JP2011204995A - 大気圧プラズマ成膜装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特殊材料ガスを用いることなく、放電効率の低下を回避して大面積基板にSiなどを成膜できる大気圧プラズマ成膜装置及び方法を得ること。
【解決手段】貫通孔4を備えた略平板状であり、固体誘電体で形成された第一の電極1と、貫通孔5を備えた略平板状であり、固体シリコンで形成され、第一の電極1と略平行に設置された第二の電極2と、第一の電極1と第二の電極2との間に、貫通孔4を介して反応ガス9を供給する反応ガス供給装置91と、第一の電極1と第二の電極2との間に電圧を印加して、第二の電極2から発生したシリコンと反応ガス9との化合物を含んだプラズマガスを第一の電極1と第二の電極2との間に発生させる電源8と、成膜対象の基板3を載置可能であり、貫通孔5を介してプラズマガスが供給される基板ステージ18とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】貫通孔4を備えた略平板状であり、固体誘電体で形成された第一の電極1と、貫通孔5を備えた略平板状であり、固体シリコンで形成され、第一の電極1と略平行に設置された第二の電極2と、第一の電極1と第二の電極2との間に、貫通孔4を介して反応ガス9を供給する反応ガス供給装置91と、第一の電極1と第二の電極2との間に電圧を印加して、第二の電極2から発生したシリコンと反応ガス9との化合物を含んだプラズマガスを第一の電極1と第二の電極2との間に発生させる電源8と、成膜対象の基板3を載置可能であり、貫通孔5を介してプラズマガスが供給される基板ステージ18とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、低真空の圧力範囲において励起されるプラズマによって皮膜を生成する大気圧プラズマ成膜装置及び方法に関する。
半導体デバイスや撮像デバイス、太陽光パネルなどの製造工程では、薄膜形成を行うプラズマプロセスが必要不可欠な技術となっている。このプラズマプロセスとしては、ガス温度が低温で電子温度のみが高温となる低温プラズマが広く用いられている。
低温プラズマを発生させる従来のプラズマ装置は、真空容器内にパルス電力や高周波電力を印加する電力印加電極と、接地された電極とを対向させて配置し、後者の電極に基板を載せ、それらの電極の配置空間を数Pa〜100Paガス圧に調整された反応ガスで満たすようになっている。
このプラズマ生成装置では、電極間の反応ガスが電極間に発生させた電界による放電によって電離し、負電荷を有する電子と、正電荷を有するイオンと、電気的に中性なラジカルとが激しく運動をしながら混在するプラズマ状態(低温プラズマ)が電極間に生成される。
例えば、スパッタリング成膜法では、上記の電力印加電極に薄膜材料となる固体ターゲットを設置し、化学的気相成膜法(Chemical Vapor Deposition:CVD)では、反応ガスに薄膜原料成分を混入させ、それらをプラズマ化して基板に薄膜を堆積させる。
ところで、昨今、半導体デバイスの製造では、成膜対象となる基板が大型化する傾向にある。これは、一度に処理する基板が大きくなると、そこから作り出されるデバイスの個数が多くなり、デバイス単価が安くなるためである。また、撮像デバイスや太陽光パネルにおいても、多用な用途において大面積化の傾向にあると言え、一度に処理しなければならない基板のサイズが大きくなってきている。そうすると、上記の数Pa〜100Paのガス圧に調整してプラズマを生成する技術では、基板を収納する真空容器を基板サイズに合わせて大きくしなければならない。この場合、装置巨大化によるコスト上昇が一括処理によるコスト低減効果を上回ることがあり、結果としてデバイスの製造コストが下がるどころか、逆に高くなってしまうという問題が生じることがある。
