JP2011195724A - インクジェット記録用放射線硬化型インク組成物、ならびにインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用放射線硬化型インク組成物、ならびにインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】記録された画像のタックを低減しつつ、放射線硬化型インク組成物の保存安定性に優れており、光沢性に優れた画像を提供すること。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物は、水酸基を有する重合性化合物を含有する放射線硬化型インク組成物であって、前記放射線硬化型インク組成物1gにおける水酸基価が、1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下であり、前記第1の重合性化合物は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート、およびエポキシ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用放射線硬化型インク組成物、およびそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、紫外線、電子線その他の放射線によって硬化する放射線硬化型インクの開発が進められている。このような放射線硬化型インクは、プラスチック、ガラス、コート紙等のインクを吸収しないまたはほとんど吸収しない非吸収メディア等の記録媒体に対する記録において、速乾性があり、かつ、インクの滲みを防止した記録を実現することができる。このような放射線硬化型インク組成物は、例えば、重合性化合物、重合開始剤および顔料等から構成されている(例えば、特許文献1)。
一方、放射線硬化型インク組成物を用いて記録された画像は、良好な光沢性を有することが求められている。
特開2009−173712号公報
しかしながら、前述したような放射線硬化型インク組成物を用いると、記録媒体上に形成された画像にタック(べたつき)が発生する場合があった。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の1つは、上記課題を解決することによって、記録された画像のタックを低減しつつ、保存安定性に優れたインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物を提供するものである。また、本発明のいくつかの態様にかかる目的の1つは、光沢性に優れた画像を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物の一態様は、
水酸基を有する重合性化合物を含有する放射線硬化型インク組成物であって、
前記放射線硬化型インク組成物1gにおける水酸基価が、1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下であることを特徴とする。
適用例1のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物によれば、放射線硬化型インク組成物1gにおける水酸基価が上記範囲内にあることによって、記録された画像のタックを低減しつつ、放射線硬化型インク組成物の保存安定性に優れている。また、適用例1の放射線硬化型インク組成物によれば、光沢性の良好な画像が得られる。
[適用例2]
適用例1に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物において、
水酸基を有する前記重合性化合物は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート、およびエポキシ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種を含むことができる。
[適用例3]
適用例2に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物において、
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも一方であることができる。
[適用例4]
適用例2に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物において、
前記脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートは、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートであることができる。
[適用例5]
適用例2に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物において、
前記エポキシアクリレートは、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、および下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種であることができる。
Figure 2011195724
Figure 2011195724
Figure 2011195724
(式中nは、10以上12以下の整数を表す。)
適用例5に係るインクジェット記録用放射硬化型インク組成物は、エポキシアクリレートを用いているので、特に光沢性に優れた画像を得ることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物において、
さらに、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以下の重合性化合物を含むことができる。
[適用例7]
適用例6に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物において、
ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以下の前記重合性化合物は、フェノキシエチルアクリレートであることができる。
[適用例8]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
記録媒体上に適用例1ないし適用例7のいずれか1例に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物を吐出する工程と、
吐出された放射線硬化型インク組成物に対して、活性放射線光源から350nm以上430nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射する工程と、
を含むことを特徴とする。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.放射線硬化型インク組成物
本発明の一実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、インクジェット記録用途に用いるものであり、水酸基を有する重合性化合物を含有する放射線硬化型インク組成物であって、前記放射線硬化型インク組成物1gにおける水酸基価が、1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下であることを特徴とする。なお、本発明において「画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
