いられることが好ましい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
<一般式(II)中、Rが式(III)−(m)であるプローブの合成>
下記反応式(A)−1により、一般式(II)で表わされるヌクレオシド部位を有し、かつ、Rが式(III)−(m)であるR16G12V−Cinプローブを合成した。
Figure 2011206009
5’−Chloro−5’−deoxy−thymidine:化合物(2)
チミジン(2.5g、10.3mmol)を脱水DMF(10ml)で1回共沸した後、窒素置換してから脱水DMF(12ml)に溶かし込み、トリフェニルホスフィン(4.06g、15.5mmol)及び四塩化炭素(1.56ml)を加え、室温で24時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=9:1)により、原料消失と生成物を確認した。エバポレーターによって溶媒を除去した後、シリカゲルカラム(CHCl:MeOH=95:5から9:1)を用いて精製を行い、目的化合物である化合物(2)を得た(収量:1.83g(7.01mmol)、収率:68%)。化合物(2)のNMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,DMSO):11.3(br.s,1H,NH);7.47(d.like,1H,J=1.2,H−C(6)); 6.20(dd,1H,J= 8.0,6.4,H−C(1’));5.45(d,1H,J=4.4,3’−OH);4.23(dt,1H,J=7.0,3.2,H−C(3’));3.91(dt,1H,J=5.6,3.2,H−C(4’));3.85 (dd,1H,J=11.4,5.6,H−C(5’));3.77(dd,1H,J=11.4,5.6,H−C(5’));2.24(m,1H,H−C(2’));2.07(dq,1H,J=12.6,6.2,3.2,H−C(2’)); 1.78(d.like,3H,J=1.2,5−Me).
5’−O−methyl−cinnamate−thymidine:化合物(3)
はじめに、水素化ナトリウム(132 mg,3.84mmol)を窒素置換した後に、脱水DMF(2ml)に溶かし込み、次いで4−ヒドロキシケイ皮酸メチル(680mg, 3.84mmol)を加えて、5〜10℃(氷浴下)で10分間攪拌した。この反応溶媒に化合物(2)(1.0g,3.84mmol)を添加して90℃の湯浴で24時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=93:7)により確認したところ、原料の残存が見られたが、原料よりもやや速い移動度の位置に生成物と見られるバンドも見られた。反応終了後、エバポレーターにて溶媒を除去し、クロロホルムに溶かし込んだ後に、分液ろうとを用いて有機層を水で3回洗浄した。硫酸ナトリウムを用いて有機層から水分を除去した後、エバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラム(CHCl:MeOH=95:5から9:1)を用いて9:1)にて精製を行い、NMRにより目的化合物(3)を得たことを確認した(収量:152mg(0.38mmol)、収率:11%)。化合物(3)のNMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,DMSO):11.3(br.s,1H,NH);7.68(d,2H,J=6.6,arom.H);7.61(d,1H,J=8.0,vinyl H);7.46(d.like,1H,J=1.0,H−C(6));7.03(d,2H,J=6.6,arom.H);6.50(d,1H,J=8.0,Vinyl H); 6.23(t,1H,J=6.8,H−C(1’));5.43(br.s,1H,3’−OH);4.36(m,1H,H−C(3’));4.27 (dd,1H,J=10.8,3.2,H−C(5’));4.18(dd,1H,J=10.8,3.2,H−C(5’)); 4.06(dd,1H,J=8.0,3.2,H−C(4’));3.70(s,3H,OMe);2.27(m,1H,H−C(2’));2.14(dq,1H,J=9.6,6.4,3.2,H−C(2’));1.68(d.like,3H,J=1.0,5−Me).
