JP2020139001A - ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物 - Google Patents

ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニル建材に対し、屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像を記録できるポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法、及び画像記録物を提供する。【解決手段】エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーAと、コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料と、を含有するポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法、並びに画像記録物。【選択図】なし

Description

本開示は、ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物に関する。
従来から、画像の記録に用いられるインクに関し、様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、長期保存安定性を確保し、連続吐出性、硬化して得られる画像の色相、及び、基材への密着性に優れるインク組成物として、(A)N−ビニルラクタム類、(B)その他の重合性化合物、(C)重合開始剤、及び、(D)塩基性化合物を含有し、(A)N−ビニルラクタム類をインク組成物総重量の15重量%未満含有することを特徴とするインク組成物が開示されている。
また、特許文献2には、耐候性に優れた印刷物が得られるインクジェット記録用インク組成物として、C.I.ピグメントイエロー42(PY42)、塩基性高分子分散剤、重合開始剤、及び、重合性化合物を含有し、PY42のpHが3〜6であり、かつ、塩基性高分子分散剤のアミン価が10〜45mgKOH/gであることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物が開示されている。
また、特許文献3には、濃色であり、インク安定性に優れ、サイディング材などの屋外用途の素材にも使用可能な耐候性に優れたインクジェット用イエローインクとして、黄色系顔料として(a)シー・アイ・ピグメントイエロー42および(b)シー・アイ・ピグメントレッド101を含有するインクジェット用イエローインクが開示されている。
特開2008−201876号公報 特開2014−47236号公報 特開2009−149719号公報
しかし、特許文献1〜3では、ポリ塩化ビニル建材に対し画像を記録すること及びこの場合の画像の屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性については考慮されていない。
本開示の一態様の課題は、ポリ塩化ビニル建材に対し、屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像を記録できるポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物及び画像記録方法、並びに、ポリ塩化ビニル建材と屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像とを備える画像記録物を提供することである。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーAと、
コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料と、
を含有するポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<2> 無機顔料が、C.I.ピグメントブルー28、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー184、C.I.ピグメントホワイト6及びC.I.ピグメントブラック7からなる群から選択される少なくとも1種である<1>に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<3> 更に、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない(メタ)アクリレート化合物であるモノマーBを含有する<1>又は<2>に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<4> 更に、N−ビニルカプロラクタムであるモノマーCを含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<5> 更に、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない(メタ)アクリレート化合物であるモノマーB及びN−ビニルカプロラクタムであるモノマーCを含有し、
モノマーB及びモノマーCの総含有質量に対するモノマーAの含有質量の比が、0.004〜1である<1>又は<2>に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<6> 更に、脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しないラジカル重合性モノマーであるモノマーDを含有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<7> 更に、フッ素原子を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーEを含有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<8> 更に、有機溶剤、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及びフッ素原子以外の置換基を有してもよいスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である化合物Hを含有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<9> 化合物Hの含有量が、ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物中に含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有量に対し、0.05質量%〜35質量%である<8>に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<10> 更に、光重合開始剤を含有する<1>〜<9>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
<11> ポリ塩化ビニル建材上に、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物をインクジェット法によって付与する工程と、
ポリ塩化ビニル建材上に付与されたポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物に、活性エネルギー線を照射する工程と、
を有する画像記録方法。
<12> ポリ塩化ビニル建材と、
ポリ塩化ビニル建材上に配置された、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物の硬化物である画像と、
を備える画像記録物。
本開示の一態様によれば、ポリ塩化ビニル建材に対し、屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像を記録できるポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物及び画像記録方法、並びに、ポリ塩化ビニル建材と屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像とを備える画像記録物が提供される。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線といった活性エネルギー線を包含する概念である。
本開示においては、紫外線を、「UV(Ultra Violet)光」ということがある。
本開示において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
本開示において、「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。
本開示において、「ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物」とは、ポリ塩化ビニル建材に対する画像の記録に用いられるインクジェットインク組成物を意味する。
また、本開示において、ポリ塩化ビニル建材とは、素材としてポリ塩化ビニルを含む建材を意味する。
また、本開示において、「画像」とは、ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物を用いて形成される膜全般を意味し、「画像の記録」及び「画像記録」とは、それぞれ、膜の形成及び膜形成を意味する。
また、本開示における「画像」の概念には、ベタ画像(solid image)も包含される。
〔ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物〕
本開示のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物(以下、単に「インク」ともいう)は、エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーAと、コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料と、を含有する。
本開示のインクによれば、ポリ塩化ビニル建材に対し、屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像を記録できる。
ここで、経時密着性とは、屋外環境下で経時させた場合のポリ塩化ビニル建材と画像との密着性を意味する。
また、経時耐擦性とは、屋外環境下で経時させた場合の画像の耐擦性を意味する。
経時密着性及び経時耐擦性は、基本的には、互いに異なる性能ではあるが、両者が相関する場合もある。例えば、経時密着性が向上した結果として、経時耐擦性が向上する場合がある。
