JP2011194448A - ゲート及びそれを用いた粉体圧縮成形機 - Google Patents
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Abstract
【課題】高価なRTPフランジ等を用いることなしに、物品を出し入れできかつ内部空間から外部空間への粉体の漏洩飛散を有効に予防可能なゲートを構成する。
【解決手段】粉体圧縮成形機に、内部空間S1と外部空間S2との間に物品を出し入れすべく設けられ、内部空間S1に連通させてなる内アクセス部17と、外部空間S2に連通させてなる外アクセス部18と、内アクセス部17と外アクセス部18との間に設けられた接続部たる液槽19とを具備し、液槽19内の液状体を介することにより内アクセス部17と外アクセス部18との連通を可能とするゲート16を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】粉体圧縮成形機に、内部空間S1と外部空間S2との間に物品を出し入れすべく設けられ、内部空間S1に連通させてなる内アクセス部17と、外部空間S2に連通させてなる外アクセス部18と、内アクセス部17と外アクセス部18との間に設けられた接続部たる液槽19とを具備し、液槽19内の液状体を介することにより内アクセス部17と外アクセス部18との連通を可能とするゲート16を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハザード物質(生理活性成分を含む物質)が浮遊する密閉された内部空間と、この内部空間から隔絶された外部空間との間で、物品を出し入れ可能とすべく設けられるゲートに関する。
例えば、粉体圧縮成形機に代表されるコンテインメント機器においては、筐体外に人体に何らかの影響を与えるハザード物質を含む粉体が漏出することを防止する必要があるので、筐体は密閉構造となっている(例えば、特許文献1を参照)。
従来、粉体圧縮成形機においては、筐体内を湿潤させることにより粉塵の飛散を防止して筐体外に部品を出していた。
しかし、機内全体を湿潤させなければならないので、機器を構成する部材その他の物品を筐体内に搬入したり、又は物品を筐体内から搬出したりすることが、頻繁にできなかった。
従来、粉体圧縮成形機においては、筐体内を湿潤させることにより粉塵の飛散を防止して筐体外に部品を出していた。
しかし、機内全体を湿潤させなければならないので、機器を構成する部材その他の物品を筐体内に搬入したり、又は物品を筐体内から搬出したりすることが、頻繁にできなかった。
一方、コンテインメント機器での物品の筐体内への出し入れは、従来、RTP(ラピッド・トランスファ・ポート)フランジが物品出し入れ用のゲートに採用されていた。
しかし、コンテインメント機器での物品の筐体内への出し入れにおいて、RTPフランジでは、RTPフランジ容器内部でのその物品はハザード物質が付着した汚染状態にあるため、直接取り出すことができなかった。また、RTPフランジ等は、非常に高価なものである。
本発明の目的は、高価なRTPフランジ等を用いることなしに、安価かつ容易に、さらに頻繁に物品を出し入れでき、かつ内部空間から外部空間へのハザード物質の漏出飛散を有効に予防可能なゲートを構成することである。
すなわち本発明では、内部空間と外部空間との間に物品を出し入れすべく設けられるものであって、内部空間に連通させてなる内アクセス部と、外部空間に連通させてなる外アクセス部と、内アクセス部と外アクセス部との間に設けられた接続部とを具備し、接続部内の液状体を介することにより内アクセス部と外アクセス部との連通を可能とすることを特徴とするゲートを構成した。
また、本発明では、内部空間と外部空間との間に物品を出し入れすべく設けられるものであって、内部空間に連通させてなる内アクセス部と、外部空間に連通させてなる外アクセス部と、前記内アクセス部と前記外アクセス部との間に設けられ、内部に溜めた液状体により内アクセス部と外アクセス部との間の連通を可能とする液槽とを具備することを特徴とするゲートを構成した。
