JP2011194425A - 板状ワークの成形方法および成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】板状ワーク1の凹面1a側の面方向に所定の間隔をおいて複数のポケット11を設けて減肉加工をし、ポケット11に対応する形状で、且つ板状ワーク1よりヤング率が小さいシム3をポケット11に挿入した後、プレス機を用いて板状ワーク1を凸面1b(一方の面)から凹面1a(他方の面)側へ曲げる曲げ加工を行うようにした。
【選択図】図5
Description
特許文献2には、板状ワークにショット材を投射して所定の曲率を与える板状ワークの成形方法であって、所定の曲率を与える成形を行う前の板状ワークに、その板状ワークが成形後に製品として機能するために必要となる板厚加工による前加工を行う工程と、その前加工を施した板状ワークにショット材を投射して所定の曲率を与える工程と、を含む成形方法について提案されている。
また、特許文献1では、曲率を有する外板を機械加工するため、ボールエンドミルを使用する必要があり、加工効率が低下するという不具合が生じていた。
また、特許文献2では、ショット材を投射して成形する方法であり、加工精度に再現性をもたせるのが困難であり、修正加工が必要となっていた。
したがって、上述したような問題のない成形方法が求められており、その点で改良の余地があった。
また、本願発の別の目的は、成形精度に優れた再現性をもたせることができる板状ワークの成形方法および成形体を提供することである。
また、減肉加工した板状ワークに対してプレス機、或いはロール曲げ機を使用して曲げ加工を行うため、ショット材を投射する従来の方法に比べて、成形精度の再現性に優れ、修正加工が不要となり、成形時間の短縮を図ることができる。
さらに、機械加工による減肉であるので、ケミカルミーリングを使用する場合のように加工溶液の廃液が無く、しかもエンドミルの切削によって生じる切屑がスクラップとして再利用も可能であることから、産業廃棄物の発生を抑えられる利点がある。
本発明では、板状ワークに設けた凹部に板状ワークよりヤング率が小さいシムを挿入することにより、曲げ加工時にシムが板状ワークの曲げに追従して弾性変形により湾曲するため、板状ワークの成形後の曲げ半径を大きくすることが可能となる。そのため、凹部を形成する減肉部での曲げ半径が凹部でない一般部の曲げ半径に近づくので、減肉部と一般部との曲げ形状に差が無くなり、多角形状に湾曲することがなく、滑らかな凹面形状を得ることができる。
本発明では、板状ワークを曲げたときに、凹部に対するシムのマイナス公差によって、シムの弾性変形が吸収されるので、シムと凹部との密着性が高められる、そのため、曲げ加工時であっても凹部からシムが外れることを防ぐことができる。
本発明では、ヤング率が7〜10GPaのベークライトからなるシムを用いることで凹部に対してより優れた密着性能を得ることができる。つまり、シムの曲がりが少なく凹部に対する追従性が悪くなって密着性が低下したり、反対にシムが曲がり過ぎて凹部から抜け出してしまうといった不具合を抑制することができる。
本発明では、シムにも凹部の階段状の段差部に対応する段部を設けることで、この段差部分での密着性をより一層高めることができ、追従性を高めることができ、板状ワークを滑らかに曲げることができる。
また、曲げ加工においてもプレス又はロール曲げによる機械加工となるので、成形精度に優れた再現性をもたせることができる利点がある。
図1および図2に示す符号1は、例えば航空機の胴体部分に用いられる円筒形の外板の一部(以下、「板状ワーク1」という)であり、本第1の実施の形態の成形方法によって所定の曲率に曲げ加工する適用対象である。板状ワーク1は、アルミニウム合金が使用される。なお、板状ワーク1は、本願発明の「成形体」に相当する。
ここで、図1乃至図3に示す板状ワーク1において、上側を凹面1aとし、下側を凸面1bとして以下統一して説明する。
ポケット11は、板状ワーク1の凹面1aの所定位置に配置され、例えば平面視略四角形状をなし、上述した減肉加工の第1工程により適宜な厚さ寸法となるように形成されている。