本開示のインクにより、画像の経時密着性及び経時耐擦性の効果が奏される理由は、以下のように推測される。ただし、本開示のインクは、以下の理由によって限定されることはない。
ポリ塩化ビニル建材は、屋外環境下、経時により分解して塩酸(HCl)を発生すると考えられる。このため、ポリ塩化ビニル建材上に画像を記録し、画像が記録されたポリ塩化ビニル建材を屋外環境下で経時させた場合、ポリ塩化ビニル建材の分解によって生じた塩酸の作用により、画像の経時密着性及び経時耐擦性が劣化する場合があると考えられる。
これらの問題に対し、上記画像の記録に本開示のインクを用いた場合には、モノマーAのラジカル重合により、ポリ塩化ビニル建材に対し、密着性及び耐擦性に優れた画像を記録でき、かつ、記録された画像中には、モノマーAに由来するエポキシ環及び/又はオキセタン環が残存すると考えられる。
エポキシ環及び/又はオキセタン環は、ある程度、塩基性を有している。このため、画像が記録されたポリ塩化ビニル建材を屋外環境下で経時させた場合には、画像中に残存するエポキシ環及び/又はオキセタン環が、ポリ塩化ビニル建材の分解によって生じた塩酸をトラップすることにより、画像の経時密着性及び経時耐擦性の劣化が抑制されると考えられる。
また、エポキシ環及び/又はオキセタン環は、酸触媒による架橋反応を起こす構造である。このため、画像が記録されたポリ塩化ビニル建材を屋外環境下で経時させた場合には、画像中に残存するエポキシ環及び/又はオキセタン環が、ポリ塩化ビニル建材の分解によって生じた塩酸を触媒として、架橋反応を起こすと考えられる。これにより、画像の強度が高められ、画像の経時密着性及び経時耐擦性の劣化が抑制されると考えられる。
以上の理由により、本開示のインクによれば、ポリ塩化ビニル建材に対し、屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性に優れた画像を記録できると考えられる。
また、本開示のインクは、コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料(以下、「特定無機顔料」ともいう)を含有する。
特定無機顔料は、耐候性、即ち、屋外環境下での耐久性に優れる顔料である。このため、本開示のインクが特定無機顔料を含有することも、屋外環境下での経時密着性及び経時耐擦性の効果に寄与していると考えられる。
<特定無機顔料>
本開示のインクは、特定無機顔料(即ち、コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料)を、少なくとも1種含有する。
特定無機顔料としては、公知の顔料(例えば、カラーインデックスに記載の顔料等)を使用することができる。
経時密着性及び経時耐擦性の観点から、特定無機顔料としては、C.I.ピグメントブルー28、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー184、C.I.ピグメント6及びC.I.ピグメントブラック7からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
−ピグメントブルー28−
C.I.ピグメントブルー28(以下、単にPB28ともいう)は、アルミン酸コバルトからなるシアン無機顔料である。本開示のインクに用いることができるPB28としては、特に制限はないが、下記の市販のPB28を好ましく用いることができる。
市販のPB28としては、例えば、LuconylEH0843、SicopalL6210、SicopalK6310、Xfast6310(以上、BASF社製)等が挙げられる。
−ピグメントレッド101−
C.I.ピグメントブルー101(以下、単にPR101ともいう)は、酸化鉄(III)からなるマゼンタ無機顔料である。本開示のインクに用いることができるPR101としては、特に制限はないが、下記の市販のPR101を好ましく用いることができる。
市販のPR101としては、例えば、SicotransL2715、SicotransL2816、SicotransL2817、SicotransL2818、SicotransL2915(以上、BASF社製)、Cappoxyt Red 4434B、Cappoxyt Red 4435B、Cappoxyt Red 4437B、Cappoxyt Red 4438B(以上、Cappelle社製)等が挙げられる。
−ピグメントイエロー42−
C.I.ピグメントイエロー42(以下、単にPY42ともいう)は、酸化鉄からなるイエロー無機顔料である。本開示のインクに用いることができるPY42としては、特に制限はないが、下記の市販のPY42を好ましく用いることができる。
市販のPY42としては、例えば、SicotransL1915、SicotransL1916(以上、BASF社製)、Cappoxyt Yellow 4212X、Cappoxyt Yellow 4214X(以上、Cappelle社製)等が挙げられる。
−ピグメントイエロー184−
C.I.ピグメントイエロー184(以下、単にPY184ともいう)は、バナジン酸ビスマスからなるイエロー無機顔料である。本開示のインクに用いることができるPY184としては、特に制限はないが、下記の市販のPY184を好ましく用いることができる。
市販のPY184としては、例えば、SicopalL1100、SicopalL1110、SicopalL1120、SicopalL1600(以上、BASF社製)、Lysopac Yellow 6601B、Lysopac Yellow 6611B、Lysopac Yellow 6615B、Lysopac Yellow 6616B(以上、Cappelle社製)が挙げられる。
−ピグメントホワイト6−
C.I.ピグメントホワイト6(以下、単にPW6ともいう)は、酸化チタンからなるホワイト無機顔料である。本開示のインクに用いることができるPW6としては、特に制限はないが、下記の市販のPW6を好ましく用いることができる。
市販のPW6としては、例えば、KRONOS 2300(KRONOS社製)、タイペークCR60−2(石原産業(株)製)が挙げられる。
−ピグメントブラック7−
C.I.ピグメントブラック7(以下、単にPBK7ともいう)は、炭素を含むブラック無機顔料(詳細には、カーボンブラック)である。本開示のインクに用いることができるPBK7としては、特に制限はないが、下記の市販のPBK7を好ましく用いることができる。
市販のPBK7としては、例えば、SPECIAL BLACK 250(BASF社製)、Mogul E(Cabot社製)が挙げられる。
特定無機顔料は、平均粒径が小さいほど発色性に優れる。特定無機顔料の体積平均粒径は、0.01μm〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.02μm〜0.3μmである。
本開示において、体積平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計により測定された値を意味する。
測定装置としては、例えば、粒度分布測定装置「マイクロトラックMT−3300II」(日機装(株)製)が挙げられる。
本開示のインク中の特定無機顔料の含有量は、インクの全量に対し、0.01質量%〜30質量%であることが好ましく、0.1質量%〜25質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜15質量%であることが更に好ましい。上記数値範囲内であると、インクの保存安定性及び発色がより向上する。
本開示のインクは、特定無機顔料以外のその他の着色剤をさらに含んでいてもよい。
その他の着色剤としては、カラーインデックスに記載の顔料等の公知の顔料を用いることができる。また、その他の着色剤については、国際公開第2015/115600号の段落0097等の公知文献を適宜参照してもよい。
本開示のインクは、顔料分散剤を少なくとも1種含有してもよい。
顔料分散剤については、特開2011−225848号公報の段落0152〜0158、特開2009−209352号公報の段落0132〜0149、等の公知文献を適宜参照することができる。
<エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマー(モノマーA)>
本開示のインクは、エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーAを少なくとも1種含有する。
本開示において、ラジカル重合性モノマーとは、ラジカル重合性基を有する化合物を意味する。
従って、モノマーAとしてのラジカル重合性モノマーは、エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有し、かつ、ラジカル重合性基を有する。
本開示におけるラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基(即ち、エチレン性二重結合を含む基)が好ましく、ビニル基、アリル基、又は(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が更に好ましい。
モノマーAの分子量としては、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、400以下がさらに好ましい。
モノマーAは、単官能のラジカル重合性モノマー(以下、単に「モノマーA−1」ともいう)でも、2官能以上のラジカル重合性モノマー(以下、単に「モノマーA−2」ともいう)でもよいが、画像の密着性、及び、入手性の観点から、単官能のラジカル重合性モノマーがより好ましい。
モノマーA−1としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
また、モノマーA−1としては、エポキシ基を2つ以上有する化合物(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)中のエポキシ基の1つに対して(メタ)アクリル酸を付加した化合物も挙げられる。
経時耐擦性をより向上させる観点から、モノマーAは、脂肪族環状構造を有することが好ましい。
この場合、モノマーAは、脂肪族環状構造とエポキシ環及び/又はオキセタン環とが縮環された構造を有していてもよい。
モノマーAが有していてもよい脂肪族環状構造の炭素数として、好ましくは、4〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、更に好ましくは4〜12である。
モノマーAが有していてもよい脂肪族環状構造としては、5〜6員環の脂肪族環状構造が好ましい。