大気圧でプラズマが生成でき、それを使って成膜できれば、巨大な真空容器を備えた高価な装置が不要となる。こうした背景の下、大気圧に近い比較的高い気体圧力(具体的には、100Pa以上の大気圧以下のいわゆる低真空の圧力範囲。)で励起されるプラズマ(以下、大気圧プラズマと称す。)を用いた成膜や表面処理の技術が報告されている。このプラズマは、中性粒子温度が電子温度よりも極端に低い非平衡な低温グロープラズマであり、熱平衡となっている熱プラズマとは区別される。大気圧プラズマを用いたシリコン系材料の成膜については、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1に記載の発明は、成膜原料としてシランなどの材料ガスを用い、放電を大気圧下でも安定維持するために平行平板電極の間に高抵抗体を挿入したものである。
特許文献2には、平行平板の電極間に大気圧水素プラズマを発生させ、シリコン(以下、Siと表記する。)の水素化物を気相化させて基板上にSi膜を堆積する手法を開示している。特許文献2に記載の発明は、高周波電力を印加する上部電極に固体のSi板が設置され、これに対面する接地された下部電極に基板が設置される。大気圧グロープラズマの生成原理は、特許文献1と同じ誘電体バリヤ放電であり、冷却された固体Siと水素とが反応してSi水素化物が生成され、加熱された基板ではSi水素化物がSiと水素とに分解され、Siのみが基板に堆積する。
特許文献3に記載の発明は、複数の貫通孔を有する金属基板の表面に誘電体層を設け、金属基板を貫通孔が一致するように複数重ね合わせて電極部とし、大気圧近傍の圧力のガスを貫通孔内に向けて供給するステップと、金属基板間に電圧を印加して貫通孔部分にあるガスをプラズマとするステップと、プラズマを利用して電極部近傍に対峙させた処理対象部材に表面処理を施すステップと、を含むプラズマ処理方法である。
上記のように、大型基板への成膜を必要とする産業分野では、大気圧プラズマ成膜は装置コストを抑制できる有力な技術である。しかしながら、特許文献1、2に記載の発明は、固体Si電極を基板と同等のサイズに大きくする必要があり、これは、デバイスの製造に要する原料コストが高くなることを意味する。この対策として、基板を載せるステージ(以下、基板ステージと称する。)に移動機構を設けることが考えられ、こうすることにより、固体Si電極を大きくせずに成膜することが可能となる。しかし、基板ステージがプラズマ生成用平行平板電極の接地電極を担うため、小面積の固体Si電極から大面積の基板ステージに向けて伸長する電界が横方向へ広がり、放電効率が低下して成膜速度が低下するという問題がある。
放電効率を補うには、固定Si電極に投入する電力を大きくすれば良いが、これは装置の運用コストを引き上げることになり不利益である。したがって、特許文献1、2に記載の発明を大型基板に適用する場合は、大気圧プラズマの利点を十分に活用しきれず、原料コストや運用コストの面で工業的に不利な問題が残ってしまう。
特許文献3に記載の発明は、基板ステージを移動して大面積基板をプラズマ処理・成膜する手法であって、プラズマ生成領域と成膜領域とを分離する。つまり、基板ステージとは別に、プラズマ生成に必要な一対の平行平板電極を設けている。よって、基板ステージが大きくなっても、特許文献1、2に記載の発明の課題であった電界の広がりを避けることができる。
ところが、特許文献3に記載の発明では、上方から導入するガスが成膜の原料となる材料ガスであって、例えばSi成膜の場合は、シランなどの強い毒性を持つ特殊材料を用いることになる。よって、特許文献3に記載の発明では、未反応ガスを安全に排気するための除害装置や基板全体を覆う密閉容器が必要である。つまり、大気圧プラズマを利用するにも関わらず、依然として大掛かりな設備を要し、工業的に不利な問題が残ってしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特殊材料ガスを用いることなく、基板ステージを大きくすることによる放電効率の低下を回避して大面積基板にSiなどを成膜できる大気圧プラズマ成膜装置及び方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の第1の貫通孔を備えた略平板状であり、固体誘電体で形成された第1の電極と、複数の第2の貫通孔を備えた略平板状であり、固体シリコンで形成され、第1の電極と略平行に設置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に、第1の貫通孔を介して反応ガスを供給する手段と、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加して、第2の電極から発生したシリコンと反応ガスとの化合物を含んだプラズマガスを第1の電極と第2の電極との間に発生させる手段と、成膜対象の基板を載置可能であり、第2の貫通孔を介して第1の電極と第2の電極との間から送り出されたプラズマガスが供給される基板ステージとを有することを特徴とする。
