以下に添付図面を参照して、開示の基地局装置および通信方法の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(基地局装置の構成)
図1は、実施の形態1にかかる基地局装置の構成を示す図である。この基地局装置(自局)100は、外部装置に接続される回線終端部101と、呼処理制御部102と、ベースバンド信号処理部103と、送受信増幅部104と、アンテナ105を備えている。
呼処理制御部102は、上述した電力比に対応する電力オフセット値PAの変更判定および決定や、端末との通信を行う際のメッセージ(RRC message)の終端処理を行う。ベースバンド信号処理部103は、L2処理部103a、スケジューラ103b、チャネルコーディング部103c、変復調部103dを備えており、端末と通信するためのベースバンド信号を生成する。なお、呼処理制御部102が行っている電力オフセット値PAの変更判定および決定はスケジューラ103bが行うこともできる。
スケジューラ103bは、複数ユーザの各端末のスケジューリング処理を行う。このスケジューラ103bは、LTEのように複数の端末でチャネルを共有する場合には、フレーム毎にチャネルに割り当てる端末を選択する。また、どのような送信パラメータで送信するかの判定を行い、送信パラメータをチャネルコーディング部103cおよび変復調部103dに指示する。送信パラメータは、16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing等の変調方式、およびMU−MIMOの通信方式等を示す。また、上記の各送信パラメータは、いずれも効率的なデータ送信が行える変調方式等である。ただし、これらの各送信パラメータは、電力オフセット値PAが基地局装置と端末との間で不一致の場合(リファレンスに対する電力比が不明な状態においては、復号に誤りが生じる通信方式(変調方式等)である。
そして、本発明では、さらに送信パラメータとして、電力オフセット値PAが基地局装置と端末との間で不一致であっても、端末側で復号が可能であり、通信継続可能とする通信方式、例えば、MIMO以外のシングルコードワードのQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の変調方式を用意してある。このQPSK変調による通信では、上記問題とされた、電力比の認識に差分が生じても復号に誤りが生じない構成である。電力比の認識に差分が生じても符号に誤りが生じない送信パラメータであればQPSK以外でもよい。
実施の形態1では、スケジューラ103bは、不図示のタイマを有し、所定時間Tを計時する。この所定時間Tは、基地局装置100側で新電力オフセット値PA_NEWを更新してから、端末が新電力オフセット値PA_NEWを受信した後、この新電力オフセット値PA_NEWが変更されるまでに相当する時間(端末で認識され、基地局装置100と電力オフセット値PAの認識が一致するまでの時間に相当)を考慮した余裕のある時間に設定されている。
チャネルコーディング部103cおよび変復調部103dは、スケジューラ103bにより決定された送信パラメータに応じて上記の各変調方式(QPSK、16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing等)、あるいはMU−MIMO等の通信方式に切り替え可能である。送受信増幅部104は、ベースバンド信号処理部103で生成されたベースバンド信号を増幅しアンテナ105を介して無線信号を端末に送信する。
(端末の構成)
図2は、実施の形態1にかかる端末の構成を示す図である。端末200は、アンテナ201を介して基地局装置100からの無線信号を送受信増幅部202で受信し、基地局装置100側で設定した送信パラメータ(上記の変調方式、あるいは通信方式)に対応する復調方式、あるいは通信方式で受信信号を復調等する。呼処理制御部203は、基地局装置100と通信を行うRRC messageの終端処理を実施する。ベースバンド信号処理部204は通知された電力オフセット値PAに従い、受信したベースバンド信号の復調処理を行う。アプリケーション処理部205には、復調後の受信信号が入力され、端末200が有する各種処理を実行する。
(基地局装置および端末の動作シーケンス)
図3は、実施の形態1による基地局装置および端末が実行する動作シーケンス図である。基地局装置100の呼処理制御部102は、端末200に対する通信状態の変更(例えば、他のセルとの電力干渉を防止する際の電力変更等)に基づいて、電力オフセット値PAの変更を決定すると(ステップS301)、ベースバンド信号処理部103に新しい電力オフセット値(新電力オフセット値)PA_NEWを通知する(ステップS302)。ベースバンド信号処理部103は、それまでの電力オフセット値(旧電力オフセット値)PA_OLDを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS303)。
また、呼処理制御部102は、新電力オフセット値PA_NEWのデータを含むRRCコネクションの確立の処理(RRC connection reconfiguration)を生成し、ベースバンド信号処理部103、送受信増幅部104を経由して端末200に通知する(ステップS304)。なお、ステップS302、およびステップS304の処理は、いずれを先に行ってもよい。
端末200側では、呼処理制御部203が受信した新電力オフセット値PA_NEWをベースバンド信号処理部204に通知する。ベースバンド信号処理部204は、通知を受けて電力オフセット値PAを旧電力オフセット値PA_OLDから新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS305)。
(基地局装置のベースバンド信号処理部の動作)
図4は、実施の形態1のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。図には、ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bが行う動作を示している。ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS401)、すぐにこの電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS402)。
スケジューラ103bは、送信先の端末200に対する状態管理パラメータとして、送信制限フラグを有する。そして、スケジューラ103bは、ステップS402による電力オフセット値PAの更新時に、送信制限フラグをONにする(ステップS403)。そして、タイマによる所定時間Tのタイマカウントを開始し(図3参照、ステップS404)、所定時間Tの満了を待ち(ステップS405:Noのループ)、所定時間Tが満了すると(ステップS405:Yes)、送信制限フラグをOFFにする(ステップS406)。
図5は、スケジューリング時の送信パラメータ決定の処理を示すフローチャートである。スケジューラ103bは、LTE等、複数の端末でチャネルを共有する場合、フレーム毎にチャネルにどの端末を割り当てるか、また、どの送信パラメータで送信するかの判定を行う。
そして、このスケジューリングの際に、送信先に選択した端末200に対する送信制限フラグ(図4参照)がONであるかOFFであるかを判定する(ステップS501)。送信制限フラグがOFFである期間中は、通常通りスケジューリングにより決定された送信パラメータ(QSPK、16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing、あるいはMU−MIMO等)で送信を行う(ステップS502)。一方、送信制限フラグがONの期間中(図4の所定時間T)は、電力オフセット値PAが基地局装置100と端末200との間で不一致が生じても端末200が通信継続可能な送信パラメータ(QPSK変調等)に一時的に変更する(ステップS503)。
実施の形態1によれば、基地局装置100と端末200の間で電力オフセット値PAの認識が不一致の期間中においても、基地局装置100から端末200に対しては、継続可能な通信方式(QPSK等)を用いて通信を継続できるようになる。ところで、タイマによる所定時間Tの満了後においては、ステップS502に示す通常通りのスケジューリングにより決定された送信パラメータ(QPSKに比してより効率的な16QAMの変調方式等を用いた)送受信を行うことが可能である。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1と比べて、基地局装置100のベースバンド信号処理部103が、タイマによる所定時間Tの経過後に新電力オフセット値PA_NEWに更新する点が異なる。