モノマーAが有していてもよい脂肪族環状構造は、環状構造中にヘテロ原子を有してもよい。脂肪族環状構造としては、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基が好ましい。ヘテロシクロアルキル基における環状構造中のヘテロ原子の数として、好ましくは1又は2である。ヘテロシクロアルキル基における環状構造中のヘテロ原子として、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子であり、より好ましくは酸素原子である。
モノマーAが有していてもよい脂肪族環状構造としては、シクロアルキル基が好ましく、5〜6員環のシクロアルキル基がより好ましい。
脂肪族環状構造を有するモノマーAとしては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
モノマーAの含有量は、インクの全量に対して、1質量%〜60質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
また、画像の経時密着性及び経時耐擦性をより向上させる観点から、インクに含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有質量に対するモノマーAの含有質量の比(以下、「モノマーA/全モノマー比」ともいう)は、0.001〜0.9が好ましく、0.002〜0.5がより好ましく、0.05〜0.5が更に好ましく、0.05〜0.4が更に好ましい。
<芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない(メタ)アクリレート化合物(モノマーB)>
本開示のインクは、画像の経時耐擦性をより向上させる観点から、更に、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない(メタ)アクリレート化合物であるモノマーBを含有することが好ましい。
本開示のインクがモノマーBを含有する場合、含有されるモノマーBは、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
ここで、芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられ、好ましくはベンゼン環である。
モノマーBの分子量としては、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、400以下がさらに好ましい。
モノマーBとしては、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない単官能の(メタ)アクリレート化合物(以下、単に「モノマーB−1」ともいう)でもよく、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(以下、単に「モノマーB−2」ともいう)でもよい。
モノマーB−1としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマーB−2としては、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと(メタ)アクリル酸との反応物、等が挙げられる。
画像の経時耐擦性をより向上させる観点からは、本開示のインクは、モノマーB−1を含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを含むこと(即ち、フェノキシエチルアクリレート及びフェノキシエチルメタクリレートの少なくとも一方を含むこと)がさらに好ましい。
本開示のインクがモノマーBを含有する場合、モノマーBの含有量は、インクの全量に対して、1質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜45質量%がより好ましく、10質量%〜40質量%が更に好ましい。
また、画像の経時耐擦性をより向上させる観点から、インクに含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有質量に対するモノマーBの含有質量の比(以下、「モノマーB/全モノマー比」ともいう)は、0.001〜0.9が好ましく、0.002〜0.5がより好ましく、0.01〜0.5が更に好ましく、0.05〜0.4が更に好ましい。
<N−ビニルカプロラクタム(モノマーC)>
本開示のインクは、画像の経時耐擦性をより向上させる観点から、更に、N−ビニルカプロラクタムであるモノマーCを含有することが好ましい。
本開示のインクがモノマーCを含有する場合、モノマーCの含有量は、インクの全量に対して、1質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜35質量%がより好ましく、5質量%〜30質量%が更に好ましい。
画像の経時耐擦性をより向上させる観点から、インクに含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有質量に対するモノマーCの含有質量の比(以下、「モノマーC/全モノマー比」ともいう)は、0.001〜0.9が好ましく、0.002〜0.5がより好ましく、0.01〜0.5が更に好ましく、0.05〜0.4が更に好ましい。
本開示のインクがモノマーB及びモノマーCの少なくとも一方(好ましくは両方)を含有する場合、モノマーB及びモノマーCの総含有質量に対するモノマーBの含有質量の比(以下、「モノマーB/(モノマーB+モノマーC)比」ともいう)は、画像の経時耐擦性をより向上させる観点から、0.1〜1であることが好ましく、0.2〜0.9であることがより好ましく、0.3〜0.8であることが更に好ましい。
また、本開示のインクがモノマーB及びモノマーCの少なくとも一方(好ましくは両方)を含有する場合、モノマーB及びモノマーCの総含有質量に対するモノマーAの含有質量の比(以下、「モノマーA/(モノマーB+モノマーC)比」ともいう)は、0.002〜5が好ましく、0.004〜1がより好ましく、0.004〜0.8が更に好ましく、0.004〜0.6が更に好ましい。
モノマーA/(モノマーB+モノマーC)比が0.002以上である場合には、画像の経時密着性及び経時耐擦性がより向上する。
モノマーA/(モノマーB+モノマーC)比が5以下である場合には、画像の経時耐擦性がより向上する。
また、画像の経時密着性及び経時耐擦性をより向上させる観点から、インクに含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有質量に対する、モノマーA、モノマーB及びモノマーCの含有質量の比(以下、「(モノマーA+モノマーB+モノマーC)/全モノマー比」ともいう)は、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.4以上であり、更に好ましくは0.5以上であり、更に好ましくは0.6以上である。
(モノマーA+モノマーB+モノマーC)/全モノマー比は、1であってもよいし、1未満であってもよい。
<脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しないラジカル重合性モノマー(モノマーD)>
本開示のインクは、画像の経時耐擦性をより向上させる観点から、脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しないラジカル重合性モノマーであるモノマーDを含有してもよい。
モノマーDにおける脂肪族環状構造の炭素数として、好ましくは、4〜20であり、更に好ましくは4〜16であり、更に好ましくは4〜12である。
モノマーDにおける脂肪族環状構造は、環状構造中にヘテロ原子を有してもよい。
モノマーDにおける脂肪族環状構造としては、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基が好ましい。
ヘテロシクロアルキル基中のヘテロ原子の数として、好ましくは1又は2である。ヘテロシクロアルキル基における環状構造中のヘテロ原子として、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子であり、より好ましくは酸素原子である。
ヘテロシクロアルキル基としては、5〜6員環のヘテロシクロアルキル基が好ましい。
モノマーDとして、好ましくは、脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環、オキセタン環及び芳香環を有しない(メタ)アクリレート化合物である。
モノマーDとしては、単官能のラジカル重合性モノマー(以下、単に「モノマーD−1」ともいう)でもよく、2官能以上のラジカル重合性モノマー(以下、単に「モノマーD−2」ともいう)でもよいが、画像の密着性及び入手性の観点からは、モノマーD−1であることがより好ましい。
モノマーDの分子量としては、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
モノマーD−1としては、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンタン−2−イル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、等が挙げられる。
モノマーD−2としては、1,3−ビス−(メタ)アクリロイルオキシ−アダマンタン等が挙げられる。
本開示のインクがモノマーDを含有する場合、モノマーDの含有量は、インクの全量に対して、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましく、5質量%〜10質量%が更に好ましい。
また、本開示のインクがモノマーDを含有する場合、インクに含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有質量に対する、モノマーDの含有質量の比(以下、「モノマーD/全モノマー比」ともいう)は、0.01〜0.3が好ましく、0.02〜0.2がより好ましい。
<フッ素原子を含有するラジカル重合性モノマー(モノマーE)>
本開示のインクは、画像の経時密着性をより向上させる観点から、フッ素原子を含有するラジカル重合性モノマーであるモノマーEを含むことも好ましい。
モノマーEは、フッ素原子を含有する単官能のラジカル重合性モノマーであるモノマーG−1でもよく、フッ素原子を含有する2官能以上のラジカル重合性モノマーであるモノマーE−2でもよいが、入手性の観点からは、モノマーE−1が好ましい。
モノマーEの分子量としては、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、500以下がさらに好ましい。
モノマーE−1としては、
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、