本発明によれば、特殊材料ガスを用いることなく、基板ステージを大きくすることによる放電効率の低下を回避して大面積基板にSiなどを成膜できるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる大気圧プラズマ成膜装置及び方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る大気圧プラズマ成膜装置の構成を示す斜視模式図である。上方から順に第一の電極1、第二の電極2、被成膜基板3が互いに略平行に配置される。第一の電極1は、固体誘電体からなり、複数の貫通孔4が設けられている。第二の電極2は固体Si板であって、複数の貫通孔5に加えて、冷媒7を流すための冷媒流路6が設けられている。第二の電極2には電源8によって高周波電圧又はパルス状電圧が印加され、第一の電極1は電気的に接地される。第一の電極1と第二の電極2とは、一対の平行平板電極11をなしている。
図1は、本発明の実施の形態1に係る大気圧プラズマ成膜装置の構成を示す斜視模式図である。上方から順に第一の電極1、第二の電極2、被成膜基板3が互いに略平行に配置される。第一の電極1は、固体誘電体からなり、複数の貫通孔4が設けられている。第二の電極2は固体Si板であって、複数の貫通孔5に加えて、冷媒7を流すための冷媒流路6が設けられている。第二の電極2には電源8によって高周波電圧又はパルス状電圧が印加され、第一の電極1は電気的に接地される。第一の電極1と第二の電極2とは、一対の平行平板電極11をなしている。
反応ガス9は、反応ガス供給装置91によって第一の電極1の上方から導入され、貫通孔4を通過して平行平板電極11の間へ導かれ、そこでプラズマ化される。反応ガス9は、水素を主成分とするが、電離を促進するために放電開始電圧の低いヘリウムを混合してもよい。プラズマ化された水素は、冷却された固体Si板である第二の電極2と反応してSiの水素化物を生成する。生成されたSiの水素化物は、上流からの反応ガス9の流れに乗じて貫通孔5を通過し、下流に配置された基板ステージ18上に載置された被成膜基板3へ向かってプラズマ流10として噴き出される。被成膜基板3は基板ステージ18に設けたヒータ19によって加熱されており、プラズマ流10として噴き出されたSi水素化物は、被成膜基板3上でSiと水素とに分解し、被成膜基板3上でSi薄膜が堆積する。
冷却装置71で冷媒流路6に冷媒7を循環させて、固体Siである第二の電極2を冷却することにより、Si水素化物の生成を促進するだけでなく、第二の電極2の表面にSi水素化物が再付着するのを防ぐことができる。
図1には示していないが、被成膜基板3を載せる基板ステージに水平方向の可動機構を設ければ、大型基板を搬送しながら成膜することができる。
次に、第二の電極2を作成する方法について説明する。図2に、第二の電極2の作成の手順を示す。まず、2枚の固体Si板2a、2bのそれぞれに、後に冷媒流路6となる溝6a、6bを加工しておく。溝6a、6bの断面形状としては、冷媒が流れるときの抵抗を小さくするために半円形断面であることが好ましい(図2(a))。次に、固体Si板2a、2bを、それぞれに設けた溝6a、6bが相対するように位置合わせして、Siの直接接合法によって貼り合わせる(図2(b))。最後に、接合された固体Si板へ複数の貫通孔5を形成する(図2(c))。以上の手順により、第二の電極2を作成できる。