これらによれば、接続部内又は液槽内の液状体を経由させることにより、物品の出し入れができる。従って、内部空間のハザード物質が外部空間に出るためには、液状体を経由しなければならない。そしてそのハザード物質又はハザード物質を含む物質(以下、「ハザード物質等」という)に適した液状体を選択することにより、ハザード物質等の外部空間への漏出を低減することができ、また、外部空間でのハザード物質等の飛散を防止できる。ハザード物質等に適した液状体とは、そのハザード物質等が溶解する液状体、そのハザード物質等が中和する液状体、又はそのハザード物質等を取り囲む液状体等がある。また、液状体は液体に限られず、ゲル状のものやコロイド溶液等も含む。なお、液状体は上記の例に限定されるものではない。つまり、ハザード物質等は液状体中で沈殿する、液状体の液面に浮かんだままになる、液状体中に拡散する、液状体により中和する、液状体中でミセル状になる、又は液状体に溶解する等により、ハザード物質を含む粉体の外部空間への漏出を有効に抑止できる。また、完全にハザード物質等を除去することができなくても液状体で濡らすことにより、ハザード物質等の外部空間での飛散を防止できる。
前記ゲートにおいて、前記内アクセス部又は前記外アクセス部のうち少なくとも一方に蓋を着脱可能に設けてなるものが好適である。このような構成であれば、例えば、前記ゲートを介して内部空間へ物品を出し入れする際にのみ蓋を開放することにより、内部空間に飛散しているハザード物質等を液状体に必要以上に接触させないことができる。つまり、ハザード物質等が液状体に溶解するような場合、その濃度の上昇を抑制できる。また、このような構成であれば、接続部内又は液槽内の液状体の蒸発を抑制することができる。その結果、液状体の量が減少して内アクセス部と外アクセス部との間で粉体を含む雰囲気が流通してしまう不具合の発生を回避することができる。あるいは、このような構成により蒸発した液状体による内部空間の湿度の上昇を抑制できる。
前記ゲートにおいて、前記内アクセス部又は前記外アクセス部のうち少なくとも一方に蓋を着脱可能に設けてなるものが好適である。このような構成であれば、例えば、前記ゲートを介して内部空間へ物品を出し入れする際にのみ蓋を開放することにより、内部空間に飛散しているハザード物質等を液状体に必要以上に接触させないことができる。つまり、ハザード物質等が液状体に溶解するような場合、その濃度の上昇を抑制できる。また、このような構成であれば、接続部内又は液槽内の液状体の蒸発を抑制することができる。その結果、液状体の量が減少して内アクセス部と外アクセス部との間で粉体を含む雰囲気が流通してしまう不具合の発生を回避することができる。あるいは、このような構成により蒸発した液状体による内部空間の湿度の上昇を抑制できる。
前記接続部内又は前記液槽内に液状体が所定量存在していない場合に検知する液状体検知手段と、この液状体検知手段が、液状体を所定量存在していないと検知した場合、少なくとも一方の前記蓋の開放を禁止するロック手段とをさらに有するものが好適である。このような構成であれば、液状体の不足時に蓋の開放を禁止して内部空間の遮蔽を維持でき、粉体の外部空間への漏出飛散を確実に防止できる。
このようなゲートは、主にコンテインメント機器に使用できるが、コンテインメント機器に限定されるものではなく、さまざまなゲートに使用できる。また、このようなゲートは、主にハザード物質の外部空間への漏出飛散防止に使用できるが、それに限定されるものではなく、例えば、人体に無害な粉体にも使用でき、また粉体以外の物質でもかまわない。
このようなゲートの利用態様として、内部空間において少なくとも1つの臼孔が設けられたテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵とを備え、臼孔内に粉体を充填しその粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、その内部空間と、内部空間とは隔絶した外部空間との間に、上述したゲートを設けてなる粉体圧縮成形機が挙げられる。このような構成であれば、物品に付着した例えばハザード物質を含む粉体の漏出の低減、又は飛散防止可能である。
また、その他の利用態様として、内部空間において少なくとも1つの臼孔が設けられたテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵とを備え、臼孔内に粉体を充填しその粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、その内部空間と、内部空間とは隔絶した外部空間との間に物品を出し入れすべく設けられ、内部空間に連通させてなる内アクセス部と、外部空間に連通させてなる外アクセス部と、内アクセス部と外アクセス部との間の空間に設けられ、液状体を噴射する噴射手段とを備えたゲートを設けてなる粉体圧縮成形機が挙げられる。このような構成であれば、物品の出し入れの際に液状体を物品に向けて噴射し、物品に付着した例えばハザード物質を含む粉体を除去できる。