(メタ)アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、
(メタ)アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、
(メタ)アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、
(メタ)アクリル酸2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、
1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリル酸1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル、
(メタ)アクリル酸1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル、
(メタ)アクリル酸1H,1H−ペンタデカフルオロ−n−オクチル、
(メタ)アクリル酸1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル、
(メタ)アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロへプチル、
(メタ)アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタフルオロデシル等の、炭素数1〜20のフッ化アルキル基を有する(メタ)アクリレート化合物;
炭素数6〜20のフッ化アリール基を有する(メタ)アクリレート化合物;
(メタ)アクリル酸ペンタフルオロベンジル等の炭素数7〜20のフッ化アラルキル基を有する(メタ)アクリレート化合物;。
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン等のフッ化スチレン;
等が挙げられる。
モノマーE−2としては、(メタ)アクリル酸と、フッ素原子を有するジオール化合物と、の反応物(エステル化合物)等が挙げられる。
フッ素原子を有するジオール化合物としては、1,3−ビス(ヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、1H,1H,10H,10H−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカンジオール、ヘキサフルオロ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)−2,3−ブタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオール、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。
また、本開示のインクがモノマーEを含有する場合、モノマーEの含有量は、インクの全量に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.3質量%〜5質量%がより好ましく、0.5質量%〜3質量%が更に好ましい。
また、本開示のインクがモノマーEを含有する場合、インクに含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有質量に対する、モノマーEの含有質量の比(以下、「モノマーE/全モノマー比」ともいう)は、0.01〜0.3が好ましく、0.02〜0.2がより好ましい。
<化合物H>
本開示のインクは、有機溶剤、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及びフッ素原子以外の置換基を有してもよいスチレンからなる群より選択される少なくとも1種である化合物Hを含有することが好ましい。
本開示のインクが化合物Hを含有する場合には、画像の経時密着性がより向上する。
かかる効果が奏される理由は明らかではないが、インクがポリ塩化ビニル建材上に付与された際、インク中の化合物Hが、ポリ塩化ビニル建材を溶解又は膨潤させることにより、インクによって形成される画像とポリ塩化ビニル建材との密着性(経時前の密着性)が向上し、この経時前の密着性が、屋外環境下で画像を経時させた際にも維持されるためと推測される。
本開示のインクが化合物Hを含有する場合には、画像の経時密着性がより向上するとともに、画像の経時密着性もより向上することがある。
(化合物Hとしての有機溶剤)
化合物Hとしての有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、ケトン化合物、エステル化合物、アルコール化合物、エーテル化合物、炭化水素化合物、芳香族化合物、セロソルブ化合物などが挙げられる。
ケトン化合物としては、例えば、脂肪族ケトン、芳香族ケトン等が挙げられる。
脂肪族ケトンとしては、アセトン、シクロヘキサノン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。
芳香族ケトンとしては、アセトフェノン等が挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エステル、アセト酢酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等が挙げられる。エステル化合物は分子内にケトン基を有しないことで、上記のケトン化合物とは区別される。
酢酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸セロソルブ、3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。
アセト酢酸エステルとしては、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
芳香族カルボン酸エステルとしては、フタル酸ジブチル等が挙げられる。
アルコール化合物としては、脂肪族環状構造を有するアルコール化合物が挙げられる。アルコール化合物は、分子内にケトン基及びエステル基を有しないことで、上記のケトン化合物及びエステル化合物とは区別される。
脂肪族環状構造を有するアルコール化合物としては、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
エーテル化合物としては、環状エーテル化合物、セロソルブ化合物等が挙げられる。エーテル化合物は、分子内にケトン基、エステル基及びアルコール性水酸基を含有しない点で上記のケトン化合物、エステル化合物及びアルコール化合物とは区別される。
環状エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、フラン等が挙げられる。
セロソルブ化合物としては、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。
炭化水素化合物としては、脂肪族炭化水素化合物でもよく、芳香族炭化水素化合物でもよい。また、炭化水素化合物は、分子内にケトン基、エステル基、アルコール性水酸基及びエーテル結合を有しない点で、上記のケトン化合物、エステル化合物、アルコール化合物及びエーテル化合物とは区別される。
脂肪族炭化水素化合物としては、シクロヘキサン、ピネン等が挙げられる。
芳香族炭化水素化合物としては、エチルベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
化合物Hのとしての、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、等が挙げられる。
化合物Hとしての、フッ素以外の置換基を有してもよいスチレンとしては、スチレン、メチルスチレン等が挙げられる。
インクが化合物Hを含有する場合、化合物Hの含有量は、インクの全量に対して、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.05質量%〜25質量%がより好ましく、0.05質量%〜20質量%が更に好ましい。
インクが化合物Hを含有する場合、化合物Hの含有量は、インク中に含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜40質量%がより好ましく、0.05質量%〜35質量%が更に好ましく、0.05質量%〜25質量%がより更に好ましく、0.05質量%〜20質量%が特に好ましい。
化合物Hの含有量が、全てのラジカル重合性モノマーの総含有量に対して0.01質量%以上であることにより画像の経時密着性が向上し、50質量%以下であることで画像の経時耐擦性が向上する。
<その他の重合性モノマー>
本開示のインクは、上述したモノマー以外のその他の重合性モノマーを含有してもよい。
その他の重合性モノマーとしては、ラジカル重合性モノマーが好ましく、エチレン性不飽和化合物がより好ましい。
その他の重合性モノマーとしてのラジカル重合性モノマー(以下、「他のラジカル重合性モノマー」ともいう)としては、公知のラジカル重合性モノマーを用いることができ、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が挙げられる。
その他の重合性モノマーとしては、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載のラジカル重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物等を用いてもよい。
他のラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、アクリレート化合物であることがより好ましい。
他のラジカル重合性モノマーは、単官能のラジカル重合性モノマーであってもよいし、2官能以上のラジカル重合性モノマーであってもよい。
本開示のインクは、他のラジカル重合性モノマーとして、2官能以上のラジカル重合性モノマーを含有することが好ましく、2官能又は3官能のラジカル重合性モノマーを含有することがより好ましく、2官能のラジカル重合性モノマーを含有することが更に好ましい。
他のラジカル重合性モノマーの具体例としては;
炭素数5以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート化合物等の単官能の(メタ)アクリレート化合物;
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等の2官能の(メタ)アクリレート化合物;
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物;
等が挙げられる。