このように、本実施の形態に係る大気圧プラズマ成膜装置は、被成膜基板3と固体Siである第二の電極2との間に、固体Siと水素との反応で生成される成膜種(Si水素化物)の輸送を遮るものがなく、さらに第二の電極2は冷媒7によって冷却されているため、成膜種が貫通孔5表面などに再付着することを抑制できる。よって、平行平板電極11間で生成された成膜種を被成膜基板3へ効率良く輸送できる。
また、プラズマ生成領域と成膜領域とが分離されており、基板ステージが大きくなっても印加した電界が広がることはないため、放電効率の低下を回避できる。すなわち、省エネルギーでの成膜が可能となる。
さらに、成膜の原料として固体Siを用い、シランなどの毒性を有する特殊材料ガスを用いないため、処理済みガスの除外設備が不要であり、真空排気系を簡略化できる。また、特殊材料ガスを用いないため、密閉容器内に装置を収める必要がない。これにより、半導体デバイスや撮像デバイス、太陽電池パネルなどを生産する際の環境負荷を低減できる。
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係る大気圧プラズマ成膜装置の構成を示す断面模式図である。上方から順に第一の電極1、第二の電極2、被成膜基板3が互いに略平行に配置される。第一の電極1は、反応ガス9の導入口が設けられたガス溜め部12と、複数の貫通孔4を有しガス溜め部12に貼り合わされた固体誘電体13からなる。第二の電極2は、複数の貫通孔5を有する固体Si板14と、複数の貫通孔5及び冷媒流路6を有し、固体Si板14に貼り合わされた冷却板15からなる。ここで、固体Si板14と冷却板15の各々の貫通孔5は、互いに位置が同じとなるように配置されている。第二の電極2には電圧印加部16を介して電源8によって高周波電圧又はパルス状電圧が印加され、第一の電極1は電気的に接地されている。第一の電極1と第二の電極2とは一対の平行平板電極をなしている。
図3は、本発明の実施の形態2に係る大気圧プラズマ成膜装置の構成を示す断面模式図である。上方から順に第一の電極1、第二の電極2、被成膜基板3が互いに略平行に配置される。第一の電極1は、反応ガス9の導入口が設けられたガス溜め部12と、複数の貫通孔4を有しガス溜め部12に貼り合わされた固体誘電体13からなる。第二の電極2は、複数の貫通孔5を有する固体Si板14と、複数の貫通孔5及び冷媒流路6を有し、固体Si板14に貼り合わされた冷却板15からなる。ここで、固体Si板14と冷却板15の各々の貫通孔5は、互いに位置が同じとなるように配置されている。第二の電極2には電圧印加部16を介して電源8によって高周波電圧又はパルス状電圧が印加され、第一の電極1は電気的に接地されている。第一の電極1と第二の電極2とは一対の平行平板電極をなしている。
以下に、平行平板電極のより詳細な構造と、プラズマ生成及び成膜の工程について説明する。第一の電極1は、ガス溜め部12と固体誘電体13とが貼り合わされている。ガス溜め部12は、反応ガス導入管21が接続されるとともに、平行平板電極の接地電極として電気的に接地されている。よって、ガス溜め部12の材料は金属であることが好ましい。固体誘電体13の材料は、アルミナや石英ガラスなどが好ましい。なお、ガス溜め部12や反応ガス導入管21、冷媒7の流路となる管の各々は、絶縁リング17によって電圧印加部16とは電気的に絶縁されている。
反応ガス9は、反応ガス供給装置91によって、第一の電極1の上方から、反応ガス導入管21を介してガス溜め部12の内部に導入される。反応ガス9は、貫通孔4を通過して平行平板電極の間へ導かれ、そこでプラズマ化される。反応ガス9は、水素を主成分とするが、電離を促進するために放電開始電圧の低いヘリウムを混合しても良い。
第二の電極2は、固体Si板14と冷却板15とが貼り合わされて形成されており、その外周部に額縁状の絶縁スペーサ22を設け、第一の電極1に対面して配置する。
第一の電極1、第二の電極2、絶縁スペーサ22、電圧印加部16は、電極セット20として一体化されており、外側に配置された電極セット保持部24で保持されている。電極セット保持部24は、電圧印加部16をプラズマから保護するために固体誘電体で形成されている。電極セット保持部24は、金属製の保持板25によって支持されている。なお、保持板25はユーザの感電防止のために接地されている。