コンテインメント化された機器の例としては、粉体圧縮成形機以外にも、造粒機、粉砕機、混合機、錠剤検査機、又は錠剤包装機等がある。
なお、本発明における粉体とは、微小個体の集合体であり、いわゆる顆粒等の粒体の集合体と、粒体より小なる形状の粉末の集合体とを含むものを指すものである。
本発明によれば、高価なRTPフランジ等を用いることなしに、安価かつ容易に、さらに頻繁に物品を出し入れでき、かつ内部空間から外部空間へのハザード物質の漏出飛散を、有効に予防可能なゲートを構成できる。
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すものは、本発明の第一実施形態のゲートを粉体圧縮成形機に実装した例である。
まず、コンテインメント化された粉体圧縮成形機について概説する。一般的な粉体圧縮成形機では、粉体を圧縮成形して医薬品の錠剤、食品、又は電子部品等を製造する機械であるが、粉体の原料によっては、人体に何らかの影響を与える成分を含んでいる場合がある。このような成分を含む粉体を圧縮成形する場合、粉体圧縮成形機はコンテインメント化する必要がある。
このコンテインメント化された粉体圧縮成形機を説明するため、粉体圧縮成形機の中でも回転式粉体圧縮成形機、つまりコンテインメント化された回転式粉体圧縮成形機(以下、「成形機」という)に関して説明する。この成形機は、当該分野で公知の回転式粉体圧縮成形機と基本的には同じ構造であるとともに同様に作動する。すなわち、成形機は、筐体1内に立設してなり電動機12で回転駆動される立シャフト2と、立シャフト2の上端部に継ぎ手部11を介して連結し水平回転するとともに円周方向に所定の間隔で複数の臼孔10を設けてある回転盤3と、各臼孔10内を摺動する上杵8及び下杵9の複数の対と、各上杵8を上下動可能に保持しながら回転盤3とともに水平回転する上杵保持部4と、各下杵9を上下動可能に保持しながら回転盤3とともに水平回転する下杵保持部5と、回転軌道上の所定部位において上杵8を押し下げる上ローラ6と、回転軌道上の所定部位において下杵9を押し上げる下ローラ7とを具備している。
立シャフト2は、中空のもので、その内部に、継ぎ手部11との接続を制御するための制御油及び圧縮空気を通すための図示しない管路を組み込んである。
回転盤3には、臼が設けられており、その臼孔10内に粉体を供給するフィードシュー(図示しない)からハザード物質を含む粉体(以下、「粉体」という)が充填される。また、回転盤3に直接臼孔10を設けてもよい。
上杵8及び下杵9の先端部は、それぞれ、臼孔10内に進入する。これら上杵8及び下杵9は、上ロール6及び下ロール7の間を通過する際に、臼孔10内に充填された粉体を上下から圧縮して成形品に成形する。
上杵8は上杵保持部4から取り外しが可能で、交換できる。下杵9もまた、下杵保持部5から取り外しが可能で、交換できる。さらに、継ぎ手部11における立シャフト2と回転盤3との接続を解除することにより、回転盤3、上杵保持部5及び下杵保持部4を一体的に筐体1から持ち出すこともできる。
筐体1は、立シャフト2、回転盤等3を軸支するフレーム13と、フレーム13に支持させて内部空間S1を囲繞し、内部空間S1と外部空間S2とを隔絶する外装体14とを要素とする。また、この筐体1(の外装体14)には、適宜の取付装置15aを介してグローブ15を取り付けている。グローブ15のうち少なくとも一つは、上杵又は下杵の取替え等の作業に支障がないように、上杵保持部5や下杵保持部4等に手部が届くように、また、後述する液槽19の内部領域に手部が届くように位置づけてある。
その上で、筐体1(の外装体14)には、内部空間S1と外部空間S2との間で物品の出し入れを行うためのゲート16を設けている。
ゲート16は、図1及び図2に示すように、内部空間S1に連通する内アクセス部17と、外部空間S2に連通する外アクセス部18と、これら内アクセス部17と外アクセス部18との間に設けられ、内部に溜めた液状体を経由することにより内アクセス部17と外アクセス部18との間の往来を可能とする接続部である液槽19とを具備する。このゲート16は、筐体1(の外装体14)に開設した窓1aに組み付けてある。