3’−N,N−diisopropylcyanoethylphosphoramidite−5’−O−methylcinnamate−thymidine:化合物(4)
化合物(3)(150mg,0.25mmol)を脱水DMF(0.5ml)により3回共沸した後、脱水DMF(0.5ml)に溶かし込み、2−シアノエチル−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロアミダイト(90μl,0.25mmol)を添加した。最後に、活性化剤として0.25M BTT/アセトニトリル溶液(1.2mml)を添加して18時間攪拌した後、TLC(CHCl:MeOH=9:1)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、水(10ml)と酢酸エチル(15ml)で3回分液を行い、有機層を集めて硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を除去した。DMFは分液で完全に取り除けないため、アセトニトリルで3回ほど共沸してから計量を行い、目的化合物(4)を得た(収量:230mg(0.28mmol)、収率:quant.)。
化学合成法により、化合物(4)を原料として、配列番号5で表わされる塩基配列からなり、5’末端のチミンの糖骨格の5’位にエーテル結合を介して式(III)−(m)(但し、n=0)で表される光応答性官能基が導入されており、さらに5’末端から6番目のチミンが蛍光物質Alexa Fluor 594(以下、「Alexa 594」)により修飾されている1本鎖の核酸類縁体(R16G12V−Cinプローブ)を合成した。
[合成例2]
<一般式(I)中、Rが式(III)−(r)であるプローブの合成>
下記反応式(A)−2により、一般式(I)で表わされるヌクレオシド部位を有し、かつ、Rが式(III)−(r)であるL16G12V−Pyrプローブを合成した。
Figure 2011206009
5’−O−Trityl−thymidine:化合物(5)
チミジン(2.5g,10.3mmol)を脱水ピリジン(5ml)で3回共沸した後、脱水ピリジン(12ml)に溶かし込み、窒素雰囲気下において塩化トリフェニルメタン(3.45g,12.4mmol)及びDMAP(0.76g,6.19mmol)を添加して18時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=9:1)により確認したところ、原料が3割程度残っていたため、DMAP(0.76g,6.19mmol)をさらに添加して4時間攪拌した。4時間攪拌後に大きな変化は見られなかったため、反応を終了した。エバポレーターで溶媒を除去した後、クロロホルム(50ml)を用いて3回分液を行い、硫酸ナトリウムで乾燥させた後に、シリカゲルカラム(CHCl:MeOH=95:5)にて精製を行った。精製後のサンプルは、近傍のフラクションと分離ができなかったため、酢酸エチル(5ml)に溶かし込んだ後に攪拌しながらヘキサンを加えて再沈殿により精製を仕上げ、目的化合物(5)を得た(収量:3.35g(6.90mmol)、収率:67%)。化合物(5)のNMRの測定結果は以下の通りであった。
H−NMR(400MHz,DMSO):11.3(br.s,1H,NH);7.48(s,1H,H−C(6));7.47−7.25(m,15H,arom.H);6.20(t,1H,J=6.8,H−C(1’)); 5.31(d,1H,J=4.4,3’−OH);4.31(dd.like,1H,J=6.4,4.0,H−C(3’)); 3.88(m,1H,H−C(4’));3.22(dd,1H,J=10.4,4.4,H−C(5’));3.16(dd,1H,J=10.4,2.8,H−C(5’));2.23(m,1H,H−C(2’));2.14(dq,1H,J=13.2,6.4,4.0,H−C(2’));1.46(s,3H,5−Me).
3’−Pyrenyl−5’−O−trityl−thymidine:化合物(6a)
はじめに、化合物(5)(4g,8.26mmol)を脱水DMF(10ml)で3回共沸した後、脱水DMF(5ml)に溶かし込んだ。そこへ、水素化ナトリウム(666mg,16.5mmol)を加えて5〜10℃(氷浴下)で1時間攪拌した。1時間後に、反応溶媒へ1−クロロピレン(1.95g,8.26mmol)を添加して110℃のオイルバスで3時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=97:3)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去した後、酢酸エチルと水を用いて分液を行うことにより有機層を集め、硫酸ナトリウムで有機層から水分を除去した後、エバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラム(CHCl:MeOH=97:3)にて精製を行い、生成物を得た(収量:365mg(0.53mmol), 収率:6%)。NMR測定の結果から、目的化合物(6a)であることを確認した。
3’−Pyrenylmethyl−5’−O−trityl−thymidine:化合物(6b)
はじめに、化合物(5)(500mg,1.03mmol)を脱水DMF(2ml)で3回共沸した後、脱水DMF(5ml)に溶かし込んだ。そこへ、水素化ナトリウム(100mg,2.58mmol)を加えて5〜10℃(氷浴下)で1時間攪拌した。1時間後に、反応溶媒へ1−クロロメチルピレン(240mg,1.03mmol)を添加して70℃のオイルバスで3時間攪拌した。TLC(C14:AcOEt=1:1)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去した後、酢酸エチルと水を用いて分液を行うことにより有機層を集め、硫酸ナトリウムで有機層から水分を除去した後、エバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラム(C14:AcOEt=1:1)にて精製を行い、生成物を得た(収量:216mg(0.31mmol), 収率:30%)。NMR測定の結果から、目的化合物(6b)であることを確認した。
H−NMR(400MHz,DMSO):11.3(br.s,1H,NH);11.3(br.s,1H,NH);8.33−8.23(m,4H,arom.H);8.18(s,2H,arom.H);8.15−8.05(m,3H,arom.H);7.48(s,1H,H−C(6));7.29−7.27(m,6H,arom.H);7.25−7.20(m,9H,arom.H);6.22(t,1H,J=6.8,H−C(1’));5.30(d,1H,J=12.4,ArH);5.20(d,1H,J=12.4,ArH);4.39(m,1H,H−C(3’));4.12(m,1H, H−C(4’));3.18(m,2H,H−C(5’));2.50−2.47(m, 1H,H−C(2’));2.40−2.33(m,1H,H−C(2’));1.45(s,3H,5−Me).