図4に、第二の電極2の断面の一部を拡大して示す。冷却板15は、加熱された基板ステージから気体を介して伝わる伝導熱や輻射熱、プラズマ発生に伴う熱を効率良く吸収するため金属製であることが好ましい。一方、被射物を破壊する恐れのあるアーク放電を避けるには、冷却板15の表面は絶縁体であることが好ましい。例えば、冷却板15の母材はアルミ合金とし、その表面は陽極酸化処理(アルマイト処理)などによって酸化アルミ皮膜23を形成して冷却板15とすると良い。冷却板15の中には冷媒流路6を形成しておき、一定の温度に保った冷媒7(水など)をこの中を通して循環させ、装置の外部へ放熱する構成とする。固体Si板14には、プラズマ励起用の電源8から所望の電圧が電圧印加部16を介して印加される。したがって、冷却板15の表面のうち、固体Si板14と接合する面及び電圧印加部16と接する面には酸化アルミ皮膜23は形成されないようにしておく。
上記の電極構造で、水素を含む反応ガス9はプラズマ化され、冷却板15によって冷却された固体Si板14と反応してSiの水素化物が生成される。生成されたSiの水素化物は、上流からの反応ガス9の流れに乗じて、貫通孔5を通過して、下流に配置された基板ステージ18上に載置された被成膜基板3へ向かってプラズマ流10として噴き出される。被成膜基板3は、基板ステージ18に設けたヒータ19によって加熱されており、上記のようにプラズマ流10として噴き出されたSi水素化物は、被成膜基板3上でSiと水素とに分解し、被成膜基板3上にはSi薄膜が堆積する。ここで、冷却装置71で冷媒流路6に冷媒7を循環させて、固体Si板14を冷却板15によって冷却することで、実施の形態1と同様に、Si水素化物の生成を促進するだけでなく、固体Si板14の表面にSi水素化物が再付着するのを抑制できる。また、基板ステージ18には水平方向の可動機構が設けられており、大型基板を搬送しながら成膜できる。
次に、第二の電極2の貫通孔5の寸法規定について説明する。図4に示すように、固体Si板14の貫通孔の幅5aは、冷却板15の貫通孔の幅5b以下である(固体Si板14の貫通孔の幅5a≦冷却板15の貫通孔の幅5b)ことが好ましい。固体Si板14と冷却板15とには、予め各々に貫通孔5a、5bを形成してから接合するが、互いの孔の位置を完全に一致させることは技術的に困難である。そして、冷却板15の固体Si板14に対する接合面は、電気的導通をとるために絶縁処理をしていない金属面である。したがって、接合時に貫通孔5a、5bの位置ずれが生じ、冷却板15の金属面がSi水素化物の通過する空間中に露出すると、アーク放電を起こして第一の電極1や第二の電極2及びその周辺の部材(ガス溜め部12や冷却板15)を損傷させる。しかし、貫通孔5a、5bに上記の大小関係を設けておくことで、固体Si板14と冷却板15との接合時に位置ずれが生じても、冷却板15の金属面がSi水素化物の通過する空間中に露出しないようにできる。
本実施の形態に係る大気圧プラズマ成膜装置は、冷媒流路6を備えた冷却板15を、Siの供給源として消耗する固体Si板14とは別個に設けている。これにより、固体Si板14の加工コストを低く抑え、デバイスの製造コストを低減できる。また、冷却板15は再利用することで、製造段階での環境負荷を低減できる。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る大気圧プラズマ成膜装置の構成を示す断面模式図である。図6は、ガスカーテン機構を付加した電極セット20を基板ステージ18側から見た平面模式図である。実施の形態2とほぼ同様であるが、電極セット20の周囲にガスカーテン機構が設けられ、被成膜基板3を覆う密閉容器を要しない開放系での成膜装置として構成されている点で相違する。ガスカーテン機構は、保持板25を基板ステージ18側へ延長し、基板ステージ18と対向する部分にアルミナや石英などを材料とした固体誘電体30を設置することによって形成可能である。なお、保持板25は、ユーザの感電防止のために接地されている。保持板25は、局所ガス排気口26及びカーテンガス導入口28によって分割されていても良く、分割されている場合にはユーザが触れる可能性がある部分のみ接地してもよい。