詳述すると、液槽19は、内部空間S1と外部空間S2とに跨る底壁19aと、底壁19aの外縁部から起立させて設けた側壁19bとを有し、これら底壁19a及び側壁19bがなす槽内に液状体を貯留できる。
液槽19における、内部空間S1側の領域と外部空間S2側の領域との間には、開口部20aを有する隔壁20を設けている。この隔壁20の開口部20aは、完全に液状体中に没している。なお、この隔壁20は、図1及び図2に示す例のように、筐体1の外装体14と同一の部材であることがある。
側壁19bの上端部には、液槽19上部を覆う上壁21を設けている。上壁21の内部空間S1側の部位には、上下に貫通した内側物品出し入れ口21aを形成してある。この内側物品出し入れ口21aが、内アクセス部17となる。同様に、上壁21の外部空間S2側の部位には、上下に貫通した外側物品出し入れ口21bを形成してある。この外側物品出し入れ口21bが、外アクセス部18となる。
内側物品出し入れ口21a及び外側物品出し入れ口21bには、それぞれ蓋22を着脱可能に設けている。内側物品出し入れ口21aに蓋22を装着すると、液槽19内部(の内部空間S1側の領域)は内部空間S1から遮断される。外側物品出し入れ口21bに蓋22を装着すると、液槽19内部(の外部空間S2側の領域)は外部空間S2から遮断される。これとは反対に、内側物品出し入れ口21a及び外側物品出し入れ口21bから蓋22を取り外すと、内側物品出し入れ口21aから液槽19内の液状体を経て外側物品出し入れ口21bに向かう方向に物品を搬出、又は、その逆方向に物品を搬入できる。なお、上壁21及び蓋22を備えない構成であってもよい。
液状体は、内部空間S1において使用した粉体に応じて適宜選択することができる。液状体の例としては、水、オイル、又はハザード物質を中和する中和剤等が挙げられる。粘性の高い液体やゲルを用いることもできる。
内部空間S1と外部空間S2との間で物品を出し入れする際には、この物品を液状体にくぐらせる、換言すれば浸すこととなる。それ故、内部空間S1から外部空間S2へ搬出する物品が粉体で汚染されていたとしても、液状体により粉体を除去できる。また、完全に除去できなくても液状体により物品が濡れることにより粉体の飛散を防止できる。
筐体1の内部空間S1にある物品を外部空間S2に搬出する場合、操作者がグローブ15を着用した状態で、内側物品出し入れ口21aから蓋22を取り外した後、物品を液槽内19に挿入する。それから、物品を液槽19の外部空間S2側の領域に移動させ、内側物品出し入れ口21aに蓋22を装着する。続いて、外側物品出し入れ口21bから蓋22を取り外し、物品を液槽19内から外部空間S2に引き上げる。最後に、外側物品出し入れ口21bに蓋を装着する。
また、物品を密閉できる容器23に収納した状態で搬出入するようにしてもよい。この容器23は、液槽19に溜めた液状体中に沈む重量を有していることが好ましい。物品を容器23に入れることにより、物品自体を液状体により濡らさずに内部空間S1に搬入、又は内部空間S1から搬出できる。具体的には、成形機内(内部空間S1)の杵を交換する場合、粉体で汚染されていない杵を成形機内(内部空間S1)に搬入するためにそのまま液状体にくぐらせてしまえば、その杵は液状体で濡れてしまい使用できない。しかし、容器23にその杵を入れて、その容器23を液状体にくぐらせ成形機内(内部空間S1)に搬入することにより、杵を濡らさずにすむ。そして、導入後速やかに、その杵を取り付けて再稼動させることができる。またその他、液状体中で物品を容器23に入れてもよい。これにより、容器23内でも粉体の飛散を防止できる。
容器23を使用して物品を筐体1の内部空間S1に搬入する場合、まず、外側物品出し入れ口21bから蓋22を取り外した後、物品を入れた容器23を液槽19内に挿入する。次に、容器23を液槽19の内部空間S1側の領域に移動させ、外側物品出し入れ口21bに蓋22を装着する。続いて、筐体1に取り付けてあるグローブ15を着用し、内側物品出し入れ口21aから蓋22を取り外し、容器23を液槽19内から内部空間S1に引き上げる。最後に、内側物品出し入れ口21aに蓋22を装着し、容器23から物品を取り出す。