本発明において水酸基価とは、放射線硬化型インク組成物1gをアセチル化させた際に、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の量(mg)を表すものである。水酸基価は、JISK0070に記載の方法に準じて計算したり、放射硬化型インク組成物1g中における水酸基を有する化合物の仕込み組成から計算により求めることができる。
本発明における水酸基価は、上記の算出方法のうち、放射線硬化型インク組成物1g中の水酸基を有する化合物の仕込み組成から求めたものである。具体的な算出方法は、下記式(4)の通りである。
水酸基価[KOHmg/g]=A[mol]×(水酸基を有する化合物の水酸基数)×B[mg/mol]・・・(4)
上記式(4)において、「A」は、放射線硬化型インク組成物1g中の水酸基を有する化合物のmol数を示す。また、「B」は、水酸化カリウムの1molの分子量(56000[mg/mol])を示す。
なお、放射線硬化型インク組成物中に複数種類の水酸基を有する化合物が含まれている場合には、水酸基を有する化合物毎に上記式(4)によって水酸基価を算出して、得られた値の和を放射線硬化型インク組成物1gにおける水酸基価とする。
水酸基を有する化合物とは、その構造内に水酸基を備えた化合物であれば特に限定されず、例えば、後述する水酸基を有する重合性化合物が挙げられる。
本実施形態における放射線硬化型インク組成物の水酸基価は、1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下である。水酸基価が上記範囲内にあると、放射線硬化型インク組成物の保存安定性に優れつつ、記録媒体上に形成された画像のタックを低減することができ、光沢性に優れた画像を得ることができる。
一方、放射線硬化型インク組成物の水酸基価が1[KOHmg/g]未満であると、記録媒体上に形成された画像にタックが生じて、良好な画像を得ることができない場合がある。また、放射線硬化型インク組成物の水酸基価が200[KOHmg/g]を超えると、放射線硬化型インク組成物の保存安定性が低下したり、記録媒体上に形成された画像の光沢性が低下したりする場合がある。
以下、本実施の形態に用いられる各成分について詳細に説明する。
1.1.重合性化合物
(1)水酸基を有する重合性化合物
本実施形態における放射線硬化型インク組成物は、水酸基を有する重合性化合物(以下、「第1の重合性化合物」ともいう。)を含有する。第1の重合性化合物の水酸基により、記録媒体上に形成された画像表面の硬化性を向上させることができる。これにより、記録媒体上に形成された画像のタックを低減させることができる。
第1の重合性化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート、およびエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、記録媒体上に形成された画像の光沢性を効果的に向上させることができるので、エポキシ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。なお、これらの第1の重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上併用して用いてもよい。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートという記載は、アクリレートまたはメタクリレートを示すものである。また、本明細書中において、エポキシ(メタ)アクリレートとは、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸化合物とを反応させて得られる水酸基を有する化合物のことをいう。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの第1の重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上併用して用いてもよい。
脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、脂肪族アルコール系エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族多価アルコール系エポキシ(メタ)アクリレート、フェノール系エポキシ(メタ)アクリレート、多価フェノール系エポキシ(メタ)アクリレート、脂環式カルボン酸系エポキシアクリレート、芳香族カルボン酸系エポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、エポキシ(メタ)アクリレートは、市販品を用いることができ、例えば、DENACOL ACRYLATE DA−111、DA−141、DA−212、DA−250、DA−314、DA−721、DA−722、DA−911M、DA−920、DA−931(すべて、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。これらの第1の重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上併用して用いてもよい。
上記の脂環式カルボン酸系エポキシアクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。また、多価フェノール系エポキシアクリレートとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。また、脂肪族多価アルコール系エポキシアクリレートとしては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011195724
Figure 2011195724
Figure 2011195724
(式中nは、10以上12以下の整数を表す。)
放射硬化型インク組成物における第1の重合性化合物は、放射線硬化型インク組成物の水酸基価が1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下となるように、放射線硬化型インク組成物中に添加すればよい。これにより、放射線硬化型インク組成物の保存安定性に優れつつ、記録媒体上に形成された画像のタックを低減することができ、光沢性に優れた画像を得ることができる。
これに対して、放射硬化型インク組成物の水酸基価が1[KOHmg/g]未満となるように第1の重合性化合物を添加すると、記録媒体上に形成された画像にタックが発生する場合がある。また、放射硬化型インク組成物の水酸基価が200[KOHmg/g]を超えるように第1の重合性化合物を添加すると、放射線硬化型インク組成物の保存安定性が低下したり、記録媒体上に形成された画像の光沢性が低下する場合がある。
なお、第1の重合性化合物としてエポキシアクリレートを用いた場合には、エポキシエチルアクリレートの含有量は、放射硬化型インク組成物の全質量に対して、70質量%以下であることが好ましい。エポキシアクリレートの含有量が70質量%を超えると、記録媒体上に形成された画像の光沢性が低下する場合がある。
(2)ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以下の重合性化合物
本実施形態における放射線硬化型インク組成物は、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以下の重合性化合物(以下、単に「第2の重合性化合物」ともいう。)を含有してもよい。本実施形態における放射線硬化型インク組成物に第2の重合性化合物を添加すると、放射線硬化型インク組成物の保存安定性を向上させたり、記録媒体上に形成した画像の柔軟性や伸張耐久性を向上させることができる点で好ましい。また、第2の重合性化合物は、上記第1の重合性化合物に対する希釈性も良好であり、第1の重合性化合物の機能を阻害することがない。