また、他のラジカル重合性モノマーの具体例としては、窒素原子を有する塩基性の基(例えば、3級アミノ基、含窒素複素環基等)を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
窒素原子を有する塩基性の基としては、3級アミノ基が好ましく、脂肪族アミノ基である3級アミノ基がより好ましい。
脂肪族アミノ基である3級アミノ基の炭素数は2〜12が好ましく、2〜8がより好ましい。
脂肪族アミノ基である3級アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、窒素原子に置換基を有するピペラジノ基、等が挙げられる。
窒素原子を有する塩基性の基を有する(メタ)アクリレート化合物としては;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−N−モルホリノエチル(メタ)アクリレート、2−ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、2−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート化合物;
N−メチルジエタノールアミンと(メタ)アクリル酸との反応物、ピペラジン−1,4−ビスエタノールアミンと(メタ)アクリル酸との反応物等の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物;
等が挙げられる。
また、他のラジカル重合性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等も挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、(株)シーエムシー出版);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知のラジカル重合性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
他のラジカル重合性モノマーの分子量は、80〜1,000であることが好ましく、80〜800であることがより好ましく、80〜500であることが更に好ましい。
本開示のインクにおいて、ラジカル重合性モノマーの総含有量は、インクの全量に対し、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。
ラジカル重合性モノマーの上限は、特に限定はないが、例えば、95質量%、90質量%などが挙げられる。
本開示のインクにおいて、単官能のラジカル重合性モノマー及び2官能のラジカル重合性モノマーの総含有量は、インクの全量に対し、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。
単官能のラジカル重合性モノマー及び2官能のラジカル重合性モノマーの総含有量の上限は、特に限定はないが、例えば、95質量%、90質量%などが挙げられる。
また、本開示のインクにおいて、全ラジカル重合性モノマー中に占める単官能のラジカル重合性モノマーの比率は、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
全ラジカル重合性モノマー中に占める単官能のラジカル重合性モノマーの比率の上限には特に限定はないが、上限として、例えば、100質量%、95質量%、90質量%等が挙げられる。
<光重合開始剤>
本開示のインクは、光重合開始剤を含むことが好ましい。
本開示のインクが光重合開始剤を含有する場合、含有される光重合開始剤は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
光重合開始剤としては、光(即ち、活性エネルギー線)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する、公知の光重合開始剤を用いることができる。
好ましい光重合開始剤として、(a)芳香族ケトン類等のカルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤としては、上記(a)、(b)及び(e)がより好ましい。
(a)カルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY”,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117に記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。
より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号パンフレット、ヨーロッパ特許0284561A1号公報に記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。
これらの光重合開始剤の中でも、(a)カルボニル化合物又は(b)アシルホスフィンオキシド化合物がより好ましく、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)819)、2−(ジメチルアミン)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)369)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)907)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)184)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(例えば、DAROCUR(登録商標)TPO、LUCIRIN(登録商標)TPO(いずれもBASF社製))などが挙げられる。
これらの中でも、感度向上の観点及びLED光への適合性の観点等から、光重合開始剤としては、(b)アシルホスフィンオキシド化合物が好ましく、モノアシルホスフィンオキシド化合物(特に好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド)、又は、ビスアシルホスフィンオキシド化合物(特に好ましくは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)がより好ましい。
本開示のインクが光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量としては、インクの全量に対し、1.0質量%〜25.0質量%が好ましく、2.0質量%〜20.0質量%がより好ましく、3.0質量%〜15.0質量%が更に好ましい。
<増感剤>
本開示のインクは、増感剤を含有することが好ましい。
本開示のインクが増感剤を含有する場合、含有される増感剤は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
ここで、増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる物質である。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱等の作用を生じる。これにより、光重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸又は塩基の生成等が促進される。
増感剤としては、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル(EDB)、アントラキノン、3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン、エリスロシン等が挙げられる。
また、増感剤としては、特開2010−24276号公報に記載の一般式(i)で表される化合物や、特開平6−107718号公報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。
上記の中でも、増感剤としては、LED光への適合性及び光重合開始剤との反応性の観点から、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、及びベンゾフェノンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本開示のインクが増感剤を含有する場合、増感剤の含有量は、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1.0質量%〜7.0質量%がより好ましく、2.0質量%〜6.0質量%が特に好ましい。
<界面活性剤>
本開示のインクは、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載された界面活性剤が挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、アセチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、変性ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類、等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、カルボベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤に代えて重合性基を有しない有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素含有界面活性剤、オイル状フッ素含有化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載された化合物が挙げられる。
本開示のインクが界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、インクの全量に対し、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.1質量%〜3.0質量%がより好ましく、0.3質量%〜2.0質量%が特に好ましい。
(重合禁止剤)
本開示のインクは、重合禁止剤を含有していてもよい。
重合禁止剤としては、p−メトキシフェノール、キノン類(例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、メトキシベンゾキノン等)、フェノチアジン、カテコール類、アルキルフェノール類(例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等)、アルキルビスフェノール類、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸銅、チオジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズイミダゾール、ホスファイト類、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル(TEMPOL)、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(別名:クペロンAl)などが挙げられる。