図6は、実施の形態2による基地局装置および端末が実行する動作シーケンス図である。基地局装置100の呼処理制御部102は、電力オフセット値PAの変更を決定すると(ステップS301)、ベースバンド信号処理部103に新電力オフセット値PA_NEWを通知する(ステップS302)。同時に、新電力オフセット値PA_NEWを含むRRC connection reconfigurationを生成し、ベースバンド信号処理部103、送受信増幅部104を経由して端末200に通知する(ステップS304)。
端末200側では、呼処理制御部203は新電力オフセット値PA_NEWを受信し、ベースバンド信号処理部204に通知する。端末200のベースバンド信号処理部204は、すぐに電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS305)。
この実施の形態2では、基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、新電力オフセット値PA_NEWが通知されても、すぐに電力オフセット値PAを更新しない。その後、タイマによる所定時間Tのタイマカウントを開始し、タイマ満了後に、電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS603)。なお、フレーム毎に行う送信パラメータの決定動作は実施の形態1(図5参照)と同様である。
図7−1は、実施の形態2のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS701)、送信制限フラグをONにする(ステップS702)。そして、タイマによる所定時間Tのタイマカウントを開始し(図6参照、ステップS703)、所定時間Tの満了を待ち(ステップS704:Noのループ)、所定時間Tが満了すると(ステップS704:Yes)、電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新するとともに(ステップS705)、送信制限フラグをOFFにする(ステップS706)。
実施の形態2によれば、基地局装置100と端末200の間で電力オフセット値PAの認識が不一致の期間中においても、基地局装置100から端末200に対しては、継続可能な通信方式(QPSK等)を用いて通信を継続できるようになる。
また、実施の形態2によれば、電力オフセット値PAは、タイマによる所定時間Tの満了後に変更されるため、新電力オフセット値PA_NEWが上がるときには、所定時間Tまでの間の送信電力を実施の形態1に比して低減できるようになる。
(実施の形態2の変形例)
ここで、実施の形態2の変形例を説明する。図7−2は、実施の形態2のベースバンド信号処理部が行う動作内容の他の例を示すフローチャートである。この処理では、電力オフセット値PAをそれまでの電力オフセット値PAと比較し、値の大小に応じて、端末200に対する新電力オフセット値PA_NEWの送信の時期を切り替える点を加えてある。
ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS710)、電力オフセット値PAの値をそれまでの電力オフセット値PA_OLDの値と比較する(ステップS711)。そして、新電力オフセット値PA_NEWの値が下がる(PA_OLD>PA_NEW)ときには(ステップS711:Yes)、すぐに電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新し(ステップS712)、ステップS714に移行する。一方、新電力オフセット値PA_NEWの値が上がる(PA_OLD<PA_NEW)ときには(ステップS711:No)、電力オフセット値の更新をこの段階では行わず、未更新フラグを立て(F=1)(ステップS713)、ステップS714に移行する。
この後、送信制限フラグをONにする(ステップS714)。そして、タイマによる所定時間Tのタイマカウントを開始し(図6参照、ステップS715)、所定時間Tの満了を待ち(ステップS716:Noのループ)、所定時間Tが満了すると(ステップS716:Yes)、更新済みフラグを検知し、未更新フラグが立っていなければ(F=0)(ステップS717:No)、電力オフセット値PAが更新済みであり、ステップS719に移行する。未更新フラグが立っていれば(F=1)(ステップS717:Yes)、このときに、電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS718)。この後、送信制限フラグをOFFにし(ステップS719)、未更新フラグをクリア(F=0)する(ステップS720)。
このように、呼処理制御部102は、新電力オフセット値PA_NEWが上がるか、あるいは下がることを検知して、下がる場合には、実施の形態1の処理(すぐに新電力オフセット値PA_NEWを送信)を実行し、上がる場合には実施の形態2の処理(所定時間Tの満了後に新電力オフセット値PA_NEWを送信)を実行するよう、切り替える。これにより、新電力オフセット値PA_NEWがそれまでの電力オフセット値PAに比して上がる場合であっても、下がる場合であっても、所定時間Tの間における送信電力をできるだけ低減できるより、装置の消費電力を低減することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、上記の実施の形態1等で説明したタイマカウントを行わず、端末200側からの返答に基づいて送信制限フラグをOFFにする構成である。
図8は、実施の形態3による基地局装置および端末が実行する動作シーケンス図である。基地局装置100の呼処理制御部102は、端末200との通信状態の変更に基づき、電力オフセット値PAの変更を決定すると(ステップS301)、ベースバンド信号処理部103に新しい電力オフセット値(新電力オフセット値)PA_NEWを通知する(ステップS302)。ベースバンド信号処理部103は、それまでの電力オフセット値(旧電力オフセット値)PA_OLDを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS303)。
また、呼処理制御部102は、新電力オフセット値PA_NEWのデータを含むRRCコネクションの確立の処理(RRC connection reconfiguration)を生成し、ベースバンド信号処理部103、送受信増幅部104を経由して端末200に通知する(ステップS304)。
端末200側では、呼処理制御部203が受信した新電力オフセット値PA_NEWをベースバンド信号処理部204に通知する。ベースバンド信号処理部204は、通知を受けて電力オフセット値PAを旧電力オフセット値PA_OLDから新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS305)。この後、端末200の呼処理制御部203は、RRC connection reconfigurationに対する返答(RRC connection complete)を基地局装置100に送信する(ステップS806)。
基地局装置100では、呼処理制御部102がRRC connection completeを受信すると、ベースバンド信号処理部103にACKを出力する(ステップS807)。このACKは、基地局装置100がステップS304で端末200に送信したRRC connection reconfigurationに対し、端末200から送信される肯定の返答(RRC connection complete)に基づき得られる。
図9は、実施の形態3のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS901)、すぐにこの電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS902)。
そして、ステップS902による電力オフセット値PAの更新時に、送信制限フラグをONにする(ステップS903)。その後、呼処理制御部102からACKの受信を待ち(ステップS904:Noのループ)、ACKを受信すると(ステップS904:Yes)、ベースバンド信号処理部103にACKの受信を通知し、ベースバンド信号処理部103は送信制限フラグのOFF処理を行う(ステップS905)。なお、フレーム毎に行う送信パラメータの決定動作は実施の形態1(図5参照)と同様である。
実施の形態3によれば、基地局装置100と端末200の間で電力オフセット値PAの認識が不一致の期間中においても、基地局装置100から端末200に対しては、継続可能な通信方式(QPSK等)を用いて通信を継続できるようになる。また、端末200側で新電力オフセット値PA_NEWに更新した後に、端末200からRRC connection completeを基地局装置100に送信し、基地局装置100のベースバンド信号処理部103がACKを受信して送信制限フラグをOFFにする構成であるため、実施の形態1のタイマ等を用いずに端末200側の状態に応じて、通常通りのスケジューリングにより決定された送信パラメータ(QPSKに比してより効率的な16QAMの変調方式等を用いた)送受信を行うことが可能となる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、上記の実施の形態2等で説明したタイマカウントを行わず、端末200側からの返答に基づいて送信制限フラグをOFFにする構成である。