先ず、第1工程において、図1に示す平板状態の板状ワーク1に対して例えばエンドミルを備えた通常の3軸機械加工装置を用いて、予め設定した箇所を所定深さ(厚さ寸法)により減肉加工を施し、複数のポケット11を形成する。
さらに、機械加工による減肉であるので、ケミカルミーリングを使用する場合のように加工溶液の廃液が無く、しかもエンドミルの切削によって生じる切屑がスクラップとして再利用も可能であることから、産業廃棄物の発生を抑えられる利点がある。
図4および図5に示すように、第2の実施の形態による板状ワークの成形方法および成形体では、上述した第1の実施の形態で第1工程の後、その減肉加工により設けたポケット11に対応する形状で、且つ板状ワーク1よりヤング率が小さいシム3を挿入する工程を有するものである。なお、第2工程の曲げ加工については、上述した実施の形態と同様でプレス機2(図3参照)を用いる方法であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
そして、シム3は、ポケット11の内空寸法より僅かに小さいマイナス公差で設けられ、ポケット11に対して緩み嵌めされている。つまり、ポケット11内に嵌合されたシム3は、ポケット11に対して密着しつつ、外部から受ける力に応じて弾性変形により滑りが生じる状態となっている。
そのため、ポケット11を形成する減肉部での曲げ半径がポケット11でない一般部の曲げ半径に近づくので、減肉部と一般部との曲げ形状に差が無くなり、多角形状(板厚寸法の大きな一般部を頂点とした多角形を形成するような曲げ)に湾曲することがなく、滑らかな凹面形状を得ることができる。
図6および図7に示すように、第3の実施の形態による板状ワークの成形方法および成形体は、上述した第2の実施の形態による成形方法のポケット11およびシム3の形状を代えた方法であって、板状ワーク1のポケット11に角部に階段状(本実施の形態では1段)の段差部11aを形成する減肉加工を行い、この段差部11aに対応する段部3aを有するシム3をポケット11に嵌合させるものである。また、減肉加工したポケット11にシム3を嵌合させた状態で、板状ワーク1の凹面1aにウレタンゴム等からなるシート状の保護材4を配置している。
なお、第2工程の曲げ加工については、上述した実施の形態と同様でプレス機2を用いる方法であるので、ここでは詳しい説明は省略する。
なお、保護材4は、凹面1aに載せておくだけのものであり、曲げ加工時に曲がるシム3がポケット11から突出するのを抑える当て止めの機能をもたせている。
例えば、本実施の形態では第2工程の曲げ加工にプレス機2を採用しているが、これに限定されることはなく、ロール曲げ機を用いた曲げ加工であっても良い。
さらに、本実施の形態ではポケット11に1段の段差部11aを設ける構成としているが、段差数は任意に設定することが可能であり、2段以上の段差部11aであってもよい。例えば、板状ワーク1の板厚寸法が大きい場合には多段の段差部とし、板厚寸法が小さい場合には1段、あるいは段差無しとすることができる。
1a 凹面
2 プレス機
3 シム
3a 段部
4 保護材
11 ポケット(凹部)
11a 段差部
Claims (6)
- 板状ワークの凹面側の面方向に所定の間隔をおいて複数の凹部を設ける工程と、
プレス又はロール曲げにより前記板状ワークを一方の面から他方の面の側へ曲げる工程と、
を有することを特徴とする板状ワークの成形方法。 - 前記凹部に対応する形状で、且つ前記板状ワークよりヤング率が小さいシムを、前記凹部に挿入する工程を有していることを特徴とする請求項1に記載の板状ワークの成形方法。
- 前記シムは、前記凹部に対して緩み嵌めされていることを特徴とする請求項2に記載の板状ワークの成形方法。
- 前記シムは、ヤング率が7〜10GPaのベークライトであることを特徴とする請求項2又は3に記載の板状ワークの成形方法。
- 前記凹部は、階段状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の板状ワークの成形方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の板状ワークの成形方法によって製造されたことを特徴とする成形体。
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