図5は、本発明の実施の形態3に係る大気圧プラズマ成膜装置の構成を示す断面模式図である。図6は、ガスカーテン機構を付加した電極セット20を基板ステージ18側から見た平面模式図である。実施の形態2とほぼ同様であるが、電極セット20の周囲にガスカーテン機構が設けられ、被成膜基板3を覆う密閉容器を要しない開放系での成膜装置として構成されている点で相違する。ガスカーテン機構は、保持板25を基板ステージ18側へ延長し、基板ステージ18と対向する部分にアルミナや石英などを材料とした固体誘電体30を設置することによって形成可能である。なお、保持板25は、ユーザの感電防止のために接地されている。保持板25は、局所ガス排気口26及びカーテンガス導入口28によって分割されていても良く、分割されている場合にはユーザが触れる可能性がある部分のみ接地してもよい。
電極セット20の周囲に、局所ガス排気口26が配置され、さらにその周囲にカーテンガス導入口28が配置される。カーテンガス29としては、ヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガスを用いる。カーテンガス29は、外部から成膜領域内に空気が混入することを避けるために導入する。成膜領域に空気が混入すると、堆積する薄膜の性能を低下させるため、密閉容器を用いない開放系の成膜装置では必須となる。
局所ガス排気口26は、電極セット20から噴き出される反応ガス9のうち成膜を経た残留ガス27を吸引し、外部に漏洩させない役割を担う。局所ガス排気口26は、上記残留ガスと同時にその周囲のカーテンガス導入口28から吹き付けられるカーテンガス29の一部も吸引する。局所ガス排気口26及びカーテンガス導入口28に繋がる配管には、途中に流量計などを設置し、排気流量と不活性ガス導入量とを制御する。これにより、必要以上に不活性ガスを消費することを抑制できる。
図5には示していないが、実施の形態1と同様に、被成膜基板3を載せる基板ステージ18に水平方向の可動機構を設ければ、大型基板を搬送しながら成膜を行える。
なお、ここでは実施の形態2と同様の電極セットに対してガスカーテン機構を設けた場合を例としたが、実施の形態1と同様の平行平板電極に対してガスカーテン機構を設けることも可能である。
このように本実施の形態に係る大気圧プラズマ成膜装置は、ガスカーテン機構を備えているため、装置を密閉容器に収容する必要が無く、開放系での成膜が可能である。したがって、大型基板への成膜が可能な装置を低コストで形成できる。
本実施の形態にかかる大気圧プラズマ成膜装置は、大面積基板の成膜技術において、特殊材料ガスを用いずにSiなどを成膜すること、及び基板ステージを大きくした場合に放電効率の低下を回避することの2点を両立して、大気圧プラズマの利点を最大限に発揮することができる。さらに、ガスカーテン機構を設けることで、真空容器を要しない製造負荷及び環境負荷の小さい成膜装置とすることができる。
以上のように、本発明にかかる大気圧プラズマ成膜装置及び方法は、特殊材料ガスを用いずに成膜できる点で有用であり、特に、大面積基板への成膜に適している。
1 第一の電極
2 第二の電極
3 被成膜基板
4、5、5a、5b 貫通孔
6 冷媒流路
7 冷媒
8 電源
9 反応ガス
10 プラズマ流
11 平行平板電極
12 ガス溜め部
13、30 固体誘電体
14 固体Si板
15 冷却板
16 電圧印加部
17 絶縁リング
18 基板ステージ
19 ヒータ
20 電極セット
21 反応ガス導入管
22 絶縁スペーサ
23 酸化アルミ皮膜
24 電極セット保持部
25 保持板
26 局所ガス排気口
27 残留ガス
28 カーテンガス導入口
29 カーテンガス
71 冷却装置
91 反応ガス供給装置
2 第二の電極
3 被成膜基板
4、5、5a、5b 貫通孔
6 冷媒流路
7 冷媒
8 電源
9 反応ガス
10 プラズマ流
11 平行平板電極
12 ガス溜め部
13、30 固体誘電体
14 固体Si板
15 冷却板
16 電圧印加部
17 絶縁リング
18 基板ステージ
19 ヒータ
20 電極セット
21 反応ガス導入管
22 絶縁スペーサ
23 酸化アルミ皮膜