図10は、実施の形態4による基地局装置および端末が実行する動作シーケンス図である。基地局装置100の呼処理制御部102は、電力オフセット値PAの変更を決定すると(ステップS301)、ベースバンド信号処理部103に新電力オフセット値PA_NEWを通知する(ステップS302)。同時に、新電力オフセット値PA_NEWを含むRRC connection reconfigurationを生成し、ベースバンド信号処理部103、送受信増幅部104を経由して端末200に通知する(ステップS304)。
端末200側では、呼処理制御部203は新電力オフセット値PA_NEWを受信し、ベースバンド信号処理部204に通知する。端末200のベースバンド信号処理部204は、すぐに電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS305)。この後、端末200の呼処理制御部203は、RRC connection reconfigurationに対する返答(RRC connection complete)を基地局装置100に送信する(ステップS1006)。
基地局装置100では、呼処理制御部102がRRC connection completeを受信すると、ベースバンド信号処理部103にACKを出力する(ステップS1007)。このACKは、基地局装置100がステップS304で端末200に送信したRRC connection reconfigurationに対し、端末200から送信される肯定の返答(RRC connection complete)に基づき得られる。ACKの受信に基づき、ベースバンド信号処理部103は、電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS1008)。なお、フレーム毎に行う送信パラメータの決定動作は実施の形態1(図5参照)と同様である。
図11は、実施の形態4のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS1101)、送信制限フラグをONにする(ステップS1102)。そして、ACKの受信を待つ(ステップS1103:Noのループ)。ACKを受信すると(ステップS1103:Yes)、電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新するとともに(ステップS1104)、送信制限フラグをOFFにする(ステップS1105)。
実施の形態4によれば、基地局装置100と端末200の間で電力オフセット値PAの認識が不一致の期間中においても、基地局装置100から端末200に対しては、継続可能な通信方式(QPSK等)を用いて通信を継続できるようになる。さらに、電力オフセット値PAは端末200側で新電力オフセット値PA_NEWに更新した後に、端末200からRRC connection completeを基地局装置100に送信し、基地局装置100のベースバンド信号処理部103がACKを受信してから電力オフセット値PAを更新する構成であるため、実施の形態2のタイマ等を用いずに端末200側の状態に応じて、通常通りのスケジューリングにより決定された送信パラメータ(QPSKに比してより効率的な16QAMの変調方式等を用いた)送受信を行うことが可能となる。
また、実施の形態4によれば、実施の形態2同様に、電力オフセット値PAは、RRC connection complete受信後に変更されるため、新電力オフセット値PA_NEWが上がるときには、RRC connection complete受信後までの間の送信電力を実施の形態3に比して低減できるようになる。
また、実施の形態2の変形例(図7−2参照)のように、電力オフセット値PAをそれまでの電力オフセット値PAと比較し、値の大小に応じて、端末200に対する新電力オフセット値PA_NEWの変更時期を切り替える構成とすれば、新電力オフセット値PA_NEWがそれまでの電力オフセット値PAに比して上がる場合であっても、下がる場合であっても、電力オフセット値PA変更決定から、RRC connection complete受信後までの間における送信電力をできるだけ低減できるようになり、装置の消費電力を低減することができる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、上記の実施の形態1等で説明したタイマカウントを行わず、また、端末200に向けて電力オフセット値PAを更新したRRCメッセージを送信したことを記憶しておき、端末200からのRRCメッセージを含むMAC PDUを含んだPDSCH信号の返答に基づき送信制限フラグをOFFにする構成である。
図12は、実施の形態5による基地局装置および端末が実行する動作シーケンス図である。基地局装置100の呼処理制御部102は、端末200との通信状態の変更に基づき、電力オフセット値PAの変更を決定すると(ステップS301)、ベースバンド信号処理部103に新しい電力オフセット値(新電力オフセット値)PA_NEWを通知する(ステップS302)。ベースバンド信号処理部103は、それまでの電力オフセット値(旧電力オフセット値)PA_OLDを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS303)。
また、呼処理制御部102は、新電力オフセット値PA_NEWのデータを含むRRCコネクションの変更の処理(RRC connection reconfiguration)を生成し、ベースバンド信号処理部103に通知する(ステップS304)。
図13は、RRCメッセージ通知フォーマットを示す図である。ステップS304において、呼処理制御部102は、ベースバンド信号処理部103に対し、例えば、図に示すRRC message拡張フォーマット1300を用いて通知する。このフォーマットには、電力オフセット値PA変更フラグ1301と、該当する端末200の端末識別番号1302と、上述したRRC connection reconfiguration1303とを有する。
そして、呼処理制御部102は、電力オフセット値PA変更フラグ1301を有効としておく。これを受けたベースバンド信号処理部103は、RRC connection reconfiguration1303のみを抜き出してMAC PDUを生成し、送受信増幅部104を経由して端末200に通知する。また、ベースバンド信号処理部103では、電力オフセット値PA変更フラグ1301が有効であるため、該当する端末200向けに送信したRRC message拡張フォーマット1300により生成されたMAC PDUのメッセージ(MSG)は、RRC connection reconfigurationであると認識し、記憶しておく(図12のステップS1206)。
端末200側では、呼処理制御部203は、RRC connection reconfigurationに含まれる新電力オフセット値PA_NEWを受信すると、この新電力オフセット値PA_NEWをベースバンド信号処理部204に通知する。そして、端末200のベースバンド信号処理部204は、RRC connection reconfigurationを含むMAC PDUを含んだPDSCHに対する返答であるACKを基地局装置100に送信する(ステップS1207)。また、端末200のベースバンド信号処理部204は、すぐに電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS305)。
基地局装置100では、ベースバンド信号処理部103が端末200からPDSCHに対するACKを受信すると、該当する端末200に対して送信したRRC connection reconfigurationを含むMAC PDUに対する肯定の返答であると判定する(ステップS1208)。
図14は、実施の形態5のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS1401)、すぐにこの電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS1402)。