第2の重合性化合物としては、例えば、長鎖アルキルアクリレート、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド付加単官能アクリレート、フェノキシエチルアクリレートまたはその変性品等を挙げることができる。
長鎖アルキルアクリレートとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−セチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、イソオクチルアクリレート(Tg;−58℃)、n−トリデシルアクリレート(Tg;−55℃)が好ましい。
ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド付加単官能アクリレートとしては、例えば(ポリ)エチレングリコールモノアクリレート、(ポリ)エチレングリコールアクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコールアクリレートエチルエステル、(ポリ)エチレングリコールアクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノアクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールアクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコールアクリレートエチルエステル、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(Tg;−50℃)、エトキシジエチレングリコールアクリレート(Tg;−70℃)が好ましい。
フェノキシエチルアクリレートまたはその変性品としては、例えばフェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチルアクリレート(Tg;−22℃)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(Tg;−35℃)が好ましい。特にフェノキシエチルアクリレートは、良好な硬化性を有しており、第1の重合性化合物に対する希釈性も良好であるため、非常に使いやすいという特徴を有している。
第2の重合性化合物を添加する場合には、そのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が、40℃以下であることが好ましく、−40℃以上20℃以下であることがより好ましい。第2の重合性化合物のTgが40℃以下であると、記録媒体上に形成された画像の伸張耐久性が良好となる。また、第2の重合性化合物のTgが−40℃以上20℃以下であると、画像の伸張耐久性に加えて、耐熱性および耐擦性にも優れた画像を得ることができる。
本実施形態の放射線硬化型インク組成物において、第2の重合性化合物を添加する場合には、第2の重合性化合物の含有量が、放射線硬化型インク組成物の全質量に対して、10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。第2の重合性化合物の含有量が上記範囲内にあると、放射線硬化型インク組成物の保存安定性を良好に保つことができ、また、記録媒体上に形成された画像は、柔軟で伸張度が大きなものとなり、記録媒体ごと伸張した状態で保持していても画像にクラックや剥がれが発生しにくくなる。
(3)その他の重合性化合物
本実施形態における放射線硬化型インク組成物は、上記の第1および第2の重合性化合物以外に、さらに、他の重合性化合物(以下、単に「第3の重合性化合物」ともいう。)を添加してもよい。
第3の重合性化合物としては、上記の第1および第2の重合性化合物以外の単官能モノマー、二官能モノマー、三官能モノマー、N−ビニル化合物、ウレタン系オリゴマー、アミノアクリレート等が挙げられる。第3の重合性化合物は、1種単独で用いることもできるし、2種以上併用して用いてもよい。
単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノ(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、脂環式構造を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、脂環式構造を有するジ(メタ)アクリレートとしては、例えばジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
ウレタン系オリゴマーとは、分子中にウレタン結合とラジカル重合可能な不飽和二重結合とを一以上有するものをいう。ここで、本実施形態において用いられるオリゴマーとは、相対分子質量(分子量と同義である。)の小さい分子から実質的あるいは概念的に得られる単位の少数回、一般的には約2回ないし20回程度の繰り返し構造をもつ中程度の大きさの相対分子質量を有する分子をいう。
ウレタン系オリゴマーとしては、ポリオールと、ポリイソシアネートおよびポリハイドロオキシ化合物と、の付加反応により生じるオリゴマーを挙げることができる。ウレタン系オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル系ウレタンアクリレート、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、ポリブタジエン系ウレタンアクリレート、ポリオール系ウレタンアクリレート等を挙げることができる。具体的には、ウレタン系オリゴマーとしては、CN963J75、CN964、CN965、CN966J75(いずれもSARTOMER社から入手可能)等を挙げることができる。
アミノアクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレートと、アミン化合物と、を反応させて得られるものを挙げられる。
二官能アクリレートとしては、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、チオビスフェノールのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールアルキレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン等の単官能アミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、メンタンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルノメタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、スピロアセタール系ジアミン等の多官能アミン化合物を挙げることができる。また、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の高分子量タイプの多官能アミン化合物も挙げることができる。
本実施形態の放射線硬化型インク組成物において、第3の重合性化合物を添加する場合には、上記の第3の重合性化合物の中でも、アルキレングリコールジアクリレートおよび脂環式構造を有するジアクリレートを用いることが好ましい。アルキレングリコールジアクリレートおよび脂環式構造を有するジアクリレートは、架橋剤として機能して、記録媒体上に形成された画像の膜強度を向上させることができる。特に、脂環式構造を有するジアクリレートは、嵩高い分子構造を有するので、より効果的に画像の膜強度を向上させることができる。