これらの中でも、p−メトキシフェノール、カテコール類、キノン類、アルキルフェノール類、TEMPO、TEMPOL、及びトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ベンゾキノン、BHT、TEMPO、TEMPOL、及びトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本開示のインクが重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、インクの全量に対し、0.01質量%〜2.0質量%が好ましく、0.02質量%〜1.0質量%がより好ましく、0.03質量%〜0.5質量%が特に好ましい。
<樹脂>
本開示のインクは、樹脂を少なくとも1種含有していてもよい。
樹脂としては、重合性基を有しない樹脂が好ましい。
また、樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン、ポリケトン等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂の市販品としては、ダウケミカルズ社製のユーカーソリューションビニル樹脂VYHD、VYHH、VMCA、VROH、VYLF−X;日信科学工業製のソルバイン樹脂CL、CNL、C5R、TA5R;ワッカー社製のVINNOL(登録商標)E15/40、E15/45、H14/36、H15/42、H15/50、H11/59、H40/43、H40/50、H40/55、H40/60、H15/45M、E15/45M、E15/40A;等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチルとメタクリル酸n−ブチルとの共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂の市販品としては、Lucite International社のElvacite 2013(メタクリル酸メチルとメタクリル酸n−ブチルとの共重合体、Mw=34000)、Elvacite 2014(メタクリル酸メチルとメタクリル酸n−ブチルとの共重合体、Mw=119000)、Elvacite 4099(メタクリル酸メチルとメタクリル酸n−ブチルとの共重合体、Mw=15000);三菱ケミカル(株)のダイヤナール(登録商標)BR−113(メタクリル酸ブチル樹脂、Mw=30000)、等が挙げられる。
また、ポリエステルの市販品としては、エボニックジャパン(株)のポリエステル樹脂(「TEGO(登録商標) addbond LTH」;Mw=3000)等が挙げられる。
塩素化ポリオレフィンの市販品としては、日本製紙(株)のスーパークロン(登録商標)814HS等が挙げられる
ポリケトンの市販品としては、エボニック社のTEGO(登録商標) VARIPLUS AP、CA、SK、等が挙げられる
樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、3000〜200000が好ましく、5000〜200000がより好ましく、10000〜150000であることが更に好ましく、10000〜100000であることが更に好ましく、10000〜50000であることが特に好ましい。
また、インクが樹脂を含む場合、樹脂の含有量は、インクの全量に対して1質量%〜10質量%であることが好ましく、1.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、2質量%〜6質量%であることが特に好ましい。
<水>
本開示のインクは、少量の水を含有していてもよい。
具体的には、本開示のインクの全量に対する水の含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。
本開示のインクは、実質的に水を含有しない、非水性のインクであることが好ましい。
<その他の成分>
本開示のインクは、上記以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、紫外線吸収剤、共増感剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩等が挙げられる。
その他の成分については、特開2011−225848号公報、特開2009−209352号公報等の公知文献を適宜参照することができる。
<インクの好ましい物性>
本開示のインクの粘度には特に制限はない。
本開示のインクは、25℃における粘度が10mPa・s〜50mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜30mPa・sであることがより好ましく、10mPa・s〜25mPa・sであることが更に好ましい。インクの粘度は、例えば、含有される各成分の組成比を調整することによって調整できる。
ここでいう粘度は、粘度計:VISCOMETER RE−85L(東機産業(株)製)を用いて測定された値である。
インクの粘度が上記好ましい範囲であると、吐出安定性をより向上させることができる。
本開示のインクの表面張力には特に制限はない。
本開示のインクは、30℃における表面張力が、20mN/m〜30mN/mであることが好ましく、さらに好ましくは23mN/m〜28mN/mである。濡れ性の点では30mN/m以下が好ましく、滲み抑制及び浸透性の点では20mN/m以上が好ましい。
ここでいう表面張力は、表面張力計 DY−700(協和界面化学(株)製)を用いて測定された値である。
〔画像記録方法〕
本開示の画像記録方法は、ポリ塩化ビニル建材上に、本開示のインクをインクジェット法によって付与する工程(以下、「付与工程」ともいう)と、ポリ塩化ビニル建材上に付与されたインクに、活性エネルギー線(即ち、本明細書にいう「光」)を照射する工程(以下、「照射工程」ともいう)と、を有する。
本開示の画像記録方法によれば、ポリ塩化ビニル建材上に、経時耐擦性及び経時密着性に優れた画像を記録できる。
−ポリ塩化ビニル建材−
本開示の画像記録方法では、ポリ塩化ビニル建材が用いられる。
ポリ塩化ビニル建材としては、建材としての使用の観点から、硬質ポリ塩化ビニル建材が好ましい。
ここで、硬質ポリ塩化ビニル建材とは、建材全量に対するポリ塩化ビニルの含有量が70質量%以上であるポリ塩化ビニル建材を意味する。
硬質ポリ塩化ビニル建材としては、可塑剤(例えば、フタル酸ビス2−エチルヘキシル等)を含有しないか、又は、含有する場合には可塑剤の含有量が建材全量に対して10質量%未満(より好ましくは5質量%未満)である硬質ポリ塩化ビニル建材が好ましい。
ポリ塩化ビニル建材の一例として、サイディング材が挙げられる。
この場合、サイディング材に対し、本開示の画像記録方法によって画像を記録することにより、サイディング材の意匠性を向上させることができる。しかも、記録された画像は、前述のとおり、経時耐擦性及び経時密着性に優れる。
(付与工程)
付与工程は、ポリ塩化ビニル建材(以下、単に「建材」ともいう)上に、本開示のインクをインクジェット法によって付与する工程である。
インクジェット法によるインクの付与は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。
インクジェット記録装置としては特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置を用いることができる。
インクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1pL〜100pL、より好ましくは8pL〜30pLのマルチサイズドットを、好ましくは320dpi(dot per inch)×320dpi〜4000dpi×4000dpi(dot per inch)、より好ましくは400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、さらに好ましくは720dpi×720dpi〜1600dpi×1600dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。
なお、dpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
(照射工程)
照射工程は、建材上に付与されたインクに、活性エネルギー線を照射する工程である。
建材上に付与されたインクに活性エネルギー線を照射することにより、インク中のラジカル重合性モノマーの重合反応が進行する。その結果、画像を定着させ、画像の硬度等を向上させることできる。
照射工程で用いることができる活性エネルギー線としては、紫外線(UV光)、可視光線、電子線等を挙げられ、これらの中でも、UV光が好ましい。
活性エネルギー線のピーク波長は、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜385nmであることが更に好ましい。
また、200nm〜310nmであることも好ましく、200nm〜280nmであることも好ましい。
活性エネルギー線が照射される際の露光エネルギーは、例えば10mJ/cm〜2000mJ/cm、好ましくは20mJ/cm〜1000mJ/cmである。
活性エネルギー線を発生させるための源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が広く知られている。
また、上記で例示された光源の、半導体紫外発光デバイスへの置き換えは、産業的にも環境的にも非常に有用である。
半導体紫外発光デバイスの中でも、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)は、小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、光源として期待されている。
光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED、又は青紫レーザーが好ましい。
これらの中でも、増感剤と光重合開始剤とを併用する場合は、波長365nm、405nm、若しくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm、若しくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nm、若しくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nm、395nm、若しくは405nmの光照射が可能なLEDが最も好ましい。