そして、ステップS1402による電力オフセット値PAの更新時に、送信制限フラグをONにする(ステップS1403)。そして、端末200向けに送信したRRC message拡張フォーマット1300により生成されたMAC PDUのメッセージ(MSG)は、RRC connection reconfigurationであると、メッセージを認識し(ステップS1404)、この後は、そのMAC PDUを含むPDSCHのACKの返答を監視する(ステップS1405:Noのループ)。そして、ACKを受信するとMAC PDUのACKを受信したと判定し(ステップS1405:Yes)、ベースバンド信号処理部103は送信制限フラグのOFF処理を行う(ステップS1406)。ACK受信後、送信制限フラグをOFFするまでの時間は端末200側の電力オフセット値PAの更新にかかる時間だけ待つ。ただし、通常基地局装置100、端末200における処理速度に大きな違いは無く、その更新にかかる時間は非常に短い。また、端末200側の電力オフセット値PAの更新にかかる時間の方が短いことが保証されている場合は、待ち時間は不要である。なお、フレーム毎に行う送信パラメータの決定動作は実施の形態1(図5参照)と同様である。
実施の形態5によれば、基地局装置100と端末200の間で電力オフセット値PAの認識が不一致の期間中においても、基地局装置100から端末200に対しては、継続可能な通信方式(QPSK等)を用いて通信を継続できるようになる。また、基地局装置100のベースバンド信号処理部103が送信したRRC connection reconfigurationを含むMAC PDUを含んだPDSCH信号に対するACKを受信して送信制限フラグをOFFにする構成であるため、実施の形態1のタイマ等を用いずに端末200側の状態に応じて、通常通りのスケジューリングにより決定された送信パラメータ(QPSKに比してより効率的な16QAMの変調方式等を用いた)送受信を行うことが可能となる。
(実施の形態6)
実施の形態6では、上記の実施の形態2等で説明したタイマカウントを行わず、また、端末200に向けてRRCメッセージを送信したことを記憶しておき、端末200からのRRCメッセージを含むMAC PDUを含んだPDSCH信号の返答に基づき電力オフセット値PAを更新し、送信制限フラグをOFFにする構成である。
図15は、実施の形態6による基地局装置および端末が実行する動作シーケンス図である。基地局装置100の呼処理制御部102は、端末200との通信状態の変更に基づき、電力オフセット値PAの変更を決定すると(ステップS301)、ベースバンド信号処理部103に新しい電力オフセット値(新電力オフセット値)PA_NEWを通知する(ステップS302)。この際、ベースバンド信号処理部103は、電力オフセット値PA_NEWカ゛通知されてもすぐに電力オフセット値PAを更新せず、端末200に対する送信制限フラグをONとしておく。
また、呼処理制御部102は、新電力オフセット値PA_NEWのデータを含むRRCコネクションの変更の処理(RRC connection reconfiguration)を生成し、ベースバンド信号処理部103に通知する(ステップS304)。この実施の形態6においても、実施の形態5(図13)に示したRRC message拡張フォーマット1300を用いる。
そして、呼処理制御部102は、電力オフセット値PA変更フラグ1301を有効としておく。これを受けたベースバンド信号処理部103は、RRC connection reconfiguration1303のみを抜き出してMAC PDUを生成し、送受信増幅部104を経由して端末200に通知する。また、ベースバンド信号処理部103では、電力オフセット値PA変更フラグ1301が有効であるため、該当する端末200向けに送信したRRC message拡張フォーマット1300により生成されたMAC PDUのメッセージ(MSG)は、RRC connection reconfigurationであると認識し、記憶しておく(ステップS1506)。
端末200側では、呼処理制御部203は、RRC connection reconfigurationに含まれる新電力オフセット値PA_NEWを受信すると、この新電力オフセット値PA_NEWをベースバンド信号処理部204に通知する。そして、端末200のベースバンド信号処理部204は、RRC connection reconfigurationを含むMAC PDUを含んだPDSCHに対する返答であるACKを基地局装置100に送信する(ステップS1507)。また、端末200のベースバンド信号処理部204は、すぐに電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS305)。
基地局装置100では、ベースバンド信号処理部103が端末200からPDSCHに対するACKを受信すると、該当する端末200に対して送信したRRC connection reconfigurationを含むMAC PDUに対する肯定の返答であると判定する(ステップS1508)。ベースバンド信号処理部103は、このACKの受信時に、電力オフセット値PAを更新する(ステップS1509)。また、送信制限フラグのOFF処理を行う。
図16は、実施の形態6のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。ベースバンド信号処理部103のスケジューラ103bは、新電力オフセット値PA_NEWを受信すると(ステップS1601)、送信制限フラグをONにする(ステップS1602)。そして、端末200向けに送信したRRC message拡張フォーマット1300により生成されたMAC PDUのメッセージ(MSG)は、RRC connection reconfigurationであると、メッセージを認識し(ステップS1603)、この後は、そのMAC PDUを含むPDSCHのACKの返答を監視する(ステップS1604:Noのループ)。そして、ACKを受信するとMAC PDUのACKを受信したと判定し(ステップS1604:Yes)、電力オフセット値PAを新電力オフセット値PA_NEWに更新する(ステップS1605)。ACK受信後、送信制限フラグをOFFするまでの時間は端末200側の電力オフセット値PAの更新にかかる時間だけ待つ。これは、本形態では、端末200の電力オフセット値のPA更新よりもACK判定が早くなる可能性があるためである。ただし、通常基地局装置100、端末200における処理速度に大きな違いは無く、その更新にかかる時間は非常に短い。また、端末200側の電力オフセット値PAの更新にかかる時間の方が短いことが保証されている場合は、待ち時間は不要である。この後、送信制限フラグのOFF処理を行う(ステップS1606)。なお、フレーム毎に行う送信パラメータの決定動作は実施の形態1(図5参照)と同様である。
実施の形態6によれば、基地局装置100と端末200の間で電力オフセット値PAの認識が不一致の期間中においても、基地局装置100から端末200に対しては、継続可能な通信方式(QPSK等)を用いて通信を継続できるようになる。また、基地局装置100のベースバンド信号処理部103が送信したRRC connection reconfigurationを含むMAC PDUを含んだPDSCH信号に対するACKを受信してから電力オフセット値PAを更新する構成であるため、実施の形態2のタイマ等を用いずに端末200側の状態に応じて、通常通りのスケジューリングにより決定された送信パラメータ(QPSKに比してより効率的な16QAMの変調方式等を用いた)送受信を行うことが可能となる。
また、実施の形態6によれば、実施の形態2同様に、電力オフセット値PAは、RRC connection reconfigurationを含むMAC PDUを含んだPDSCH信号に対するACKを受信に変更されるため、新電力オフセット値PA_NEWが上がるときには、所定時間Tまでの間の送信電力を実施の形態1に比して低減できるようになる。
また、実施の形態2の変形例(図7−2参照)のように、電力オフセット値PAをそれまでの電力オフセット値PAと比較し、値の大小に応じて、端末200に対する新電力オフセット値PA_NEWの変更時期を切り替える構成とすれば、新電力オフセット値PA_NEWがそれまでの電力オフセット値PAに比して上がる場合であっても、下がる場合であっても、電力オフセット値PA変更決定から、RRC connection reconfigurationを含むMAC PDUを含んだPDSCH信号に対するACKを受信までの間における送信電力をできるだけ低減できるようになり、装置の消費電力を低減することができる。
(実施の形態7)
実施の形態7は、上述した実施の形態1〜6の変形例である。具体的には、実施の形態1(図5)で説明したスケジューリング時の送信パラメータ決定の処理が異なる。