24 電極セット保持部
25 保持板
26 局所ガス排気口
27 残留ガス
28 カーテンガス導入口
29 カーテンガス
71 冷却装置
91 反応ガス供給装置
Claims (7)
- 複数の第1の貫通孔を備えた略平板状であり、固体誘電体で形成された第1の電極と、
複数の第2の貫通孔を備えた略平板状であり、固体シリコンで形成され、前記第1の電極と略平行に設置された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記第1の貫通孔を介して反応ガスを供給する手段と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記第2の電極から発生したシリコンと前記反応ガスとの化合物を含んだプラズマガスを前記第1の電極と前記第2の電極との間に発生させる手段と、
成膜対象の基板を載置可能であり、前記第2の貫通孔を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間から送り出された前記プラズマガスが供給される基板ステージとを有する大気圧プラズマ成膜装置。 - 前記第2の電極を冷却する手段を有することを特徴とする請求項1記載の大気圧プラズマ成膜装置。
- 複数の第1の貫通孔を備えた略平板状の固体誘電体と、反応ガスの導入口を備えたガス溜め部材とを接合して形成された第1の電極と、
複数の第2の貫通孔を備えた略平板状の固体シリコンと、前記第2の貫通孔と繋がるように形成された複数の第3の貫通孔及び冷媒流路を備えた略平板状の冷却板とを接合して形成され、前記第1の電極と略平行に設置された第2の電極と、
前記冷媒流路に冷媒を循環させて前記第2の電極を冷却する手段と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記導入口及び前記第1の貫通孔を介して前記反応ガスを供給する手段と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して、前記第2の電極から発生したシリコンと前記反応ガスとの化合物を含んだプラズマガスを前記第1の電極と前記第2の電極との間に発生させる手段と、
成膜対象の基板を載置可能であり、前記基板を加熱するヒータを備え、前記第2の貫通孔及び前記第3の貫通孔を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間から送り出された前記プラズマガスが供給される基板ステージとを有する大気圧プラズマ成膜装置。 - 前記第2の貫通孔の断面積は、前記第3の貫通孔の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の大気圧プラズマ成膜装置。
- 前記基板の外形よりも大きい環状の排気口から前記基板ステージ表面近傍のガスを吸引して排気する排気手段と、
前記排気口よりもさらに大きい環状の噴射口から基板ステージへ向けて不活性ガスを噴射する手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の大気圧プラズマ成膜装置。 - 前記基板ステージを前記第1及び第2の電極と平行に移動させる機構をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の大気圧プラズマ成膜装置。
- 複数の第1の貫通孔を備えた略平板状であり固体誘電体で形成された第1の電極と、複数の第2の貫通孔を備えた略平板状であり固体シリコンで形成された第2の電極との間に、前記第1の貫通孔を介して反応ガスを供給する工程と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加し、前記第2の電極に由来するシリコンと前記反応ガスとの化合物を含んだプラズマガスを前記第1の電極と前記第2の電極との間で生成する工程と、
成膜対象の基板に、前記第2の貫通孔を介して前記第1の電極と前記第2の電極との間から前記プラズマガスを供給する工程とを有する大気圧プラズマ成膜方法。
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