1.2.光重合開始剤
本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物は、さらに、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤とは、記録媒体の上に吐出された放射線硬化型インク組成物に活性放射線を照射することによって、上記の重合性化合物の共重合反応を開始させる機能を有する化合物の総称である。
光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等の公知の光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、前述した重合性化合物との相溶性に優れた2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、広域な吸光特性を有するビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等の分子開裂型が好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系の光重合開始剤が好ましい理由は、光開裂の前後で発色団の構造が大きく変化するため吸収の変化が大きく、フォトブリーチング(光退色)と呼ばれる吸収の短波長が見られるからである。また、吸収がUVからVL領域まで及ぶにもかかわらず黄変が起こりにくく、内部硬化にも優れているからである。このため、透明な厚膜や隠蔽力の大きい顔料入り塗膜に対して特に好ましい。
本実施形態の放射線硬化型インク組成物において、光重合開始剤を添加する場合には、光重合開始剤の含有量は、放射線硬化型インク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が1質量%未満であると、光重合開始剤の機能が発揮されない場合があり、記録媒体の上に記録した画像の硬化性が不十分となることがある。一方、光重合開始剤の含有量が20質量%を超えても、前述した重合性化合物の共重合反応を開始させる効果の向上が見られず、過剰添加となり好ましくない。
1.3.その他の添加剤
本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物は、必要に応じて、顔料、重合禁止剤、分散剤、界面活性剤等の添加剤を含有することができる。
(1)顔料
本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物は、そのままでもいわゆるクリアインクとして機能することができるが、さらに顔料を添加してもよい。本実施の形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。一方、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。
本実施の形態で使用可能な顔料の具体例のうち、カーボンブラックとしては、C.I.ピグメントブラック7が挙げられ、例えば、三菱化学株式会社から入手可能なNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビアケミカルカンパニー社から入手可能なRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、また、キャボット社から入手可能なRegal400R、同330R、同660R、MogulL、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、さらに、デグッサ社から入手可能なColorBlackFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlackS150、同S160、同S170、Printex35、同U、同V、同140U、SpecialBlack6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物をイエローインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物をマゼンタインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物をシアンインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、16、22、60等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物をグリーンインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、8、36等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物をオレンジインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ51、66等が挙げられる。
また、本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物をホワイトインクとする場合に使用可能な顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
本実施の形態で使用可能な顔料の平均粒子径は、好ましくは10nm〜350nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜150nmの範囲である。
本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物に添加し得る顔料の添加量は、放射線硬化型インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
(2)重合禁止剤
本実施の形態に係る放射線硬化型インク組成物は、保存安定性を向上させる目的で重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、ラジカル捕捉能力を有してラジカル重合を阻害する化合物であれば何れも使用でき、例えば、ハイドロキノン類、カテコール類、フェノール類等が挙げられる。
ハイドロキノン類としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等が挙げられる。カテコール類としては、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール等が挙げられる。
(3)分散剤
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、前述した顔料の分散性を高める目的で分散剤を添加してもよい。本実施形態で使用可能な分散剤としては、Solsperse3000、5000、9000、12000、13240、17000、24000、26000、28000、36000(以上、ルーブリゾール社製)、ディスコールN−503、N−506、N−509、N−512、N−515、N−518、N―520(以上、第一工業製薬株式会社製)等の高分子分散剤が挙げられる。
(4)界面活性剤