図17は、実施の形態7のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかを判断し(ステップS1701)、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS1701:OFF)、通常通りスケジューリングを実施し(ステップS1702)、ONの場合は(ステップS1701:ON)、該当する端末200に対するユーザデータの割り当てを抑制する(ステップS1703)。このユーザデータとは、データチャネルの音声データやパケットデータ等を示し、端末200の制御のための制御チャネルの制御データは含まない。
実施の形態7によれば、スケジューリング実行によって端末200の送信を行うと決定した場合に、本来は通常通りのスケジューリングにより64QAM等の効率のよい変調方式で送信が可能であるところ、送信制限フラグOFF時にQPSK等の効率の悪い変調方式で送信しなければならない状況となることを避けることができる(実施の形態1、図5の処理との比較)。これにより、セル全体のスループット低下を防ぐことができる。実施の形態7では、ユーザデータのみを制限するため、端末200との制御情報のやり取りは通常通り行うことができる。
(実施の形態8)
実施の形態8は、実施の形態7において説明した送信パラメータが制限されている端末200向けのユーザデータの抑制の具体的内容として、該当する端末200向けのユーザデータをスケジューリング対象から除外する構成である。
図18は、実施の形態8のベースバンド信号処理部におけるスケジューリング対象判定例を示す図表である。実施の形態8では、図に示すように、送信制限フラグがONである端末2について、データチャネルを非対象に設定する。これにより、送信パラメータが制限されている端末2向けのユーザデータの抑制の具体例として、この端末2向けのユーザデータをスケジューリング対象から除外する。
図19は、実施の形態8のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかを判断し(ステップS1901)、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS1901:OFF)、各データをスケジューリング対象とし、通常通りスケジューリングを実施する(ステップS1902)。一方、送信制限フラグがONの場合は(ステップS1901:ON)、該当する端末200に対するユーザデータをスケジューリング対象から除外する(ステップS1903)。なお、上記以外のユーザデータはスケジューリング対象とする。
実施の形態8によれば、上記実施の形態7で示した、送信制限フラグがONにされた該当する端末2(200)のユーザデータの割り当てを制限できるようになり、セル全体のスループット低下を防ぐことができるようになる。
(実施の形態9)
上述した第8の実施例では、該当する端末200向けの全てのユーザデータをスケジューリング対象から除外する構成としたが、実施の形態9では、ユーザデータの種別に応じて特定の種別のユーザデータをスケジューリング対象から除外する。
図20は、実施の形態9のベースバンド信号処理部におけるスケジューリング対象判定例を示す図表である。図示のように、実施の形態9では、送信制限フラグがONの端末2のデータチャネルのユーザデータのうち、一定の間隔で送信が要求される、連続データである音声データはスケジューリング対象とするが、非連続データであるパケットデータ(Packet)はスケジューリング対象から除外する(非対象とする)。
図21は、実施の形態9のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかを判断し(ステップS2101)、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS2101:OFF)、各データをスケジューリング対象とし、通常通りスケジューリングを実施する(ステップS2102)。一方、送信制限フラグがONの場合は(ステップS2101:ON)、該当する端末200に対して、設定された種別のユーザデータ(Packet)をスケジューリング対象から除外する(ステップS2103)。なお、上記以外のユーザデータはスケジューリング対象とする。
実施の形態9によれば、定期的に送信が要求されるユーザデータである音声データはスケジューリング対象とすることができるため、セル全体のスループット低下を防ぐことに加えて、音声通話の品質を確保することが可能となる。
(実施の形態10)
実施の形態10は、ユーザデータの制限の方法の他の例であり、実施の形態1(図5参照)で示した送信制限フラグによる当該端末の送信パラメータ制限前の最適送信パラメータを確認してスケジューリング対象を判定する。この例では、送信パラメータ変更前の送信パラメータが、電力オフセット値PAの認識が不一致でも端末が通信継続可能な送信パラメータ(QPSK変調等)であったかを確認し、これを前提にスケジューリング対象を判定する。
図22は、実施の形態10のベースバンド信号処理部におけるスケジューリング対象判定例を示す図表である。図示のように、例えば、送信制限フラグがONの端末nについては、送信制限フラグによる送信パラメータ制限前の最適送信パラメータがQPSKであったため、このデータチャネルのユーザデータは、スケジューリング対象とする。
図23は、実施の形態10のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかをまず判断する(ステップS2301)。そして、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS2301:OFF)、各データをスケジューリング対象とし、通常通りスケジューリングを実施する(ステップS2302)。
また、送信制限フラグがONの場合は(ステップS2301:ON)、送信制限フラグによる送信パラメータ制限前の最適送信パラメータを判別する(ステップS2303)。そして、最適送信パラメータが、電力オフセット値PAの認識が不一致でも端末が通信継続可能な送信パラメータ(16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing,MU−MIMO以外(すなわち、QPSK等))であったときには(ステップS2303:Case1)、通常通りスケジューリングを行う(ステップS2304)。一方、最適送信パラメータが、電力オフセット値PAが不一致だと端末が通信継続不能な送信パラメータ(16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing,MU−MIMO等)であった場合には(ステップS2303:Case2)、該当する端末200向けのユーザデータをスケジューリング対象から除外する(非対象とする)(ステップS2305)。
実施の形態10によれば、たとえ、送信パラメータ制限前がQPSKで最適スケジューリングされた場合であっても、最適な送信パラメータでスケジューリングされていた端末200を強制的に除外してしまう機会を排除できるようになる。これにより実施の形態8,9に比して、よりセルスループットの低下を防ぐことができるようになる。なお、上記構成において、実施の形態9で説明したように、ユーザデータの種別を判別し、例えば音声データをスケジューリング対象にしてもよい。
(実施の形態11)
図24は、実施の形態11のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。実施の形態11では、実施の形態1(図5)で説明したスケジューリング時の送信パラメータ決定の際にユーザデータの優先度を変更する構成である。
基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかを判断し(ステップS2401)、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS2401:OFF)、該当する端末200向けユーザデータの優先度を低下させないスケジューリングを実施し(ステップS2402)、ONの場合は(ステップS2401:ON)、該当する端末200に対するユーザデータの優先度を低下させる(ステップS2403)。上述したように、このユーザデータとは、データチャネルの音声データやパケットデータ等である。
実施の形態11によれば、スケジューリングにより、あるフレームである端末が選択された場合に、本来は64QAM等の効率のよい変調方式で送信が可能であるが、QPSK等の効率の悪い変調方式で送信しなければならない状況である場合に、この選択された端末よりも効率のよい端末を割り当てることが可能になる。また、この実施の形態では、スケジューリング対象ユーザ数が少ない場合でも、選択された端末をスケジューリング対象とすることが可能であり、実施の形態7に比して、さらにセルスループットの低下を防ぐことができるようになる。また、ユーザデータのみの制限であるため、端末との制御情報のやり取りは支障なく行える。
(実施の形態12)
実施の形態12は、実施の形態11において説明した送信パラメータ決定によりユーザデータの優先度に段階を設けて変更する具体的内容であり、送信パラメータが制限されている端末200向けのユーザデータの選択優先度を低くする構成である。