以上に述べたように、本実施形態によれば、内部空間S1と外部空間S2との間に物品を出し入れすべく設けられるものであって、内部空間S1に連通させてなる内アクセス部17と、外部空間S2に連通させてなる外アクセス部18と、内アクセス部17と外アクセス部18との間に設けられた接続部である液槽19とを具備し、液槽19内の液状体を介することにより内アクセス部17と外アクセス部18との連通を可能とすることを特徴とするゲート16を構成したため、内部空間S1と外部空間S2との間の物品の出し入れが、液状体を経由して可能となる。さらに、液槽19に溜めた液状体により、内部空間S1における粉体を含む雰囲気が、内アクセス部17から外アクセス部18へと直接流通することが阻止される。従って、内部空間S1の粉体が外部空間S2に出ようとしても、粉体が液状体中で沈殿する、液状体の液面に浮かんだままでいる、液状体中に拡散する、液状体により中和する、液状体中でミセル状になる、又は液状体に溶解する等により、内部空間S1から外部空間S2への粉体の漏出飛散を有効に予防できる。そして、外部空間S2に所在している作業者は、わずかな粉体の浮遊粉塵でさえも吸い込むことはない。
また、従来より周知の成形機では、物品の出し入れを行う前に、筐体内を湿潤させて粉体の飛散を予防することが通例となっている。このような手法では、物品の出し入れ後、筐体内が乾燥するまで成形機を再稼働することができず効率的でない。しかし、本実施形態のゲート16を採用することにより、筐体1内を湿潤させる必要がなくなり、物品の出し入れがし易く、速やかに成形機を再稼働できる。
加えて、粉体が可溶な液状体を用いることにより、粉体は液状体に溶け、もしくは時間の経過とともに沈下する。その液状体を排出することにより、作業者がハザード物質に接触するリスクを一層低減することができる。
内アクセス部17及び外アクセス部18に蓋22を着脱可能に設けているため、蓋22により内アクセス部17又は外アクセス部18を閉塞することで、液槽19内部の液状体が蒸発して筐体1の内部空間S1又は外部空間S2に逃げることを抑制できる。これにより、内アクセス部17と外アクセス部18との間に液状体が介在しなくなる領域が発生して粉体を含む雰囲気が内アクセス部17から外アクセス部18へと直接流通することを回避できる。その上、内部空間S1の湿度の不適切な変動が発生するという不都合も防止できる。
さらに、内アクセス部17に蓋22を着脱可能に設けているので、内部空間S1中の粉体がみだりに液状体中に混入することも抑止できる。
なお、本実施形態は以下のように変形できる。
例えば、ゲート16に、隔壁20の開口部20aを開放する図3に示すような開放位置Oと、隔壁20の開口部20aを閉止する図4に示すような閉止位置Sとの間で変位可能な可動板24を設けてもよい。その上で、図3及び図4に示す例では、液槽19における外部空間S2側の領域から液状体を排出するための排出管25及び弁26を付設している。
上記の態様において、物品を内部空間S1から外部空間S2に搬出する際には、液槽19内に挿入した物品を液槽19の外部空間S2側の領域に移動させた後、可動板24を駆動して閉止位置Sに位置づけ、弁26を開放して外部空間S2側の領域から液状体を排出する。このようにすることで、物品に付着していた粉体を液状体とともに排出できる。そして、その後物品を液槽19から引き上げる。なお、この可動板24により、物品を内部空間S1側領域から外部空間S2側領域へ押し出して移動させることもできる。また、物品の液槽19からの引き上げは、液状体を排出してからとしているが、液状体を排出する前であってもよい。
図5に示すように、液槽19内に液状体が所定量存在していない場合に検知する液状体検知手段27と、この液状体検知手段27が、液状体を所定量存在していないと検知した場合には、少なくとも一方の蓋22の開放を禁止するロック手段28とをゲート16に設けてもよい。液状体検知手段27としては、例えば、液槽19に溜めた液状体の液面の高さが所定位置以上にある否かを検知可能な液面レベルセンサ等を用いる。一方、ロック手段28としては、蓋22を出し入れ口21a、21bに繋留して取り外しを阻止する電気錠等を用い得る。
ここで、液状体検知手段27を介して液状体が所定量存在していないことを検知した際には、制御部29がロック手段28(電気錠)に制御信号を与えて、ロック手段28(電気錠)をロック状態に切り換え、蓋22の取り外しを阻止する。
このような構成では、液状体の不足時に蓋22の開放を禁止して内部空間S1の外部空間S2に対する遮蔽状態を維持できる。従って、粉体の外部空間S2への飛散を確実に防止できる。
図6に示すように、物品を内部空間S1側領域と外部空間S2側領域との間で往復動可能な押出し板30をゲート16の液槽19内に設けてもよい。この押出し板30により、物品を内部空間S1側領域から外部空間S2側領域へ、又はその逆方向へ液槽19内において押し出して移動できる。