3’−Pyrenyl−thymidine:化合物(7a)
はじめに、化合物(6a)(350mg,0.51mmol)を80%酢酸に懸濁させ、オイルバスにより60℃に過熱して1.5時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=97:3)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、クロロホルムと水を用いて分液を行うことにより有機層を集めた後、硫酸ナトリウムで有機層から水分を除去した。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラム(CHCl:MeOH=97:3)にて精製を行い、生成物(7a)を得た(収量:110mg(0.24mmol)、収率:47%)。
3’−Pyrenylmethyl−thymidine:化合物(7b)
はじめに、化合物(6b)(950mg,1.36mmol)を80%酢酸に懸濁させ、オイルバスにより60℃に過熱して1.5時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=9:1)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、クロロホルムと水を用いて分液を行うことにより有機層を集めた後、硫酸ナトリウムで有機層から水分を除去した。得られた有機層をエバポレーターで濃縮し、シリカゲルカラム(CHCl:MeOH=9:1)にて精製を行い、生成物(7b)を得た(収量:467mg(1.03mmol)、収率:75%)。NMR測定の結果から、目的化合物(7b)であることを確認した。
H−NMR(400MHz,DMSO):11.3(br.s,1H,NH);8.39−8.25(m,5H,arom.H);8.17(s,2H,arom.H);8.14−8.06(m,2H,arom.H);7.72(s,1H,H−C(6));6.21 dd,1H,J=8.4,6.4,H−C(1’));5.27(s,2H,ArH);5.13(t,1H,5’−OH);4.37−4.33(m,1H,H−C(3’)); 4.12−4.09(m,1H,H−C(4’));3.46−3.40(m,2H,H−C(5’));2.43−2.37(dq,1H,J=13.6,5.6,2.4,H−C(2’));2.25−2.18(m,1H,H−C(2’));1.78 (s,3H,5−Me).
3’−Pyrenyl−5’−N,N−diisopropylcyanoethylphosphoramidite−thymidine:化合物(8a)
化合物(7a)(100mg,0.23mmol)を脱水DMF(0.5ml)により3回共沸した後、脱水DMF(1.0ml)に溶かし込み、2−シアノエチル−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロアミダイト(100μl,0.30mmol)を添加した。最後に、活性化剤として0.25M BTT/アセトニトリル溶液(0.92ml,0.23mml)を添加して5時間攪拌した後、TLC(CHCl:MeOH=97:3)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、水(100ml)とクロロホルム(50ml)用いてで3回分液を行い、有機層を集めて硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を除去した。DMFは分液で完全に取り除けないため、アセトニトリルで3回ほど共沸してから計量を行い、目的化合物(8a)を得た(収量:220mg(0.34mmol)、収率:quant.)。
3’−Pyrenylmethyl−5’−N,N−diisopropylcyanoethylphosphoramidite−thymidine:化合物(8b)
化合物(7b)(200mg,0.30mmol)を脱水DMF(0.5ml)により3回共沸した後、脱水DMF(0.5ml)に溶かし込み、2−シアノエチル−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロアミダイト(100μl,0.30mmol)を添加した。最後に、活性化剤として0.25M BTT/アセトニトリル溶液(1.2ml, 0.30mml)を添加して18時間攪拌した後、TLC(CHCl:MeOH=9:1)により、原料の消失と新たな生成物のバンドを確認した。反応終了後、水(10ml)と酢酸エチル(15ml)用いてで7回分液を行い、有機層を集めて硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を除去した。DMFは分液で完全に取り除けないため、アセトニトリルで3回ほど共沸してから計量を行い、目的化合物(8b)を得た(収量:300mg(0.34mmol)、収率:quant.)。