図25は、実施の形態12のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかをまず判断する(ステップS2501)。そして、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS2501:OFF)、各データともスケジューリング割り当て優先度を「高」とする(ステップS2502)。一方、送信制限フラグがONの場合は(ステップS2501:ON)、該当する端末200向けユーザデータのスケジューリング割り当て優先度を「低」とする(ステップS2503)。この場合、上記以外のデータの割り当て優先度は「高」とする。
図26は、実施の形態12におけるスケジューリング優先度の設定例を示す図表である。図示の例では、送信制限フラグがONである端末2,nは、データチャネル(ユーザデータ)のスケジューリング優先度が「高」から「低」に変更される。また、この図表には、送信可能データの有無の設定と、優先グループの設定が可能であり、送信可能データの有無に応じて優先グループが設定され、優先グループが1から順にスケジューリングされる。
そして、スケジューラ103bは、フレーム毎にどの端末200(ユーザ)を選択するかを決定する際に、スケジューリング優先度が「高」であるデータを有する端末を優先的にスケジューリング対象とし、次に「低」であるデータを有する端末200をスケジューリング対象とする。図26に示すように、送信制限フラグがONの端末2,nは、いずれもデータチャネルのスケジューリング優先度を「低」とする。ただし、制御チャネルの送信可能データが「あり」とされた端末nの方が、制御チャネルの送信可能データが「なし」の端末2より優先度が高く、優先グループ「1」となる。
図27は、実施の形態12のスケジューリング優先度に基づくユーザ選択動作内容を示すフローチャートである。はじめに、優先グループの初期値nに「1」をセットする(ステップS2701)。スケジューリングの優先度は優先グループ1から順に行う。次に、複数の端末のうち、送信可能データがスケジューリング優先度「高」を含むかを判断する(ステップS2702)。送信可能データがスケジューリング優先度「高」を含む場合(ステップS2702:Yes)、複数の優先グループのうち優先グループ1を選択する(ステップS2703)。一方、送信可能データがスケジューリング優先度「高」を含まない場合(ステップS2702:No)、複数の優先グループのうち次の優先グループである2を選択する(ステップS2704)。
次に、スケジューリング対象端末数がnに達したか判断し(ステップS2705)、スケジューリング対象の端末の優先グループ分けが終わっていないときには(ステップS2705:Yes)、nをインクリメントし(ステップS2706)、ステップS2702以降の優先グループ分けを行う。
そして、スケジューリング対象の端末の優先グループ分けが終われば(ステップS2705:No)、まず、優先グループが「1」である端末200(図26の例では端末n)をスケジューリングする(ステップS2707)。また、同じ優先グループが「1」の端末200(図26の例では端末1、n)をスケジューリングする。そして、同じ優先グループが「1」で割り当て可能な端末200がなくなったら次のステップS2708に移行する。この後、次の優先度を有する優先グループ「2」である端末200(図26の例では端末2)をスケジューリングする(ステップS2708)。
実施の形態12によれば、実施の形態11で示した、送信制限フラグがONされている端末200のユーザデータについて、この端末200への送信可能データの有無により優先度を設定するため、上述した非対象を設定する構成(実施の形態8〜10)ではユーザ数が少なくなっても対象外になり送信できなくなる等のおそれがあるが、この実施の形態12ではこの点を防止できる。すなわち、複数の端末200に対して送信するデータに優先度順にスケジューリングできるようになり、セル全体のスループット低下を防ぐことができる。
(実施の形態13)
実施の形態12では、端末200向けの全てのユーザデータのスケジューリング優先度を「低」に設定したが、実施の形態13では、ユーザデータの種別に応じてスケジューリング優先度を異ならせる構成である。例えば、パケット(Packet)については、スケジューリング優先度「低」とする構成である。ユーザデータのうち、音声データについては優先度を「高」とする。
図28は、実施の形態13のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。スケジューラ103bは、送信制限フラグを判断し(ステップS2801)、送信制限フラグがOFFであれば(ステップS2801:OFF)、各データともスケジューリング割り当て優先度を「高」とする(ステップS2802)。一方、送信制限フラグがONであれば(ステップS2801:ON)、該当する端末200向けユーザデータの種別がパケット(Packet)のスケジューリング割り当て優先度を「低」とする(ステップS2803)。これ以外のデータは優先度を「高」とする。実施の形態13におけるケジューリング選択優先度に応じたユーザ選択のフローチャートは、実施の形態12(図27)と同様である。
図29は、実施の形態13におけるスケジューリング優先度の設定例を示す図表である。各端末200に対するスケジューリング優先度の例を示している。フレーム毎にどの端末を選択するかを決定する際に、スケジューリング優先度が「高」であり、かつ、送信可能データを有する端末を優先的にスケジューリング対象とし、次に「低」であるデータを有する端末をスケジューリング対象とする。図示の例では、送信制限フラグがOFFの端末1が優先グループ「1」であり、次に、送信制限フラグがONの端末が選択される。このうち、スケジューリング優先度が「高」であり、かつ、送信可能データを有する端末2とnが優先的にスケジューリング対象となる。ここで、端末nは、音声データおよびパケット(Packet)のいずれも送信可能データがあるため、優先グループ「1」となり、端末2は、パケット(Packet)のみ送信可能データがあるため、優先順が低くなり優先グループ「2」とされる。
実施の形態13によれば、定期的に送信されることが望まれるユーザデータの種別を判断して、例えば音声データは、スケジューリングの優先度を高優先とすることができるため、セル全体のスループット低下を防ぐことに加えて、音声通話の品質を確保することができるようになる。
(実施の形態14)
実施の形態14は、上述した実施の形態12の処理に加えて、送信制限フラグによる端末200の送信パラメータ制限前の送信パラメータを確認してスケジューリングの優先度を判定する。実施の形態14における基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、該当する端末200向けのユーザデータの優先度を低くする方法として、送信制限フラグによる端末200の送信パラメータ制限前の送信パラメータを確認して行う。
図30は、実施の形態14のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかをまず判断する(ステップS3001)。そして、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS3001:OFF)、各データともスケジューリング割り当て優先度を「高」とする(ステップS3002)。送信制限フラグがONの場合は(ステップS3001:ON)、送信制限フラグによる送信パラメータ制限前の最適送信パラメータを判断する(ステップS3003)。
そして、電力オフセット値PAの認識が不一致でも端末が通信継続可能な送信パラメータ(QPSK等)であったときには(ステップS3003:Case1)、各データともスケジューリング割り当て優先度を「高」とする(ステップS3004)。一方、電力オフセット値PAの認識が不一致だと端末が通信継続不能な送信パラメータ(16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing,MU−MIMO)であったときには(ステップS3003:Case2)、該当する端末200向けのユーザデータのスケジューリング優先度を「低」とする(ステップS3005)。なお、上記以外のデータはスケジューリング優先度を「高」とする。なお、実施の形態13に示したように、音声データはスケジューリングの優先度を「高」としてもよい。