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物は、界面活性剤を添加してもよい。本実施形態で使用可能な界面活性剤としては、好ましくはシリコーン系界面活性剤であり、より好ましくはポリエステル変性シリコーンまたはポリエーテル変性シリコーンである。具体的には、ポリエステル変性シリコーンとしては、BYK−347、同348、BYK−UV3500、同3510、同3530(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられ、ポリエーテル変性シリコーンとしては、BYK−378、BYK−3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
1.4.物性
(1)粘度
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは5mPa・s以上50mPa・s以下であり、より好ましくは20mPa・s以上40mPa・s以下である。放射線硬化型インク組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから放射線硬化型インク組成物が適量吐出され、放射線硬化型インク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取った。
(2)表面張力
本実施形態に係る放射線硬化型インク組成物の20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上30mN/m以下である。放射線硬化型インク組成物の20℃における表面張力が前記範囲内にあると、放射線硬化型インク組成物が撥液処理されたノズルに濡れにくくなる。これにより、ノズルから放射線硬化型インク組成物が適量吐出され、放射線硬化型インク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で、白金プレートをインクで濡らした時の表面張力を確認した。
2.インクジェット記録方法および記録物
本発明の一実施形態におけるインクジェット記録方法は、記録媒体上に前述した放射線硬化型インク組成物を吐出する工程と、吐出された放射線硬化型インク組成物に対して、活性放射線光源から350nm以上430nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射する工程と、を含むことを特徴とする。
放射線硬化型インク組成物については、前述した通りであるから、詳細な説明を省略する。
記録媒体としては、特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等のプラスチック類およびこれらの表面が加工処理されているもの、ガラス、コート紙等が挙げられる。
インクジェット記録方法は、例えば、インクジェット記録装置を用いて行うことができる。インクジェット記録装置としては、例えばインクジェットプリンターを挙げることができる。インクジェットプリンターには、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、キャリッジおよびキャリッジの側面に搭載された活性放射線照射装置などを備えたものが例示できる。また、上記インクジェット式記録ヘッドは、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等のインクカートリッジを備えており、フルカラー印刷ができるように構成されている。なお、上記のインクカートリッジに顔料の添加されていないクリアーを追加してもよいし、上記のインクカートリッジのいずれかをクリアーと入れ替えてもよい。
インクジェットプリンターを用いたインクジェット記録方法としては、次の通りである。まず、充填された放射線硬化型インク組成物をインクジェット式記録ヘッドから吐出し、記録媒体上に付着させて画像を形成する。上記インクジェットプリンターは、内部に専用のコントロールボード等を備えており、インクジェット式記録ヘッドのインクの吐出タイミングおよびヘッド駆動機構の走査を制御することができる。インクジェット吐出方法としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)においては優れた画像記録を行うことが可能である。
次いで、上記画像に活性放射線照射装置を用いて活性放射線を照射し、放射線硬化型インク組成物を硬化させる。活性放射線光源の発光ピーク波長は、350nm以上430nm以下の範囲であり、380nm以上400nm以下の範囲であることがより好ましい。
また、活性放射線光源としては、例えば、LED(発光ダイオード)、LD(半導体レーザー)、水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等が挙げられる。これらの中でも、フィルター等を使用しなくても350nm以上430nmの波長の活性放射線を得られることから、LEDまたはLDを活性放射線光源として用いることが好ましい。また、LEDまたはLDを活性放射線光源として用いると、水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、その他のランプ類を使用した場合と比較して、フィルター等の装備のために光源が大型化することを回避することができる。さらに、フィルターによる吸収で出射された放射線の強度が低下することがなく、放射線硬化型インク組成物を効率良く硬化させることができる。
積算光量は、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下の範囲であることが好ましく、50mJ/cm以上500mJ/cm以下の範囲であることがより好ましい。積算光量が上記範囲内であれば、十分硬化させることができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、記録媒体上に形成された画像のタックを低減でき、かつ、光沢性に優れた画像を得ることができる。
また、本発明の一実施形態に係る記録物は、前述したインクジェット記録方法によって記録されたものである。そのため、記録媒体上に記録された画像は、タックが低減されており、かつ、光沢性に優れている。
3.実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
3.1.放射線硬化型インク組成物の調製
表1〜表3の組成となるように、第1の重合性化合物、第2の重合性化合物、第3の重合性化合物、光重合開始剤、および重合禁止剤を混合して完全に溶解させた。なお、表中で使用した成分は、以下の通りである。
(1)第1の重合性化合物
・2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学株式会社製)
・4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
・1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成株式会社製)
・脂環式カルボン酸系エポキシアクリレート(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「DA−722」)
・多価フェノール系エポキシアクリレート(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「DA−250」)
・脂肪族多価アルコール系エポキシアクリレート(ナガセケムテックス株式会社製、商品名「DA−931」)
(2)第2の重合性化合物
・フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名「D192」)
(3)第3の重合性化合物
・トリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学株式会社製、商品名「APG200」)