照射工程おいて、建材上に付与されたインクに対する活性エネルギー線の照射時間は、例えば0.01秒間〜120秒間であり、好ましくは0.1秒間〜90秒間である。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている照射条件及び照射方法を同様に適用することができる。
活性エネルギー線の照射方式として、具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニット及び光源を走査する方式、又は、駆動を伴わない別光源によって活性エネルギー線の照射を行う方式が好ましい。
活性エネルギー線の照射は、インクを着弾して加熱乾燥を行った後、一定時間(例えば0.01秒間〜120秒間、好ましくは0.01秒間〜60秒間)をおいて行うことが好ましい。
(加熱乾燥工程)
画像記録方法は、必要により付与工程後であって照射工程前に、更に加熱乾燥工程を有していてもよい。
加熱手段は特に限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などが挙げられる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。
なお、加熱時間は、インクの組成及び印刷速度を加味して適宜設定することができる。
<画像記録物>
本開示の画像記録物は、ポリ塩化ビニル建材と、このポリ塩化ビニル建材上に配置された、本開示のインクの硬化物である画像と、を備える。
従って、本開示の画像記録物は、画像の経時密着性及び経時耐擦性に優れる。
本開示の画像記録物の一例として、画像付きのサイディング材が挙げられる。
本開示の画像記録物において、本開示のインクの硬化物である画像は、モノマーAに由来する構造単位を含む重合体と、前述の特定無機顔料と、を含有する。
ここで、モノマーAに由来する構造単位とは、モノマーAの重合によって得られる構造単位を意味する。
上記重合体におけるモノマーAに由来する構造単位の好ましい含有量については、前述したインクの項におけるモノマーA/全モノマー比を適宜参照できる。
上記重合体は、モノマーAに由来する構造単位以外のその他の構造単位を含有していてもよい。
また、本開示のインクの硬化物である画像は、上記特定無機顔料及び上記重合体以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の構造単位及びその他の成分については、前述したインクの項を適宜参照できる。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
<シアンミルベースの調製>
下記組成中の各素材を混合し、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて10分撹拌して混合物を得た。その後、得られた混合物を、ビーズミル分散機DISPERMAT LS(VMA社製)に入れ、直径0.65mmのYTZボール((株)ニッカトー製)を用い、2,500回転/分で6時間分散を行い、無機顔料分散物として、下記組成を有するシアンミルベースを得た。
−シアンミルベースの組成−
・Sicopal Blue K 6310 … 40質量部
(シアン顔料(特定無機顔料);C.I.ピグメントブルー28、BASF社製)
・ソルスパース32000 … 10質量部
(高分子分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SR339A … 49質量部
(モノマーB;2−フェノキシエチルアクリレート(PEA)、サートマー・ジャパン(株)製)
・FLORSTAB UV12 … 1.0質量部
(重合禁止剤;クペロンAl、Kromachem社製)
<マゼンタミルベースの調製>
素材の一部を変更したこと以外はシアンミルベースの調製と同様にして、下記組成を有するマゼンタミルベースを調製した。
−マゼンタミルベースの組成−
・Sicotrans Red L 2818 … 30質量部
(マゼンタ顔料(特定無機顔料);C.I.ピグメントレッド101、BASF社製)
・ソルスパース32000 … 10質量部
・SR339A … 59質量部
・FLORSTAB UV12 … 1.0質量部
<イエローミルベース1の調製>
素材の一部を変更したこと以外はシアンミルベースの調製と同様にして、下記組成を有するイエローミルベース1を調製した。
−イエローミルベース1の組成−
・Sicotrans Gelb L 1915 … 30質量部
(イエロー顔料(特定無機顔料);C.I.ピグメントイエロー42、BASF社製)
・ソルスパース32000 … 10質量部
・SR339A … 59質量部
・FLORSTAB UV12 …1.0質量部
<イエローミルベース2の調製>
素材の一部を変更したこと以外はシアンミルベースの調製と同様にして、下記組成を有するイエローミルベース2を調製した。
−イエローミルベース2の組成−
・Lysopac Yellow 6615B … 40質量部
(イエロー顔料(特定無機顔料);C.I.ピグメントイエロー184、Cappelle Pigments NVF社製)
・ソルスパース32000 … 10質量部
・SR339A … 49質量部
・FLORSTAB UV12 … 1.0質量部
<ホワイトミルベースの調製>
素材の一部を変更したこと以外はシアンミルベースの調製と同様にして、下記組成を有するホワイトミルベースを調製した。
−ホワイトミルベースの組成−
・KRONOS 2300 … 40質量部
(ホワイト顔料(特定無機顔料);C.I.ピグメントホワイト6、KRONOS社製)
・ソルスパース32000 … 10質量部
・SR339A … 49質量部
・FLORSTAB UV12 … 1.0質量部
<ブラックミルベースの調製>
素材の一部を変更したこと以外はシアンミルベースの調製と同様にして、下記組成を有するブラックミルベースを調製した。
−ブラックミルベースの組成−
・SPECIAL BLACK 250 … 40質量部
(ブラック顔料(特定無機顔料);C.I.ピグメントブラック7、BASF社製)
・ソルスパース32000 … 10質量部
・SR339A … 49質量部
・FLORSTAB UV12 … 1.0質量部
〔実施例1〕
<インクの調製>
下記組成の各成分を混合し、インクを調製した。
−インクの組成−
・上記シアンミルベース … 25.0質量部
・グリシジルアクリレート(以下、「GLA」ともいう)(モノマーA)
… 56.0質量部
・SPEEDCURE BP … 1.2質量部
(光重合開始剤、ベンゾフェノン、Lambson社製)
・Lucirin TPO … 5.2質量部
(光重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、BASF社製)
・SPEEDCURE ITX … 1.4質量部
(光重合開始剤、イソプロピルチオキサントン、Lambson社製)
・SPEEDCURE EDB … 1.7質量部
(増感剤、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、Lambson社製)
・FLORSTAB UV12 … 0.1質量部
(重合禁止剤、Kromachem社製)
・Dianal BR−113 … 1.4質量部
(アクリル樹脂、Tg=78℃、三菱レイヨン(株)製)
・BYK−307 … 0.2質量部
(シリコーン界面活性剤、ビックケミー社製)
<画像記録>
ポリ塩化ビニル建材上に、上記インクをインクジェット法によって付与し、付与された上記インクに、UV光を照射することにより画像を記録し、画像記録物を得た。
画像の記録は、富士フイルム(株)製UVインクジェットプリンターLuxelJet UV550GTWを用い、プロダクションモード、ランプ7の条件で行った。
ポリ塩化ビニル建材としては、住友ベークライト株式会社製カイダック(登録商標)ミルキーアイボリーSKDG1200を用いた。このポリ塩化ビニル建材は、可塑剤を含まない硬質ポリ塩化ビニル建材である。
記録した画像は、A2サイズのベタ画像とした。
<評価>
上記画像記録物を用い、画像の経時密着性及び画像の経時耐擦性の評価を実施した。
結果を表1に示す。
(画像の経時密着性)
上記画像記録物に対し、アトラス社製ウェザオメータCi4000を用い、ISO4892−2に準拠して2000時間の促進耐候性試験を施した。
上記2000時間の促進耐候性試験後の画像記録物における画像に対し、ISO2409(クロスカット法)に準拠してクロスハッチテストを実施し、以下の評価基準に従って、画像の経時密着性を評価した。
下記評価基準において、画像の経時密着性に最も優れるランクは「A」である。
このクロスハッチテストでは、カット間隔を1mmとし、1mm角の正方形の格子を25個形成した。
下記の評価基準において、格子が剥がれた割合(%)は、下記の式によって求められた値である。下記の式における全格子数は25である。
格子が剥がれた割合(%)=〔(剥がれが生じた格子数)/(全格子数)〕×100
−画像の経時密着性の評価基準−
A:格子が剥がれた割合(%)が0%以上5%以下であった。
B:格子が剥がれた割合(%)が5%超15%以下であった。
C:格子が剥がれた割合(%)が15%超35%以下であった。
D:格子が剥がれた割合(%)が35%超65%以下であった。
E:格子が剥がれた割合(%)が65%超であった。
(画像の経時耐擦性)
上記2000時間の促進耐候性試験後の画像記録物を用い、以下のようにして、画像の経時耐擦性を評価した。
重さ200gの文鎮(幅1.5cm×厚み1.5cm×長さ12cm)を厚み方向に2本重ねて固定し、帆布(12.5cm×5.5cm)を下側の文鎮の底面及び側面を覆うように固定した。
帆布が固定された文鎮を、上記2000時間の促進耐候性試験後の画像記録物における画像上に、帆布を下側にして置いた。この状態で、帆布が固定された文鎮を、文鎮の長さ方向に12cmの距離を50往復させる擦り操作を実施した。以下、この擦り操作を50回の擦り操作とする。
50回の擦り操作の間に、適宜、画像記録物から帆布への色移りを目視で観察し、下記評価基準に従い、画像の経時耐擦性を評価した。下記評価基準において、耐擦性に最も優れるランクは「A」である。
−画像の経時耐擦性の評価基準−
A:50回の擦り操作を完了した時点において、画像から帆布への色移りが視認されなかった。
B:50回の擦り操作を完了した時点において、画像から擦り紙への色移りが視認されたが、30回の擦り操作を完了した時点では、画像から擦り紙への色移りは視認されなかった。