化学合成法により、化合物(8a)又は(8b)を原料として、配列番号6で表わされる塩基配列からなり、3’末端のチミンの糖骨格の3’位にエーテル結合を介して式(III)−(r)(但し、n=0又は1)で表される光応答性官能基が導入されており、さらに5’末端の塩基チミンが蛍光物質Alexa Fluor 488(以下、「Alexa 488」)により修飾されている1本鎖の核酸類縁体(L16G12V−Pyr0プローブ又はL16G12V−Pyr1プローブ)を合成した。
[実施例1]
合成例2で合成したL16G12V−Pyr0プローブ又はL16G12V−Pyr1プローブを第1プローブとし、合成例1で合成したR16G12V−Cinプローブを第2プローブとして、本発明の標的塩基配列の識別方法を行った。
試料核酸として、rc49G12V、rc49G12A、rc49G12G、及びrc49G12Dを準備した。L16G12V−Pyrプローブは、rc49G12Vと完全に相補的な塩基配列を有するが、rc49G12A、rc49G12G、及びrc49G12Dとは1塩基非相補的である。これらの1本鎖核酸は、化学合成法により合成した。各プローブ及び試料核酸の塩基配列を表1に示す。なお、表1中、「Ale488」はAlexa 488標識を示し、「Ale594」はAlexa 594標識を示し、「T−Pyr0」又は「T−Pyr1」は化合物(8a)又は(8b)の誘導体由来の光応答性チミンヌクレオチドを示し、「T−Cin」は化合物(4)の誘導体由来の光応答性チミンヌクレオチドを示す。また、rc49G12V〜D中、下線が付された塩基は、互いに相違する塩基である。
Figure 2011206009
図1は、L16G12V−Pyrプローブ及びR16G12V−Cinプローブを用いた識別方法における光連結反応を模式的に示した図である。理論的には、R16G12V−Cinプローブは、rc49G12V、rc49G12A、rc49G12G、及びrc49G12Dのいずれともハイブリダイズするが、L16G12V−Pyr0プローブ及びL16G12V−Pyr1プローブは、rc49G12Vとのみハイブリダイズする。このため、反応液中にrc49G12Vが存在していた場合には、両プローブがrc49G12Vにハイブリダイズし、L16G12V−Pyr0プローブ中の「T−Pyr0」もしくはL16G12V−Pyr1プローブ中の「T−Pyr1」と、R16G12V−Cinプローブ中の「T−Cin」とが近接する。このため、紫外光(本実施例では366nm)を照射すると、L16G12V−Pyr0プローブとR16G12V−Cinプローブ、又はL16G12V−Pyr1プローブとR16G12V−Cinプローブが連結される。これらの連結体では、Alexa 488とAlexa 594も十分に近接するため、蛍光エネルギー移動(FRET)により、Alexa 594の蛍光強度が大きくなる。
試料核酸として、rc49G12Vを用いた場合とrc49G12Gを用いた場合とにおける、光連結反応の反応効率を調べた。2xSSCバッファーに、rc49G12V又はrc49G12G、L16G12V−Pyr0プローブ、及びR16G12V−Cinプローブを、それぞれ終濃度が0.5pmol/μlとなるように添加し、反応液を調製した。この反応液を、95℃で30秒間加熱した後、4℃まで温度を下降させてアニーリングを行い、L16G12V−Pyr0プローブ及びR16G12V−Cinプローブを、rc49G12V又はrc49G12Gと二本鎖を形成させて複合体を形成したところで、UV−LEDを用いて366nmの光照射を10分間行った。光照射後、反応液の温度を上昇させ、経時的にAlexa 488からAlexa 594への蛍光エネルギー移動によるAlexa 594の蛍光発光の変化を観測した。
これとは別に、2xSSCバッファーに、rc49G12V又はrc49G12G、L16G12V−Pyr1プローブ、及びR16G12V−Cinプローブを、それぞれ終濃度が0.5pmol/μlとなるように添加し、反応液を調製した。この反応液を、95℃で30秒間加熱した後、4℃まで温度を下降させてアニーリングを行い、L16G12V−Pyr1プローブ及びR16G12V−Cinプローブを、rc49G12V又はrc49G12Gと二本鎖を形成させて複合体を形成したところで、UV−LEDを用いて366nmの光照射10分間行った。光照射後、反応液の温度を上昇させ、経時的にAlexa 488からAlexa 594への蛍光エネルギー移動によるAlexa 594の蛍光発光の変化を観測した。
図2は、40〜90℃の範囲におけるAlexa 488の蛍光をF1、Alexa 594の蛍光をF2としてF2/F1比をとり、規格化された蛍光強度値の変化を示した図である。図2(a)はL16G12V−Pyr0プローブを、図2(b)はL16G12V−Pyr1プローブを添加した反応液の光照射前後の蛍光強度変化を示す。また、図3(a)、(b)は、図2(a)、(b)に示す測定結果において、反応後のF2/F1から反応前のF2/F1の差[Δ(F2/F1)]を示した図である。