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名「KAYARAD R−684」)
(4)光重合開始剤
・IRGACURE 819(チバ・ジャパン株式会社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)
・DAROCUR TPO(チバ・ジャパン株式会社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)
(5)重合禁止剤
・ハイドロキノンモノメチルエーテル(関東化学株式会社製、商品名「P−メトキシフェノール」)
3.2.評価試験
3.2.1.保存安定性の評価
「3.1.放射線硬化型インク組成物の調製」で得られた放射線硬化型インク組成物をサンプル瓶に入れ、完全に密閉した。このサンプル瓶を50℃で3週間保存した後、20℃に戻したときの粘度を測定した。保存前の20℃における粘度と保存後の20℃における粘度とを比較することにより、保存安定性を評価した。粘度の測定は、サンプル瓶を20℃の恒温槽に1時間入れた後、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)により測定した。なお、評価基準の分類については、以下のとおりである。
○:粘度変化が10%未満である
×:粘度変化が10%以上である
3.2.2.表面タック性の評価
(1)印刷物の作成
インクジェットプリンターPX−5000(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、解像度720×720dpi・液滴重量10ngの条件で、「3.1.放射線硬化型インク組成物の調製」によって得られた放射線硬化型インク組成物をPETフィルム上にベタパターン画像として印刷するとともに、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置(UV−LED、発光ピーク波長395nm、照度60mW/cm、積算光量500mJ/cm)の紫外線を照射し、硬化させ印刷物を得た。
(2)印刷物の評価方法
得られた印刷物の画像形成面にトレファン2500H(東レ株式会社製、ポリプロピレンフィルム、両面未処理)を重ね、その上に30g、100gの荷重をかけて20℃で24時間静置した。このようにして、トレファン2500Hに対する印刷物の貼り付きの有無を確認することにより、画像形成面における表面タック性を評価した。なお、評価基準の分類については、以下のとおりである。
◎:30g荷重および100g荷重のいずれにも貼り付きがない
○:30g荷重で貼り付きはないが、100g荷重で貼り付きがある
×:30g荷重および100g荷重のいずれにも貼り付きがある
3.2.3.光沢度の評価
上記「3.2.2.(1)」によって得られた画像について、光沢度計MULTI Gloss 268(コニカミノルタ社製)を用いて、20度における鏡面光沢度を測定した。得られた画像の光沢度の評価基準は、以下のとおりである。
◎:光沢度90以上
○:光沢度75以上90未満
×:光沢度75未満
3.3.評価結果
以上の保存安定性、表面タック性、および光沢度の評価結果を、表1〜表3に示す。なお、表中の水酸基価は、上述した式(4)に従って算出したものである。
Figure 2011195724
Figure 2011195724
Figure 2011195724
表1および表2の実施例1〜実施例20の放射線硬化型インク組成物によれば、保存安定性に優れており、画像のタックが少なく、光沢性に優れた画像が得られることが確認できた。特に、所定量のエポキシアクリレートを含む実施例13〜14、16〜17、19〜20の放射線硬化型インク組成物は、画像のタック性がより少なく、画像の光沢がより優れていた。
表3の比較例1の放射線硬化型インク組成物は、水酸基を有する化合物を有していない。そのため、水酸基価が1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下の範囲内になく、タックの発生した良好でない画像を記録した。
表3の比較例2、4、6〜9の放射線硬化型インク組成物は、水酸基価が1[KOHmg/g]未満である。そのため、タックの発生した良好でない画像を記録した。
表3の比較例3および5の放射線硬化型インク組成物は、水酸基価が200[KOHmg/g]を超えている。そのため、放射線硬化型インク組成物の保存安定性が低下し、光沢性に優れない画像を記録した。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 水酸基を有する重合性化合物を含有する放射線硬化型インク組成物であって、
    前記放射線硬化型インク組成物1gにおける水酸基価が、1[KOHmg/g]以上200[KOHmg/g]以下である、インクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
  2. 水酸基を有する前記重合性化合物は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレート、およびエポキシ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
  3. 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの少なくとも一方である、請求項2に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
  4. 前記脂環式構造を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートは、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートである、請求項2に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
  5. 前記エポキシアクリレートは、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、および下記一般式(3)で表される化合物から選択される少なくとも一種である、請求項2に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
    Figure 2011195724
    Figure 2011195724
    Figure 2011195724
    (式中nは、10以上12以下の整数を表す。)
  6. さらに、ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以下の重合性化合物を含む、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
  7. ホモポリマーのガラス転移温度が40℃以下の前記重合性化合物は、フェノキシエチルアクリレートである、請求項6に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物。
  8. 記録媒体上に請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用放射線硬化型インク組成物を吐出する工程と、
    吐出された放射線硬化型インク組成物に対して、活性放射線光源から350nm以上430nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射する工程と、
    を含む、インクジェット記録方法。
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