図31は、実施の形態14におけるスケジューリング優先度の設定例を示す図表である。スケジューラ103bは、フレーム毎にどの端末200を選択するかを決定する際に、スケジューリング優先度が「高」であるデータを有する端末200を優先的にスケジューリング対象とし、次に「低」であるデータを有する端末200をスケジューリング対象とする。図示の例では、送信制限フラグがONである端末nは、最適送信パラメータがQPSKであったため、データチャネル(ユーザデータ)のスケジューリング優先度が「高」のままであるが、送信制限フラグがONである端末2は、最適送信パラメータがQPSK以外であったため、データチャネル(ユーザデータ)のスケジューリング優先度が「高」から「低」に変更される。そして、優先グループが1から順にスケジューリングされる。なお、スケジューリング優先度に応じたユーザ選択の手順は、実施の形態12(図27参照)と同様である。
実施の形態14によれば、本来スケジューリングされるべき端末を強制的に排除することなく、最適なスケジューリングを行うことができる。これにより、実施の形態12,13に比して、よりセルスループットの低下を防ぐことが可能である。
(実施の形態15)
実施の形態15は、上述した実施の形態11〜14において説明した、スケジューリングの優先度に代わる他の例として、スケジューリングの際の重み付け係数を用いる構成である。スケジューラ103bによるフレーム毎の端末200(ユーザ)選択の手順として、各種パラメータに対応した重み付けを行い、それらの重み付けを掛け合わせることによって算出される重み付けに従ったユーザ選択を行う。この実施の形態15では、送信制限フラグのON,OFFに応じた重み付けを行う構成である。
図32は、実施の形態15のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかをまず判断する(ステップS3201)。そして、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS3201:OFF)、該当する端末200向けユーザデータの重み付け係数をAとする(ステップS3202)。一方、送信制限フラグがONの場合は(ステップS3201:ON)、該当する端末200向けユーザデータの重み付け係数をBとする(ステップS3203)。この場合、上記以外のデータの重み付け係数はAとする。この重み付け係数は、重み付け係数が大きい場合に優先度が高いとした場合、送信制限フラグがONの端末の優先度を下げるという目的から、値の重みは、通常、A>Bの関係をとる。
図33は、実施の形態15におけるスケジューリングの重み付け設定例を示す図表である。図示の例では、チャネル種別に応じた重み付けは、制御チャネルの値が1.0、データチャネルの値が0.8として、データチャネルの重み付けの値が低いこととしたが、これに限らない。送信制限フラグに応じた重み付けでは、ONの値が1.0、OFFの値が0.5とした。
図34は、実施の形態15のスケジューリング優先度に基づくユーザ選択動作内容を示すフローチャートである。はじめに、端末数nをセットし(ステップS3401)、各端末の重み付け係数を算出する(ステップS3402)。この重み付け係数は、送信可能データが存在する端末に関して算出し、最大値を端末の重み付け係数とする。例えば、重み付け係数=チャネル種別に応じた重み付け係数×送信制限フラグに応じた重み付け係数、により算出される。図33の例では、端末1の制御チャネルについては、チャネル種別に応じた重み付けが1.0、送信制限フラグがOFFで値が1.0であるため、端末の重み付けは、1.0×1.0=1.0となる。端末2のデータチャネルについては、チャネル種別に応じた重み付けが0.8、送信制限フラグがOFFで値が0.5であるため、端末の重み付けは、0.8×0.5=0.4となる。
次に、スケジューリング対象端末数がn未満であるか判断し(ステップS3403)、n未満のときには(ステップS3403:Yes)、nをインクリメントし、次の端末を指定し(ステップS3404)、ステップS3402に移行する。一方、スケジューリング対象端末数がnに達したときには(ステップS3403:No)、重み付け係数の値の大きい端末から順次スケジューリングする(ステップS3405)。図33の例では、端末の重み付け係数が大きい端末1,n、2の順にスケジューリングされる。
なお、実施の形態15では、送信制限フラグに応じた重み付けの他に、チャネル種別に応じた重み付けを組み合わせたが、その他パラメータを組み合わせてもよい。また、複数のパラメータを組み合わせてもよい。例えば、上述した重み付け係数と、実施の形態11〜14で用いた優先度とを併用する構成も考えられる。
実施の形態15によれば、チャネルデータの種別と、送信可能データの有無に応じて重み付けを算出するため、実際の通信の運用に適合する効率的な適用が可能となる。また、上述した実施の形態11で示した、送信制限フラグがONされている端末のユーザデータの優先度をさらに詳細に変更(低くすることが可能)できるため、セル全体のスループット低下を防ぐことができる。
(実施の形態16)
実施の形態15では、端末200向けの全てのユーザデータについて一律な重み付けを設定したが、実施の形態16では、ユーザデータの種別に応じて重み付け異ならせる構成である。
図35は、実施の形態16のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかをまず判断する(ステップS3501)。そして、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS3501:OFF)、該当する端末200向けユーザデータの重み付け係数をAとする(ステップS3502)。一方、送信制限フラグがONの場合は(ステップS3501:ON)、該当する端末200向けユーザデータのうち、パケット(Packet)は重み付け係数をBとする。また、上記以外のユーザデータ(音声データ等)の重み付け係数はAとする。(ステップS3503)。この場合、この重み付け係数は、重み付け係数が大きい場合に優先度が高いとした場合、送信制限フラグがONの端末の優先度を下げるという目的から、値の重みは、通常、A>Bの関係をとる。
図36は、実施の形態16におけるスケジューリングの重み付け設定例を示す図表である。図示の例では、チャネル種別に応じた重み付け係数は、制御チャネルの値が1.0、データチャネルのうち、音声データは値が0.8、パケット(Packet)は値が0.6とし、パケットの重み付け係数の値が低いこととしたが、これに限らない。送信制限フラグに応じた重み付けでは、実施の形態15同様に、ONの値が1.0、OFFの値が0.5とした。
実施の形態16によるスケジューリング優先度に基づくユーザ選択動作内容は、上記実施の形態15(図34)とほぼ同様である。実施の形態16における重み付け係数=チャネル種別に応じた重み付け係数(音声データとパケットデータで異なる値)×送信制限フラグに応じた重み付け係数により算出される。図36の例では、端末2の重み付け係数は、データチャネル(Packet)が0.6、送信制限フラグがOFFで値が0.5であるため、端末の重み付け係数は、0.6×0.5=0.3となる。そして、図36の例では、端末の重み付け係数が大きい端末1,n、2の順にスケジューリングされる。この実施の形態16においても、送信制限フラグに応じた重み付けの他に、チャネル種別に応じた重み付けを組み合わせたが、その他、優先度のパラメータ等を組み合わせてもよい。
実施の形態16によれば、定期的に送信されることが望まれるユーザデータ(音声データ)は高優先とすることができるため、セル全体のスループット低下を防ぐことに加えて、音声通話の品質を確保することが可能となる。
(実施の形態17)
実施の形態17は、上述した実施の形態15において説明したスケジューリングの重み付け変更の際に、送信制限フラグによる端末200の送信パラメータ制限前の送信パラメータを確認してスケジューリングを行う。実施の形態17における基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、該当する端末200向けのユーザデータの重み付け係数を小さくする方法として、送信制限フラグによる端末200の送信パラメータ制限前の送信パラメータを確認して行う。
図37は、実施の形態17のベースバンド信号処理部が行う動作内容を示すフローチャートである。基地局装置100のベースバンド信号処理部103は、スケジューリングを行う際、送信制限フラグがONかOFFかをまず判断する(ステップS3701)。そして、送信制限フラグがOFFの場合は(ステップS3701:OFF)、該当する端末200向けユーザデータの重み付け係数をAとする(ステップS3702)。送信制限フラグがONの場合は(ステップS3701:ON)、送信制限フラグによる送信パラメータ制限前の最適送信パラメータを判断する(ステップS3703)。