C:30回の擦り操作を完了した時点において、画像から擦り紙への色移りが視認されたが、15回の擦り操作を完了した時点では、画像から擦り紙への色移りは視認されなかった。
D:15回の擦り操作を完了した時点において、画像から擦り紙への色移りが視認されたが、5回の擦り操作を完了した時点では、画像から擦り紙への色移りは視認されなかった。
E:5回の擦り操作を完了した時点において、画像から擦り紙への色移りが視認された。
〔実施例2〜26及び比較例1〕
インクの組成中のモノマーA(GLA:56.0質量部)を、表1又は表2に示す各モノマー及び各化合物Hの組み合わせに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
実施例1〜16及び比較例1は、化合物Hを含有しない例であり、実施例17〜26は化合物Hを含有する例である。
結果を表1又は表2に示す。
〔実施例27〜31〕
顔料分散物としてのシアンミルベースを、表2に示す顔料分散物に変更したこと以外は実施例26と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
〔実施例32〜39〕
インクの組成中のモノマーA(GLA:56.0質量部)を、表3に示す各モノマー及び化合物Hの組み合わせに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
実施例32〜39は、化合物Hを含有する例である。
結果を表3に示す。
−表1〜表3の説明−
・各表では、インクの組成中、無機顔料分散物、重合性モノマー、及び化合物Hのみを示しており、全ての例を通じて共通する成分(即ち、光重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、アクリル樹脂、及びシリコーン界面活性剤)の表示は省略している。
・各成分における数値は、質量部を意味する。
・表中の空欄は、該当する成分を含有しないことを意味する。
・インク中の全モノマーは、インク中に含まれる全ての重合性モノマーの合計含有量(質量部)を意味する。インク中の全モノマーには、無機顔料分散物中のモノマー(具体的には、モノマーBとしての2−フェノキシエチルアクリレート)も含まれる。
・モノマーA/全モノマー比は、インク中に含有される全ての重合性モノマーの総含有質量に対するモノマーAの含有質量の比を意味する。
・モノマーA/(モノマーB+モノマーC)比は、モノマーB及びモノマーCの総含有質量に対するモノマーAの含有質量の比を意味する。
・全モノマーに対する化合物Hの含有量(質量%)は、インク中に含有される全ての重合性モノマーの総含有量に対する化合物Hの含有量(質量%)を意味する。
・モノマーAは、エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであり、
モノマーBは、芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物であり、
モノマーCは、N−ビニルカプロラクタムであり、
モノマーDは、脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しないラジカル重合性モノマーであり、
モノマーEは、フッ素原子を有するラジカル重合性モノマーであり、
化合物Hは、有機溶剤、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及びフッ素原子以外の置換基を有してもよいスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である。
−表1〜表3中の略称−
・GLA:グリシジルアクリレート
・GLMA:グリシジルメタクリレート
・EPCHMA:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
・EOMA:(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート
・PEA:2−フェノキシエチルアクリレート
・NVC:N−ビニルカプロラクタム
・CHA:シクロヘキシルアクリレート
・CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート
・IBOA:イソボルニルアクリレート
・TFPA:アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル
・LA:ラウリルアクリレート
・TDA:トリデシルアクリレート
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
・3−MBA:3−メトキシブチルアセテート
表1〜表3に示すように、エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーAと、コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料と、を含有するインクを用いた各実施例では、画像の経時密着性及び経時耐擦性に優れていた。
各実施例に対し、モノマーAを含有しない比較例1では、画像の経時密着性及び経時耐擦性に劣っていた。
実施例1〜6の結果から、インクが、芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物であるモノマーB及びN−ビニルカプロラクタムであるモノマーCを含有し、モノマーA/(モノマーB+モノマーC)比が、0.004〜1である場合(実施例3〜6)、画像の経時密着性及び経時耐擦性がより向上することがわかる。
実施例7及び10〜15の結果から、インクが、脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しないラジカル重合性モノマーであるモノマーDを含有する場合(実施例11〜15)には、画像の経時耐擦性がより向上することがわかる。
実施例7及び17〜39の結果から、インクが、有機溶剤、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及びフッ素原子以外の置換基を有してもよいスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である化合物Hを含有する場合(実施例17〜39)、画像の経時密着性がより向上することがわかる。

Claims (12)

  1. エポキシ環及びオキセタン環の少なくとも一方を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーAと、
    コバルト、アルミニウム、鉄、ビスマス、バナジウム、チタン及び炭素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む無機顔料と、
    を含有するポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  2. 前記無機顔料が、C.I.ピグメントブルー28、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー184、C.I.ピグメントホワイト6及びC.I.ピグメントブラック7からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  3. 更に、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない(メタ)アクリレート化合物であるモノマーBを含有する請求項1又は請求項2に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  4. 更に、N−ビニルカプロラクタムであるモノマーCを含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  5. 更に、芳香環を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しない(メタ)アクリレート化合物であるモノマーB及びN−ビニルカプロラクタムであるモノマーCを含有し、
    前記モノマーB及び前記モノマーCの総含有質量に対する前記モノマーAの含有質量の比が、0.004〜1である請求項1又は請求項2に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  6. 更に、脂肪族環状構造を有し、かつ、エポキシ環及びオキセタン環を有しないラジカル重合性モノマーであるモノマーDを含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  7. 更に、フッ素原子を有するラジカル重合性モノマーであるモノマーEを含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  8. 更に、有機溶剤、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及びフッ素原子以外の置換基を有してもよいスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である化合物Hを含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  9. 前記化合物Hの含有量が、ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物中に含有される全てのラジカル重合性モノマーの総含有量に対し、0.05質量%〜35質量%である請求項8に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  10. 更に、光重合開始剤を含有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物。
  11. ポリ塩化ビニル建材上に、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物をインクジェット法によって付与する工程と、
    前記ポリ塩化ビニル建材上に付与された前記ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物に、活性エネルギー線を照射する工程と、
    を有する画像記録方法。
  12. ポリ塩化ビニル建材と、
    前記ポリ塩化ビニル建材上に配置された、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物の硬化物である画像と、
    を備える画像記録物。
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