また、液槽19内部で液状体の攪拌を行うべく、液槽19内にスクリュー等の拡散促進手段(図示しない)を設けるようにしてもよい。このような構成であれば、液状体中に混入した粉体が液状体中全体に拡散するため、液状体中の特定領域が高濃度になるリスクを回避できる。
図7に示すように、液槽19の底壁19a又は側壁19bに液状体を排出するための排出管32を接続するとともに、この排出管32中に粉体等を除去するためのフィルタ33を設け、さらに、このフィルタ33の下流側にポンプ34を接続して粉体等を除去した後の液状体を液槽19内部に循環させる態様を採用してもよい。このようにすることで、液槽19の外に配置したフィルタ33により粉体を濾し取り、粉体を濾し取った後の液状体を液槽19内に循環させ、液槽19内のハザード物質の濃度を抑制できる。さらに、フィルタ33の交換を通じて、粉体を効果的に除去できる。なお、フィルタ33を設けなくても液状体を循環させることにより、液槽19に液状体を溜めたものより液状体の絶対量を増加させることができ、それだけでハザード物質の濃度を低減できる。
図8に示すように、液槽19の全体を筐体1の外側に配置する態様を採用してもよい。図8に示す例では、全体を筐体1の外側に配置してなる底壁19aと、底壁19aの外縁部から起立させて設けた側壁19bとを有し、これら底壁19a及び側壁19bがなす枡内に液状体を貯留できる。側壁19bの上端部には、液槽19を上方から遮蔽する上壁35を設けている。上壁35には、上下に貫通した外アクセス部たる外側物品出し入れ口35bを形成してある。そして、この頂壁35の上下に貫通させて、液槽19の液状体中と筐体1の内部空間S1とを連通する通路である内アクセス部35aを設けている。この内アクセス部35aの内部は、外部空間S2と隔絶している。
このような構成であっても、内部空間S1と外部空間S2との間の物品の搬出入は、液状体中を経由させることにより可能となる。さらに、液槽19に溜めた液状体により、内部空間S1における粉体を含む雰囲気が、内アクセス部35aから外アクセス部35bへと直接流通することが阻止される。従って、上述した第一実施形態に係る主要な効果は全て得られる。
次いで、本発明の第二実施形態を、図面を参照して説明する。なお、前述した第一実施形態に係るものに対応する部位には、同一の名称、定義及び符号を付している。
図9に示すものは、本発明の第二実施形態のゲートを成形機に実装した例である。なお、第一実施形態に係るものと同一構成の箇所の詳細な説明は省略する。
筐体1(の外装体14)には、内部空間S1と外部空間S2との間で物品の出し入れを行うためのゲート116を設けてある。
ゲート116は、図10に示すように、内部空間S1に連通する内アクセス部117と、外部空間S2に連通する外アクセス部118と、内アクセス部117と外アクセス部118との間に設けられ、液状体を噴射する噴射手段119とを具備する。このゲート116は、筐体1(の外装体14)に開設した窓1aに組み付けてある。
詳述すると、ゲート116は、内部空間S1と外部空間S2とに跨る底枠120a、底枠の外縁部から起立させて設けた内部空間S1と外部空間S2とに跨る側枠120b及び側枠120bの上縁部同士を接続し内部空間S1と外部空間S2とに跨る上枠120cを有する枠体120と、底枠120aに設けてなり液状体を排出するための排出管121a及び弁121bと、上枠120cに取り付けてなり液状体を噴射する噴射手段119と、上枠120cの内部空間S1側の縁部にヒンジを介して開閉可能に取り付けた内扉122と、上枠120cの外部空間S2側の縁部にヒンジを介して開閉可能に取り付けた外扉123とを有する。本実施形態では、枠体120の内部空間S1側開口縁が内アクセス部117として機能する。また、枠体120の外部空間S2側開口縁が外アクセス部118として機能する。そして、排出管121aには、噴射手段119により噴射した液状体を貯蔵しておくための図示しないタンクを弁121bを介して接続している。タンクの内部は、外部空間S2と隔絶させている。
内扉122を閉止位置に移動させると、ゲート116の内部は内部空間S1から遮断される。内扉122を開放位置に移動させると、内部空間S1とゲート116内との間で物品を搬出入できる。
外扉123を閉止位置に移動させると、ゲート116の内部は外部空間S2から遮断される。外扉123を開放位置に移動させると、外部空間S2とゲート116内との間で物品を搬出入できる。