そして、電力オフセット値PAの認識が不一致でも端末が通信継続可能な送信パラメータ(QPSK等)であったときには(ステップS3703:Case1)、該当する端末200向けユーザデータの重み付け係数をAとする(ステップS3704)。一方、電力オフセット値PAの認識が不一致だと端末が通信継続不能な送信パラメータ(16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing,MU−MIMO)であったときには(ステップS3703:Case2)、該当する端末200向けユーザデータの重み付け係数をBとする(ステップS3705)。この場合、この重み付け係数は、重み付け係数が大きい場合に優先度が高いとした場合、送信制限フラグがONの端末のユーザデータの優先度を下げるという目的から、値の重みは、通常、A>Bの関係をとる。
例えば、送信制限フラグによる送信パラメータ制限前の最適送信パラメータがQPSK(ステップS3703:Case1)であれば、重み付け係数をAとし、16QAM、64QAM、複数レイヤのSpatial multiplexing,MU−MIMO(ステップS3703:Case2)であれば、重み付け係数をBとする。ここで、係数の値はA>Bの関係をとる。なお、上述した実施の形態16に示したように、音声データについては、重み付け係数の値を高くしてもよい。
図38は、実施の形態17におけるスケジューリング優先度の設定例を示す図表である。図示の例では、送信制限フラグがONである端末1は、最適送信パラメータがQPSKであったため、データチャネル(ユーザデータ)の送信制限フラグに応じた重み付け係数は1であるが、送信制限フラグがONである端末2は、最適送信パラメータがQPSK以外であったため、データチャネル(ユーザデータ)の送信制限フラグに応じた重み付け係数は0.5に変更される。
実施の形態17においても、スケジューリング優先度に基づくユーザ選択動作内容は、上記実施の形態15(図34)とほぼ同様である。そして、図38の例では、端末の重み付け係数が大きい端末1,n、2の順にスケジューリングされる。なお、この実施の形態17では、送信制限フラグに応じた重み付けの他に、チャネル種別に応じた重み付けを組み合わせたが、その他上述した優先度等のパラメータを組み合わせてもよい。また、複数のパラメータを組み合わせてもよい。
実施の形態17によれば、送信制限フラグによる端末200の送信パラメータ制限前の送信パラメータを確認してスケジューリングする構成であるため、たとえ、送信パラメータ制限前がQPSKで最適スケジューリングされた場合であっても、最適な送信パラメータでスケジューリングされていた端末200の優先度を強制的に低下させる機会を排除できるようになる。これにより、実施の形態15,16に比して、よりセルスループットの低下を防ぐことが可能となる。
上述したスケジューリングする際のユーザ(端末200)毎の優先度の段階、および重み付け係数の値は、ユーザデータの種別毎に要求される品質等に基づいて設定(算出)すればよく、品質の変更があればこれに対応して算出内容を変更すればよい。これにより、セル全体のスループット低下を防止しつつ、特定の種別のユーザデータの品質を保つことができ、通信サービスの品質を維持できるようになる。
そして、以上説明したように、基地局装置および通信方法によれば、通信中に電力オフセット値PAが変更された場合においても、通信パラメータを変更して最適なスケジューリングを行い、端末との間の通信を継続できるため、セルスループットを向上できる。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)複数の端末との間でチャネルを共有する通信を行う基地局装置において、
前記通信の送信電力を決定するためのパラメータを変更する場合、少なくとも、前記端末が前記パラメータを受信して認識するまでの期間は、当該端末との間の通信が継続可能な通信方式を用いる信号処理部を備えることを特徴とする基地局装置。
(付記2)前記パラメータは、前記各端末を個別に電力制御するための電力オフセット値であることを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記3)前記信号処理部は、自局における前記パラメータを変更した後、前記期間中は前記端末との間の通信が継続可能な通信方式に一時的に切り替えることを特徴とする付記1または2に記載の基地局装置。
(付記4)前記信号処理部は、前記期間中は前記端末との間の通信が継続可能な通信方式に一時的に切り替え、前記期間の満了後に、自局における前記パラメータを変更することを特徴とする付記1または2に記載の基地局装置。
(付記5)前記信号処理部は、前記パラメータの変更前後の値を比較し、当該値の増加あるいは減少に応じて前記通信方式への切り替えの時期と、前記パラメータの変更の時期とを切り替えることを特徴とする付記3または4に記載の基地局装置。
(付記6)前記信号処理部は、前記期間を計時するタイマを備え、当該タイマ満了に基づき前記端末が前記パラメータを認識したと判断することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の基地局装置。
(付記7)前記信号処理部は、前記端末との間で用いるメッセージに前記パラメータを含ませることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の基地局装置。
(付記8)前記信号処理部は、前記端末への前記メッセージの送信により前記パラメータを認識した後に送信する返答メッセージを受信した時期に、前記端末が前記パラメータを認識したと判断することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の基地局装置。
(付記9)前記信号処理部は、前記端末の信号処理部に対して前記メッセージとして端末の呼制御を行うためのメッセージを含む共有物理チャネル信号を送信し、当該共有物理チャネル信号に対する肯定応答を受信した時期に、前記端末が前記パラメータを認識したと判断することを特徴とする付記8に記載の基地局装置。
(付記10)前記信号処理部は、前記期間中、通信方式が一時的に制限されている前記端末に対するユーザデータの割り当てを抑制することを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載の基地局装置。
(付記11)前記信号処理部は、前記期間中、通信方式が一時的に制限されている前記端末に対する前記ユーザデータをスケジューリング対象から除外することを特徴とする付記10に記載の基地局装置。
(付記12)前記信号処理部は、前記ユーザデータのうち、非連続な種別のデータを前記スケジューリング対象から除外することを特徴とする付記11に記載の基地局装置。
(付記13)前記信号処理部は、前記期間前に用いた通信方式を確認し、前記端末との間の通信が継続可能な通信方式であった場合には、前記端末向けのデータをスケジューリング対象から除外せず、前記端末との間の通信が継続不能な通信方式であった場合には、スケジューリング対象から除外することを特徴とする付記10に記載の基地局装置。
(付記14)前記信号処理部は、前記期間中、通信方式が一時的に制限されている前記端末に対する前記ユーザデータのスケジューリング優先度を低くすることを特徴とする付記10に記載の基地局装置。
(付記15)前記信号処理部は、前記スケジューリングの実行時に、前記スケジューリング優先度が高く、かつ送信可能データがある端末を優先的に選択することを特徴とする付記14に記載の基地局装置。
(付記16)前記信号処理部は、前記スケジューリング優先度が低い前記ユーザデータのうち、非連続な種別のデータの前記スケジューリング優先度を低くすることを特徴とする付記15に記載の基地局装置。
(付記17)前記信号処理部は、前記期間前に用いた通信方式を確認し、前記端末との間の通信が継続可能な通信方式であった場合には、前記ユーザデータの前記スケジューリング優先度を高くし、前記端末との間の通信が継続不能な通信方式であった場合には、前記ユーザデータの前記スケジューリング優先度を低くすることを特徴とする付記15に記載の基地局装置。
(付記18)前記信号処理部は、前記期間中、通信方式が一時的に制限されている前記端末に対する前記ユーザデータの重み付けを小さくし、前記通信方式が制限されていないユーザデータの重み付けを大きくして算出した重み付け係数を算出することにより、前記スケジューリング優先度を求めることを特徴とする付記14に記載の基地局装置。
(付記19)前記信号処理部は、前記期間前に用いた通信方式を確認し、前記端末との間の通信が継続可能な通信方式であった場合には、前記ユーザデータの前記重み付け係数を大きくし、前記端末との間の通信が継続不能な通信方式であった場合には、前記ユーザデータの前記重み付け係数を小さくすることを特徴とする付記18に記載の基地局装置。
(付記20)複数の端末との間でチャネルを共有する通信を行う基地局装置の通信方法において、
前記通信の送信電力を決定するパラメータを変更する場合、少なくとも、前記端末が前記パラメータを受信して認識するまでの期間は、当該端末との間の通信が継続可能な通信方式を用いることを特徴とする通信方法。