この結果、第1プローブとしてL16G12V−Pyr0プローブを用いた場合とL16G12V−Pyr1プローブを用いた場合のいずれも、試料核酸をrc49G12Vとした場合のほうが、rc49G12Gとした場合よりもΔ(F2/F1)が顕かに高かった。このことから、本発明の標的塩基配列の識別方法により、1塩基のみが相違する塩基配列同士を識別することが可能であることが示された。
また、試料核酸としてrc49G12Vを用いた場合のΔ(F2/F1)を基準とし、これを試料核酸としてrc49G12Gを用いた場合のΔ(F2/F1)で割った値をS/Nとした場合、L16G12V−Pyr0プローブを用いた場合のS/Nは19.7であり、L16G12V−Pyr1プローブを用いた場合のS/Nは3.07であった。これらの結果から、チミジンの糖骨格の3’位へのピレン修飾は、メチレンリンカーが存在するもの(n=1)よりも無い場合(n=0)の方がより識別能が高いという結果を得た。
[実施例2]
有機溶媒を含有させた反応液中で、4種類の試料核酸(rc49G12V、rc49G12A、rc49G12G、及びrc49G12D)とL16G12V−Pyr1プローブ及びR16G12V−Cinプローブを用いて、本発明の標的塩基配列の識別方法を行った。
具体的には、テトラヒドロフラン(THF)を50%の条件で混合した2xSSCバッファー、又はジメチルホルムアミド(DMF)を50%の条件で混合した2xSSCバッファー溶媒に、rc49G12V、rc49G12A、rc49G12G、又はrc49G12Dのいずれかの試料核酸、L16G12V−Pyr1プローブ、及びR16G12V−Cinプローブを、それぞれ終濃度が0.5pmol/μlとなるように添加し、全量40μlの反応液を調製した。これらの反応液に対して、実施例2と同様にして光連結反応を行い、経時的にAlexa 594の蛍光発光の変化を観測した(光連結反応後)。
図4は、光連結反応後のF2/F1から光連結反応前のF2/F1の差[Δ(F2/F1)]を示した図である。図4(a)がTHFを含有させた反応液の結果であり、図4(b)がDMFを含有させた反応液の結果である。また、図中、「X=A」がrc49G12Vを添加した反応液の結果であり、「X=G」がrc49G12Aを添加した反応液の結果であり、「X=C」がrc49G12Gを添加した反応液の結果であり、「X=T」がrc49G12Dを添加した反応液の結果である。rc49G12VのΔ(F2/F1)を基準とし、これをrc49G12AのΔ(F2/F1)、rc49G12GのΔ(F2/F1)、又はrc49G12DのΔ(F2/F1)で割った値をS/Nとした場合、THFを含有させた反応液ではそれぞれ1.35、3.09、2.01であり、DMFを含有させた反応液ではそれぞれ1.38、2.40、1.54であった。
以上の結果から、本発明の標的塩基配列の識別方法は、有機溶媒を含む反応液中でも、高い精度で標的塩基配列を識別することが可能であることが示された。
本発明の標的塩基配列の識別方法は、高精度に標的塩基配列を識別できることから、臨床用遺伝子診断事業等の分野において利用が可能である。

Claims (14)

  1. 標的塩基配列を識別する方法であって、
    (a)反応液中で、1本鎖からなる試料核酸と、第1プローブと、第2プローブとをハイブリダイズさせることにより、複合体を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)の後、前記複合体に光を照射する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、前記複合体中の試料核酸を、1本鎖化する工程と、
    (d)前記工程(c)の後、前記反応液中に存在する、前記第1プローブと前記第2プローブとの連結体を検出する工程と、
    (e)前記工程(d)により得られた結果に基づき、前記試料核酸が標的塩基配列を有する核酸であるかを識別する工程と、
    を有し、
    前記第1プローブ及び前記第2プローブは、標的塩基配列からなる1本鎖の標的核酸に対して、第1プローブの3’末端と第2プローブの5’末端とが近接した状態でハイブリダイズし得るものであり、
    前記第1プローブは、ヌクレオシド部分として下記一般式(I)で表される構造を有する核酸類縁体であり、
    前記第2プローブは、ヌクレオシド部分として下記一般式(II)で表される構造を有する核酸類縁体であることを特徴とする、標的塩基配列の識別方法。
    Figure 2011206009
    [式(I)及び(II)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。但し、前記R及びRのうちの少なくとも一方が、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(n)からなる群より選択される1の官能基である。]
    Figure 2011206009
    Figure 2011206009
    [式(III)−(a)〜(u)中、Rは、H、COOH、COOCH、CONH、又はCNで表される基であり、nは0〜6の整数である。]