内部空間S1から外部空間S2へゲート116を経由して物品を搬出する際には、この物品を噴射手段119により噴出される液状体により洗浄する。それ故、内部空間S1から外部空間S2へ搬出する物品が粉体で汚染されていたとしても、液状体を以て粉体を除去できる。また、完全に除去できなくても液状体により物品が濡れることにより粉体の飛散を防止できる。
筐体1の内部空間S1にある物品を外部空間S2に搬出する場合、図11に示すように、まず、操作者がグローブ15を着用した状態で、内扉122を開放位置に移動させた後、物品をゲート116内に挿入する。次に、内扉122を閉止位置に移動させた後、噴射手段119により液状体を噴射させ、物品を洗浄する。その後、ゲート116内の液状体を排出し、外扉123を開放位置に移動させ、物品をゲート116内から外部空間S2に取り出す。最後に、外扉123を閉止位置に移動させる。
物品を筐体1の内部空間S1に搬入する場合、図12に示すように、まず、内扉122及び外扉123を閉止位置に移動させた後、噴射手段119により液状体をゲート116内に噴射させゲート116内を洗浄する。次に、ゲート116内の液状体を排出する。さらに、外扉123を開放位置に移動させ、外部空間S2から物品をゲート116内に挿入する。その後、外扉123を閉止位置に移動させる。続けて、内扉122を開放位置に移動させ、物品をゲート116内から内部空間S1に搬入する。最後に、内扉122を閉止位置に移動させる。なお、物品をゲート116から内部空間S1に搬入する際、ゲート116内が粉体で汚れていなければ、最初の洗浄工程は省いてもよい。
本実施形態によれば、内部空間S1と外部空間S2との間に物品を出し入れすべく設けられるものであって、内部空間S1に連通させてなる内アクセス部117と、外部空間S2に連通させてなる外アクセス部118と、内アクセス部117と外アクセス部118との間に設けられた接続部である枠体120とを具備し、枠体120内で物品に液状体を噴射することにより内アクセス部117と外アクセス部118との連通を可能とすることを特徴とするゲート116を構成している。従って、内部空間S1の粉体が外部空間S2に出ようとしても、内扉122及び外扉123の二重扉になっていることから、内部空間S1の雰囲気と外部空間S2とが直接接触することはなく、ゲート116内で液状体を噴射することから内部空間S1から外部空間S2への粉体の漏出飛散を防止できる。また、粉体はゲート116の枠体120内で液状体により洗浄されて液状体とともに排出管121aから排出される。また、少量の粉体が物品に残っていたとしても、液状体で濡れていることから、粉体の飛散を防止できる。よって、外部空間S2に所在している作業者は、わずかな浮遊粉塵でさえも吸い込むことはない。
また、本実施形態のゲートを採用することにより、物品の出し入れがし易く、速やかに成形機を再稼働できる。
なお、本実施形態は以下のように変形できる。
例えば、ゲートの内扉及び外扉に開放状態にあるか否かを検知する開閉検知手段を設けるとともに、内扉122又は外扉123のいずれか一方が開放状態にある際に他方の開放を禁止する機能、及び噴射手段119が液状体の噴射中である際に内扉122及び外扉123の開放を禁止する機能を有するロック手段を設けてもよい。
この構成によれば、ロック手段により内扉122及び外扉123が同時に開放状態となることが禁止されるので、内部空間S1と外部空間S2とをより確実に隔絶できる。従って、内部空間S1から外部空間S2への粉体の漏出をさらに確実に防止できる。
また、液状体の噴射中はロック手段を作動させることにより、液状体の噴射中に内扉122及び外扉123の開放が禁止されるので、粉体を含む液状体の外部への漏出を確実に防止できる。
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。また、本発明は粉体圧縮成形機に限定されるものでもなく、粉体圧縮成形機も回転式粉体圧縮成形機に限定されるものではない。
16、116…ゲート
17、117…内アクセス部
18、118…外アクセス部
19…液槽(接続部)
22…蓋
27…液状体検知手段
28…ロック手段
119…噴射手段
120…枠体(接続部)
S1…内部空間
S2…外部空間
17、117…内アクセス部
18、118…外アクセス部
19…液槽(接続部)
22…蓋
27…液状体検知手段