  2. 前記R又はRが有する置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、カルボキサミド基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項1記載の標的塩基配列の識別方法。
  3. 前記R及びRが、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい式(III)−(m)又は式(III)−(r)であることを特徴とする請求項1又は2記載の標的塩基配列の識別方法。
  4. 前記工程(b)において照射される光が紫外光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法。
  5. 前記第2プローブの3’末端が、ポリメラーゼによる伸長反応の阻害物質により修飾されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法。
  6. 前記第1プローブ及び前記第2プローブの少なくとも一方が、核酸類縁体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法。
  7. 前記第1プローブ及び前記第2プローブが、互いに異なる種類の標識物質によりそれぞれ標識されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法。
  8. 前記第1プローブを標識する標識物質と前記第2プローブを標識する標識物質との間で、エネルギー移動が可能であることを特徴とする請求項7記載の標的塩基配列の識別方法。
  9. 前記第1プローブ及び前記第2プローブのいずれか一方が、固相担体と結合可能な標識物質により標識されていることを特徴とする請求項7記載の標的塩基配列の識別方法。
  10. 前記試料核酸が、核酸増幅反応により増幅された核酸であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の標的塩基配列の識別方法。
  11. ヌクレオシド部分として下記一般式(I)又は(II)で表される構造を有することを特徴とする核酸類縁体。
    Figure 2011206009
    [式(I)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。]
    Figure 2011206009
    [式(II)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。]
    Figure 2011206009
    Figure 2011206009
    [式(III)−(a)〜(u)中、Rは、H、COOH、COOCH、CONH、又はCNで表される基であり、nは0〜6の整数である。]
  12. 前記Rが有する置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、カルボキサミド基、及びアルコキシカルボニル基からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項11記載の核酸類縁体。
  13. 標的塩基配列を識別する方法に用いられるキットであって、
    ヌクレオシド部分として下記一般式(I)で表される構造を有する核酸類縁体である第1プローブと、
    ヌクレオシド部分として下記一般式(II)で表される構造を有する核酸類縁体である第2プローブとを有し、
    前記第1プローブ及び前記第2プローブは、標的塩基配列からなる1本鎖の標的核酸に対して、第1プローブの3’末端と第2プローブの5’末端とが近接した状態でハイブリダイズし得るものであることを特徴とする、標的塩基配列識別用キット。
    Figure 2011206009
    [式(I)及び(II)中、Bは天然又は人工の核酸塩基であり;Aは、O、S、CH、NH、COO、又はCONHで表される基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基であり;Rは、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(u)からなる群より選択される1の官能基である。但し、前記R及びRのうちの少なくとも一方が、置換基を有していてもよい、一般式(III)−(a)〜(n)からなる群より選択される1の官能基である。]
    Figure 2011206009
    Figure 2011206009
    [式(III)−(a)〜(u)中、Rは、H、COOH、COOCH、CONH、又はCNで表される基であり、nは0〜6の整数である。]
  14. 前記標的塩基配列が、遺伝子変異の特定の遺伝子型の変異部位を含む領域と相同的な塩基配列であることを特徴とする請求項13記載の標的塩基配列識別用キット。
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