28…ロック手段
119…噴射手段
120…枠体(接続部)
S1…内部空間
S2…外部空間
Claims (6)
- 内部空間と外部空間との間に物品を出し入れすべく設けられるゲートであって、
内部空間に連通させてなる内アクセス部と、
外部空間に連通させてなる外アクセス部と、
内アクセス部と外アクセス部との間に設けられた接続部と
を具備し、
接続部内の液状体を介することにより内アクセス部と外アクセス部との連通を可能とすることを特徴とするゲート。 - 内部空間と外部空間との間に物品を出し入れすべく設けられるゲートであって、
内部空間に連通させてなる内アクセス部と、
外部空間に連通させてなる外アクセス部と、
前記内アクセス部と前記外アクセス部との間に設けられ、内部に溜めた液状体により内アクセス部と外アクセス部との間の連通を可能とする液槽と
を具備することを特徴とするゲート。 - 前記内アクセス部又は前記外アクセス部のうち少なくとも一方に蓋を着脱可能に設けてなる請求項1又は2記載のゲート。
- 前記接続部内又は前記液槽内に液状体が所定量存在していない場合に検知する液状体検知手段と、
この液状体検知手段が、液状体を所定量存在していないと検知した場合には、少なくとも一方の前記蓋の開放を禁止するロック手段と
をさらに有する請求項3記載のゲート。 - 内部空間において少なくとも1つの臼孔が設けられたテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵とを備え、臼孔内に粉体を充填しその粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、
その内部空間と、内部空間とは隔絶した外部空間との間に、請求項1、2、3又は4記載のゲートを設けてなる粉体圧縮成形機。 - 内部空間において少なくとも1つの臼孔が設けられたテーブルと、臼孔の上下に上杵及び下杵を上下摺動移動可能に保持させておき、杵先が臼孔内を摺動する上杵及び下杵とを備え、臼孔内に粉体を充填しその粉体を上杵及び下杵により臼孔内で圧縮成形する粉体圧縮成形機であって、
その内部空間と、内部空間とは隔絶した外部空間との間に物品を出し入れすべく設けられ、
内部空間に連通させてなる内アクセス部と、
外部空間に連通させてなる外アクセス部と、
内アクセス部と外アクセス部との間の空間に設けられ、液状体を噴射する噴射手段と
を備えたゲートを設けてなることを特徴とする粉体圧縮成形機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010065556A JP2011194448A (ja) | 2010-03-23 | 2010-03-23 | ゲート及びそれを用いた粉体圧縮成形機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010065556A JP2011194448A (ja) | 2010-03-23 | 2010-03-23 | ゲート及びそれを用いた粉体圧縮成形機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011194448A true JP2011194448A (ja) | 2011-10-06 |
Family
ID=44873307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010065556A Pending JP2011194448A (ja) | 2010-03-23 | 2010-03-23 | ゲート及びそれを用いた粉体圧縮成形機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011194448A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013141686A (ja) * | 2012-01-11 | 2013-07-22 | Kikusui Seisakusho Ltd | アイソレータ |
-
2010
- 2010-03-23 JP JP2010065556A patent/JP2011194448A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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